炭酸水素ナトリウムの製法
炭酸水素ナトリウムには、アンモニアソーダ法で炭酸ナトリウムをつくる途中でできます。
また、炭酸ナトリウムの水溶液に二酸化炭素を飽和させても炭酸水素ナトリウムをつくることができます。
医薬用の炭酸水素ナトリウムは、この方法でつくります。
炭酸水素ナトリウムの性質
炭酸水素ナトリウムは白色の粉末で、水にはあまり溶けませんがその水溶液は、弱い塩基性をしめします。
炭酸水素ナトリウムは、たいていの酸に溶け二酸化炭素を発生して、その酸のナトリウム塩をつくります。
また、炭酸水素ナトリウムの水溶液を空気中にほうっておいたり結晶を強く熱したりすると、二酸化炭素と水をだして分解し炭酸ナトリウムになります。
この熱すると二酸化炭素をたす性質を利用して炭酸水素ナトリウムは、ふくらし粉としても使われます。
炭酸水素ナトリウムが、炭酸ナトリウムにくらべて塩基性が弱いのは炭酸ナトリウムより加水分解のしかたが弱く水酸イオンのできる割合が少ないためです。
炭酸水素ナトリウムの用途
炭酸水素ナトリウムは、酸との作用が炭酸ナトリウムに似ていて性質がいっそう穏やかなので、医薬品に使われます。
その穏やかな性質を利用して、胃液中の塩酸の中和に使われるのです。
そのほか、消火器・ラムネ・ベーキングパウダーなどをつくるのに利用されます。
ベーキングパウダー
パンなどを焼くとき、ふくらし粉として炭酸水素ナトリウムだけを使うことがあります。
このときは、下の①式のような熱分解でできる二酸化炭素がふくらます役目をします。
この場合、炭酸ナトリウムができるので、少し苦味が残ります。
それで、菓子などをつくるときにふくらし粉として使うベーキングパウダーでは炭酸水素ナトリウムに①式でできる炭酸ナトリウムを分解するための酸をくわえたものです。
ふつう、酸としては酒石酸などが使われます。
この場合は。①式につづいて②式の反応がおこり、炭酸ナトリウムは酒石酸ナトリウムのような苦味の少ない塩にかわるので味がたいへんよくなります。
また。この②式の反応でも二酸化炭素ができるのでふくらますはたらきも、2倍になるわけです。