仕事とエネルギー
私たちが、物体を、ある高さだけ持ち上げたときにする仕事はその物体の重さと、持ち上げた距離との積であらわします。
動いている物体は、外からその物体を止めようとしないかぎり、等速運動を続けます。
これを、止めるには、その物体を止めるだけの仕事をしなければなりません。
持ち上げられた物体は、落ちることによってまた、動いている物体は動いていることによって仕事をする能力がある場合に、その物体はエネルギーをもっていると言います。
位置エネルギー
水力発電所のダムにたくわえられた水は水圧鉄管の中を、落ちることによって、発電機の水車をまわす仕事をします。
このような場合に物体は、位置エネルギーをもっていると言います。
これは、重力による位置エネルギーの例です。
このほか、ゴムやぜんまいを引っ張って、そのはしに物体をつけてはなすとゴ厶やぜんまいが縮むとき、物体を動かして仕事をします。
これは、引き伸ばされたゴムやぜんまいが、位置エネルギーを持っているからでこの場合には、ゴムやぜんまいの弾力がもとになっています。
位置エネルギーの例ば、重力や弾力だけでなく電気力や磁気力でも、位置エネルギーが考えられます。
運動エネルギー
物体が、ある速度をもって動いているときにほかの物体に衝突すると、その物体を動かして仕事をします。
このようなエネルギーを、運動エネルギーと言います。
運動エネルギーの大きさは動いている物体の速度が大きいほどまた、物体の質量が大きいほど大きくなります。
エネルギーのあらわし方
位置エネルギーも運動エネルギーも、仕事をすることができる能力をもっています。
ですから、物体が仕事をすることができれば、その原因が何であってもエネルギーをもっているということができます。
エネルギーをあらわす単位には、仕事と同じ単位を使います。
たとえば、運動エネルギーでは、物体がその速さがなくなるまでにする仕事の量で、その大きさをあらわします。
熱エネルギー
木炭・石炭・石油・ガソリン・ガスなどを燃やすと、熱がでます。
この熱を蒸気機関や、ディーゼル機関・ガソリン機関などの熱機関に加えるといろいろの仕事をします。
したがって、然もエネルギーの一種であることがわかります。
現代文化のエネルギーのほとんどは熱エネルギーであるといっても言い過ぎではないでしょう。
電気エネルギー
電動機に電流を通すと、回転運動を起こして、仕事をします。
したがって、電気もエネルギーの一種であることがわかります。
電気エネルギーは、熱エネルギーよりも輸送に便利です。
そればかりか、電動機は効率がよく、清潔である点がすぐれています。
そのため、電動機は、電気機関車や工場の大型電動機から家庭用の井戸の電動機や電気洗濯器・電気掃除機・電気冷蔵庫などの小型電動機にいたるまで、広く使われています。
したがって、私たちの文化生活のもとになるエネルギーは熱エネルギーとともに電気エネルギーがその大部分をしめているといえましょう。
その他のエネルギー
位置エネルギー・運動エネルギー・熱エネルギー・電気エネルギーのほかにもいろいろのエネルギーがあります。
たとえば、石炭や石油は、燃えるとき多量の熱を出すのでこれらの物質は、エネルギー(化学エネルギー)をもっています。
燃えることによって、化学エネルギーから熱エネルギーにかわるのです。
このほか、太陽熱による太陽エネルギー、核分裂などでえられる熱は核エネルギーから熱エネルギーにかわります。
光や音のエネルギーなどもあります。
エネルギーのうつりかわり
水力発電所のダムにたくわえられた水は、大きな位置エネルギーをもっています。
水のこの位置エネルギーは水が落ちることによって、運動エネルギーにかわります。
さらに、発電機の水車をまわすことによって、電気エネルギーにかわるのです。
火力発電所では、石炭や重油を燃やしそれでえた熱エネルギーで、タービンをまわします。
その運動エネルギーを、発電機で電気エネルギーにかえています。
電気エネルギーは、送電線によって工場や家庭へおくられます。
これが、電動機に入れば、運動エネルギーにかわりまた、電熱器に入れば、熱エネルギーにかわります。
電球に入れば、光のエネルギーにかわります。
蓄電池は、電池がもっている化学エネルギーを電気エネルギーにかえ豆電球に電気が流れることによって光のエネルギーにかわります。
このようにエネルギーは、物体から物体へのりうつるばかりでなくいままでに述べた、いろいろの形のエネルギーにかわります。
ここで、大切なことは、物体のあいだをうつったり、形をかえたりしてもあるときにもっているエネルギーの全量は、いつまで経っても減ることも増えることもないということです。
このことエネルギー保存の法則と言います。