水の三態
水は、冷えれば氷になり、熱すれば蒸気になります。
ふつう、水という言葉は、液体の状態を指しています。
しかし、水が氷になるときには、液体を固体にするために必要な熱(凝固熱)を水からとらなければなりません。
このとき、ほかの物質の出入りはありません。
水が氷になっても、水蒸気になっても、出入りしたのは熱だけなのでふつうの水を液体の水、氷を固体の水、水蒸気を気体の水、ということがあります。
これを、水の三態といいます。
三態の性質
私たちの身のまわりにある、形をもった硬い物が、固体です。
気体や液体には形がなく、入れ物にいれておかなければなりません。
そして、入れ物の形の通りになります。
気体と液体の違いは、液体には、表面がありますが、気体には表面というものがなく入れ物のどこかがあいていれば、いくらでも、広がることです。
ふつう、同じ体債では固体がもっとも重く液体がつぎに重く気体がもっとも軽いのですが、水は凍って氷になると、かえって軽くなります。
臨界温度
イギリスの物理学者ファラデーによって、気体を液化する研究がおこなわれ寒剤で冷やし、圧力を加えて、いろいろな気体を液化することができました。
しかし、空気や酸素・水素・窒素などは、どうしても液化することができませんでした。
これらの気体に、3000気圧という高い圧力をくわえた人もありましたがそれでも液化しませんでした。
それで、ファラデーはこれらの気体はどんなことをしても液体や固体にはならない気体であると考えこれを永久気体と名付けました。
ところが、アンドリウスという人が、二酸化炭素の性質をくわしく調べて二酸化炭素は31℃以上の温度では、どんなに圧力を加えても液体にはならずそれ以下の温度では、圧力さえ加えれば液体になるということを発見しました。
このことから、気体を液体にするためにはそれぞれの物質で決まっているある温度以下に気体を冷やしておかなければならないことがわかりました。
この温度を、臨界温度と言います。
空気や水素は臨界温度がとても低く、空気の臨界温度は零下141℃。水素の臨界温度は零下240℃です。
それで、寒剤を使っても気体をこんなに低い温度に冷やすことができないので液化することができなかったのです。
水蒸気でも、374℃以上では、どんなに圧縮しても液体の水にならないのです。
ふつうの水蒸気の温度は、これよりずっと低いので、かんたんに水になるのです。
液体空気
空気を液化するのには、まず、空気の温度を零下141℃以下に下げなければなりません。
なかなか、このような低い温度にできませんが気体を圧縮しておいて急に圧力の低いところに噴き出させると温度が下がる性質が発見されたので液体空気がつくれるようになりました。
空気を圧縮して水で冷やした物を弁から吹き出させると、いくらか温度が下がります。
この冷えた空気を、また圧縮して弁から噴き出さると、さらに温度が下がります。
これを繰り返しているうちに、空気の温度はだんだん下がり零下141℃以下になって、液体空気ができます。
液体空気は、魔法瓶にたくわえられています。
液体空気は、低温の実験にも使われていますが、液体空気からは肥料として大切な硫安の原料になる窒素やいろいろな役に立つ物がとれるので大量につくられています。
液体空気は、ほとんど液体酸素と液体窒素の混合物なので液体空気をつくってこれを蒸発させると、窒素と酸素とでは沸点が違うので窒素と酸素を、別々に取り出せます。
物質の三態と分子運動
酸素や水素などは、分子という、目に見えない、非常に小さな粒が集まっている物です。
水は、酸素と水素がくっついてできた物です。
気体は、液体や固体にくらべると、たいへん体積が増えているので気体の分子は、お互いに遠く離れて、飛び回っていると考えられます。
気体を液化すると液体になるので、液体も分子が集まってできているはずです。
液体は、体積が小さくなり、分子と分子のあいだの距離は短く分子は、互いにひっぱりあっています。
液体には、形はありませんか、表面があります。
分子が互いにひっぱりあっていなければ、分子は飛んでいってしまい表面はできないはずです。
しかし、形は、自由にかわるのですから、分子のお互いの位置は、決まっていません。
固体も分子からできていますが、分子の位置が決まっているので形も決まっています。
固体では、みなさんが敦室できちんと机の前に座っているように、分子がならんでいます。
液体の中の分子の様子は、教室の中の机をだしてしまい何人かずつ手をつないで遊戯をしていてだれかが出口から外へでようとしても手をつないでいるので自由には外へでられないのに似ています。
気体の分子の様子は、みなさんが運動場で散らばってそれぞれ自由に遊びまわっているのに似ています。
外へ出ようとする人がいても、ひっぱっている人がいないので自由に外へ出られるように、気体の分子も、あいているところがあればそこから外に出てしまいます。
気体を、ある大きさの入れ物にいれて熱すると圧力が増えます。
これは温度が上がると、分子の運動がさかんになり分子が入れ物の壁に強くぶつかるようになるためだと考えられます。
液体が、どんな温度でも蒸発するのは、液体中にほかの分子より速く飛び回る分子があって、それが表面から飛び出すためだと考えられます。
液体が蒸発して、気化熱がうばわれて冷えるのは速く動き回っていた分子が外へ飛び出してしまい、ゆっくり動く分子があとに残るからだと考えられます。
むかしの人は熱を熱素という物質だと考えていましたが物質の三態と分子運動などのことを考えると熱は、分子がたくさんあるかないかによって違いますが温度は、分子数の多少には関係なく分子の運動の激しさをあらわすものだということがわかってきました。
ガスの炎は、分子数は少なくても分子の運動が非常にさかんなので、温度が高く、ボンベに詰めたプロパンなどのガスは、たくさん詰めてあるので分子数は多くても、分子の運動がさかんでないので、温度が低いのです。
液体空気は、うす青色をしていて、その温度はとても低く、零下141℃です。
液体空気の中に、生きた金魚をいれると、たちまちかちかちに凍ってしまいます。
またゴムボールを入れると、ぜんぜん弾力がなくなってしまい金槌で叩くと割れてしまいます。