キュウリとヘチマ、ウリの仲間の栽培方法とは?

キュウリの栽培

キュウリは、若い実を生のまま、あるいは漬物などにして食べる大切な野菜で日本中どこにでも栽培されています。

キュウリには、実のできないお花と実をつけるめ花があります。

花は、葉の根本のところにつきますから上手につくると、ふしごとに実ができます。

キュウリは、ふつう、春早くから苗を育て4月中ごろから畑に植えつけ、5月中ごろから8月ごろまで獲り入れます。

しかし、近ごろは栽培技術が進歩してビニルハウスの中で、冬でもつくれるようになりました。


つくりかた

キュウリの苗は、温床で育てます。
苗床の温度は、ふつう20度以上で種をまくと10日ぐらいして双葉が開きます。
そのころ、いちど、別の苗床に植えかえます。
そして、葉が5、6枚でるころまで育て、苗にします。

畑を耕して、90センチくらいの間隔に溝をつくり、そこに肥料を入れて、苗を50センチおきぐらいに植えつけます。
植えつけるときに、苗の根に充分土をつけておくことが大切です。

茎はどんどん伸びますから、横に倒れないように竹の支柱を建てて、これに茎をむすびつけて伸ばします。

また支柱のあいだに網をはって、これにつるをのぼりつかせることもあります。

花は下のほうから咲きだし、め花は実をむすびます。
そして、日ごとに実が大きくなります。
手ごろの大きさになったら、はさみで実を切り取ります。

実は順々に獲り入れますので、勢いを弱めないように獲り入れがはじまったら、10日おきぐらいに追ごえをやります。

また、草とりもします。

病気で恐ろしいのはべと病で葉にかっ色のはん点ができて、だんだん広がります。
ボルドー液やダイセンなどの薬をかけてふせぎます。

ヘチマの栽培

ヘチマは、実の中にある繊維を取り出して利用したりヘチマ水をとったりします。

日本で、まとまって栽培されているのは静岡県の天竜川下流の一部の地方だけです。
 
ヘチマの繊維は、靴の底のしきものや、油をこすのに使います。
また、風呂で体を洗うのにも使います。

なお、ヘチマの繊維は、油こしに使うためにヨーロッパやアメリカへ輸出しています。

家庭では、庭さきに日よけをつくるのに栽培されます。
そしてヘチマ水をとったりします。



つくりかた

畑に種をまくじきまき栽培と苗床で苗をそだてて移植する移植栽培とがあります。
ふつう畑で栽培するときは、じきまき栽培です。

種を4月のはじめにまきつけて8月のおわりから9月のはじめにかけて獲り入れます。

畑を耕して120センチぐらいの間隔に溝をつくり、そこに肥料を入れて、60~90センチおきに種をまきます。
種は、ひとところに3~5粒まき、葉が2枚でたころ間引きして1本にします。

1メートルぐらい伸びたころ、高さ150センチぐらいのたなをつくり、たなにまきつけてやります。
手入れは、草とりと追ごえをやる程度です。

花が咲いてから、40~50日ぐらい経ったころ獲り入れ4、5日ぐらい水につけておき、腐らせて繊維を取り出します。

家庭でつくるときは、苗を買ってきて植えるのがふつうです。
穴を掘り、そこに肥料をいれて植えつけます。
そして、竹を立てて、それにまきつかせて茎を伸ばします。

たなの下につくると茎がたな一面に広がるので、夏にはよい日かげができます。

ヘチマ水のとり方

9月になって、茎や葉がよくしげったころ茎を地上60センチぐらいのところで切ります。

茎をよく洗ってて瓶に切り口を差し込み、瓶の口を脱脂綿などでまき雨が入らないようにビニルでおおっておきます。

ひとかぶから、1.5リットルぐらいのヘチマ水がとれます。




イモの仲間の栽培方法とは?ジャガイモの栽培方法とは?

イモの仲間の栽培

イモ類は、むかしはイネやムギとともに大切な食料で飢饉のときなどには大きな役目を果たしていました。
いまでは副食にされるほか、でんぷんやアルコールの原料に使われています。

イモ類の栽培には、ほかの作物と違って種のかわりにイモをそのまま使います。

このイモを、種イモと言います。


サツマイモの栽培

サツマイモは、あたたかい気候に適しているため日本では関東地方から西の地方で多く栽培され北海道ではほとんど栽培されていません。

ふつう、春に苗床で苗を育て5月から6月にかけて畑に苗を植え、霜のおりるまえに獲り入れます。

毎年同じところにつくっても、構いませんが黒はん病という恐ろしい病気があり、これにかかるとイモは苦くなって、みな腐ってしまいます。

この病気がいちど出た畑には3、4年間はサツマイモを栽培することができません。

10~20センチ四方に1個くらいの割合で、種イモを苗床に埋め込みイモが見えない程度に土をかけます。
苗床の温度を28度ぐらいにしておくと、10日ぐらいで芽がでます。

30センチぐらいに伸びたら、これを切り取って苗にします。

植えつけ

畑に山形のうねをつくり、うねのまん中に肥料を入れ、その上に苗を植えつけます。

うねのあいだは60~90センチ、苗のあいだは30センチぐらいにします。
苗の植えかたにはいろいろありますが、いちばんふつうの植えかたは、ななめざしです。

肥料は、窒素肥料が多すぎるとつるばかり伸びますから、注意しましょう。

手入れ

手入れはかんたんで、つるが雑草に負けないように2、3回草をとってやるだけで、充分です。

獲り入れ

霜のおりるまえに、つるを根もとのところから切り取りイモを傷つけないようにして、掘り取ります。

サツマイモは低い温度にあてると腐りやすいので、長く保存するために、いろいろな方法がとられますが、いちばん大切なことは、温度の調節です。

いつでも温度を10~15度くらいに保つようにすると、つぎの年の春まで、保存することができます。



ジャガイモの栽培

ジャガイモはサツマイモと違って、涼しい気侯に適していますから日本では関東から北の地方で多く栽培されています。

春から夏にかけて栽培するのがふつうですが、あたたかい地方では夏の終わりから秋にかけて栽培することもあります。

種イモ

あたたかい地方でできたイモほど、ビールス病にかかっていることが多いので、なるべく涼しい地方でできたイモを種イモとして使います。

また、掘りとったばかりのイモは芽がでないので堀りとってから2、3か月経ったものを使うのがふつうです。

植えつけ

60~80センチの間隔にうねをつくり,30~40センチおきに種イモを1個ずつ植えつけ、その上に、6~9センチぐらいの厚さに土をかけます。

種イモが40グラムぐらいの場合は、そのまま植えつけますが大きいものは3つか4つに切って植えつけます。

肥料は、イモとイモとのあいだにほどこすようにします。

手入れ

芽が出てから1週間ほど経ったら1かぶについて芽が2、3本になるように間引きします。

このあと、雑草に負けないように草とりをし追ごえをいちどやるのがふつうです。

病気で恐ろしいのは疫病で、これをふせぐためにボルドー液を2、3回かけてやります。

獲り入れ

茎や葉が黄色くなって、枯れはじめたころに掘りとります。

貯蔵

2、3日、日かげでよく乾かしてから涼しい所においたり、よく乾いた所に浅い穴を掘って、そこに埋めたりして貯蔵します。




マメの仲間の栽培とエンドウの栽培のやり方とは?

マメの仲間の栽培

マメの仲間には、ダイズ・アズキ・インゲンマメ・エンドウ・ソラマメなどのマメ類や、クローバー・レンゲソウなどの牧草や肥料にするものがあります。

マメの仲間には、つぎのような特徴があります。

マメの仲間の根には、根りゅう菌がつきます。
根りゅう菌は空気中から窒素をとって、マメ科植物にあたえてくれます。

ですから、マメの仲間を栽培するときには、窒素肥料が少なくてすみ、そのうえ、畑の中の窒素分を増やすことができます。

また、マメの仲間は獲り入れるまえに葉が落ちますから畑を肥やすことになります。

ですから、3年に1回ぐらいはマメの仲間をつくるほうがよいと言われています。


ダイスの栽培

ダイスは、畑にできる肉といわれるほど脂肪とたんぱく質をたくさんふくむ大切な食料です。

ダイズは、おもに油の原料にしますが日本では、豆腐・味噌・醤油の原料として、なくてはならないものです。

ダイズは、おもに中国などで栽培されていましたが、いまでは世界中で栽培されるようになりとくに、アメリカ・ソビエトで、多くつくられています。

アメリカでは、小麦粉にダイスの粉をまぜて栄養の多いパンなどをつくっています。

つくりかた

わが国では、ダイズはムギをとりいれたあとにつくります。
しかし、それよりも、とりいれるまえにムギのうねのあいだにまくのが、もっともふつうです。

獲り入れは夏の終わりから、10月ごろまでのあいだにおこないます。

うねの間隔は、60センチぐらいにして25センチおきぐらいに、3、4粒ほどまきます。
そして、芽が出てから2、3本になるように間引きをします。
肥料はとくに、窒素肥料を少なめにします。

中耕や草とりは、ダイスの花が咲くまでに、2、3回やるようにします。
獲り入れは、葉が落ちて、さやがよく色づいたころにおこないます。

根ごと抜きとるか、根もとから刈り取って数本ずつ束ね、よく乾かしてから、棒で叩いて実(マメ)を落とします。

ダイズには、マメコガネ・サヤタマバエなどの害虫がつきます。
これは、ひ酸石灰やEPN・MPPなどの薬でふせぐことができます。



エンドウの栽培

エンドウは、おもに生のマメやさやを食べますが乾かしたマメも食用にします。
寒さに強いので、涼しい地方に多くつくられ、北海道以外では秋に種をまいて、つぎの年の5月から6月に獲り入れます。

しかし北海道では、春に種をまいて夏の終わりに獲り入れます。

生のマメやさやを食べるものはおもに北海道以外で乾かしたマメを食べるものはおもに北海道で栽培されています。

つくりかた

エンドウには、丈の高くなるものと、低いものと2種類あります。
うねのあいだは、高くなるものでほぼ1メートル低いものでは70センチぐらいにするのが適当です。

種は、25~30センチおきに、2、3粒ずつまきます。

そして、芽が出て20センチぐらいになったら高くなるものには支柱を建てて、からませてやります。

冬の寒さの厳しい土地では、ササなどを建てて保護します。

中耕や草とりは2、3回やり、肥料には、たい肥・化学肥料のほか魚かすや灰などを使います。

病気や害虫をふせぐためには、ボルドー液やヒ酸石灰などをかけてやります。

獲り入れ

若いエンドウを食べるためにとるときには、さややマメが硬くならないうちに、もぎとります。

マメを獲るものは、葉が枯れてしまってから根もとから刈取り、棒で叩いて、実(マメ)を落とします。




ムギの仲間の栽培方法とは? わかりやすく解説!

ムギの仲間の栽培

ムギの仲間にはコムギ・オオムギ・ライムギ・カラスムギ(エンバク)などがあります。

コムギは、世界でいちばん広く栽培されている作物で、大切な食料です。
粉にしてパン・マカロニ・うどん・菓子などの原料にされます。

オオムギは、食料のほか家畜のえさに使われます。
また、オオムギの仲間のビールムギは、ビールの原料に使われます。

ライムギは、寒冷な地方で栽培され、コムギのかわりにパンの原料にされます。
カラスムギは、おもに家畜のえさに使われています。

日本でも、ムギはイネのつぎに広く栽培されていますがパンをつくるのに適したコムギができませんのでパンにするコムギはアメリカやカナダから輸入しています。


つくりかた

ムギの仲間にはいろいろありますが、つくりかたは、どれもほとんどかわりがありません。

秋に種をまいて、つぎの年の夏のはじめに獲り入れるのがふつうですが寒いところでは、春にまいて夏に獲り入れるところもあります。

畑につくるのがふつうですが日本ではイネを獲り入れたあとの水田につくるところもあります。

畑につくるときは、まず、畑を耕して土を細かく砕き、浅い溝をつくります。
溝と溝との間隔は、日本では60センチぐらいがふつうです。

そこに肥料を入れて少し土をかけその上に種をまいて土を1センチぐらいかけます。

芽が出てある程度生長したら霜柱などで持ち上げられないように踏みつけてやります。

また、春になって伸びはじめるころムギの上から土をふりかけて、丈夫に育つようにします。

種や茎が黄色くなって、枯れかけたころに刈取りよく乾かしてから、脱穀機で実を落とします。

実は、よく乾かしてから、俵や箱に入れてたくわえます。




イネの栽培方法とは?苗の育てかた、田植えとは?

イネ・ムギの栽培

イネとムギは、古くから、大切な作物として栽培されてきました。
イネに適した土地では米が、ムギに適した土地では麦が主食に使われています。


イネの栽培

イネは、あたたかくて湿り気の多い気候を好みます。

アメリカや地中海沿岸などでもつくられますが、いちばん多くつくられているのは、日本・中国南部・東南アジアで、これらの地方のいちばん大切な作物です。

イネには、田につくる水稲と、畑につくる陸稲(おかぼ)とがありますが、
ふつうにイネと言えば水稲のことです。

イネのつくりかたにはいろいろありますが、いちばん多いのは苗代で苗を育てて田にうつし植える移植栽培です。

日本のイネの栽培技術はすぐれていて、せまい面積からたくさんの米を収穫することでは世界でいちばんです。

苗の育てかた

イネの苗をつくるところを苗代と言います。
苗代は、日あたりがよく、手入れをするのに便利なところにつくります。

いっぱんに、寒い地方では雪がとけるとすぐに苗代をつくりますが、あたたかいところでは、5月ごろにつくります。

まず、土をおこして、肥料をよくまぜながら、土を細かく砕きます。
幅120センチぐらいの長方形の区切りをつけ、まわりの土をもりあげて表面を平らにならします。

これをまき床と言います。

このまき床の上に、よく消毒した種を一面に散らばるようにまいて種が見えなくなる程度に土をかけます。
種まきは移植する予定の日の、40~50日まえごろにおこなうのがふつうです。

それから、まき床のあいだの溝に水を入れます。

水は、まき床の上までいれることもありますし、まき床の上に焼いたもみがらをまき、その上をビニルや油紙などでおおうこともあります。

芽が出てきたら、よく日光に当てて、丈夫な苗が育つようにします。
寒い日や風の日は、水を入れて保護します。

このほか、肥料をやったり草をとったりカスガマイシンやスミチオンなどの薬をかけて病気や虫の害をふせいだりします。

田の準備

苗が大きくなるまえに、肥料をやり、田おこし・あぜぬり・代かきなどの田植えの準備をします。

まず、たい肥をまいてから田を耕し、それから、化学肥料をやり、水を入れて代かきをします。
この作業には、近ごろは耕うん機が使われています。

代かきは土を砕いてやわらかくし苗を植えやすいようにするためにおこなうのですが水が地下に染み透ってしまわないようにする役目もあります。

田のまわりから水がもれるところでは代かきをするまえに、土をねってあぜをぬり、水が漏れるのをふせぎます。



田植え

イネの移植は、ふつう田植えと言います。

田植えは、早いところでは5月10日ごろからはじまりますが遅いところでは7月10日ごろまでおこなわれます。

種をまいてから40~50日経つと苗は高さが20センチほどになり葉は6、7枚で田植えをするのにちょうどよい大きさに育ちます。

苗代に水を入れて土をやわらかくし、手で少しずつ、丁寧に苗を抜き取ります。
そして、根の土をよく洗いおとし、一握りほどに束ねて田に運びます。

苗は、2、3本ずつをひとかぶに植えます。
ふつう、縦・横それぞれ25センチぐらいの間隔に植える正じょう植えか縦を10センチ、横を30センチぐらいの間隔に植える並木植えにします。

植えるときは、印をつけた綱を使ったり植えるまえに定規や枠で土の表面に印をつけたりして、決まったところに植えます。

最近は、田植えにも機械が使われるようになってきました。

手入れ

田植えがすんだら、田に充分に水を入れておきます。

しばらくすると、しおれかかった葉が勢いづいてどんどん伸びだし茎も枝わかれして、かぶも急に大きくなります。

かぶが充分大きくなったころ、水を落として2、3日のあいだ田を干します。
これは「中干し」といって、根のはたらきをよくするのに役立ちます。

穂が大きくなりはじめるころからイネにはたくさんの水が必要になりますから田には水を充分に入れておきます。

田植えをしてから10日おきぐらいに、3、4回、草をとります。
しかし、近ごろはPCP・MCP・DCPAなどの薬をまいて草を枯らすのがふつうです。

追ごえは、穂がでる30日ほどまえに、窒素肥料をやるのがふつうです。

獲りいれ

穂が出て、40~50日ぐらい経つと、イネの実は熟します。
穂が黄色くなったころに刈取ります。

刈り取ったイネは小さく束ね木や竹でつくったイネかけにかけて、よく乾かします。
よく乾いたら、脱穀機でもみを落とします。

進んだところでは、刈取りと脱穀とを同時にするコンバインが使われます。

こうして脱穀されたもみは乾燥機でよく乾かしてから、もみすり機にかけて玄米にします。

イネの害虫と病気

イネの害虫で、いちばん大きな害をするのはニカメイチュウです。
茎のもとのほうが褐色になって枯れるのはメイチュウの害です。
これはスミチオン・ダイアジノンなどでふせぎます。

また、病気で恐ろしいのはいもち病です。

葉や茎に黒いはん点ができ、これが広がるとイネは実らなくなったり、枯れたりします。

天候が悪かったり、窒素肥料をやりすぎると、かかりやすくなります。
この病気は、カスガマイシンやキタジンPなどでふせぎます。




秋の種まきの時期とは?秋の宿根草とは? わかりやすく解説!

秋の種まき

気温の高い地方では、冬に咲きはじめる草花や春のはじめに咲く種類を秋にまいてしまう方法があります。

冬に咲きはじめる草花には、パンジー・キンセンカ・ヤダルマギクなどがあり、春早く咲くものには、ルピナス(ノボリフジ)・ニワナズナ・ワスレナグサ・スイートピーなどがあります。

また、初夏に咲くナデシコ類・キンギョソウなども秋まきすることができます。

このような草花は、秋まきにしたほうが春まきよりも、はるかに美しい花を咲かせます。


種まき

種まきは、春まきの草花と同じようにしますが、まく時期に、気をつけなければなりません。

10度以下の寒さが早くくるような地方では9月中ごろに種をまくのがよいのです。

冬があたたかく、雪の少ない地方では9月末ごろから10月はじめごろまでにまきます。
こうすれば、寒さが厳しくなる時期までには、丈夫な苗に育っています。

また、冬は、場所によって温度の違いが激しいので、まく場所も大切です。

あたたかいところで、やわらかく育った苗などは急に、寒い風や雨にあたると、枯れてしまうものがあります。

ルピナスやヤグルマギクのように、苗が大きくなるものは植えかえをするときに、植え傷みがします。

これをふせぐには、なるべく植えかえをしないで、そのまま育てるか苗が小さいうちに早く植えかえをします。

手入れ

9月ごろに芽を出したばかりの苗は大雨にうたれると土にうずまるようなことがあります。
種をまく場所は水はけをよくしなければなりません。

また、苗を冬の寒さからまもるために霜よけといって、屋根形のおおいをしてやらなければなりません。

しかし、これを早くやりすぎると、かえって、苗が弱い体になってしまいます。
霜よけをする時期は、5度以下に気温が下がったころがよいのです。

もちろん、よく日光があたるように、昼間は南側をあけてやります。
日あたりがよいときは、冬でも、茎や葉が少しずつ伸びるものです。

ですから、このような日には、水をかけてやります。

春になると、気温が少しずつ高くなり苗が伸びはじめます。
このときは、下のほうから、おおいを少しずつあけて寒さにならしてやります。

こうして、厳しい寒さのなくなる3月はじめごろに花壇や庭に植えだすのです。

秋の宿根草

フクジュソウ・スズラン・シャクヤク・カキツバタ・ハナショウブなどを
長くつくっていると、大きなかぶになります。

これでは、育ちがよくないので、春の宿根草と同じように、かぶわけをします。

株わけ

シャクヤクやフクジュソウは、3年以上にならないと大きな株になりません。
株わけをするのは、3~5年経ったものです。

株わけは9月中ごろがいちばんよく、あまり遅れると春になってからの育ちが、よくありません。



秋の球根植え

チューリップ・ヒヤシソス・ユリ・スイセン・クロッカスなどは寒さに強い種類です。

北海道のような寒い地方でも秋のうちから根がよく伸びて少しも寒さの害を受けません。

けれども、アネモネ・ラナンキュラス(ハナキンポウゲ)アイリス・フリージアなどは植えつける時期が早いと秋に伸びた葉が枯れてしまうことがあります。

球根植え

たいていのものは、9月中ごろから、10月はじめまでに植えます。

北陸などのように、15度ぐらいの涼しさが早く訪れ、しかも空気に湿り気の多いところは、もっと早く植えます。

球根の根は、いちどに伸びだす性質がありますが20度以上で乾きやすいところでは、よく伸びません。

チューリップ・スイセン・ヒヤシンスなどは植えるときから、葉や花の芽ができています。
このために、肥料の少ないところでも、よく花を咲かせます。

植えつけの間隔は、地上の葉があまり重ならないくらいにします。
葉の大きなチューリップは20センチ、クロッカスのような小さいものは10センチぐらいでよいわけです。

土は、球根の直径の2、3倍ぐらいの厚さにかけます。

手入れ

大きな花を咲かせるためには、やはり肥料がいります。
葉が伸びだしてからつぼみができるまでに、追ごえをやります。
また、大きな球根ほどよい花を咲かせます。

つぎの年に美しい花を咲かせるためには花が終わったあと種ができないように実を早く摘みとったり、土が乾きすぎるときは、わらを敷いたり、水をかけたりして球根を育てるのです。

球根のたくわえかた

夏になって葉が半分ぐらい枯れたときに、球根を掘り出します。

そして、日かげで早く乾かし、枯れた葉や根を取り除いて風通しのよいところにしまっておきます。

ユリなどは、あまり乾かすとしおれますから少し乾いたころに、箱などに入れてしまっておきます。




春の宿根草とは?春の球根植えとは? わかりやすく解説!

春の宿根草

冬は、葉や茎が枯れてもかぶが残っていて毎年花を咲かせる草花を宿根草と言います。

また、このような草花のことを、野原にあるものでは多年草と言います。


宿根草には、キクの仲間の草花やオダマキなどがあります。
これらは、ふつうかぶわけで増やしますが、それには、1かぶに、2つか3つの芽がつくようにわければよいのです。

このほか、種がたくさんできるものは春に種をまき、苗をたくさん育てることもできます。

しかし、この苗は、一年草と違って、その年に美しい花を咲かせることは少ないのです。
けれども、つぎの年には、かぶわけしたものよりも、立派な花を咲かせます。

また、キクなどは、さし芽によって増やすこともできます。
それには、まず、つゆのころに、つぼみのない元気な芽を5、6センチにきり、水をよく吸わせます。

そして、水はけのよい土地にさしてやればよいのです。

春の球根植え

ダリア・カンナ・アマリリス・グラジオラス・スイレンなどは春植えのおもな球根です。

球根は、その中にたくさんの養分をたくわえています。
このため、肥やしのない土地でもよく伸びますが、たくさんの花を咲かせるためには、やはり肥料をやらなければなりません。



ダジアの球根植え

ダリアの球根は、根が大きくなったものです。

しかしその上に、茎が少しついていないと芽がでないので注意しなければなりません。

まず、よく耕した土地に深さ60センチ、直径60センチぐらいの穴を掘りごみ土やたい肥・灰・過りん酸石灰などの肥料を入れて土をよくまぜます。

この穴の中央に、球根が肥料にさわらないように、少し浮かして植えるのです。

ダリアは大きくなると茎が弱いので倒れやすくなります。
そこで、竹などをたててしばりつけますが、あまり高くなると花もよく咲かず、倒れやすいので、茎を切ってやります。

夏になると、いちど、育ちかたが衰えますが、つぎつぎに、わき芽が出てきます。

多すぎる芽をかきとって、そろった芽だけを育てると霜がおりるころまで美しい花を咲かせます。

球根のたくわえかた

花の終わったあとの球根は、そのままにしておくと冬の寒さで凍ってしまいます。
ですから、これを掘り出して、しまっておかなければなりません。
 
それには、秋に、葉や茎が枯れたとき地面にそって茎を切り取り、かぶのまま掘りとっておきます。

そして、アマリリス・ダリアなどは水はけのよい、あたたかい場所を深く掘って、そこに埋めておきます。

グラジオラスは、よく乾かしてふくろや箱に入れ凍らないところにしまっておきます。




春の種まきによい場所と時期とは? わかりやすく解説!

春の種まき

春まきの草花は、6月ごろから咲きはじめるアサガオ・ヒマワリ・ヒャクニチソウ・オシロイバナ・オジギソウ・タチアオイ・マツバボタンなどや、これよりも少し遅れて咲くサルビア・コスモス・センニチコウなどが、おもな種類です。

また、花より葉の美しいハゲイトウも花壇に植えたり鉢植えなどにする春まきの草花です。

このような種類は、みな冬を越すことができない草花です。
ほかに、エゾギク・フロックス(キキョウナデシコ)・ペチュニアなどは冬越しができる草花で、春まきにも、秋まきにもなります。


よい種

まず、よい種(種子)を選ぶことが大切です。新しい種は、たいてい、よく芽を出します。

色のかわったもの、つやのないもの他のものにくらべて軽いものなどは、よく育ちません。
大きさ・形・色のそろった種を選ぶことが大切です。

種まきの場所と時期

東京付近では、3月中ごろになると、気温が、10度ぐらいになります。

春まきの草花は、たいてい10~15度ぐらいのときにまくのがよいので5月はじめごろまでに、まきおわるようにします。

種をまく場所は、まず、深く耕します。
そして、よく腐ったたい肥を土とまぜ、水はけをよくするために砂を少し入れます。

苗床

たいていの草花は、苗床で苗を育ててから、植えかえます。

なかにはヒマワリなどのように、種をまいて、そのまま育てたほうが、よく育つものもあります。

苗床をつくるには、幅1メートルぐらいに土を耕し平らにならしながら土のかたまりをよく砕きます。

土が重くてかたまりやすいときは、よく肥えた土をふるいわけて少しまぜたり砂を少し入れたりして使います。

この苗床に、たてに6~9センチおきに棒ですじをつけ、この上に、種をうすくまきます。

それから、種の2倍くらいの厚さに土をかけておきます。
そして、芽が出るまで、わらを一列にならべ、上からおおいをしてやります。

地面は、温度や湿度の変化が激しいので、わらでそれをふせぐのです。

苗が少ないときには深さ10センチぐらいの木の箱や鉢を苗床のかわりにしてもよいのです。



手入れ

種まきが終わったら、毎日決まった時刻を選び土が流れないように、静かに水をやります。

あまり、水が多すぎてもいけません。
種は、呼吸ができなくなり、死んでしまうことがあります。

水はけのよい土地なら、日あたりのよい日だけ午前10時に、1回かければよいでしょう。

芽が出たら、わらのおおいをとり、日光によく当ててやります。

苗は、こみやすいものですから多すぎるところは、ところどころ、間引きしてやります。

たくさんの苗がいるときは、葉が2、3枚出たとき肥えた土に、ほどよい隙間をもたせて、植えかえてやります。

こうすると、苗の育ちかたは、見違えるほどよくなります。

伸びすぎる種類で、しかも枝のできやすい草花は、つぼみの出るまでのあいだに2~4節のところで芽を摘みます。
こうすると、枝数が多くなり、形が整ってたくさんの花が開きます。

また、つるの伸びる種類では細い竹をたてて形よくつるを・からませてやります。




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