作用と反作用
手で壁を押すと、手が壁から押し返されるのがわかります。
また、夏、静かな水面でボートから飛び込むとボートは飛び込んだ方向と反対の向きに進みます。
このように、力は必ず2つの物体のあいだで、同時に伝わります。
2つの力A、Bのうち、一方を作用と言い、他方を反作用と言います。
どちらを作用といっても、反作用と言ってもよいのです。
ニュートンは「作用と反作用とは、一直線上にあって向きが反対でその大きさは全く等しい」ことを発見しました。
これが、作用反作用の法則と呼ばれるもので力が物体と物体とのあいだを伝わるしくみをしめした大切な法則です。
1つの物体だけで、自分が、自分に力をはたらかせることはできません。
自分に力をはたらかせるには、自分以外の物に力をはたらかせてその反作用として自分が受ける力を利用するのです。
人が地面を歩けるのは足で地面を蹴るとその反作用として、地面が足を押し返してくれるからです。
また、口ケットが飛ぶことができるのは燃料を燃やしてつくった気体をうしろに噴き出して、その反作用を利用しているからです。
ボートに乗っている人が船首を力いっぱい押してもボートは動きませんがオールを用いるとオールが水に力をおよぼしその反作用として、水がオールを前方へ押すことになります。
ボートが前進するのは、この力のためです。
力は、手と壁のように、2つの物体が直接触れあっている場合にも磁石の力や電気の力、万有引力などのように2つの物体がはなれている場合にも伝わります。
そして、作用反作用の法則は、いずれの場合にも、成り立っています。
ここで注意しておきたいことは、作用反作用の法則と二力のつりあいとは根本的に違うもので2つの物体がお互いにおよぼしあう力が作用反作用であり1つの物体に、2つの力がはたらくのが二力のつりあいです。
抗力
物体が1つの面と接しているとき物体がその重さで面を押す力の反作用として、その力と反対の向きで大きさの等しい力が物体を押し返しています。
この力を抗力と言います。
左の図のように面が水平面の場合と斜面の場合では物体がその面とつりあっている状態は、それぞれ違います。
物体が水平面上で静止しているとき抗力は、物体の重さの力とつりあっています。
しかし、面の一方を上げていくと、ある点までは静止していますがやがて物体は、その面にそって滑り落ちます。
物体が斜面上で滑り落ちないときは2つの力、すなわち、斜面に垂直にはたらく垂直抗力と斜面に平行にはたらく摩擦力との合力と物体の重さの力とがつりあっているからです。
物体が斜面を滑り落ちるときは物体の重さの力のほうが合力よりも大きくなるからです。
撃力
2つの物体が、ごく短い時間だけふれあい、すぐにはなれる場合ふれあっている間に、互いに押し合う力を撃力と言います。
2つの物の衝突が、この例です。
金槌で、釘を打ち込むとき、バットでボールを打つとき車と車とがぶつかるときなどにはたらく力が撃力です。
撃力は、物体が重いときほどまた、衝突する前の速さが大きいときほど、大きくなります。
電車にトラックが衝突したときなどは、非常に大きな力がはたらくので固い鉄の車体が、あめのように曲がったりします。
撃力のときにも、作用反作用の法則が成り立っています。
2つの物体が、互いに受ける力は、反対向きで、等しい大きさです。
かなづちで釘を打つ場合、釘の受ける力とかなづちの受ける力とは同じ大きさです。
石で貝殻を叩くと、貝殻は、粉々に潰れます。
この場合も、貝殻が受ける力と、石が受ける力は同じ大きさです。
ただ、貝殻のほうがもろいので、潰れてしまうのです。
力の大きさが違っているのではありませんから。
間違えないようにしましょう。