発芽のしくみとは? 発芽に必要なものとは? わかりやすく解説!

生長のしくみ

植物の体は、ふつうたくさんの細胞からできています。
ところが細胞は、ある決まった大きさまでしか大きくなることができません。


ですから、植物が大きくなるには体をつくっている細胞の数をどんどん増やしていくのです。
このことを、細胞分裂と言い、このようにして体が大きくなることを生長と言います。

細胞を増やすことは、体のどの部分でもできるわけではありません。
ふつう、茎や根などのいちばんはしにある生長点というところや茎や幹に見られる形成層などでおこなわれます。

植物の体のどの部分が、いちばん激しく生長しているかを知るためにソラマメの根について調べてみましょう。

まず、ソラマメを、おがくずの上にまいて水をやり、根を出させます。
2センチぐらい伸びたら、根の先から1ミリごとに印をつけます。
こうして、24時間後に根の長さを測ります。

すると、はしから8ミリ以上のところは、ほとんど伸びないで、はしから3、4ミリのところが、いちばんよく伸びていることがわかります。

発芽のしくみ

地面などに落ちた種はまわりの温度や水分が芽を出すのに都合よくなるまでじっとしています。

そしてほどよい水分や温度があれば種の中の胚は胚乳や子葉の中にたくわえられた

養分を使って、生長をはじめます。

この様子をよく見るために、きれいに洗ったおがくずの上にインゲンマメやエンドウの種をまき、その上から水をかけて観察してみましょう。

5、6日経つと、幼根が下にむかって伸びはじめます。
幼根が伸びはじめてしばらくするとこんどは、種から2枚の子葉が抜け出して左右に開きやがて、子葉のあいだから本当の葉が出てきます。

これらの双子葉植物にくらべて単子葉植物のイネやトウモロコシでは、子葉は1枚しかありません。
子葉は、幼根のでたあとも、しばらくはさやに包まれています。

幼根は、しばらくすると生長を止め、そのかわりに新しいひげ根が、たくさん出てきます。



発芽に必要なもの

種を乾いたところに閉まっておくと、いつまで経っても芽を出しません。
種が芽を出すためには、まず水分が必要です。

また芽のではじめた種を水の中に浸しておくと、もうそれ以上は芽を伸ばさなくなります。
これは、水の中には酸素が少なく、種が呼吸できないためです。

水分や酸素があっても温度が低すぎたり高すぎたりすると種は芽を出しません。

芽を出すには、発芽にいちばん都合のよい温度が必要で、これを発芽の最適温度と言います。

時期はずれに種をまいても、芽を出さないのは植物の種類によって最適温度が違うためです。

このように、種が芽を出すためには、水・酸素・適温の3つが必要です。

種を地にまくと、地中の水分を吸ってふくれあがり呼吸をはじめます。
右の図のような実験からもわかるように酸素を取り入れて二酸化炭素を出したり、熱を出したりします。

種が吸う水分は、種のもとの重さにくらべてイネ・ムギでは26~36パーセント、ダイズ・エンドウなどのマメ類では83~126パーセント、トウモロコシでは44パーセントぐらいです。




シダ・コケ・キノコ・カビの増えかたとは? わかりやすく解説!

花の咲かない植物の増えかた

花の咲かない植物は種ができないので種に似た胞子をつくったり体の一部を使ったり、バクテリアのように体全体を2つにわけたりして増えます。


シダの増えかた

ワラビなどのシダの仲間は、たいてい地下茎(根茎)が地中に横にはい広がっています。

この地下茎のところどころから、芽を出して増えます。
シダは、このほか、種に似た胞子をつくって増えます。

ワラビやゼンマイは、この地下茎から出たばかりの、まだ若いものをとって食べるのです。

胞子

大きく育った、シダの仲間の葉の裏を見ると茶色のかたまりがいろいろな模様をつくって、くっついています。

この茶色のかたまりは胞子のふくろ(胞子のうと言います)のかたまりです。

この1つ1つのふくろの中に目では見えないほどの細かい胞子が、たくさん入っています。

この胞子のふくろはシダの種類によって特別な葉の裏にだけついているものがあります。

また、この胞子のふくろのつきかたも種類によってさまざまで、いろいろの形の模様をつくっています。

胞子の育ちかた

胞子のふくろが弾けて、中から胞子が出て地面に落ちると水分を吸って発芽し、前葉体というものになります。

前葉体は直径1センチほどの大きさで、緑色の平たい心臓形をしています。

この前葉体の裏側には、花の咲く植物の花粉にあたる精子と、胚珠にあたる卵細胞があります。

そして、この2つがいっしょになり新しい芽となってシダの体に育つのです。

このように、シダの仲間は一生のあいだに胞子で増える無性生殖の時代と卵細胞と精子とがいっしょになって増える有性生殖の時代とがあります。

このような増えかたを繰り返すことを、世代の交代と言います。

コケの増えかた

ゼニゴケなどのコケの仲間には、ふつうめかぶとおかぶとがあります。
そして、めかぶには卵細胞ができ、おかぶには精子ができます。

この2つがいっしょになると、めかぶの卵細胞が育って胞子をつくるふくろになります。

このふくろから、胞子がこぼれて地に落ちると胞子は芽を出して新しいコケに育つのです。

このように、ゼニゴケもまた、世代の交代をしているのです。

ゼニゴケなどは、このような増えかたのほかに体がちぎれて、そのまま2つの体になることもあります。

また、体の表面に、お椀のようなものができて、その中に無性芽という、小さな子どもがつくられることもあります。

これが、風に飛ばされて地面に落ち、新しいゼニゴケに育つのです。

キノコの増えかた

シイタケなどのキノコの仲間は、体が菌糸という細胞の糸でできています。

この菌糸がちぎれて、そのまま増えることもあります。

また、キノコのかさの裏側には、たくさんのひだがあります。
このひだの両側には、こん棒のような形をした菌糸がたくさん出ていて、その先に、4個ずつ胞子がついています。

この胞子が地面に落ちると、胞子によって2種類の性質の違った菌糸の子どもができます。

これらの菌糸の子どもが、くっつきあうと、そこから、新しい菌糸ができます。

この菌糸が育つと、後には、またキノコをつくるようになります。



カビの増えかた

コウジカビなどのカビの仲間はキノコと同じように体が菌糸からできています。

コウジカビは、菌糸の先が手のひらのようにわかれて、その先がちぎれ、たくさんの胞子ができます。
この胞子からは、再び、新しい菌糸が育ってくるのです。

コウボ菌の増えかた

コウボ菌は、体が1つの細胞でできています。
この細胞が、ある大きさになると、芽を出します。

芽が大きくなると、もとの体をはなれて、新しいコウボ菌になります。
また、コウボ菌は、胞子をつくって増えることもあります。

藻の増えかた

藻の仲間は、種類によって、増えかたがさまざまです。
つぎに、おもな藻について、増えかたを調べてみましょう。

コンブの増えかた

コンブの体の表面には、ところどころに黒くふくれあがったところができます。

これは遊走子のうというふくろが、たくさん集まったものです。
ふくろの中には、遊走子というものがたくさん入っています。

遊走子は、自分で動くことができるので、ふくろから出ると、岩の上などにつき、芽を出して小さな体になります。

この体には、めすとおすの区別があります。

おすの体には、花の咲く植物の花粉にあたる精子ができ、めすの体には、卵細胞ができます。
そして、この2つがいっしょになると、新しいコンブの体に育つのです。

ワカメも、このコンブと同じような増えかたをしています。

アオミドロの増えかた

アオミドロは池や沼にはえていて緑色の糸のような体をしています。
この体が、ところどころちぎれて、そのまま増えることもあります。

また、2本の糸が平行にくっつきあって細胞と細胞が管でつながり、いっぽうの糸の細胞の中身がほかの糸にうつって、そこに胞子ができることがあります。

このように細胞と細胞のくっつきあうことを接合と言います。
この胞子が外に出て芽をだすと、新しいアオミドロに育つのです。

ミドリムシの増えかた

緑色をした池やみぞの水をすくって顕微鏡でのぞいてみるとミドリムシが見つかります。

ミドリムシは、体が1つの細胞からできていて1本の長い毛(べん毛)をもっています。

このミドリムシは、体が縦に分かれて、2つに増えるのです。
また、ときには、体がまるまって、その中にたくさんのミドリムシの子どもが、できることもあります。

バクテリアの増えかた

バクテリアは、みな、体が1つの細胞でできています。
増えるときは、この体が、2つにわかれて増えます。

このわかれかたは、たいへん短い時間のあいだに起こるのでバクテリアの増えかたは、非常に早いのです。
たいていのものでは、30分に1回の割合でわかれます。

いま、仮に、1時間に1回、2つにわかれるとすると2時間後には4つになり3三時間後には8つになります。

こうして、一昼夜には、なんと1600万以上にもなるのです。

バクテリアには、そのほか、ハショウフウ菌やガスエソ菌などのように、まわりの状態が、住みにくくなると、体の中に1つの胞子をつくり厚い膜をかぶるものがあります。

こうして、まわりの状態がよくなるのを待つのです。

そして、まわりの状態が住みよくなると胞子は芽を出して新しいバクテリアになります。

またバクテリアによっては体の中に、いっぺんにたくさんの胞子をつくるようなものもあります。




接ぎ木・取り木・挿し木とは?根分けと株分けとは?

接ぎ木・取り木・挿し木

イネ・ムギ・マメ・野菜などのように1年で種がたくさんとれるものは種を使って、かんたんに増やすことができます。

ところが、果樹や草花のなかには、種ができなかったり、できても、非常に少ないものがあります。
また、種ができるまでに、長い期間かかるものもあります。

このようなものは、種を増やすことがたいへん難しいのです。
それで、体の一部の枝・茎・根などを使って増やします。

この方法は、親とまったく同じものができるので親にまじりけがあっても、すぐれた特徴をそのまま受け継いでくれます。

とくに、改良した品種はどんどん増やして多くの人たちが栽培できるようにしなければなりません。


接ぎ木

つぎ木は果樹・庭木・バラなどを増やすのにおこないます。
つぎ木は、増やしたい植物の茎や枝をほかの植物につなぎ合わせて1本の植物に育てあげるのです。

ふつう、根になるほうを台木、増やそうと思うほうを接ぎ穂と言います。

接ぎ木をすると、果樹などは早く実がなるようになります。
また病気やが害虫に強いものができたりするので、たいへん便利です。

接ぎ木の場合、台木の性質が、つぎ穂にうつることがあります。
それを利用して大きくなりすぎて困るような植物は小さい性質の台木に接ぎ木して小さい性質のものに育てることができます。

接ぎ木のしかたには、いろいろありますが、なかでもいちばんよく使われるのが、切りつぎです。

このほかに、かんむりつぎ・そぎつぎ・くらつぎ・わりつぎなどの方法があります。

きりつぎやかんむりつぎは、台木がつぎ穂より太いときに使い、そのほかは、台木とつぎ穂が同じくらいの太さのときに使います。

また、芽つぎという方法もあります。
これは、つぎ穂の芽り部分だけを台木につぎ木するのです。

つぎ穂や台木をきるときは、なるべくよく切れるナイフを使わねばなりません。

また、台木とつぎ穂が、なるべく縁の近い仲間でないと、うまくつきません。

たとえば、カキをつぎ木とするときはカキにたいへん近いマメガキを台木に使ったり、またシブガキを台木にしてアマガキをついだりします。

バラをつぎ木するときは、ほかのバラか、バラにたいへん近いハマナスを台木に使います。

つぎ木の時期は、春はやく、植物が芽を出すまえがよいのです。

取り木

つぎ木やさし木では、増やしにくいときには、とり木をします。
まず増やそうと思う木の枝を、そのまま、土の中に埋めて根を出させます。
根がでたら枝を切り離して、1本の木に育てるのです。

とり木は、つぎ木と同じように春はやく、植物のはたらきが、さかんになるまえにするのがよいのです。

とり木は、クワ・ツツジなどの、根のでやすい木についておこないます。



挿し木

挿し木は、増やそうと思う植物の若い枝・茎・葉などを切り取り土にさして根を出させて育てるものです。

これは、根のでやすいブドウ・イチジク・バラなどでおこないます。

葉を挿し木する場合は、とくに葉ざしと言います。
これはキクなどのように、葉から芽がでやすいものに、使われています。

さし木をする時期は、種類によって、いろいろと違います。
ふつう、6月のつゆのころが、いちばんよいとされています。

また、挿し木をするところは、養分が少なくて水はけのよいところで水をよくかけてやるようにします。

根わけと株わけ

根わけと株わけは、根を使って増やす方法です。

根わけ

根だけを切り離し、これを土にさして、根から芽を出させます。

根わけは、サクラ・ボケ・ヤナギ・シヤクヤク・タンポポなどの根から芽を出しやすいものに使います。
これらは、ふつう根ざしと言っています。

株わけ

植物には、体の土の中の部分から芽が出て、それに根がついているようなものやイチゴのように、つるが伸びて、それから根が出ているようなものがあります。

このようなものは、茎と根をいっしょに親のかぶから切り離して、増やすことができます。

これを、株わけと言います。

キク・ガ・ベラ・フロックスなどの草花やイチゴなどは、みな、このように株わけで増やします。

また、球根をわって増やすときも、株わけと言っています。

ユリの仲間や、アマリリスなどの球根は大きくなると、球根をわって増やすのです。




種の散りかたとは? 茎・葉・芽・根で増える植物とは?

種の散りかた

花が落ちて、実が熟し、種ができると種はいろいろな散らばりかたをして仲間を増やします。


風で飛ばされる種

タンポポ・ワタ・トウワタ・ヤナギなどの種には、たくさんの毛がはえています。

また、キリ・マツ・カエデなどの種には、羽根がついています。
そのため、これらの種は、風に飛ばされて散らばります。

また、ランの仲間の種は、1ミリにも足りない小さなものですが、やはり、風に吹かれて散らばります。

水に浮かぶ種

ヤシ・ハマオモトなどの種は、水に浮きやすいので海や川の水に運ばれて散らばります。

実が弾けて飛ばされる種

ホウセンカ・カタバミ・ゴマなどでは実がよく熟したとき、勢いよく弾けて種を飛ばします。

また、地中海地方や北アメリカにあるテッポウウリというウリの仲間は、実が熟して地面に落ちると中の汁がほとばしり出て、種を吹き飛ばします。

動物に運ばれる種

カキ・ビワ・ブドウ・アケビ・クワ・イチゴ・スイカ・トマトなどの実は、よく鳥や獣に食べられます。

いっしょに食べられた種は、消化されないで糞といっしょに外に出されます。
ですから、このような植物が思わぬところに、はえていることがあります。

スミレ・カンアオイ・クサノオウなどの種は、胚珠だったころ子房についていた部分が、まだ、種にのってついています。

アリは、これらの種を、巣に持ち込み、種についている余分なところだけを食べて、種は、巣の外に捨ててしまいます。

このため、そこに、新しい植物がはえるようなこともあります。

ニンジン・ゴボウ・ヌスビトハギ・イノコズチ・オナモミ・メナモミなどの種は、かぎやとげがついていて人や動物の体につき遠くまで運ばれます。

荷物などについて運ばれる種

アリタソウ・ノボロギク・ヒメジョオン・ブタクサなどの帰化植物は外国からきた荷物などに種がついてきてそれが、だんだん増えていったものです。

茎で増えるもの

茎は、丈夫で養分が多く、芽や根を出しやすいものです。
ですから、茎で増える植物は、少なくありません。

オランダイチゴの増えかた(走茎)

オランダイチゴは、種で増えるほか、茎でも増えます。

茎が伸びて地面に触れると、そこから根を出します。やがて、そこから芽を出して増えていきます。

このような茎を走茎(ランナーまたはストロンとも言う)と言います。
ヘビイチゴなども、やはり走茎で増えます。

ジャガイモの増えかた(塊茎)

ジャガイモは、ふつう種ができません。

そのかわり、地下茎の一部が養分をたくわえて丸いいもになり、これから芽を出して増えるのです。

このいもを塊茎と言います。

畑で、ジャガイモを育てるには春、この塊茎を畑に植えて芽を出させるのです。
このほか、サトイモやコンニャクも塊茎で増えます。

タケやハスの増えかた(根茎)

タケやハスなどでは、地下茎が根のように地中をはっています。
そして、ところどころから芽を出し、新しい体をつくります。

このような地下茎を、根茎と言います。シダやショウガなども根茎で増えます。

ユリやニンニクの増えかた(りん茎)

ユリやニンニクなどでは、短い地下茎が養分をたくわえた厚い葉につつまれていて、球になっています。

このような茎を、りん茎と言います。このりん茎は、芽を出して新しい植物になります。

チューリップ・スイセン・グラジオラスなどの球根も、みな、このりん茎で、これを土の中に植えて増やします。

かぶわかれ

イネ・ムギなどのように、根もとのふしから横に芽を出して、そこから新しい茎が伸びて、かぶがどんどん大きくなることがあります。

このような増えかたを、かぶわかれと言います。

シャクヤクやキクなどの草花も、かぶわかれして、かぶがどんどん大きくなります。
これらの草花は、かぶわけをして増やすことができます。



根で増えるもの

根も茎と同じように芽を出したり新しく根を出したりすることがあります。

サツマイモの増えかた(唹呎)

サツマイモやダリアの球根などでは根に養分がたまって、いもになっています。このような根を、塊根と言います。

塊根からは、芽を出して、新しくはえてきます。

根わけ

キクなどでは、根の一部を切り取っておくと、これから芽を出して新しく増えます。

これを利用して、植物を増やすことができます。これを根わけと言います。

タンポポの根なども細かく切っておくと、よく芽を出します。

葉や芽で増えるもの

葉は、茎や根にくらべると、芽や根がでにくいものです。
しかし、キクなどは、さし葉で増やすことがあります。
自然には、このような葉で増える例が、シダの仲間に多く見られます。

また、芽も養分を多くたくわえると自分で根を出して育つことができます。

クモノスシダの増えかた(走葉)

クモノスシダやオリツルシダなどは、葉が伸びて先が地面に触れると、そこから根をだして新しいかぶになります。

このような葉を走葉と言います。

ヤマノイモのむかご(肉芽)

ヤマノイモには、つるのところどころにまるい玉がついています。

これは、わき芽(茎の変形)が養分をたくわえて大きくなったもので肉芽と言います。

これが地に落ちると、芽を出して新しく増えるのです。

オニユリのむかご(りん芽)

オニユリにも、むかごと言われるものができます。

これは、わき芽(葉の変形)に養分がたまったもので、りん芽(珠芽)と言われます。

これが地面に落ちると、やはり、芽を出して増えていきます。




花の咲く植物の増えかたとは? 他花受粉・自花受粉とは?

花の咲く植物の増えかた

花の咲く植物は、茎や根で増えることもありますが、ふつうは花が咲き、種をつくって増えます。

種には、ウメやモモなどのように1つの花から1つしかできないものもあります。

しかし、たいていの植物は、たくさんの種ができます。
ですから1本の植物全体では、たいへん多くの種ができることになります。


種のできかた

まえにも説明したように、めしべの子房の中には種のもと(胚珠)があります。

このほかに、花粉の中にも、種のもとがあるのです。
この2つがいっしょになると種ができます。

このように、めしべにある種のもとと花粉にある種のもととがいっしょになることを受精と言います。

被子植物も裸子植物も、このようにして種ができます。
しかし、受精のしくみは、被子植物と裸子植物では、少し違っています。

被子植物の受精

被子植物の花には、めしべとおしべがあって、めしべの根もとには脂肪があります。
おしべには花粉ぶくろがあって、その中に花粉ができます。

花粉が、昆虫や風に運ばれて、めしべの先につくと花粉から花粉管という管がめしべの中へ入っていきます。

この花粉管の中にあった種のもと(精核)は、2つにわかれます。

花粉管が伸びて、胚珠の中に達すると花粉管の中の種のもとの1つは胚珠の中の種のもと(卵細胞)といっしょになり、また、もう1つの花粉管の中の種のもとは胚珠の中の胚乳のもと(中心核)といっしょになります。

これを重複受精と言います。

このような受精が終わると、胚珠の中の種のもとは育って種になり、子房やそのほかの花の部分は実になります。

裸子植物の受精

裸子植物では、どのようにして受精が起こり種ができるか、マツとイチョウについて説明してみましょう。

マツでは、め花とお花が別々に咲きます。
め花は、めしべがなく、たくさんのうろこのようなものにおおわれています。

このうろこの裏側に、胚珠が2つあり、中に種のもとが入っています。
胚珠は、被子植物と違って、子房がなく、裸でむきだしになっています。

お花は、たくさんのふくろが、ふさのように集まっていて、このふくろの中に、花粉が入っています。

花粉が胚珠につくと、被子植物と同じように花粉から花粉管が出て花粉の中の種のもとと、胚珠の中の種のもとがいっしょになります。

けれども、このように受精がおこなわれるには1年ちかくの時間がかかるのです。

イチョウでは、めすの木とおすの木があって、め花とお花が別々に咲きます。

め花は、短い柄があって、その先に2つの小さな球がついています。
これが胚珠で、中に種のもとが入っています。

お花は、小さなふくろが集まって、ふさのような形をしていて、このふくろの中に花粉が入っています。

花粉がめ花の胚珠につくと、やはり花粉管が出て胚珠の中まで伸びていきます。

けれども、このときイチョウでは、花粉の中の種のもとが、いちど特別な姿(精子)にかわってから胚珠の中の種のもとと、いっしょになります。



花粉の運ばれかた

花粉は植物の種類によって、いろいろな方法で運ばれ、めしべにつきます。

花粉が、風にふかれて運ばれるものを風ばい花、昆虫の体について運ばれるものを虫ばい花、水に流されて運ばれるものを水ばい花と言います。

また、鳥に運ばれるものを鳥ばい花と言います。
それには、つぎのようなものがあります。

  1. 風ぱい花……マツ・スギ・ハンノキ・ブナ・カシ・コナラ
  2. 虫ばい花……カボチヤ・ユリ・レンゲソウ・アブラナ・バラ
  3. 水ばい花……セキショウモ・キンギョモ・クロモ・ミズハコベ
  4. 鳥ばい花……ツバキ・ビワ

また、このようにして花粉がめしべにつくことを受粉と言います。

果樹などでは人が、筆の穂先などに花粉をつけて、めしべにつけてやることがあります。
このように、人の手によって受粉させることを、人工受粉と言います。

また、この人工受粉で受精して種ができることを、人工受精と言います。

他花受粉・自花受粉

めしべにつく花粉は、たいてい同じ仲間の、ほかの花のものです。
このような受粉のしかたを他花受粉(他家受粉)と言います。

けれども、なかには同じ花の花粉がめしべにつくことがあります。
これを自花受粉(自家受粉)と言います。

イネ・ムギ・アサガオ・エソドウ・ソラマメなどは、ふつう自花受粉します。

いっぱんに自花受粉する植物の種類は少なく多くのものは他花受粉します。

他花受粉する植物には、めしべに同じ花の花粉がつくのをふせぐために、花のつくりや咲きかたが、特別のしくみになっているものがあります。

タンポポ・キキョウなどの花は、おしべとめしべの成熟する時期が違うことによって自花受粉を避けています。

アヤメやオオカニツリなどは、花が特別なつくりになっていて、めしべに、その花の花粉がつくことはありません。

サクラソウやカタバミなどは、めしべよりおしべが長い花と、おしべよりもめしべが長い花とがあり同じ形の花の花粉がついても受精しません。

ほかに、ナシやサクラソボなどは、めしべに同じ品種の花粉がついても、花粉管が伸びないので、受精できません。

こういう現象を自家不和合性と言います。




昆虫の育ちかたとは?完全変態とは? わかりやすく解説!

昆虫の育ちかた

昆虫では、ほかの動物と違って、チョウやガのように、さなぎの時期があるものもいますしバッタのように親にたいへんよく似た子虫が、たまごからかえるものもいます。

それで、昆虫の変態は完全変態と不完全変態とに大きくわけられます。


完全変態

カラタチやミカンの木にはよくアゲハチョウがたまごを生みにきます。
葉の裏に生みつけられたアゲハチョウの黄色いたまごからは1週間も経つと小さな虫がかえります。

この虫は、カラタチやミカンの葉を食べながら何回も脱皮をして、ついには大きな緑色のいも虫となります。

いも虫は、やがて木の枝やへいの上で細い糸で体を支え、もういちど脱皮をして奇妙な形のさなぎになります。

さなぎのあいだは、食物もとらず、じっとしていますが体の中では、大きな変化が起こりチョウの体をつくりあげているのです。

たまごが生みつけられてから、1か月めぐらいで、さなぎから美しいチョウ(親)が出てきます。

チョウになると、もう変態はしません。

私たちが、うじ・いも虫・毛虫と呼んでいる昆虫の子どものことを幼虫、チョウ・ガ・ハチなどのような親虫を成虫と言いますが、たまごから成虫になるまでに、アゲハチョウのように、たまご→幼虫→さなぎ→成虫という変態のしかたをするものを完全変態と言います。

完全変態をする昆虫はチョウ・ガ・ハチのほかに甲虫・ウスバカゲロウなどがあります。

不完全変態

バッタ・カメムシ・セミなどでは完全変態の昆虫と違って、たまごからでたばかりの子虫は、羽根がないことと形がたいへん小さいことをのぞけば親虫とよく似ています。

たとえば、たまごからかえったばかりのカマキリの子どもでも、みなさんは、ひと目でカマキリとわかるでしょう。

これらの昆虫の子虫は、何回も脱皮をして成長し体の中で羽根ができあがると、最後の脱皮をして親になります。

このように、さなぎの時代を通らないで子虫からすぐ親虫になる変態を不完全変態と言います。

また、トンボは気管という細い管で呼吸していますが子虫のヤゴはえらで呼吸しています。

しかし、トンボにもさなぎの時代がありませんからバッタやセミと同じ変態をするわけです。

これらの不完全変態をする昆虫の子虫のことを、とくに若虫と呼んで、完全変態の昆虫の幼虫と区別することがあります。

変態をしない昆虫

シミ・トビムシなどのような、羽根のない下等な昆虫では、たまごからかえったばかりの子虫でも親と同じような体つきをしています。

これらの子虫は変態せずに体がどんどん大きくなるだけで親になるのです。
これらの虫の育ちかたを、無変態と言います。



脱皮・よう化・羽化

幼虫が成長していくときに皮をぬぐことを、脱皮と言います。
また、幼虫からさなぎになることをよう化、さなぎから成虫になることを羽化と言います。

これらの昆虫の不思議な変態は昆虫の頭と胸にある内分泌腺というところからでるホルモンのはたらきによって引き起こされます。

昆虫のたまごや幼虫の保護

昆虫の仲間にも鳥と同じように、たまごや幼虫を保護するものがいます。

たとえば、沼や池に住んでいるコオイムシのめすは、おすの背中にたまごを生みつけます。

おすは、たまごがかえるまで、ずっとたまごを背負っていて魚などに、たまごを食べられないようにしています。

また、台所などを荒らしまわるゴキブリのめすは腹の先にがまぐちのようなふくろをもっていて、このふくろにたまごを入れてまもっています。

庭石や植木鉢の下などに住むハサミムシも生んだたまごを腹の下に隠しています。

さらに、モンキツノガメというカメムシの一種は、たまごやたまごからかえった幼虫を、腹の下に抱いてまもっています。




エビ・カニの育ちかたとは? ウニの育ちかたとは?

エビ・カニの育ちかた

エビ・カニの仲間も、たまごからかえって親になるまでに変態をします。


エビの変態

昆虫の子虫を幼虫などと言うようにエビ・カニなどの子どもは幼生とよばれています。

たまごからかえったばかりのエビの子どもはノープリウス幼生とよばれます。体には、1つの目と6本の足がついています。

この幼生が何回か脱皮すると、ゾエアとよばれる幼生になります。
ゾエアは、一対の複眼をもっています。

ゾエアはなおも成長を続けて脱皮をすると、ミシス幼生となります。
このミシス幼生を最後に子どもの時代は終わって、幼いエビになります。

エビの種類によっては、この変態のしかたが違うものもあります。

カニの変態

カニの変態は、エビとは少し違っています。

カニは、ノープリウスの時代はたまごの中で過ごしゾエアになると、たまごの殻を出て、海水の中を泳ぎまわります。

おもしろいことに、カニのゾエアでもエビのゾエアと同じように長い腹をもっています。

親になったエビとカニとでは、ずいぶん形が違いますが子どもどうしをくらべてみると、兄弟のようによく似ています。
このことから、エビとカニが、ごく近い仲間であることがわかります。

ゾエアのつぎの時代はメガロパで、この時代になると胸の足も一通りできあがり、カニの形とかなりよく似てきます。

谷川に住むサワガニの子どもは、メガロパの時期になっても、まだ母親の腹に抱かれています。

メガロパが脱皮すると幼いカニになり、いままでの泳ぎまわる生活から海底をはう生活にかわり成長を続けていきます。

このような、エビやカニの幼生が成長するにつれて見られる、いろいろな変態のありさまは、かんたんなしくみのものから複雑なしくみをもつものへとうつりかわつています。

これは、これらの動物が長い地質時代を通して進化してきた道筋を発生のごく短い期間のあいだに繰り返していると考えられます。

つまり、こうした発生の様子から、おぼろげながら、これらの動物が進化してきた道筋を、たどっていくことができるのです。

ウニの育ちかた

ウニは、夏や冬のころ、まわりに透き通ったゼリーをかぶった小さなたまごを、たくさん海水中に生みだします。

このたまごが受精すると、すぐまわりに膜がつくられ中のたまごは2つ、4つ、8つ、16、32というようにわかれはじめます。

そして、そのうちに、ごく小さなゴムまりに似た中空の球になり短い毛がはえて、くるくるまわりだします。
このころには、まわりの膜は消えてなくなってしまいます。

さらに、こんどは少し細長くなってから、いっぽうの壁が内側に落ち込み、骨片もできてきます。

そしてなおも成長を続け、体がピラミッド型になると口や胃や腸がはっきりしてきます。

この時期をプルテウス幼生と言います。
この幼生はさらに変態して、幼いウニになるのです。




魚の育ちかたとは? 魚の変態とは? わかりやすく解説!

たまごや子魚を保護する魚

たいていの魚は、たまごを生むとあとの世話をしません。
たまごからかえった魚は、ひとりでえさをとって大きくなります。

しかし、なかには、生んだたまごを大切にまもる魚もいます。


磯にいるシマハゼは、めすが海底のカキの殻の中に入ってたまごを生みつけると、おすはその中にあとまでとどまり、たまごがかえるまで番をします。

トゲウオも同じように、おすがたまごをまもります。

淡水に住むタナゴは、めすが長い産卵管で生きているカラスガイの水管の中にたまごを生みおとします。

こうしておけば、他の魚にたまごを食べられてしまう心配がないのです。

ナマズの仲間には、口の中にたまごや子魚を入れて育てるものがいます。

テンジクダイやネンブツダイも口の中にたくさんのたまごをふくんで育てます。
このような親たちは、たまごがかえるまで、えさをとりません。

タツノオトシゴは、おすは腹のところに子を育てるための育児のうというふくろをもっています。
めすは、おすの育児のうの中にたまごを生みます。

育児のうの中に生みつけられたたまごは、その中で保護されながら発育し、かえった子どもは、ちょうどそこから生まれたように育児のうから1匹ずつ水中に泳ぎ出していきます。

子魚の成長

魚はたいへん成長が早くメダカなどでは、たまごからかえってから数か月で親になります。

ハゼをはじめ、小形の魚はたいてい1年で親になりますがサケ・マス・ブリ・マグロなどのように大きな魚は3、4年かかって、やっと親になります。

たまごからかえったばかりの子魚は腹に大きな卵黄をかかえていますが、卵黄は子魚の養分としてついやされるので、だんだんなくなっていきます。

卵黄がまだからだについているうちは、ほかのえさをとりませんが成長を続けて卵黄がなくなると、いろいろなプランクトンを食べはじめます。

体が大きくなるにつれて、ひれのすじがはっきりしてきて体の表面にはうろこもできてきます。

こうしてどんどん成長を続け、ついには親になります。



魚の変態

アユ・メダカ、そのほかの多くの魚は、かえってまもない子魚でも親と同じような体つきをしているので、成長していくあいだに体つきはあまりかわりません。

ところが、ウナギやヒラメ・カレイ・マンボウなどは、その子どもは親とは似ても似つかぬ形をしていて成長していくあいだ、ある時期になると急に形がかわります。

昆虫が幼虫から成虫になるときに変態するように魚にも変態をするものがいるわけです。

ウナギの変態

ウナギは、深海でたまごを生むと言われています。
海でかえった子魚はレプトセファルスと言われ木の葉のようにうすくて、透き通った体をしています。

これが海を泳いで成長しながら陸地に近づいていき6センチぐらいになるとシラスウナギと言われ、川口に姿をあらわします。

そして、川を遡っていくうちに黒っぽくなりヘビのような形にかわっていきます。

マンボウの変態

マンボウやクサビフグも変態します。

この魚の親たちには、尾びれがありませんが子魚には体は小さくてもちゃんとした尾びれがついています。
そして、しばらくすると体から角のようなものが飛出し金平糖のような形になります。

やがて、この角も消えてなくなり、あの奇妙なマンボウの形になるのです。

ヒラメ・カレイの変態

ヒラメやカレイもその子どもは、ふつうの魚のように体の左右に、目が1つずつついています。

しかし、親になると、海底の泥や砂の上で横倒しになった暮らしかたをするので下側になる目が成長するにしたがって頭の頂きをまわって上側にうつってきます。

このほか、魚では、アンコウも変態することが知られています。




カエルの育ちかたとは? カエルの変態とは? オタマジャクシとは?

オタマジャクシ

たまごからかえったばかりのオタマジャクシは、まだ泳ぐことができません。

しばらくのあいだは、口の近くにある吸着器で卵槐のまわりの寒天質や、水草などについています。


口もまだできあがっていないので体の中に残っている卵黄を養分として大きくなります。

やがて、えらができて尾が伸びてくると泳ぎだします。
このころになると口もようやくできあがって小さな植物を好んで食べるようになります。

オタマジャクシは、大きくなるにつれ、えらの前側の皮膚が伸びて、えらぶたになります。

そして、ついにはえらをおおってしまうので外からはえらが見えなくなります。

このとき、体の左側の一部に小さな穴が残され、そのふちがもり上がって短い管になります。

この穴は出水孔と言われ、口から入った水が、えらの隙間を通り、この穴から外に抜けでるのです。

こうして、オタマジャクシは魚のようにえらで呼吸をし、えさをとりながら成長していきます。



カエルの変態

カエルは、子どものときはオタマジャクシと言われているように親と子とでは全く体のつくりが違います。

動物が成長するときに、このように体がかわっていくことを変態と言います。

オタマジャクシが大きくなるとカエルになるための準備をはじめます。

まず、尾のつけねの両側に、いぼのようなふくらみができます。
これが伸びてくるとうしろ足となり、ひざやすねや指も、はっきり見分けがつくようになります。

前足は、うしろ足ができあがって、しばらくしてからあらわれます。
実際には前足はうしろ足と同じころからできているのですが、えらぶたの内側にでるまで、外からは見えないのです。

やがて、前足のいっぽうは出水孔から、もういっぽうの前足はえらぶたに穴があいて、そこから出てきます。

前足がでそろうと、変態は急に早くなってきます。尾はだんだん短くなり、やがてなくなります。

また、えらもなくなり、かわって肺ができてきます。

口も、歯がなくなって、虫を捕えるのに都合がよいような形になります。
体全体もカエルらしくなり水中からはいあがって陸上生活に移っていきます。

ふつうのカエルの場合、たまごからかえったオタマジャクシは、その年のうちに変態しますが、ウシガエルのオタマジャクシだけは冬を越して、体が7.5センチもある、大きなオタマジャクシになります。

親ガエルになるのは変態してから5、6年かかると思われますが、まだ、そこまで観察した人はいません。

このようなカエルの変態は甲状腺と言うところから出るホルモンのはたらきによることが実験でわかっています。




鳥の育ちかたとは?雛のふ化とは? わかりやすく解説!

鳥の育ちかた

鳥のたまごの中には、はいばんというものがあります。

巣の中で、親鳥の体温によってたまごがあたためられるとはいばんは卵黄(黄身)を栄養分としてだんだん発生が進みひなになります。

しかし、鳥のたまごにも、親鳥があたためないでヘビやトカゲのたまごのように土の中であたためられるものがあります。

南洋にいるツカツクリという鳥は、砂と草を集めて小さな山をつくり、その上のほうにたまごを生みます。

たまごは、太陽熱と草が腐るときにでる熱とであたためられ、ひなになります。


ひなのふ化

たまごからひなになることをふ化と言います。

鳥のひなは、たまごの中にいるときから鳴き出して自分のくちばしで中から殻を破って生まれてきます。

親鳥も、くちばしで殻を破るのを手伝ってやります。

かえったばかりのひなは羽根がはえそろわず外の空気に冷えやすいので親鳥は、まだしばらくのあいだ、あたためてやらなければなりません。

ひなの食物

鳥は、獣と違い、乳を飲ませてひなを育てるわけにはいきません。
ですから、親鳥は、せっせとえさを運んでやらなければなりません。

いつも、穀物や木の実を食べている鳥でも、ひなには栄養分が多く消化のいい昆虫の幼虫などをあたえます。

ハ卜は、自分の食べた果実や種などを飲み込んで消化してからまるで、乳のような液にしてひなに与えます。

こうして、巣の中で充分発育して飛べるようになると、ひなは独り立ちするようになります。

しかし、チドリのひなは、たまごからかえってから数時間経つといっせいに巣をはなれて、母鳥とつれだって、えさを探しに歩きまわります。

キジのひなは、かえるとすぐ歩きだして自分でえさを探しまわるので、ちっとも母鳥の世話になりません。

カッコウやホトトギスのひな

カッコウ・ホトトギス・ジュクイチなどは自分で巣をつくらないで、ほかの小鳥の巣にたまごを生んで、あとは知らん顔です。

かり親の小鳥は、自分の留守のあいだに生みおとされた、このたまごに気づかないで、自分のたまごといっしょにあたためます。

カッコウなどのたまごは、いつも決まって小鳥のたまごより先にかえり、そのひなは巣の中の小鳥のたまごを、みな巣の外へ放り出してしまいます。

小鳥は、このカッコウのひなを、自分の子と思って育てるのです。




獣の育ちかたとは? 胎児の発育・子の乳離れとは?

動物の育ちかた

親の体から生まれたり、たまごからかえった動物は育つにつれて、だんだん体が大きくなり、体重も増していきます。

そればかりでなく、歯がはえたり、羽根がはえたりして生まれたばかりのときにはなかったものがだんだんとできて親と同じような体になります。

カエルや昆虫のように、動物によっては親になるまでに体の形だけでなく暮らしかたや食物までが全く違ってしまうものもあります。


胎児の発育

獣は、たいてい胎生で増えます。

母親の体内に入っているころの子どもを胎児と言いますが、それも、はじめのころはごく小さな卵子だったのです。

それが少しずつ大きくなると魚の子のような形になります。
このころをはいと言い人間のも、ウシのも、ブタのもみな同じような形をしていて区別ができません。

そして、目となる部分の下にはひだがあります。
これはえらになるもとですが、やがて消えてなくなります。

このはいが、母親の体から栄養を受けながら、もっと大きくなると目や耳や口、それから手足や内臓などができあがります。

このように卵子から、だんだんに動物の体ができあがっていくことを発生と言います。
胎児は、やがて母体の外に生みだされます。

獣の子ども

獣の子は、生まれたときは死んだように呼吸もしませんし体も動かしません。
しかし、まもなく呼吸をはじめ、生き返ったように体を動かしはじめます。

それでも、生まれたばかりの子はたいてい、まだ目も開かず、歩くこともできません。

それに体にはまだ毛もはえそろわず外の空気に触れると急に体が冷えるので子はすぐに母親の体の下に、もぐりこもうとします。

そしてまもなく、母親の乳房を探りあて、乳を飲みはじめます。



カンガルーの子ども

カンガルーは、ほかの獣と違って胎児が母体の中で充分発育しないうちに生みだされます。

ですから、親は体長が約150センチもありますが生まれた子は、たった2センチという小さなものです。

しかしカンガルーの母親の腹には子を育てるためのふくろがあり生まれた子は前足の鋭いつめを使い、自分でこのふくろの中に入ります。

そして、そこで乳を飲みながら、およそ半年のあいだ安全に育てられます。

子の乳離れ

子の口に、やがて歯がはえぞろい食物を食べることができるようになると母親は子に乳をやらなくなります。

そして、母親は子に、えさの取り方や食べてよいもの悪いものについて教え子が自分で食物を食べられるようにします。

アシカなどのように、泳ぐ動物では、母親は泳ぎかたを教えます。
アシカの子は生まれて1週間もすると、もう、上手に泳げるようになります。

子どもの体

獣の子は、ふつう、毛の色などが親とだいぶ違っています。
たとえば、イノシシの子は白い縦じまがありますが、親にはありません。

キツネの子は、黒っぽい灰色をしています。
シカの角は毎年はえかわりますが年が経つほど長くて枝の数の多いつのがはえます。

このように子どものころは親と違った毛なみや角をもっていても成長するにつれて、だんだん親と同じようになっていきます。




下等動物の増え方とは? 分裂法・出芽法・世代の交代とは?

分裂法

体が1つの細胞からできている原生動物では、よく1匹の体がふたつにわかれて、2匹になることがあります。

この増えかたを分裂法と言います。

ゾウリムシでは、体が横にくびれて2匹になりまた、その各々が2ひきにわかれる、というふうに増えていくので、しばらくすると、たいへんな数になってしまいます。

また、トリパノゾーマという原生動物はバナナのような形をしていますが、この動物は体が縦に裂けて2匹になります。


出芽法

動物のなかには、植物のように体から芽を出して増えるものがあります。
このような増えかたを、出芽法と呼んでいます。

池の底の落ち葉やくち木などを見ると小さなヒドラという植物が、くっついていることがあります。
ヒドラは体の先に、ふつう6、7本の細長い触手をヤナギの枝のようにたらしている動物です。

このヒドラは体の一部から、ちょうど木の芽のようなふくらみを出し、やがてこれが成長すると触手ができ、はなれて別の体になります。

海には出芽法で増える動物がたくさんいます。

サンゴチュウはその代表的なもので小さいイソギンチャクのようなものが、つぎつぎと芽を出して増えしかも、親の体からはなれないで、体の中が互いにつながっています。

このように、たくさんの体がつながって生活しているものを群体と呼んでいます。

海の岩や船の底などについているコケムシやホヤなども出芽法で増えます。

淡水に住むコケムシも群体をつくりますが、これらにはキチン質の殻で包まれた特別の芽がつくられることがあります。

この芽はスタトブラストとよばれ乾かしても低い温度にさらしても生きていて水にもどし適当な温度にしておくと、体が開いて芽ができます。

池や沼は、海と違って、夏の日でりで干上がったり冬の寒さのために群体が死んでしまうことがありますが、この特別の芽で、自然の激しい変化にたえていくことができるのです。

再生

カニの足やトカゲの尾を切るとやがて、なくなった部分が再びはえてきて、もと通りになってしまいます。

このように、なくなったものが再びできることを再生と言います。
この再生が、動物によっては1つの増えかたとなることがあります。

ヒトデなどは腕を切ってばらばらにし、海にもどしておくと1つ1つの腕がもと通りに再生して、たくさんのヒトデになることがあります。

また、小川の石の下などに住むプラナリアという長さ2センチほどの動物は、体をかみそりの刃で横にいくつかに切りはなすと1週間もするうちにそれぞれが1匹のプラナリアになってしまいます。



世代の交代

同じ動物が一生のあいだに、ある時期は有性生殖、他の時期は無性生殖で増えるというように違った増えかたを繰り返すことを世代の交代と呼んでいます。

ふつうの有性生殖と単為生殖を繰り返すことも世代の交代の1つとしてふくめられています。

ミズクラゲの世代の交代

ミズクラゲはクラゲ形をした親に卵子や精子ができ、これらが水中に出されると受精して小さなプラヌラという幼生になります。

プラヌラは有性生殖によって生まれたわけです。

このプラヌラは、やがて岩にくっついてヒドラのような形のものにかわります。これをスキフラと言います。

スキフラは、やがていくつにも体がくびれて上のほうから1つ1つはなれて泳ぎだします。
これはクラゲを小さくしたような形で、エフィラと言います。

スキフラからエフィラになるのは、無性生殖です。
エフィラはそのまま成長して、親クラゲになっていきます。

ゴカイの世代の交代

ゴカイの仲間は海岸の砂の中に巣をつくって、その中で生活しています。

このゴカイのある種類では時期がくると体のうしろ半分が切れて、いっせいに泳ぎだします。
そして、それぞれの部分が、なくなった部分を再生して、もと通りになるので、1匹から2匹に増えたことになります。

それで、これは無性生殖の1つと考えることができます。

おもしろいことに、このようなことが早く起きると2匹のゴカイがつながったような形になってしまいます。

泳ぎ出したほうの体は、めすならば卵子を、おすならば精子を出したあと、死んでしまいます。
しかし、受精したたまごは成長して立派にゴカイになります。

これは、ふつうの有性生殖です。

このように、ゴカイの場合は少しかわっていますが、やはり、世代の交代と考えることができます。

動物の増える割合

ゾウリムシのように、1匹が2匹になり、2匹が4匹、4匹が8匹という割合で増えたとしたら、ゾウリムシを飼っているいれものは、たちまち、ゾウリムシでいっぱいになってしまいます。

しかし、実際の自然界では、あらゆる動物はそうどんどん増えていきません。

魚なども、あれほどたくさんのたまごを生んでも、そのうち、ごくわずかしか親になることができません。

大きくなるまでに、ほかの大きな動物に食べられたり、たまごがみな育つほどのえさもないのです。
そのうえ病気になったり台風や洪水など、いろいろな災害にもみまわれます。

こんなわけで、動物は決して理屈通りには増えません。

鳥や獣では、親が于どもの小さいときには、えさをやったり、乳を飲ませたり、また敵からまもってやるので少ししか子を生まなくても、それらが、わりあいによく育ちます。

しかし、魚や昆虫のように、子の面倒を見ないものは、たくさんのたまごを生んでおかないと子が全滅してしまう恐れがあるわけです。

このように、自然界では、お互いにたいへんよく、つりあいがとれるようになっています。




たまごで増える動物の特徴とは?鳥・魚・昆虫の増え方とは?

鳥の増えかた

鳥がたまごで増えることは、ニワトリなどでよく知られることです。
しかし、めすの鳥だけを飼っているときに生んだたまごでは増えません。

めす鳥に、ひなをかえすためのたまごを生ませるときは、おすとかけ合わせなければなりません。

めすの体の中には、卵子というものがあります。
めすとおすをかけ合わせると、この卵子におすの体からでる精子がむすびつきます。

卵子と精子がむすびつくことを受精と言います。
受精した卵子が大きくなって、たまごとなるのです。こうしてできたたまごを、受精卵と言います。

受精卵に対して、めすだけで生んだたまごは受精がおこなわれていないので、無精卵と言います。

受精卵には、ふつう、たまごの目とよんでいる、はいばんというところがあります。

このはいばんは、やがてひなになるところですが無精卵にははいばんがありません。
そのため、無精卵はひなになることはできません。

鳥のように、たまごを生んで子を増やすものを、卵生と言います。


ヘビ・トカゲなどの増えかた

ヘビ・トカゲ・ワニ・カメなどの仲間も、ほとんどが卵生です。

これらのたまごは、鳥のたまごに似ているものが多いのですが鳥と違って、この親たちは、たまごを抱いてあたためることをしません。

たまごは、たいてい土の中や石の下、草の根もとなどに生みっぱなしにされていて太陽の熱であたためられるだけです。

カエルの増えかた

カエルの仲間もたまごで増えますが鳥やヘビ・トカゲなどのたまごと違って、ふつうは水中にたまごを生みだします。

しかし、モリアオガエルは水辺の木の上、シュレーゲルアオガエルは土の中にたまごを生みます。

春に、池や田の中で、ぬるぬるした寒天のようなかたまりがあり、その中には黒い小さな粒がたくさんあります。

その粒の1つ1つが、みな、たまごなのです。

このように、たくさんのたまごがひとかたまりになっているものを卵塊と言います。

しかし、そんな大きな卵塊が1匹のめすがガエルの体から、そのまま出てくるわけではありません。

ひものように細長い卵塊がカエルの体から出たあとで水を吸ってふやけ、あんなに大きなかたまりになるのです。

魚の増えかた

魚も、ふつうはたまごで増えます。
魚のたまごには海面に浮いているもの底に沈んで砂や泥の上に転がっているもの、水中を漂っているものなどがあります。

また、1つ1つばらばらになっているもの、たくさんのたまごがかたまりになっているものなどがあります。

魚のたまごは、たいてい硬い膜で包まれていて砂や小石にはさまれてもなかなか潰れないようになっています。

サメなどでは、たまごが卵のうという硬いふくろに包まれているものがあります。

この卵のうには両はしに細長いひもかついていて海藻にまきつくようになっています。

貝の仲間の増えかた

貝の仲間の多くは、たまごで増えます。

海水浴にいったとき途中の店でホオズキを売っているのを見かけたことがあるでしょう。

このホオズキは、実は海に住む巻貝たちのたまごのさや(卵の5)でホオズキの中には貝のたまごが入っています。
ナギナタホオズキはアカエシのウミホオズキはテングニシの卵のうです。

カタツムリは巻貝の仲間ですが鳥のたまごのような石灰質のからをもった、たまごを生みます。

またモノアラガイは、小川や池の中に住んでいますが、その貝の体などに寒天のような透き通った細長いものがついていることがあります。

これをよく観察しますと、その中に小さな粒が見えます。
これがモノアラガイのたまごです。



昆虫の増えかた

春や夏には畑の野菜や野原の草や木の葉の裏にチョウやガのたまごを見かけることがあります。

これからわかるように、昆虫も、やはり卵生ですが、なかにはいろいろおもしろい増えかたをするものがいます。

アブラムシはアリマキとも言い木の枝などにアリといっしょに生活しています。

このアブラムシは春にたまごからかえったものは、みなめすばかりです。
しかも、このめすには羽根がありません。

そして、このめすは、おすがいなくても卵胎生で子ができます。
つまり、このたまごは無精卵ですが、ニワトリなどの無精卵と違って、このたまごからは子がかえります。

おもしろいことに、このたまごからでたものは、みなめすばかりです。

こうしたことを何度も繰り返して秋になると、はじめて羽根のあるめすとおすがそろって生まれ、これらの受精によってできたたまごが冬を越すのです。

このように、アブラムシのたまごは春から夏にかけては無精卵でありながら、親になることができます。
無精卵から子ができることを、単為生殖と言います。

アリやハチでも単為生殖をします。
ミツバチでは、単為生殖によっておすバチが生まれてきます。

卵生の獣

獣たちは、ふつう子を生んで増えますが、中にはたまごを生む獣もいます。

カモノハシは、オーストラリアなどに住む獣で平たいくちばしを持ち、足には水かきがあって上手に泳ぎます。

そして、たまごを生みますが鳥などと違って子を育てるときは、ほかの獣と同じように乳を出します。

ものでありながら卵生ですが、この2つをのぞけば獣はすべて胎生です。




動物の増えかたとは?胎生・卵胎生とは? わかりやすく解説!

動物の増えかた

防火用水の中に、いつのまにかボウフラが泳いでいたり何も住んでいなかった池にフナがいるようになったり花瓶の中の古い水にたくさんのゾウリムシがいたりすることがあります。


こんなことがあると、むかしの人はよく、虫がわいたとか魚がわいたとか言いました。
しかし、動物が天から降ってきたり、ひとりでにわいたりすることは決してありません。

ボウフラは、カが来てたまごを生み、それがかえったものですしフナは、洪水のときにでも流れついて、増えたのでしょう。

また、ゾウリムシなどは、水が乾くと植物の胞子のように風に飛ばされて空気中に漂っているので、それが水に落ちれば再び増えてきます。

このように、すべての動物は必ず親から生まれるのですが、その増えかたは動物によってさまざまです。

胎生

ふつうの獣たちは、子を生んで増えます。この増えかたを胎生と言います。

ウシやウマは、ふつう、いちどに1匹しか子を生みませんがイヌやブタは、いちどに数匹も子を生みます。



卵胎生

獣のほかにも、子を生んで増える動物はたくさんいます。

鳥には子を生むものはありませんがヘビの仲間にはマムシ・コモチカナヘビ・ミズヘビなどのように子を生むものがいます。

しかし、これらは獣の胎生とはいろいろなてんで違っており卵胎生と言われています。

卵胎生では、たまごが母親の腹の中でかえって子になってから生み出されます。

胎生では、母親の体内にいるあいだ子は親から栄養分をもらっていますが、卵胎生ではたまごの中の卵黄(黄身)を養分として育つのです。

魚のなかにも、卵胎生のものがあります。

アオザメ・シュモクザメ・デンキエイなどはその例です。
また、熱帯魚のグッピー・ソードテールなども卵胎生です。

ウミタナゴも、卵胎生の魚として有名ですが、たまごが母親の体内でかえってからも、さらに母親から養分をもらい充分に大きくなってから生みだされます。

それで、ウミタナゴの卵胎生は、獣の胎生によく似ているわけです。
貝の仲間では、タニシが卵胎生です。

タニシを水槽の中に飼っておくと貝殻の内側からたくさんのタニシが生まれてくるのがわかります。

昆虫では、家の中などにも飛んでくるニクバエが卵胎生です。

しかし、昆虫は変態して大きくなりますからニクバエでは小さなハエを生むのではなくハエの幼虫であるうじを生みます。




無性生殖と有性生殖の特徴とは?減数分裂のしくみとは?

増えかたのいろいろ

単細胞生物やつくりのかんたんな多細胞生物では体のどの部分も増えるはたらきをします。

また、複雑な多細胞生物では増えるはたらきをする部分が決まっていて、これを生殖器官と言います。

生物の増えかたは、無性生殖と有性生殖とにわけられます。


無性生殖

体の一部がわかれて、新しい体となる増えかたです。

単細胞生物やかんたんな多細胞生物に見られ分裂法・出芽法・胞子法などがあり、複雑な多細胞生物の栄養生殖も無性生殖の1つです。

分裂法

バクテリア・らんそう類・原生動物などに見られる体がわかれて増える増えかたです。

わかれた2つが同じ大きさになるものと違う大きさになるものとがあります。
また1つの体が2つにわかれるので、二分法とも言います。

なかには、原生動物のホウサンチュウ・ユウコウチュウの仲間やマラリヤ原虫などのように1つの体がいくつもにわかれることもあります。

これは多分法と呼ばれます。

出芽法

体に芽ができて増える増えかたでコウボ菌・ヒトデ・ヒドラなどに見られます。

クダクラゲやサンゴチュウなどでは出芽した芽がいつまでも母体をはなれないで、群体になっています。

胞子法

シダ類・コケ類・キノコやカビなどがおこなう胞子による増えかたです。
胞子は、ふつう1つの細胞からなり、自分で動くことはできません。

特別な例として、胞子がべん毛やせん毛をもっていて自分で運動できることがあります。
このような胞子を遊走子と言います。

遊走子は水中を泳ぎ、ものにつくとべん毛やせん毛を失って細胞分裂をして新しい体になります。

遊走子をつくって増えるものにはアオサ・コンブ・ミズカビなどがあります。

栄養生殖

体の一部が切れて、新しい体になる増えかたです。分裂法と違い、ふつう多細胞生物に見られます。

サトイモの塊茎、サッマイモの塊根、オニユリやヤマノイモのむかごなどが、その例です。
また、草花や果樹のとり木やさし木は、人工的におこなう栄養生殖です。



有性生殖

配偶子という細胞をつくって増える増えかたです。
配偶子には、おすとめすがあり、これがいっしょになって新しい体になります。

配偶子をつくる体に、おすとめすの区別がないときは動物では雌雄同体、植物では雌雄同株と言います。

これに対して配偶子をつくる体が、おすとめすとにわかれているときは、動物では雌雄異体、植物では雌雄異株と言います。

減数分裂のしくみ

植物では、花粉がめしべの先について発芽し、花粉管の中にできる雄性細胞(おすの生殖細胞で、動物の精子にあたる)がめしべの下部のはいのうの中にある卵細胞(めすの生殖細胞)といっしょになって、いわゆる受精をおこない将来の植物(はい)になります。

受精で、2つの細胞がいっしょになるのですから細胞の核の中にある染色体の数が2倍になり違った植物になってしまうはずですが実際には、そうならないで染色体の数は、その植物について、いつも一定しています。

これは、花粉や卵細胞のできるまえに減数分裂という特殊な細胞分裂をおこなって、花粉や卵細胞の染色体の数は半分になり、受精で半数の染色体をもつ細胞が2ついっしょになるので新しくできるはいの染色体の数はもとにもどるのです。

減数分裂は、第一分裂(異型核分裂)と第二分裂(同型核分裂)とから成り立っています。

第一分裂では、前期で2本ずつ対になった染色糸(核の中にあって、のちに染色体となるもの)があらわれ中期と後期を経て、これが染色体にかわり1本ずつわかれて細胞の両側に集まり、2つの核をつくります。

2本ずつ対になっていたもりがわかれて両方の核に1本ずつ入っていますから、この核がもっている染色体の数は、もとの半分です。

第二分裂は、体細胞分裂と同じ道すじをたどります。

第一分裂が終わると、すぐに第二分裂がはじまりますので第一分裂の終期は、第二分裂の前期でもあるわけです。

第一分裂と第二分裂とによって1つの核が半分の染色体をもつ4つの核になり細胞も1つが4つにわかれます。

減数分裂は、ふつう、精子・花粉・卵細胞・胞子などができるまえに起こりますが、シャジクモやアオミドロのように胞子が発芽するときにおこなうものもあります。

受精と接合

おすとめすの配偶子の大きさや形が違うときには、おすの配偶子を精子(ふつうの植物では花粉)めすの配偶子を卵細胞または卵子と言います。

ふつう卵細胞は運動できませんが精子は自分で動き卵細胞に達して、いっしょになります。

これを受精と言います。

こういう増えかたは、高等な生物に見られ、両性生殖と言います。

配偶子におすとめすの区別がなく同じ形の配偶子がいっしょになって新しい体になる場合は接合と言います。変形菌やアミミドロなどは接合します。

単為生殖

卵細胞が、精子といっしょにならないで育つことがあり、これを単為生殖と言います。

ミツバチのおすはこの方法によって生まれますしアブラムシも夏期には単為生殖します。

植物でもドクダミなどにこれが見られます。
また、ウニでは、人工的に単為生殖させることもできます。




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