貴金属や宝石となる鉱物の種類と特徴とは? わかりやすく解説!

自然金

金というのは金属としての名前で、天然に産する金を自然金とよんでいます。
形は細い糸か、木の枝のようになっています。

色は、金属光沢のある美しい黄金色で、条こんも同じ黄金色です。
比重は15.6から19.3と非常に重く、硬度は3です。

成分は純粋の金ですが不純物として、銀や銅が入っていることが多いようです。


輝銀鉱(キギン鉱)

輝銀鉱というのは、金属光沢をもった銀の鉱物という意味です。

形は、八面体か六面体ですが、不規則な塊状となっていることもあります。
劈開はなく、展性があります。

色は金属光沢をもった鉛色ですが、ときどき表面がさびて黒くなります。
比重は7.3、硬度は2でやわらかく、ナイフで切れます。

成分は銀と硫黄で、銀を約87%ふくみます。

ダイヤモンド(金剛石)

ダイヤモンドというのは、非常に硬い石という意味です。

結晶の形は、あまり見られませんが、形は、まるみを帯びた八面体です。
ダイヤモンドだけに見られる強い光沢をもっていて、ダイヤモンド光沢とよばれています。

色は、無色透明なものから、黒みがかったもの、黄色のものまであります。

比重は3.5、硬度は10です。

ダイヤモンドは、純粋の炭素からなっていて酸やアルカリなどの強い薬品にもおかされません。

ダイヤモンドの中で色・形などが悪かったり傷があって宝石にならないものをボルツと呼ぶことがあります。

ダイヤモンドの重さを測るとき、よく、カラットという単位が使われます。
1カラットは、0.2グラムにあたります。

ルビー・サフフイア(鋼玉)

鋼玉というのは、非常に硬い玉という意味です。

赤くきれいなものをルビー、青くきれいなものをサファイア、これらをまとめてコランダムともよばれてしいます。

形は六角柱で両端のとがった形が、いちばん理想的ですがふつうには粒状になって産します。

色は、暗い灰色から、赤・青・黄色と非常に多く、条こんは無色です。
比重は4.0、硬度は9でダイヤモンドについで硬い鉱物です。



エメラルド

エメラルドは、リョクチュウ石(緑柱石)の中でも、美しい緑色をしたものです。

形は、六角柱状になることが多く、縦に条線が入ります。劈開は、ほとんどありません。

また、ガラス光沢をもっとものもあります。比重は2.7、硬度は7です。
成分は、ベリリウム・アルミニウ厶・ケイ素・酸素などです。

ヒスイ(翡翠)

ヒスイは、キ石の一種で、形は塊状か、繊維状がふつうです。
色は、緑・青・白色などいろいろです。

比重は3.3、硬度は7です。成分は、ナトリウムを多くふくんだチョウ石と同じです。

ムーンストーン(月長石)

ムーソストーンは、この鉱物が無色透明で内部からでる光が月の光のような感じがすることから名付けられたものです。

柱状をした結品をし、劈開のある、チョウ石の一種です。

無色透明で、比重は2.6、硬度は6です。成分は、カリウムに富んだチョウ石と同じです。

メノウ(瑪瑙)・ヘキギョク(碧玉)・ギョクズイ(玉髄)

これらの鉱物は色の違いを除けば、だいたい同じ鉱物と考えられています。

岩石の割れ目やゲンブ岩などの穴の中を満たして産出し形は、いずれも不規則なかたまりとなっています。

色は、メノウが赤と白の縞模様、ヘキギョクが緑、ギョクズイがワックスに似た光沢のある白と灰色です。

比重は2.6、硬度は6~7です。

成分は、セキエイと同じようにケイ素と酸素とだけからなりますが結晶質になっていない部分と、小さな結晶との集合したものと考えられています。




非金属鉱物とは?石墨・雲母・石英・滑石とは?

石墨(セキボク)

石墨は、色も光沢も鉛によく似ています。
形は不規則な塊状か土状がふつうで、魚の鱗のようになっています。

色は、鉛によく似た黒色で、金属のような光沢があり、条こんも黒色です。
比重は2.2、硬度は1.5で、やわらかい鉱物です。
成分は、炭素だけからなっています。


雲母(ウンモ)

形は、板状の結晶で、劈開か、1つの方向にだけ非常に発達しているので、うすくはがれる性質があります。
色は、黒と白とがあって、それぞれ黒雲母・白雲母と言います。

比重は3、硬度は2~3です。
成分は、ケイ素と酸素のほかに、アルミニウムやカリウムなどをふくんでいます。

雲母は、熱や電気を通しにくい性質があります。

石英(セキエイ)

六角柱状の結品のよいものを、ふつう水晶と言いますが鉱物としては、石英も水品もまったく同じものです。

形は、六角柱状で、先がとがっているのがふつうです。
劈開はなく、割るとがガラスを割ったような形(貝がら状断口)になります。
結晶面には、横の線が入っていますが、これは劈開ではなく条線といいます。

色は、ガラス光沢を持った無色透明がふつうですが紫・ピンク・白・黒などもときどき見かけます。

比重は2.7、硬度は7です。成分は二酸化ケイ素からなっています。
石英は、強い酸やアルカリなどの薬品に強く、フッ化水素に侵されます。

滑石(カッ石)

滑石は、名前の通り、すべすべした石で、指先で触ると、ロウのような感じです。

色は、白がいちばん多いのですが、青みを帯びたり、黄みを帯びることもあります。
比重は2.7、硬度は1で、爪でも傷がつくほど、やわらかい鉱物です。

成分はマグネシウムとケイ素と酸素と水分です。

方解石(ホウカイ石)

方解石は、ふつうひし形の面で囲まれたものが多いです。
しかし、とがったもの、板状のもの、繊維状のものなどもあります。

劈開は三方向に発達しているので、ひし形で囲まれた、劈開片になります。
色は、ふつう無色透明ですが、白・黄・灰・緑褐色などもあります。

比重は2.7、硬度は3です。
成分は、炭酸カルシウムで、うすい塩酸に溶けて二酸化炭素を発生します。

ザクロ石(柘榴石)

ザクロに似た赤色の結晶です。
形は、斜方12面体や、それに似たものになります。
色は、赤・緑・黄・灰・黒色などいろいろあります。

比重は4、硬度は7です。
成分は、二酸化ケイ素がおもで、そのほかカルシウム・アルミニウム・マグネシウム・鉄・マンガンなどが混じっています。



硫黄

形は、八面体か厚い板状、または不規則な塊状になります。
劈開はなく、色は脂肪光沢のある鮮やかな黄色で、条こんも黄色です。

比重は2、硬度は2です。成分は硫黄です。

黄鉄鉱(オウテッ鉱)

黄鉄鉱は、黄色をした鉱物で、形は六面体や五角12面体になります。
色は、金属光沢をもった黄金色で、黄銅鉱に似ていますが条こんが黒褐色で、黄銅鉱とは区別できます。

比重は5、硬度は6です。

成分は硫黄と鉄で、硫酸の原料とするため利用面からは非金属鉱物になりますが光沢面からは金属鉱物になります。

長石(チョウ石)

長石は、細長い形をした柱状の結晶です。劈開が直角の方向によく発達しています。

色は、ガラス光沢のある白がもっとも多く、ときには黄・ピンク・灰色のものがあります。
比重は2.5~2.75までのものがあり、硬度は6です。

成分はケイ素・アルミニウム・酸素・カルシウム・ナトリウム・カリウムなどからなります。

その中でも、カリウムが多いものをセイチョウ石といいカルシウムとナトリウムが多いものをシャチョウ石といいます。

ホタル石(蛍石)

ホタル石は、八面体か六面体をしたものが多く、劈開もよく発達しています。
色は無色透明なものから、白・緑・青色などいろいろあります。

比重は3.2、硬度は4です。成分はフッ素とカルシウムからなります。

セッコウ(石膏)

セッコウは、ふつうひし形か、柱状の結晶をしたものが多いです。
劈開があり、色は、ガラス光沢をもった白色のものがよく見られます。

比重は2.3、硬度は2です。成分は結晶水をふくんだ硫酸カルシウムです。




錫石・クロム鉄鉱・輝水鉛鉱・軟マンガン鉱の利用法とは?

錫石(スズ石)

錫石というのは、すずをふくむ石という意味です。
形は、短い柱状ですが、2つの結品がハの字形についていることがよくあります。

劈開は、ほとんど見られません。

色は、かっ色がかった黒色で金属に近い光沢をもっています。条こんは、うすい褐色です。

比重は7、硬度は6.5です。
成分は、すずと酸素とからなり、すずを約79%ふくむので、すずの鉱石となっています。

錫石は、そのまま吹管で熱しても溶けませんが錫石の粉に炭酸水素ナトリウムをまぜて熱すると金属のすずをとることができます。


クロム鉄鉱(クロムテッ鉱)

クロム鉄鉱というのは、クロムと鉄をふくむ鉱物という意味です。
形は、不規則な塊状となってでることが多く、劈開も見られません。

色は黒色ですが、条こんは褐色です。比重は4.7、硬度は5.5です。

成分はクロムと鉄と酸素からなり、クロムを約46%ふくみ、クロムの鉱石となっています。

磁鉄鉱によく似た鉱物ですが磁性がないかあっても非常に弱いことが磁鉄鉱と違う点です。

輝水鉛鉱(キスイエン鉱)

輝水鉛鉱というのは金属光沢(輝)を持ちモリブデン(水鉛)をふくむ鉱物という意味です。

形は板状か鱗のようなものがふつうです。
劈開は、一方向にだけ非常に著しいので、雲母のように薄く剥げる性質があります。

色は金属光沢をもった銀色で、条こんは、鉛のような灰色になります。
比重は4.8で硬度は1のやわらかい鉱物です。

そのため、紙の上にこすりつけても、灰色のすじをつけることができます。

成分はモリブデンと硫黄からなりモリブデンを約60%ふくむので、モリブデンの鉱石です。

やわらかく、油のような感じがあるのは、石墨とよく似ていますが輝水鉛鉱は閉管で熱すると分解して硫黄くさいにおいがし管の中には、黄色の硫黄が昇華してつきます。

軟マンガン鉱(ナンマンガン鉱)

軟マンガン鉱というのは、マンガンをふくれやわらかい鉱物という意味です。
形は、土状か塊状で、結晶になることはありません。

したがって、劈開もありません。色は黒く、条こんも黒色です。
やわらかいので、触ると手が汚れるのは石墨によく似ています。

比重は4.8で、硬度は2.5です。
成分は、マンガンと酸素と水で、マンガンを約60%ふくみます。
また、軟マンガン鉱は、塩酸に溶けて塩素を出します。



硬マンガン鉱(コウマンガン鉱)

硬マンガン鉱というのは、マンガンをふくむ硬い鉱物という意味です。
形は、ブドウのふさやそら豆のかたまりのようになっています。
割ると、貝がら状の断口をしめします。

色は、鉄のような黒色で、条こんも同じ黒色になります。
比重は4.7、硬度は、軟マンガン鉱より硬く、5.5くらいあります。

成分も軟マンガン鉱と同じでマンガンと酸素と水からなりマンガンを約60%ふくむのでマンガンの重要な鉱石となっています。

硬マンガン鉱も、軟マンガン鉱と同じように、塩酸に溶けて塩素を出します。
また、濃い硫酸の中に粉末を入れると、溶けて紫色になります。

ボーキサイト

ボーキサイトの名前はフランスのボーというところからたくさんでたので、こう名付られたといわれています。

形は不規則な土状のものが多いですが大豆の集まったようなものになることもあります。
劈開はなく、色も条こんも同じで黄色から褐色まで、まちまちです。

光沢はなく、水で濡らすと、ねん土くさいにおいがします。
比重は2.6、硬度は1から5までで、一定していません。

成分は、アルミニウムと酸素と水で、アルミニウムを約39%ふくみます。
また、不純物として鉄分を少しふくむのが、ふつうです。

鉄マンガン重石(テツマンガンジュウ石)

鉄マンガン重石というのは、鉄とマンガンをふくむ重い鉱物という意味です。

形は、板状の結晶が多く、縦の条線があります。劈開も見られます。

色は、金属光沢をもった黒色で、条こんは、やや赤みを帯びた黒色です。
比重は7.3~7.6、硬度は4~4.5です。

吹管で熱すると、かんたんに溶けます。
成分はタングステンと鉄とマンガンと酸素からなり、タングステンの重要な鉱石です。




黄銅鉱・方鉛鉱・閃亜鉛鉱・輝安鉱・辰砂の利用法とは?

黄銅鉱(オウドウ鉱)

形は四面体ですが、いっぱんには塊状になっています。折ると、貝がら状断口になります。

色は金属光沢をもった金色ですが表面がさびて青紫色や黒色になっているものも、よく見かけます。
条こんは、やや緑色がかった黒色です。

黄鉄鉱と似ていますが、黄鉄鉱は、条こんが黒褐色をしているので区別できます。比重は4.2、硬度は4です。

成分は銅と鉄と硫黄からなり、銅を約35%ふくむので銅の鉱石として重要な鉱物になっています。

また、黄銅鉱の小さなかけらを吹管でふくと、ピチピチ跳ねて折れます。
閉館で熱すると、分解した硫黄が閉管につきます。

そして、硫黄くさいにおいがします。


方鉛鉱(ホウエン鉱)

ホウエン鉱とは四角(方形)に折れる、鉛をふくんだ鉱物という意味です。

形は、さいころのようなものがいちばんふつうですが互いに直角の方角に交わる劈開のある塊状になってでることもあります。

劈開は、直角の方向に非常によくできるのでどんなに小さく割っても、直方体か立方体をした劈開片になります。
色は、金属光沢のある銀色ですが、表面がさびて、灰色になっていることがあります。条こんも灰色です。

比重は7.6で、重い鉱物の仲間に入ります。硬度は、2.5です。

成分は、鉛と硫黄からなり、鉛を約87%ふくむので、鉛の重要な鉱石です。
ホウエン鉱の粉末を、木炭の上で、吹管で強く熱するとピチピチ音を立てながらかんたんに溶け、しまいには、鉛の小球ができます。

閃亜鉛鉱(センアエン鉱)

閃亜鉛鉱というのは、金属光沢をもち、亜鉛をふくんだ鉱物という意味です。

形は、四面体か、四面体の角がちょっと欠けた形になります。
劈開は非常によく発達していますが、劈開の方向や劈開片の形が方鉛鉱とは違います。

色は、松やにのような光沢のある黒い褐色で、ごく薄くすると光を通すようになります。

金属をとる鉱物の大部分はどんなに薄くしても、光を通しませんから閃亜鉛鉱のようなものは例外と言えましょう。

条こんは、褐色がかった黄色です。比重は4.0、硬度は4です。
成分は亜鉛と硫黄からなり、亜鉛を約67%ふくむので、亜鉛の鉱石になっています。

また、閃亜鉛鉱のかけらを吹管で熱するとピチピチ音を立てて割れますが、溶けません。



輝安鉱(キアン鉱)

形は、長い柱状か針状をしています。
劈開は、結晶の長く伸びた方向に平行して、非常によく発達しています。
色は、金属光沢を持った

鉛のような灰色ですが、直射日光にさらすと、表面がさびて光沢を失います。
条こんは、灰色がかった黒色です。比重は4.6、硬度は2です。

成分はアンチモンと硫黄からなり、アンチモンを約71%ふくむので、大切な鉱石です。

輝安鉱は、熱に対して、非常に溶けやすい鉱物の1つで小さなかけらは、ろうそくの火でも、かんたんに溶かすことができます。

開管で熱すると酸化されて、もくもくと白い煙りをあげ開管の口からは硫黄くさいにおいがします。
そこに濡れたに青いリトマス試験紙をかざすと、赤く変化するのが見られます。

また、輝安鉱を粉にしたものを木炭の上で吹管で熱すると穴のまわりには白と青の大きな鉱衣がつき、穴の中にはアンチモンの小球ができます。

辰砂(シンシャ)

辰砂とは、中国の辰州からとれたものが有名だったのでこう名付けられたと言われます。

形は、不規則か土状がふつうですがまれに、はっきりした板状結品のものがでることもあります。劈開もあります。

色は赤く、条こんも同じように赤色です。
比重は8で重く、硬度は2でやわらかい鉱物です。

成分は、水銀と硫黄からなり、水銀を約86%ふくむので水銀の重要な鉱石となっています。

辰砂は、閉管で熱すると、昇華して(溶けない)閉管の中ほどに黒くつきます。

この黒いところも辰砂ですから、さらにそこを熱するとその上にまた黒い辰砂がつきます。




おもな鉱物とその利用とは?金属をとるための鉱物とは?

大地にふくまれる金属

私たちの身のまわりを見ると、鉄やアルミニウムなどいろいろな種類の金属が、じつにたくさん使われていることに気がつきます。

これらの金属は、すべて私たちが住んでいる大地からとれたものです。

大地には、いったいどのくらいの金属がふくまれているかを見ると平均して、鉄は5.0%、アルミニウムは8.07%、銅は0.01%しかふくまれていません。

水銀は、さらに少なく、0.0002%しかふくまれていません。

しかし幸いなことに、大地には、金属をたくさんふくんでいる鉱物があり私たちは、このような鉱物から金属をとっています。

また、鉄・アルミニウム・マンガンをとるための鉱物は酸素をふくんでいるという特徴があります。

銅・鉛・亜鉛・スズ・水銀などをとる鉱物には硫黄がふくまれることが多くなっています。


鉄をとる鉱物

鉄をとる鉱物には、磁鉄鉱・赤鉄鉱・褐鉄鉱があります。

黄鉄鉱は、鉄の含有量は多いのですが、硫黄をふくんでいるためむかしは鉄の鉱石として使いませんでした。

しかし、いまでは、精錬法が発達したので硫黄をとった残りからも、鉄をとるようになりました。

磁鉄鉱(ジテッ鉱)

形は八面体の結晶になることが多いのですが細かな結晶が集まって、塊状になってでることもあります。劈開はありません。

色は鉄のような黒色をしていますが、条こん色も黒色になります。比重は5.0、硬度は6です。

成分は鉄と酸素からなり、鉄を約72%ふくみます。
粉末にすれば塩酸に溶けて黄色の液になります。

磁鉄鉱は、磁性がとくに強い鉱物でなかには、磁鉄鉱自身が磁石になっているものもあります。
このような磁鉄鉱を天然磁石とよんでいます。

赤鉄鉱(セキテッ鉱)

赤鉄鉱と言うのは、赤くて鉄をふくんでいる鉱物という意味です。

形は、ちょうど血がどす黒くかたまったようになっていますが不規則な塊状のこともあります。劈開はありません。

色は赤かっ色ですが、灰色をした板状の結晶になっていてちょっと見ただけでは、セキテッ鉱であることに気がつかないことがあります。

しかし、その条こんを調べとどちらも赤かっ色がでるので同じ鉱物であることがわかります。

比重は5.3、硬度は5.5です。

成分は鉄と酸素とからなり、鉄を約70%ふくみます。
ごく細かい粉にすれば、塩酸に溶かすことができます。

磁性はありませんが木炭の上で吹管を使って強く熱すれば磁性をもったものができます。

褐鉄鉱(カッテッ鉱)

いっぱんには、不規則な塊状ですがブドウのふさのような形や、そら豆のような形になってでることもあります。

かわったものでは黄鉄鉱のさいころ形の結晶がそのまま褐鉄鉱にかわって黄鉄鉱の形をした褐鉄鉱もあります。

このような褐鉄鉱を、長野県ではブ石とよんでいます。
色は褐色で条こんも褐色ですが、水分などによって、色もかなり違います。

比重は4.0、硬度は約4~5.5です。成分は鉄と酸素とからなり、鉄を約60%ふくみます。

砂鉄

砂鉄は鉱物の名前ではなく、砂のように細かくなった鉄の鉱物のことをいいます。

砂鉄は、その大部分が磁鉄鉱です。




鉱物の化学的性質とは? わかりやすく解説!

閉管による実験

直径8ミリくらいの試験竹の底に鉱物の粉を入れ、下からバーナーかアルコールランプで熱してみます。
閉管には、ガラス管を10センチの長さに切り、片方を閉じて使ってもかまいません。

また、鉱物はハンマーで砕いてから乳鉢に入れ、ざらざらしなくなるまで粉にします。
これを耳かきで、3~4杯ずつ閉管の底に入れます。

熱しはじめたら、①溶けるか溶けない ②煙りは出るか出ないか③外華物が出るかどうか ④閉管の上部がくもるかどうか(くもれば水滴がついたからで、鉱物に水がふくまれていたことが、わかります)⑤においがでるかどうか、などに注意して観察します。

たとえば、シンシャを熱してみると管の底から1センチくらい上に、黒いものが帯のようにつきます。

これは、シンシャが昇華してついたもので閉管の底に黒く残っているのは、シンシャではなく不純物の場合が大部分です。

また、閉管の口では、硫黄のにおいがします。


開管による実験

開管は、写真のように30度ほど曲がったガラス管で、両はしは開いています。

この曲がっているところに、鉱物の粉を入れ閉管の実験と同じように、バーナーかアルコールランプで注意しながら熱してみます。

たとえば、キアン鉱を熱してみると粉はすぐ溶けますがしばらくすると、そこから白い煙りが、もくもく出てきます。

このとき、開管の一方のはしからは、イオウくさいにおいがでますしそこに湿ったに青色のリトマス試験紙を近づけると、赤くなります。

このことから、酸ができたことがわかります。

吹管による実験

木炭に炭すいやナイフ・きりなどでくぼみをつくり、この中に鉱物の粉を少し入れます。
これに吹竹でバーナーかアルコールーランプの炎を吹き付けて、鉱物を強く熱します。
そのとき、鉱物が溶けて、金属球や昇華物などができるのを、注意して観察します。

木炭は、よく上皮をはぎ落として、長さは13センチぐらいに切って使います。
くぼみは直径5ミリ、深さ3ミリくらいにします。

吹竹を吹くには、息を切らさないように続けて空気を送ることが必要です。
それには、ふき口にほほをぴったりつけるようにして、徐々に吹きはじめます。

そして、肺の中の空気がなくなりかけたらほほの中の空気を送り出しているあいだに、鼻から肺の中に空気を吸い入れます。

たとえば、ホウエン鉱を吹管で熱すると鉛が小さい球状に残りまわりに昇華物が黄色につきます。

このように、鉱物のまわりにできる昇華物を鉱衣といいどんな鉱衣がつくか、鉱物の近くと遠くでは鉱衣にどんな違いがあるかを注意することも大切です。

ホウエン鉱の例では、鉱物から離れたころに、青みがかった鉱衣ができます。

酸による実験

うすい塩酸をたらすと溶ける鉱物があります。
このような鉱物は、そのおもな成分が炭酸カルシウムからできているためです。

たとえば、ホウカイ石に塩酸をたらすと泡を出して溶けます。
これはホウカイ石が炭酸カルシウムからできているためでこのとき生じる泡は、二酸化炭素です。

そのほか、カスミ石・ランドウ鉱・クジャク石なども、うすい塩酸に溶けます。




鉱物の性質・形・硬度とは? わかりやすく解説!

結晶形

鉱物には、結晶しているものと、結晶でないものとがありますが多くの鉱物は結晶になっています。

ふつう、結晶になっている鉱物は、規則正しい形をしていますが結晶でありながら規則正しい形をしていないのもあります。

結晶の正しい形には、つぎのようなものがあります。

  • 立方体(サイコロのような形)
  • 八面体(正角形が8つ集まった形)
  • 四面体(正三角形が4つ集まった形)
  • 柱状(細長い形)
  • 板状(うすい板のような形)
  • りょう面体(ひし形が6つ集まった形)

鉱物がどんな結晶形かしているかは、鉱物の種類によって決まっています。

結晶の面角

2つの結晶面のあいだの角を面角といいます。
面角は、結晶面の交線に直角になるようにはかりますが結晶の種類を含める大切な性質の1つになっています。


色と条こん色

条こん色は、鉱物の粉末の色です。
この色は鉱物自体の色と違うことがあるので、鉱物を調べるのに、よく利用されます。

実験で条こん色を調べるにはふつう白い素焼きの板でできた条こん板に鉱物をこすりつけて、そのすじの色をみます。

そのほか、茶碗の糸底にこすりつけでもよいし乳鉢で粉にしたときの色を見るのもよいでしょう。

光沢

鉱物を調べるには、光沢に注意することも必要です。光沢には、つぎのようなものがあります。

金属光沢

磨いた金属に見られる光沢で金属をとる鉱石には金属光沢をもつものがたくさんあります。

ガラス光沢

ガラスを折ったときの面のような光沢で岩石をつくる鉱物のように透明な鉱物の大部分のものが、ガラス光沢をもっています。

脂肪光沢

ろうそくや脂肪のかたまりの表面に見られるような光沢でメノウやジャモン石に見られます。

金剛光沢

ダイヤモンドのように、透明で、屈折率の大きい鉱物に見られる強い光沢です。

真珠光沢

真珠のような光沢で、オパールやセッコウなどに見られます。

絹糸光沢

絹糸のような光沢で、イシワタなどに見られます。

硬度

鉱物の硬さは、2つの鉱物を互いに傷つけあって決めます。

同じ鉱物でも、とがった部分と、平らな面の上では傷のつきかたが違うので鉱物の硬さを決めるには、つぎのような注意がいります。

① とがった部分を使っても、相手の鉱物の平らな面の上に傷をつけることができない。(相手の鉱物のほうが硬い)

② 互いに、傷を付け合うことができる(同じ硬さとする)傷がついたかどうかを確かめるのには、指先でこすって傷をつけたときの粉をぬぐって調べてみます。

いろいろな鉱物の硬さは、硬さの順に、やわらかいほうから10の段階にわけてあります。

そして、それぞれの段階から代表的な鉱物を1つずつ選び鉱物の硬さをくらべるためにつくられたのが、モースの硬度計です。

ある鉱物の硬さを調べたいときはその鉱物をモースの硬度計にあるどれかの鉱物とこすりあわせてみます。

そして、たとえばホタル石でこすっても傷がつかないがリンカイ石でこすると傷がつくときは、その鉱物の硬度は4.5であるというように決めます。

また、身近に、モースの硬度計のないときは人間の爪の硬度が約2、ガラスが約5であることを覚えておくとだいたいの硬度を知るのに便利でしょう。

劈開と断口

鉱物かハンマーなどで叩いて割ると規則正しく割れるものと不規則に割れるものがあります。

規則正しく割れる性質を劈開といい、不規則に割れたときの割れ口を断口と言います。

劈開が、非常にできやすいか、ふつうにできるかできにくいかなどによって、鉱物を区別することがよくあります。

劈開によってできた割れ目が劈開面です。
劈開が1つの方向にだけ特別に発達したときは、雲母のようにうすくはがれるようにする。

また、輝石でカクセン石は、2つの方向に劈開面が発達しその角度が輝石ではやく87度、カクセン石では、やく124度になります。

キ石とカクセン石は、見かけは非常によく似ているので、劈開面の角度の違いが2つの鉱物を見分ける大切な点になっています。

壁面が互いに直角に3方向に発達すると、長方形やマッチ箱のような形に割れます。このような形を劈開片と言います。

また、断口が、貝殻を割ったような形になったものを、貝がら状断口とよびます。

セキエイは劈開がなく、割ると、貝がら状断口になります。



比重

ほぼ同じ大きさのホウエン鉱とセキエイを両手に乗せてくらべるとホウエン鉱のほうが重いのに気がつきます。

同じ大きさの水の目方とくらべた鉱物の重さを比重といいます。

比重を調べることは鉱物の性質や、鉱物の種類を見分けるのに役立ちます。
比重を測るには、つぎのような方法があります。

ジョリーの比重計

上のさらに鉱物を乗せたときの目もりをW、下のさらに鉱物をのせたときの目もりをW’としたときの比重はつぎの式でもとめられます。

比重瓶を使う方法

鉱物の重さをW、比重瓶に水をいっぱい入れたときの重さをW’比重瓶に鉱物と水をいっぱい入れたときの重さをW’とすると比重はつぎの式でもとめられます。

磁性

鉱物の中には磁石に吸いつけられるものがあります。
このように磁石にひきつけられる性質を磁性とよんでいます。

多くは、鉄をふくむ鉱物でなかでもジテッ鉱の磁性はとくに強く、鉄片を吸いつけるほどです。

ふく屈折

ホウカイ石を通して文字を見ると、二重に見えることはよく知られています。

自分で実験するときは、できるだけ透明なホウカイ石を選び、紙に書く字もできるだけ細く書くことが大切です。

下の字が二重に見えるのは、ホウカイ石の中で1つの光が屈折率の違う2つの光にわかれるからです。これを、ふく屈折といいます。

ふく屈折を調べるときは、どちらの方向に字がずれるか鉱物をまわしながら、ずれる方向を調べてみます。

溶けやすさ

鉱物を熱してみて、溶けやすいか溶けにくいかということも、鉱物の種類をきめる1つの方法です。

いろいろな鉱物の溶けやすさを、6つの段階にわけその段階の代表的な鉱物を決めてあるのが、コッペルの融解計です。

なお、溶けやすさを調べるときは、鉱物の大きさを約1.5ミリにします。




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