海水の浸食作用とは?海水の堆積作用とは?砂嘴とは?!

海岸での海水のはたらき

海岸は、大きくわけて、岩石海岸と砂浜海岸および内湾の泥の多い干潟をもつ海岸とに分類することができます。

このうち岩石河岸は、ふつう浸食作用が進んでいることが多いようです。


海水の浸食作用

海岸に打ち寄せる磯波は、少しずつ岸を破壊してその岩くずを少しずつ沖合に運びます。
岩石海岸では、このようにして岸が削りとられ、海食崖がつくられます。

ときには、がけの下の部分だけがえぐられて、海食どうができることもあります。

しかし、海食崖の前面の海底は、浅く削りとられるだけなので、海食台ができます。これは、わりあい平らな浅い海底の台地です。

伊豆半島や房総半烏には、代表的な海食崖がみられます。

砂浜喬岸でも付近の川の上流にダムなどがつくられる川口まで運ばれてくる土砂の量が減ると、湾岸の浸食が起こります。

そのため海岸線が陸のほうに入りこんできます。

海水の堆積作用

川から運ばれてきた土砂は、流れが遅くなる川口に堆積して三角州をつくりますが海水も同じような堆積作用をおこないます。

岩石海岸では、波の浸食作用で削りとられた堆積物で海食台の上のくぼみを埋めることがあります。

また砂浜海岸では、波が海底の土砂を少しずつ沖合に運んで堆積し海岸線近くの海底に丘をつくります。

この丘がしだいに大きくなると海面上にあらわれて海岸線に平行した細長い砂州になります。

これを沿岸州とよんでいます。

この砂州と、もとの砂浜とのあいだには、潟湖ができることがあります。

砂浜

大きい川口では、長い砂浜がみられます。
これは、川から運ばれてきた土砂が海岸に沿って運ばれ長い距離にわたって堆積したものです。

泥は川口から流れにのって沖合に運びさられてしまうので、海岸には残っていません。

波は、風の方向などに影響されて海岸にななめにあたることがあります。
このとき、海水は波の進行方向に少しずつすすむため、海岸線に沿って流れます。

この流れを沿汀流といいます。

川口から吐き出される砂は、この沿汀流にのって海岸沿いに運ばれ長い砂浜をつくるのです。

波は海岸にたいして、右からも左からもななめにあたるのでふつう川口の両側に砂浜ができます。

また砂浜の砂は風で陸上に運ばれて、沿岸砂丘をつくることがあります。



砂嘴

海岸から沖合にむかって、鳥のくちばしのような形をした砂れきのはまが見られることがあります。

これを砂嘴と言います。

砂嘴は、海岸沿いに、わりあいに強い流れがあって海岸がかぎの手に曲がっているところによくできます。

このようなところでは、川から運びだされた砂や波で海食崖から削られた砂れきなどが強い流れにのって海岸沿いに運ばれ海岸線が急に陸側へ入りこんでいるところへきてもまえの勢いのために曲がらずに進みます。

しかし、ここで流れが弱くなるために、砂れきは堆積して、砂嘴をつくります。砂嘴は、川口にできることもあります。

運ばれてくる砂れきの量は、季節的に変化したり、年によって差があります。

そのため砂嘴の形は始終変化しているのがふつうです。北海道の野付崎は、そのよい例です。

海岸のすぐ沖に島があると、島と海岸とのあいだの浅瀬に砂がたまって海岸と島をつないでしまうことがあります。

これも砂嘴の一種です。
神奈川県の江ノ島や干葉県の富津洲などはその例です。

砂州

砂嘴が伸びきって湾の入口をふさぎ、その先が向かい側の陸地に接続したものまたはほとんど接続しかけているものを砂州といいます。

砂州には、このようにしてできる湾口砂州と海水の堆積作用によってつくられる沿岸砂州との2つがあります。

日本三景として有名な、京都府の天ノ橋立は代表的な湾口砂州の例です。
ふつう砂州の内側は潟湖になっています。




海水の動きと淘汰作用とは? わかりやすく解説!

流れている水は水底にたまっている堆積(底質)を動かす場合にれき・砂・泥を、それぞれわけようとするはたらきがあります。

これを流水の淘汰作用といいます。

流水の淘汰作用は、れき・砂・泥がそれぞれ沈降速度(沈む速さ)や初動速度(動きだすときの流れの速さ)が違うために起こるものです。

これによって、れき・砂・泥は流水の中でわけられそれぞれ別に集まる傾向があります。


沈降速度

鉱物や岩石の粒で、直径2ミリから16分の1ミリまでのものを砂といいこれより大きいものをれき、小さいものを泥といいます。

泥は、海中を沈む速さが非常に遅いため流水があると水中にまざったまま遠くへ運ばれてしまいます。

これにくらべて、砂やれきは、水中での沈降速度が速いのでたとえ水中に吸い上げられても、すぐ底へもどってしまいます。

皮が運んできた砂が海岸の地殻に堆積し泥が沖合まで運ばれるのは、この理由によります。

また、れきは川岸に積み上げられるか川口付近まで運ばれるだけであまり遠くへは逃げられません。

初動速度

流れの速さを、0からしだいに上げていくと、川底で、まず砂が動きはじめます。
さらに速度を増すと、れきや泥が動くようになります。

このことから、水中が乱れるような流れでれきや泥を動かせないような弱い流れでも、砂は動かせる場合があることがわかります。

自然には、このような流れもしばしば起こるので、砂はれきや泥を置き去りにして短距離の移動を繰り返して進むことがあります。




海水の動きとは?潮流・海流・潮目とは? わかりやすく解説!

潮流

海面は、ふつう1日に2回、ゆっくりともり上がり、まだ下がります。
その高さは数十センチから数メートルです。

このもりあがることを満潮、下がることを干潮といいこのような上がり下がりの減少を潮の満ち干とか潮汐と言います。

潮汐はおもに地球のまわりをまわっている月の引力によって海水が引き寄せられるために起こる現象です。

陸地にかこまれた内海と外洋とで潮汐の起こる時間がずれているときなどにその境にある海峡などで、激しい流れができることがあります。

これが潮流です。

日本では、瀬戸内海の出口の2つである鳴門梅峡のうず潮はこのような潮流の激しいものによって起こるのです。


海流

大洋の中には、その表面に川のような流れのある部分があります。この流れを海流とに言います。

海流の生じる原因にはいろいろありますが、つぎのようなことが、おもなものです。

吹送流

海面上で、偏西風や貿易風のように長い時間一定の方向にいつも吹いている風があります。

そのため、海水の表面が既に引きずられて海流を生じます。
これが風に引きずられて海流を生じます。

これを吹送流といいます。

密度流

海水は温度や塩分など、場所によって密度のことなる所があります。
このため、密度の大きいほうから小さいほうに海流を生じます。

これを密度流と言います。

傾斜流

風や陸地から流れこむ川の水などによって海面に傾斜ができます。
川の水が高いところから低いところへ流れるようにして生じる海流を傾斜流と言います。

補流

梅水がある場所から移動すると、その場所の海水が少なくなるのでこれを補うために、他の場所の海水が流れこむことがあります。

このようとして生じた海流を補流と言います。

世界の海流

海流には赤道付近を東から西に流れて大陸につきあたると北や南にそれ、中緯度で西から東にもどる暖流系と極地方から中緯度地方に流れてくる寒流系とがあります。

暖流系には、北半球では、赤道近くを西から東へ流れる赤道反流、それよりやや高緯度を東から西へ流れる北赤道河流、日本近海を北上する黒潮、アメリカ大陸の東岸を北上する湾流(メキシコ湾流)などがおもなものです。

寒流系には、アメリカの西岸を南下するカリフォルニア海流、日本近海を流れる親潮、アメリカ大陸の北部東岸を流れるラブラドル海流などがあります。

海流は、海面から深さ200~300メートルまでしか影響が及びません。
しかし、それよりも深い成層圏のところも海水は深さによってある決まった方向に流れています。

日本付近の海流

日本付近の代表的な海流には、暖流である黒潮と寒流である親潮があります。

黒潮は、北赤道海流の暖流がフィリピン諸島から台湾の東側の海域で南シナ海の沿岸水と混合してできたものです。

流れる速さは、1~4ノット(1ノットは海時1852メートル)以上、幅は和歌山沖で約150キロ、厚さは200~400メートル以上もあります。

色は濃い藍色をし、水温が高くて、塩分が多く酸素や栄養分が少ないのでプランクトンはあまりいません。

親潮は、オホーツク海から流れ出して千島列島にそって南に下り北海道の南側を通って三陸沿岸を流れる海流です。

流れる速さは0.5~1ノット、幅は北海道の納沙布岬の南方沖合では150キロ、厚さは100~200メートルあります。

色は黄緑色を帯びており、水温は低いが、酸素や栄養分が多いのでプランクトンを多くふくみます。



潮目

性質の異なる海流がぶつかって、海面にできた線を潮目といいます。

日本の三陸沖では、親潮と黒潮がぶつかって、北からの親潮は黒潮の下にもぐり海面では、その境に潮目ができます。

ここでは、さざ波かたったり、泡や漂流物が集まったりしています。
さらに養分にとんだ海水が上部へ運ばれて、プランクトンがよく繁殖するのでよい漁場となっています。

海の波

海面ではいつも波が見られます。

波は風やその他の原因で海面にゆがみができたとき、重力とかの表面張力によってこれをもとに戻そうとする力がはたらいてできます。

波は、海面を上下させながら、どこまでも進んでいきます。

みたところ波の山が進むにつれて海水も前進しているようですが海水に、円運動をしているだけです。

ある点の海水の粒を考えてみると、粒が円の最上部にきたときに波の山が通過し粒が円のいちばん下にきたときに波の谷が通過しています。

つまり、波の山と谷では、水の動きは逆に方向になっているわけです。

水の粒は、つぎつぎにその運動を、となりの水の粒に伝えます。
ですから、海水はごく限られた動きしかしていないのに波はどこまでも伝わっていくのです。

しかし水の粒も円運動をしながら、少しずつ波の進行方向に進んでいます。
これは、水に粘性(ねばり)があるからです。海で起こる波には、風浪とうねりとがあります。

風浪

その場所の風によって、直接起こされる波で波の山がとがっていて、波長(波の山と山とのあいだの距離)は5~50メ一トルぐらいで短いものです。

これよりも、波長の短い波をさざ波といいます。

うねり

遠くで起こった風浪が、はるばる伝わってきたもので波の山がまるみを帯びていて、波長は長く、50~500メートルぐらいあります。

土用波といわれるのは、はるか南方洋上にある台風によって生じたうねりをいいます。

津波

地震や海式火山の噴火などで、海底急激な地形の変化が起こると大洋全体の水がゆり動かされるような波ができます。

これが津波です。

津波は、波長が何百キロにも達する大きなものなので深さが4キ口も5キロもある大洋でも、浅い海と同じような動きかたをします。

そして太平洋を10時間前後で伝わるほどの速さで進みます。

津波は沖合では海面を20~30センチぐらい高めるだけですが岸につきあたると大きくもり上がります。

これは、津波の波長が長いため動かしている海水の量が大きいからです。

とくに、東北地方の三陸海岸のように沖にむかってラッパ状に開いた湾の多いところでは、湾の奥になるにつれて波がしだいに高くなるので、大きな被害をうけることがあります。




海水のはたらき・海水の性質とは? わかりやすく解説!

海水の塩分

海水1キログラム中には約35グラムの塩分がふくまれています。

塩分の大部分をしめるのは塩化ナトリウム(食塩)で、これが海水の塩辛い原因です。
このほか、塩化マグネシウム・硫酸マグネシウムなどがふくまれています。

海水の中には塩類のほかに、有機物や非常に少しではありますが金属などもふくまれています。

金も入っていますが、取り出す費用のほうが得られた金の値段よりも高くなるために、まだ利用されていません。

塩類は、これにくらべると多いので取り出して調味料や工業原料として利用されています。

最近、海水にふくまれているウランを取り出して原子燃料に使おうとする実験が試みられています。

しかし、ふくまれている量が非常に少ないので、また実用化はされていません。


海水の温度

潜水の温度は、場所や季節によって違うだけでなく、深さによって違います。

海に降り注ぐ太陽の熱は、一部は海面で反射されますが、残りは海水中に入ります。
しかし、それも水深10メートルぐらいまでで、ほとんど吸収されてしまいます。

ところが、海面に近いところでは、上下の海水がぐるぐる入れ替わっているため
海面から200~300メートルぐらいまでの深さまでは海水の温度はわりあい高くなります。

それより深くなると水温はどんどん下がり、1000メートル以下では、2~0度になります。

海面での水温は、もちろん熱帯のほうが高く、25~28度にもなりますが両極付近では、夏でも0度前後のことが多いようです。

海水の塩分と温度の垂直分布

海面の近くの300~400メートルぐらいの深さのところまでは海水の対流が起こっています。

これを対流圏といいます。

そして、それより深いところを成層圏といいます。対流圏と成層圏の境目を躍層と言います。

塩分は、海面から200~300メートルぐらいまではだんだんその量は多くなりますが、それより深くなると減っていきます。

そして、1000メートル以下では、ほぼ一定となります。

温度は、海面から約1500メートルぐらいまではだんだん下がり、0~3度ぐらいになります。
しかし、それより深くなると、ほぼ一定であまり変化はありません。

海水の色と透明度

海水の色は海水中にふくまれているプランクトンや細かい泥などのために場所によっても違いがあります。

いっぱんに陸地に近いところよりも大洋の中心寒流よりも暖流のほうが青みがかった色をしています。

透明度も、大洋の中心部や暖流のほうが大きく、深くまで見えます。




土の成分と酸性とは?土の酸性の調べ方とは? わかりやすく解説!

土の成分

土は固体・液体(水分)、気体(空気)からなりそのわりあいは、ふつう、4、3、3ぐらいです。

もちろんこの割合は、土の種類によって違います。

ねん土の多い土では気体が少なく、砂の多い土では、気体が多くなります。
火山灰土は、固体がずっと少なくなりますが、その固体の多くは、腐植です。

固体の成分は、れき(小石)・砂・粘土・腐植です。
腐植以外の成分は粒の大きさで区分され、これらの割合は表のように分類されています。


土の酸性

日本の土は、ほとんど酸性です。これは、雨が非常に多いためです。

大陸では、雨量の多いところで、年間600ミリぐらいですが日本では1500~3000ミリにも達します。

雨が多いと、ねん土鉱物や腐植に吸着されていたアルカリ成分が水に溶けて流れ水の中の水素イオンと入れ替わります。
この水素イオンは、水に触れると酸性をしめすので土は酸性になります。

また、硫安や過リン酸石灰を長年使ったり完全に腐らない糞尿を使ったりすると土の酸性は強められます。
酸性の土を中和するには必要な量の石灰を土にくわえます。

雨や肥料による酸性のほか、ポドゾル土の不完全な腐植や泥炭土は特殊な有機酸による酸性をしめします。

この場合には石灰による中和だけでなく、腐植をよく分解してやることが大切です。

土の酸性の調べ方

土の酸性の程度を調べるには、まず試験管の中で中性の水と調べる土を混ぜてよく振り、しばらくそのままにしておきます。

のちにその上澄み液をとり、青色リトマス試験紙を入れると赤色にかわることで、おおよその見当がつきます。

くわしく調べようとするときは、ペーハー(pH)試験紙というものを使います。

土と植物の生育

小石や砂の多い土は水もちが悪く養分も逃げやすいがねん土の多い土は水や養分をたくわえる力をもっています。

しかし、水はけは悪くなります。

ですから、砂とねん土をほどよくふくんだ、壌土や徴砂質壌土が植物の生育にもっとも適しています。

土が酸性になると、ねん土鉱物の骨ぐみをつくっているアルミニウムが溶けだしてしまいます。

そしてこのアルミニウムは、リン酸とむすびついて、植物に害をあたえます。

このため酸性の土では作物がよく育ちません。とくに、大麦やホウレンソウなどは育ちません。




土のでき方と種類とは?土の分類のしかたとは?

岩石と土

自然のままの土の上には、必ず植物が生えています。
しかし岩石には植物を育てる力がありません。この点が、岩石と土の違うところです。

植物が育つためには、必要なだけの水分と養分を恨からえなければなりません。
ところが、岩石は硬くて、水をたくわえる隙間がなくまた養分元素の量が少ないので、植物を育てることができません。

しかし風化作用が進んで、割れ目ができ、岩石が細かい岩片や砂の集まりにかわると、水分が染み込むようになり、その中に養分が溶けだします。

さらに、ねん土鉱物ができると、水分や養分をある程度たくわえるので植物は育ちやすくなります。

しかしこれだけでは、土としてはまだまだ不完全です。


土の生成

岩石の風化物の上に芽生えた植物が枯れて、その遺体が、細菌やかびに分解されると、黒っぽい複雑な有機化合物の集まり(腐植)に変化して、風化物の上にたまります。

そして植物の吸い上げた養分元素は、地表に戻され地表にたまっていきます。

腐植は、酸化鉄や酸化アルミニウムとともに、砂やねん土の粒をむすびつけて隙間の多い団粒をつくるはたらきをもっています。

団粒と団粒のあいだに、植物の根や細菌の生活に必要な水分や空気が充分にたくわえられます。

このように、植物の生活を支えるという土の特性は植物と風化物との共同のはたらきで、うみだされたものです。

土の断面

穴を掘ったり、道路の切通しなどで土断面を調べてみると、土の生い立ちがわかります。

いちばん上には、落ち葉や枯れ技の腐った層がうすくたまります。
その下に、腐植にとんだ黒っぽいやわらかな層(A層)がありそこには、鉱物の根がたくさんはびこっています。

ミミズや昆虫の幼虫も、たくさん住んでいて、団粒づくりを助けています。

その下には褐色の緻密な風化物の層(B層)があり、砕くと大きなかたまりに割れます。
割れ目には、雨水といっしょに上のほうから移動してきた粘土がうすい膜になってはりついています。

土の分類のしかた

土は、いろいろな方法で分類することができます。

岩石が風化して、その場で土になったものを原積土、もとの場所から水や風などに運ばれ、別の場所にたまって土になったものを運積土という区別は土の分類の1つです。

また、土の酸性、アルカリ性などの化学的成分や土の中の砂や粘土の割合やもとの岩石の種類などで土をわけることもできます。

しかし現在、世界で広く用いられているのに岩石で動植物の場合と同じように土の生い立ち(成因)によって、分類する方法です。

これは、上の断面に記録されている、できかたの特徴にもとづいています。



日本のおもな土

ポドゾル土

高山のコメツガやシラベなどの針葉樹林の下には、腐りにくい針葉樹の葉が気温が低いためにあまり分解されず地表にたまっています。

これらの落ち葉は、強い酸をしみだして土の中の鉄やアルミニウム・アルカリ成分などを溶かし雨水といっしょに下層に運びます。

このためA層下部には、灰色で粒の粗い層ができその下には鉄分に富んだ褐色の層ができます。

このような断面をもった土は、ポドゾル土と呼ばれ、日本の北のはしの稚内付近や本州では高山地帯など針葉樹林の下に広く分布しています。

この土は酸性が強く、養分に乏しいので、樹木はあまり育ちません。

かっ色森林土

北海道・東北地方の丘陵やほかの地域の山岳のブナ・ミズナラなどの落葉広葉樹林の下に分布しています。

この土に、落ち葉や枯れ枝などがよく分解してできた腐植に富むA層と、全体的にかっ色を帯びたB層とからなり樹木がよく育ちます。

赤色土

西日本の丘陵や台地には、鮮やかな赤い色の土が見られます。
これは何万年もまえの、いまよりもあたたかかった時代にできた土のなごりです。

鉱物の風化が非常に進み、養分元素やケイ酸に乏しく鉄やアルミニウムにとんだ、痩せた土です。
ここには、はげ山や小さな松林が多く、樹木や作物はよく育ちません。

火山灰土

日本には、火山灰土が広く分布し畑地として利用されています。
北海道の十勝平野・根釧台地・南九州・関東平野などは、代表的な火山灰土地帯です。

火山灰は粒が細かいので、化学的風化を強くうけ鉱物の一部は完全に分解しケイ酸とアルミニウムが新しくむすびついてアロフェンという特殊なねん土鉱物をつくります。

アロフェンは腐植とむすびつきやすいので火山灰土には、腐植が厚くたまっています。

この腐植は酸性が強いうえ、アロフェンは、リン酸とむすびついてリン酸を植物の作用できない状態にかえます。

このため火山灰土には作物があまり育ちません。




風化作用とは?機械的風化・科学的風化とは? わかりやすく解説!

風化作用

どんなに硬い岩石でも、地表で長いあいだ風や雨にさらされているうちに少しずつ変化します。

岩石は細かく割れ、岩石の中の鉱物は、分解してねん土にかわります。
しまいに岩石は、そこに芽生えた植物のはたらきも加わって、土になってしまいます。

自然のなかで、たえずおこなわれているこのような岩石の変化を風化作用といいます。

風化作用を調べてみると、岩石が崩れて細かくなる機械的風化と岩石をつくっている鉱物が分解してねん土になる化学的風化とが組み合わさって進んでいることがわかります。


機械的風化

岩石の表面は、日中は太陽にあたためられて膨張しますが夜になると冷えて収縮します。
岩石をつくっている鉱物は種類によって膨張したり、収縮したりする堤防が違います。
ですから長いあいだには、岩石の表面の近くにある鉱物の結合がゆるみ小さな割れ目ができます。

この割れ目に雨水が入ると、まわりに強い圧力をくわえて、割れ目を押し広げます。

さらに水が凍ると、体積が増えるのでその圧力はいっそ強くなります。
また割れ目に、そこに入った木の根などによっても押し広げられます。

こうして割れ目が広がり、岩石の表面は崩れ、タマネギの皮を剥ぐようにはがれて細かい岩片や砂の集まりにかわります。

そして風化は、さらに内部にまで進みます。

高山や砂漠などでは、機械的風化か激しくおこなわれています。
また、小石などが風に吹き飛ばされ、互いにすれあって平らに磨かれた面のある石や、角張った石(三陵石)がつくられます。

科学的風化

岩石の小さな割れ目の中に染み込んだ水の中には、空気中の酸素がとけこんでいます。
また、割れ目に入った徴生物とか、表面に住み着いた地衣類やこけ類などの呼吸作用でできる、多量の二酸化炭素が溶けています。

二酸化炭素は、生物の遺体が腐るときにもできます。

二酸化炭素を溶かした水は、酸性をしめし、鉱物の成分を少しずつ溶かしていきます。
機械的風化が進み、割れ目が広がるにつれて鉱物の成分をとかすはたらき(溶解作用)は、いっそう進みます。

また、高等植物の根や、岩石にくっついた地衣類は一種の酸を出して、化学的風化を強めます。
ある種の細菌やそう類が出す粘液も、鉱物を分解することが知られています。

このように、割れ目に染み込んだ雨水や空気は生物のはたらきに助けられて、岩石の質を変化させます。



化学的風化の生成物

水に溶けやすい鉱物は、カリウム・ナトリウムなどのアルカリ金属やカルシウム・マグネシウムなどのアルカリ土類金属です。

アルカリ性の水にあうと鉱物の骨ぐみをつくっているケイ素ヤアルミニウムのような、ふつうの水には溶けにくい元素までが溶けだし、もとの鉱物は地表でも安全だ新しい鉱物になります。

この新しい鉱物を、粘土鉱物といいます。

粘土鉱物は、もとの鉱物よりもずっと粒が細かく、その直径は1000分の1ミリ以下です。
これは、水やいろいろのイオンを、吸収する力が強く、粘り気があってたやすく形をかえたり、焼くと硬くなったりする性質をもっています。

瀬戸物の原料になるカオリナイトは、代表的な何度鉱物の一種でおもにチョウ石から風化してできます。

ボーリングをするときや、化学工業の触媒、鉛筆の芯などに広く利用されているベントナイト(モンモリロナイト)も、ねん土鉱物の一種です。




海岸平野・石灰岩平野とは? 平野の種類とは? わかりやすく解説!

海岸平野

土地が隆起して、海底が陸地になると表面の平らな土地ができます。
とくに遠浅の海では、広い範囲が陸地になります。このようにしてできた平野を海岸平野と言います。

海岸平野は、隆起したのち、まえから陸地にあった川や表面のくぼ地に沿ってできた川によって、浸食されます。

また、海岸平野には、海岸線に沿って砂丘のできることや海岸段丘の見られることがあります。

アメリカ東部、大西洋岸の平野やメキシコの平野、南アフリカ東部のインド洋岸の平野はこのようにしてできた広い海岸平野です。

日本では、九十九里浜平野です。
相模湾の沿岸・宮崎平野などが海岸平野の例です。


川の浸食でできた平野

川の浸食作用が長いあいだ続けられると山地は削られて、海面近くまで低くなります。

そして表面がほとんど平らな平野になります。このような平野を河食平野と言います。

河食平野は、氾濫平野とよく似ているため、よく間違えられます。

しかし、氾濫平野がおもに堆積作用でできて、堆積層が厚いのにたいして河食平野は、ごくうすい堆積層しかありません。

日本には河食平野はありませんが、シベリア中央の大平原や中国の遼東半島マライ半島などには、こうしてできた平野があります。

氷河のはたらきでできた平野

降った雪が夏になってもとけないものを万年雪といいます。
万年雪がしだい降り積もると、雪白身の重さで下のほうは固くしまって氷になります。

この氷が、谷に沿って流れ下るものを氷河といいます。

氷河に、流れ下りながら、その重さで土地を削り平地をつくることがあります。こうしてでき平野を、氷食平野といいます。

また氷河に、削りとったれきや土砂を、川と同じように下流に運び氷河のとけたところに堆積し、平野をつくります。これを氷堆積平野といいます。

氷食平野は、ふつう土壌がうすいので、農地には適しません。
また、氷河によって多くのくぼ地がつくられ、それが湖や沼になっているのが特色です。

これに対し、氷食平野よりも広く、土壌も厚いので農地に利用されます。

これらの平野は、いまから50~60万年まえの氷河期に氷河におおわれていたヨーロッパ北部や北アメリ力北部にたくさんみられます。

しかし、氷河の発達しなかった日本にはこのような平野はありません。



石灰岩平野

石灰岩は、酸をふくんだ水に溶かされるので石灰岩地域は、しだいに低められて平野になります。この平野を石灰岩平野といいます。

石灰岩平野は、ほかの平野にくらべて、でこぼこが目立ちます。

また水は岩石の割れ目から地下のもぐってしまうので川はほとんどなく、かわりに、地下の石灰洞を流れる地下水が見られます。

石灰岩が水に溶かされてできた地形はユーゴスラビアのアドリア海に面したカルスト地方にみられむかしからよく研究されています。

このような地形をカルスト地形というのも、この地名から出た名前です。
しかし、この地方は丘陵や高原で、平野にはなっていません。

石灰岩平野に、イタリアの南東部やメキシコ湾のまわりのフロリダ半島やユカタン半島、キューバなどにみられ畑として利用されています。

日本では、石灰岩地形は、山口県の秋吉台や福岡県の平尾台のように台地になっていますが、平野としてはみられません。




川の堆積作用によってできた平野とは? わかりやすく解説!

平野のできかた

海面からの高さがあまり高くなく、表面のでこぼこが少ない広々とした低地を平野といいます。

平野は田や畑に利用され、交通も便利なので農業や工業・商業がさかんです。
そして、世界の人々の大部分は、平野に集まって生活しています。

このような平野は、いろいろな原因によってできます。


川の堆積作用によってできた平野

川が上流から運んできたれきや.土砂を積もらせるはたらきを川の堆積作用と言います。
川は、このようにして表面の平らな平野をつくります。

この平野を沖積平野といい、扇状地・氾濫平野・三角州平野などがあります。

扇状地のつくる平野

山地を流れる川が平地にでるとことでは、川の流れが急にゆるやかになるのでそこまで運搬されてきたれきや土砂が堆積します。

そして、谷の出口を中心に半円すい形の土地ができます。
これを扇状地と言い、平野の一部をつくっています。

扇状地で、谷口に近いもっとも上のところを扇頂と言いまわりの低い部分を扇端と言います。

扇状地は、川口にできる三角州などにくらべて、粒の粗い堆積物でできていますが扇頂に近い上流ほど粒が大きく、下流の扇端に近づくほど小さくなります。

扇状地は、このように水通しのよい堆積物でできているので扇状地上に流れてきた川は、ふつう地下にもぐってしまいます。
この地下川は、扇端で泉となって湧きだし、ふたたび地上にでます。

扇状地の中央部では地下水の湧き出す扇端にくらべてれきや砂の堆積物が厚いので、地下水は深いところを流れています。

そのうえ、地表を流れる川もないため水が得にくい、開発が遅れました。

扇状地の傾斜は三角州や氾濫平野にくらべると急ですが山地にくらべるとずっとゆるやかです。

それで土地改良やかんがいによって、中央部も畑や水田などの良地に利用しようとしています。

日本では、ほとんどの山麓地帯に扇状地が見られます。



氾濫平野

川が自由に流れると蛇行しながら両岸を削り、川幅を広げます。
大水が起こったときなど、川は運んできた土砂をそこに堆積して、平野をつくります。

このようにしてできた平野を氾濫平野と言います。
氾濫平野には三日月湖や、河岸段丘がよくみられます。

氾濫平野として広いものには、ミシシッピ川の中流から下流にかけて広がる平野やアマゾン川の平野などがあります。

日本では石狩平野・秋田平野・山形盆地・利根川ぞいの平野・和歌山平野・徳島平野などは、このようにしてできた氾濫平野です。

三角州平野

川が、運んできた土砂を川口に堆積してつくる低い平地を、三角州と言います。この三角州でできた平野が三角州平野です。

三角州平野は、粒の細かい砂やねん土でできていて水をふくんだ湿った土地になります。
日本の平野には三角州平野が多く、水田として利用されるほか都市が発達し人口がもっとも多く集まっています。

三角州は、川口に堆積される土砂によって海に向かってしだいに伸びていきます。
その速さは皮の運んでくる土砂の量や川口の海底の地形・海流・潮流・波の強さなどによって違います。

川の運搬する土砂の量が多く、海底が遠朝で海水の動きの弱いところでは三角州の伸び方が早いのです。

たとえば、イタリアのローマ付近を流れるチベル川の三角州は1年に約4メートルの割合で、海のほうへ土地を広げていますがカスピ海にそそぐデルタ川の三角州は、1年に約465メートルの割合で伸びています。

日本の例では、島根県の宍道湖にそそぐ斐伊川の三角州が1年に約20メートルほど成長しています。

また濃尾平野の木曽川下流の三角州は、300~400年のあいだに10キロも進出しています。

三角州は、川の流れと海流などによって、いろいろの形のものが見られます。




川の堆積作用とは?扇状地と三角州の違いとは? わかりやすく解説!

川の堆積作用

川水が少なくなったり、川底の傾斜が小さくなったりすると川の流れは弱くなり土砂を運ぶ力が衰えます。

そのため川は、運んできた土砂を川すじに残して流れさります。
これを川の堆積作用といいます。


川原

川の中流や下流では、川幅か広くなるために水深が浅くなり、流れも弱まります。
川が運んできたれきや土砂は、ここに積もって広い川原をつくります。

また大水が起こると、川すじの外へ水が反乱して、土砂が積もります。
このようにしてできた平野を、反乱平野と言います。

天井川

川の堆積作用によってできるものに天井川があります。

ところに土砂が堆積すると、川底がしだいに高くなりまわりの平野よりも川底のほうが高い天井川ができます。

中国の黄河に、上流から黄土という、粒の細かい土を運んできて流れがごくゆるくなるの下流で堆積します。

そのため下流は有名な天井川になっています。

日本では、北陸地方の神通川・庄川や琵琶湖にそそぐ野洲川・草津川などが有名な天井川です。

扇状地

山地の川は流れが急なので、わりあいに大きなれきや砂まで運びます。
これにたいして、流れのゆるやかな平野の川は、大きなれきや砂は運べません。

そのため、川が山地から平野に流れだすところには山地から運ばれてきたれきや砂が堆積します。

川は、れきや砂を堆積しながら、谷口を中心に低いところを選んで右や左に流れるので、堆積物に、谷口を中心に扇形に広がります。

このような地形を扇状地と言います。



三角州

川が流れ下って湖や海に入る川口に近いところでは流れは非常にゆるやかになります。

川に上流から運んできた小さい砂や粘土などを運ぶ力もなくなってそこに堆積し、新しい土地をつくります。

この土地を三角州またはデルタといいます。

三角州は、川の運んでくる土砂が多く、川の流れこむ海や湖が海流や潮流、波などの李京の少ないところであると、どんどん成長します。

扇状地と三角州の違い

扇状地と三角州は同じ川の堆積作用によってできたものですが大きな違いがあります。
山地と平野の境につくられた扇状地は川口につくられた三角州よりも表面の傾斜が急です。

また、扇状地をつくっているのは、山地の急流で運ばれてきたれきや砂が大部分です。
これにたいして三角州は、平野のゆるやかな流れで運ばれてきた細かい砂やねん土からできています。

れきや砂でできている扇状地の上では川の水が地下にもぐってしまうために、水がなかなか得られません。

そのため今までに、大部分畑や山林としてしか利用されません。
ところが細かい砂やねん土でできている、低くて平らな三角州に、水も豊かです。

それでここは、日本の農業の中心である水田になっています。




川の運搬作用とは? わかりやすく解説!

川の運搬作用

川は、風化して崩れ落ちたれきや、雨水で洗い流された土砂さらに、自分の力で川底や川岸を削ってつくったれきや土砂を水といっしょに下流に運んでいます。

これを川の運搬作用といいます。


川底のれきや土砂

川の上流には、大きい角張ったれきが多く、中流、下流になるにしたがって粒が小さくなり、まして下流には砂や粘土のような粒の細かいものが多くたまっています。

これらは、川が上流から運んできたものですが流れの急な上流ほど大きなれきが運ばれ、流れのゆるやかな下流では細かい土砂しか運ばれないために、このような違いができます。

また、下流になるにつれてれきがまるくなるのはれきが運ばれる途中、川底や川岸、または、れきどうしがぶつかりあって角がとれるからです。

れきの運搬

川の水量が少ないときには川底のれきはほとんど動かないのですが、大水のときには、川の運搬する力が強くなるので、大きなれきまで、動かされ、下流に運ばれます。

れきの運ばれかたには、つぎの3つがあります。

ひきずり

平たいれきは、川底をすべりながら下流に運ばれていきます。

たくさんのれきが運ばれるときには、小さいものが速く動き大きいものをひきずって動くように見えます。

ころがり

ときの形が球や楕円体の場合は、れきは川底を転がって下流へ運ばれます。

大きなときは、そのすぐ下流にうずができて川底が掘られそこに転がりこみ、しだいしだいに、下流に運ばれます。

とびはね

小さいれきは川底を飛び跳ねて下流へ運ばれます。
川底のでこぼこのために、川の流れにうずまきができると川の運搬力が強くなります。

そのため、小さいれきは、しばらく浮いて流れ川底へ落ちるというようにジャンプを繰り返しながら下流へ運ばれます。



土砂の運搬

川の流れが急なときは、小さいれきや砂や泥などは、水中に浮いたまま流れます。

雨が降ると川の水がにごってくるのは、川の水量が増え流れが速くなって水中に浮いて流れる土砂の量が多くなったためです。

長い年月のあいだには、このようにして運ばれる土砂は、莫大な量になります。
たとえばアメリカのミシシッピ川は、1年間に約5億7000万トンの土砂をメキシコ湾に運びだします。

化学成分の運搬

川は、れきや土砂のような固体を運ぶばかりでなく岩石や土の中にふくまれている、いろいろな化学成分をとかして運びます。

降ってくる雨水の中には、ほかの化学成分はほとんど入っていませんが川水の中にはいろいろな化学成分が入っています。

これは、雨水が地表から地下に染み込んで土の中や岩の割れ目などを通ってくるあいだに、土や岩の中にふくまれている成分をとかしこむからです。

そしてこの水が地表に出て川水になるのです。

四季を通じて流れている川では、川の水にとけて流れる化学成分の量がれきや土砂の流れる量よりも多いのがふつうです。

これは、れきや土砂が、ほとんど大水のときだけに運ばれるのに対しとけて流れる成分はいつも運ばれているからです。




川の浸食作用とは?滝や早瀬のでき方とは? わかりやすく解説!

川の浸食作用

地表を流れる雨水は、風化作用でできたれきや土砂を地表から洗い流して川すじへ運びます。

川は、これらのものをいっしょにおし流しながら、川底や谷の両側を削ります。これが浸食作用です。


川底を削るはたらき

山地を流れる川や、大水のときの川は流れがはやく水はうずをまいて流れ、れきや土砂を運びます。

この川水やれきや土砂が、川底を削るはたらきをします。
ふつう、川は山地から流れだし、平野に出て湖や海に注ぎます。

したがって、山地を流れる上流では、川底の傾斜が急で流れもはやく川底を削るはたらきは中流や下流にくらべて強くなります。

こうして、川水が川底を削るにつれて、谷は深くなります。

かめあな

川の上流で、直径数センチから、ときには十数メートルにおよぶつぼのような穴が見られることがあります。これがかめあなです。

かめあなは、川底の岩にわずかなへこみや割れ目があったところで水がうずをまいて流れ、岩がとくに強く削られてできたものです。

かめあなの壁には、川水がうずをまいて流れたことをあらわす横すじが見られます。

また、かめあなによっては中にまるい石の入っているものがあります。
これはかめあなのできる途中で、石が入り込み水のうずに流されてまわりながら穴を削り、石もまるくなったものです。

木曽川上流の寝覚の床や、宮崎県都城付近の関の尾、埼玉県の荒川上流の長瀞付近には川底の岩肌の上に、たくさんのかめあなが見られます。

峡谷

川の流れが急で、川底を削るはたらきが長いあいだ続くと川の両岸はV字形の切り立った絶壁になります。

このような谷を峡谷といいます。峡谷は、山地や高原でよく見られます。

これらの土地は、隆起をしてできるので川は長いあいだ川底を削るはたらきを続けるからです。

また峽谷は硬い岩石のところによくできます。

硬い岩石のところでは、谷の両側が、風化によって崩れ落ちたり雨水で削られたりしにくいため、両岸が切り立った峡谷ができやすいのです。

アメリカにあるコロラド峡谷(グランドキャニオン)は世界的に有名な大峡谷で、長さ400キロ、深さ1000~1500メートルもあります。

そのほか、西ドイツのライン峡谷、ルーマニアとユーゴスラビアのあいだにあるドナウ川の鉄門峡などが有名で、詩や歌に詠われています。

日本では広島県大田川上流の三段峡・和歌山県熊野川上流の瀞八丁、天竜川の天竜峡・黒部川の黒部峡・石狩川の神居古潭などが峡谷として有名です。

峡谷がしだいに深くなると川の傾斜が小さくなって川の流れがゆるやかになり川底を削るはたらきがだんだん弱くなります。

そして、峡谷の両側が風化や浸食によってしだいに崩れ幅の広いふつうの谷になっています。



滝と早瀬

山地の川底には、でこぼこがたくさんあります。
なかには川底が急な崖になっていて、水がほとんど垂直に流れ落ちているところがあります。

こういうところを滝と言います。

また、川底が急で水が岩にぶつかったり石を転がしたりしてしぶきをあげ、水音を立てて流れているところがあります。

これを早瀬とよんでいます。

滝や早瀬のできかた

滝や早瀬のできかたには、いろいろあります。

第一は、川底が硬い岩とやわらかい岩でできているところでここでは、やわらかい岩が早く削られるので、硬い岩とのあいだに段ができます。

アメリカと力ナダの国々を流れる、セントローレンス川にあるナイアガラの滝はこのようにしてできたものです。

第二は川の支流が本流と合うところにできます。

本流は支流よりも水の量が多いので川底をも深い谷になります。
そのため、支流が本流に流れこむところには高さの違いができて滝や早瀬ができます。

もう1つは火山の溶岩や、山崩れ・地すべりの土砂が川をせきとめたところにできます。
せきとめられた場所を越えて川水が流れるところに滝や早瀬ができるのです。
日光の華厳の滝は、このようにしてできたものです。

滝や早瀬の後戻り

滝や早瀬は、川のはたらきでたえず削られるので長い年月のあいだにはしだいに上流へあともどりします。

また、滝であったものも、削られてしだいに早瀬のようになりついには早瀬もなくなって、静かな流れになってしまいます。

ナイアガラの滝をつくっている硬い岩石は石灰岩でその下には、ねん土が固まってできた、やわらかいケツ岩があります。

このケツ岩が、滝のうずまきやしぶきで削られて後退すると、上の石灰岩がおちて、滝が後戻りします。

ナイアガラの滝は、このようにして約7万年のあいだにはじめにできたところから、約15キロも上流へ後戻りしています。

日光の華厳の滝は、男体山の噴火で流れだした溶岩が大谷川をせきとめてつくったものです。

滝をつくっているのは硬い溶岩ですが、その下には、やわらかい凝灰岩があります。

この凝灰岩は、中禅寺湖から流れてくる地下水や滝のうずまきに削られて、少しずつ後退しています。
それがある程度進むと、上の硬い溶岩がおちて滝が後戻りします。
華厳の滝は、このようにして、できてから現在までに、約2キロほど後戻りしています。

消える湖

湖から流れだす川が、湖の出口の川底を削って湖水を全部流しだしてしまうことがあります。

湖は干上がって、平地になります。

また反対に湖へ注ぐ川が、運んできた土砂で湖を埋め立てしまうこともあります。

この2つは、ともに川のはたらきによりますが前の例は、川の浸食作用によるものです。

甲府盆地(山梨県)・山形盆地・米沢盆地(山形県)・花輪盆地(秋田県)などは大むかしは湖であったものが、富士川や最上川・米代川などによって水をはきだされ、盆地になったものだと言われています。

川岸を削るはたらき

川は、川底を削るはたらきとともに、川岸を削るはたらきもします。

上流ではおもに川底が削られますが、中流以下では両岸を削って、だんだん川幅を広げます。

川は川すじに邪魔物があると、流れが一方の岸に強くつきあたります。
つきあたった流れは、その反動で、下流の反対がこのようにして川は左右に曲がりながら流れるようになります。

川がまがりくねって流れる様子は蛇が動いているのに似ているので川の蛇行といいます。

蛇行している川は、まがっている外側では流れが速く川底や川岸を削る力が強いので、外側へ外側へと川幅を広げていきます。

反対に内側では流れの速さが遅いので、小石や土砂が積もります。
川の中流以下では、このようにして幅を広げ、平野をつくります。




川のはたらきと源とは? わかりやすく解説!

川のはたらき

川は、陸地の高いところを削って、その削ったれきや土砂を運び低いところに積もらせたり海へ流しこんだりします。

そして、長い年月のあいだには陸地を海面の高さにまでひくめようとするはたらきをします。

この作用は、地表を削る浸食作用・れきや土砂を下流に運ぶ運搬作用運んできたれきや土砂を積もらせる堆積作用にわけられます。

このうち、川の上流では浸食作用・中流では運搬作用下流では堆積作用がとくに強くはたらきます。


雨と地下水

地表に降った雨水の一部は地表から蒸発し、空にもどっていきます。
そのほかは、地表をひくいほうに流れたり、地下へ染み込んだりします。

地表を流れる水は、くぼ地に集まったり溝や小川に流れ込んだりします。
地下に染み込んだ水は、一部は植物の根に吸われたり土の中の水分となったりしますが大部分は地下水となって地下を流れていきます。

地長を流れる水が集まって小川になると、水の力で川の底を削るようになります。
そして地下水のふくまれている地層まで削り下げると地下水は泉となって地表に湧きだし、川に流れこみます。

雨が降っていないときでも川の水が流れているのはこのようにして地下水が流れこんでいるからです。

泉がなければ、川や雨の降ったときにしか流れません。
したがって、川の源は、地下水の湧き出る泉だと言えます。
そして、その地下水は、雨水によって養われています。

雨と川の水量

雨が降ると、泉の水のほかに地表を流れて川に注ぐ水も加わって川の水が増えます。
とくに、梅雨どきや台風の季節、また春先の雪どけどきには地表を流れる水が多いので、川は大水となり激しい勢いで流れます。

これと反対に、日照りが続いて、ほとんど雨が降らないときは川に泉だけに養われるので、水量はずっと減ります。

また、砂漠のように雨がほとんど降らなくても土地が乾燥しているところでは、雨が降ったときだけ水の流れる川があります。

雨が止むと水が蒸発したり、地下に吸い込まれたりして湖や海にそそぐまえに消えてしまいます。

このような川は、川水のすべてを地表を流れる雨水に頼っています。




地すべりが起こるわけとふせぐ方法とは? わかりやすく解説!

地すべりの起こるわけ

地すべりとは山や谷の斜面が、ひとかたまりとなって、低いほうにすべり動くことです。

山や谷の斜面では自然に、すべらせようとする力とすべらせまいとする力とがはたらいています。
すべらせようとする力のほうが強ければ、地すべりとなってすべりだし。

すべらせまいとする力のほうが強ければ地面は安定しています。

すべらせまいとする力の強さは斜面での摩擦力とねばりつく性質などによって決まります。

斜面の地下に水を通しにくい層があり、その上に水をふくみやすい土や岩石などがあるところでは、雨が降ったり雪どけ水などのために地下水が高まると、ねん土化しやすい土は、水をふくんでねばりつく力が弱められれます。

このために、すベらせようとする力のほうが強くなり斜面の土は、水を通しにくい層を台にしてすべりだします。

このような地すべりは、地下水が直接の原因となって起こることが少なくありませんが、地震などのために起こることもあります。

また、なかには、これらの原因と関係のつけにくい地すべりもあります。

地すべりの起こりやすい斜面の傾斜は、ふつう15~30度ぐらいです。
斜面が急であるほど、すべらせようとする力は強くなりますが雨水や雪どけの水はあまり急な斜面では、地下に染み込むことができず地下水とはなりません。

したがって、あまり急な斜面では、地すべりとはなりにくいわけです。


地すべりの種類と分布

日本に地すべりの多い国で、地すべり現象のない県は、むしろ少ないでしょう。
地すべり地の広さは、およそ大阪府の面積にあたります。

また、世界的にその分布を調べてみるとアルプス造山運動の激しくおこなわれた地帯に、長く起こっています。

地すべりは、地すベリねん土という特別のねん土ができる条件のある地帯に起こりますが、その起こり方を見ると大きく3つにわけることかできます。

第三紀層地すべり

火山活動の激しかった第三紀時代にできたケツ岩地帯はモンモリロナイトというねん土化しやすい鉱物をふくみ水をふくむとどろどろになって、ねばりつけ近田が弱くなりずるずるとすべり動きます。

新潟県や長野県など、裏日本の第三紀層地帯に、広く分布しています。

破砕帯地すベリ

造山運動の激しかったころ、地表をおおっている岩石が打ち砕かれ地盤のしっかりしていない地域に起こります。

日本では九州南部・四国・紀伊半島・静岡県など、地質構造線のはしっているところに分布しています。

温泉地すベり

温泉地に近いところでは、地下から出る温泉ガスのために岩石が腐って、温泉余土というねん土になりやすい岩石にかわります。

こういうところが地下水のはたらきで、地すべりを起こします。

東北地方や関東地方の新しい火山地帯・別町や霧島などの温泉地ではこのような地すべりが起こっています。



地すべりをふせぐ方法

地すべり地が、安全か危険かということを安全度というものであらわすことができます。
安全度は、すべらせようとする力で、すべらせまいとする力を割った数値でしめします。

安全度1ということは、すべらせようとする力とすべらせまいとする力とが等しいことです。

ですから安全度を1以上にすれば、すべらせまいとする力が大きくなって地すべりは起こらないことになります。

ふつう地すべりをふせぐには、地下水位をどれだけ下げたら安全度が1.5~2.0になるかを調べます。

そしてその地下水位にするために、①暗きょを掘り、水をひきだす。
②横穴やたて井戸を掘って、地下水をくみだす。

③雨水や雪どけ水が地下水に染み込まないように、地ならしをしたりコンクリートの水路をつくったりして、地表水として水を流すようにする。
などの方法があります。

このほか、川が深く掘られて斜面が急にならないように砂防ダムをつけたりくいを基岩まで打ち込み、その力で支えたりする方法があります。




地下水の分布と地下水のはたらきとは? わかりやすく解説!

地下水の集まるところ

地下水のもっとも集まりやすいのは、隙間の多い、洗い砂や砂利、玉石などの層です。
そのようなところでは、砂の粒と粒の間、石と石との間に、充分広い隙間があります。

だから、地下水をたくさんふくむことができるのです。
そして、このような層が厚ければ厚いほど、たくさんの地下水をふくめるわけです。

山ろくの扇状地や山あいの段丘なども、石や砂の層が厚さ何十メートルとありますが、その層を満たすほどの水量がない場合が多いのです。

そのため、ここでは上から染み込んでくる水はざるのめを抜けるように底へもれていってしまいます。
そして、層の下のほうにだけ地下水があって上のほうは、あいていることが多いのです。


地下水のないところ

岩盤やねん土など密度の大きい泥の層には、地下水がふくまれていません。
これらの層にも、細かい隙間は、たくさんあるのですが水が自由に動くには小さすぎるのです。

このようなねん土や、泥のかたまりが砂やれきの厚い層のあいだにはさまれているとその上に地下水がたまることがあります。

このような地下水を宙水と言います。

もしこのようなところに井戸を掘ると、雨ふりのあとでは水が増えてもしばらくすると水が枯れて、空井戸になってしまいます。

海水の侵入を防ぐ

地下水は、山ろくのような高いところから低いほうに流れて最後には海岸や海底に湧き出ているのがふつうです。

したがって、海岸の近くでは、地下水は流れてくる圧力で海水とのつりあいを保っています。

火山地帯の伊豆大島や、伊豆半島東海岸では海岸や心底に、このような地下水が泉になって湧き出ているのが見られます。

ところが、東京や大阪のように、工場やビルがたくさんの井戸を掘って大量の地下水をくみ上げると、このつりあいが破れて地下水の中に海水が混ざりこみます。

つまり地下水は、国土が海水に侵されないように守っている、とも言えます。

地盤を支える

人間の生活にとって、もっとも大切な平野は地下水と、それをふくんでいる泥や砂れきの層で支えられているといえます。

いろいろの調査が進むに連れて泥・砂やれきなどのなどの層はほぼ同じくらいの容積の地下水をふくんでいて両方で上の地盤を支えていることがわかりました。

しかし、人口が多くなり産業がさかんになって地下水がいろいろの用途に使われるようになると自然に流れこむ地下水の量よりも多くくみ上げるようになります。

そのため地下水が減って圧力が下がり、泥や砂やれきの層にかかる圧力が増えて地層は押し縮められてしまいます。

地盤沈下はこのようにして起こります。

ですから、逆に言えば、地下水は、私たちの住んでいる地表を支えているのだとも言えるでしょう。



岩石を溶かす

石灰岩や大理石また中北部に広く分布する黄土層など石灰分をふくむ岩石や地層は雨水や地下水だとによくとかされます。
これは、石灰分が二酸化炭素や植物からできる有機酸などをふくむ水にとけるからです。

石灰洞

とくに、石灰岩が地表近くに広く分布しているところでは石灰岩が水にとかされてできたドリーネとよばれるすり鉢形の穴や小さな丘のたくさんある、カルスト地形ができます。

ここではドリーネなどから染み込んだ水が地下水となって、地下に洞穴をつくります。鍾乳洞といわれるのは、こうしてできる石灰洞のことです。

石灰洞の中では、地下水は地下川や地下池となっています。

また、石灰分をふくんだ水が、天井から滴り落ちるときに石灰分を少しずつ残してできた、鍾乳石や、その水滴が落ちたところに石灰分が取り残されてできた石筍などがあります。

また、鍾乳石と石筍が上と下から伸びてきて柱のようになったものや流水によってできた皿状の石灰華など、おもしろい形のものが見られます。

石灰洞は、山口県の秋芳洞・高知県の竜河洞・大分県の風蓮洞など長さ数キロにおよぶ大きなもののほか、各地の石灰岩地にたくさん見られます。

その他のはたらき

火山の溶岩の中には、一続きの洞穴がある場合があります。
この洞穴に、地下水が流れていて、穴をしだいにあらい広げることもあります。

富士山の溶岩の中には、このような地下川が見られます。

静岡県の三島市付近で見られる泉はこのようにして流れてきた地下水が地上にあふれでたものです。

なお、地滑りも、地下水のはたらきと考えられます。




地下水のふるさと・生い立ちとは? わかりやすく解説!

地下水のふるさと

雨や雪どけの水は、地表から地下に染み込もうとします。

しかし、地表が、水を通しにくい硬い岩石でできているときや水の量が多いときに染み込めない水は、地表に沿っていくほうへと流れていきます。

また、一部は蒸発して、空気中の水分にもどってしまいます。

そして、うまく地下に染み込んだ水が土や砂の粒のあいだや岩石の割れ目を通って地下水になるのです。


第一のふるさと=山

傾斜の急な硬い岩石がごろごろしている山の斜面やねん土質の赤土がむき出しになっている丘陵の上の広場などでは水に削られた深い溝がよくみられます。

これは、雨や雪どけ水が、大地に染み込みにくいために、地表を流れたあとです。

これにたいして、下草がたくさん生え、広葉樹の落葉が厚く積もっている森林におおわれた山地では、雨や雪どけの水は木や下草を伝わってその下の落葉や、やわらかい土壌の層の中に吸い込まれてしまいます。

傾斜のゆるい山の斜面や台地、あるいは地表が火山灰や火山砂・火山れきでできている火山地帯でも雨水や雪どけ水は大部分地下にもぐりこんでしまいます。

森林のよく茂った山に清水が湧き、豊かな水がせせらぎになって流れ出てくるのも、これらの水がもとになっているわけです。

地下水のふるさとも、このような山地ということができるでしょう。

第二のふるさと=川

日照りが続いても1年中枯れないで谷川の水が流れているように水をふくんだ山々は、また少しずつ水を吐き出しています。

この谷川の水が平野に出るころには、よく扇状地ができます。
扇状地は、れきや砂からできているので、ここまで地上を流れてきた谷川の水はそのれきや砂の隙間に染み込んで地下水になります。

このほか、川に沿って砂やれきの厚い層があるところも地下水のふるさとになることがあります。

川の水量を上流から下流にむかってはかっていくと上流より下流の水量が減っていることがあります。

この場合、減った水の大部分は川底やまわりの平野の地下にもぐりこんで地下水になっているのです。

富山県や長野県には、急流で、目に見えて水量の減っていく川が見られます。
極端な場合には、しまいに、水が全部地下に染み込んでしまいます。

これを、しり無し川と言い、やはり地下水の源になっているのです。



地下水の生い立ち

地表から染み込んだ水は、しだいに地中深くに下がり硬くて水を通さない岩の層や水を通しにくい粘土のような地層にぶつかると止まります。

こんどは、その層の表面にあるくぼみにそってまえよりもいっそう緩やかに、土や砂の粒のあいだをぬって流れていきます。

そして、ついに岩盤の表面にできている地下の谷へ集まり、地下水の流れとなります。

地下水の流れ

地下水は、山頂近くから山の中腹へそしてふもとのほうへと流れ下るにつれて、しだいに量が増えていきます。

また、地下水を支えている硬い岩盤や粘土層はしだいに地下深くもぐっていきます。
こうして、地下水をふくんでいる土砂の層は厚みを増し2、3メートルから7、8メートル、ときには20~30メートルにもなります。

やがて広い平野にでると地下水のふくまれる層は、ますます厚くなりますがその層のところどころに地層に平行に水通しの悪い泥や粘土の層をはさむようになります。

そのため、地下水の動きやすい砂れきの部分は、いくつもの層にわけられます。

広い平野では、こうして2、3層、場合によっては10層以上も地下水がビルのように何階にもわかれています。

日本の各地には、地下400メートルぐらいまでの深さにそのまま安心して飲めるきれいな地下水があります。

しかも、水量は豊富にあります。

自由地下水

地表に近いいちばん上の地下水は土壌の層を通して、いつも大気と触れ合っています。
雨が降ると染み込んできた水を受け入れて水量が増え、日照りになると水量が減ります。

このように、雨の多少によって地面が上下する地下水を、自由地下水とよびます。

自由地下水は、ふつう1気圧(地表の圧力と同じ)のもとで山から海に向かって流れています。

被圧地下水

自由地下水にたいして、第二層以下の地下深くにある地下水に、上下を水通しの悪い層にはさまれています。

そのため、山のほうからおしてくる水の圧力と上に重なる何層かの地下水層の重さとで水道管の中の水のように、圧力をもっています。

これを被圧地下水と言います。

地表から被圧地下水をふくんだ層にむかって穴をあけると、穴が地下水層につきあったとたんに穴伝いに地下水が吹き上げてきます。

こうして何十メートル、何百メートルもの深い地下水も地表までひとりでに噴き出てくることがあります。

また、地表に噴き出ない場合も、地表近くまで上がってくるので簡単にくみ上げることができます。

この被圧地下水がひとりでに噴き出す力を利用して水を得ているものが掘り抜き井戸です。

被圧地下水は、高い圧力で地下を流れこのように、井戸として使われたり、海底に噴き出したりしているのです。




地下水の特徴とは?地下水の水量・水温・水質とは?

窓の水にたいして、陸地の水を陸水と言います。

この陸水のうち、川や湖・沼のように地表を流れたり地表にたまったりしているものを地表水といいます。

これにたいして井戸水や洞窟の中の水など地下にある水を地下水と言います。

泉や湧水は、地下水が崖や岩の割れ目から地表にあらわれたもので地表に出てしまえば地表水になります。


水量・水温・水質

地下水・地表水と違って雨が降ってもにごる心配がありません。

また、大雨が降って洪水が起こったり日照りが続いてからになってしまうこともありあません。

もちろん、雨の量によって、水かさが増えたり減ったりしますが川や湖・沼などにくらべるとずっと目立たないのです。

また地下水は、温度もわりあい一定していて夏は気温よりも低く冬は気温よりあたたかくなります。

このように、水温が変化しないことが、川や湖・沼と違った、地下水のよい点です。

地下の温度は、さらに深くなると、1年中同じものになるので地下水も同じ温度のものが得られます。

地下水のもう1つの特徴は、水がきれいで飲用に適するということです。
これは、水が土で砂・れきの隙間をくぐってくるあいだに中のごみやバクテリアをそれらに吸いつけてくるからです。

しかし、地表に近い地下水や土地の割れ目から汚い水の入るところでは、飲用に適さない水になっていることもあります。

地下水の利用と水量

川や湖・沼の水は地上のごく限られたところにしかありません。
それで、これから遠いところでは、その水を利用するためには長い水路をつくらなくてはなりません。

これにたいして、地下水は広い範囲に分布しているので多くの場所で、わりあい簡単にえらます。

地表水のない台地や山ろくの傾斜地にも地下水なら得られるというところが、たくさんあります。

しかし、地下水には量の制限があります。

地表水は、目で見える限りの水を利用することもできるので1日に何十万卜ンというまとまった水を得ることもできますが地下水からはこのような大量な水を得ることは難しいのです。

地下水は砂やれきの隙間を通ってくるのである土地に一定の時間流れこむ水量はかぎられています。

そのかぎられた量より余分にくみ出そうとすると地下水の通る砂やれきの層が壊されます。

東京や大阪の地盤沈下は、このような地下水の無理なくみ上げの結果です。




造山運動とは?造山運動はどのようにして生じるのか?

造山運動

ヒマラヤ山脈やアルプス山脈のような高い山がつらなっている山脈はしゅう曲によってできたしゅう曲山脈です。

このようなしゅう曲山脈をつくるような大規模の地殻の変動を造山運動といいます。


山脈と地層

大きな造山運動によってできたしゅう曲山脈は、ふつう厚い堆積岩からできています。
この堆積岩は、むかし海底で堆積してできた地層で全体の厚さが何千メートルにも達することがあります。

この地層を調べてみると、中から出てくる化石はどの地層のものも、それほど深い海に住む生物ではありません。

このことから、地層は何千メートルもの深海から堆積をはじめてそれだけの厚さになったものではなく、地層が堆積するにしたがって海底がだんだん沈んでいき、その上に新しい地層ができて厚くなったものと考えられます。

地向斜と造山運動

堆積がどんどんおこなわれて、海底が沈んでいったような場所を地向斜といいます。
造山運動を起こして大山脈をつくるのは、このような地向斜のところでおもに細長い海底であったところです。

地向斜の海での厚い堆積層はその重さのために下の部分では、非常な圧力を受けて、温度も高くなります。
そのため、ついには地層を押し上げる力となって山脈をつくると考えられています。

このような造山運動によってできたしゅう曲山脈の地層をみるとしゅう曲・断層・変成作用をうけた様子がわかります。

地質時代の造山運動

地球の歴丈を調べてみると、造山運動の激しい時代とわりあいに穏やかな時代とが繰り替えされたことがわかっています。

また、造山運動の激しいところは、世界中に不規則にあるわけではなく、つながりになっています、ここを造山帯といいます。

世界の大山脈は、この造山帯にあります。

造山帯は、地殻の変動の起こりやすいところ、いわば地殻の弱い地帯にあたります。
それで、地震の多い地帯(地震帯)や火山の多い地帯(火山帯)とも、だいたい一致しています。
この造山帯の位置は造山運動の時代によって違っています。

古生代の中ごろの造山運動は、ヨーロッパ北部の、イギリスやスカンジナビア半島にかけて見られ、カレドニア造山運動と言われています。

このときは、ここに、いまのアルプス出脈ほどの山脈ができたと考えられますがその後、長いあいだ浸食をうけて、現在は、その当時の山の形をみることはできません。

古生代の終わりごろの造山運動は、ヨーロッパの中央部などでおこなわれました。

これをバリスカン造山運動といいますがここのときにできる山脈も浸食されてしまって現在は低い丘になっています。

いちばん最近の造山運動は、アルプス造山運動といわれるもっとも激しいもので現在の世界の大山脈は大部分このときにつくられました。

このときの造山帯はアルプス・ヒマラヤ造山帯と環太平洋山帯の2つにわけられます。

アルプス・ヒマラヤ造山帯はアルプス山脈から西はイベリア半島の付け根のピレネー山脈と北アフリカのアトラス山脈へ東は地中海の北側を通って、「世界の屋根」といわれるバミール高原からヒマラヤ山脈、さらにスマトラ・ジャワ島に伸びています。

ここは、ユーラシア南縁造山帯とか、地中海造山帯とも言われます。

環太平洋造山帯は、太平洋を取り囲んでいる地帯で南アメリカのアンデス山脈、北アメリカのロッキー山脈からアリューシャン・千島・日本の各列島を通ってさらにフィリピン・ニューギニア・ニュージーランドに伸びています。

縦状地と造山帯

地室時代に起きた何回かの造山帯の分布をみると古生代以後は、全く地殻変動をうけない安定した地域をとりまくように新しい造山帯が外側に分布していることがわかります。

この安定した地域を縦状地と言います。

縦状地は、古生代以前につくられたもので、地層は大乱分が結晶片岩や片麻岩の変成岩や花こう岩からできています。

北アメリカのグランドキャニオンの地層を見るとほとんど水平な地層が、古生代から新生代までみられます。

これはこの地域が楯状地であるからです。



造山運動の経過

造山運動は、一時的に起こるものではなく数億年という長い年代にかけて起こっています。

仮に、地向斜の海が1年に1センチの割合で海底が沈降しがとすれば100万年では1万メートルの深さになります。

その後、この海底に堆積した地層が隆起してしゅう曲山脈になるにも非常に長い年代がかかります。

このような、地向斜の海ができはじめてからしゅう曲山脈が完成し、安定した大陸になるまでの造山運動の経過はつぎの3つの時期にわけられます。

地向斜の時期

幅数百キロ、長さ数千キロにも及ぶ細長い帯状の地域が長いカあいだ沈降を続けその海底に厚い地層がつくられます。

この沈降の機関は、1~2億年といわれ馳走の厚さは10~20キロにも達すると言われています。
まら、この時期には海底火山の活動も活発におこなわれます。

造山運動の時期

海底に厚く堆積した地層は、しゅう曲を起こし、隆起しはじめます。
また、造山帯の中心近くでは、変成作用や大規模な花こう岩が入り込んでいるのがみられます。

この期間は、約3000~4000万年といわれます。

安定化の時期

しゅう曲して隆起した造山帯は、浸食されながらさらに隆起を続けます。
そして浸食によって削りとられた物質は新しい地向斜に堆積します。

この時期には、断層運動や溶岩の噴出も起こるがやがて浸食されて山脈は低く平らになり、安定大陸の一部となっています。

最近の造山運動の考え方

造山運動を起こすような大きなエネルギーは、どのようにして生じるのでしょうか。

イギリスのエジンバラ大学のホーム教授はいままで固体と考えられていたマントル(中間層)が実は少しずつではあるが対流をおこしているという新しい説を発表しました。

この考え方によると、地向斜の海ができるところはマントルの流れが集まるところで、そのためにくぼみを生じそのくぼみに堆積物がどんどん堆積して、厚い地層がつくられるといわれています。

そして、ここでは、地殻を押し縮める力もはたらいています。

マントル内に深くひきずりこまれた堆積物は圧縮と高い温度によってマグマができたり、変成作用などを引き起こすと考えています。

マントルの対流が1000万年~1億年ほど続くと、いままでひきずりこまれた厚い地層は、アイソスタシーの考え方によって、隆起して大山脈をつくると言われています。

このマントルの対流は、ウェゲナーの大陸漂移説にもあてはまるものです。
ウェゲナーの主張したころは充分に説明されませんでした。

しかし、大西洋両岸の大陸棚の線を大陸のへりとすると、非常によく一致します。
これは、マントルの対流によって大陸が移動して離れたものであると考えられています。




特殊な浸食山地とは?氷食山地・ケスタ・石灰岩山地とは?

浸食の方法や地質などによって、かわった地形ができることがあります。

氷河の浸食によるものや、やわらかい地層と硬い地層が重なりあっているところなどの石灰岩地域に、こういう地形がみられます。



氷食山地

氷河が地表をおおっていたところでは山頂に近いところに氷河が削ってできたすり鉢形のくぼ地ができます。これをカールと呼びます。

カールは、現在も氷河の残っているアルプス山脈やヒマラヤ山脈にはたくさん見られますが日本のように、現在氷河のないところでもみられます。

飛騨山脈の頂付近にその例がありますがこのことから、むかしは日本にも氷河があったことがわかります。

氷河が大きくなると、山頂まで氷河に削られるため川の浸食によるよりも鋭い峰が出来ます。

飛騨山脈の槍ヶ岳はその例ですがアルプス山脈にはマッターホルンやモンブランなど、多くの峰がみられます。

ケスタ

硬い地層とやわらかい地層が重なり合っているところで地層全体が傾いているとやわらかい地層に早く浸食を受けて低くなり固い地層の部分が残って山脈ができます。

石灰岩山地

石灰岩は、酸をふくんだ水に溶けやすいため川のはたらきによる浸食作用よりも水に溶ける科学的な風化作用のほうを大きくうけます。

そのため非常に特色のある地形をしめすことがあります。

かなり広い石灰岩地域では雨水が石灰岩をとかし地表にドリーネとよばれるくぼ地や岩のあらわれた小さな丘のある地形をつくったりします。

このような地形をカルスト地形と言い山口県の秋吉台や福岡県の平尾台は、そのよい例です。




幼年期・壮年期・老年期の山地とは?地形の移り変わりとは?

山の移り変わり

海底や平野が、広い範囲にわたって隆起すると、高原になります。
高原には、まず小さい谷が刻まれます。

その谷は、しだいに深くなり、それにともなって谷幅も広くなって高原の平らな部分は減ってきます。

そして、残ったところは山の峰になります。

このようにして、険しい山地ができますがさらに浸食が進むと、高い峰も削られてだんだん低くなり山地全体がなだらかになります。

そしてついには、岩石の硬い部分などが山として取り残されるだけで、広い平地になります。

このような山の変化を人間の一生にたとえて、幼年期・壮年期・老年期とよんでいます。


幼年期の山地

浸食のはじまったころの山地です。

このころの谷川に、谷の側面か削るより、谷底を削る力が強いので深い谷間をつくったり、ときには深い峡谷をつくります。

谷の水はいつも流れているわけではなく雨が降ったときに限って流れることが多いのです。

谷と谷のあいだには、もとの地形(原地形)が高原のようになって残っているのも幼年期山地の特色です。

日本では、広い範囲の幼年期山地はみられませんが中国地方の吉備高原や中部地方の美濃三河高原などの一部に、その例がみられます。

外国にはたくさんの例がありますが北アメリカのコロラド峡谷などは、その代表的なものです。

壮年期の山地

浸食作用がもっともさかんで、谷はV字谷になり、支流も多くなります。
山の頂上は、削られてしだいに平らな面が少なくなり、とがった峰になります。

日本の高い山は、大部分が壮年期の山です。
関東山地・赤石山脈・飛騨山脈・四国山地などが、その代表的なものです。

老年期の山地

浸食が進むと谷川は谷底を削るより、谷の側面を削る力か強くなるので山の峰はしだいに削られて低くなります。

それにともなって谷の幅は広がり傾斜もゆるやかになるので水の流れも遅くなります。川が広い谷底を曲がりくねって流れます。

日本には、この山地のはっきりしたもの少なく山口県南部や筑波山付近にみられるくらいです。

筑波山は、斑れい岩や花こう岩などの火成岩でできていますが斑れい岩が固いので、浸食されずに残って峰をつくったものです。

この残った峰は残丘(モナドノック)と呼ばれるもので筑波山付近の老年期の山地の中に、筑波山が残丘として残っているのです。



準平原

浸食でできる地形の最後の姿が準平原です。
ここは、海面に近い高さから内陸に向かって少しずつ高さを増す非常になだらかな地形です。

表画は、ふつう厚い土壌でおおわれています。

日本には、準平原そのままのところはありませんが北アメリカ大陸の内部、シベリア西部、マライ半島などには、この地形がみられます。

隆起準平原

いちど準平原になったものが隆起して現在は高原のようになっているものを隆起準平原といいます。

ふもとのほうから浸食作用のさかんな川が谷を刻みはじめていますが高いほうにはまだ進んでいません。

阿武隈山地、中国地方の山地などに、この例がみられます。

浸食の輪廻

地形が、浸食によって幼年期から準平原になる変化を浸食の輪廻といいます。

準平原が隆起して隆起準平原になると、ふたたび幼年期からの浸食がはじまります。

これを浸食の復活といいますが実際には、準平原にならないうちに山地が隆起して、浸食の復活があることがあります。




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