ヘリコプターが飛ぶわけとは?垂直離着陸機と短距離離着陸機とは?

ヘリコプターの役目

飛行機は、いったん空中へ上がってしまえば、すばらしい速さで自由自在に飛び回ることができますが、離陸のときと着陸のときは地面を滑走しなければなりません。

とくにスピードの速い飛行機では、できるだけ空気抵抗を少なくするために翼が小さくなっています。
このような飛行機では、よほど長い距離を滑走しないと、飛び上がることができません。


そのため、ちかごろでは、滑走路の長さは2000メートルから3000メートルくらいがふつうになり、広い飛行場が必要になりました。

そこで、滑走なしで空中へ上がり、また下りるときも滑走なしですむものがいろいろ研究されています。
そのなかでもいちばん成功し、いろいろの役目に使われているのがヘリコプターです。

ヘリコプターは滑走なしで地面から垂直に上がり空中でとどまることもでき、垂直に地面に下りることもできます。
飛行機は、スピードを出すことで揚力をえているので空中に留まることはできません。

また、ヘリコプターは、空中でまえでもうしろでも横でも、自由自在に飛ぶことができます。
しかし、飛行機にくらべてスピードが遅く、遠くまで飛べない欠点もあります。

このような性質を利用して、ヘリコプターは、道のない不便なところまで人や荷物を運んだり、海上で遭難した人をつなでつりあげて助けたりビルの屋根の上から発着したり、いろいろなことに使われています。

現在、海難救助や郵便空輸によく使われているのは、小型のベル47G型やシコルスキーS55型です。

旅客や兵隊の輸送には、30人もの人を乗せることができる大型のバードルV107型やシコルスキーS61型が使われています。

ヘリコプターの飛ぶわけ

ヘリコプターは、飛行機の翼のかわりに大きなプロペラのような回転翼を、上向きにつけています。
エンジンによってこの回転翼をまおすと、この回転翼には、上向きの揚力が起こり、これでヘリコプターの重さを支えます。

回転翼に揚力が起こるのは、プロペラに推力が起こるのと、まったく同じわけです。
プロペラのうしろに立つと、強い風が吹いてくるのと同じようにヘリコプターの回転翼の下に立つと、強い風が吹き付けてきます。

ヘリコプターには、翼のかわりになる大きな回転翼のほかに尾部に小さな回転翼が横向きについているのがふつうです。

これを補助回転翼と言います。

エンジンで大きな回転翼をまわそうとするとその反動でヘリコプターの機体が逆にまわされてしまいます。
それをふせぐために、この小さい回転翼を使っているのです。

また、ヘリコプターには、大きな回転翼を胴体のまえとうしろにつけて反対の方向にまわしているものもあります。

このようなものでは、まえの回転翼とうしろの回転翼とが胴体をまわす反動を消し合うので、補助回転翼はいりません。

ヘリコプターは、飛行機と違って、まえ向きのプロペラもジェットエンジンもつけていません。
それでいて、まえにもうしろにも進むことができるのは、上向きの大きな回転翼をまえやうしろに少し傾けることができるからです。

たとえば、回転翼をまえに傾けると、回転翼にはたらく上向きの力が、少しまえに傾きます。
このまえ向きの力で前進することができるのです。

うしろに傾ければうしろに、横に傾ければ横に進みます。
ふつうは回転翼のつけ根を蝶番にして、自動的に翼の角度をかえられるようになっています。



垂直離着陸機と短距離離着陸機

垂直に離陸や着陸ができる飛行機を垂直離着陸機(VTOL・ブイトール)と言います。
ヘリコプターでも、滑走なしで離着陸でき、空中で止まることもできますが水平に飛ぶときの性能は、ふつうの飛行機には適いません。

スピードも、時速200キロくらいで、同じ距離を飛ぶのに、燃料をたくさん使ってしまうからです。

そこで、離着陸はヘリコプターのように滑走なしでおこない水平に飛ぶときは飛行機と同じように飛ぶものが開発されてきました。

このなかにはジェットエンジンを垂直につけ、その上向きの推力で離陸上昇し、ある高さまでいったらエンジンを水平にむけ、そのまえ向きの推力と翼の揚力で飛行機と同じように飛ばすものがあります。

また、世界ではじめて実用化された、イギリスのホーカーシドレー1ハリアーはジェッ卜噴流の向きをかえて垂直に離着陸できるようになっています。

そのほか、離着陸には、大きなプロペラをヘリコプターのようにまわし水平飛行のときは、プロペラをまえ向きにして飛ぶものもあります。

短距離離着陸機は、STOL(エストール)とも言いふつうの飛行機が離着陸するときの滑走距離より、ずっと短い距離で離着陸できるものを言います。

ホーカーシドレー1ハリアーは、VTOLであるとともにSTOLでもあります。
また、アメリカのグラマンOV-1モホークも、すぐれたSTOL機です。




飛行機の用途とは?グライダーのしくみとは?

飛行機の用途

飛行機には、いろいろの使い道があります。

民闘機には、旅客や貨物や郵便物を遠くまで運ぶ輸送機、空の旅行をしたり空のドライブを楽しむ自家用機、空から写真をとって地図をつくる測量機、種まきや虫をとる薬をまく農業機などがあります。

また、教官といっしょに乗って操縦の練習をする練習機や新聞社などがよく使う、空中から写真を撮ったり無線電話で本社へ急ぎの原稿を送ったりする飛行機もあります。

そのほか、軍用機としては、戦闘機・爆撃機・偵察機・しょうかい機・軍用輸送機などがあります。


輪送機

輸送機にはジェッ卜機とプロペラ機があります。

ジェッ卜輸送機は大勢の乗客を載せて長い距離を飛ぶのに主に使われプロペラ輸送機は、小型で、近い距離を飛ぶのがふつうです。

なかでも、ボーイング707や、ダグラスDC-8などという大型ジェッ卜輸送機は100人から140人くらいの旅客を乗せて、太平洋や大西洋をいっきに飛ぶことができます。

しかも、1時間に900キロメートル以上の速さを出すことができます。
飛行機の重さは140トンもあり、よくもこんなに重いものが空を飛べるものだと思わずにはいられません。

このごろの輸送機の座席は、たいへんすわり心地がよくできています。
また、ジェッ卜輸送機では1万メートルの高いところをターボプロップ機でも、4000から6000メートルの高いところを飛びますから、こういう空気のうすい、酸素の少ないところを飛んでいても旅客の体に差支えないように、客室の中の気圧を高くする装置がついています。

温度も、ちょうどよく調節され、旅客はゆっくりした気分で空の旅を楽しむことができます。

輸送機の中には、胴体のまえやうしろに大きな扉がついていて貨物を楽に積み込めるようになっている、貨物輸送機もあります。

また、まえが貨物室、うしろが客室になっていてお客が自分の自動車をもって、旅行できるようになっている飛行機もあります。

自家用機

我が国でも、このごろ自家用車をもつ人が増えてきましたがアメリカでは、自家用機が10万機もあって空のドライブを楽しむ人がたくさんいます。

自家用機に使われるのは、100馬力から3000馬力くらいまでの単発機で軽飛行機と呼ばれています。
自家用機は、安全で操縦しやすく、値段も安く、燃料費もあまりかからないという点がすぐれています。



グライダー

グライダーは、発動機もプロペラもない航空機で、滑空機とも言います。
自分で離陸できませんが、いったん空中に上がれば
主翼にはたらく揚力によって大空を滑るように飛べます。

グライダーは、その性能によって初級機(プライマリー)
中級機(セコンダリー)・高級機(ソアラー)の3つにわけられます。

このうち初級機は練習用で、胴体は骨組みがむきだしですが、取扱いがやさしくなっています。
中級機は初級をおおったものが、さらに高級な技術を練習するもので
高級機になると機体も流線形になり性能はいっそうすぐれています。

グライダーには、ひとり乗りの単座機のほか、ふたり乗りの複座機もあります。

グライダーが飛べるのは、機体にはたらく重力の一部が推力としてはたらくからです。
空に浮かんだグライダーは、機体自身の重さで、下に滑り落ちようとします。
このとき、図のように、重力の分力が推力になって、機体をまえに進めます。

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すると、翼に揚力ができて、機体の重さを支えるようになるのです。
このため、グライダーは必ず水平方向より下向きに飛びます。
しかし、途中で上昇気流にのれば、上に上がることができます。

また、図のように同じ高さから滑空したとき、滑空角が小さいほど遠くまで飛ぶことができます。

高級機ほど、翼が細長くなります。

このような形にすると、抗力に対して揚力の割合が大きくなり滑空角を小さくして遠くまで飛ぶことができるからです。

グライダーを離陸させるには、いろいろな方法かありますがその1つは、太いゴムのつなを機体の先端にかけて、つなをひっぱります。

ゴムがはりつめたところで機体から外すと、ゴムの縮む力でグライダーが飛び上がります。

また、ワイヤーロープを機体にかけ、このロープをウィンチでまきとる方法や飛行機にロープをつけ、これでグライダーをひいて飛び上がり適当な高さでロープを外す方法もあります。

これだと、充分な高さまで上がれます。




ジェット機とプロペラ機とは?単発機と多発機とは?

飛行機には、たくさんの種類がありますが、そのわけ方も形や使い道によっていろいろあります。

ジェット機とプロペラ機

ジエッ卜機は、ジェットエンジンをつけたものプロペラ機にはピストンエンジンをつけたものと、ターボプロップをつけたものとがあります。

第二次世界大戦の終わりころまでは飛行機といえばピストンエンジンをつけたプロペラ機ばかりが使われていました。

しかし、飛行機のスピードがだんだん速くなってくるとプロペラの羽根の空気をきる速さが速くなりすぎ、そのはたらきが鈍ってきます。


そのため、このプロペラ機では、1時間に800キロメートルくらいまでの速さがせいぜいです。
そこで、もっと速い飛行機をつくるために、ジエットエンジンが発明されたのです。

ジエッ卜機の特長は、スピードが速いことと上昇力が大きいことです。

ジェット機のなかには、音の速さの2倍以上のスピードをもち1万メートルの高さまで、2分たらずでのぼってしまうものがあります。

プロペラ機では、とてもこんな力はありません。
そのかわり、プロペラ機は、滑走距離が短く、せまい飛行場でも上がり下りできるのが特長です。

しかし、ジエッ卜機が音の速さ(時速1236キロメートル)に近い高速で空気の中を飛ぶと飛行機のまわりを流れている空気に、乱れが起こります。

そして、翼の上面に、空気の密度が急にかわる部分ができるので揚力が減って抗力が増え、飛行が危険な状態になります。

この危険を切り抜けるために、飛行機の形にも、特別な工夫が必要です。

そこで、翼や胴体の先をできるだけするどくとがらせたり翼を矢羽根のようにうしろに曲げた後退翼を使うようになりました。

後退翼を使うと音速を越しても、空気の乱れるのが遅くなり、抗力も小さくてすみます。

さらに後退翼のうしろのはしを直線で結んだ、三角形の翼(三角翼)をもった飛行機もできました。
こうすると、構造のうえからも丈夫になり、後退翼の長所を伸ばすことができます。

単発機と多発機

エンジンを1台つけた飛行機を単発、2台つけたのが双発、3台のが3発、4台のが4発です。
これ以上エンジンをつけたものもありますが、あまりエンジンの数が多いと取扱いが不便なので、いまでは軍用機にしか使われていません。

単発は、小型機だけに使われます。

これは、もし飛んでいるときに、エンジンが故障すると、すぐ着陸しなければならないからです。

双発以上だと、どれか1つのエンジンが故障しても片方のエンジンで飛べますから、ずっと安全です。




飛行機の動力とは? ピストンエンジン・ターボプロップとは?

飛行機の動力

プロペラをまわすには、これまでピストンエンジンを使うのがふつうでした。
しかし、1945年ころから、ジェットエンジンが使われるようになりました。

さらに1953年ころには、ジェットエンジンの原理を利用して、それでプロペラをまわすやり方が使われるようになりました。

これをターボプロップと言います。


ピストンエンジン

これは、自動車やオートバイに使われているものと、同じ原理です。

シリンダの中をピストンが上下に往復するようになっていてピストンがいちばん上の圧縮位置まで上がるとシリンダの中のガスがせまい室に閉じ込められて、圧縮されます。

このガスは、空気にガソリンの蒸気をまぜたもので、これに電気火花で火をつけると、すごい勢いで爆発します。

すると、この爆発の力でピストンが下に押し下げられます。

ピストンの運動は、クランクを通してクランク軸に伝えられるのでピストンがシリンダの中を1回往復すると、クランク軸も1回転します。

クランク軸が回転すると、プロペラもまわるようになっています。

飛行機に使われるピストンエンジンは小さいものは50馬力くらいから大きいものでは、3500馬力くらいまで、いろいろの大きさのものがあります。

シリンダの数も、大きさにしたがって、4つから18までいろいろあります。

また、シリンダの中では、いつも激しい爆発が起こって熱がでるのでシリンダのまわりに風をあてて冷やします。
これを空冷式と言います。

水で冷やす水冷式は自動車では使われていますが飛行機では使われていません。
これは、飛行機はスピードが速いので、エンジンを冷やす風が充分にえられるからです。



ジェットエンジン

この形の飛行機では、まず、先端から吸いこんだ空気を圧縮機で圧縮して、圧力を高くします。
これにガソリンや灯油をまぜて燃焼室の中に入れ、点火して爆発させるものです。
この場合、圧力を高くしてから点火するのは爆発の勢いを強くするためです。

爆発したガスは、勢いよく後方にふきだされ、その反動でまえ向きの推力がえられます。
このガスは途中でタービンをまわします。

タービンは、羽根のたくさんついた風車のようなもので、この力は、まえの圧縮機をまわす力に使われます。

ピストンエンジンでは、シリンダの中をピストンが往復しているので振動が起こりやすくなります。
これにくらべて、ジェットエンジンは、往復する部分がまったくなく、構造もずっとかんたんです。
そのため、振動が少なく故障も少ないという利点があります。

ターボプロップ

このエンジンの本体は、ジェットエンジンとほとんどかわりません。

ただ違うところは爆発したガスがうしろにふきだされるときタービンをまわしますが、このタービンで圧縮機とプロペラの両方をまわすようになっている点です。

このため、ガスの勢いはプロペラをまわすのに大部分使われてしまい、うしろからふきだされるときのジェット推力は、ごくわずかです。

つまり、ターボプロップは、ほとんどの推力をプロペラが出し、これにごくわずかなジェッ卜の推力が加わるだけです。

ターボプロップはピストンエンジンにくらべて、構造がかんたんで振動の少ない点がすぐれています。

また、同じ力を出すのにも、目方がかるく、形も小さくてすみます。
なかには1台で、6000馬力も出せるものがあります。

現在では、おもに馬力の大きいものだけが使われています。
しかし将来はそのほとんどが、ジェットエンジンにとってかえられるでしょう。




尾翼のはたらきとは?胴体と脚のはたらきとは?

尾翼のはたらき

尾翼のはたらきを調べるために、つぎのような実験をしてみましょう。


実験

1本の棒を図のように糸でつってみましょう。
ちょうどその重心のところをつるしてやれば、棒はうまく水平につりあいます。

しかし重心からはなれたところをつるすと、棒は傾いてしまいます。

そこで、もう1本別の糸を使い、上の図のように上からひっぱるようにしてみましょう。
こうすれば、うまく水平に保つことができます。

1本の糸で重心のところをつるすよりも、ずっと安定で、傾く心配がありません。
たいていのものは、1つの点で支えるより、2つの点で支えたほうが安定します。

水平に保つはたらき 尾翼は、このもう1本別の糸のはたらきをします。

主翼にはたらく揚力は、飛行機が飛ぶ速さによって、はたらく位置が前後に少しずつ動きます。
このため揚力は、いつでも重心の真上にはたらいているとはかぎりません。

そこで揚力が重心よりまえにはたらいているときは尾翼に上向きの力をはたらかせるようにします。
また、揚力が重心よりうしろにはたらいているときは尾翼に下向きの力をはたらかせるようにします。

こうすれば、うまくつりあいを保つことができます。

この場合の尾翼は、主翼と同じように胴体に水平についているので、水平尾翼と言います。

水平尾翼のうしろの部分は蝶番で取り付けられ上にも下にも動くようになっています。この部分を、昇降だと言います。

昇降だを上げると尾翼には下向きの力が起こり、機首は上を向きます。
また、昇降だを下げると、尾翼に上向きの力が起こって、機首は下を向きます。

ですから、昇降だの角度をちょうどよく加減すれば、飛行機は水平にうまくつりあいが保てるのです。

方向を保つはたらき

尾翼には、水平尾翼のほかに垂直尾翼があります。
これは、飛行機をふらふらさせないで、目指す方向にまっすぐ進めるものです。

垂直尾翼のうしろの部分も、やはり蝶番いで左岩に動くようになっていて、これを方向だと言います。

方向だを左に曲げると、飛行機は左を向き、方向だを右に曲げると飛行機は右を向きます。
飛行機によっては、2枚の垂直尾翼と、2枚の方向だをもったものもあります。

3つのかじとフラップ

飛行機には、昇降だと方向だのほかに、補助翼というかじがあります。

補助翼は、左右の主翼のうしろ側に、蝶番でついています。
そして、一方を下げると、もう一方は上に上がるようになっています。

いま、右の補助翼を下げ、左を上げた場合を考えてみましょう。
このときは右の翼の揚力が左より大きくなって、飛行機は左に傾きます。

つぎに、補助翼をこの反対に動かせば飛行機は、右に傾きます。

かじを操るしくみ

飛行機の操縦席には、操縦桿(またはハンドル)とペダルがあります。
操縦桿をまえに押すと、昇降だが下がって、飛行機は下を向きます。
うしろに引くと昇降だが上がって飛行機は上を向きます。

操縦桿を左に倒すかまたは、ハンドルを左にまわすと左の補助翼が上がり右の補助翼が下がって飛行機は左に傾きます。

また、右のペダルを足で踏むと方向だが右に動いて飛行機は右を向き、左足を踏むと飛行機は左を向きます。

このようにして、操縦する人は、飛行機を自由に操って宙返りや、横転などのいろいろの運動をさせることができるのです。

フラップ

主翼のうしろ側には、補助翼のほかに、もう1つ動く部分がついています。
ここをフラップと言います。
フラップは、補助翼と違って、左と右が同時に下がるようになっており、上げることはありません。

フラップを下げると、翼の揚力が急に増えるので着陸のときなどスピードを落として、ふわりと着陸することができます。



胴体と脚

胴体の中には、操縦席や、客席や荷物を入れるところなどがあります。
脚(着陸装置)は、飛行機が離陸したり、着陸したりするとき、地面を滑走するのに使われます。

このごろの飛行機では、重心の少しうしろに2つ(または2組み)の大きな車輪、ずっとまえのほうに、小さい1つ(または1組み)の車輪をつけたものが多くなりました。

これを前輪式と言っています。

このほか、重心のまえに2つの大きな車輪と尾翼の下に1つの小さな尾輪をつけた尾輪式もあります。
この形では、着陸のとき、車輪と尾輪が同時に地面につくように着陸姿勢をかえないと機体が跳ね上がることがあります。

そのため、速度の大きい機体では、尾軸式による着陸は難しくなります。

飛行機が飛んでいるときは、脚はいらないわけですから翼や胴体の中にひっこめておくのがふつうです。
脚を出しておくと、大きな空気抵抗がはたらき、速度が減って損をするからです。

また、水上を滑走して、離水したり、着水したりする水上機には車輪のかわりにフロート(浮舟)をつけたものや、胴体をボートのようにしたものもあります。

胴体をボートのようにしたものを、飛行艇と言います。

水上機に対して、車輪のついている飛行機を水陸両用機と言います。




飛行機にはたらく力とは?飛行機のしくみとは?

飛行機にはたらく力

どんなものでも空中で手ばなすと、重力のために下のほうに落ちていきます。
物が下に落ちないようにするには、重力と同じ大きさの上向きの力で支えなければなりません。


飛行機1台の重さは、小さいものでも400~500キログラム大きなものでは100トン以上のものもあります。

こんなに重いものが、うまく空中を飛ぶことができるのは、それにはたらく重力とつりあうだけの上向きの力がはたらいているからです。

この上向きの力を揚力と言います。
飛行機に大きな翼があるのは、この揚力をつくりだすためなのです。

ところで飛行機は、空気の中をすばらしい速さで飛びます。
すると同じ速さの風が、飛行機のいろいろな部分にあたります。

飛行機の速さが、1秒間に100メートルなら、飛行機にあたる風の速さも、1秒間に100メートルです。

こんなに強い風があたると、主翼には強い空気の力がはたらきます。
この翼にはたらく力は、図のように、ななめ上にむいています。

この力を上向きの力とうしろ向きの力にわけてみましょう。
上向きの力が揚力、うしろ向きの力が抗力、または空気抵抗です。

翼以外の部分、たとえば胴体や脚などには揚力はほとんどはたらかず、抗力だけがはたらいています。

翼に揚力がはたらくためには、飛行機は空気の中を、ある速さで進まなければなりません。

また、飛行機のいろいろな部分に、空気の抵抗がはたらくので、これに打ち勝つだけの、まえ向きの力で、ひっぱってやることが必要です。

このまえ向きの力を、推力と言います。



飛行機が推力を出すには、プロペラを使うやり方と、ジェットを使うやり方とがあります。

プロペラのはたらきは、扇風機と同じです。
エンジンでプロペラをまわすと風が起こります。

言い換えれば、プロペラの羽根が空気をうしろ向きに押しやるのです。

すると、その反面でまえ向きの力がはたらきます。
この力がプロペラによる推力です。

ジェットのはたらきも、これとよく似ています。

ジェットエンジンの中で、空気とガソリンや灯油をまぜた圧縮ガスに火をつけて燃やすと熱いガスがものすごい勢いでうしろ向きにふきだします。
この反動で、まえ向きの推力がはたらきます。

このように.飛行機の飛ぶわけを考えてみると飛行機には揚力をつくる翼と
推力を出すプロペラかジェットがあれば、それで飛び上がることができるのです。

ところが、飛行機には、このほかに尾翼・胴体・脚(着陸装置)などの部分があって、それぞれ大切なはたらきをしています。




潜水艦・連絡船・砕氷船・水中翼船・原子力船の特徴とは?

潜水艦

潜水艦が沈んだり浮かんだりするには船の横につけた水平のかじと、船の中にある海水タンクを使います。

水上に浮かんでいるときは、このタンクは空ですが水を入れると船が重くなるので、だんだん水中に沈むのです。

タンクの大きさは水をいっぱい入れたとき、ちょうど船が水面に隠れるくらいにしてあります。
このときには、船の重さと浮力がつりあって、水中のどの深さにでも、浮いていることができます。

船をもっと潜らせるには、水平のかじをまえに傾けて走ります。
すると、かじの上面に水の圧力を受けますから船首が下のほうに押し下げられ、だんだん深く潜っていきます。

このかじを、これと反対に傾けると船首が上がり水面に近づきます。
浮き上がるには、タンクの水を船の外にだして船の重さを軽くするのです。

水中で用いる推進機関には、空気のいらない電動機を使います。
この電動機は、蓄電池で動かします。

また、潜水艦は海中に深く潜るので、大きな水の圧力を受けます。
この圧力にたえるため、船の断面は円形にし、厚い鋼板で丈夫にしてあります。


連絡船

これは、陸上の列車と連絡するように、決められた時間で航海する船ですから速力が大事です。
また、1日に何回も往復するので、桟橋につけるときに時間がかかってはたいへんです。

それで、スクリューを2本にしたり、フォイトシュナイダープロペラという特別の推進器を使ったりして、楽に操縦ができるようにしてあります。

列車をそのまま積む船では機関室の上の甲板にレールをしいて船尾の大きな口から列車をひき入れて運びます。

砕氷船

海面にはった氷を割りながら航海する船です。
水面から下の船首は傾斜がつけてあり、なだのような役目をします。

ここで氷を押し割ったり、氷の上に乗り上げ、船の前方のタンクに海水を送って、その重さで氷を割ったり、船を左右にゆさぶったりして進むのです。

船尾は、かじやスクリューが氷で壊されないように保護されています。

また、水面下の船体の形がまるく丈夫につくってあること機関の馬力が大きいことなども、この船の特色です。

水中翼船

水中翼船は、ふつうの高速艇と同じような形をしていますが、船底に翼がつけてあります。

速力が増すにしたがって、翼の揚力により、船体が水上にもちあげられて走ります。

このとき、水の抵抗を受けるのは水中翼と、これを支える支柱だけになりますから全体の抵抗は、ふつうの船よりずっと少なくなり、小さな馬力で高速を出すことができます。

翼によって、船体が持ち上げられるのは飛行機が空中に飛び上がることができるのと同じ原理です。

しかも、水の密度は、空気の密度の800倍もありますから翼の面積も、飛行機にくらべてずっと小さくてすみます。

水中翼には、いろいろな種類の形がありますが現在実用化されているものは、水中に貫通フープ型と水中貫通分離型の2つです。

この形式の水中翼船は、水面を飛び跳ねたり、横波で船体が傾かないように工夫ています。

水中翼船は、全速力で走ってもほとんど波をたてず、また、発進や停止がかんたんです。
そのため、運転しやすく、少しの波ならば、ほとんど揺れずに走ります。

ヨーロッパでは川や湖や静かな沼で遊覧船や旅客船として、さかんに利用されています。
近頃では、日本でも開発が進み、たくさんの水中翼船がつくられています。



原子力船

原子力船は、船に積んである原子炉から発生する熱を利用して蒸気をつくり、この蒸気をタービンにあてて、推進器をまわします。

原子炉は、ほとんど燃料を納給しないで長いあいだ活動を続けますから、これまでの船のように、たくさんの燃料油を積んで走る必要がまったくありません。
そのため、大型の高速船では、とくに有利です。

また原子炉は、重油を燃やすときのように空気を必要としませんから水の中に潜って走る潜水艦などには、とくに便利です。

船に積まれた原子炉は厳重にしきられていて乗組員が放射能の害を受けないように工夫されています。

また、船が衝突したり、座礁したときでも、原子炉が壊れたりすることのないように原子炉を包んでいる部分は、特別に丈夫な構造になっています。

すでに、原子力潜水艦や原子力砕氷船・原子力貨客船もできました。
船の形のうえでは、これまでの船のような煙りを吐き出す煙突がないのが特色です。

特別な役目をもつ船

船にはこのほか、モーターボート・測量船・観測船・灯台補給船・ケーブル敷設船など、いろいろな種類があります。




漁船・貨物船・客船の特徴とは? わかりやすく解説!

漁船

漁業に携わる船にも、さまざまな種類があります。

魚とりだけに使われる船のほかに、これらの船でとった魚を集めて塩づけにしたり、冷凍や缶詰にして運んでかえる船もあります。


捕鯨船と捕鯨母船

捕鯨船は、捕鯨砲でもりを打ち出して、クジラをとる船です。

捕鯨砲は、船首についていますが、この位置を高くするため、前方は急に高くなっています。
また、マストには、クジラの見張り所があります。

船は、300~500トンの小さいものですが、クジラを遠くから見つけ3、400メートルの近くまで追い詰めてからうつので機関の馬力も大きく、速力は16ノット以上もでます。

捕鯨母船は捕鯨船がとったクジラを引き上げてクジラの缶詰をつくったり、油をとったりする船です。

貨物船

貨物船は、荷物を運ぶのが勤めですから、貨物倉と荷物の積み下ろしの設備がいちばん大切です。

このため、船の中は、機関室のほかは、ほとんど貨物倉になっています。
貨物倉の上の甲板には四角な大きい口が開いていて、そこから荷物の出し入れをします。

この口をハッチと言い、航海中は厳重にふたをします。
荷物の積み下ろしの機械は、上甲板のハッチのわきに取り付けます。

油送船(タンカー)とは、原油・重油・ガソリンなどの油類だけを運ぶ船です。
油は、火に近づけると、爆発する恐れがありますから、船のしくみには特別な注意が必要です。

そこで、火がうつる危険を避けるため機関室や煙突はうしろのほうにあり機関室よりまえのほうは、ほとんど全部油タンクになっています。

デッキの上には、たくさんのパイプがならび、わたりばしごがかけてあります。

原油を運ぶ大型油送船では、タンクは縦に3つ、横に7つ以上にしきられ、甲板は1枚です。
原油の出し入れには、1時間に300から3500立方メートルの原油が送れるポンプを使います。



客船

客船は、客を運ぶのがいちばん大切なつとめですから安心してたのしい旅行ができるように、いろいろの設備がしてあります。

船のなかには、食堂・社交室・読書室のほかプール・郵便局・銀行などもあり、ちょうど、海に浮かぶホテルのようです。

そして、速力は貨物船よりも大きく、推進機関もずっと大きな馬力がいります。
スクリューも大型客船では、4本も必要になります。

船内は、ほかの船より多くの壁(止水隔壁)でしきられています。
また、火事が起きたときの消火設備も整っています。

甲板はたくさんあって、客室は、ふつう水面より上の甲板につくります。
いちばん上の甲板には遭難したときに乗り移るボートが、行儀よくならんでいます。

また、乗客のほかに貨物も積めるようにつくられた船があります。
このような船を貨客船と呼んでいます。




船の動力とは?スクリューや舵のはたらきとは?

船の動力

船の推進器を動かす動力機関としては、はじめ、蒸気機関車と同じように蒸気住復機関が使われました。

これは構造がかんたんで、運転しやすく、故障も少ないので、すぐれた熱機関でした。
しかし、燃料をたくさん必要とし割り合いに大きな場所をとるので近頃では、あまり使われなくなりました。

現在おもに使われているのは、蒸気タービンとディーゼル機関の2つです。


蒸気タービン

船にそなえつけてあるボイラで重油や石炭を燃やして蒸気をつくり、この蒸気をタービンの羽根車にふきつけて回転運動を起こします。

しかし高圧蒸気の流れをそのまま使うと回転数があまりに大きくなってしまうので、歯車で減速したりしています。

また、蒸気タービンは、逆転できないので、逆転タービンを別につける必要があります。

蒸気タービンは、蒸気機関のように往復する部分がないので振動が少なく、しかも、わりあい小型で大きな力を出すことができます。

そのため、大型の客船やタンカーによく使われています。

ディーゼル機関

ディーゼル機関は、シリンダの中で重油を爆発させて、その力をピストンに伝え回転運動にかえるものです。

ディーゼル機関は、ほかの熱機関にくらべると熱が力にかわる割合が高く燃料も少なくてすむので、運転費が安くなります。

また、ガソリンと違って引火点も高いので、安全です。

ディーゼル機関は、蒸気タービンにくらべると、機械の値段が高くやかましい音がするなどの欠点はありますがボイラがいらないので、それだけ場所が少なくてすみます。

また、圧縮空気で始動でき、逆転もかんたんにできるので、たいヘん便利です。
近頃では、大馬力のディーゼル機関がつくられるようになり大型の船にもどんどん使われるようになりました。

また、高速回転のディーゼル機関では発電機をまわして電気を起こし、モーターで推進器をまわす方法があります。

そのほかの機関

小型の漁船やモーターボートでは、かんたんなやきだま機関や回転の速いガソリン機関などが使われます。

また、特別な使い道の船には小型ではあるが数十馬力から数万馬力までの大きな力をだすことのできるガスタービンを使ったものもふります。



スクリューのはたらき

推進器には、いろいろな種類がありますが、スクリューがいちばん多く使われています。

スクリューには、扇風機の羽根のようなものがついていてスクリェーをまわすと、この羽根が水を強くうしろのほうへ押しやります。

そのため、船はまえに進むことができます。
これは、ちょうど、もくねじのはたらきと同じです。
もくねじでは手の力でこれをまわしますが推進器では、機械によってまわしています。

かじのはたらき

かじは、船の進む方向をかえるとき用いられるもので自動車のハンドルと同じはたらきをする大切なものです。

ふつう、スクリェーのすぐうしろに取り付けられています。

かじにはたらく力

船が走っているとき、向きをかえるには船のいちばん高いところにあるブリッジで、だ輪(かじをとるハンドル)をまわします。

すると機械の力で、船尾の底のほうにある大きなかじが左右に動きます。

たとえば、かじを右に傾けると、船の右側の水の流れが、かじの右表面にあたります。
そのため、かじは左のほうに押され、船はその中心を軸として、右のほうへ曲がるのです。
反対に、かじを左に曲げ石と、船は左にまわります。

このように、船の方向をかえるのは、かじの表面にぶつかる水の力ですが
この力は、かじの広さや傾けた角度、かじにあたる水の速さなどが大きいほど大きな力になります。

そして、船の方向を速くかえることができます。

かじの形

かじの形は、船の方向をかえやすいようにすることが大切です。
また、スクリューでかき乱されたた水の流れを都合よく導くような形にすれば、船の速力も増します。

そのためかじには、いろいろな形かわりますが
断面が図のように流線形になっているのが、いちばん多く用いられています。

スクリューが2つある船では、一方のスクリューを前進にまわし他方を後進にまわすと、かじのはたらきと同じように、進む方向がかえられます。




船体のしくみとは?船の形と抵抗の関係とは? わかりやすく解説!

船の形と抵抗

船が水面を楽に走るためには、水の抵抗がなるべく少ない形にしなければなりません。
船は、まず水の流れによって、大きな抵抗をうけます。


また、船尾にうずのできるようなときには、そこの水の圧力が低くなって、船をひきもどすような力がはたらきます。

そのため、船の形は、できるだけ流線形に近い形にして圧力による抵抗をなくすようにしてあります。

とくに、鋼船などでは船体だけでなく、かじなどの部分の形も、流線形に工夫されてします。

このほか、船が受ける抵抗には、波によって起きる抵抗があります。
船がゆっくり進むときは、波があまり立たないので、この抵抗もほとんどありませんが速力が真下につれて、船首が起こす波は非常に大きくなります。

つまり、波をつくって船が進むということを船のほうから考えれば走る力のうえに、波をつくるぶんだけ、余計に動力が必要となることになります。

たとえば、いま長さ150メートルの船を考えると10ノッ卜くらいまではほとんど水との摩擦による抵抗だけですが20ノットを越すと波による抵抗が急に増え、これが全体の抵抗の80パーセント近くをしめるようになります。

そのため高速の船ほど波をつくらないような船の形を考える必要があります。

波による抵抗を減らすには、船の形をできるだけやせ形にすると効果があります。
また、船首にまるみのある船は大きな波を立てますから波切りをよくするように、船首と船尼を細長くとがらせます。

船体の長さも、批抗の大きさに関係していて、いっぱんに細長くすればするほど、抵抗は減ります。

競走用の船が細長いのは、このためです。

また最近では、船首の底の部分を、球形にした船が多くつくられています。
これは、この球形の部分で船首が起こす波か打ち消すような波をつくり、これによって抵抗を減らすようにしているのです。

船の重心と安定

広い大洋を航海している船が、波や風を受けて、転覆するようなことがあったら、たいへんです。
そのため、船では安定ということが大切な条件になっています。

船がまっすぐに浮かんでいるときは、重力と浮力がつりあって、安定しています。

そして船が傾くと、水面下の形がかわるので、浮心の位置もかわります。
このとき重心が低いと、重力と浮力は、船がひとりでにもとにもどるようにはたらきます。
ところが、船の中心が高いと重力と浮力は両手でハンドルをまわすようにはたらいて船をひっくり返してしまいます。

このように、船は重心が高いほど不安定で、低いほど安定がよいのです。
そのため船をつくるときは、できるだけ重心が低くなるように工夫しています。



船体のしくみ

下の図は船の中をしめしたものです。
船の底に二重になっていて、丈夫な横のしきりで、細かくわけられています。

これは、船が衝突したり、浅瀬に乗り上げたりしたとき海水がほかの場所に入らないようにするためです。

甲板は、船の中でいちばん丈夫につくられている上甲板のほか、その上や下に何重にもなっています。

また、二重底の中のたくさんにしきられたところには燃料油・潤滑油・海水・飲料水などを入れます。
二重底の中の海水は、船の傾きを調整するために利用されます。

機関室は、船の中央に近いところにあるものと、うしろのほうにあるものがあります。
この中には、推進機関のほかにボイラ・発電機などの大きな機械や、たくさんのポンプ・冷却器・加熱器などがすえつけられています。

推進機関の軸は、うしろのほうまで伸びていて、その先にスクリューがついています。
軸は、ふつうアーチ型のトンネルの中に入っています。

機関室のまえやうしろは、荷物を積む大きな貨物倉になっています。
甲板とか甲板のあいだも、貨物倉に使います。

また、乗組員や旅客の食料などをしまっておく冷蔵庫や倉庫などは、下の甲板の上にあります。

かじは、スクリューのすぐうしろに取り付けてあり、これを動かすかじとり機械は、その真上の甲板に、据え付けてあります。

いかりは、船の前方(船首)にあります。
それをつなぐくさりを入れる倉庫は、船首にあります。
また、大きなタンカーでは、船の後方(船尾)にもいかりがあります。

また、いちばん高い甲板のまえのほうには、ブリッジという、船を操縦する部屋があります。

ここは、船のいちばん大切なところで、船が安全に航海するのに必要な計器が集められています。




レールのしくみとは?レールの敷き方とは? わかりやすく解説!

曲線の線路

列車が安全に、カーブを通れるように線路とその上を走る車両とのあいだには、1つの決まりができています。

それは、カーブの部分では、幅1.067メートル長さ4.6メートルの長方形のものが通れるようにレールの幅を広げなくてはいけないということです。

これをスラックと言い、そのカーブの様子によって2ミリから30ミリまで、幅を広げています。

また、自転車やオートバイがカーブするとき車体か内側に傾くように、列車も車体を傾けて曲がります。

もし傾けないと、外側に倒れてしまいます。
これは、カーブするときに遠心力がはたらいて外側にひっぱる力ができるからです。
それで列車は倒れないまでも、中の乗客や荷物がカーブの外側にひきつけられます。

そこで、カーブの線路では、内側のレールよりも外側のレールを高くして列車を内側に傾け外側にひきつけると力とつり合わせるようにしています。

外側のレールと内側のレールの差を、カントとよんでいます。
カーブの度合をあらわすのには、その曲線の半径を使います。

400メートル半径より2000メートル半径の曲線のほうがカーブが緩やかで、スピードの速い列車を走らせることができます。

いままでの東海道本線では、いちばん急な曲線が400メートルでしたが新幹線の曲線は、最小2500メートルの半径になっています。


レールのしき方

線路を新しく設計された地図にしたがって線路の中心になるところに小さな杭をうち、場所を正確に決めます。

そして、土地の高低をならすために、低い場所にもり土をしたり高いところを切り取ったりトンネルや鉄橋をつくります。

これを路ばんと言います。

路ばんができると、地面に砂利やわり石を熱くしいて、よくつき固めます。
こうしたところを、逆床と呼びます。

道床はレールから伝わる車両の重みをいちように路ばんに伝えるはたらきをします。

また、列車の音や振動が少なくなるようにしたり水はけをよくして、まくら木の腐るのをふせいでいます。

そのうえに、まくら木をならべてレールをしき、いぬくぎでレールをとめます。
まくら木はレールの間隔を正確に保ち、道床に平均に重さを伝える役目をします。

まくら木には、ヒノキ・クリ・ナラなどが使われていますが近頃では、レールとまくら木のあいだにゴム板を入れたり木のかわりに、コンクリートのまくら木を多く使うようになりました。

レールのつぎめ

列車に乗っていると、コットンコットンという車の音が聞こえてきます。
これは、レールのつぎめに隙間があるからです。

この隙間があるために、温度が高くなってレールが伸びてもレールとレールが押し合って、曲がらないようになっています。

この隙間は、ちょうどレールの温度が40度になったときなくなるように考えられています。

近頃では、レールの止め方を丈夫にしてレールの伸び縮みをおさえる方法ができたので1本の長いレールにして使っている区間もあります。



レールの形

レールには、いろいろの形がありますが、ふつう底が平らで、Tを逆さにしたような平底レールが多く使われています。

レールにかかる車両の部分は、上と下に強く、中の部分には、あまりかかりません。

そのため、はじめは双頭レールが使われていましたが、しだいに胴枠のところの細いものが使われるようになりました。

東海逆新幹線では平底レールをさらに強力にした、新しいレールが使われています。

線路の幅

世界中の鉄道のうち72パーセントまでが1.435メートルの幅の線路を使っています。
それで、この幅の線路を標準軌道と言い、これよりせまい線路を狭軌、広い線路を広軌とよんでいます。

日本の国鉄の線路の幅は、1.067メートルで狭軌です。

また、東海道新幹線や山陽新幹線の線路の幅は、1.435メートルで慓凖軌道ですが、日本では標準軌道をふくめて、広軌と言っています。

線路の幅は、正確には車輪が乗って走る部分から16ミリ下がったところまでのあいだで左右2つのレールのいちばん短い距離を測ります。

レールの摩擦

汽車の車輪がレールの上を転がりながら進むときレールと車輪のあいだには、滑り摩擦と転がり摩擦がはたらきます。

汽車が走るためにはレールと車輪とのあいだの滑り摩擦を大きくしなければなりません。

レールが水や油でぬれているときは滑り摩擦が小さくなるのでレールに砂を言いて、動輪が空回りすることをふせぎます。

また、車輪とレールのあいだには、転がり摩擦がはたらいています。
この転がり摩擦は、車輪やレールが硬ければ硬いほど小さくなります。




ディーゼル車の特長と種類とは? わかりやすく解説!

ディーゼル車

ディーゼルエンジンによって走る鉄道車両にはディーゼル機関車とディーゼルカー(ディーゼル動車)とがあります。

ディーゼル車は、ディーゼルエンジンの回転力を動輪に伝える方法によって
機械式・液体式・電気式にわけられます。


ディーゼル車の特長

ディーゼルエンジンを利用した車には、つぎのようなすぐれた点があります。

①燃料の熱を力にかえる率が高い

蒸気機関車では、使った石炭の7パーセントしか、力に利用できないのにディーゼル車では、燃料の熱量の35パーセントまでを力にかえることができます。

②地上設備が安くてすむ

電化のように送電線をひいたり、変電所をつくったり架線のための柱や電線を設備する費用がかかりません。

③乗り心地がよい

煙りがでないので、乗っている乗客や乗務員が楽です。

④運転費が安い

ガソリンエンジンと違って、値段の安い軽油を使いますから運転費も安く、そのうえ、火災の心配も少なくて安全です。

ディーゼルエンジン

ディーゼルエンジンでは、まずシリンダに空気を吸いこみ吸気弁を閉じて、ピストンで空気を圧縮します。

そして、その温度が高くなったところに軽油を入れて燃やすと、高い圧力のガスにかわります。
このときの、ガスがピストンを押す力をクランクに伝え車輪の回転に利用しています。

しかし、この力で直接に車輪を回転させることはできないので伝達装置を使っています。

機械式

自動車のように、変速歯車をもっていて、これで速力を加減します。

ディーゼルカーが、小型で馬力が200馬力以下の小さかったころは、ほとんどが機械式でした。

2両や3両連結のときには、1両ごとに運転士をのせて警笛などで合い図しながら、歯車の切り替えをおこなっていました。

液体式

機械式では、200馬力以上になると、歯車の切りかえが重くなります。
そこで、流体変速機(トルクコンバーター)を使う方法が考えられました。

流体変速機の原理はポンプとタービンを組み合わせたものでディーゼルエンジンの力でポンプの羽根車をまわして液体(油)の流れをつくります。

これを、案内羽根車で、タービンの羽根車にあててエンジンの回転力や、回転数を加える仕組みです。

流体変速機は取扱いがやさしくて、切りかえが滑らかです。
そのため、DD13形などの中型機関車やディーゼルカーに多く使われています。

また、近頃では、液体式で出力2000馬力もある、DD51形の大型機関車や1250馬力のDEK形、1820馬力のDD54形客貨両用機関車などもできています。

電気式

これは、ディーゼルエンジンで発電機をまわして電気を起こし、この電気で電動機をまわして走るものです。

ちょうど、発電機を車内にもっている電車か、電気機関車のようなものです。
電気式ディーゼル機関車には、DD50形やDF50形などがあります。



ディーゼル機関車

客車や貨車をひくための大きなエンジンを備えて、いろいろな装置を車台に積んでいるのが、ディーゼル機関車です。

本線用には、DD51形・DD54形・DF50形などがあります。
入れかえ用には、DD13形などが使われています。

そのほか、大雪のときには、雪かき装置を取り付けることのできるDD14形やDD53形があります。

ディーゼルカー

床下に、エンジンや機械類をさげ上が客席などになっているのが、ディーゼルカーです。

近頃ではディーゼルカーのほとんどが流体変速機を使っています。
ディーゼルカーのすぐれているのは、つぎのような点です。

    ①車両の連結・切りはなしがかんたん。

    ②総括制御がしやすく、故障も少ない。

    ③電化区間でも、電化していない区間でも走れる。

    ④機関車のように、とくに車両が重くないので多少線路が弱くても、速力が出せる。

    ⑤流体変速機を使っているので、出発や停止のときのショックが少ない。

日本でディーゼルカーの本格的な研究がなされたのは第二次世界大戦後のことですが、わずか十数年のうちにディーゼル王国と言われるまでに、急速に発達してきました。

はじめは、電化されていない、ローカル線に使われていましたが現在では普通列車だけでなく、急行・特急列車にもどんどん使われています。

閑散線区用ディーゼルカー

お客の少ない支線で使われる、小型のディーゼルカーです。
エンジンや変速機にバスと同じものを使ったため、レールバスともよばれています。

現在では、だんだん使われなくなりました。

一般用ディーゼルカー

いちばん多く見られるディーゼルカーです。
これには、キハ10・11・12・16・17・19・20・21・22・25・52系などがあります。

通勤用ディーゼルカー

都市の近くの通勤や通学をする人のためにつくられたディーゼルカーです。
これには、キハ23・30・35・36・45・53系などがあります。

急行用ディーゼルカー

急行列車用に使われるディーゼルカーです。
これには、キハ26・27・28・55・56・57・58系などがあります。

特急用ディーゼルカー

特急列車用のディーゼルカーです。

1960年12月、ディーゼル特急「はつかり」が登場してから全国各地にディーゼル特急が走るようになりました。

これには、キハ81・82・181系などがあります。




電車の種類とは?モノレールのしくみとは? わかりやすく解説!

電車のいろいろ

電車も電気機関車と同じように電源の種類、使い道、仕組みなどによって、いろいろな種類があります。

直流電気で走る電流電車、交流電気で走る交流電車、直流電気でも交流電気でも走れる交直流両用電車などがあります。


交流電車

交流電車の走る仕組みは、交流電気機関車とほとんど同じです。
日本国有鉄道には、東海道新幹線用の電卓のほか、函館本線用の711系があります。

交直流両用電車

交直直両用電車も、交直流両用電気機関車とほぼ同じ仕組みで走ります。

日本国有鉄道には、401系・403系・421系・451系・471系・483系などがあります。

通勤用電車

都市やその近くを走り通勤や通学など都市の人々の日常生活の足として利用される電車です。

通勤や通学の距離が長くなるにつれ、そのスピードも早くする必要があり、また、非常にたくさんの人が乗り降りするため立席が多く、出入口も広くなっています。

日本国有鉄道の101系・103系などが代表的です。
この電車は、モーターが強力で、1変成10両のうち、6両が電動機です。

また加速・減速がすばやくできます。

近距離用電車

比較的近距離の通勤や通学に使われる電車です。
日本国有鉄道の111系・115系・401系・403系・421系などがあります。

中・長距離用電車

長い距離を走る電車で、スピードも速く車内設備も客車のようにゆったりとしています。
日本国有鉄道の153系・155系・157系・161系・165系・181系・451系・471系などがあります。

また、私鉄が感光用の特急電車に使っているロマンスカーやビスタカーも、このなかに入ります。

地下鉄

地下鉄は、地下のトンネルの中を走る電車です。
トンネルを掘るには、たくさんの費用がかかりますが、地上に高架線をつくると邪魔物が多かったり、騒音が大きくなるので、都会では地下鉄が適しています。

地下鉄は、ふつう線路のわきに架線のかわりに第三レールをしき、これからコレクタシューで電気をとっています。

トンネルを小さくつくれば、それだけ安くすむのでパンタグラフはあまり使われません。

しかし、最近では、いままでにある私鉄などの相互乗り入れのためパンタグラフを使っている地下鉄もあります。

路面電車

道路上に線路をしき、その上を走る電車です。
東京の都電や、大都市の市電などがこれにあたります。

市内の乗り物としては便利ですが、スピードが遅く自動車のように自由に運転できないなどのことから、しだいに姿を消しつつあります。

連接台車を使った電車

ふつうの電車は、一両ずつ連結したり、切りはなしたりできるようになっています。

しかし、この連接台車では、車両のつなぎめの下に台車があり2台の車体が1つの台車に乗ったような形になっています。

そのかわり、台車の数が少ないので曲線でもスピードが出しやすく、脱線の心配も少ない特長があります。

また、車内の床を低くして、車体の重心を低くすることにも役立ちます。
小田急のNSE車や近鉄のビスタカーは、この形の電車です。



モノレール

1本のレールによって走る電車を、モノレールと言います。

モノレールは、これまでの鉄道にくらべて①建設がかんたんで、費用が安い ②車輪にゴムタイヤを使うので、そう音や振動が少ない ③脱線の心配がなく、かなり急なこう配でも登れる、などのすぐれた点があります。

モノレールには、つぎの2種類が実用化されています。

懸垂式

地上に柱を建て、その上に1本のレールをしき、車体をつりさげて走らせるものです。
車輪は車体の上にあり、車体はレールの下にぶらさかっている形になります。

西ドイツのブッパタールという町や、日本の上野動物園にあります。

こ座式

柱の上にコンクリートの柱げたをわたし、電車はそれにまたがって走るものです。
車輪は、レールの上と左右両側にあり、3つの方角から車体を支えて走ります。

日本では、東京の浜松町~羽田空港間のほか、各地の遊園地などで使われています。

ケーブルカー

ふつうの電車では登れないような急な坂の線路には、ケーブルカーが使われます。

山の上と下に駅があり、山の上の駅には機械室があります。
機械室には、大きな車(ドラム)があって何本もの鋼鉄の針金をよりあわせた、丈夫なロープがまきつけられています。

このロープの両はしには、ケーブルカーが結びつけられていて1台が上の駅にいれば、もう1台は下の駅にいるようになっています。

山の上の機械室で、電動機で大きなドラムをまわすと上の駅にいる電車のロープが伸びて、電車は下ヘ下りはじめます。

それと同時に、下の駅にいる電車のロープはドラムにまかれるので、電車は登りはじめます。

電車はちょうど、つるべ井戸の桶のように、単線線路を上下します。
都合のよいことに、下りる電車の力が登る電車を助けるはたらきをするのでドラムをまわす力が小さくすみます。

また、ケーブルカーは、車台に電動機をもっていません。
ただロープで結ばれているだけですから、もしロープが切れたりすると危険です。

そのため、速力がですぎると自動的にレールをしめつけてとまる装置がついています。

トロリーバス

卜ロリーバスはバスと路面電車との中間にあたる車両です。

ゴムタイヤをつけ、屋根の2本のボールのうち1本のボールで架線から電気を取り入れ、使った電気はもう1本のボールからかえします。

この電気で電動機をまわし、その力を後車輪に伝えて走ります。

電車の記号

電車は客車の一種と考えて、日本国有鉄道では、記号も客車の記号を使っています。

大きさの記号のかわりには、モ・ク・ナなどの記号を使います。




電車のしくみと特長とは? わかりやすく解説!

電車の特長

電車は、機関車にくらべると、発車してからわずかの時間で速力がでます。
ブレーキもよく利くので、駅と駅が短い区間でも、速く走ることができます。

また、電動機が小さいわりに、大きな力が出せます。
終着駅では、機関車のつけかたをするような必要がないので、かんたんにおりかえすことができます。

輸送力も大きいので、停車回数の多い都市近郊の交通機関として非常にすぐれています。

ちかごろでは、性能のよい電動機や台車ができているので長距離輸送にも、さかんに電車が使われるようになってきています。


電動車・制御車・付随車

ふつう、電車というと、電動機をもっている電動車だけでなく電動車といっしょに走る制御車や付随車も電車とよんでいます。

制御車というのは、電動機はついていませんが電動車をうしろにつないで、回転して走ることのできる車です。

また、付随車は、電動機も運転室もなく、客や荷物を載せるだけのものです。

車体

架線から電気をとって走るしくみは、電気機関車とあまりかわりません。

電気機関車では車体の中に機械室があるのに、電車では抵抗器や発電機・電動空気圧縮機などが小型になって床下につりさげられています。

パンタグラフから入った電気は、遮断器・開放器を通って電動機へきます。
また、コントローラ・主接触器を動かせば抵抗器がはたらいて電動機の回転を加減することができます。

停車のときは空気圧縮機でつくった圧縮空気をブレーキシリンダへ送って空気ブレーキをはたらかせます。

最近の電車は、数台の電車が1組みになって編成されるようになっていて、いろいろな装置を能率よく各電車にわけて取り付けるようになっています。

台車

台車は2つあり、前後に1台ずつあります。
車体と台車は1本の心棒でむすばれ、台車は自由にまわれるようになっています。

それで、カーブのところでも安全に走れます。このような台車を、ボギー台車とよんでいます。

ボギー台車には、ふつう2軸の動輪があって台車についている電動機から、歯車で回転力が伝わるようになっています。

また、鋼鉄製のばね、空気ばね、オイルダンパなどをつけて振動をやわらげています。




電気機関車の種類とは?直流式と交流式とは?

直流式と交流式

電気機関車の電源には、直流電源と交流電源とがあります。

日本国有鉄道では、1500ボルトの直流を使っているものと2万ボルトの交流を使っているものがあります。

また、私鉄では、600~700ボルトの直流を使っているところもあります。


交流を使っているものには、50ヘルツの交流を使うものと60ヘルツの交流を使うものとがあります。

ところで、交流のほうがすぐれているのは、つぎのような点です。

  1. 高い電圧で送電できるので同じ出力でも電流が少なくてすむとともに電圧降下が少ない
  2. 変電所の数が少なくてよい
  3. ふつうの送電線からも電気を受けることができる
  4. 直流電化より、交流電化のほうが設備費が安くてすむ

直流式は直流電動機を使いますが、交配式の場合、機関車内で交流を直流にかえて、直流電動機を使うものがほとんどです。

日本国有鉄道の.ED61形・EF58形・EF60形・EF62形・EF63形・EF65形などは直流式です。

交流電気機関車

交流電圧を直接変圧器で低くして使う直接式の交流電気機関車もつくられましたが、最近では、交流を整流器で直流にかえ、その電気で直流電動機をまわす間接式の交流電気機関車が使われています。

ED70形・ED71形・ED72形・ED74形・ED75形・EF70形などは交流電気機関車です。

交直流両用電気機関車

直流電化区間では、直接に直流電動機をまわし交流電化区間では交流を直流にしてから直流電動機をまわして走る電気機関車を交直流両用電気機関車と言います。

山陽本線の門司~下関間や常磐線では直流電化区間と交流電化区間の両方を走るため、この電気機関車が使われています。

EF30形やEF80形・EF811形があります。



旅客用・貨物用・こう配用

旅客用の電気機関車は電動機の小歯車と動輪の大歯車との比を小さくとってあります。

EF58形・EF61形などが旅客用です。

貨物用は、力を強くするため、歯車の比を大きくしてかるので引く力は大きくても速力はあまりだせません。
ED61形・ED73形・EH10形・EF66形などは貨物用です。

また、こう配(坂道)用には貨物用の機関車でも代用できますが下りこう配のとき、ブレーキといっしょに電動機を発電機としてはたらかせて発電された電気を抵抗器で熱にする発電ブレーキや電気をふたたび架線に通して送りかえす回生ブレーキを備えた電気機関車などが使われています。

また、電磁石によって、レールと電磁石のあいだに引っ張る力をはたらかせてブレーキをかける、電磁ブレーキを用いた電気機関車もあります。

信越本線の碓氷峠では、レールのあいだにしいた歯型レールと電気機関車に取り付けた歯車とをかみ合わせて滑りをふせぐアプト式のED42形が使われていましたが現在では、ふつうの電気機関車と同じような、EF62形とEF63形が使われています。

EF63形は、発電ブレーキと電磁ブレーキとを備えています。

電気機関車の記号と番号

記号は、蒸気機関車と同じように動輪の軸の数で2軸がB、4軸がD、6軸がF、8軸がHというようにつけます。

そのまえに、英語の電気(エレクトリック)という言葉の頭文字Eをつけてほかの機関車と区別しています。

つぎの数字のはじめの2桁は、電気機関車の種類をあらわします。
10~29までは直流式、30~49までは交流式で最高時速85キロ以下の電気機関車です。

50~69までは直流式、70~89までは交流式で、最高時速85キロ以上の電気機関車です。

90台の番号は試験用に使われている電気機関車と決められています。
そのあとの番号は、同じ形の中の製造番号です。




電気機関車の仕組みと特長とは? わかりやすく解説!

電気機関車

電気を動力として使って走る機関車を、電気機関車と言います。
ふつうは、線路の上にはられた架線から電気を取り入れ、モーターをまわして走ります。


電気機関車の特長

電気機関車には蒸気機関車にくらべると①出発するときの力が強い ②運転費が安い ③煙りを出さない④エネルギーの効率が高いなどの特長があります。

その反対に機関車の値段が高く、電化するのに費用がかかるという欠点もあります。
そのため、1879年ドイツのジーメンスが電気機関車をはじめてつくってからも、鉄道の電化は、急には進みませんでした。

しかし、日本では、だんだん蒸気機関車は使われなくなり、電気機関車やディーゼル機関車の時代になってきています。

車体

電気機関車の車体は、運転室と機械室とにわかれています。
機械室が中央部にあって、その前後に運転室のあるのがふつうです。

運転室には、スピードの加減をするコントローラ、ブレーキのハンドル、スピードメータ・電圧計・圧力計などの各種の計器、スイッチ、気笛弁などがあります。

機械室には、運転室のコントローラで動く単位スイッチや、電流の強さを加減する抵抗器、電動発電機、ブレーキに使う圧縮空気をつくる圧縮機、モーターを冷やす送風機などがあります。

また、旅客用の電気機関車には、客車の暖房に使う蒸気をつくるボイラを備えたものもあります。

台車

台車には、モーターがついた動輪のほか脱線をふせぐための先輪を取り付けたものもあります。
また、ブレーキ装置や砂箱なども台車に取り付けられています。

曲線の線路を走りやすくするために、台車を2つ、または3つの部分にわけています。
まだ、台車と台車とのあいだに、中間台車を取り付けたものもあります。



電気の通り道

電気機関車は、電動機をまわして走りますが、電気は線路の上にはられた架線という電線から、パンタグラフで車内に取り入れられます。

特別なものでは線路の横に第三レールと言う電気をとるレールをひき、そこから、コレクタシュー(集電靴)で電気を取り入れています。

電気機関車の電動機には、ふつう、直流直まき電動機が使われています。

この直流電動機には、回転をはじめると、その連動をさまたげるような電気の流れを生じる性質があります。
電動機が速くまわればまわるほど、この砲気の力も大きくなります。

そのため、電動機には、まわりはじめにたくさんの電気が流れますが、まわっている最中には、あまり電気が流れないことになります。

しかし、電気があまり流れすぎると、電動機が壊れてしまうので、電気をいちど抵抗器に入れて、流れる量を加減してやります。

まず、出発するとき、機関士はコントロール(主幹制御器)のハンドルをひいて全速力で回転したときと同じ抵抗の力を抵抗器に入れます。

少し速力が出てくると、電動機の抵抗が増えて、電気が流れなくなるため、コントローラをまわして、抵抗器の抵抗を少し減らします。

さらに、速力が増えれば抵抗を減らすようにして、スピードを上げ、常に同じ量の電気が流れるようにします。

こうして、抵抗器の抵抗が全部なくなれば電動機のつなぎ方を直列から並列にかえて、さらに抵抗をおとします。

含められた速力になるとコントローラを動かさなければ、速力はそのままに保たれます。

この電動機の回転は電動機の軸の小歯車から動転軸の大歯車に伝えられて、動転を回転させます。

また、電動機をまわすのに使われた電気は車輪からレールに流れて変電所にかえります。

電気機関車の電動機をまわす電気は、直流電気機関車では1500ボルト交流電気機関車では2万ボルトもあり、この電圧で運転の操作をするのは危険です。

そのため、機械室内の電動発電機で100ボルトの電気を起こし、その電気で、コントローラを通して、単位スイッチを動かす仕組みになってします。

ブレーキに使う圧縮空気は、空気圧縮機でつくられます。

機関士がブレーキハンドルを動かすと圧縮空気がブレーキシリンダに入って
ピストンをはたらかせます。

圧縮空気は、そのほかにパンタグラフの上げ下げや気笛・砂まきなどにも使われます。




蒸気機関車の仕組みと特長とは? わかりやすく解説!

蒸気機関車の特長

蒸気機関車は、はじめて鉄道ができて(1825年)から現在まで100年以上ものあいだ、世界中の鉄道で、いちばん多く使われてきました。

このように、長く鉄道の主力をしめてきたのは蒸気機関車には、つぎのようなすぐれた点があるからです。

  1. 搆造がかんたんで故障が少ない
  2. 製作費が安く、地上設備も電化にくらべると、ずっと安くてすむ
  3. 機械部分の寸法精度が、それほど高くなくてよい
  4. 燃料が、どこでも手に入りやすい

反対に欠点としては

  1. 熱が仕事にかわる割合が少ない ②煙りのための害が大きい
  2. 石炭などをたくのに、機関士がたいへんな労働になるなどがあげられます

蒸気機関車は、蒸気をつくるボイラ、その蒸気の力を走る力にかえる走り装置、車体の骨組みとなる台枠、ブレーキ装置、運転室、石炭や水を積む炭水車(テンダ)からなります。


ボイラ

まずボノラは、火室・かんどう・煙室の3つにわけられます。

火室は、燃料を燃やすところで火ごうしの上で石炭を燃やし、その熱い煙りを煙管に導きす。
火ごうしの下には、灰箱があって、線路に火が落ちないようにしてあります。

また、火室の外側は熱が無駄にならないように水で囲んであり、この部分を外火室と言います。

火室の先をかんどうと言い、ここでガスの熱を水に吸収させて蒸気にかえます。
水に熱が速く伝わるように、煙管を何本も通してその中を煙りが通るようになっています。

このまわりを、水が取り巻いています。
かんどうの上部には、できた蒸気の取り出し口や蒸気だめがあります。

ボイラの前部で、煙りを外に出すところが、煙室です。
蒸気気機関車の煙突は、むやみに高くはできません。
そこで、煙突の下に、と出管をつけてあります。

ここで、蒸気の吹き出す力を利用して煙突から煙りをだし、火室の中で火がよく燃えるように考えられています。

走り装置

ボイラでできた蒸気を導いて、走る力にする部分で動力装置・車輪・蒸気取り出し管などにわけられます。

まず、ボイラでつくられた高い気圧の蒸気15~17気圧)は機関士が加減弁のハンドルを引くと、蒸気だめから、主蒸気管を通ってシリンダに入ります。

ボイラでできた蒸気をそのまま使うとシリンダで水になりやすいので煙管の中で、もういちど熱を加えて使います。

上の図のように蒸気は分配器でシリンダの中のピストンのまえの部分に入ってピストンをうしろに押します。

ピストンがうしろにいくと分配器がはたらいてピストンのうしろ側に蒸気を入れ、ピストンをまえに押します。

このピストンの前後の動きはクロスヘッドからロットを通して主動輪のクラソクビンに伝わり、ここで動輪をまわします。

動輪のクランクピンの反対側には、重い半月形の重りがついています。
クランクピンには、丈夫な鉄のロッドがついているので動輪のクランクピン側が重くなり、回転がむらになります。

そこでそれにつり合うように、反対側に重りをつけたのです。

動輪の前後には機関車が脱線しないようにしてある先輪や機関車のうしろの重さを平均するためにつけられた後輪があります。

そのほか、蒸気機関車には、動輪が滑らないように、砂をまくための砂箱、石炭や水を入れてある炭水車(テンダ)、蒸気がたまりすぎたときに蒸気を出す安全弁、運転室の窓から外がよく見えるようにつくられた煙りよけ板があります。

また、水をボイラに入れる給水機、ブレーキ装置、気笛、発電機などもついています。



蒸気機関車のいろいろ

蒸気機関車は、形、動輪やシリンダの数などによって、いろいろな種類におけることができます。

テンダ機関車とタンク機関車

テソダ機関車は、水や石炭を積むテンダ(炭水車)という車をうしろにつないでいる、大型の機関車です。

タンク機関車は機関車の中に石炭と水とを積んだ、小型の機関車です。

シリングの数

シリンダは、左右に1組み2個あるのがふつうですが、なかには、3シリンダ機関車・4シリンダ機関車・6シリンダ機関車などがあります。

C52形やC53形の機関車は、3シリンダをもっていました。

旅客用・貨物用・こう配用・入れかえ用

旅客列車をひくための機関車は、高速が出せることが必要です。
そのために、大きな動輪(直径1.75メートル)をもっています。

C62形は、日本の代表的な旅客用蒸気機関車です。

貨物用機関車は、速力よりもひく力が大切ですから動輪の直径を1.40メートルにし、動輪を旅客用より多くした。

4軸の動輪を備えています。

また、こう配(坂道)をのぼる機関車は、もっと強い力が必要なので動輪り直径を1.25メートルにした、5軸の動輪をもつ、E10形もありました。

入れかえ用の機関車は、駅で客車や貨車の入れ替えに使うもので線路の切り替えポイントをたくさん通るため、小型で力の強い機関車が使われています。

蒸気機関車の記号と番号

蒸気機関車にも、人の氏名と同じように、記号と番号がそれぞれついていて、たくさんの機関車のうちのどの機関車と、はっきり言えるようになっています。

まず、記号のB・C・D・Eは、動輪の軸数をあらわします。
2軸がB、3軸がC、4軸がD、5軸がEです。

つぎの2けたの数が、10~49まではタンク機関車で50~99までがテンダ機関車をしめしています。

そのつぎに、同じ形の機関車のうち第何番目につくられたかをしめす、製造番号がつけられています。

また、古い機関車では、番号だけのものもあります。
1~4999までがタンク機関車で、5000~9999までがテング機関車です。




オートバイの仕組みとは? わかりやすく解説!

オートバイ

オートバイは、車輪が2つですから、自転車と似ていますが排気量が125立方センチ以上のエンジンがついているものは自動車の仲間に入ります。


オートバイの仕組み

オートバイのフレームは、自転車のフレームと似ていますがもっと丈夫にできています。

車輪のタイヤも、自転車より太いのがつけてあります。

車体の中央には、たまご形をした燃料タンクがありその下に冷却ひれのたくさんついた、空冷式エンジンがとりつけてあります。

エンジンには、4サイクルガソリンエンジンや2サイクルガソリンエンジンが使われています。

エンジンの動力は自動車と同じようにしてクラッチ・変速機を通り、うしろの車輪に伝えられます。

ハンドルの握りには、レバーがついています。
左のハンドルによるのはクラッチレバーで、これをにぎりしめるとクラッチがきれます。

右のハンドルについているレバーに、ブレーキレバーです。
これをにぎりしめると、前輪にブレーキがかかるようになっています。

右の握りは、加速グリップ(アクセル)と言い加速グリップをひねってまわすとエンジンの回転数が加減できます。

変速機は、ふつう、左側の下のほうについています。変速するときは、左足で変速レバーを動かします。

クラッチや変速機の仕組みは自動車と似ています。

変速レバーの反対側にはブレーキペダルがあり、これを踏むと後輪にブレーキがかかります。



オートバイの仲間

オートバイの仲間には、サイドカー(側車)つきオートバイやスクーターなどがあります。

サイドカーつきオートバイ

オートバイの横に、人を乗せる別の中体を取り付けた自動車をサイドカーつきオートバイと言います。

スクーター

スクーターもオートバイの一種ですがエンジンが座席の下にあって、前方に踏み台があります。

また、タイヤの直径が、55.9センチ(22インチ)以下のものを言います。

ほとんどのスクーターには、クラッチレバーがなく流体変速機などの自動クラッチを備え付けています。

右のハンドルの加速グリップを内側にまわしていくとエンジンの回転数が大きくなり、それにつれて、ひとりでにクラッチと変速機がはたらいて走りだすようになります。




自動車の運転に必要な自動車のしくみとは? わかりやすく解説!

点検

自動車を運転するには、走り出してから故障して事故などを起こさないように充分に点検することが大切です。

まず、かじとりハンドル・ブレーキー・タイヤ・バックミラー・方向指示器
・ワイパー・警音器・前照灯・尾灯・番号灯・制動灯などが完全かどうか調べます。

また、ガソリン・潤滑油(エンジンオイル)・冷却水・タイヤの空気圧などが充分かどうか、その自動車の車両検査証や自動車損害賠償保険証、運転する人の運転免許証があるかどうかなどを確かめなければなりません。

エンジンをかけるまえには変速レバーが中立になっているか駐車ブレーキがかかっているかどうかを調べます。


発車

異常がないことを確かめたら、点火スイッチを入れて、エンジンをかけます。
エンジンがかかったら、クラッチベダルを踏み、変速レバーを低速に入れます。

駐車ブレーキをゆるめ、クラッチペダルを静かに、少しずつはなしながら、アクセルペダルを軽く踏みつけると、自動車はゆっくりと走りだします。

加速

車に勢いがついたらクラッチペダルを踏んで、変速レバーを中速に切り替えます。
クラッチペダルをはなしながら、アクセルペダルを踏みこんでいくとスピードが増してきます。

つぎに、同じようにして変走レバーを高速に入れ、さらにスピードを出します。

曲線道路

曲線道路にさしかかったときスピードを出したままかじとりハンドルを切るのは危険です。

まず、アクセルペダルをゆるめて、スピードを落とします。
それでもまだスピードがありすぎるときにはブレーキペダルを踏んでスピードをもっと落とします。

そしてかじとりハンドルを曲がろうとする方向にまわして、進む方向をかえます。

停車

自動車を止めるときには、アクセルペダルをはなして左足でクラッチベダルを踏み、右足でブレーキペダルを踏んでブレーキをかけます。

自動車が完全に止まったら駐車ブレーキのレバーをひいて変速レバーを中立にもどします。

後退

後退させたいときは、自動車をいちど止めてからクラッチペダルを踏んで、変速レバーを後退に入れます。

クラッチベダルをはなしながら、アクセルペダルを静かに踏んでいきます。




自動クラッチと流体変速機のしくみとは?自動車の動力のしくみ

自動クラッチと流体変速機

エンジンのはたらき具合や自動車の走り具合をたえず注意しながらクラッチや変速レバーを扱うのは、たいへん面倒なことです。

また、変速レバーが、三段とか四段とかにかぎられていることも具合のよいことではありません。

そこでこのごろは、いちいち変速レバーを切り替えなくてもスピードを加減できる仕組みを使ったものもあります。

スクーターでは、エンジンの回転が増してエンジンの軸にはたらく遠心力が大きくなるとひとりでにクラッチがかかるような仕組みになっています。

自動車では流体変速機(トルクコンバータ)とよばれるクラッチと変速機とをかねたものが使われています。

流体変速機のある自動車には、クラッチペダルがありません。


推進軸と自在つぎて

変速機で受け継いだエンジンの動力は推進軸(プロペラシャフト)を通って、駆動輪の軸に伝わります。

ところが、駆動輪の軸は荷物の積み方とか道路のでこぼこなどで上下に動きます。
この上下の動きが直接エンジンに伝わると軸が折れてしまいます。

そこで、無理なく動力が伝わるように推進軸の前後のはしに自在つぎてというものが使われています。

これは、回転軸の方向を、曲げることができる仕組みです。

最終減速機・差動装置

推進軸と後輸の軸のつながるところに最終減速機と差動装置という歯車装置があります。

最終減速機は、推進軸から伝わってきた回転の速さをさらに落とし、回転の方向をかえて後輪をまわす仕組みです。

自動車がまっすぐ走っているときは、両側の車輪は、同じ速さでまわります。

ところが、自動車がカーブを曲がるときは外側の車輪が内側の車輪よりも、余計にまわらなければなりません。

もし、外側の車輪と内側の車輪が同じ軸についているとすると軸がねじれて壊れてしまいます。



そこで自動車には、外側の車輪が内側の車輪よりも余計にまわるようにした仕掛けが使われています。

これが、差動装置です。

動力を伝える車軸は、左と右の2つにわかれていて下の図のように歯車のかみあわせでつないであります。

車軸のあいだにはさまれた小歯車は差動装置の枠(ケーシング)に固定されたスピンドルの上で、自由にまわることができます。

ケ-シングは、減速機の大かさ歯車に取り付けてあるのでこの歯車といっしょに回転します。

自動車がまっすぐ進むときには差動小歯車は転がらずにケーシングといっしょにまわります。

このため、左右の軸は同じ回転数でまわります。

自動車が左にまわるときは、左側の車輪が右側の車輪より大きな抵抗を受けるので差動歯車のかみあう点に力の差が生じます。

すると小歯車が自転して、その分だけ左側の差動大歯車の回転数が減り右側の回転数が増して、左右の車軸に、回転数の差ができます。

右に曲がるときは、これと反対になります。
これによって白動車は、車軸に無理な力をかけないでカーブを楽に曲がって走ることができます。




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