たまごや子魚を保護する魚
たいていの魚は、たまごを生むとあとの世話をしません。
たまごからかえった魚は、ひとりでえさをとって大きくなります。
しかし、なかには、生んだたまごを大切にまもる魚もいます。
磯にいるシマハゼは、めすが海底のカキの殻の中に入ってたまごを生みつけると、おすはその中にあとまでとどまり、たまごがかえるまで番をします。
トゲウオも同じように、おすがたまごをまもります。
淡水に住むタナゴは、めすが長い産卵管で生きているカラスガイの水管の中にたまごを生みおとします。
こうしておけば、他の魚にたまごを食べられてしまう心配がないのです。
ナマズの仲間には、口の中にたまごや子魚を入れて育てるものがいます。
テンジクダイやネンブツダイも口の中にたくさんのたまごをふくんで育てます。
このような親たちは、たまごがかえるまで、えさをとりません。
タツノオトシゴは、おすは腹のところに子を育てるための育児のうというふくろをもっています。
めすは、おすの育児のうの中にたまごを生みます。
育児のうの中に生みつけられたたまごは、その中で保護されながら発育し、かえった子どもは、ちょうどそこから生まれたように育児のうから1匹ずつ水中に泳ぎ出していきます。
子魚の成長
魚はたいへん成長が早くメダカなどでは、たまごからかえってから数か月で親になります。
ハゼをはじめ、小形の魚はたいてい1年で親になりますがサケ・マス・ブリ・マグロなどのように大きな魚は3、4年かかって、やっと親になります。
たまごからかえったばかりの子魚は腹に大きな卵黄をかかえていますが、卵黄は子魚の養分としてついやされるので、だんだんなくなっていきます。
卵黄がまだからだについているうちは、ほかのえさをとりませんが成長を続けて卵黄がなくなると、いろいろなプランクトンを食べはじめます。
体が大きくなるにつれて、ひれのすじがはっきりしてきて体の表面にはうろこもできてきます。
こうしてどんどん成長を続け、ついには親になります。
魚の変態
アユ・メダカ、そのほかの多くの魚は、かえってまもない子魚でも親と同じような体つきをしているので、成長していくあいだに体つきはあまりかわりません。
ところが、ウナギやヒラメ・カレイ・マンボウなどは、その子どもは親とは似ても似つかぬ形をしていて成長していくあいだ、ある時期になると急に形がかわります。
昆虫が幼虫から成虫になるときに変態するように魚にも変態をするものがいるわけです。
ウナギの変態
ウナギは、深海でたまごを生むと言われています。
海でかえった子魚はレプトセファルスと言われ木の葉のようにうすくて、透き通った体をしています。
これが海を泳いで成長しながら陸地に近づいていき6センチぐらいになるとシラスウナギと言われ、川口に姿をあらわします。
そして、川を遡っていくうちに黒っぽくなりヘビのような形にかわっていきます。
マンボウの変態
マンボウやクサビフグも変態します。
この魚の親たちには、尾びれがありませんが子魚には体は小さくてもちゃんとした尾びれがついています。
そして、しばらくすると体から角のようなものが飛出し金平糖のような形になります。
やがて、この角も消えてなくなり、あの奇妙なマンボウの形になるのです。
ヒラメ・カレイの変態
ヒラメやカレイもその子どもは、ふつうの魚のように体の左右に、目が1つずつついています。
しかし、親になると、海底の泥や砂の上で横倒しになった暮らしかたをするので下側になる目が成長するにしたがって頭の頂きをまわって上側にうつってきます。
このほか、魚では、アンコウも変態することが知られています。