山を調べるにはどこを見ればいいの? わかりやすく解説!

形を調べる

富士山や阿蘇山などは形を見ただけでその山が噴火によってできたものだということがすぐにわかります。

しかし、山の大まかな形や大きさだけでなくもっとくわしく頂上の様子や傾斜の様子、屋根や谷のいりくみかたなどを調べるとその山のうけた、浸食の進み具合もわかります。

また、山の輪郭や谷などを調べると、断層の跡がみつかることがあります。
これによって、そこ地域にはたらいた遣山運動を知ることもできます。

山の形は、実際に行ってみたり写真や模型で調べるほか、地形図でも調べられます。

等高線が、ほぼ円にちかい山は、火山によってできたものと考えられます。

また、等高線の形が不規則で、山頂付近の等高線がこみいって谷や尾根などがいりくんでいる山は造山運動によってできた場合が多いようです。


地質を調べる

山の地質を調べることによって、山のできかたを知ることができます。
山をつくっている岩石が、安山岩や玄武岩のような火山岩であればその山は火山です。

また、堆積岩や変成岩、花こう岩のような深成岩でできている場合にはふつう、土地が変動をうけて山になったと考えられます。

古い時代のこれらの岩石が峰をつくっていれば浸食によってできた山地ということがわかります。

堆積岩の地層を調べて、その中に貝類など海の生物の化石がふくまれていれば海底かたその高さまで、土地が隆起したことがわかります。

そして、隆起したのは、化石になった生物の生きていた時代よりもあとだということもわかります。

山のつくりを調べる

山のつくりを調べることも、山のできかたを知るうえで大切な手がかりになります。

何種類もの岩石が組み合わさっていたり、地層に断層やしゅう曲があったりしてつくりが複雑になっているところは、その土地の造山運動のような大きな変動があった証拠です。




山のできかたとは?山をつくる力とは? わかりやすく解説!

山と山地

海岸や平野から、際立って高くなっている土地を山といいます。
この山が広い範囲に集まっているところが山地です。

「日本は山国だ」といわれるのは
この山地が平野よりも広い面積をしめているからです。



山の様子

山は、現在の形からつぎのようにわけることかできます。

①久能山(静岡県)や筑波山(茨城県)のように、1つだけに離れてあるもの。

②飛騨山脈や赤石山脈のように、たくさんの山々がある方向にならんでいるもので、山脈とよばれます。

③阿武隈山地や中国山地のようにわりあいなだらかな山頂が広がっているもので高原とよばれます。

④関東山地のように、深い谷が入り組んでたくさんの峰が、あちらこちらにそびえているもの。

⑤多摩丘陵のように、わりあいに低くてしかも小さな丘がつらなっているもので、丘陵とよばれます。

山の高さ

山の高さ(標高)は、海面からの高さ(海抜高度)であらわします。
富士山が3776メートルあるといっても、それは海面からの高さであってふもとからの高さではないのです。

しかし海面は、ひと月のうちでもまた日によっても高さがかわります。
それで日本では、東京湾の海面の高さを平均したもの(平均海水面)をもとにしています。

世界の高い山は、太平洋をとりまく地域とヒマラヤ山脈からヨーロッパのアルプス山脈に沿った地域に分布しています。

山をつくる力

私たちの住んでいる大地は、動いているように感じられませんが全く動かないわけではありません。

火山活動や地震もその1つですが、このように激しくなくても非常にゆっくり変化して長いあいだには目に見えるようになるものもあります。

現在私たちが眺めている山も、このような変化によってできたものです。
これらの山を、できかたによってわけると次の2つになります。



噴火によってできた山

日本の火山のほとんどは、地質時代でいうと、ごく新しい時代にできたものだのでだいたいもとの形をしめしています。

しかし、もとの形が破壊されたり浸食作用をうけて変化しているものもあります。

たとえば伊豆半島の山々は、ほとんどが火山ですが現在は、できたときとは、かなり違った形をしています。

また日本にも、古生代や中生代にできた古い火山がところどころにありますが浸食作用をうけたために、噴火当時の形は残っていません。

構造山地

山には、しゅう曲によってできた山と断層によってできた山とがあります。
どちらの場合も、高い山になるのには、それだけ土地が隆起しなければなりません。

しゅう曲山地

地層が、横から大きな力で押されるとしわがよります。
これがしゅう曲で、このとき、土地は押し上げられて山をつくります。

しゅう曲には、しわの高いところ(背斜)低いところ(向斜)がありますが背斜のところが現在の山の峰になっているとはかぎりません。

背斜の節分は、はじめは高くなりますが岩石に割れ目が多かったりして早く浸食されるため、かえってほかより低くなることがあります。

しゅう曲山地は、しゅう曲山地そのものが山となっているものは少なく火山作用や断層運動をともなった複雑な地質構造をした山が多いです。

また、世界的に高い山は、ほとんどがしゅう曲によってできたもので高い山が、いくつもつらなった山脈を形成していることが多いです。

断層山地

断層によってできる地形のうち地塁や傾動地塊の大きなものは山や山脈をつくります。
このような山地を断層山地とか地塊山地とよんでいます。

断層山地は日本にもたくさんあり日本の屋根といわれる北アルプス(飛騨山脈)はそのよい例です。

ここには、白馬岳・槍岳・穂高岳など3000キロメートル級の高い山が南北に続き西のほうは高原状の飛騨山地に続いています。

それにたいして東側には、松本盆地に向かって、大きな断層崖が続いています。
このことから、北アルプスは、断層の西側が押し上げられてできた傾動地塊と考えられています。

このほか、赤石山脈・木曽山脈・養老山地・鈴鹿山脈・生駒山地・金剛山地などいずれも、断層によってできた地塁や傾動地塊がもとになったものです。

浸食山地

準平原が隆起したりすると、まわりよりも高くなります。
このため、雨氷や川の浸食作用が起こって山地をつくります。

このようにしてできた山地を浸食山地といいます。
そして、硬い岩石の部分が、浸食から取り残されて、山をつくります。




整合・不整合とは?地層の重なりかたとは? わかりやすく解説!

整合

多くの地層が重なっている場合、それらの地層が引き続いて堆積したものであれば地層の縞模様は平行になってあらわれます。

このような地層の重なりかたを整合といいます。

地層が整合になっているのは、この地層ができるとき、いつも水の中にあって堆積が続けられ、途中で陸上にあらわれなかったことをしめしています。

このことは、土地の沈降と深い関係があります。

土や砂が、水中につぎつぎに堆積すると地層ができて、水の深さはしだいに浅くなります。
そして、堆積物が水面に達すると、堆積作用はおこなわれなくなります。

しかし、土地がしだいに沈降したり、水面が少しずつ高まったりすると堆積作用は引き続いておこなわれていきます。

したがって、非常に厚い地層があることは土地が水面にたいして沈降を続けたことをあらわしています。


不整合

堆積作用のあいだに、陸上で浸食作用をうけたことがあると地層は連続して堆積しません。

この場合、ふつうは地層の縞模様に、平行でないものがあらわれます。
このような地層の重なりかたを不整合といいます。

地層に不整合がみられるのは、そこに土地の隆起のような地殻の変動があったことをしめしています。

土地が隆起したり、水面が下がったりして地層が水中から陸上にあらわれると堆積作用が止んで、浸食作用をうけるようになります。

そのため、地層の表面は削りとられてでこぼこができます。

このような浸食をうけた面ができたのちに、土地が沈降してふたたび水中に沈むとその上にまた新しい地層が堆積して、そのあいだが不整合になるのです。

不整合になっている2つの地層の境の面を不整合面といいます。
これは陸上にあったときに浸食された面なので、ふつう多少のでこぼこがみられます。

不整合面のすぐ上には、下の地層と同じ種類の岩からできたれき岩がみられます。
これは、下の地層が削られてできた岩くずが堆積したもので基底れき岩といわれます。

不整合面の上下の地層は、ななめに接していることもありますが平行している場合もあります。

前の場合を傾斜不整合、後の場合を平行不整合といいます。

このような地層の重なりかたをくわしく調べることは地殻の変動を研究するのに重要なことです。




断層とは?断層の種類とは? わかりやすく解説!

断層

地球の表面をつくっている地殻に割れ目ができて割れ目の両側の土地が、それぞれ違った運動をすることを断層運動といいます。

この運動の結果、地層には食い違いができます。これが断層です。


断層面

断層の割れ目には、地盤が滑ったすべり面がみられます。これを断層面といいます。

断層面には、さっこんといわれる、断層運動の方向をあらわす、かすり傷がみらえます。

また、断層面が固い岩石からできている場合にはその面が鏡のようによくすり磨かれていることがあります。

このような面を断層鏡はだと呼んで断層を探すときの手がかりにします。
そのほか、断層面の近くには、岩石が塗り潰されてできた断層粘土や断層角れき(角張った石)などがあります。

これも断層をみつける目安になります。

断層の種類

断暦面は、ふつう傾いている場合が多くみられます。
この断層面に対して、上側にある地盤を上盤、下側にある地盤を下盤といいます。

正断層

上盤が断層面に沿ってずり落ちるような運動によってできた断層を正断層といいます。
正断層は、上地が左右に引っ張られるような力がはたらいてできたものです。

逆断層

上盤が断層面に沿って、押し上げられるような運動によってできた断層を逆断層といいます。

逆断層は、しゅう曲と同じように土地が左右から押し付けられる力がはたらいてできたものです。

逆断層で、断層面の傾斜のゆるやかなものを、とくに、つきあげ断層といいます。
断層面の傾斜がさらにゆるく水平にちかくなったものは、おしかぶせ断層といわれます。



断層と地形

断層運動の結果は、地表面に特徴のある地形としてあらわれます。
断層運動によって、断層面が崖となって地表にあらわれたものを断層崖といいます。

断層崖は、新しい断層では、はっきりしていますが古くなると風化や浸食をうけて不明瞭になってしまいます。

また、断層面と地表面とが交わった線を断層線といいます。
断層線は断層崖が不明瞭になってもはっきり残っている場合が多いので断層の位置を確かめることができます。

我が国では、三重県養老山地の東斜面など、各地で断層崖がみられますがとくに新しいものとしては1891年の濃尾地震のときにできた根尾谷の断層崖が有名です。

断層線は直線的になる場合が多いのですが、ときには円形になりその内側が落ち込んでいることがあります。

このような断層をなべ状陥没とよんでいます。
火山地域には、このような陥没地が少なくありません。
阿蘇山や箱根山の外輪山は、そのよい例として知られています。

断層は、このように地形に深い関係がありますがとくに、両側を断層で区切られてできた高地や低地もあります。

この高地を地塁、低地を地溝といいます。

日本の本州の中央には大地溝帯があり、日本列島を大きく二分しています。
このほかにも小規模な断層による湖はいくつか知られています。




しゅう曲とは?しゅう曲の種類とは? わかりやすく解説!

しゅう曲

地層が地殻の変動のために、押し縮められて波のような形に曲がっている状態をしゅう曲といいます。

しゅう曲の高い部分を背斜、低い部分を向斜と呼びます。

しゅう曲には、そこにはたらいた圧力の強さや方向、岩石の性質などによって、いろいろな型があります。


しゅう曲の種類

もっとも簡単なしゅう曲の型は、折れ曲がった波の左右の形が対称的なものです。
これを正しゅう曲、または、対称しゅう曲とよびます。

しかし、実際には、このようなしゅう曲はまれで多くの場合、波の形に傾いていて、左右が対称的ではありません。

このような型を傾斜しゅう曲と呼びます。

しゅう曲の程度が進むと、波の形がさらに傾いて、ほぼ水平にねてしまいます。これを横がしゅう曲とよびます。

このような、激しいしゅう曲運動がおこなわれると横にあった地層が、上におおいかぶさってしまいます。

このような構造をおしかぶせといいます。
ヨーロッパのアルプス山脈は、このようにしてできたものと考えられています。

しゅう曲の調べかた

しゅう曲の大きさにも、いろいろな規模のものがあります。
1つの崖で、地層がしゅう曲しているのを観察できる場合には誰にでもわかりますが、これはごく小さなものです。

大きなしゅう曲は、たくさんの崖やきりわりをみつけて広い範囲をつなぎあわせてみなければなりません。

そのためには、それぞれの地層について地層の特徴や走向・傾斜を正確に調べて、ほかの地層との続き具合を考えます。

このようにして、広い範囲の地層をつないでみると、大規模なしゅう曲がわかります。

また、このしゅう曲を調べることによってこの地域の地殻の変動様子を知ることができます。




地質構造の調べかたとは?地層の走向と傾斜とは?

地質構造

堆積岩には、いろいろな厚さの地層が重なりあって縞模様をあらわしていることがあります。

このような地層は、もとは古いものの上に新しいものが順々に水平に堆積してできたものと考えられています。

ところが、私たちが道路や工事場などのきりわりの崖で地層を観察してみると、たいていの場合傾いていたり折れ曲がっていたりしています。

これらの地層は、堆積したままの状態ではなく地殻の変動の影響を受けて位置も形もかわっているのです。

このような変化は堆積岩だけでなく、火成岩や変成岩などにもみられます。
どの岩石も、それがつくられたときのままの状態であることは少ないのです。

このように、地殻の変動の影響によって、いろいろの岩石がもとの位置や形をかえて、地殻を形作っている状態を、地質構造とよびます。

地質構造を研究すると、その土地が、これまでにどのような地殻の変動を受けたかを知ることができます。


地層の走向と傾斜

傾いた地層について、その地層がどのように続いているのかまた、どの程度傾いているかを調べる場合には、地層の走向と傾斜を測ります。

走向

地層の表面と水平面とが交わってできる線の方向を走向といいます。
地層は走向の方向に続いて伸びています。

また、走向をはかって、地層がうけた変動の方向を知ることができます。

傾斜

地層面が傾いている角度を傾斜といいます。
これは、地層面がもっとも大きく傾いている角度で、走向にたいして、直角です。

これによって、水平に堆積した地層が、その後、どの程度傾いたかを知ることができます。

クリノメーター

地層の走向と傾斜を正確に測るにはクリノメーターを使います。
クリノメーターは、磁石と水準器を長方形の木または金属にとりつけたものです。

文字盤には、2つの目盛りがあり、外側は、磁石のしめす方向、内側は傾斜をあらわす度数の目盛りです。

地層の走向を測るときには、クリノメーターの長い辺を地層の走向に一致させて水準器をみながらクリーノメーターを水平にします。

針がしめす外からのめもりでN(北)何度E(東)またはW(西)とよみます。

傾斜を測るには、クリノメーターを横にしてたて、地層の傾いている方向にあてます。

ハート形の針がさす内側のめもりで何度とよみます。




隆起・沈降によってできる地形とは? わかりやすく解説!

隆起によってできる地形

隆起海岸

ふつう海岸近くの海底は、波の作用によって表面がだいたい平らになっています。
とくに砂やれきなどが堆積すると、ほぼ水平に近い海底の地形ができます。

このような地形が隆起すると新しくあらわれた陸地の表面は非常に平らで海岸線は出入りの少ない滑らかな形になります。
これを隆起海岸といい、海底が隆起してできた平野を海岸平野といいます。

隆起海岸に見られる遠浅の海岸では、波は沖のほうで磯波になって砕け海底の土砂を削りとります。

この土砂は波で運ばれて陸よりに堆積し海岸沿いに沿岸州と呼ばれる細長い島をつくります。
この沿岸州と陸地とのあいだには、ラグーン(潟湖)とよばれる浅い湖ができます。

このような隆起海岸の地形は、アメリカのメキシコ湾沿岸に大規模にみられますが我が国でも、千葉県の九十九里浜や新潟平野の海岸、石川県の海岸など各地にみられます。


海岸段丘

海岸に沿って、よく、階段のような地形がみられます。
段の上の面は平らで、その前のふちは、険しい崖になって海にのぞんでいます。

このような地形を海岸段丘と言います。

海岸段丘は、むかしの海底が隆起して海面上にあらわれ前のふちを波で削られて階段の形になったものです。

表面の平らなところは、海底であったころに、波の作用で平らになった部分でところどころに、まるい海の石が層をつくって残っていることがあります。

海岸段丘が二段にも三段にもなっていることがありますがこの場合は上のほうほど古く、その数と同じ回数だけ降起運動かおこなわれたためと考えられています。

しかし少しずつ連続して隆起した場合には、波で削られた崖ができないのではっきりした段丘にはなりません。

我が国では、各地に海岸段丘がみられますがとくに本州北部から北海道にかけての海岸には、よく発達しています。

河岸段丘

川に沿って、両側、または片側に、海岸段丘によく似た表面の平らな階段状の丘が続いていることがあります。

このような地形を河岸段丘といいます。

河岸段丘の表面には、現在の川原にみられると同じような砂れきの層があるのがふつうです。
これをみれば、段丘の表面は、むかし川原であったことがわかります。

むかしの川原が、このように現在の川原よりも高いところにあるのはその土地が隆起したために谷を流れる川の水が川底を削る力が強くなって深く刻みこんだためです。

なお、気候などが変化して川の水が増える場合にも同じようなことが起こって、河岸段丘かできます。

隆起や沈降などの地殻運動が激しい我が国では隆起によってできた河岸段丘が各地でみられます。

なかでも天竜川・木曽川・利根川などのものは代表的です。



沈降によってできる地形

リアス式海岸

山地のような表面のでこぼこした陸地が沈降して海に沈むと谷の部分は、奥のほうまで海水に浸かって入江になり尾根の部分は、海につきでて半島や島になります。

このような、出入りの多い複雑な海岸は、ふつう岩浜になっています。

土地の沈降によってできる、複雑な地形の海岸を、リアス式海岸と言います。
この名は、このような地形がよく発達しているスペインの北西部で入江のことをリアと呼ぶことから名付けられました。

我が国では、東北地方の三陸海岸や志摩半島(三重県)若狭湾(福井県)、豊後水道に面した海岸などが、リアス式海岸の例です。

おぼれ谷

リアス式海岸のような沈降海岸には谷が海面下に沈んだおぼれ谷があります。
おぼれ谷は、むかしの川筋にあたるので、ふつう現在の川の続きとしてその先の海底に発達しています。

富士湾の海底には、このおぼれた谷がたくさんありますがこれらの谷の方向は、陸上の神通川や庄川など現在の川の河口に続いています。

むかし、富山湾の海底が陸地であったころ、これらの川が流れていた谷が土地の沈降によって海中に沈んでできたものと考えられます。

フィヨルド海岸

山から谷に沿っておりてくる氷河はその重みで谷底を深くえぐり横断面がU字形の谷をつくります。
ときには、氷河が谷底を海面よりも低く掘り下げることもあります。

気候があたたかくなって氷河が溶けさってしまうとこの谷の中に海水が入り込んで、せまくて深い入江をつくります。

このようにしてできた出入りの多い海岸線をもつ海岸をフィヨルド沿岸(峡湾)とよんでいます。

このような土地が沈降すると、海水が谷の奥まで入り込むのでフィヨルド沿岸がさらに入り組むようになります。

フィヨルド海岸は、氷河があまり発達しなかった日本にはみられませんがヨーロッパのノルウエー海岸・南アメリカのチリ南部の海岸・北極に近いグリーンランドの海岸などによく発達しています。




土地の動きと氷河の関係とは? わかりやすく解説!

海水面の運動

土地の隆起や沈降は、ふつう海水面を基準にして考えます。

ですから土地が静止してしても、海水面のほうが上下に運動すれば土地が隆起や沈降をしたのと同じ結果になるわけです。


氷河と海水面

地球の歴史で、いまから1万年前から100万年前ぐらいまでのあいだを洪積世といいます。

この時代には氷期といわれる非常に寒い時期が4回ありました。
これは、ヨーロッパでもアメリカでも認められているので世界的な出来事であったと考えられます。

氷期には氷河が発達し、たくさんの水が氷河となって陸上に残るため、海水の量がそれだけ減ります。

また、氷期と氷期のあいだのあたたかい間氷期には陸上にあった氷河が溶けて海に流れこむので、海水の量が増えます。

したがって、氷期には海水面の高さが下がり土地が隆起したのと同じ結果になり間氷期には海水面の高さが上がって土地が沈降したのと同じ結果になります。

このような海水面の移動をユースタチック運動といいます。

ふつう、土地の隆起や沈降は、わりあいに部分的で、場所によって違いが見られます。

これにたいしてユースタチック運動は世界全体に共通して見られるという特色があります。



氷河の重みと土地の運動

ヨーロッパのスカンジナビア半島は第四紀洪積世の氷河時代に広い範囲にわたって、厚い氷河におおわれていました。

そして、その重みのために、土地が沈下したといわれています。

ところが、その後、氷河が溶けて地表面の重みがなくなると土地はもとにもどるために降起運動をおこないました。

それは、この地方の海岸段丘の発達からもみとめられています。
そして、いまもこの隆起運動が続いていることが水準点の測り直しによってあきらかになりました。

このように、地表面に大きな重いものが重なると土地が沈降し重みがのぞかれると隆起することから地表をつくっている地殻はその下の物質の上に、木が水に浮かぶように浮かんでいるものと考えられています。




山は動いている、土地が動いている証拠とは? わかりやすく解説!

土地は動いている

むかしから「動かざること大地のごとし」といってふつう、大地はしっかりして動かないものと考えられてきました。

しかし、実際には、土地は常に動いています。

そのうちとくに目立つ動きは、海水面にたいして土地が高くなる隆起と反対に低くなる沈降で土地は、この隆起や沈降を繰り返しているのです。


土地が動いている証拠

富山県の魚津の海岸は、むかしの森林が海中に沈んで埋没林となっていますがこれは、それほど遠くない昔、土地が沈降したことをしめしています。

また、千葉県の守谷の海岸にある洞穴で、弥生式土器や鹿・猪の骨をふくむ陸上で堆積した地層と海中で堆積した地層が何枚も重なりあったものが発見されました。

これは、この付近の土地が何回も隆起と沈降とを繰り返したことを物語っています。

このほか、関東地方の南部にある三浦半島や江の島では1923年の関東地震のときに波の作用によって平らに削られた海底が水面上にあらわれました。

これはごく最近、土地が隆起した証拠といえます。

また、検潮儀と呼ばれる海面の高さを測る器械を使って海面の高さの上がり下がりを長いあいだ調べています。

これによって、海面にたいする土地の運動を知ることもできます。

水準点の測り直し

もっと正確に土地の運動を知るには、ある年月をおいて水準点を測り直してみることです。

水準点は、地図をつくるときの高さの基凖になるものです。
花こう岩の柱でつくられ全国の主な道路に沿って、約2キロごとに設けられています。

水準点の高さは、東京湾の平均海水面からの高さをあらわしています。
この水準点の高さをしばらく年月をおいて測り直してみると土地が隆起したか沈降したかが正確に測れます。

中国地方の、広烏から三次を通って宍道にいたる道路にも水準点が設けられています。

これらの水準点を、1891年に測り、それから30年後の1921年に、また測り直しました。
その結果、中国山地は、海岸地方にくらべて隆起する傾向があることがわかりました。

30年間に、もっとも隆起したところは9センチでした。

この数字は大きいとは言えませんが、もしこのような運動が数千年、数万年も続くと、非常に大きくなります。



地震と土地の動き

地震が起こると、その付近の土地が変化することはよく知られていますが水準点の変化を調べて、わずかな土地の運動も測られています。

四国東南部にある水準点は、1895年から1929年まで室戸岬付近でもっとも大きく沈降し、高知市付近ではやや隆起する傾向をあらわしていました。

ところが、1946年の南海大地震のあとで同じ水準点をに測り直してみるとまえとはまったく反対に室戸岬付近がもっとも隆起し高知市付近では逆に沈降していることがわかりました。

このことから四国東南部では、ふつうのときと地震のときとで土地の運動が反対になる、シーソー運動をおこなっていることがわかります。

このほか、九州の桜島付近の水準点を調べた結果火山の火口付近では、噴火の後に土地が沈降する傾向があることもわかりました。

土地の水平移動と三角点

土地は上下の方向に降起や沈降をおこなうだけでなく、水平方向にも移動します。
しかし、この移動は隆起や沈降のような、上下方向の動きほどは、目立たないようです。

土地の水平移動の様子は、三角点をくわしく、測り直してみるとわかります。

関東地震後に三角点を測り直した結果、大磯や三浦半島・房総半島南部では南東方へ3メートル以上も移動し、伊豆半島の天城山や伊豆大島では北または北北東へ5メートル近くも水平移動したことがわかりました。

また、1930年北伊豆地震のときには、南北にはしる丹那地震断層を境にして
西からでは南、東側では北に水平移動をおこたったことが知られています。




地震のときに起こる現象とは?地震の応用と災害防止とは?

地震断層

地震のときに、土地が割れ目を境にしてずり動き地層に大きな食い違いのできることがあります。

1891年10月28日、岐阜県に起こった濃尾地震のとき、大きな断層ができました。
この断層の両側では上下方向で6メート、水平方向で2メートルほども食い違いができました。
これは根尾谷断層と呼ばれ世界的に有名なものです。
 
また、1906年のカリフォルニアの大地震のときの断層は長さが400キロにも達する長いものでいままでに知られたもっとも大きな地震断層の1つです。


土地の上がり・下がり

地震のときに土地が隆起したり、沈降したりすることがあります。

とくに海岸では、海水面が上がったり、下がったりしますのでこの土地の変化をはっきり見ることができます。

1923年の関東大地震のときは、三浦半島や房総半島の南部が2メートルほど隆起しました。

また1946年の南海道大地震でも、紀伊半島や四国の南側で著しい土地の上がり下がりがありました。

津波

海底で地震が起こると、海底の揺れが海水に伝わって大きな波が起こります。
この波の山と山のあいだ(波長)は、数百キロにも達する長いものです。

このような波は、奥のほうがせまくなっている湾に入ると非常に高い波になって湾の奥に、大きな災害をあたえます。これを津波といいます。

岩手県の三陸海岸は、とくに津波の災害の多いところです。
それは、地震の度々起こるところで、しかもこの地方の海岸がのこぎりの歯のように、出入りが多いためです。

1933年3月3日の三陸地震による大津波のときは湾の奥で、波の高さが、20メートルにも達したところがあり多くの家や住民が流されました。



地震の応用

大地震は、非常に大きな災害を及ぼすものですがその波の伝わりかたを観測して地球の内部や地下の様子を、調べることができます。

さらに、火薬で人工地震を起こし、その波を観測して大陸の下や海の底の様子がくわしくわかってきました。

また、地下1000メートルもの深い地層に隠されている石油を見つけだすのにも用いられています。
このほか、鉱山や土木工事でも、地下の様子を探るのに、さかんに利用されています。

地震の災害と予防

大きな地震では、崖が崩れたり、建物が倒れたりして大きな災害をまねくことが少なくありません。

1923年の9月1日に起こった関東大地震は全世界を通じて、もっとも大きな災害をだしました。

たくさんの家が倒されたり、壊されたりしたばかりでなくそれに続いて市内のあちこちで大火事が起こったために被害が非常に大きくなったのです。

このような災害を少なくするため建物を地震に耐えることのできる上部なつくりにするとともに火のもとに、お互いが気をつけることが必要です。

また、海底に地震がおこった場合には、津波がくるのを用心しなければなりません。
津波は、地震の揺れがきて、しばらくしてからやってくるものですからある程度災難を避けることができるものです。

観測や警報が完全になって、早くこのような災害をなくしたいものです。

地震の予知

地震や津波による大きな災害を聞くたびにいつどこで、大きな地震が起こるかを予知することができたならばと考える人が多いことでしょう。

地震学者たちは、いろいろの方法で地震の起こるのを予知しようとし、研究を重ねています。

たとえば、地震の前ぶれとして地面がごくわずかでも変化するのではないかと考えて、それを調べるために、あちこちの地下の深いトンネルの中で観測を続けています。

また、大きい地震の前ぶれとして、小さな地震(前震)が増えるのではないかと非常に感度の高い地震計で、観測を続けています。

しかし地震の予知ができるようになるためには、なおいっそうの観測と研究が必要です。




地震の起こりかたとは?余震・前震・群発地震とは?

地震の起こる場所

地震は地下の深いところで起こるもので、ここを震源といいます。
その深さは、ふつう地表から、数キロから60キロくらいのところです。

もっと深いところで起こる地震は、深発地震といわれます。
そのうちもっとも深いものは、約700キロもの深さでおこります。

それでも、地球全体について見ると地震は地球 ごく表面の部分に起こっているものだということができます。

震源の真上の地表の点を震央といい、その分布を調べてみるとところどころにより集まっていることがわかります。

日本付近の地震は、東北地方の東側でとくに頻繁に起こっています。
また、世界について、地震の分布を見ると、地震の起こるところが帯のように集まっていることがわかります。

このようなところを、地震帯といいます。

太平洋のまわりは、とくに地震の多いところになっており環太平洋地震帯とよばれています。
そして地震帯と火山帯は、ほとんどならんで分布しています。


地震の大きさと震度

地震が大きければ、それだけ広い範囲が、ひどく揺れ動きます。
このことから、地震の大きさは、震央から一定の距離だけ離れた場所で感じられる地震の大きさでくらべることができます。

1960年のチリ地震や、1933年の三陸地震などは近年ではとくに大きな地震でした。
震度というのは、観測している場所の揺れの程度をしめすもので8階級にわけられています。

震度は、震源の近くでもっとも大きく、これから遠くなるにつれて、小さくなります。
ですから、震度の分布によって、だいたいの震央の位置を知ることができます。

また、人間が感じるほどに揺れた場合を有感地震とよび人間は感じないが、地震計には感じるようなものを、無感地震といいます。

余震・前震・群発地震

地震の起こりかたには、いろいろな特徴があります。

大きな地震には、たいてい多くの余震が、引き続いてて起こります。
余震はふつう本震にくらべてかなり小さいもので回数も、本震のあとの時間が経つにつれて、急に減っていきます。

しかし、非常に大きい地震の場合には、1年以上も余震の続くことがあります。

大きな地震の起こるすぐまえに、同じところに起こった地震をとくに前震とよんでいます。

前震は大地震を予知するのに役立つと考えられますからこれを調べるため、とくに注意深い観測かおこなわれています。

また、ある場所に、小さい地震が、たくさん起こることがあります。
これを群発地震とよびますが、とくに、火山の付近でよく起こるものです。




地震の観測方法とは? 地震の波とは? 地震計とは?

地震の観測

地震のとき、よく注意していると、はじめに小さな揺れが続きしばらくしてから大きく揺れることに気がつくでしょう。

最初に揺れはじめてから、大きく揺れるまでの時間を初期微動継続時間と呼んでいますが、この時間が長いほど地震の震源が遠いところにあるのです。

このような土地の揺れを、もっとくわしく調べるためにはまず、土地の揺れかたを正しく記録することが必要です。


地震計

上地の揺れを、たえず自動的に記録する機械が地震計です。
地震の本当の研究がはじまったのは、地震計が発明されてからのことです。

ふつう、ある物体の揺れを記録しようとする場合にはそれに取り付けた針先を、揺れない記録紙の上に触れておけばよいわけです。

しかし地震の場合は記録紙もいっしょに揺れるので、つぎのような特別の方法をとります。

図のように、重りを糸で吊るした振り子を用意しましょう。
糸を持った手をゆっくり動かした場合は手が動くにつれて、重りもいっしょに動きます。

つぎに、手を振り子の周期よりも、はるかに速く動かしたときは重りはほとんどもとの位置から動きません。

ですから、地雲の揺れよりはるかに周期の長い振り子の重りは地震のときもほとんど動くことなく、空中の一点にとどまっているわけです。

そこで、この重りにつけた針先を地面とともに動く記録紙の上に触れておけば地面の動きを記録することができます。

これが地震計の原理です。

地震のときの実際の揺れの大きさはごく小さいので針先の動きを、いろいろの方法で大きくして記録します。

いちばん簡単なものは、てこの原理で大きくするものですが最近は、その動きを電流の変化にかえて記録する電磁式地震計が、さかんに使われています。

多くの観測所に備えられているものは揺れを数十倍から数千倍に大きくして記録するものですが100万倍の敏感な地震計もつくられています。

なお水平方向の揺れには水平振り子を上下方向の揺れには上下のばね振り子を用います。

観測所では、東西・南北・上下の揺れをはかる1台の地震計で連続観測がおこなわれています。

地震の波

地震のときの地面の揺れを地震計で記録し、地震のはじまった点を①,大きく揺れはじめた点を②とします。

まえに述べた初期微動継続時間というのは、①から②までの時間になります。

地震の揺れは、震源から四方に、波となって伝わっていきますが震源からでる波には2種類あります。
1つは縦波で、伝わりかたが速く、もう1つは横波で縦波より少し遅い速度で伝わっていきます。

図の①と②は、それぞれこの2つの波がやってきた時刻で震源から遠く離れるほど、②の到着する時間が遅くなるわけです。
初期微動継続時間と震源までの距離とのあいだには、つぎのような関係があります。

震源までの距離(km)= 8 × 初期微動継続時間(秒)

この関係式から、多くの場所で地震の揺れかたを観測して波の伝わる速さや震源の位置をもとめることができます。

また、こうした波の伝わりかたを調べることによって地下の深いところの様子を調べることができます。




温泉ができるわけと種類とは?温泉と地熱の利用とは?

温泉

温泉は火山と開係してできるものです。
火山の多い日本には、温泉もまた、たくさんあります。

温泉として湧き出す湯の量は、たいへん多く日本では雨量の1000分の1にも達しています。

温泉は地下の深いところから湧き出てくる高温の泉です。

ふつう日本では、摂氏25度以上のものが温泉と呼ばれそれより温度が低い場合は、鉱泉または冷泉とよんでいます。


温泉のできるわけ

噴火の源であるマグマが地下でしだいに冷えるときこれに溶けていたいろいろなガスが出てきます。

この高温のガスが冷えて、鉱物をたくさんふくんだ湯になり岩の割れ目から湧き出したものが温泉であると考えられています。

また、ときには雨水が地下に染み込み高温の水蒸気やマグマにあたためられて湯となりふたたび地表に湧き出す場合もあります。

このように、温泉は地下のマグマによってできるものでたいへん穏やかな火山活動といえます。

温泉の種類

温泉は地価のいろいろな岩石やガスを溶かし込んでいます。
そして、その化学成分によってたくさんの種類にわけられます。

それが酸性であるかアルカリ性であるかによってそれぞれ、酸性温泉・アルカリ性温泉といい、また中性のものは中性温泉といいます。

湯が地表にでると、これらの成分が、湯の出口などに沈殿することがあります。湯の花と言われているのがこれです。

湯の温度は、摂氏45度から、40度ぐらいがふつうです。
ときには、100度に近いものもあります。

鉱泉

温度が低くて(ふつう25度以下)、硫化水素・鉄分またはラドンなどの特別の成分をふくんでいるものです。



間欠泉

一定の時間をおいて、温泉の噴出を繰り返すもので日本では鳴子(宮城県)・鬼首(宮城県)・別府(大分県)などの温泉にあります。

アメリカのイエローストーンは、たくさんの間欠泉があることで有名です。

間欠泉は上の図のような仕組みで水蒸気の圧力がしだいに大きくなって噴出するものと考えられます。

温泉の利用

温泉には、いろいろ成分がふくまれているので温泉に入ると、体があたたまって血のめぐりがよくなり、健康を助けます。

このため温泉は、病気を治すためや保養に広く利用されています。

地熱の利用

ふつう、温泉の近くには、高沢の噴気孔がたくさんあります。
このような温泉や噴気孔から無駄に出ていく熱量は、たいへんな量になります。

そこで、この熱を利用することが考えられています。

とくにイタリアでは、地下から噴出する高温の水蒸気で大規模な発電を行っています。

また最近では、ニュージーランドでも地熱発電をはじめました。
日本でも岩手県の松川や大分県の大岳に地熱発電所があります。

そのほか温室栽培などに利用しているところもあります。




火山の噴出物とは?火山の形と種類とは? わかりやすく解説!

火山ガス

地下のマグマには、たくさんの水分やガスがとけています。
このマグマが地表に出てくると、圧力が下がって溶岩から水分やガスが出てしまいます。

このため、噴火のときには、たくさんのガスを吹き出します。
噴火のときの激しい爆発は、このガスの圧力によるものです。

火山ガスのほとんどは水蒸気ですがこのほかに、二酸化炭素・二酸化硫黄・塩素・一酸化炭素などをふくんでいます。


溶岩

噴火で吹き出した地下のマグマが地上にでてきたものです。
噴火のときに出てくる新しい溶岩の温度は、摂氏950~1200度ぐらいあります。

また、溶岩のねばりけは、火山によって違い噴火のしかたや火山の形と、深い関係があります。

火山放出物

噴火のときには、溶岩のほかに、大小の岩片が吹き飛ばされます。
これらの火山放出物といい、その大きさによって火山岩塊・火山れき・火山砂・火山灰と呼んでいます。

またこのほかに、火山弾・軽石というようなものもあります。

火山弾

まだ固まらない溶岩が、吹き飛ばされて落ちてくる途中空気中で固まったものを火山弾といいます。

その形は球形や卵形など、いろいろなものがあります。

軽石

火口から押し出されたた溶岩から急にガスが逃げ出して冷え固まると非常に穴の多い岩石になります。

これはたいへん軽く、軽石または浮石と呼ばれます。

溶岩流・軽石流・泥流

溶岩流は溶岩が、火口または山腹の割れ目から噴き出してふもとに向かって流れ下るものです。

溶岩のねばりけが小さいとき、その流れは速く、溶岩流の厚さは、うすくなります。

軽石流は、高温の軽石が火口にあふれでて、山腹を流れくだるものです。
非常にたくさんの軽石流が、急にふもとの村落や田畑を襲って大きな災害を起こすことがあります。

泥流は、噴火とともに古い山体の一部が、速い速度でふもとに流れくだるものです。

ふつう、多くの水をふくみ、温度はあまり高くありません。



マール

マグマからわかれたガスが、爆発的に噴出し直径数百メートルの円形のくぼ地(火口)ができます。

火口の周囲には、爆発で飛ばされた岩くずが積もり、丘になっています。
これをマールとに言います。

このくぼ地は、水をたたえることが多く秋田県の一の目潟・二の目潟・三の目潟などは、この例です。

砕屑丘

火山灰や火山れき・軽石などの火山放出物が、火口のまわりに積もってできた山です。
いっぱんに、高さが数百メートル以下の小さな山ですがそのわりあいに、大きな火口をもっています。

溶岩円頂丘

ねばりけが強く、流れにくい溶岩が噴出するとき火口の上にもりあがって釣鐘を伏せたような形になった火山で、鐘状火山ともいいます。

ふつう、噴火口は見られません。

ねばりけが、さらに強い溶岩では、とうのようにつきでたものになります。
有珠山の大有珠・小有珠・昭和新山などは、この例です。

成層火山

円すい形をして、頂上に火口をもっていて、その姿の美しいことが特徴です。
このような形は、軽石や岩くずを激しく吹き飛ばしたり溶岩を流したりすることを何回も繰り返してできたものです。

このような火山を縦割りにすると、溶岩と火山放出物とが層をなして重なっています。
富士山をはじめ、おもな火山の大部分は、この形をしています。

盾状火山

非常に流れやすい溶岩が、静かに流れだし、爆発の弱い場合にできます。
高さが低いわりに、広く長いすそ野をもった平たい形になります。

山腹の傾斜は、非常にゆるやかで、10度以下がふつうです。ハワイの火山は、この例です。

溶岩台地

非常に流れやすい溶岩が静かに流れただけで爆発がない場合は平らな台地ができます。

ふつう、溶岩の量は非常に多く、広々と広がって分布します。
インドのデカン高原は、そのもっとも大きなものの1つです。

カルデラ

火山体の中央部にできた内形のくぼみで、火口よりもはるかに大きなものです。

じれは火山の下の深いところにあった溶岩が噴火によって多量に流れだしたために火山体が、その支えを失って落ち込んだものです。

阿蘇カルデラは直径が25キロもあり、世界でもっとも大きなものです。
またときには、爆発によって大きなくぼみができることもあります。

福島県の磐梯山の北川にあるくぼみは、この例です。

腹式噴火

長いあいだ火山の活動が続けられているうちに火口が移動するとその周りに新しい山体ができます。

こうして1つの火山でも、いくつかの火山体が組み合わさっている場合が少なくありません。このような火山を複式火山と言います。

また、大きい火山の山腹にできる小さい火山体は寄生火山といわれます。

さらに、山体が落ち込んでカルデラをつくった後、中央に新しく小さい火山ができることがあります。

これを中央火口丘と呼びます。その場合、外側の山体を外輪山と言っています。

このように二重になった火山を二重式火山と言い伊豆大島の三原山や阿蘇山をはじめ、たくさんの例があります。

箱根山や浅間山は、三重式火山です。




噴火の予知とは? 地震を観測する方法とは? わかりやすく解説!

噴火の予知

火山が噴火すると、岩石を遠くまで吹き飛ばしたり高温の溶岩流や軽石流が、ふもとの田畑や村落を襲うことが少なくありません。

このような危険な噴火を予知できれば人々を安全なところに避難させたり警報を出すことができます。

噴火を予知する方法は、いろいろ考えられていますが噴火のしかたによって、それぞれ適当な方法がとられています。

しかし研究者たちはいっそう正確な予知ができるようにさらに観測や研究を続けています。


地震を観測する方法

噴火のまえには、火山の近くで、たびたび地震の感じられることが少なくありません。
有珠山(昭和新山の誕生)の噴火のときは、激しい地震の前触れがありました。

地震の起こった場所は地震の観測からわかりますから噴火がどのあたりに起こるかが予測されるわけです。

いっぽう浅間山は、とつぜん激しく爆発する、たいへん危険な火山です。
爆発のまえに、人が地震を感じることはありません。

しかし.極めて敏感な地震計で観測していますと爆発の数日ないし2、3か月まえから小さな地震が起こり、しだいに増えていって爆発が起こるということがわかりました。

ですから、精密な地震の観測で、火山の爆発を予知することができます。

また阿蘇山では、噴火のまえに、脆動という連続した揺れが大きくなることを利用して噴火を予測しようとしています。

地面の変化をはかる方法

噴火のまえには、火山の内部の圧力が大きくなり、地面が降起すると考えられています。
実際、地面のあがりかたや傾斜を精密に測定すると噴火のまえには、地面が隆起することがわかりました。

ですから、火山のまわりの地面の変形によっても噴火を予測することができると考えられています。

その他

噴火のまえに地磁気が変化することがわかりこれが噴火の予知に役立つと考えられています。

また、火口から出ている火山ガスの量や成分が噴火のまえにかわるのを利用して噴火を予測できるのではないかと言われています。




噴火の種類とは? 噴火のありさまとは? わかりやすく解説!

噴火

噴火とは、火口からガスや水蒸気といっしょに厚い岩片や火山灰を噴き出すことです。
ガスだけを噴き出す噴気孔や、湯を湧き出す温泉では噴火をしているとは言いません。

噴火の様子は火山によってたいへん違います。
また同じ火山でも、ときによっては噴火のしかたがかわることがあります。


ハワイ式噴火

ハワイの火山の噴火に見られるものです。

爆発は起こらず、非常に流れやすい溶岩が火口や地殻の割れ目から吹き出し、ふもとへ流れ下ります。

その岩流が、畑地や人家を襲って、しばしば、災害を引き起こすこともあります。このような噴火をする火山は、日本には見られません。

ストロンボリ式噴火

小さい爆発をたえまなく繰り返し、噴出する溶岩は、かなり流れやすいものです。
大島の三原山や三宅島・阿蘇山、イタりアのストロンボリ火山などの噴火は、この例です。

爆発が弱いので、火口にかなり近づくことができます。

しかし、しばらく噴火を休んでいたあとの噴火では激しい爆発を起こしますから、決意しなければなりません。

ボルカノ式噴火

ときどき、非常に激しい爆発を起こします。
大小の溶岩のかたまりを火口から数キロも離れたところまで吹き飛ばすことも
めずらしくありません。

浅間山・桜島・イタリアのボルカノなどの火山は、この種の噴火をします。

このような火山は、火口からかなり遠いところでも危険なものですからもっとも注意しなければなりません。

桜島の大噴火

近年になってからの我が国のもっとも大きな噴火は、1914年の桜鳥の大噴火です。

桜島はそれまで、鹿児島湾にある島でしたが大噴火の少し前から激しい地震が起こりはじめました。

そして噴火は、古い火口を通る大きな割れ目の線の上で山の中腹からはじまり、たいへんな量の溶岩を流しました。

流れだした溶岩は、ふもとの畑や部落を埋め、さらに、海に流れ出しました。
そのため桜島は、隣りの大隅半島と地続きになったのです。

このときの爆発も、非常に激しいもので、空高く吹き上げた灰は遠く東京まで流れました。

しかもこの噴火で、鹿児島湾一帯の広大な地面が、1メートルほども沈降したのです。
これは、多量の溶岩が、地下の深いところから流れ出てしまったために起こったと考えられています。

現在の桜島は、中央の火口で1955年から引き続いて爆発を繰り返しています。

そして、日本でもっとも活発な活動をしている火山の1つです。



プレー式噴火

昭和新山や西インド諸島のプレー火山などの噴火に見られるものです。

高温の流れにくい溶岩が、塔のように火口にもりあがり噴火の前も、噴火しているときも、激しい地震が感じられます。

ふつう、火口のまわりの土地が著しく隆起します。

昭和新山

1943年の12月、有珠山一帯は、ひんぴんと強い地震にみまわれ土地の人たちは、有珠山の噴火ではないかと心配しました。

しかしつぎの年の2月ごろから地震はしだいにおさまり、人々は、ようやく安心しました。

ところが5月になると有珠山の東側のふもとの畑地が、もりあがりはじめましたが6月にはついに爆発が起こり、地面の隆起もいよいよ激しくなりました。

そして、高さ150メートルほどの屋根形の山ができました。
1944年の11月ごろになると、こんどは屋根形の山からさらに、まっ赤な溶岩の塔がつきだしはじめました。

そして結局、高さが400メートルもある山ができたのです。
この山は、昭和新山と名付けられました。

ガス爆発

これは、火山の下に熱い水蒸気やガスがたまって、山体の一部を吹き飛ばすものです。

しばらく噴火を休んでいた火山が、とつぜん爆発する場合は
こういう噴火をすることが少なくありません。

1888年7月15日に起こった、福島県の磐梯山の爆発は、この例です。
このときの爆発によって、山体の北半分が壊されました。

そして山体の一部は、山崩れとなって、ふもとに流れ落ち
村落を埋め、多くの人命をうばいました。

また、この山崩れによって、川がせき止められ
小野川湖・秋元湖・檜原湖などの湖ができたことは有名です。

海底噴火

火山は、陸上にばかりあるのではありません。
海の底にも、たくさん火山があって、ときどき噴火することが知られてきました。

しかし、この海底火山の噴火についてはそれほどくわしい調査がなされていませんでした。

そのため1952年9月、明神丸の乗組員が、東京の南方約400キロの海上で海中の噴火を発見したときには、ただちに、飛行機や調査船で、その調査におもむきました。

しかし不幸にも海上保安庁水路部の調査船、第五海洋丸は、海底の爆発にあい。

多くの研究者や乗組員もろともその犠牲になったのでした。

この海底噴火は、非常に激しく危険なものでした。
そしてこの噴火によって、一時は小さな島ができ、明神礁と名付けられました。

しかし、その後、海中に消えてしまいました。




火山の活動とは?活火山・休火山・死火山とは?

火山

地下の深いところには、1000度以上の高温でとけたマグマと呼ばれるものがたまっていて、これが地殻の割れ目から地表に噴出してきます。

火山は、このマグマが何回も繰り返して噴出し、積み重なってできたものです。

富士山をはじめとし、数多くの火山は、このような激しい噴火が非常に長い年月にわったて続き、できあがったのです。

しかしときには、私たちの見ているあいだにまったく新しい火山がうまれることがあります。


パリクテン火山

1943年2月のこと、メキシコの中央部にあるパリクテンという村の近くで突然地震を感じ同時に畑に割れ目ができ、煙りが立ち上りはじめました。

それから噴煙に、しだいに激しくなるとともに火山灰で噴石を吹上げるようになりました。
その後爆発は、ますます激しくなり、赤く熱した溶岩を繰り返して流し出しました。

そうして、1952年の春に噴火が終わるまでにパリクテンの部落を溶岩で埋めてしまいもとは畑地だったところに450メートルほどの新しい火山ができたのです。

この火山は、パリクテン火山と名付けられました。

火山の活動

火山の活動の様子を見ると、さかんに活動しているもの活動の衰えたもの、まったく活動をしていないものなど、いろいろあります。

ですから火山は、その活動の状態によって活火山・休火山・死火山にわけられています。
しかしこれは絶対的なものではなく、休火山が噴火をはじめれば活火山になるわけで、いつ、そうならないとも限らないのです。

活火山

現在、さかんに煙りを吐いて活動している火山や、いまはちょっと休んでいてもときどき活動する火山を、活火山といいます。

桜島・阿蘇山・三原山・浅間山などは、活火山です。

休火山

以前は富士山や蔵王山などのように、むかし噴火したことは知られているがその後、長いあいだ噴火したことがなく煙りを吐いていない静かな火山を休火山といいます。

死火山

形や地質は、火山特有のものであるが、いまは全く活動しておらずまた、歴史にも噴火の記録がない山を死火山といいます。

愛鷹山や天城山・羊蹄山などは、死火山の例です。




地球内部はどうなってる?地殻・マントル・核のつくリとは?

地球の内部のつくり

地球の内部はこれまで調べられたいろいろな性質から大きく3つにわけられます。

まず、地表から地下40キロくらいまでのところは
地球のからにあたる部分で、地殻(クラスト)とよばれます。

その下の深さ2900キ口までは中間層またはマントル(外とう部)といわれ
さらにそれ以下、中心までの地球の中心部は、核(コア)といわれています。


モホロビッチの不連続面

地震の波の伝わりかたを調べると地表から30~40キ口のところで地球をつくっている物質がかわっていることがわかります。

この境目は、モホロビッチが見つけたのでモホロビッチの不連続面とか、モホ面とかいわれます。

このモホロビッチの不連続面から上を地殻といいます。
地殻はアルミニウムやマグネシウムなどを多くふくんだ軽い岩石からできています。

地殻の厚さに、ふつう約40キロといわれていますが、どこでも同じというわけではなく、海底では5キロぐらいしかありません。
しかし大陸棚の部分は陸地と同じくらいの厚さがあります。

このことから大陸棚は陸地の一部と考えられるわけです。

地殻の表面の平均密度は、約2.7です。また、地殻の底の平均密度も2.8ぐらいです。

表面と底で密度の差があまりないのは地殻の40キロぐらいの厚さでは底でもあまり圧力を受けないためです。

シアルとシマ

地殻は、さらに上と下の2つにわけられます。
上のほうは、シリコン(ケイ素)とアルミニウムが多くふくまれているのでシアル型とよばれます。

この型を代表する岩石は花こう岩です。

これにたいして、下のほうは、シリコンとマグネシウムを多くふくんでいるのでシマ型と言われます。

シマ型の代表は玄武岩です。

この2つの層のうち、下にあるシマ型は地球全体をとりまいていますが上のシアル型は、ないところもあります。

たとえば海の底では、地殻全体がうすいだけでなくところによってはシアル層のない部分があります。

地殻のつり合い

地震波によって、地球の内部を調べることができなかったころ地上のさまざまな場所で重力をはかってみると高い山ほど軽い岩石からできているようだということがわかりました。

ところが地表で岩石を調べてみると、高い山地の岩石も平地の岩石も比重はそんなに違いません。

そこで、陸地とにいうのは軽い岩が重い岩の上に浮かんでできたのだという考えができました。

これはちょうど、海に浮かんでいる氷山に似ています。
氷山は、海の上に見える部分が高いほど、海の中にかくれている部分も大きいのです。

軽い岩からできている地殻を氷山、マントルを海水とすると地殻も氷山と同じように高い山の下ほど、厚くなっていると考えられます。

氷山は、氷山の重さと海の水からうける浮力とがつりあって浮かんでいます。
これと同じように、地殻の重さと浮力とがつりあっていると考える説を地殻均衡(アイソスタシー)説といいます。



マントル

地殻の下、深さ2900キロぐらいまでは、マソトルとよばれます。
マントルは、おもに、鉄やマグネシウムをたくさんふくんだカンラン岩やジャモン岩に似た岩石でできていると考えられています。

マントルをつくっている物質は地殻の場合と違って密度が急に大きくなっています。
また3000キ口ほどの厚さがあるので上からの圧力をうけ下の部分の密度はさらに大きくなっています。

マントルの上の部分の密度は約3.4ですがこの圧力のために底の部分の密度は5.7ほどになります。

マントルの下から、地球の中心までの約3500キロの部分を核といいます。
核は、さらに外核と内核とにわけられています。

外核

マントルや地殻よりも重い、鉄やニッケルのような金属が5000度ぐらいの熱でとけて、水あめのような状態になっているという説もあります。

外核が、このような液体になっているのは地震波のうちの横波が通らないことから説明できますが外核の物質については、まだ、はっきりわかっていません。

密度はマントルに近いところで9くらいですが中心へ行くにつれて増加します。

内核

地球の中心から半径約1300キロの部分を、とくに内核といいます。
ここは、いろいろな研究から、固体ではないかと考えられています。

密度は約17で、地表で測った鉄やニッケルの密度の、約2倍にあたります。




地球内部の性質とは?密度と硬さ・地球内部の温度とは?

地球内部の性質をあらわす主なものは密度・硬さ・圧力・温度です。
これらの性質と、地質や岩石の研究をもとにして、地球のつくりが考えられます。


地球内部の密度

地上で土や岩石などの密度を調べてみると1立方センチについてだいたい2.0~3.1グラムになります。

いっぽう、地球の重さと体積から地球の密度を計算すると、約5.5になります。

このことから、地球の内部には表面よりもずっと重いものがなければならないことがわかります。

地震波の伝わりかたをもとにして、地球内部の密度を計算すると地表で約3ある密度は、深くなるにつれてしだいに増えていきますが地表から2900キロほどのところで、急に増えます。

そして、中心では16.5ぐらいになります。

地球内部の硬さ

物質は外から加えられる伸び縮みやねじりの力にたいして抵抗する性質をもりています。

この性質をそれぞれ、伸び縮みにたいする硬さ、ねじりにたいする硬さといい
2つをあわせて、物質の硬さといいます。

いま、地球が同じ密度の物質でできているものと考えて地球潮汐から平均の硬さを求めてみると、ほぼ鋼鉄と同じになります。

地上の岩石よりずっと硬いことは地球内部に表面よりもずっと硬い物質があることをしめしています。

そこで、地震波の伝わりかたや地球内部の密度から地球内部の硬さを調べてみると深いところでは鋼鉄の4倍から6倍くらいになると考えられます。

さらにくわしく、伸び縮みにたいする硬さとねじりにたいする硬さをわけて考えてみます。

伸び縮みにたいする硬さは、地表からの深さにだいたい比例して増えていきます。
そして、2900キロ付近で少し減り、それから先ではふたたび深さに比例して増えていきます。

ねじりにたいする硬さも、深さとともに増していきますがその増し方が小さくなるところが途中にあります。

また2900キロ以上の深さでは、ねじりにたいする硬さはなくなってしまいます。

固体と違って、液体にはねじりにたいする硬さがないことからこの部分が液体ではないかという考えかたがでてきます。



地球内部の圧力

地震波の伝わりかたから調べた地球内部の密度は、深さにつれて大きくなっています。
これは、深くなればなるほど外側から強い圧力をうけて縮まっているためなのです。

そこで、密度の分布をもとにして、地球内部の圧力を調べてみると中心部では350万気圧にもなります。
これは、私たちが、地表で空気から受ける圧力の350万倍という大きなものです。

地球内部の温度

地球の表面では赤道や極地、四季などによって温度もたいへん違います。
しかし、地表での温度の違いは、おもに太陽のために起こるものです。

この太陽の熱は、四季の違いでせいぜい地下20~30メートルぐらいまでしか影響をあたえませんからそれより深いところの温度は、1年中ほとんど変化しません。

また、赤道と極地の温度の違いもせいぜい深さ300メートルくらいまでにしか影響しません。

それより深いところでは、同じ深さでの温度は一定しています。
現在、実際に温度を測ることができるのは、地下5キロくらいまでです。

この深さまでは、100メートル深くなることに3度くらいの割合で温度が高くなっていくことが調べられています。

もしこの割合で、地球内部の温度が高くなっていくものと考えると半径が6380キロもある地球の中心では、20万度にもなってしまいます。

しかし、地球の内部をつくっている物質のありさまや地球に落ちてくる隕石などを参考に調べてみると、こんな高い温度は考えられません。

実際、どろどろに融けている太陽の表面でも6000度くらいです。

このようなことと、地球のつくり、隕石および太陽系の星などをもとにして地球内部の温度を考えて入ると、地下2000キ口で4000度2900キロで4500~5000度、中心で6000度くらいになります。




地球内部を調べる手がかりとは? 深海ボーリング計画とは?

地球の内部は、目で見ることも、人がいって調べることもできません。
人が実際に調べることができるのは、科学の進歩した現在でも、せいぜい地下5キ口ぐらいまでです。

それより下は、ほかの方法で間接的に調べるほかないのです。

そのため、むかしは地上のありさまから内部を想像するだけでしたが、近代になって、地球物理学という学問が進歩し、地球内部を実験的に調べる手がかかりがいくつも考えだされるようになりました。

それらの方法のうち主なものは、地震・重力・隕石の構造・地球の自由振動・地球潮汐を調べることなどです。

このほか、アメリカでは「深海ボーリング計画」をはじめました。

これは海底に穴をあけて、地球の過去や成因を調べるものです。


地震を調べる

恐ろしい地震も、いっぽうでは、地球内部を調べる手がかりとして大きな役割りをもっています。

池の中に石を投げると、石が落ちたところを中心にして波がまわりに伝わるのが見られます。

地震の場合もこれと同じで、地震の起こった震源を中心にして地震波が地球のあちこちに伝わっていきます。

地震波には、縦波と横波があります。
これらの波が、物質を伝わっていく速さはその物質の硬さと密度によって決まります。

ふつう硬い物質・密度の小さい物質ほど速くなります。
同じ物質では、縦波のほうが横波よりも速く伝わります。

また、縦波はどんな物質でも伝わりますが横波は液体の中を伝わらない性質を持っています。

実際に地震が起こった場合、震源からでた地震波は同じ物質を伝わっていくと、遠いところよりも近いところに速く達します。

しかし、物質によって地震波の伝わる速さがかわりますから近いところよりも遠いところに速く伝わることもあります。

たとえば砂や土など、伝える速度の遅いものを通って近くにいく場合よりも固い岩石のような伝える速度の速いものを通って遠くへ行くほうが速いこともあるのです。

このように、地震波が各地に届く時間は、距離だけでなく通る道筋によっても違ってきます。
この違いをくわしく調べると、地球内部のつくりがわかるわけです。

重力を調べる

地球上の物質に、すべて地球の引力で下にひかれています。この力を重力といいます。

地球上の・各地で、この軍力をはかってみると、場所によって少し違っています。

この原因の一部は地球の形や運動によるものなので地球内部のつくりには関係しません。

しかし、地表に近いところに重い物質があるなど地表のつくりに関係しているものもあります。

隕石を調べる

夜、大空に見られる流れ星は、地球の外から飛びこんでくる小さな星のかけらです。
その大部分は、地球をとりまいている空気との摩擦で燃えきってしまいますが
なかには、燃え残ったものが地上に落ちてくることがあります。

これが隕石です。

星は、地球と同じような天体と考えられますからその一部の隕石の成分やその割合を調べると地球内部の手がかりが得られわけです。



地球の自由振動

地球は固い球ですが、実際には伸びたり縮んだりして振動することがわかっています。
しかしどのくらいの時間で振動をくりかえすか、その周期を測ることは最近までできませんでした。

その後、非常に長い周期の振動を測れる地震計がつくられて地球の自由振動の周期も測られました。

それによると地球は54分ぐらいで、伸び縮み振動をおこなうことがわかりました。
いっぽう、現在考えられている地球と同じような、密度や硬さの球を考えてその自由振動の周期を計算してみると、結果が一致します。

このことは、現在考えられている地球内部のつくりが本当のものに近いことをしめす証拠になります。

地球潮汐を調べる

月や太陽の引力によって、地球上で潮の干満が起こることはよく知られています。
実際には、地球もこの引力によって多少形を加えます。
このことを地球潮汐と言います。

地球潮汐の大きさは、地球の硬さと関係があります。
それで、地球潮汐の大きさを測ると地球の硬さを調べる手がかりになります。

深海ボーリング計画

アメリカでおこなわれているこの計画はおもにマントルの熱対流を確かめることです。
熱対流が起きていれば、海底山脈中の火山からはマントル内の物質がはき出されて新しい地殻がつくられます。

そして古い地殻は対流によってはしへはしへと運ばれていきます。
したがって、海底の地殻は、海の中央よりも、はしのほうが古いはずです。
そこで海底堆積物のいちばん下を探って、熱対流を裏付けようとしています。

このほか、この計画は海流の影響による堆積物の違いや生物なども調べます。




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