クレーター
月面の明るい部分は、海のように平らでなく大きなくぼみがたくさん集まっています。
南半球にあるクラビウスは、大きなくぼみで直径がなんと230キロメートルもあります。
月の裏側には直径500キロメートルもあるクレーターが知られています。
このような地形は、地下からガスが逃げ出して陥没してできたくぼみであるという火山説と大きな隕石が落ちてきて開けた穴だという隕石説がありどちらが正しいかまだはっきりしていません。
しかし、くぼみの形や様子などから、火山説の方が現在は広く受け入れられているようです。
このくぼみのことを、火口とかあばたとか、クレーターとかよんでいます。
クレーターとは、もともとは杯という意味です。
月面の真ん中付近に大きなクレーターが3つ、南北方向にならんでいます。
南からアルザッヘル・アルフォンスス・トレミーの3つのクレーターです。
いちばん大きいトレミーは、直径140キロメートル、アルフォンススは110キロメートル、、アルザッヘルは96キロメートルです。
大きいトレミーの形はまるいというよりクラビウスと同じように多角形になっています。
しかも多角形の確変は、クレーターの外へ遠くまで伸び丘陵となったり小さいクレーターの列になったりして連なっています。
いちばん小さいアルザッヘルは、まるく整った形をしています。
アルフォンススには中央に山があり1958年の秋、このあたりからガスの吹き出るのが発見されました。
月には大気がないため、山の影がくっきりとしていかにもとげとげしく見えますが、実際にはなだらかです。
このことは、ルナ=オービター2号の撮った写真をみればよくわかります。
「雨の海」の南岸にあるコペルニクスは、満月のとき見るととでも明るいクレーターで、ここを中心にした四方に光の矢のような模様が伸びています。
これを光条といいます。
南半球にあるチコ山から伸びる光条は赤道を越え、北半球にまで伸びています。
隕石説によると大隕石が落ちてクレーターができたとき飛び散った破片が光条となったと考えています。
火山説では、もちろん火山灰の積もった物としています。
コペルニクスやチコは、月の歴史でいちばん新しい時代にできた若いクレータ―でしょう。
ルナ=オービター2号はコペルニクスの内部を大きくうつしだしました。
地球の火口とよく似ていますが、月には空気や水がないため浸食作用によって刻まれた谷やがけ崩れは見られません。
山脈と谷
月にも山脈がありますが、それは月の海とよばれる海岸にそって伸びる海岸山脈です。
とりわけ「雨の海」の南東岸にあるアペニン山脈、北西岸に連なるアルプス山脈などはよく知られています。
また、月面の明るい部分には、無数のクレーターのほかに谷も見られます。
月面の中央近くにあるヒギヌスの谷は、望遠鏡でもよく見えますがルナ=オービター3号は、そのくわしい写真をとりました。
この谷は、ただのひび割れというものではなく、谷の底が平たくなっています。
また、谷そのものも対象のクレーターの列からできているようにも見えます。
月の裏側
1959年、ソ連のルナ3号は、月の裏側の写真をとるのに成功しました。
いままでは、だれも見ることができなかった月の裏側がはじめて明らかにされたのです。
それまでは、神秘に包まれていた月裏側のベールが、はじめて外されたのです。
最近では、アメリカのルナ=オービター号がくわしく写真をとりそれをもとにして、裏側の地図もできているほどです。
月の裏側にはm表側のような海がなく、一面が陸地で表側の耀地部分と同じように、多くのクレーターがあります。
いままで、表側の観察だけではわからなかったことが裏側を見ることにより、わかったこともあります。
上の写真は、ルナ=オービター4号が撮影した月の裏側と表側の境界付近のものです。
この写真は、月面から高さ4000キロメートルのところからうつしたものです。
上側の南極付近には、400キロメートルもある大クレーターがありその北側へ長さ320キロメートルもある大きな割れ目がはしっています。
この割れ目は、月面で最も大きいものの1つと考えられます。
写真に向かって左側が、表側で「嵐の大洋」につながっています。
右側は、まったく地球から見ることのできない部分です。
そのほか右ページの写真のように、表側には見られない大きなクレーターや奇妙な形をしたクレーターなども発見されています。