アルコール発酵とは? わかりやすく解説!

アルコール発酵

アルコールをつくる目的で、でんぷんや糖蜜などの糖分を微生物のはたらきでアルコールにかえる発酵のことですがその目的によって、原料や仕こみの方法などが、いろいろと違ってきます。


清酒(日本酒)

清酒をつくるには、まず、よく精白した白米にアスペルギルス=オリジエというカビを繁殖させた米こうじというものをつくります。

この場合、白米は米の外側に多いたんぱく質を、できるだけ取り除いておきます。

このようにしてつくったこうじにはカビによってつくられたいろいろな種類の酵素(アミラーゼーマルターゼなど)がたくさんふくまれています。

このこうじと蒸米(蒸した米)、酵母、適当な量の水とをまぜあわせておくと蒸米のでんぷんはしだいに分解されて、麦芽糖などの糖類にかわります。

こうじによって分解された糖類は酵母の中にとりこまれて、いろいろな酵素の作用によりついに二酸化炭素とアルコールにまで分解されてしまいます。

こうしてできたものを酒母といいます。
酒母に蒸米・水をくわえて、さらに発酵をつづけます。

アルコール濃度が15パーセントぐらいになると酵母の発育はとまり、発酵もだいたい終わりになります。
こうしてできたものを熟成もろみといいますがこれをしぼると、清酒ができます。

清酒は保存のために、火入れをし適当なアルコール濃度に調節して市販清酒ができあがります。

日本酒以外の酒、たとえばビールの場合には米こうじのかわりに麦芽を使います。

麦芽の中には、強力なアミラーゼがふくまれています。

このアミラーゼで、麦芽の中のでんぷんやいっしょにくわえたでんぷんを糖化したのちさらにビール酵母をくわえて発酵させます。

また、このとき、風味をたかめる目的でホップをくわえます。

原料として糖蜜のようなものや、ブドウの果汁などを用いた場合はアミラーゼででんぷんを麦芽糖にかえる
いわゆる糖化の工程がはぶけるので酵母で、ただちに発酵させます。

このあと、蒸留して、アルコールなどのき発分を集めたものにはラム酒などがあります。

焼酎は、穀類やイモ類を糖化し、発酵させたあと揮発分を蒸留してつくったものです。



実験

ブドウの果実を、水であまり洗わないで、よくすりつぶしこれを、皮ごと、ビール瓶のようなものに3分の2ほどつめておきます。

数日経つと瓶の中で、さかんに泡がでてくるのが観察されます。
このときゴム栓の中央に、細いガラス管を通したものをとりつけて栓をします。

ガラス管のはしは、瓶の中の液面より少し上にはなしておきます。
つぎに、このガラス管の上のはしに、ゴム管をつなぎこのゴム管のいっぽうを別なガラス管につないでおきます。

このようにしたガラス管を新しくつくった水酸化バリウム(消石灰の水溶液でもよい)の水溶液に近づけるか少しつけるようにします。

すると、水酸化バリウムの水溶液が、白い膜に包まれたり中に白い沈殿ができたりするのが観察されます。

これは、ブドウの実についている酵素によってブドウの中の糖分が分解され、発酵して二酸化炭素ができた証拠です。

つまり、ブドウの中の糖分が一部発酵してアルコールと二酸化炭素になったのです。

水酸化バリウムは、二酸化炭素にあうと水に溶けない白色の炭酸バリウムを生じるので、二酸化炭素の存在を確かめるのに使われます。




でんぷんの性質とは? わかりやすく解説!

可溶性でんぷんとデキストリン

でんぷん粒を熱したり、あるいはうすい塩酸をはたらかせたりするとでんぷんは水に溶けやすい可溶性でんぷんになります。

可溶性でんぷんは、のりにしたり紙をすくときにまぜたり糸をつむいだりするときに利用されます。

可溶性でんぷんになると、でんぷんは少し壊れていますがこれがさらに壊されていくと、デキストリンとよばれるものになります。

デキストリンも、のりとして使われています。


でんぷんの糊化

でんぷん粒は、水をくわえただけでは、何の変化もおこしませんが
だんだんと温度を上げていくと、水を吸ってふくれはじめ
ある温度になるとふくれ方が急に激しくなり
ついにでんぷん粒が破れ、中からでんぷんがでてきます。

こうして、液はねばっこくなりのりができます。
このように、のりになることを糊化とい卜ます。

糊化温度

でんぷんからのりができるときの温度、正確には、でんぷん粒が急にふくれあがる温度を糊化温度といいます。

糊化温度は、どのでんぷんでも同じというわけではなく、そのでんぷんをふくむものによって、いろいろと違います。

糊化温度のいちばん低いのはトウモロコシのでんぷんで64~71℃いちばん高いのは、サツマイモのでんぷんで82~83℃です。

でんぷんの糖化

でんぷんに麦芽をはたらかせると、甘い水あめができます。
また、ごはんを口の中でよくかむと、だんだん甘みがついてきます。

これは、麦芽やだ液の中に、アミラーゼとよばれる酵素があってでんぷんを分解し、麦芽糖というものにかえるからです。

この反応を、でんぷんの糖化といいます。
できた麦芽糖は、砂糖によくにた物質で水によく溶け、甘みがあります。

アミラーゼは、このほかダイコン・ジャガイモなどいろいろな野菜にふくまれていますが、熱に弱いので料理のとき熱するとすぐ壊れてしまいます。

でんぷんにアミラーゼがはたらくとアミロースは完全に分解されて全部甘い麦芽糖にかわります。
ところが、アミロペクチンは、完全には分解しません。

これは、アミラーゼが、アミロペクチンのえだの分かれめに邪魔されてはたらきかけることができなくなるからです。

ヨウ素でんぷん反応

でんぷんにヨウ素をはたらかせると青くなることは19世紀のはじめからよく知られていました。

今でもこのヨウ素でんぷん反応はでんぷんを調べるときによく利用される大切な反応なのです。

ヨウ素でんぷん反応の液は、ヨウ化カリウムの20パーセント水溶液にヨウ素をくわえた、かっ色の液です。
この液の一滴をでんぷんの水溶液にくわえると、濃い青色から紫色になります。

このように着色したものを静かに温めていくと色は消えますが液を冷やすとまた色がつきます。

でんぷんには、アミロースとアミロペクチンの2つの成分かおりますがヨウ素でんぷん反応の色もそれぞれ違います。

アミロースは、この反応で青色になりますがアミロペクチンは、赤みをおびた青から紫色になります。
ヨウ素でんぷん反応は、でんぷんが分解されて麦芽糖になるともう見られなくなります。

それで、この反応を使ってでんぷんがどのくらい分解されたかを調べることができます。



実験

充分にかんで甘みのなくなったチューインガムをさらにかみでてくるだ液を集めます。
また、でんぷん1グラムを100立方センチの水とまぜて温めたでんぷん液をつくっておきます。

つぎに、何本かの試験管にでんぷん液1立方センチとだ液1立方センチをまぜ、体温くらいに温めておいて5分おきにヨウ素液を一滴ずつくわえていきます。

はじめは、ヨウ素液をくわえると、青い色になりますが時間が経つにつれて、反応の色がでなくなります。
これは、だ液によって、しだいにでんぷんが糖化されていくからです。

フェーリング液との反応

酒石酸カリウムナトリウムの塩基性溶液に硫酸銅を溶かしてつくった青色の溶液を、フェーリング液といいます。

試験管に、このフェーリング液を少しとってぶどう糖をくわえ、沸騰させると、それまで青かった液がたちまち赤くにごりはじめ、やがて赤い沈殿ができます。

これは、硫酸銅が、ぶどう糖で還元されて、赤い酸化第一銅にかわったからです。
フェーリング液を還元する性質は、ぶどう糖だけでなく、麦芽糖や乳糖も、もっています。

ところが、でんぷんには、この性質がありません。
また、でんぷんと同じように、ぶどう糖が結合してできたグリコーゲンにもありません。

そこで、でんぷんやグリコーゲンが分解されたかどうかを確かめるために
この反応が利用されます。

実験

まず、つぎのような2種類の溶液をつくります。
①結晶硫酸銅34.6グラムを500立方センチの蒸留水に溶かす。

②酒石酸カリウムナトリウム173グラムと水酸化ナトリウム50グラムを500立方センチの蒸留水に溶かす。

①と②の溶液を、それぞれ2立方センチずつとってよくまぜこれにだ液で消化したでんぷん液をくわえバーナーで熱します。

すると、赤い沈殿ができます。

これは、でんぷんの分解によって、麦芽糖ができた証拠です。
この麦芽糖が、フェーリング液を還元するのです。

だ液をくわえなかったでんぷん液は、反応しないことも確かめましょう。



モバイルバージョンを終了