ダムの種類と特徴とは?重カダム・アーチダム・バットレスダムとは?

ダム

川の水をせき止めて水を溜めたり、流れてくる土砂を沈めるための大仕掛けなせきをダムと言います。

発電用ダムはダムによってできた貯水池の水を水力発電に使うためにつくられたものです。

大雨によって、いちどにたくさんの水が谷川に流れこんだときこの水をいちじ貯水池にたくわえて、下流の洪水をふせぐためのダムが洪水調節用ダムです。

このようなダムは、ダムの一部に穴があけてあり水が自然に少しずつ流れでるようにしてあります。

上流の谷川は流れが急なので、川底や岸を削って、山崩れを起こすことがあります。
また、石や土砂を押し流して下流を浅くします。

そこで、ダムをつくって、流れをゆるやかにし石や土砂をダムの上流側に沈ませると、これらの害をふせぐことができます。

このためにつくられたダムを砂防ダムと言います。

ダムには、このほか、上水道用・灌漑用など、いろいろの目的のものがありますが、いくつかの目的を合わせもつ大規模のダムを多目的ダムと言います。

ダムが洪水のときに壊れたりすると下流一帯は大水となり、たいへんな被害を受けます。
このため、ダムをつくるときには、上流側からの水圧に耐えるように丈夫につくらなければなりません。

ダムは、そのつくり方によって、つぎのようにわけることができます。


重カダム

ダムの上流側には、ダムを押し倒そうとする水圧がはたらきダムの底面と岩盤とのあいだに水が染み込むと、さらに上向きの力もはたらきます。

この力は、上流側ほど強いので、ダムを下流側に傾けようとします。

上流側に積もった土砂も、ダムを押します。
ことに、地震のときには、水といっしょに、大きな力でダムにあたります。

これらの力で、ダムが倒れたり、滑ったりしないためにはダム自体が重いことダムの底面が広いこと、ダムの底面と岩盤とのあいだの摩擦力が大きいことなどが大切になります。

コンクリートで、このような条件を備えるようにつくったダムを重カダムと言います。

アーチダム

上流側にまるみをつけたコンクリートのダムを、アーチダムと言います。
このダムはダムのまるみによって水圧を支え、この力を両岸に伝えます。
これが、重カダムと違うところです。

アーチダムは、水圧を両岸と基礎で支えるので重カダムのように、厚くつくらなくてもすみます。

このため、コンクリ-卜の量も少なくてすみます。
しかし、基礎の岩盤や両岸が、硬い岩でできているところでないと、つくれません。



バットレスダム

ダムの上流面を傾けた、うすいコンクリートの壁でつくりこの壁を、それに垂直ないくつかの壁(バットレス)で支えたダ厶です。

このダ厶は、水圧をななめ下に向けさせてあるためにダム自体の重さは小さくても、押し流されにくくなっています。

コンクリートは少なくてすみますが、構造が複雑で地震に弱いため小規模のものしかつくれません。

アースダム

土砂の地盤の上に、土をもり上げてつくり、上流側の裏面にコンクリートや石をはったダ厶です。

これも土の重さで、水圧に耐えています。

アースダムは壊れやすいので、あまり高いものはつくれません。

ロックフィルダム

大きな石を積み上げてつくったダムで、上流側の面は水もれをふせぐためにコンクリートがはってあります。

これは、適当な岩盤がないときやセメントなどの材料を運ぶのが不便な場合に、よくつくられます。

しかし、水がダムを乗り越えると、壊れやすいという欠点があります。




木造建築の強さとは?鉄筋コンクリートとは? わかりやすく解説!

建物

建物には、木造・コンクリートブロックづくり鉄筋コンクリートづくりなどの種類があります。

木造の建物は、火事、地震・大風などに弱く、腐りやすいのが欠点です。

コンクリートブロックを、セメントでつないでいくコンクリートブロックづくりは火事に強くても地震に弱いので鉄筋を合わせて使い、強さをおこないます。

鉄筋コンクリー卜や、鉄骨鉄筋コンクリートでつくった建物は火事にも、地震にも強いのが特色です。


木造建築の強さ

木造の家を建てるには、まず、丈夫な基礎をつくります。

これは、土地を掘って、小石や砂利をいれてつき固めその上にコンクリートを流しこんだものです。

基礎の上の面は、水準器を使って、水平にします。
その上に土台の角材をのせ、植え込みボルトで円定します。

床をはるには、まず、ねだと言う角材を厚さが幅より大きいように間隔をおいてならべ、その中間部を、つかという小さな柱で支えます。

このねだと直角に交わるように板をならべて、釘でとめればよいわけです。

ねだの間隔をほどよくしないと、床板がたわんできます。
ねだや板は、厚さが厚いほど、物をのせたときのたわみが少なく内部の応力も小さいので、折れにくくなります。

はりにする角材も幅より厚さの厚いほうが丈夫です。
また、柱はおもに圧縮の力を受けるので、あまり細長いと、曲がって折れます。
ことに、二階建て以上の場合には、柱の太さをとくに太くしなければなりません。

木造建築は、どのつぎめも滑節と考えてよく、つぎめで角度をかえることができます。
しかし、滑節でも三角形に組み合わせると、トラスになって強くなります。

屋根の柱と、はりのあいだに取り付ける方づえ柱と柱とのあいだにななめにとりつけるすじかいはりや土台の角に取り付けるひうちなどは、三角形の組み合わせによって地震や大風などによって、家が潰されるのをふせいでいます。

壁も、建物を強くします。
壁の中にすじかいをつけると、さらに丈夫になります。

木材は、ほぞや、つぎてによってつなぎますが、これだけでは弱いのでつぎめのところを、金具でしめつけて、強さを補うこともできます。



鉄筋コンクリート

コンクリートは、圧縮には強いが引っ張りに弱い材料です。
そこで、コンクリートの中に引っ張りに強い鋼棒(鉄筋)を埋め込むことが考えられました。

これが、鉄筋コンクリートです。

鋼は、火にあうと弱くなって曲がりますがコンクリートは火に強いので、中の鉄筋を保護します。

また、鉄筋が錆びるのもふせいでいます。

鉄骨鉄筋コンクリート

組み立て柱や、組み立てばりで組んだ鉄骨のまわりをさらに鉄筋コンクリートで固めたものが、鉄骨鉄筋コンクリートです。

このつくりは、柱やはりのつなぎめの角度がかわらないラーメンになっていて、たいへん丈夫です。

そのうえ、火事にも強いので、ふつう、6階以上の高いビルディングに使われています。




橋の構造と種類、特徴と性質とは?トラス橋・アーチ橋とは?

橋は、そこに使われている材料で区別すると、木や石でできている橋、鉄橋、鉄筋コンクリートの橋などに、おけることができます。

木の橋は、値段が安くできますが、くさりやすいのであまり長く使うことができません。

石は圧縮の力に強いけれども、引っ張りの力に弱いので石で橋をつくるときはアーチ橋にします。鉄橋は、形鋼や使ってくれます。

鉄筋コンクリート橋はアーチ橋としても、けた橋としてもつくられますがその欠点は重すぎることです。

橋を構造の上からわけるとけた橋・トラス橋・アーチ橋・ラーメン橋・つり橋・可動橋などにわけられます。


けた橋

橋台や橋脚のあいだに何本かのけたをわたしその上を通れるようにした橋を、けた橋と言います。

ふつう、支間が10メートル以内のときに、木のけた橋がつくられます。

支間が30メートル以内では鉄筋コンクリート橋、50メートル以内では鋼橋としてつくられます。

鋼橋は、鋼板と山形鋼をびょうで組み合わせてI形の断面にしたものや、鋼版を溶接したものなどを、けたとして用います。

けた僑のうち、径間ごとに1つのけたをわたしたものを、単純けた橋と言います。

いくつかの径間に、1つのけたをわたしたものにはゲルバーけた橋と、連続けた橋があります。

ゲルバーけた橋は、けたをつなぐために途中にヒンジ(回転できる連結装置)を設けたものです。
この方法は、けた橋だけでなくトラス橋にも取り入れられています。

トラス橋

三角形の骨組を、いくつもつないでいって橋台や橋脚のあいだにわたしたものをトラス橋と言います。

トラス橋では、橋の重さや、橋の上を通る人や車の重さのために上げん材は圧縮の力を受け、下げん材は、引っ張りの力を受けます。

また、垂直の柱は、引っ張りの力を受けます。

ななめ材は引っ張りの力を受けることも、圧縮の力を受けることもあります。
トラス橋の各部は、けた橋と違って、曲げの力をあまり受けません。

トラス橋の床の下には、縦げたと横げたが組み合わせてあって、床を支えています。

トラス橋には、上げん材と下げん材が、平行なものもありますが支間が60メートル以上のものでは上げん材または下げん材を弓なりに曲げてあります。

ラーメン橋

けたと橋脚とが硬くつながれていて、一体となっている橋をラーメン橋と言います。
これは、鋼または鉄筋コンクリートでつくります。

東京のお茶の水橋は、門形のつくりのかたのところに、小さい腕をつけこの腕と両岸のあいだに、ふつうのけた橋をかけたものです。

高架鉄道橋にも、ラーメン橋があります。

ラーメン橋の各部分は引っ張り、または圧縮のほかに曲げの力も受けます。



アーチ橋

これは、虹のようにそりかえっている橋で、東京の聖橋や山口県の錦帯橋などが、これにあたります。

アーチ橋の大きなものでは、長崎県の大村湾にかけられている西海橋(316メートル)が有名です。

アーチ橋は、おもに圧縮の力を受けますから石やコンクリートでつくることもできます。

また、アーチ橋の支承には、ななめの方向に力がはたらくのでこの力を垂直に受けるように支承を傾けたものがあります。

つリ橋

橋の径間が長くなると、つり橋が使われます。

これは、両岸に設けた塔に、太い鋼のケーブルをかけわたしこのケーブルから、橋の床をつりさげたものです。

ケーブルの両端は、両岸の岩盤にしっかりと円定してあります。

つり橋のうちで、橋の床をケーブルからつりさげただけのものを無補剛つり橋と言います。
しかしこれは、人や車が通ると、橋全体がゆがんでしまいます。

そこで、橋の床にトラスをつけて、形がゆがまないようにしたものがあります。これを補剛つり橋と言います。

有名なアメリカのゴールデンゲート橋は中央の径間が1280メートルもある補剛つり橋です。
九州の洞海湾をまたぐ若戸大橋も橋の長さ680メートル、中央の径間が367メートルある、補剛つり橋です。

可動橋

ふつうの橋をかけたのでは橋の下を船が通るとき、つかえて通れないことがあります。
このようなところでは船が通るときだけ橋げたの一部を動かして、船を通しています。
このような橋を可動橋と言います。

可動橋のうちでも、橋げたの一部をはね上げるものエレベータ仕掛けで上にあげるもの、橋脚の上で水平にまわすものなどの種類があります。




材料の組み合わせによる強さの違いとは?トラスとラーメンとは?

組み合わせによる強さ

木平鋼の棒を組み合わせて、家や橋や塔などをつくりますがその組み合わせ方によって、強さが違ってきます。

形鋼の場合は、まえの組み合わせばりの例のように各部分の力のかかり方によって、いろいろな組み方ができるので便利です。

つぎに、棒を組み合わせた場合、その組み合わせ方によって強さがどのように違うか、調べてみましょう。


実験1

つぎの①図のように、マッチの軸木を四角形にならべ四すみを輪ゴムでしばります。
これとは別に、②図のように、軸木を三角形に組んでやはり輪ゴムでしばります。

これを指で引っ張ったときどちらか形がかわりやすいかくらべてみましょう。
①のほうは、すぐ点線のようにひし形になりますが②のほうは、なかなか形をかえません。

このように、棒を三角形に組むと、たいへん丈夫になります。
そのため、三角形の組み方は、建物や橋などに、広く利用されています。

棒と棒をつないで組み立てた構造物を骨組と言い、そのつなぎめを、節点と言います。

また、骨組の棒が、つなぎめで自由に回転できるときはこのつなぎめを滑節と呼びます。
また、ピンでつながれているとも言います。

滑節では、棒と棒とのあいだの角度は、自由にかえられます。
木造や鉄骨の建物の骨組は、ふつう、滑節と見なされています。

トラス

すべてのつなぎめが滑節であるような骨組をトラス(沿節骨組)と言います。

棒が、三角形の網目のように滑節でつながれている骨組は、代表的なトラスです。

トラス橋の両側の骨組は、これにあたります。

実験2

まえの実験でつくった、①図のような四角形の枠につぎの図のように、軸木ABをゴムひもで縛り付け四角形の枠を引っ張ってごらんなさい。

こんどは、四角形の枠が、丈夫になっています。
これは、ABCという、丈夫な三角形の枠ができたからです。

木造建築で、柱と柱のあいだに、すじかいという、ななめの棒を入れたり、はりと柱のあいだに、方づえという棒を入れたりするのはこれと同じ理由からです。



実験3

マッチの軸木を、輪ゴムで組んで、三角形ABCをつくります。
これを、下の図のように机の上に立て、Aのはしを上から押してみます。

このとき、つなぎめの動きを観察して、軸木の各部分に
どのような力がはたらくか、調べてみましょう。

A点の輪ゴムは、下のほうに動いて
AB・ACの軸木を、下にめりこませようとします。
これは、AB・ACに、圧縮の力がはたらいていることをしめします。

B点の輪ゴムは左へ、C点の輪ゴムは右へ、ずるずると滑ろうとします。
このことから、BCの軸木には、引っ張りの力がはたらいていることがわかります。

ですから、BCの棒を丈夫な糸や針金とかえても
このような外力にたえることができます。

棒をピンでつないだ、トラスでは、それぞれの棒は
おもに引っ張りの力、または圧縮の力のみを受けます。

棒の組み合わせに、外力をかけた場合に、外力の加わり方によって
それぞれの棒に生じる応力の性質や、大きさが違ってきます。
そのため、それぞれの棒は断面の形や太さなどを、適当に選ばなければなりません。

脚立は、両あしを開いて立て、その上にのぼって、仕事をするのに使います。

この場合、図のように、太い針金ABをかけると
両あしが開かないのは、ABが、張力に耐えているからです。

たな板ABをつるとき、Bのところを釘づけするだけでは弱いので
ACのような支え棒を入れると、重い物をのせることができます。

この場合、ACは圧縮の力に耐えるだけの、太い棒を用います。
また、ADのように針金でつることもできます。

ラーメン

トラスとは反対に、棒と棒とのつなぎめが、すべて硬くつないである骨組もあります。

これは、骨組が変形しても、つなぎめのところで棒と棒との用度が、全くかわりません。

このようなつなぎめを、剛節と言い。
剛節でつながれている骨組を、ラーメン(剛節骨組)と言います。

鉄筋コンクリートや、鉄骨鉄筋コンクリートの柱とはりのつなぎめは剛節と見なされます。

下の①図のようなトラスに、左から押す力が加わると点線のような形になり、はりABにも、柱AD・BCにも、曲げの力が加わりません。

②図のラーメンでは、左から力を加えるとつなぎめのAやBのところの角度がまったくかわらないので点線のように変形します。

この場合は、柱がA’D、B’Cのように曲がるだけでなくはりABも、点線A’B’のように曲がります。

ラーメンでは、骨組の一部に加わった曲げの力が、ほかの部分にもわけられるため、骨組の一部にだけ、大きな力が集まることがありません。

このためラーメンもトラスとともに橋やそのほかの構造物の骨組として、使われています。




形鋼とは?材質と強さと性質とは? わかりやすく解説!

形鋼

図は角棒を曲げたとき、内部にはたらく応力の分布をわかりやすくあらわしたものです。

棒の上面では、左右の方向に引っ張りあう力がいちばん大きく下にいくにしたがって小さくなり、中間の断面にそってゼロになっています。

それより下では左右に押しあう圧縮の力にかわりいちばん下の面で、その力がいちばん大きくなっています。


このように、棒を曲げたときは、棒の軸に沿って上半分は伸び、下半分は縮んでいます。
この境目の面は、伸びも縮みもしないため、中立面と呼んでいます。

中立面の付近は、ほとんど力がはたらいていないのでこの近くの材料を節約しても、棒の強さには、影響がないはずです。

実際に、このような工夫をして、断面の形を決めたものに建築物や橋などの構造物に使われている、I形の鋼材があります。

これは、材料を節約していながら、曲げに対して、非常に丈夫です。
レールも、これに近い形をしていて、列車の重みによく耐えています。

建築物や構造物に使われる鋼材には、断面がI形をしたもののほかL形(山形鋼)や、U形(溝形鋼)・T形・H形をしたものなどがつくられています。

このような鋼材は、形鋼と呼ばれています。

形鋼は、それだけを、はり(けた)や柱として用いるばかりでなく山形鋼と鋼板とを組み合わせて、組み立てばりや組み立て柱として使っています。

形鋼のほか、断面が円・正方形・八角形をしたものなどがあります。
これらは、棒鋼と呼ばれ、建築物や構造物を組み立てるのに使われています。



丸棒と円筒

同じ量の材料を使った、丸棒と円筒とをくらべてみると中のつまった丸棒よりは、中が空になった円筒のほうが曲がりにくくまた、折れにくいことがわかります。

これは、円筒のほうが中立面の付近の材料を、ほとんど取り去って引っ張りや圧縮の力がはたらく、まわりの部分に集めてあるからです。

洋服ダンスの中の横棒や、椅子などによくパイプが使われているのは、このためです。
また、竹の竿が木の棒にくらべて軽く曲げに強いのも同じような理由からです。

釣竿には先ほど小さく、ねもとほど大きい曲げモーメントがはたらきます。
それで、先がしだいに細くなっている竹が使われます。

材質と強さ

棒は、断面の形によって、曲げの力に対するたわみや、応力が違いますが、材料が木材か金属か、鋼か鋳鉄かアルミニウムかによりまた応力の種類によっても、強さが違います。

同じ木材でも、スギにくらべると、ヒノキやラワンのほうが
曲げたときの破壊に対する強さが強く、カシはさらに強くなります。

水分をふくんだ木材は、乾燥した木材より、強さが劣ります。
また、繊維に平行な方向では引っ張りに強いが
繊維に垂直の方向では、弱くなります。

金属材料では、金属の成分の種類や割合によって強さが著しく違ってきます。
また、どれほど加工したか、どのような熱処理をしたかなどによっても強さが違ってきます。




梁の強さとは?梁にはたらく力とは? わかりやすく解説!

柱と梁

鋼や木材などで棒がつくられますが建築物や構造物で棒が縦におかれて圧縮応力を受けるように使われるとそれは柱と呼ばれます。

棒が、おもに横におかれて、曲げの応力やずれの応力(せん断応力)を受けるように使われるとはり、または、けたと呼ばれます。

これらの棒の断面の形には、円形や長方形をしたものやI形・L形・U形をしたものなどがあります。


梁にはたらく力

板ばねの実験で、下じきを使いましたがこれがもし細長ければ、はりと見なせます。

片方だけを固定したはりを、かたもちばりと言います。
また、両はしに支点をおいて支えたはりを、両端支持ばりと言います。

片持ち梁に、図のように重りをのせたときは固定したはしに近いほど、大きな曲げのはたらきを受けます。

両端を支えたはりで、中央に重りをのせたときは中央に近いほど、曲げのはたらきは大きくなります。

このように、材料を曲げようとする力のはたらきを曲げモーメントと言います。

それぞれのはりの下に書いた図形ははりの各点にはたらく、曲げモーメントの大きさをあらわしたものです。

はりには、このほかに、ずれの応力がはたらきます。
図で、はりのある断面Sを考えますとその右側はPのように動こうとし、片側はQのように動こうとします。

このため、Sの面の両側では、上下にこすり合うようなずれの変形を起こそうとします。

このように、はりには、各種の応力がはたらくので建物や橋などに使うには両方の変形について破壊に対する強さの大きいことが必要なわけです。



断面の形と材料の強さ

同じ材質のはりでも、断面の形によって、その強さが違います。
そこで、模型飛行機に使うヒノキの角棒やスギばしを使って、その実験をしてみましょう。

実験1

辺の長さが、5ミリと2ミリの長方形の断面をもつ角棒をせまい面を下にして、2つの台のあいだにわたします。
台の間隔は、30センチから80センチのあいだに選びます。

角棒の中央に、10円銅貨(約4.5グラム)を、1枚・2枚……とのせていきものさしで、中央部が何ミリ下がっていったかを測ります。

つぎに、広い面を下にして、まえと同じように中央部のたわみを測ってみます。
すると、せまい面を下にしたときよりも、たわみが大きくあらわれます。

この実験から、同じ材料を使っても、せまい面を下にしたときと広い面を下にしたときとで、曲がり方が違ってくることがわかります。

はりとして使う場合には、力が加わったときに曲がり方をできるだけ小さくするように工夫しなければなりません。

実験2

こんどは、材料の強さについて、実験してみましょう。

まえと同じヒノキの角棒を、長さ10センチに切ります。
自動上皿測りの皿に、うすいマッチ箱か、丈夫な洗濯ばさみを立ててこの角棒を折る支点とします。

まず、角棒の中央部を、せまい面を下にして支点にあて両はしをもって強く下に押し付けます。
そして、角棒が折れる寸前のはりの目もりを呼んでおきます。

つぎに、同じ角材を、まえと同じ長さに切り、広い面を下にして同じような実験をしてみます。
このときは、まえよりずっと小さい力で折れます。

木材は金属と違って、材質がいちようでないうえに破壊にむらが多いので、実験のたびに、かなり違った結果がでます。
そこで、この実験はなるべく数多くやって、その平均をとるようにします。

つぎの実験結果は、それぞれ10回やって、その平均をとったものです。

断面が5ミリと2ミリの長方形で、長さ10センチのヒノキの角棒ではせまい面を下にすると、だいたい2.2キログラム重の力で折れました。

広い面を下にしたときは、1.2キログラム重で折れました。

断面の形が、一辺が2ミリの正方形の角棒でやってみますと0.6キログラム重の力で折れました。

棒の強さ

このような実験から角棒は、同じ厚さなら、幅の広いほうが折れにくく同じ幅なら、上下に厚いようにおいて曲げたほうが折れにくいことがわかります。

家をつくるとき、はりや、床板を支える横木(ねだ)を上下に厚いように使うのは、このためです。

中央の支点のところで折れたのはここで、曲げモーメントがいちばん大きくなるからです。

木の枝は、つけねほど太く、先にいくほど細くなっています。
これをかたもちばりと考えると、つけねに近いほど枝の重みによる曲げモーメントが大きくなります。

したがって、木の枝は、それに伝えるのに都合のよい形をしていることがわかります。

木のぼりをしたとき、枝の先のほうにつかまると折れやすいのでなるべくつけねの近くに体重をかけます。

つけねにはたらく曲げモーメントの大きさはつけねからの距離に体積をかけたものになりますからつけねに近いほど、体重による曲げモーメントが小さくなるわけです。




ばねの利用とゴムの利用とは? わかりやすく解説!

ばねの利用

弾性をもつ物は、ばねとして広く利用されていますがひとくちにばねと言っても、その目的によってそれぞれ違った使い方をしています。


ばねに仕事をさせる

ばねに力を加えて変形させると外力はその力に動いた距離をかけた値と同じだけの仕事をします。

これは、変形のエネルギーとしてばねに蓄えられ、ばねがもとにもどるときに同じ量の仕事をします。

この性質を利用したものに、時計のぜんまいがあります。
ぜんまいをまいておくと、変形のエネルギーを、少しずつ仕事にかえて時計の歯車や針を、摩擦力に逆らって動かしていきます。

また、洋服ブラシは、毛の弾性を利用して小さいごみを跳ね飛ばすものです。

物をおさえる

洗濯ばさみや紙ばさみなどはつるまきばねの弾性を利用して物をおさえるものです。

電気のスイッチにも、銅板の弾性が利用してあります。

自転車のスタンドにも、つるまきばねがついていてスタンドをあげたとき、水平に保つはたらきをしています。

ボイラの安全弁をおさえておくためにも、ばねが使われます。
これは、ボイラの蒸気が、一定の圧力以上になったとき弁を押し開いて安全を保つようにしたものです。

衝撃や振動を弱める

自動車や鉄道車両は、運転中に、いろいろな衝撃の力や、振動を受けます。
そこで、車軸と車体のあいだに、重ね板ばねやつるまきばねを使ってこれらの力を弱めています。

椅子やベッド、自転車のサドル、オートバイなどについているつるまきばねも同じようなはたらきをしています。

列車の連結器には、輪ばねをならべて使ったものがあります。
これは、内輪ばねと外輪ばねを組み合わせたもので互いに円錐形の面で接しています。

輪ばねに、軸の方向から力が加わると内輪ばねは圧縮され外輪ばねは押し広げられます。

このため、触れ合っている面に大きな摩擦力もはたらき、衝撃の力を弱めることができます。

力の大きさを測る

ばねは、弾性限度内では、フックの法則によって外力と変形の量が比例します。

この性質を利用すると、変形の量をはかって加えた力の大きさを測ることができます。

ばね測りや上皿測りは、つるまきばねを使ったものです。電流計の針の軸に、うずまきばねをつけたものもあります。

これは、ばねの変形によって、電磁気力を測るものです。

また、ねじり測りといって、針金のねじれによって力のモーメント、または、重さを測るものもあります。



ゴムとその利用

ゴムは、金属にくらべて、著しく弾性による変形をします。
もとの長さの数倍に伸ばして千切れないし、力を取り去るとまたもとの長さにもどります。

ゴム測りの実験

輪ゴムを8本ばかりつなぐか、ゴム糸を50センチあまりとってそのはしに、小さい皿をつるします。

皿は、フィルムの空き缶のふちに、小さい穴を3つ開け細い針金を通したものでよいでしょう。

ゴム糸の上のはしを高いところにとめて、下につるした皿に重さのそろった鉄の玉かガラス玉を、1個ずつのせていきます。

玉をのせるたびに、玉の数とゴムの長さを測って、その関係をグラフに書いてみましょう。

鉄の玉の重さが、1個1.5グラムのときその結果は、つぎのグラフのABCのような曲線になりました。

この場合、皿の重さ7.5グラムの中に、4個の鉄の玉を加えたところまでは、びと重りの数とが比例するとみて、差支えありません。

それ以上になると、伸びの増える割合いが大きくなり上のほうに曲がった曲線になります。
それでも、せまい範囲を見れば直線に近く、比例していると見なせます。

ゴム糸を注意してみると、伸びが増すにしたがって、細くなります。

したがって、ゴム糸の断面にはたらく応力をくらべてみると細くなったときのほうが、実際には、大きくなっているはずです。

そこで、ゴム糸の太さを測って、まえのグラフを補正するとほぼAFのようになりました。

こんどは、鉄の玉を10個のせたC点のところで1個ずつ玉を減らしていくと、CDEの曲線を描いてもとにもどってきました。

この場合は、ABCの曲線と少し食い違っていて伸びが残っていることがわかります。

ゴムの利用

ゴムは、変形したときに生ずる力で、物を締め付けるのによく使われます。
ゴムひもはバンドに使ったり、包み紙をとめたりするのに使われます。

模型飛行機のプロペラをまわすにはゴム糸をねじったときそれがもどろうとするときの力を利用します。

ゴム管は、それをはめたものとよく密着します。
そのうえ、気体や液体を通しにくく、曲がりやすいので水辺やガスのホースに使われています。

入れ物のふたに、ゴムのパッキンを使うのもゴムの弾性で隙間をなくすためです。

このほか、衝撃や振動を弱めるためにも、ゴムが使われます。

自転車や自動車のタイヤなどが、そのよい例ですがこの場合は空気の弾性が助けになっています。




フックの法則とは?比例限度とは? わかりやすく解説!

ばねの伸び縮み

ロバート=フック(1635~1703年)というイギリスの物理学者はつるまきばねに重りをつるす実験をして有名なフックの法則を発見しました。

これは、つるまきばねにつるした重りの重さとつるまきばねの伸びの長さが、比例するという法則です。


つるまきばねの、下のはしに重りをさげるとばねが伸びて、下のはしがさがります。

そこで、このばねの下のはしの位置の読みを縦軸にとり重りの重さを横軸にとって、その関係をグラフにあらわすと下の図のABの直線が書けます。

この図で、伸びはA点での位置との差です。

もし、つるまきばねの下のはしに上向きの力(圧縮の力)を加えてばねが縮むなら、この力に対して、ばねの縮みが比例します。

この場合の関係も、図のACの直線であらわされます。

しかし、つるまきばねでも無制限に力を増すと変形と力が比例しなくなります。材料と寸法によって、それぞれ決まった限界があります。

つぎに、つるまきばねに重りをつるしたときの力のつり合いを考えてみましょう。

上の図で、重りPの重さは、重りにはたらく重力の大きさWです。
重りは静止しているので、この重力を打ち消す力fが反対方向にはたらいていなければなりません。

この力fは、ばねが伸びたためにその内部に生じた弾性の応力によるものです。
したがって、ばねがfという力で、重りを上に引いていることになります。

もし、fより重りの重さWが大きいとするとばねはさらに下に伸びて、だんだん弾性の応力fが大きくなります。
そして、fと重力Wが等しくなったとき、ちょうどつり合います。

実験では重りの重さWと、ばねの伸びとの関係を調べましたがこれは、ばねの弾性の応力fと、ばねの伸びとの関係を調べたことと同じです。

このような実験で書いたグラフと、そのばねを使うと、重力にかぎらずほかの種類の力でも、ばねばかりの伸びによって測ることができます。



変形の種類とフックの法則

フックの法則は、つるまきばねの伸び縮みにだけあてはまるのではありません。

棒や板の伸び縮み・ねじれ・曲がりうずまきばねの軸のまわりの回転などの変形にもその材料の弾性限度内であれば、成り立ちます。

また、ずれの変形についても外から加えた力と変形の角度とのあいだに弾性限度内で、フックの法則が成り立ちます。

比例限度

弾性限度の近くでは、応力とひずみが、やや比例関係から外れてきます。
そこで、フックの法則が成り立つ限界の応力を、比例限度と言っています。

しかし、弾性限度と比例限度は、ほとんど一致すると見て差支えありません。




弾性と塑性とは?弾性変形・塑性変形とは? わかりやすく解説!

弾性と塑性

金属・石・木などは、ふつうの温度では形があまりかわりません。
このような物体を、円体と言います。

固体は、空気や水のような気体や液体にくらべると非常に変形しにくいものですが、ばねのところで調べたように固体でも変形させることができます。


変形の種類

円体に力を加えると力の加え方によって、変形のしかたが違ってきます。

固体の中でも、ゴムは変形が著しいのでゴム糸や消しゴム・スポンジなどを引っ張ったり、押したり、ねじったりしてその変形の様子を調べてみましょう。

力の加え方と、変形の様子をまとめてみるとつぎのような種類にわけることができます。

①伸び

両はしを引っ張ると、その方向に伸びる。

②縮み

両はしから押しつけると、その方向に縮む。

③曲がり

板ばねの実験のように、両はしを支えて、中火に力を加えると曲がる。
片はしだけ固定して、別のはしに力を加えてもよい。

曲がりは、一部分が伸びて、他の部分が縮んだ変形とみなされる。

④ずれ

上下の面で、面に沿って、反対方向に力を加えたときの変形。
見た目には、マッチの外箱を押し潰したような形になる。

⑤ねじれ

両はしをねじるときの変形。
まえに実験したように、つるまきばねの各部分は、これと同じ変形をしめす。

これは、ずれに基づいている。

⑥体積の変化

水の中に沈めたときのように、すべての方向からいちような力を加えると体積が小さくなる。

弾性と弾性変形

このように、力の加え方によって、固体はいろいろの形にかわりますが引っ張った場合について、くわしく調べてみましょう。

図のように上のはしを固定した棒を引っ張ると、その方向に伸びます。
このとき、力が大きいほど、伸びの量も大きくなります。
実験によると、引っ張る力Fと、伸びの量Xは比例します。

いま、この棒のもとの長さをl(センチ)とすると(x÷l)を伸びの割合と言います。

これは1センチあたりの棒の伸びをあらわします。
いっぱんに、変形の割合をひずみとも言います。

加えた力に応じて、棒の内部にも力がはたらいています。

いま、棒の断面積をS(平方センチ)とすると、(f÷S)が棒の断面1平方センチふたりにはたらく力になります。

このようにあらわした、物体内部の力を応力と言います。
引っ張りの場合は、引っ張り応力と言います。

応力(f÷S)をひずみ(x÷S)でわったものを、弾性率と言います。
引っ張りの場合は、伸びの弾性率ともヤング率とも言います。

弾性率は、それぞれの材料について形の大小に関わらず、一定の値を持っています。

棒に加えた力を減らしていくと、変形は次第にもどり全く力を取り去ると、もとの形にもどります。

このように、力を加えると形を加え、力を取り去るともとにもどる性質を、弾性と言い、このような変形を弾性変形と言います。

弾性限度

加える力が、ある大きさを超えると力を取り去っても変形が残るようになります。
このときの境目の応力を、弾性限度と言います。



塑性と塑性変形

物体に、弾性限度を超えた力を加えると力を取り去っても完全にはもとの形にもどらず変形が大分残るようになります。

このような応力の範囲では、物体は塑性をしめすと言います。
そして、この場合の変形を、塑性変形と言います。

したがって、塑性というのは、物体に力を加えて変形させたときその変形をそのまま残す性質ということができます。

銅線や鉛の板、ヒューズの針金などを曲げてみると曲がったままになりま
す。これは、塑性よる変形です。

塑性のことを、プラスチシティとも言います。
プラスチックというのも、これからきた言葉で、熱や圧力を加えた場合に、著しいそ性をしめす高分子物質を、ひっくるめて言います。

金属は、プラスチックとは言いません。

ベークライトは、熱によって変化し、しまいに硬くなります。
いったん硬くなると、もとにもどりません。

塩化ビニル樹脂は、熱すると、やわらかくなって変形しやすくなり冷えると、そのままの形を保ちます。鉄も、熱すると塑性を増すので。

自由に加工することができます。

私たちが使っている、機械や器具の大部分に塑性か利用してつくったものです。

実験

縫い針を1本用意して、指で少し曲げてみます。指をはなすとすぐもどります。
これは、針が鋼でできていて、弾性をもっているからです。

つぎに、この針を、マッチまたはガスの火で赤く焼いた後、板の上において自然に冷まします。

こんどは、これを指で曲げると、よく曲がります。
これは、塑性が著しくなったからです。

このように、鋼は焼きなますことによって、やわらかくなることがわかります。

つぎに、この針をもういちど赤く焼いた後、冷たい水に、急に投げ入れてみます。
これを取り出して、指で曲げてみると、こんどは硬くなっています。

このようにすることを、焼き入れと言います。
焼き入れによって、針には、ふたたび弾性が出てきましたがそのかわり、少しもろくなっています。

鋼の変形

鋼は、弾性の著しい金属ですが弾性限度以上の力を加えると、やはり塑性をしめします。

鋼を引っ張るとき、外力を一定にしておいてもずるずると伸び出す点があります。

この点の応力を、降伏点と言います。

降伏点を越えて、さらに引っ張っていくとしまいにはF点で切れてしまいます。

図は、これらの様子をあらわした、応力ひずみ曲線です。

この曲線で、E点の応力が、見かけ上もっとも大きくなっています。
このときの応力を極限強さと言い、実用上これで材料の破壊に対する強さをあらわします。

加工硬化

図のG点で、力を静かに取り去っていくと応力とひずみとの関係は、GMのような直線になります。

この鋼にふたたび力を加えていくと、ほぼMG線上の弾性変形をおこない、弾性限度は、まえより大きくなります。

そして、このときの弾性限度を越えると、ほぼ曲線GFをたどります。
上の図で、たとえば、亜鉛に500パーセントのずれをあたえるとさらに変形を続けるには、はじめの約7倍の応力が必要です。

このように塑性変形で硬くなることを、加工硬化と言います。




ばねの種類とその特徴・性質とは? わかりやすく解説!

ばねのいろいろ

ソファーを手で押したり、ソファーにこしかけたりするとソファーがもとにもどろうとしているのが感じられます。

これは、ソファーの中に、ばねがいくつもならべてとりつけてありそのばねが、押し返しているからです。

ばねは、その形によって、いろいろの種類にわけられますが板ばね、うずまきばね、つるまきばねが、おもなものです。


板ばね

板ばねは、板の形をしたばねで、鋼でつくってあるのがふつうです。

実験1

①図のように、セルロイドの下じきを
机のはしに半分だけつきだしておき、一方のはしを厚い本でおさえます。

下じきのつきでた部分に小石を1つのせ、つぎに、もう1つのせてみます。
すると、下じきのはしは小石をのせるにつれて、ますます下がります。

こんどは小石を1つずつ取り去ると下じきは、もとの位置までもどります。

この実験でわかるように、板ばねは外から力を加えると曲げることができ、その力が大きいほど、曲がり方も大きくなります。

また、外から加えた力を減らしていくと板ばねの曲がり方が減っていき力がすっかりなくなると、ふたたびもとの形にもどります。

下じきを曲げると、下じきの各点は少しずつ下がりましたが曲げによるこの変形の量を、その点でのたわみと言います。

こんどは、②図のように下じきを両はしで支えて真ん中に力を加えてみます。
このときの曲がりとたわみも、加えもとにもどります。

①と②のいずれの場合も、重りの重さとばねの1点のたわみとは、比例することがわかります。

実験2

こんどは、やや集めの下じきに本を載せて机の上におき、下じきのはしを少しだけ机のはしからだしておきます。

まず、げんこつで机を軽く叩いてみます。
つぎに、下じきのはしを、同じくらいの力で叩いてみます。

すると下じきは、叩くと同時に曲がってげんこつは痛みがずっと少なくてすみます。

木の板に釘を打ち込むときには板をしっかりした台の上に載せておくと釘がうまく入ります。

しかし、台からはみ出した板のはしに釘を打ち込むときには、板がはずんで、なかなか釘が入りません。
ことに、板がうすい場合には、なかなか打ちこめません。

この実験でわかるように板ばねはたわむことによって、衝撃の力を弱めるはたらきをします。

重ね板ばね

自動車や電車などには、車輪と車体とのあいだの衝撃を弱めるためにばねが取り付けてあります。
この場合には板ばねを数枚重ねた、重ね板ばねが多く使われています。

板ばねの両はしを支えて、真ん中に力を加えて曲げる場合には曲げようとするはたらきは、板ばねの両はしのところがいちばん小さくゼロになります。

ところが、中央に近いほど、曲げようとするはたらきが大きくなります。

そこで、中央に近いほど、板ばねの幅を広くすれば曲げによって内部に生ずる力が、どの部分もいちようになります。

しかしこの形では、ばねとして使うのに不便なので実際には図のように細長く切って中央の部分が厚くなるように重ねて使います。

これが重ね板ばねで、ひし形のばねと同じはたらきをします。



うずまきばね

うずまきばねは、蚊取り線香のように金属をうずまき形にまいたものです。
これには、断面の形が長方形でテープのようにまいた鋼が多く使われます。
時計に使われているぜんまいも、うずまきばねです。

実験

長さ20センチ、幅1センチのうすいブリキ、または、真鍮の板をえんぴつにまきつけて、うずまき形に曲げます。

図のように、Aのはしを、マッチの軸木CDに硬くまきつけて止めます。
Bのはしは、机のはしに固定します。

つぎに、マッチの軸木2本をCE、DEのように、糸で組みます。
Eのはしには、EGのように、もう1本の軸木を硬く結びつけます。

さらに、針金で、同じ大きさのS字形のかぎを数個つくりその1つは、Eの部分につないでおきます。

このような装置ができたら、EのはしのかぎにS字形のかぎをつぎつぎにかけていき、だんだん長くしてみます。

かぎの数が増すにつれて、うずまきばねのAのはしに固定してある三角形の軸木は、CDを回転軸としてまわっていきます。

この場合、ばねを回転しようとするはたらき(力のモーメント)はかぎの列と軸木CDとの最短距離(l)にS字形のかぎの数(n)をかけあわせた値、(l×n)に比例しています。

また、かぎの数を増していくと、EGはCDを軸としてどれほどの角度だけ回転するでしょうか。
Gのそばに目もり板をおいて、その角度を調べてみましょう。

まわった角度と、まえの(l×n)は比例しているはずですがlがあまりかわらないので、まわった角度とnも、ほぼ比例するでしょう。

こんどはS字形のかぎを、だんだんに減らしていくとしまいには、もとの位置までもどって止まります。

うずまきばねの性質

うずまきばねの一方を固定し、もう一方のはしに力を加えてその中心の軸のまわりにまわしたときは、ばねの各部分は曲がっています。

このときの曲がり方は、まえの実験からわかるようにうずまきばねをまわそうとするはたらきが大きいほど、大きくなります。

また、力を取り去ると、もとにもどります。
このことは、板ばねの場合と同じです。

時計やおもちゃを動かすのに使われているぜんまいは中心の軸のまわりにまきこんだときそれがもとにもどろうとするときの回転力を利用するものです。

この場合の回転力は、ぜんまいの厚さや、幅が大きいほど大きくなります。

つるまきばね

針金、またはテープのような板金をアサガオのつるが竹にまきつくときのように、コイル形にまいたものをつるまきばねと言います。

このばねは、軸の方向に、伸びたり縮んだりすることができます。
そのときの変形は、針金や板金の各部が少しずつねじれることによって起こります。

つるまきばねも、衝撃の力を弱めるはたらきをするので交通機関をはじめ、ソファー・寝台など日常生活の道具にも広く利用されてします。

また、物をおさえつけるのに、つるまきばねの弾力を利用しているものもあります。

実験

画用紙を、長さ30センチ、幅1センチに切り、太い丸棒にまきつけて、つるまきばねの形にします。
この紙の両はしを、両手で左右に引っ張ってみると、紙はねじれています。

このことから、つるまきばねの伸び縮みは各部分のねじれによることがわかります。




モバイルバージョンを終了