硫酸アルミニウムの製法
硫酸アルミニウムは、アルミニウムや水酸化アルミニウムに硫酸を作用させてつくります。
工業的には、アルミニウムの精練の中間製品である水酸化アルミニウムを原料として製造します。
硫酸アルミニウムの性質
純粋な硫酸アルミニウムは、白色の結晶で、水に溶けやすく水溶液は、加水分解して酸性をしめします。
水溶液から結品させた硫酸アルミニウムは、18水和物でこれを熱すると、結品水をなくして、白色の無水物の粉末になりさらに赤くなるまで熱すると、酸化アルミニウムになります。
ミョウバン
硫酸アルミニウムの水溶液に、硫酸カリウムを溶かし煮詰めてから冷やすと、カリウムミョウバンの結晶ができます。
この結晶が、ふつう、ミョウバンといわれているもので強く熱すると、結晶水がなくなって、白い粉末になります。
これを、焼きミョウバンといいます。
硫酸カリウムのかわりに、硫酸アンモニウムを使うとアンモニウムミョウバンの結晶ができます。
カリウムミョウバンとアンモニウムミョウバンは結晶の形が似ているのでアルミニウムミョウバン類ともいいます。
アルミニウムのかわりにクロムを使うと、クロムミョウバン類ができます。
この2種類は、結晶の形が似ているので、まとめてミョウバン類とよぶこともあります。
アルミニウム塩の用途
硫酸アルミニウムやアルミニウムミョウバンを水に溶かすと加水分解をおこして、目に見えないような細かい水酸化アルミニウムの沈殿ができます。
この沈殿は、ごみを吸いつける性質をもっているので水をすませるときに使います。
また、水酸化アルミニウムは、染料を吸いつける力をもっています。
この性質を利用して、染めにくい繊維の表面にアルミニウム塩をつけて、染めやすくしています。
このようなはたらきをする薬品を、染剤といいます。
媒染剤としては、硫酸アルミニウム・酢酸アルミニウム・アルミニウムミョウバン類などのアルミニウム塩が使われます。
紙のめをつめ、紙をなめらかにしてインキのにじむのをとめる薬品をサイズといいます。
水酸化アルミニウムは、このはたらきをするのでアルミニウム塩は、ほかのものとまぜてサイズとしても使われています。
複塩と錯塩
カリウムミョウバンは、カリウムイオン・アルミニウムイオン・硫酸イオン・水分子が1対1対2対12の割合で、規則正しくならんでできた結晶です。
この結晶を水に溶かすと、これらのイオンがばらばらになるのでカリウムイオン・アルミニウムイオン・硫酸イオンのそれぞれの性賢があらわれます。
つまり、硫酸カリウムと硫酸アルミニウムの性質をそのままもっているわけで
このような塩を複塩といいます。
いっぽう、シアン化カリウムとシアン化銀をまぜてできた銀シアン化カリウムは、もとの2つの塩と性質のまったく違った新しい塩です。
この塩は、カリウムイオンと銀シアンイオンとからできています。
この銀シアンイオンは、銀イオンにシアンイオン2個が強くむすびついたイオンで銀イオンとも、シアンイオンとも性質が違います。
このようなイオンを錯イオンといい、錯イオンをふくむ塩を錯塩といいます。