酢酸の工業的製法
酢酸は、アセチレンガスと水を作用させるかニチレソガスからアセトアルデヒドをつくりさらに、マンガン塩を触媒として、空気中の酸素で酸化させてつくります。
私たちが、調味料として使っている食酢には数パーセントの酢酸がふくまれています。
食酢をつくるには、酢酸発酵法という方法を使います。
酢酸発酵法は、穀類や果実類からアルコールをつくり
このアルコールを酢酸菌のはたらきで、酢酸にかえる方法です。
酒が古くなると、すっぱくなることがありますが
これも酢酸菌のはたらきで、酢酸ができたためです。
酢酸の実験室的製法
実験室では、ふつう、アセトアルデヒドやエチルアルコールを酸化して
酢酸をつくっています。
そのほか、木材を蒸し焼きして木炭をつくるときに
木酢液としてえられます。
酢酸の性質
純粋な酢酸は、融点が16.7℃、無色の刺激臭のある液体で
水・アルコールーエーテルなどと、どんな割合にでもまざります。
水分を少量ふくんだ酢酸も融点が低く
わりあい低い温度で固体になります。
このような濃い酢酸を、とくに氷酢酸といいます。
酢酸は、電離がごくわずかしかおこらないので弱い酸です。
そのため、酸としては、塩酸や硫酸ほど強酸ではありませんが
工業原料としては非常に大切です。
濃い酢酸には、いろいろな有機化合物に作用する性質があります。
この作用を、酢酸化作用、またはアセチル化作用といいます。
たとえば、繊維素(セルロース)に作用させると
アセテート繊維の原料になる酢酸繊維素ができます。
酢酸の用途
酢酸は、アセテート繊維の原料になるだけでなく
日本で発明されたビエロンや写真の不燃性フィルムの
原料として使われます。
そのほか、染料・医薬品・香料の製造にも使われています。