電波の性質とは?周波数・電磁波とは? わかりやすく解説!

電波とは

太鼓を打つと、その振動は音波となって、空気中を伝わります。
ラジオの音声やテレビの画像は電波によって空間を伝わります。

しかし、電波と音波とは、いろいろな点で、たいへん違います。
音波も電波も、むかしから自然界にありました。
もとからあった電波と言えば、雷からでる電波があります。

しかし音波と違って、このような電波はラジオやテレビには使えません。
私たちの利用している電波は、真空管などを使って人間がつくりだしたものです。

イギリスのマクスウェル(1831一1879)は電波は光や赤外線と同じように電磁波とよばれる波の一種であることを、数学を使って確かめました。

その後、ドイツのヘルツ(1857-1894)は人工的に電気火花を飛ばして、電波をつくることに成功しました。


電磁波

万年筆や下じきのようなプラスチック製品を、毛皮や毛織物でこすって、電気を起こすと、細かいほこりや紙きれなどが、吸いつきます。

電線を流れている電気も同じように電線のまわりに力をおよぼし磁針を近づけると、ふれ動きます。

このような力を電磁力と言います。
電磁力は遠くなるにつれて弱まりますがこの力のはたらく範囲を、電磁界と言います。

振動する電流が流れるときには、それにつれて、電磁界も振動します。
もし、このとき近くに磁石があれば、振動する力がはたらきます。
また、近くの金属には振動する電流があらわれます。

50ヘルツの交流が流れる電灯線のまわりには1秒間に50回振動する電磁界ができます。
このような電磁界は、光と同じ速さで伝わっていきます。

振動がまわりに伝わっていくところちょうど水面に広がっていく波に似ています。これが電磁波です。

50ヘルツとか60ヘルツでなく何万ヘルツから何百メガヘルツ(メガは百万倍のこと)と言う非常に速く振動する電流をつくり、この振動電流を流したときに出る電磁波が、ふつうに使われている電波です。

このようにつくられた電波は、遠くまで伝わっていきます。



周波数

放送局のアンテナから送り出される電波は、音の波とよく似ています。
どちらも、振動する状態が空気中を伝わる現象です。

だから、波を調べるには、波の伝わる速さと1秒間に振動する回数(周波数)を調べることが大切です。
波は下の図のように書きあらわすことができます。

図で、山(高くなったところ)からつぎの山までの間隔を波長と言います。
そして1秒間に伝わる距離を波長で割ったものが、周波数になるわけです。

水面の波や、音の波が伝わる速さは1秒間に数メートルか、340メートルくらいです。
しかし、電波が伝わる速さは、1秒間に30万キロメートルもあります。
自然界で、これよりも早いものはありません。

いっぽう、電波の周波数は、1秒間に1万回(10キロヘルツ)から3兆回(30万ヘルツ)ぐらいまであります。

ですから、電波の波長は3万メートルから1ミリメートルといろいろの種類があります。
波長が違うと、電波の性質にいろいろな違いがあらわれます。

しかし、どの電波にも言える性質は、ほかの物質にあたると一部分は反射され、その他の部分は、進む道が折れ曲がってその物質に入っていき、しだいに弱まってしまうということです。

電波が金属のような、電気をよく伝える物質にあたるととてもよく跳ね返されます。

地面もよく電気を伝えるので、電波をよく跳ね返します。
このことは、電波を使うときに役立つ、大切な性質です。

電波の伝わり方

放送局のアンテナから送り出された電波は地面すれすれに伝わって進む地表波と、空に向かって進む空間波とになります。

これらの電波は、途中に山や建物のような邪魔物があると波長の短い電波ほどさえぎられます。

そして、そのうしろ側に、電波の届かない影ができやすい性質があります。

ですから、波長の長い長波や中波は途中に邪魔物の多いところで使うのに適しています。

非常に波長の短い電波は互いに見通しの利かないところでは使えないことになります。
波長の短い電波は、光と同じようにまっすぐ進んで、あまり弱まりません。

そこで、お椀型のパラボラアンテナを使って見通しの利くところへ、強い電波を送ることができます。

これは、テレビジョンや電話の多重通信の中継などに使われています。




送電線のしくみとは?変電所とは? わかりやすく解説!

送電線

電気は、発電所から私たちの住むところまで高い鉄塔にかけられた太い送電線を伝わって送られてきます。

送電線には、鉄塔にかけられたものだけでなく地下に埋められたケーブルもあります。

送電線にも、電気抵抗があります。
そのため、電気の一部が途中で熱にかわって、無駄になってしまいます。

この無駄をできるだけ少なくするためにできるだけ送電線の抵抗を小さくすることが必要です。

送電線の抵抗を小さくするには電気抵抗の小さい銅・アルミニウム(銀はいちばん抵抗が小さいが、値段が高すぎる)を使います。

また、同じ金属でも、太さが太いほど電気抵抗に小さくなりますから、送電線には、太い線を使います。

しかし、あまり太くすると、送電線の値段が高くなるばかりでなく重くなるので、がいしや鉄塔を丈夫にするためにも費用が余計にかかります。

がいし 鉄塔と電線をつないでいる陶器でできたものをがいし(碍子)と言います。
がいしは、絶縁するために使います。

ふつうの家庭で使われているがいしは、小さなものですが高圧線のがいしは、人よりも大きなものがあり絶縁がよく、丈夫なものが使われています。


電圧と送電線

電気の無駄を少なくするのに、電圧を高くする方法があります。

いま、同じ電力を送るときを考えてみましょう。
電力に、電圧と電流の積ですから、電圧が大きければ電流は小さくてよいことになります。

電流が小さければ電気抵抗のために無駄になる電気も少なくてすみます。
ですから、送電線に使う電圧は、だんだん高くなっています。

我が国での最高電圧は27万5000ボルトですが50万ボルトの送電線を建設中です。

このように、送電線の電圧はだんだん高くなっていきますが、そうかと言って、かぎりなく高くするわけにはいきません。

高圧線が、暗い夜に光ったり、雨降りの日にシージーなっていることがあります。

送電線が光るのは、コロナ放電といって電気が空気中に逃げていっているからです。

また音がするのは、がいしの表面を伝わって逃げる電気が小さな火花を出す音です。

電圧をあまり高くすると、コロナ放電などで失われる電気が増えます。
また、鉄塔を高くしたり、がいしも高い電圧に耐えるものにするなど費用がやはり高くなります。

コロナ放電をふせぐ方法として、1本の電線のかわりに2~4本の電線を20センチほど離して使うが方法があります。

25万ボルト以上の送電線では、この方法がよく使われ多導体方式、あるいは群導体方式と言われています。

送電線の鉄塔には、ふつう6本の電線がつられています。
これは、3本ずつ2組みになって、三相交流の電気を送っているからです。

2組みの電線が1つの鉄塔にかけられているわけは1組みの送電線が雷などで故障しても、もう1組みの送電線を使い停電をなるべく少なくするためです。

直流送電

電気が家庭の電灯だけに使われていたころは電気を送るには直流送電が使われていました。

しかし、電気を送る量が増えて、送る距離が遠くなると高い電圧が必要になり、電圧を上げたり下げたりする変圧器という便利な装置が使える、交流送電に切りかえられました。

しかしまた、送電に必要な電線の数が増えるにつれて1組み2本ですむ直流送電のほうがよいのではないかという考え方が出てきました。

直流送電にすると、コロナ放電も交流より少なくてすみます。

このように、直流送電が考えられはじめたのは交流から直流へまた、直流から交流へかえる水銀整流器や半導体整流器が発達してきたためです。

直流送電は、ケーブル送電線を使うとき、とくに有利です。

そのためイギリスとフランスをむすぶ海底ケーブルには10万ボルトの直流送電がおこなわれています。

変電所

発電機で起こす電気の電圧はふつう交流1万ボルトくらいです。

発電所には電圧を上げるための変圧器がふって高い電圧にかえて送り出します。

この高い電圧の電気を、安全で使いやすい電圧の電気にかえるところが、変電所です。

変電所には一次・二次・配電用と、いくつかの変電所があってしだいに電圧を下げるようになっています。



変圧器

変圧器(トランス)は電圧をかえる器械で、鉄の輪(鉄心)のまわりに2組みのコイルがまかれていて電磁誘導の法則を利用したもので1万のコイルから他のコイルに電流を誘導します。

1組みのコイル(1次コイル)に、交流の電圧を加えて電流を流すと鉄心の中には、磁界ができ、これが交流電流の規則正しい変化につれて、同じように規則正しい変化をします。

つまり、交流の磁界ができることになります。

この磁界は、もう1組のコイル(二次コイル)の中も通っていますから交流の電圧が二次コイルにできます。

そして、一次コイルに加えた電圧と、二次コイルにできる電圧の比は一次コイルと二次コイルのまき数の比に等しくなります。

一次コイルの電流をI、電圧をE、まき数をnとし二次コイルの電流を、I’電圧をE’、まき数をがn’とするとnI=n’I’、nE’=n’E の関係があります。

変圧器では、一次コイルと1次コイルのまき数をかえて二次コイルからいろいろな電圧を、自由に取り出すことができます。
送電線に交流が使われるのは、こういう便利な変圧器があるからです。

変圧器の一次コイルに直流を流しても二次コイルには電圧はできませんが、このわけは、電磁誘導の法則を考えてみればすぐわかります。

二次コイルの電圧は、磁界の変化で起こるわけですが一次コイルに直流電流を流しただけでは磁界も一定となり変化しないからです。

柱上変圧器

家庭にいちばん近いところにある変圧器は柱上変圧器といって、電柱の上に取り付けられているものです。

柱上変圧器の一次コイルは、ふつう6600ボル卜の配電線につながれ二次コイルの電圧は1000ボルトか2000ボルトです。
二次コイルからは引込線で家の中に電気がおくられています。

変圧器は、長いあいだ使っていると、かなり熱くなります。

そのために、ふつうの変圧器では鉄の管が何本もつけられた鉄の箱の中に、油づけにされています。




火力発電・原子力発電・地熱発電のしくみと特徴とは?

火力発電

日本は、むかしから水力発電の国でした。
しかし、電力の利用がさかんになるにつれて大きな水力発電所をつくる場所が、少まくなってきました。

また、日本の川に、夏と冬に水量がずっと減るので水力発電だけでは、電気が足りなくなります。
それで、電気的不足を補うために、火力発電所がつくられています。

火力発電は、蒸気タービンで、発電機をまわすのがふつうです。
燃料には、重泊・原油や石炭が使われています。

水力発電所は、たいてい山奥につくられていますが、火力発電所は石炭や重油を運ぶのに便利なように、海岸地方につくられています。

日本の工業地帯は、海岸ぞいに発達しているので電気をおくるのにたいへん都合がよいのです。

火力発電では、燃料の熱をできるだけ無駄なく使わなければなりません。

ボイラやタービンもだんだん改良されて、小さな火力発電所でもたくさんの電気を起こすことができるようになりました。

また、なるべく大きな発電機を使うほうが1キロワットあたりの費用が少なくてすむのでいまでは60万キロワットという大きな火力発電所ができています。

最近では、蒸気タービンのかわりにガスタービンを使う発電機もつくられています。

ガスタービンは、蒸気タービンより設備費が小さくてすみますが能率が低いので電気が足りなくなる夕方などだけに運転されています。


原子力発電

原子力発電は、原子の力を利用する、新しい発電方法です。

原子力発電は、ウランの原子が分裂したときに出す大きな熱を使って蒸気をつくり、あとは火力発電と同じように蒸気タービンで発電機をまわします。

ウランは自然の状態でも分裂を起こしますが1か所に集めると、分裂がさかんになる性質があります。
原子爆弾は、その特殊な例で、大爆発を起こすのです。

発電にウランを利用するには、いちどに爆発しないようしかもさかんに分裂を起こして熱を出すようにします。

その調節ができるようにしたのが、原子炉です。

原子炉は、ウランの燃料棒、熱を外にだす冷却系、核分裂をお越しやすくする減速材などを組みあわせてつくります。

燃料には、天然のウランか使うものや濃縮したウランを使うものなどがあります。

冷却方式には、ガス冷却方式・高圧水冷却方式のほか炉の中で水を沸騰させる方式などがあります。

現在では、これらの装置の改良やいろいろな組みあわせが開発されています。

ウラン235は、1キログラムが全部分裂したとすると石炭3000トンが燃えたときと同じくらいの熱量を出します。

ですから、一度原子炉をつくりさえすれば燃料を補給しないで、長い間運転ができます。
原子力発電は、これからの発電方法として、世界各国で研究されています。

世界最初の原子力発電は1951年にアメリカで出力100キロワットの発電に成功し実用的な発電は、1954年6月にソ連で出力5000キロワットの発電をはじめたのが最初です。

日本では、1963年10月に、原子力研究所の動力試験炉ではじめて2400キロワットの発電実験がおこなわれました。

そして、1965年には、茨城県東海村に建段された東海発電所で出力16万6千キロワッ卜の発電がはじめられました。

原子力発電は、原子炉からでる放射線による被害をなくすことが必要ですし燃料のウランが高くつくという欠点がありました。

しかし現在では、技術の進歩によって火力発電にちかい費用で電力がえられるようになっています。

地熱発電

地熱発電は、地下にたまった水蒸気や熱水を取り出しこれによって蒸気タービンをまわして発電する方法です。

地熱発電の方法には、地下から取り出した水蒸気で直接にタービンをまわす直接式、水蒸気の中の不純物を取り除くために、熱交換器を使って別の水蒸気を発生させてタービンをまわす間接式水蒸気をふくんだ熱水から蒸気を取り出してタービンをまわす熱水分離式などがあります。

イタリアやニュージーランドでは、早くから実用化されています。
日本では、岩手県にある松川地熱発電所(出力2万キロワット)大分県の大岳発電所(出力1万1000キロワット)があります。




水力発電のしくみと種類と方法とは? わかりやすく解説!

発電所

電気をつくりだすためには、発電機をまわす力が必要です。
発電機をどのような動力でまわすかによって水力発電・火力発電・原子力発電などいろいろな方法があります。

日本では、1952年ごろまでは、水力発電による発電量が火力発電による発電量より多く水主火従(水力発電による電気をおもに使い、火力発電は補助的に使うこと)の時代でした。

その後、効率のよい火力発電所がつぎつぎと建設され火力発電による発電量のほうがはるかに多くなり火主水従の時代になっています。

それから、発電の近代化を目指し、原子力発電所が各地で建設され日本でも、1973年には、およそ240万キロワッ卜の発電ができるようになる予定です。


水力発電

水力発電では、水車の回転で、発電機をまわします。
水車をまわすには、水の流れが必要です。

しかし、ふつうの川の流では、雨がふればたくさん流れ晴天が続くと水が減ってしまうので、電気を起こすにはいろいろと不便です。

それに、日本の川では、ふつう水の多い年と少ない年とでは水の量が3倍以上も違います。

そこで、たくさんの水があるところたとえば、大きな湖などから流れ出る川などを利用します。
そして、湖の出口に水門をつけ、水の量を調節しています。

ダム式発電所

湖がないところではダムをつくり、川をせき止めて、人工の湖をつくります。

ダムをできるだけ高くしてダムの下につくった発砲所に水圧鉄管を通して水を落とし発電するしくみになっています。

これがダム式発電所です。

ダムの高さが高いほど、たくさんの電気を起こすことができます。
また、大きな川をせきとめるには、横にも広くつくらなければなりません。

ですから、水力発電では、まずダムをつくることが大きなしごとになります。

ダムは、発電に利用するだけでなく川の流れを調節することができるので川下の水害や干害をふせぐのにも、役に立ちます。



水路式発電所

大きなダムをつくるかわりに本流とは別に流れのゆるやかな人工の川(水路)をつくってそれに導いた水を利用して発電する発電所を、水路式発電所と言います。

これは、流れのゆるやかな水路と流れの急な本流との高さの差を利用したものです。

高さの差が大きくなったところで鉄管で水を一気に落として、その力で発電機をまわすのです。

ダム水路式発電所

ダム式発電所と水路式発電所の両方の長所を備えた発電所がダム水路式発電所です。

この発電所は、ダムでせき止めた水を下流まで水路で導き高さの差を大きくしています。
黒部川第四発電所は、ダム水路暴発電所です。

揚水式発電所

ダム式発電所で、発電機を電動機として使い水車をポンプとして使えば、電気を起こすかわりに水をダムにためることができます。

このようにつくられた発電所を揚水式発電所と言います。

夜の余った電気を使って水をため、昼の必要なときに発電します。

落差

落差というのは、ダムの上と下の水面の高さの違いです。
発電所で起こる電力は、この落差と水量をかけあわせた数に比例します。

ですから、流れが急で水の少ない川の発電所と流れはゆるやかだが水の多い川とでは同じくらいの応力を出させることになります。

落差の大小により、発電機に使われる水車が違います。

落差の大きいところではペルトン水車、小さいところではフランシス水車やカプラン水車が使われています。

日本は山国なので、落差の大きい発電所はたくさんありますが水の量が少ないのがふつうです。

もしも、海の干満の差を利用した発電所ができれば落差は小さいけれど、水量が非常に多い発電所ができるはずです。

このような発電を潮力発電と言い、フランスにつくられています。




直流と交流とは?マイクロホンとは? わかりやすく解説!

直流と交流

電気には、直流と交流があります。

私たちが家庭や工場で使っている電気のほとんどは交流です。
それから、懐中電灯などに使う乾電池から流れでる電流は直流です。


直流

電池には+と-の極があり、電流は+から-の極にむかって流れます。

このように、電流の流れる方向がかわらないものを直流といいDCの記号であらわします。

電気分解やめっきをするときには、交流ではできません。
そのため、交流を直流にしてから使います。

また、電動機を非常に速く回転させたり回転速度を自由に調節することは、交流では難しいのです。

そのため、電車や電気機関車では交流を直流に直し直流電動機をまわして走ります。

交流

交流発電機のところで説明したように、界磁が回転すると電機子コイルには、方向が規則正しく変化する電流が流れます。

このような電流を、交流と言い、ACの記号であらわします。
交流の波の形を、交流波形と言います。

そして、この波形の山から山、または谷から谷までを一周波と言い1秒間の周波の数を周波数と言います。

そして、W波数はヘルツであらわします。

日本では、50ヘルツの交流れを使っているところと60ヘルツの交流を使っているところがあります。

コイルと交流

コイルに電流を流すとコイルには磁界ができます。
しかし、コイルに直流を流したときと、交流を流したときとでは交流を流したときのほうが電流が流れにくくなります。

これは、コイルに交流を流したときにはコイルが自己誘導という現象を起こしたからです。

コイルに交流を流すと、電流の向きと大きさが絶えず変化するのでコイルの中の磁界の強さが、電流の変化につれてかわります。

ところで、磁界が変化すると電磁誘導によって磁界の変化をさまたげるような向きに電流が流れます。

このように、コイルを流れる電流の変化によって起こる電磁誘導を自己誘導と言います。

そのため、コイルに交流を流すとコイルの自己誘導によって常に電流が変化するのがさまたげられ交流はコイルを流れにくくなりコイルは交流に対して抵抗としてはたらきます。



マイクロホン

マイクロホンは、音波を振動板に受けて、それを電流にかえるしくみです。

電磁誘導を利用したマイクロホンにはダイナミックマイクロホン(可動コイルマイクロホン)やリボンマイクロホン(ベロシティーマイクロホン)などがあります。

ダイナミックマイクロホン

ダイナミックマイクロホンのしくみは、磁石のN極とS極のあいだにコイルがまいてありこのコイルは、振動板の振動につれて動くようになっています。

音波によって振動板が振動すると振動板といっしょにコイルが振動するのでコイルには、磁石の磁界によって電流が生じます。

そのため、音波の振動にしたがった電流をえることができます。

リボンマイクロホン

リボンマイクロホンのしくみはアルミニウムなどのうすい金属のリボンが磁石のN極とS極のあいだにつるしてあります。

音波によってリボンが振動すると音波の変化にしたがった誘導電流がリボンに流れるようになっています。

ダイナミヅクマイクロホンもリボンマイクロホンも非常に感度がよくさかんに使われています。

とくにリボンマイクロホンは横からくる音にはあまり感じない性質があるので、対談の放送のときなどによく使われます。




原子磁石とは?直接発電とは? わかりやすく解説!

原子磁石

電子の運動

鉄が磁化することを、分子磁石という小さな磁石を考えて説明しましたが学問が進んで物質をつくっている原子の構造がはっきりしてくると原子1つ1つが小さな磁石になりうると考えられるようになりました。

原子は、中心に+の電気をもった原子核がありそのまわりを-の電気をもった電子がまわっています。

この電子の動きが、電気の流れ(電流)をつくりだすわけです。
しかし、原子が磁石になるのは、もう1つの原因があるのです。
それは、電子が自分で「こま」のようにまわっているためなのです。

この電子が原子孩のまわりをまわる運動を太陽のまわりをまわる地球の公転にあたるとすれば電子の「こま」のような迎動は、地球の自転にあたるわけです。

電子が自転すると、電子のもっている電気もまわることになります。

この場合も電流が流れる場合と同じように磁界をつくります。
そのため原子は磁石になります。
これを原子磁石と言います。

このように、金属が磁石になるのは電子の公転によるよりも、おもに自転によっているというわけです。


金属の結晶と磁石

ところで原子が磁石になるならば鉄が磁石になって、銅が磁石にならないのはなぜでしょう。

鉄・銅・銀などの金属は常温では結晶といって規則正しく原子がくっつきあってならんでいます。

ところが、この規則正しいならび方が問題なのです。

鉄の中の電子は自転の向きが、みんなそろっていますが銅の場合は、隣りどうしの原子で電子の自転の向きが反対のときに結晶ができるのです。

それで、銅の原子磁石は、隣りどうしで、互いに打消しあって全体としては磁石の性質が出てこないというわけです。

鉄の電子の自転の向きがそろっているならふつうの鉄は、なぜ磁石になっていないのでしょう。

金属の結晶は、ごく小さく、だいたい0.01ミリぐらいのものでこれを磁区と言います。
金属は、この磁区がたくさん集まってできているわけです。

以前、分子磁石について述べましたがこの磁区が分子磁石をさしていると考えればよいわけです。

分子磁石によって、磁石の説明をしたのはドイツのウェーバーという人ですが分子磁石にあたる磁区が確認されるようになって分子磁石の説が非常にすぐれた考えであったことがわかってきたのです。



直接発電

近頃、小型の通信機や人工衛星の電源としてかんたんで小型な発電機が必要になってきました。

そこで今までに考えられてきた方法を大きくわけると①熱エネルギーの利用、②光エネルギーの利用、③化学エネルギーの利用の3つになります。

MHD発電

ふつう、熱エネルギーで発電するには石炭・重油などを燃料にしていますが、能率があまりよくないのでそれにかわるものとして、MHD発電が研究されています。

MHD発電は2000℃以上に熱して電気を通すようにした気体を高速度で磁界の間に流すとファラデーの法則により図①のように電気を直接に取り出すことができます。

太陽電池

光エネルギーから、直接電気をおこす太陽電池は人工衛星の電源や無人灯台・無人無線中継所などの電源として利用されています。

太陽電池は、シリコンという物質にひ素をまぜてつくった結晶を輪切りにして、うすい板(基板)をつくりこの板の表面にほう素を染みこませてうすい膜をつくったものです(図②)。

太陽の光があたると、うすいまくが+極、基板が-極になって電気が起こります。

1つあたり、0.5ボルトの電気が起こります。

燃料電池

化学エネルギーを直接電気にするものに、燃料電池があります。
燃料電池にもいろいろなものが考えられていて図③は水素を燃料にした燃料電池のしくみです。

+極は炭素に銀や銅をふくませたもの-極は炭素に白金やバラジウムをふくませたものです。

これを、40~50%の水酸化カリウムの水溶液にひたし両側から、一気圧くらいの水素と酸素を吹き付けると約1.1ボルトの電気が起こります。




交流電動機・誘導電動機・同期電動機とは? わかりやすく解説!

交流電動機

交流電動機のおもな種類には回転磁界と、うず電流を使った誘導電動機と、回転磁界と電磁石の吸引力を使った同期があります。


誘導電動機

回転磁界の中に銅板をおけば、うず電流ができて電流と磁界との間に力がはたらくことは、まえに述べました。

もし、このとき銅板を回転しやすくしておけば銅板は回転する磁界にしたがって、ぐるぐるまわるでしょう。

これを応用したものが、誘導電動機(インダクションモーター)です。
回転磁界の中の銅板のかわりに、銅線でハツカネズミがぐるぐるまわす、かごのようなものをつくっておいてみても同じです。

かごはぐるぐるまわります。

かごの横棒には磁界の変化によってうず電流が流れ、それによってかごが回転するのです。

かごの回転がだんだん速くなり回転磁界の速さと同じになると、かごは磁界の変化を感じなくなります。
磁界の変化がなければ、うず電流は流れなくなり、回転力はなくなります。

しかし、かごの回転が遅くなってくると磁界の変化を感じることになり、また回転力が出てきます。

このようにして誘導電動機は回転磁界の速さより少し遅い速さでまわります。

回転磁界のまわる速さは交流電流の周波数(1秒間に電流の方向がかわる回数)と三相交流を流すコイルの数で決まります。

たとえば、まえの回転磁界の図からわかるように磁極をつくるコイルが3つあるときには、1ヘルツで1回転します。

このようなかご型誘導電動機は起動回転力(まわりはじめの回転力)は弱いのですがほかの電動機のように整流子などの火花のでる部分がなく鉱山などで使っても爆発の危険がありません。

また、構造がかんたんで壊れにくく家庭(冷蔵庫・井戸・扇風機など)や工場や農業用などの電動機のうちでは、もっとも広く使われています。



同期電動機

シンクロナスモーターとも言い、誘導電動機とは違って回転磁界の速さとまったく同じ速さで回転します。

磁界の中に互いに反対の磁極が向きあうように磁石をおいて外側の界磁のほうを回転させれば、NとSの吸引力によって中の磁石も回転します。

これが同期電動機の原理です。

磁針を使えば、この実験がかんたんにできます。
磁針に対して棒磁石の異なった極を近づけ棒磁石をうまくまわしてやると磁針がこれにつれてぐるぐるまわります。

まえの説明で、外側の磁石のかわりに回転磁界を使い内側に電磁石をおけばよいわけです。

回転磁界とまったく同じ速さでまわるので同期電動機は、電源の周波数が一定であれば回転数はいつも一定になるので、紡績機械や空気圧縮機・電気時計などに使われます。

同期電動機は、構造は交流発電機と同じで発電機として使っていたものを電動機として使うこともできます。




交流発電機・直流発電機とは?三相交流とは?

発電機

電磁誘導を応用して、機械エネルギーを電気エネルギーにかえるものを発電機と言います。
工場や家庭で使われる電気の大部分は、この発電機で起こされます。

発電機には、発電する電気の種類から交流発電機と直流発電機にわけられます。


交流発電機

発電機は、磁界をつくるための界磁(磁界をつくる部分)とコイルにあたる電機子からできています。

いま、A図の位置に磁石があるとき電機子コイル内に磁力線が4本できたとします。

磁石を回転させると、B図の位置では磁力線が2本になりさらに、C図の位置では磁力線はなくなります。

続いてD図の位置まで磁石を回転させると、磁力線の数はふたたび4本になりますが、A図とは磁力線の方向が反対になります。

このように磁石の位置で電機子コイル内の磁力線の数がかわります。
これをグラフにあらわしたのがグラフAです。

交流発電機では、界磁を一定の速度でぐるぐるまわすしくみになっていますから電機子内の磁力線の数は、時間とともにグラフBのようにかわります。

いっぽう、電磁誘導の原理から、コイルにできる電圧はコイル内の磁力線の変化が大きいほど大きくなるので電圧の変化は、グラフCのようになります。

グラフCでは、電圧の大きさがある方向(ここでは+の方向)の大きな値から、時間とともに0になり、つぎに-の方向の値となりふたたび0になって、これを繰り返すことをしめしています。

このように、電圧の向きが時間とともに規則正しくかわる電気を、交流電気と言います。
そして、交流電気をつくる発電機を、交流発電機と言います。

実際に使われている大きな発電機では界磁には電磁石を使っていますが、これは永久磁石ではだんだん力が弱くなりますしまた、界磁の強さをかえて電圧を変化させたいときがあるからです。

直流発電機

交流発電機によってつくられた電圧の変化はグラフDのように直すことができます。

つまり、一方向の電圧を、+の方向にかえたわけです。

こうすれば、でこぼこはありますが、電圧の方向はいつも+です。
このでこぼこを小さくすれば、直流の電気がえられます。

直流発電機のしくみは、交流発電機と反対に界磁が止まっていて、その中を電機子が回転するようになっています。

そして、電機子コイルは、半円周の金属板につながり止まっているブラシが、これをこするようになっています。

いま、A図では、金属板aにはブラシbが金属板a’にはブラシB’がつながっています。

電機子が回転して、B図のようになると金属板a’にはブラシbが、金属板aにはブラシb’がつながります。

つまり、金属板aとa’の間には電機子コイルと同じ交流の電圧があらわれますがブラシbとb’の間には、Dのような直流電圧(脈流)があらわれます。

実際の自流発電機では、数百個も金属板を使って電機子コイルとたくみにつなぎ、電圧のでこぼこを少なくしてなめらかな直流がえられるように、工夫しています。

模型用の電動機は、直流発電機としくみが似ていて直流発電機の図と同じようなしくみのものもあるし金属板が3個のものもあります。

この金属板は、交流を直流に直すはたらきをするので整流子と言います。



三相交流

私たちの家庭に送られてくる電気の電線はみな2本ですが工場に送られてくる高圧線の送電線はみな3本で1組みになっています。

これは三相交流と言って、下の図のようなしくみの発電機から取り出した電気を、送っているからです。

三相交流では、3本の電線に流れる電流の変化が図のA・B・Cのように、時間とともに規則正しくずれています。

3本の電線の電流は、どの時間をとっても+のものがあれば必ず-のものがあり、その合計はいつも0になります。

つまり、三相交流では、3本の電線で3種類の交流電気を送り帰り道を共通にすれば、帰り道には電線がいらないことになります。

ふつうの交流電気を3種類送るのに必要な6本の伝染にくらべて半分の3本ですむわけです。

さて、三相交流を使うと交流電動機などに使われている回転磁界をつくることができます。

三相交流電流IA・IB・ICを、コイルA・B・Cに流すとします。
すると、Aコイルの電流IAは、図のt1という時間に正の最大値となりAの位置にN極を生じます。

時間がt2になると、こんどはIBが正の最大値となりますからBコイルの位置にN極ができます。

つぎに時間t3になると、Cの位置にN極ができます。
時間t4では、IAがふたたび正の最大値となってAの位置にN極がもどってきます。

このように三相交流を使えば実際に磁石を動かさなくてもちょうど磁石を回転させたときと同じような磁界をつくることができます。

これを、回転磁界と言います。




電磁誘導とは?レンツの法則・フレミングの右手の法則とは?

磁石でつくられる電流

釘のような軟鉄の棒に、エナメル線をまいて電流れを流すと軟鉄の棒が磁石になります。

それで、この反対に磁石で電気を起こすことができないだろうかと考えたのが、イギリスのファラデーでした。

ファラデーは、つぎのような実験をして発電機の原理である電磁誘導を、1831年に発見しました。


ファラデーの実験

ファラデーのはじめの実験は、つぎのようなものでした。
下の図のように、鉄の輪のまわりに、A・B二組みのコイル(導線を螺旋状にまいた物)をつくりました。

Aのコイルは、スイッチを通して電池にBのコイルは検流計(わずかな電流でも感じるようにした感度のよい電流計)につなぎます。

① スイッチを入れたり、切ったりするとそのたびにコイルに電流が流れて、検流計の針が動く。

② スイッチを入れたときと、切ったときとではコイルBをながれる電流の向きが、反対になる。

このことは、検流計の針の動き方でわかる。

しかし、スイッチを入れたままでは、コイルBには電流が流れない。
この実験の結果を、ファラデーは、つぎのように考えました。

「スイッチを入れるとコイルAに電流が流れ、鉄の輪の中に磁界ができる。
スイッチを切ると、磁界はなくなる。

この磁界は、コイルBの中も通っているのでスイッチを入れたり、切ったりすることによってコイルBの中の磁界もできたりなくなったりする。

しかし、コイルBに電流が流れるのは、コイルの中に磁界があるかないかによるのではなくこの磁界が変化したかしないかによる。

そして、磁界が増えたときと、減ったときとでは反対の向きの電流が流れる」

このファラデーの考え方は、まえの実験の結果を、うまく説明しています。

電磁誘導

ファラデーの実験では、コイルに電流を流して、磁界をつくりました。
しかし、電磁誘導を起こすには磁界を変化させてやればよいのですから、もっとかんたんな磁界をつくる方法に、磁石を使う方法があります。

コイルのそばに磁石をおいて、この磁石を動かしても反対に、磁石をそのままにして、コイルを動かしてもやはり同じようにコイルに電流が流れます。

また、上の図のようにしてコイルに入れる磁石の動かす速さをかえたり、コイルのまき数をかえたりしてみると、コイルに流れる電流がかわり検流計の針の動き方がかわります。

磁石を動かす速さが速いほど、またコイルのまき数が多いほどコイルに大きな電圧が起こり、多くの電流が流れます。

このように、磁界の変化でコイルに電圧ができ電流が流れることを電磁誘導と言い電磁誘導でできた電流を誘導電流と言います。

発電機は、この電磁誘導の原理を利用して電気を起こしています。

いままでの説明から、電磁誘導を起こすための磁界の変化には2つの方法があります。

その1つは、2つのコイルを用いて、1つのコイルの電流を変化させてもう1つのコイルに交わる磁界を変化させる方法でありもう1つは一定の磁界(つくり方は、永久磁石でも電磁石でもよい)のもとでコイルの位置を変化させ、コイルと交わる磁界を変化させる方法です。

電磁誘導でコイルにあらわれる電圧は、磁界の変化に比例します。

このときに流れる電流は誘導電圧に比例し誘導電流が流れる回路の抵抗に反比例します。

レンツの法則

誘導電流の流れる方向は
コイルの中の磁界の変化をさまたげるような方向になります。
これはドイツの物理学者レンツが発見したので、レンツの法則と言います。



フレミングの右手の法則

右手の人さし指・親指・中指がそれぞれ直角になるようにして人さし指が磁界の向き、親指が導線の運動の向きとすれば導線の中には、中指のさす向きに電流が流れます。

このような法則を、フレミングの右手の法則と言います。

いままでは、電磁誘導を受けるものがコイルでしたがこれが1本の導線である場合にはフレミングの右手の法則にしたがった現象が起きます。

この場合、導線に生じた電流と磁界の間には力がはたらきます。
その力は、フレミングの左手の法則によるわけで導線の動く向きと反対向きにはたらきます。

言いかえると、導線の中を流れる電流は運動をさまたげる向きに流れるということができます。

ファラデーの実験では、1つのコイルの電流を変化させるともう1つのコイルには交わっている磁界の変化をさまたげるような向きに電流が流れます。

うず電流

電磁誘導を受けるものがコイルでも導線でもなく銅板であったら、うず電流という現象が起きます。

そこで、銅板のまえで磁石を動かす場合を考えてみましょう。
図のように、S極を左へ動かすとS極がまえのほうにフレミングの右手の法則により、回転するように流れるうず電流が生じます。

このうず電流は磁石の運動方向に対してまえのほうにS極がまた、うしろのほうにN極ができるような流れ方をします。

銅版を動けるようにしておけば、磁石のS極と銅板にできる極とが反発・吸引して銅板は左に動きます。

つまり、銅板が磁石に引かれる力となるわけでこれが誘導電動機の原理です。

実験

電気の実験で、電圧があるかどうかを調べるのに便利な器械に、テスターという検流計があります。

このテスターと模型用の電動機2個を使って、発電機の実験をしてみましょう。

左の図のように電動機2個の回転軸をつないでいっしょに回転するようにします。

まず、電動機に電池をつなぎ、それぞれまわることを確かめておきます。

図のように、1つの電動機の電機子は別に電池につなぎブラシの間にテスターをつなぎます。
テスターのつまみを直流電圧の1ボルトくらいの位置におきます。

別の電動機を電池につないで回転させるとテスターの針が、わずかですが動きます。
もし、反対方向に針が動くときには、テスターのつなぎ方を反対にします。

この実験から、電動機の界磁に電流を流しておき電機子を外からの力でまわすと電圧が起きることがわかります。

発電機のしくみは、このことを応用したものです。




電話のしくみとは?送信機と受信機のしくみとは?

電話

電信は、たいへん便利なものですが文字をいったんモールス符号にかえて、その符号をおくりこれをまた、文字にかえる必要があります。

もし、声または音を直接、電流にかえて送り電流から声または音を再生させることができれば、もっと便利です。

モースの電信機ができてまもなく、このような機械がアメリカのろうあ学校の先生をしていた、グラハム=ベルによって偶然に発明されました。


送話器

ベルが発明した送話器は電磁石のまえにうすい鉄板を測ったもので現在のものとあまりかわりません。

これは、音波によって鉄板が振動し、その振動で電磁石の中のコイルに電流の変化が起こるようになっていたのですがこれはあまり感度がよくなかったのでまもなく現在使われているような(エジソンが1876年に発明した)炭素送話器に置き換えられました。

炭素送話器は、アルミニウムの振動板のうしろにある炭素の粒が振動板の振動で強く押されたり、弱く押されたりします。

炭素の粒は、強く押されると電気抵抗が小さくなり弱く押されると抵抗が大きくなるので、電池につないでおくと流れる電流が大きくなったり、小さくなったりします。

送話器の2つの電極の間に、図のように炭素の粒をつめ電池と受話器につなぐと電池から流れる電流は送話器に入ってくる音の振動にしたがって強くなったり弱くなったりして流れます。

このようにして音は電流の変化にかえられ、受話器に伝わるのです。

受話器

送話器で音の振動にしたがって強くなったり弱くなったりした電流は音声電流とよばれます。

受話器には、U字型の磁石の先に電磁石を備え付けたものがおさめられています。
この電磁石のすぐそばに、うすい鉄板があります。

電磁石のコイルに音声電流が流れると磁石は強くなったり、弱くなったりします。

それにつれて鉄板が強く、あるいは弱くひかれるので音声と同じ振動をおこします。
これが空気に伝わり、送話器にむかって出された声と同じ声になるのです。

電話は電信と違って、直接、話ができるので、たいへん便利です。
そのため電話の数は、どんどん増えています。

自動交換機

はじめに電話局に交換手という人がいて電話のとりつぎをしていましたがその後、ダイヤルをまわすだけで相手をよびだせるようになりました。

これを自動交換機と言います。

これは、電磁石で接点を閉じたり開いたりすることによって動くもので、これも、電磁石の応用です。

この自動交換機は、一種のロボッ卜(人間のかわりをする機械)で現在大きな話題になっている、電子計算機は自動交換機の進歩したものということができるでしょう。




電信機のしくみとは?モールス符号とは? わかりやすく解説!

電信

電線を長くひっぱって、いっぽうのはしに電池とキー(電鍵)をおき、もういっぽうのはしに電流計(電流を測るもの、アンメーター)をおいてキーをとじたり開いたりすれば電流が流れたり流れなかったりします。

メーターのかわりにベルをおけば、ベルは、鳴ったり止んだりするわけです。

このように、電流を使って遠いところに音や符号を送って通信することを、電気通信と言います。


モールス符号

モールス符号は、短い符号(短点)と長い符号(長点)との組みあわせでいろいろな文字をあらわせるようにしたものです。

電信機のしくみ

電信機は、電磁石を使って、符号をうける機械です。
いちばん古いかんたんなものに、「カタカタ」と音がしてその音で符号を聞きわけたものです。

送信側でキーを押せば「カタ」と音がし離せばまた「ガタ」と音がするので「音響器」と言ってむかしの郵便局にあったものです。

電信機に電流を送るのには、2本の線がいりますが実際には、1本の線でつなぐようになっています。

もう1本の線のかわりに、アースといって、地面を代用させるからです。

1本の線の両方に送信機と受信機をおきしかも、同時に通信ができるような工夫もされています。

進んだ電信機

音で信号を聞くかわりに、これを紙の上に記録しておく電信機もあります。

これは細長い紙を決まった速さで走らせておき紙の上のペンが上下して、短点・長点を響くようにしたものです。

また、送信機のキーにあたるスイッチを機械で非常に早くたたかせて発信し紙の上にそれを機械でかかせて受信するという方法もできました。

いまではテレックスといって、送信側でタイプライターのような機械を打つと受信側のタイプライターと同じような機械がはたらいて紙の上に自動的に文字があらわれる便利なものもできています。

陸上の通信には電線が使えますが海洋をへだてた遠距離の通信では電波を使って電信を送ります。

これが無線電信で、世界中のどこでも通信できるようになっています。




電磁石のそのほかの利用とは?電子顕微鏡・スピーカーのしくみとは?

電子顕微鏡

電磁石の性質は、電子顕微鏡にも使われています。
電子顕微鏡は、光のかわりに電子を使った顕微鏡で光で見えるものよりもっと小さいものを見ることができます。

光を使う顕微鏡で、レンズがする役目を電磁石がするのです。
光はレンズの中を通るとき屈折しますがこれと同じように、電子が磁界の中を通るときにも屈折します。

電子顕微鏡は、それを利用したものです。


サイクロトロン

原子核の研究に必要なサイクロトロンにも非常に強い電磁石が使われています。

イオン電流というものに磁界をはたらかせるとイオン電流は向きをかえます。

サイクロトロンは、その働きを利用したもので電磁石によりイオン電流に大きなエネルギーをあたえそれを原子核にあて、原子を分裂させたりして原子核の性質を研究する機械です。

スピーカー

このごろのラジオやテレビについているスピーカーはみなダイナミックスピーカーと言って電磁石または永久磁石の磁界の中に、可動コイルというコイルをおいたものです。

これに音声電流(音と同じ変化をする電流)を流すと、コイルが振動し、紙でつくった振動板が動いて、音や声がでるようになっています。

電流計と電圧計

電流や電圧の強さを測る電流計や電圧計も磁界と電流のあいだにはたらく力を利用したものです。

電流計は永久磁石の磁界の中に回転するコイルをおき、これに電流を流します。

コイルに流れる電流の強さによってコイルの回転する度合が違うので逆に、回転する度合によって電流の強弱を知ることができるのです。

電圧計は敏感な電流計(マイクロアンメーター)と直列に大きな抵抗を、つなぎあわせてつくったものです。




ベルとブザーのしくみとは? わかりやすく解説!

ベルとブザー

電磁石が、電流の流れるときだけ磁石になって鉄片を引きつけ電流を切ると引きつけなくなる性質を利用したものにベルとブザーがあります。


ベル

ベルのしくみは、図のようになっています。

乾電池の1つの極からでた銅線はボタンスイッチを通ってベルの1つの端子につながりこの端子は、電磁石のまき線につながっています。

電磁石のまき線のいっぽうのはしはねじ接点を通ってベルのいっぽうの端子に出てきます。

この端子から出た銅線が乾電池のもういっぽうの極につながっていて電流の流れる道をつくっています。

いま、ボタンスイッチを押すと電流が流れて電磁石がはたらき、そのまえにある鉄片をひきます。
この鉄片には、たたき棒がついているので、それがベルをうちます。

ところが、鉄片がひきつけられるとねじ接点がひらくようになっているので、電流が切れます。
電流が切れると電磁石ははたらかなくなるので鉄片はばねの力でもとにもどり、ねじ接点がくっつきます。

ねじ接点がつけば、また電流が流れて、はじめの状態になります。
これが何回も繰り返されて、ベルは鳴り続けるわけです。

このベルは、電磁石の性質をうまく利用したおもしろい機械ですがもっとも大切なことは電流が流れると接点がひらいて電流が流れなくなり、流れなくなると、接点がとじて電流が流れるようになるつまり、原因が結果を生じ、その結果がもとの原因を生じるということです。

この原理は、振動をつくりだす場合によく利用されているものです。

ベルの音の振動数

ベルは、ふつう1秒間に20回ぐらい鳴ります。
言いかえると、たたき棒は1秒間に20回振動します。
これは、なにによって決まるのでしょう。

まず電流が流れて、ネジ接点が切れるまでの時間は鉄片とたたき棒の重さが重いほど、遅くなります。

(これは慣性と言って、止まっているものはいつまでも止まっていようとする性質があり重いものほど慣性が大きいからです)

つぎに電流が切れて、鉄片がもとの位置にもどるまでの時間はばねが弱いほど遅いわけです。

このようにベルが1秒間になる回数は鉄片やたたき棒の重さが重いほどまた、ばねの強さが弱いほど少なくなります。

反対に、鉄片をかるく、ばねを強くすればなる回数が多くなるわけです。



ブザーのしくみ

ベルは、電磁石を使って鐘をたたくようにしたものですが。

ブザーは、電磁石で振動板をふるわせその振動を空気に伝えて、音を出すようにしたものです。

電磁石を使って振動させる方法はベルとほとんど同じですがその振動数が、ベルのたたき棒よりもずっと多くなっています。

これは、振動数が、1秒間に1000回から数千回の音がいちばん耳によく聞こえるからです。
そのため、ばねは、ベルより強いものが使われています。

ばねの強さを調整したり、ばねにつけた重りの大きさをかえたりすると、音の高さ(振動数)がかわります。

また、ばねの振動だけでは音が小さいので振動板の共振を利用して音を大きくするようにつくってあります。

ベルの場合も、音は、ばねや鉄片の振動で出るのではなくたたかれた鐘の振動によって出るので、この音の振動数はたたき棒の振動数よりも、ずっと高いものになっているわけです。




二極電動機・三極電動機の作り方とは? わかりやすく解説!

直流電動機(直流モーター)

電磁石を使った機械のなかで電動機は近代産業の原動力と言える、もっとも大事な機械です。
工場の機械が動くのも、電車が走るのも、電気洗濯機が動くのも、電動機のはたらきです。

電動機には、交流電動機と直流電動機があります。
ふつう使われているのは、すべて交流電動機ですがはじめに、理解しやすい直流電動機について述べましょう。


二極電動機の作り方

トタン板とエナメル線で、図のような二極電動機をつくってみましょう。
二極電動機はしくみはかんたんですが、力の弱い電動機です。

できあがったら、電池(3~4.5ボルト)につないでみましょう。
はじめに、指で少しまわしてやれば、くるくるとまわり続けます。

まわらないときは、コイルのまき方や整流子の接触をよく調べてみましょう。
界磁と電機子とが離れすぎているとまわりません。

二極電動機のまわるわけ

二極電動機の外側の電磁石を界磁、その内側でまわる電磁石を電機子と言います。
電機子の軸についていて、電機子のコイルに流れる電流の出入り口になっているものを整流子と言います。

図を見てください。

電機子が①のような位置にあるとき電流は、まき線の矢印の方向に流れ、界磁と電機子は、磁石となります。

このとき、むかいあった磁石の極どうしはNとN(またはSとS)になっているので同じ極どうしは退け合って、電機子は右へまわります。

電機子が②のところにくると、右側の界磁のSと電機子のNは引き合って電機子は、ますます右へまわります。

②から③にうつるところで、整機子が反対になるので電機子のコイルに流れる電流が逆になり、いままでNであった電機子の極が急にSになり③の状態になります。

①と③とはまったく同じような状態ですが、それは電機子がまだ半回転しかしていないのに、整流子は①と③では反対になっているからです。

このように、半回転で、界磁と電機子の極の関係はまた前と同じようになり、続けて右へぐるぐるまわるわけです。

二極電動機は、はじめ、指でまわしてやらないと、まわりださないことがあります。
これは、図のような、死点という状態があるからです。



死点のときは、図のように、電機子と界磁の極がNとS、またはSとS(またはNとN)のようにむきあって、吸引力または反発力の向きが電機子を回転させる方向にむいていません。

また、ブラシが2つの整流子にまたがって接触する位置では電流が、ブラシ→整流子→ブラシと流れて電機子には流れません。

死点または死点のすぐそばでは、回転力が0または非常に小さくなりますがいったんまわりはじめれば、勢いで死点を通り越してしまうわけです。

また、界磁はN・Sの極が常に一定ですから、永久磁石を使ってもよいわけです。模型の電動機には、そのようなものもあります。

このように、二極電動機のまわる原理は電磁石のあいだの吸引力・反発力によって回転迎動をおこさせるわけです。
しかし整流子がなければ、せいぜい半回転で止まってしまうでしょう。

整流子によって電流の流れる方向をかえ、電機子のN・Sの極を上手にとりかえて止まることなく回転できるようにしたのが、二極電動機です。

これまで、電動機の動くわけを電磁石と電磁石のあいだの力として説明しましたが図のように、磁界の中の電流にはたらく力としても説明することができます。

すなわち、①の状態では、電流は整流子C1からコイルをabcdの方向に通りますからまえに述べたフレミングの左手の法則で、コイルのcd部分には上向きの力がはたらき、abの部分には、下向きの力がはたらいて電機子は右に回転します。

半回転した②の状態では、電流は整流子がC2にかわっているのでやはり図のように右にまわる力がはたらいていて回転を続けます。

三極電動機の作り方

二極電動機は死点があるために、まわりはじめに指でまわしてやらなければならないような欠点があります。

この欠点をなくすために、三極電動機が考えられました。

三極電動機には電機子の極が3つあり、整流子も3つあって死点ができない特徴があります。まわる原理は、二極の場合と同じです。

立流電動機は電車によく使われていますが速度をかえるのに便利なことと、スタートのときの力が強いので電車の運転に適しています。

電車の電動機は多極電動機ですから三極電動機より力が強く、回転もなめらかです。

東海道新幹線では、交流き電方式といって、パンタグラフに送られる電気は交流ですが、列車の中で交流を直流にかえ、直流電動機をまわしています。

これは、電気を送るには交流のほうが便利がよいためです。
いっぽう、直流電動機は電車を動かすのに適しているからです。




フレミングの左手の法則とは?磁界の中で電流は力を受けるのはなぜ?

磁界の中で電流は力を受ける

まえに述べたように、磁針の近くにある針金に電流を通すと、磁針が動きます。
ところで、これは磁針が動きやすく、針金が動きにくい場合です。

逆に磁針のかわりに重い磁石をおき針金のほうを動きやすくすれば、針金のほうが動きます。

(これはニュートンの発見した作用反作用の原理で考えられます。
力というものは2つの物体のあいだに作用するものでAがBに力を及ぼすというときは、同時にBがAに力を及ぼしているわけです。

どちらが動くかは、動きやすいほうが動くわけで両方が同時に動く場合もあるわけです)

これはつぎのような電気ブランコをつくって実験することができます。


実験

下の図のように、馬てい形磁石を横にたおしてブランコの横棒が、磁石のN極とS極の真ん中にくるようにします。

ブランコのつなは、銅のやわらかいより線で、横棒は、やや太い銅線でつくります。
ブランコのつなを通して電流を流すとブランコが左右に動きます。
電池のつなぎ方を逆にすると、ブランコの動き方が逆になります。

また、電流の向きはそのままにしておいて磁石のN極とS極を逆にしても、ブランコのふれは逆になります。

フレミングの左手の法則

磁界の中で電流を流したとき親指と人さし指と中指を互いに直角において電流の向きが中指、磁界の向きが人さし指とすると、力の向きは親指の向きになります。

この法則を、フレミングの左手の法則と言います。
この法則は、右ねじを用いてつぎのようにあらわすことができます。

図のように磁界の向き(磁石のN極からS極へ向かう向き)と電流の流れる方向をそれぞれ、PS・PQとし、これに直角に右ねじをおいたときPQ(電流の向き)がPS(磁界の向き)に重なるようにまわすと右ねじの進む向きに力がはたらきます。




電磁石の性質とは?電磁石の強さとは? わかりやすく解説!

電磁石と永久磁石

電磁石をふつうの磁石とくらべると、つぎのような違いがあります。

① 電磁石は、コイルに電流を流したり切ったりしてかんたんに磁力を起こしたりなくしたりすることができます。

永久磁石はそんなわけにはいきません。一度吸いついた鉄の板を引き離すには、別の力が入ります。

② 電磁石の磁力は、コイルのまき数と電流の強さをかえることによって自由にかえられます。

永久磁石は、自由に強さをかえることはできません。

③ 電磁石にも、もちろん、N極・S極があります。

ところが、電池のつなぎ方を反対にして電流の方向をかえたりまた、コイルのまき方を反対にすると、N極とS極をかえることができます。

永久磁石はそういうわけにはいきません。


実験

2本の大きな釘を用意して、細いエナメル線を50回ぐらいずつまきます。
1つは右まき、もう1つは左まきにします。

これに2つとも釘の頭のほうが+になるように電流を通してみます。
ほかに永久磁石を用意して2つの電磁石のN極とS極が反対になっていることを確かめましょう。

つぎに、いっぽうの電磁石の電流の方向だけを逆にすると2つの電磁石の極は同じになるでしょう。

電磁石の強さ

電磁石の強さは、コイルのまき数と、コイルに流れる電流の強さの積に比例します。

2つの釘に50回ずつエナメル線をまき、いっぽうに電池を1個、もういっぽうに3個直列につないでみます。

このとき、電池3個のほうが強い電磁石になります。
これは、電池を3個直列につないだほうが電流が強いからです。

電磁石のコイルの中の鉄(これを鉄心と言う)は、鋼より軟鉄を使います。
もし鋼を使うと、電流を切っても、鉄心が磁石の性質を持ち続けます。

実験

2本の同じ大きさの釘で、電磁石を2つつくります。
いっぽうにはエナメル線を200回くらい、もういっぽうには50回くらいまきます。

これに電池をつないで電磁石をつくった場合、まき数の多い電磁石のほうがまき数の少ない電磁石より磁力が強いかどうかを調べてみましょう。

エナメル線の太さが同じ場合には、2つの電磁石の強さは、あまりかわらないはずです。
というのは、エナメル線の太さが同じなら、200回まいた場合のエナメル線の長さは50回まいた場合の4倍になります。

したがって電気抵抗が4倍になり、電池をつないだとき、電流が4分の1になります。

まえに説明したように、電磁石の起磁力は電流の強さとコイルのまき数に比例しますから、まき数を4倍にしても電流が4分の1なら、電磁石の強さを増す効果はありません。




電流が作る磁界とは?右ねじの法則とは? わかりやすく解説!

電流は磁界をつくる

まえに述べたように、磁針は磁石のそばで、その方向をかえますが19世紀のはじめに、デンマークのエルステッドという人は電流もまた、磁針をふらせることを発見しました。

それまで電気と磁気とはいろいろ似た性質があるのでなにか関係がありそうだとは思われていましたが、ここではじめて電気と磁気とのあいだに非常に深いつながりのあることがわかったわけです。


実験

板に穴をあけ、針金を板に垂直に通して、電流を通します。
この針金のまわりに小さい磁針を4つおいて、磁界の向きを調べてみましょう。

磁界の向きは、電流を中心とした同心円になっています。

磁界の向きは、磁石のところでわかったように磁針のN極の指す向きですから右ねじをまわす向きでこれは、右ねじの進む向きに流れる電流によってつくられたものです。

つぎに、丈夫な紙でつくった筒に細いエナメル線を300回から500回きちんとまき、それに電流を流して磁界を調べてみましょう。

すると、ちょうど棒磁石と同じような磁力線の図がつくれます。
この場合には、ねじの進む方向の磁力線が右ねじをまわす方向の電流によってつくられたことになります。

右ねじの法則

右ねじの進む向きの電流によって、右ねじをまわす向きの磁界ができ、また、右ねじをまわす向きにまいたコイルに流れる電流によって右ねじの進む向きの磁界がコイルにできることを、右ねじの法則と言います。

コイルに電流を流すと、電流のはたらきによりコイルのまわりに棒磁石がつくる磁界と同じような磁界ができます。



電流で鉄を磁石にする

コイルに電流を流すと、磁石と同じような性質があらわれることや磁石のそばに鉄をもっていくと、鉄も磁石になることをまえに述べました。

それでは鉄にコイルをまいて電流を流したら、鉄はどうなるでしょう。

実験

10~15センチぐらいの長さの釘とわりばしとを1本ずつ用意してそれぞれに太さ26番ぐらいのエナメル線を100回から200回ぐらいしっかりまきつけ、単一乾電池を2つか3つ使って電流を流してみましょう。

釘のほうは小さい釘を吸いつけますが、わりばしのほうは吸いつけません。

同じコイルに同じ電流を流しても、そのコイルの中に木があるか鉄があるかで磁力の強さが違うわけです。

これはコイルの中の鉄が磁石になって電流がつくる磁力に、磁石の磁力が加わるからです。

このような磁石を電磁石と言います。

このように電流によって鉄が磁石になるのは磁石によって鉄が磁化されたときと同じように鉄をつくっているたくさんの分子磁石が電流のつくる磁界によって一定の方向にならべられるからだと考えられます。




磁石の作り方とは?磁化とは? 永久磁石と一時磁石とは?

磁石の作り方

実験

縫い針を磁石のなるべく先のほうで、同じ向きに何度もこすります。

こすった縫い針を、針やクリップなどに近づけると、吸いつきます。
これは、縫い針が磁石になったからです。
細い糸でこの縫い針を水平につるすと、針は南北を指します。

鉄でできているものは、強い磁石に近づけたり磁石にこすりっけたりすると、磁石になります。

このような磁石の作り方はかんたんですが、あまり強い磁石を作ることはできません。
強い磁石は、あとで述べる電磁石と同じ方法で、コイルに電流を流して作ります。


磁化

鉄が磁石に引き付けられるのは、磁石の近くで鉄が磁石になるからです。
このような現象を磁化と言います。

この磁化現象は、なぜ起こるのでしょうか。
これは、ふつうの鉄にも分子磁石がたくさんあり、それぞれの分子磁石がふつうの状態では、決まった方向をむいていないので、磁力がありません。

ところが、これに磁石を近づけると、分子磁石の向きがそろい磁性をあらわすようになるからです。

この現象は、磁気誘導とも言います。

永久磁石と一時磁石

いろいろな鉄について調べると縫い針のような鋼はいったん磁石になると、なかなか磁性をなくしません。

釘のような軟鉄は、すぐ磁性をなくします。
鋼が磁化したものを永久磁石と言い、軟鉄が磁化したものを一時磁石と言います。

これは、分子磁石の動きやすいものとなかなか動きにくいものがあるからだと考えられています。

私たちが、実験に使う棒磁石や馬てい形磁石、また方向を決める磁針などは、みな永久磁石です。




磁石の性質とは?磁力・磁界とは? わかりやすく解説!

磁石の性質

物が落ちるのは、物と地球とのあいだに万有引力があるからです。
このことに気づいたのはイギリスのニュートンでした。

太陽や月や星の運動もこの万有引力によって説明されています。
しかし、机の上に2つの物をおいても万有引力で近づくということはありません。


星と星とか地球と物とか、いっぽう、または両方が非常に大きい物でないと万有引力も大きな力にならないからです。

ところが、小さい物どうしのあいだで引き合ったり、跳ね返したりする力がはたらく場合があります。

物が電気を帯びた場合(摩擦電気)と、磁気を帯びた場合です。
この2つの現象はむかし、古代ギリシアの時代からわかっていました。

電気は、こはくと絹を摩擦するとおきたので英語のエレクトリシティー(電気)という言葉はギリシア語のこはくという言葉からでたのです。

また当時、リディア(小アジア)のマグネシア地方から磁鉄鉱が出てこれが磁気をもっていたので、磁石をマグネットとよんだのだと言われています。

ところで、電気とか磁気とかいう名に、引っ張りあったり跳ね返したりする力の原因につけられたもので電気と磁気は全く別な現象として考えられていたのです。

その後、イタリアのボルタによって電池がつくられ電気の流れ、すなわち電流が発見されデンマークのエ-ルステッドは鉄に電線をまいて電流を通すと磁石がつくられることを発見しました。

こうして、電気と磁気は、非常に深いつながりのあることがわかってきたのです。

電流を通して磁石をつくり、それを利用した機械や器共には電信機・電動機・ベル・スピーカー・電流計・クレーンなど私たちの生活にかくことのできないものが、たくさんあります。

N極とS極

はじめに、いちばんかんたんな棒磁石について、その主な性質を調べてみましょう。

いま、鉄粉を棒磁石にふりかけてみると写真のように鉄粉は磁石の両はしだけにたくさん吸いつけられます。

また、釘を磁石に近づけると、両はしでは強くひきつけられ中央の部分ではなんの力も感じないことがわかります。

この磁石の力の強い両はしを磁極と言います。

実験

棒磁石と磁針を用意します。
磁針は、多くの場合、黒くぬったほうがN極で、北を指すはずです。

そこで、磁針の板に北(N)と書いてある方向に磁針を重ねれば磁針の板の東・西・南・北が、実際の方角をしめします。

ところで、棒磁石のN極を、磁針のN極に近づけると、どうなるでしょう。
磁針のN極は、棒磁石から遠ざかるようにまわります。

つぎに、棒磁石のN極を、磁針のS極に近づけると、磁針のS極が近よってきます。

棒磁石をもちかえて、S極でも同じような実験をすれば棒磁石のS極と磁針のS極は退け合い棒磁石のS極と磁針のN極は引き合うことがわかります。

このことから、同じ磁極(SとS、またはNとN)は退け合い違う磁極(NとS)は引き合うということがわかります。

そこで、S極にある磁気とS極にある磁気とは性質が違うので、N極にある磁気を+、S極にある磁気を-と言うこともできます。



磁力

まえの棒磁石と磁針を使った実験から、棒磁石のN極と磁針のN極、またはS極とS極は互いに退け合い、N極とS極は互いに引き合うことがわかりました。

このような磁石の力を、磁力と言います。

分子磁石

棒磁石を2つに折ると、2つの磁石になります。
折るまえに磁気のなかった真ん中のところにNとSがあらわれるのです。

また、これをさらに2つに折ると4つの磁石ができます。
縦割りしても、細長い4つの磁石ができます。
これを何回も繰り返したと考えてごらんなさい。

1つの磁石は非常に小さな磁石の集まりと考えることができます。
このように考えられた、非常に小さな磁石を分子磁石と言います。

この考え方は、あとに出てくる電磁石の説明に使われる大事な考え方です。

こんどは逆に、2つの磁石のNとSの極を引きあわせてくっつけてみると1つの磁石になってしまいます。

まえに棒磁石の真ん中には磁気がないと言いましたが実はそうではなくて、NとSの磁気が互いに打消し合っているのです。

それで、磁石は両はしにしかないように見えるわけです。

磁力線

磁石を乾いた砂の中に入れると、黒い粉がたくさんついてきます。
これは砂鉄と言って、細かい鉄の鉱石です。

砂鉄をガラス板の上にまいて、ガラスの下に磁石をおきガラスをかるくたたくと、写真のようにきれいな模様ができます。
よく見ると、砂鉄がつぎつぎとつながって曲線になっていることがわかります。

これを、磁力線と言います。

実験

白い紙の上に磁石をおいて、そのまわりの磁力線の様子を小さな磁針で調べてみましょう。
まず、どこでも磁石の近くに磁針をおきます。

説明の都合により、磁針の位置は磁石のS極よりはN極に近いとします。
磁針のN極の先にあたるところに、えんぴつで印をつけます。

つぎに、いま印をつけたところに磁針のS極がくるように磁針を動かしまたN極の先に印をつけます。
これを何回もくりかえし、印をつけた点をむすんでいくと磁力線を描くことができます。

こうして描いた磁力線は磁石の極と極とをむすぶ形となります。
そこで、磁力線の方向として、磁力線はN極からでて、S極に入ると決められています。
N極の磁気は+ですから、磁力線は+の磁気からでて、-の磁気に入るとも言えます。

磁界

磁石の力(磁力)のはたらいている範囲を、磁界と言います。
磁界の中に磁針をおいたとき、磁針のN極が指す方向が磁界の方向です。

砂鉄は1つ1つが小さい磁針と考えられ磁界の方向を指して模様をつくるのです。

地球と磁石

磁針の針が南北を指すのは地球自身が1つの大きな磁石になっているのではないか、ということが考えられます。

実際、地球は1つの大きな磁石で地球の北極の近くに磁石としてのS極があり、南極の近くにN極があります。

ですから、地球上では磁針のN極は地球の北極にあるS極と引き合って北を指すことになります。




箔検電器とは?静電気と動電とは?気導体と不導体とは?

箔検電器

電気があるかないかを調べるものに、検電器があります。
電気振り子もその一種ですが、箔検電器は、もっとすぐれています。

これは、ガラス瓶の中に、金や銀などの非常にうすい箔を2枚吊り下げたものです。
使うときは、静かに扱わないと、箔がきれてだめになってしまいます。

瓶のふたはコルクや硫黄・プラスチック(ポリエチレンかアクリル樹脂)のような電気を通しにくいもので出来ています。

箔検電器の金属板に、摩擦電気をあたえると2枚の箔がひらきます。
このときあたえた電気の量が多いほど、箔のひらき方が大きくなります。
これは2枚の箔に、同種の電気がたまって、互いに退けあうためです。

この金属板に手をふれると、手を伝わって電気が逃げるため、箔はとじます。


実験1

毛皮でこすったエボナイト棒(-の電気をもっている)を箔検電器に近づけると静電誘導によって、箔に電気があらわれ、箔がひらきます。

エボナイト棒を遠ざければ、箔はとじます。

+の電気をもったものでも、静電誘導はおこりますから箔検電器に何かを近づけたとき、箔がひらくなら、近づけたものは電気をもっているということがわかります。

ただし、+の電気をもっているのか、-の電気をもっているのかはこれだけではわかりません。

実験2

-の電気をもったエボナイト棒を箔検電器の金属板にふれると、箔がひらいたままになります。
これは、ふれたところにあったエボナイト棒の電気が、検電器にうつったからです。

-の電気をもらって、ひらいている箔検電器にエボナイト棒を近づけると、箔は、さらにひらきます。
反対の種類の+の電気をもったガラス棒を近づけると箔はとじていきます。
これも静電誘導のためです。

これは、摩擦電気の+と-の見わけ方になります。

つまり、-の電気でひらいていることがはっきりしている検電器に何かを近づけたとき、箔がとじるなら、近づけたものは+をもっています。
箔がもっとひらくなら、近づけたものは-をもっています。

実験3

-の電気をもったエボナイト棒を使って箔検電器に+の電気をあたえるには、どうしたらよいでしょうか。

毛皮でこすって、-の電気をもっているエボナイト棒を箔検山器に近づけると静電誘導によって、エボナイト棒に近い金属板には反対の種類の+があらわれ、遠い方の箔には同種類の-があらわれて、箔はひらきます。

つぎに、エボナイト棒を近づけたまま金属板に手をふれると、箔がとじます。
人の体は金属のように、電気がよく流れます。

だから、手をふれると、体と箔検電器とがひとつとなってエボナイト棒のそばにおかれた金属板といっしょになります。

そこで、静電誘導であらわれる-の電気は手を伝わって、箔よりも、もっと遠いところへいってしまいます。

箔には電気がなくたって、とじてしまうのです。

このとき、金属板にあらわれている+の電気はエボナイト棒の-の電気にひきつけられているために、逃げません。

つぎに、金属板から手を離してから、エボナイト棒を遠ざけると、とじていた箔がふたたびひらきます。

これは、はじめ同じ分量だけあった+と-の電気のうち-の電気がいくらか手を伝わって逃げてしまったため、+の電気が余分になりそれによって、箔がひらいているわけです。

ですから、-の電気をもっているエボナイト棒を使って検定器に反対の+の電気をためたことになります。

静電気と動電気

摩擦電気は、摩擦したものの表面にあり、動かないので静電気と言います。

これにたいし、電池の回路を流れる電気や家庭で使う電気器具などに流れる電気を、動電気と言います。

摩擦電気の+と-を導線でつなぐと-の電気が流れて動電気ができます。



導体と不導体

エボナイトや、ビニルなど、電気を通しにくいものばかりでなく金属や人の体のように、電気を通すものでも摩擦すれば、摩擦電気が起こります。

実験

絶縁台に乗った人の片手を、箔検電器の金属板にふれさせておきます。
もういっぽうの手のひらを別の人が毛皮で強くたたくと、箔がしだいにひらいてきます。

導体

物は分子の集まりからできています。その分子は原子が集まったものです。

さらに原子は、その中心に+の電気をもった原子核があってそのまわりを-の電気をもった電子がまわっています。

電子の数は、原子の種類によって決まっています。

また、原子の種類によっては、ほかの原子のまわりをまわる電子があるものもあります。

このような電子を、自由電子と言います。

物の中には、この自由電子をたくさんもっているものがあります。
このようなものでは、-の電気がたやすく動きやすいという性質があります。

こういう性質をもったものが導体です。金属に、導体の例です。

そのほか、木炭、塩酸・水酸化ナトリウムなどの酸やアルカリ、人の体、電解質溶液、地球などは導体です。

不導体

自由電子をほとんどもたないものが、不導体です。

ポリスチレン・ガラス・エボナイト・硫黄・ろう・絹・毛皮・ナイロン・ビニルなどは不導体の仲間です。




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