雲は、どれもみな違った形をしているので、名前をつけてあらわすのは、難しいことです。
しかし、いつもよく雲を見ていると、この見分けにくい雲もいくつかに区別できるようになります。
雲には、非常に高い空にできるもの、中ぐらいの高さにできるもの、低い空にできるものがあります。
このほかに、低い空から高い空へ突き抜ける厚い空気中ぐらいの高さから高い空へ突き抜ける厚い雲などがあり、あらわれる高さによって、それぞれ、違った格好をしています。
これを、もっと細かくわけると、つぎのように、1つ種類になります。
高い空にできる雲
①絹雲(巻雲)
すじ雲ともいい、青空にうすく鳥の羽毛のような形をしています。
また、細い絹糸がいくすじも流れているようだったりもつれているようだったりしています。
どの形でも、うすくて白く、すじが見えるのが絹雲の特徴です。
②絹積雲
魚の鱗を並べたような、うすい白い雲で、鱗雲ともいいます。
青くすんだ空に、小さい白い貝がらをたくさん並べたようにも見え、なかなか美しい雲です。
③絹層雲
うす雲ともいいます。
うすい白い雲で、空がうす白くにごっているように見えることもあり真綿をうすく引き伸ばしたように広がって、すじの見えることもあります。
月や太陽が傘をかぶって見えるのは、この雲のためです。
そして、この雲が空をおおってくると、天気が悪くなるのがふつうです。
中ぐらいの高さにできる雲
④高積雲
むら雲ともいい、白い雲のかたまりが青空にたくさん並んでいます。
絹積雲を小さい貝がらの並んだ形にたとえましたが高積雲は、まきばに群れているヒツジにたとえることができ絹積雲よりも1つ1つの雲のかたまりが、大きいのが特徴です。
中ぐらいの高さから高い空までのびる雲
⑤高層雲
おぼろ雲ともいい。
灰色がかった厚い雲で、空全体をおおいます。雲が厚いので、月や太陽はおぼろに見えます。
絹層雲は、真綿をうすく引き伸ばした、うすい雲にたとえましたが高層雲は、厚い綿を、空一面にしいた形にたとえることができます。
はじめ、青空にうすい絹層雲があらわれ、つぎに、厚い高層雲があらわれ最後に、非常に厚い乱層雲があらわれて、雨や雪が降るようになります。
中ぐらいの高さ、または、低い空から高い空まで伸びる雲
⑥乱層雲
ふつうにいうあめ雲です。
黒い厚い雲で、この雲かでると昼でもあたりが暗くなります。
この雲は、絹層雲・高層雲と同じ仲間の雲です。
絹層雲の厚くなったものが高層雲で高層雲の厚くなったものが、乱層雲と思えばよいのです。
この雲からは、雨や雪が降っていることが多いのです。
低い空にできる雲
⑦層積雲
くもり雲ともいい、高層雲の雲のかたまりより、もっと大きい灰色の雲のかたまりです。
このようなかたまりは、空の一部分にあることもあり、また空一面に広がることもあります。
雲の隙間から青空が見えることもあります。
いままでに述べた雲のなかで、絹積雲と高積雲・層積雲は形の上では親類です。
雲のあらわれる高さや、1つ1つの雲のかたまりの大きさによって区別します。
⑧層雲
霧雲ともいい、霧に似たむらのない雲です。
朝がた、もやもやした低い雲があり、ちょっと見ると乱層雲のようですが10時ごろになると、切れ目が出て青空が見え、まもなく晴れます。
このような朝ぐもりの雲は、たいてい層雲です。
低い空から高い空まで伸びる雲
⑨積雲
綿雲ともいわれる雲で、頭がまるくて、底が平らな形をしています。
たいていは、天気のよいときにでき、大きいのは、塔のように高く伸びて入道雲になります。
⑩積乱雲
かみなり雲ともいわれ、夏によく出て、雷を起こします。
この雲は、塔のように伸びた大きな入道雲の頭がすじ雲になって広がったものです。
この雲が近づくと、雷が聞こえ雨やヒョウが降ることもあります。
おもしろい雲・めずらしい雲
①レンズ雲
高積雲や層積雲が、ちょうど凸レンズを横から見たような形をしていることがあります。
このような形の雲をレンズ雲といいます。
この雲のある高さのところでは、風が強く吹いています。
②飛行機雲
飛行機が飛んでいったあとに、細く白い雲のすじができることがあります。
これは、おもに飛行機のエンジンからでるガスの中にふくまれている水蒸気が凝結してできるものです。
気温の低い高空にできます。
飛行機雲は、出来てからすぐに消えることもあり長いあいだ残って、絹層雲や絹積雲になってしまうこともあります。
③かさ雲
山の上を風が吹き越えていくときに雲ができちょうど、山がかさをかぶったような形になることがあります。
ときには、二重や三重もの、かさができることもあります。
富士山にできるかさ雲は有名です。
一般に、富士山をはじめ、山にかさ雲ができると、天気が悪くなるといわれています。