鏡にうつる像
鏡の前に立つと、自分の像を、自分で見ることができます。
また、透き通ったガラスや水でも、少しは表面で反射するので鏡のように物がうつることがあります。
鏡にうつった物の像が見えるのは物からの光が鏡で反射されて目に入っているためです。
実験1
上の図のように、透き通ったガラス板を方眼紙の線にそって垂直に立てガラス板の前に、火のついたろうそくを立てます。
するとガラス板にろうそくの像がうつります。
この像を見ながら、像に重なるように、ガラス板の反対側にもう1本のろうそくに火をつけておきます。
ガラス板から2つのろうそくまでの距離を測ってみると、等しいことがわかります。
ですから、鏡に物を近づけたり遠ざけたりすると像も、近づいたり、遠のいたりします。
実験2
図のように表面が平らな鏡(平面鏡)の前に、ろうそくのような小さな光源をおきます。
すると、Aから出た光は、鏡の面ですべて反射します。
ろうそくから出た光は、みな鏡の面で入射角と反射角は同じように反射するので反射光を反対側に伸ばすと、鏡の裏側の点Bに集まります。
目がこの反射光をうけるので、Aにあるろうそくが、Bにあるように見えるのです。
また、Bにあるように見えるろうそくを像と言い鏡にうつった像は、もとの物を左右が反対になっています。
全身をうつす鏡
自分の全身を平面鏡にうつすとき、頭の先から足の先までうつすにはどのくらいの大きさの鏡が必要でしょうか。
左の図のように、人間が鏡の前にたっているとしましょう。
足のさきAから出た光は、Dで反射して目Bに入ります。
入射角と反射角は同じですから、直線DCは足の先から目までの高さABの半分のところを、通っていることがわかります。
ですから、DEはABの半分です。
目と頭の先の場合も、同じように、HGがFBの半分のところを通っています。
ですから、HEは、FBのちょうど半分になります。
つまり、全身をうつすには、身長の半分の大きさがあればよいわけです。
2枚の鏡
2枚の鏡ABとBCを上の図のように直角においてその前に物Dをおくと、鏡に像が3つうりつります。
これは、Dからでた光が、それぞれの鏡に一度反射して目に入ったときにできる像EとFのほかに、はじめABの鏡で反射した光がさらにCBの鏡で反射して、目に入るときにできる像があるためです。
潜望鏡
図のように、2枚の鏡を使うと直接自分の目に見えないところでも見ることができます。
潜望鏡は、2枚の鏡の反射を、上手に利用したものです。
潜水艦が海の中から海上を見渡したり前に邪魔な物があって見えないときなどに使われています。
かんたんな潜望鏡をつくってみましょう。
ボール紙で、上の図のような箱をつくりそのむかいあった面の両はしに四角い穴をあけます。
穴と反対側のすみには、鏡を45度の角度ではめこみます。
こうして、目を穴のところにおくと上の窓から入ってきた光は鏡で2回反射して目に入るので邪魔されて見えなかった物でも、見ることができます。
万華鏡
万華鏡は百色眼鏡とも言われ、のぞいてみると、きれいな模様が見えるおもちゃです。
万華鏡に、細長い3枚の鏡を、60度にくみあわせたものです。
万華鏡をつくってみましょう。
3枚の細長いガラス(スライドガラスがよい)か用意して片面に、黒いラッカーか、すみをぬります。
黒くぬったほうを外側にして、三角形の筒をつくり、紙でまいてはりつけます。
つぎに、この筒の片ほうの口にセロハン紙をはりその上に厚紙で三角形の筒をつくってはめ、上のほうを3ミリくらいだします。
この中に、色のついたセルロイドを小さく切って入れ、その上にパラフィン紙をはり、反対側には、のぞき穴のあいた紙をはります。
できあがったら、明るいほうにむけて、のぞきながらまわすときれいな模様がいろいろとかわりながら見えます。
球面鏡
鏡には、平面鏡のほかに、自動車についているフェンダーミラーのように表面が球面になっているものがあります。
このような鏡を球面鏡と言います。
球面鏡には、凸面鏡と凹面鏡とがあります。
光のくるほうにむかって表面が飛び出している鏡を凸面鏡、へこんでいる鏡を凹面鏡と言います。
図のように、球面鏡の表面を通る円の中心を、球の中心と言います。
この球の中心と鏡の中心とをむすんだ線を、鏡の軸と言います。
凸面鏡
凸面鏡に、太陽光線のような平行光線を、鏡の軸に平行にあてて見ると光は、広がるように反射されます。
ところで、反射された光の方向を、凸面鏡の球の中心のほうに伸ばしてみるとその線は、鏡の軸の上の一点に集まります。
この点を、凸面鏡の焦点と言います。焦点から凸面鏡の中心までの距離を凸面鏡の焦点距離と言います。
凹面鏡
凹面鏡は、凸面鏡とは反対に光を集めるように反射します。
凹面鏡の鏡の軸に平行に、太陽光線のような平行光線をあててみると光は、鏡の軸の上の一点に集まります。
この点を、凹面鏡の焦点と言います。凹面鏡の焦点距離は焦点から鏡の中心までの距離となります。
実験1
凸面鏡に、火のついたろうそくを、遠くから近づけてみましょう。
凸面鏡にうつったろうそくの像は、だんだん大きくなっていきます。
このとき、ろうそくの像は実物のろうそくと同じ方向に立った、正立の像になります。
実験2
焦点距離のわかっている凹面鏡の前に火のついたろうそくを立て、反射した光を、すりガラスにあててみましょう。
すりガラスとろうそくを、いろいろな位置に動かしてみると位置によって違った像がうつります。
① ろうそくを、焦点距離の2倍より遠いところにおくと逆さまの、実物より小さな像が、焦点と球の中心との間にできます。
② ろうそくを、焦点距離の2倍のところにおくとろうそくと凹面鏡との距離と同じ距離に逆さまの実物と大きさの等しい像ができます。
③ ろうそくを、球の中心と焦点との間におくと逆さまの、実物より大きな像が球の中心より離れたところにできます。
④ ろうそくを、焦点のところにおくと、像はできません。
⑤ ろうそくを、焦点より内側におくと、像はできません。
しかし、凹面鏡の後ろ側に、ろうそくと同じ方向にたった実物より大きな像を見ることができます。
球面鏡の像のもとめ方
球面鏡の焦点距離と、物の位置とがわかっているときには図によって像の位置や大きさをもとめることができます。
球面鏡の像を図でもとめるときには、物のはしの一点からひいたつぎに挙げる3本の光線のうち、どれか2本を選びその交わる点をもとめれば、その点が、物のはしの一点の像となります。
① 球面鏡の軸に平行に進み、反射されたあと、焦点を通るように進む光線。
② 球面鏡の球の中心を通り、反射されたあと、もときた道を反対に進む光線。
③ 球面鏡の熊点をとおり、反射されたあと、球面鏡の軸に平行に進む光線。
このようにして光線をひき、そのうちの2本の光線が交わる点をもとめると、この点がはじめに光線をひきだした点の像になります。
実験2の①から⑤までの像を図でもとめると、下の図のようになります。
実像
球面鏡の像を図からもとめるとき、2本の光線が交わるときには実際にその点に光線が集まって像ができています。
このように、実際に光が集まってできる像を実像と言います。
虚像
球面鏡の像を図からもとめるとき、2本の光線がまじわらなければ反対の方向に光線をのばしてみると、2本の光線はまじわります。
この点には、実際には光線が集まってはいませんがちょうどこの点から光線がでているように見えます。
このような像を、虚像と言い、平面鏡の場合は、いつも虚像です。
しかし、凹面鏡の焦点の上に物をおいたときには、虚像もできません。
凸面鏡の像
凸面鏡の像は、実物より小さい、正立した虚像(正立虚像)になります。
これは、凸面鏡に入ってきた光線が、ちょうど像の位置から光が出ているように広げられるためです。
このため、凸面鏡では、広い範囲のものを小さな鏡にうつすことができます。
凹面鏡の像
凹面鏡の像は、物を焦点より遠いところにおいたときは逆さまの実像(倒立実像)になります。
物を焦点の上においたときには、像はできませんが焦点より内側におくと、正立虚像になります。
球面鏡の利用
凸面鏡は、広い範囲がうつせますから、自動車のサイドミラーや見通しの悪い交差点などで、自動車が走ってくるのを見るためのカーブミラーなどに使われています。
凹面鏡は、光を集めるはたらきがありますから顕微鏡や反射望遠鏡などの反射鏡や、医者の額帯鏡などに使われます。
また、光を集めて遠くまで照らすために自動車のヘッドライトや懐中電灯などの反射鏡にも使われています。