味噌・醤油発酵とは? わかりやすく解説!

味噌・醤油発酵

味噌も醤油も、大豆や小麦、米などに、カビを繁殖させそのカビのだす酵素のはたらきによって発酵させた調味料です。


醤油

蒸した大豆といった小麦をまぜたものに、醤油種こうじ菌を繁殖させまず醤油こうじをつくります。

このこうじは、強力なでんぷん分解酵素やたんぱく質分解酵素をふくんでいます。
この醤油こうじに、18パーセントの食塩水を同量くわえてよくこねあわせておくと、醤油もろみができます。

このようにしてつくった、醤油もろみは一年以上も、ときどきかきまぜながらほうっておきます。

そのあいだに、こうじの中にふくまれる酵素のはたらきによってでんぷんからは糖ができて甘みをましまた、たんぱく質からはペプチドやアミノ酸ができて、うまみをまします。

このような分解作用は、濃い食塩水の中でも生きていけるような特別な微生物のはたらきによっても、助けられます。

このようにして、充分に分解のすすんだ熟成したもろみをしぼると、生醤油ができます。
これを火入れして、殺菌し樽や瓶などにつめて、市場へだすのです。

味噌も、そのつくり方は、醤油とだいたい同じですがこうじに、大豆と小麦のほかに、米などをくわえて甘みを強くし仕こみのとき、水分を少なくするのです。醤油にくらべると熟成の期間は、そう長くありません。

チーズ

チーズは、牛乳に酵素をはたらかせ、たんぱく質を分解した食品です。

牛乳は、多量のたんぱく質(カゼインなど)や、脂肪・糖分をふくんでいます。
この牛乳に、レンネットという酵素をくわえるとカゼインは水に溶けなくなって、脂肪といっしょに沈殿します。

これをカードといいます。

これを布でこして、水分を分離したのちそのままか、いちど加熱し、さらに加圧して一定の形にします。

これに細菌やカビ(アオカビ)をはたらかせるとしだいにその中のたんぱく質が分解し、風味とうまみをもったものにかわります。
これがチーズです。




アルコール発酵とは? わかりやすく解説!

アルコール発酵

アルコールをつくる目的で、でんぷんや糖蜜などの糖分を微生物のはたらきでアルコールにかえる発酵のことですがその目的によって、原料や仕こみの方法などが、いろいろと違ってきます。


清酒(日本酒)

清酒をつくるには、まず、よく精白した白米にアスペルギルス=オリジエというカビを繁殖させた米こうじというものをつくります。

この場合、白米は米の外側に多いたんぱく質を、できるだけ取り除いておきます。

このようにしてつくったこうじにはカビによってつくられたいろいろな種類の酵素(アミラーゼーマルターゼなど)がたくさんふくまれています。

このこうじと蒸米(蒸した米)、酵母、適当な量の水とをまぜあわせておくと蒸米のでんぷんはしだいに分解されて、麦芽糖などの糖類にかわります。

こうじによって分解された糖類は酵母の中にとりこまれて、いろいろな酵素の作用によりついに二酸化炭素とアルコールにまで分解されてしまいます。

こうしてできたものを酒母といいます。
酒母に蒸米・水をくわえて、さらに発酵をつづけます。

アルコール濃度が15パーセントぐらいになると酵母の発育はとまり、発酵もだいたい終わりになります。
こうしてできたものを熟成もろみといいますがこれをしぼると、清酒ができます。

清酒は保存のために、火入れをし適当なアルコール濃度に調節して市販清酒ができあがります。

日本酒以外の酒、たとえばビールの場合には米こうじのかわりに麦芽を使います。

麦芽の中には、強力なアミラーゼがふくまれています。

このアミラーゼで、麦芽の中のでんぷんやいっしょにくわえたでんぷんを糖化したのちさらにビール酵母をくわえて発酵させます。

また、このとき、風味をたかめる目的でホップをくわえます。

原料として糖蜜のようなものや、ブドウの果汁などを用いた場合はアミラーゼででんぷんを麦芽糖にかえる
いわゆる糖化の工程がはぶけるので酵母で、ただちに発酵させます。

このあと、蒸留して、アルコールなどのき発分を集めたものにはラム酒などがあります。

焼酎は、穀類やイモ類を糖化し、発酵させたあと揮発分を蒸留してつくったものです。



実験

ブドウの果実を、水であまり洗わないで、よくすりつぶしこれを、皮ごと、ビール瓶のようなものに3分の2ほどつめておきます。

数日経つと瓶の中で、さかんに泡がでてくるのが観察されます。
このときゴム栓の中央に、細いガラス管を通したものをとりつけて栓をします。

ガラス管のはしは、瓶の中の液面より少し上にはなしておきます。
つぎに、このガラス管の上のはしに、ゴム管をつなぎこのゴム管のいっぽうを別なガラス管につないでおきます。

このようにしたガラス管を新しくつくった水酸化バリウム(消石灰の水溶液でもよい)の水溶液に近づけるか少しつけるようにします。

すると、水酸化バリウムの水溶液が、白い膜に包まれたり中に白い沈殿ができたりするのが観察されます。

これは、ブドウの実についている酵素によってブドウの中の糖分が分解され、発酵して二酸化炭素ができた証拠です。

つまり、ブドウの中の糖分が一部発酵してアルコールと二酸化炭素になったのです。

水酸化バリウムは、二酸化炭素にあうと水に溶けない白色の炭酸バリウムを生じるので、二酸化炭素の存在を確かめるのに使われます。




発酵とは? 発酵に使われる材料とは? わかりやすく解説!

ブドウのしぼり汁を、かめに入れて密閉し、そのままにしておくとしだいに泡がではじめて、ぶどう酒のにおいがするアルコール分ができます。

これが昔から知られていた、もっともかんたんな発酵によってアルコール飲料をつくる例です。


また、食物をほうっておくと、ことに夏のあついときなどはべとべとしたり、いやなにおいや味をもつようになります。

これは食物が腐敗したのです。

発酵も腐敗も、微生物のはたらきによっておこる物質の変化ですが発酵はどちらかというと、ある原料から有用な目的で決まった物質を集めようとしておこなわれるものです。

これにたいして、腐敗は、品質や外観が悪くなって値打ちが下がるような方向に、食物などが変化した場合をいいます。

つまり発酵は、私たちの生活に役立ちますが、腐敗はこの反対なのです。

発酵

人間は、大昔から、それぞれの地方で、果物や麦や米などでんぷんや糖分の多い材料を使って、アルコール飲料をつくる方法を知っていました。

この場合、その材料の中にふくまれているでんぷんや糖分は最後には二酸化炭素とアルコールになっていくのだということだけはわかっていたのです。

しかし、これが、酵母という微生物によっておこなわれていることがわかったのは19世紀のフランスの科学者、パスツールの研究の結果なのです。



発酵のいろいろ

ぶどう酒やビールや清酒のように、アルコールをつくる目的で糖分を酵母のはたらきによって変化させることをアルコール発酵といいます。

しかし、アルコール以外のものをつくる場合にも、微生物はさかんに利用されます。

たとえば、アルコール酵母のかわりに、乳酸菌を使って糖分を乳酸にかえることもできます。

この場合は乳酸発酵とよんでいます。

このほかにも、酢酸をつくったり、アセトンやブタノールをつくったりそのほか人間の生活に役立つ、いろいろの物質をそれぞれ適当な酵母やカビ・細菌などを用いてつくらせることができこのための工業がさかんになってきました。

発酵の材料

発酵に使われる材料は、別に糖分とはかぎりません。
その目的によって、たんぱく質や、そのほかのものもいろいろと利用されています。

たとえば、我が国で調味料として欠くことのできない醤油や味噌などは、大豆や麦の中にふくまれている糖分のほかにたんぱく質が分解してできるアミノ酸やそのほか微生物のはたらきによってつくられたかおり・風味をあたえるようなものをふくんでいます。

このように、微生物や酵素を利用していろいろと役に立つものをつくる方法を、釀造とよんでいます。




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