古生代の地殻変動と気候とは? わかりやすく解説!

古生代

古生代は、いまから約6億年まえにはじまり、約2億2千万年まえまでにわたる
およそ3億8千万年のあいだです。

ふつうはこの中を、時代の古いほうからカンブリア紀・オルドビス紀・シルル紀・デボン紀・石炭紀・二畳紀の6つにわけます。

しかしここでは、前期・中期・後期の3つにわけて調べることにしましょう。

この3つの区分は、6つにわける場合と同じように生物、とくに動物の進化におもきをおいておこないます。


古生代の地層

古生代の地層は、おもに、海に堆積してできた海成層ですが中期や後期の地層には湖や川の底、または砂漠など陸上で堆積してできた陸成層もあります。

これらの地層は、いっぱんに先カンブリア代の地層の上に重なっていますがそのあいだには著しい不整合が見られます。

古生代の地層は、砂岩・泥岩・ネンバン岩・レキ岩・石灰岩・チャート・凝灰岩などの堆積岩でできていて、世界各地に分布しています。

とくに後期の地層には、石灰・セッコウ・岩塩などもふくまれています。

地殻変動

古生代には、いたるところで地殻変動が起こりそのたびごとに、山脈ができました。
この地殻変動によって、マグマが地殻の中に入り込んでカコウ岩や地表に噴出してゲンブ岩になったりしました。

ことに、終わりごろには、激しい造山運動が起こり北アメリカの東部や、ヨーロッパの中央部に、大きなしゅう曲山脈ができました。
このため、海進や海退がくりかえされ、海と陸との分布にも大きな変化がありました。

アジア大陸の東部は、前期のはじめには大部分が海に覆われていました。
しかし、中期ごろになって、そのほとんどが、陸になったようです。

このことは、前期と後期の地層が著しく不整合で重なっていることから知ることができます。

また、古生代の後期には南半球に1つの大陸をなしていたと考えられています。これをゴンドワナ大陸と言います。

この大陸と、北半球のヨーロッパ・シベリアなどをふくむ大陸とのあいだには大きな古い地中海のあったことが知られています。

この海を、テーチス海といいます。

古生代の気候

古生代は、全体を通して見ると、温暖な気候だったと言えます。

とくに古生代中期の終わりごろ(石炭紀)にはあたたかく湿度の高い気候で、シダ植物などがしげっていました。

しかしヽ古生代の終わり(二畳紀)には南半球に寒冷気候のところがあったことが知られています。

ゴンドワナ大陸に見られる地層には氷河のすりあとのあるれきがふくまれ、またその地層からは、グロッソプテリスというシダ植物の化石が発見されています。

この植物は寒い気候に耐えて栄えたものでそのころの気候が寒冷だったことをしめしています。




先カンブリア代の生物とは?先カンブリア代の地層と分布とは?

先カンブリア代は、現在の地球上で知られているもっとも古い地層や岩石のできた時代です。

その長さは、少なくとも、30億年以上にわたっています。


先カンブリア代の地層

この時代の地層は、北アメリカのカナダ地方やヨーロッパ北西部のスカンジナビア半島、フィンランドなどの地方に広く広がっています。

またアジアでは、中国の北部から東北部、朝鮮半島、シベリアなどの地方に、広く分布しています。

これらの地方に分布する地層は、すべて変成岩からできています。
とくに先カンブリア代前期の地層にはカコウ岩などの火成岩からか割った岩石が多いようです。

また、後期の地層も、大部分は変成岩ですがその中には、セッカイ岩やその他の堆積岩から変成した岩石が多くみられます。

先カンブリア代の地層群は、変成しているだけでなく激しくしゅう曲していて、その構造が複雑になっています。

このようなことから考えると先カンブリア代前期の地球上には大きな地殻変動が多かったと想われます。
とくに、カコウ岩のできるような地殻変動が、さかんだったのでしょう。

後期になると、地球上には海と大陸の区別ができました。
海では、さかんに堆積作用がおこなわれていたことが知られています。

しかし、けっして穏やかな時代ではなく、地殻変動もさかんであったことと考えられます。

盾状地

先カンブリア代の地層は、下の図にしめした地域に分布しています。

大部分は、大陸の内部にまとまっていて高原のような地形をしており、盾状地とよばれています。

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大陸をつくっている地層には、いろいろありますがすべて、この盾状地を中心にして、そのまわりを取り囲むように分布しています。

そして、盾状地は、大陸全体の地質時代の生い立ちの中心になっています。

このように盾状地は世界でいちばん古い地層群からなっていてもっともはやく固まった陸地ですから、いまでは地盤がたいへん丈夫でしかも安定しています。

ですから、火山や大きな地震などは、まったく見られないところです。

たとえば、アメリカのニューヨークには、高い建築物が立ち並んでいます。
この地域は、北アメリカに広がる盾状地の東南部にあたっています。
ですから、地盤が安定しているので、非常に高い建物を建てても安心なわけです。



先カンブリア代の生物

先カンブリア代前期の地層にも、生物の化石かふくまれています。
しかし、その化石に、すべて下等なものばかりで、数も少ししかありません。

かつてフィンランドの先カンブリア代前期の地層からコリシウムという化石のようなものが発見されました。
研究の結果、これが生物の死骸であることが証明されました。

このほかに、先カンブリア代前期の地層にはたくさんの石墨をふくんでいることが知られています。
この石墨の起源から考えると、植物性の下等な生物が生きていたと言えます。

また、同じ時代の地層には、石灰岩や鉄鉱層がたくさんふくまれていることが知られています。

このことからすでに石灰分や鉄分を沈殿するはたらきのある下等な生物が生存していたとも考えられます。

先カンブリア代後期の地層になると、生物もかなりはっきりしてきます。
石灰岩の中からはセッカイソウ、また、石炭層の中からはホウサンチュウや力イメンなどの化石が発見されています。

とくに、力ナダのモンタナ州ベルト地方の地層からはたくさんの化石が発見されています。

この化石は、ワルコットという人によって研究されナマコ類・クラゲ類・海藻類・ぜん虫類のはい歩いたあと節足動物など、30種以上も報告されています。




地層とそのでき方とは?化石からわかることとは?示準化石・示相化石とは?

地層とそのできかた

切りどおしや川岸の崖で平行なしまのある地肌を見ることがありますが、これが地層です。
泥や砂やれき(小石)などにいろいろ違ったものからできている地層が重なっています。

この層の違った成り立ちが、しまに見えるのです。
こうした地層の境を掘ってみると、ほぼ、平らな面になっています。
この面のことを、地層面と言います。

地層は、おもに川のはたらきによって、上流から運ばれてきたいろいろな大きさの粒の土砂が、川や海の底に堆積してできます。

このようなことが大むかしから絶えずおこなわれいく層も重なり合って厚い地層をつくっていきます。


地層の重なりかた

地層は下にあるものほど古い時代に堆積したといえます。

このことは、1781年イギリスのスミスが気づいたもので地層累重の法則といわれ、地球の歴史を研究するうえで基本的な法則とされています。

ですから、地層の重なりかたを調べると、その地層ができた様子を知ることができます。

川底や海底に堆積した地層は、ほとんど平らです。
しかし、堆積してから地殻に変動があると、地層が傾きます。

このため、緩く傾いた地層もあればひどく傾き、ついには垂直にたっている地層もあります。

また、ひっくりかえって地層の上下が逆になっているものもあります。

化石

大むかしの生物の死骸や、巣のあとなどが地層の中に残されたものを化石と言います。
化石に、長い間地層の中にうずもれていて石のように硬くなっています。

しかし、必ず石のようになっているとはかぎりません。

たとえば、ソ連の探検隊によってシベリアの水原から発見されたマンモスは生きていたときと同じように状態でした。

このマンモスの肉を、探索隊の犬にあたえたところ、犬はこれを食べたということです。

このマンモスは、大むかしの生物の死骸でしかも、氷という地層の中にうずもれていたのですから、化石というわけです。

また大むかしの動物の歩いた足あとなども、地層の中に残っていますが、これも化石です。



生物の変化

化石は、それをふくむ地層が堆積したときに住んでいた生物のあとです。

ですがら、地層の中にふくまれている化石をよく調べると各時代の生物のありさまがわかりますがさらに生物がどのように変化してきたかもわかります。

示準化石

厚く重なりあった一連の地層にふくまれている化石を調べるとどの地層にもみつかるものと、これとは反対にあるかぎられた地層にだけ見つかるものとがあります。

あるかぎられた地層にだけ見つかる化石はその地層の堆積した時代にだけ生きていたことをしめします。
このような化石は、示準化石、または標準化石とよばれています。

ある地層から示凖化石が発見されると、その地層が堆積した時代を知ることができます。
また、離れたとことにある地層の化石をくらべどちらが新しく、どちらが、古いかを知ることもできます。

古生代のサンヨウチュウやボウスイチュウ(フズリナ)中生代のは虫類やアンモナイト、新生代のカヘイキキ・デスモスチルスなどは示凖化石のよい例です。

示相化石

化石になっている生物の性質を調べるとその地層が堆積したころの自然の様子を知ることができます。

たとえば、さんご礁をつくるサンゴチュウは現在、熱帯や亜熱帯の浅い海にしか住んでいません。

このことから、さんご礁をつくるようなサソゴチュウの化石をふくむ地層は
あたたかくて浅い海で堆積したことがわかります。

このように地層ができたときの環境を知ることができるような化石を示相化石と言います。

千葉県の館山市の沼には、サソゴをふくむ第四紀沖積世の地層があります。
このことから、そのころの海水は現在よりも、やや水温が高かったことがわかります。

地球の歴史のわけかた

地殻ができたのは、いまから約40億年まえといわれています。
そして生物が地球上にあらわれたのは、およそ20億年まえのことです。

地球上にはじめてあらわれた生物はごく下等なものでその後しだいに進化して現在のようなものになったと考えられます。

相対年代

地質時代を生物の進化をもとにして区分したものを相対年代といいます。

このわけかたは、ふつうに使われているもので古い時代から、先力ンブリア代・古生代・中生代・新生代の4つにわけられそれぞれの代の中は、さらに細かく区分されています。

絶対年代

地質時代の時間の長さを数であらわしたものを絶対年代といいます。

この絶対年代は火成岩や変成岩にふくまれている放射性元素の崩壊を利用してもとめたものです。

放射性元素は、一定の割合で崩壊し他の元素にかわります。

ですから、ある鉱物中にふくまれている放射性元素の量とそれが崩壊してできた元素の量を測定すれば、その鉱物の年令がもとめられます。




鉱物標本・岩石標本のつくりかたとは? わかりやすく解説!

鉱物標本のつくりかた

採集してきた標本は、すぐに整理するように心がけましょう。

日時が経つと、採集地を忘れたり、他の産地のものとまじったり壊れたりすることが多いからです。

標本は水に溶けやすいものや、壊れやすいものは別ですがやわらかい歯ブラシなどで、ほこりや泥をとります。

とくに大きな標本は、転がらないようにして厚さ3センチぐらいの木の台の上に、しっかりとすえます。

手にのるぐらいの標本は、紙でつくった標本箱に入れます。

大事な標本は、ガラス蓋のついたものか、プラスチックの箱に入れ綿でよくおさえます。
標本が非常に小さいときは、管瓶に入れておきます。

鉱物には、岩塩やハクテッ鉱などのように、湿り気を嫌うものがあります。
このような標本は、ガラス瓶に入れて、密封します。

キアン鉱やホウエン鉱は、直射日光にあてると、表面がくもります。
黒い紙で包んでおけば、いつまでも、光沢を保っています。


鉱物標本の整理のしかた

標本には、記号・番号などをつけておきます。

採集地や記録を調べたり、また、あとで他の標本とまじったものを区別したりするのに、たいへん便利です。

記号や番号は、標本のすみに、エナメルで小さく書きます。
標本が小さくて直接書けない場合は、標本箱に書きます。

記号は、採集した順序に、通し番号をつける方法、日付と番号をくみあわせる方法、分類番号をくみあわせる方法があります。

いずれも長所と短所があるので、目的により、適当な方法を選びます。

つぎにラベルを用意します。

ラベルと標本とをひきあわせるのには、標本番号によりますから番号は、見やすいところにするためふつうは左上に書きます。
つぎに、鉱物名・産地・採集日・採集者を書きこみます。

鉱物名が、すぐに決まらなくても産地や採集日など、わかることは書きこんでおきます。
とくに、産地はできるだけくわしく、できれば地形図上の位置と見比べられるようにしておくと便利です。

標本箱にラベルを入れたら、その上にセルロイドなどを同じ大きさに切って、かぶせます。こうすると、ラベルが汚れません。

鉱物の分類のしかた

鉱物標本を整理するために鉱物を分類するには、つぎのような方法があります。

鉱物の形による方法

鉱物の性質のところで述べたように、鉱物の形でわけます。

  1. 正六面体・正八面体・正四面体・斜方12面体などの等じく晶系群
  2. 柱状結晶の群
  3. 針状結品の群
  4. 板状結晶の群
  5. 結晶形をしめさない群

鉱物の光沢による方法

これは、硬度による方法とあわせると、便利です。

  1. 金属光沢のある鉱物の群
  2. 亜金属光沢のある鉱物の群
  3. 非金属光沢のある鉱物の群

鉱物の硬度による方法

つぎのように分類しておけば、モースの硬度計がなくても鉱物を分類することができます。

  1. ガラスより硬い(硬度5より大)
  2. 爪とガラスの中間の硬さ(硬度2.5~5)
  3. 爪よりやわらかい(硬度2より小)

鉱物の用途による方法

  1. 金属をとる鉱物
  2. 物理的性質を利用する鉱物
  3. 化学工業に使われる鉱物
  4. 宝石になる鉱物



岩石標本のつくりかた

岩石標本は、採集する場所で、ほぼ形を整えてしまうのがふつうです。

岩石標本の形は、いっぱんに長方形をしていますが、その大きさと形は全部同じように揃えたほうが見やすく、整理もしやすくなります。

学校で使う標本でしたら、縦8センチ、横9.5センチぐらいあったほうが、便利です。
岩石標本も、採集してきたら、すぐ整理するように心がけましょう。

岩石標本の整理のしかた

標本の裏側のすみに、小さく番号をつけます。

マジックで、直接書くか、白いエナメ片をさきにぬっておいて乾いてから、その上に黒のエナメルで書きます。

番号のつけかたも、鉱物の場合と、ほぼ同じです。
ラベルは、左上に標本番号を記入し、岩石名・産地・採集者名を書きこみます。

地質時代や糸状などについては、必要があれば、書きこんでおきます。

紙でつくった標本箱に入れた原本はまとめて、木製の箱(モロブタ)に入れるか、標本タンスに整理します。

岩石の分類のしかた

標本を整理するには、つぎのような分類にしたがうと、便利です。

  1. 火成岩――(ア)深成岩 (イ)火山岩
  2. 堆積岩
  3. 変成岩

このほか、火成岩の分類には、酸性・中性・アルカリ性という化学成分上のわけかたがあります。

白い岩石・灰色の岩石・黒色の岩石というのはだいたい、このわけかたにあてはまります。




岩石・鉱物の採集と注意することとは?採取用具とは?

採集用具

岩石や鉱物を採集するためにでかけるときは、つぎのような道具を用意します。


ハンマー 

一方が正四角形、他方が平たくなっているハンマーが標準形です。
岩石を大きく割るときは、四角なほうを形を整えるときは平たくなったほうを使います。

そのほか、一方がとがった探鉱ハンマーや化石ハンマーといって一方はうすく平らに、他方は細くとがっているものもあります。

タガネ

岩石を大きく割ったり、岩石の中の鉱物を掘り出したりするのに使います。

折尺・スケール

鉱物の大きさや、産出場所を正確に測るのに使います。

色鉛筆

鉱物の産状などをスケッチするのに用います。
赤鉛筆は、採集した岩石や鉱物のすみに、仮の印をつけておくのに使います。

空き缶

壊れやすい鉱物は、紙や綿で包み、空き缶に入れます。

クリノメーター

地層や岩石の走向・傾斜を測るのに使います。
めもりの読みかたに注意すれば、磁石の代わりにもなります。

管瓶

小さな鉱物を入れます。底に綿を少し入れると、管の底が割れません。

虫眼鏡(ルーペ)

小さな鉱物を探したり、採集地で小さな鉱物を見分けるのに便利です。

ノ-卜

方眼になっている手帳が便利です。採集地での記録に用います。

筆記用具

万年筆や、鉛筆などです。

ピンセット

細かい鉱物を掘り出したりつまみとったりするのに使います。

古新聞

鉱物や岩石が、こすれあって、欠けたりしないように、紙で包みます。

地図

採集には、必ず地図を持っていきます。
国土地理院発行の地形図で、5万分の1、2万5000分の1、1万分の1などが適当です。

布袋

ふくろには、ひもをつけておきます。岩石や鉱物の標木の持ち運びに便利です。

磁石

磁性のある鉱物を見分けたり採取したりするのに使います。



採集の準備

鉱物や岩石を採集する場所は、足場が悪く汚れやすいので、汚れてもよい服装で、出かけます。

キャラバンシューズや地下足袋をはきます。リュックサックも、ぜひ用意したいものです。

鉱物や岩石を採集する場所は、非常にかぎられています。
参考書でよく調べたり、よく知っている人に聞いて、場所を確かめてから出かけます。
できれば、いちど採集したことのある人に、案内を頼むのもよいでしょう。

鉱物や岩石のよい標本

鉱物は、大きいことよりも、結晶形が整っているもの・色がよく出ているもの欠けていないものであることが大切です。

岩石の標本は、岩石そのものが、変化を受けていないことが大切です。
多くの岩石は表面が風化してかわっていても、割ってみると内部は変化していません。

そのような岩石は、はじめに大きく割って内部の変化していない部分を標本にします。
また、まわりの岩石を見て、代表的な標本を選ぶことも必要です。

鉱物・岩石の採集場所

海岸の大きく崩れた崖・道路や鉄道の新しい切り通し石切り場・鉱山・鉱山の石捨て場などは、鉱石のよい採集地です。

天然にできたものは、二度と同じものをつくることができません。

ですから、掘り出したものを大切にすることはもちろんのことですが根こそぎ掘りつくすことは、やめなければなりません。




油田のできるところとは?油田の分布と石油の利用とは?

油田と地質のつくリ

石油がたまるのに都合のよい地質のつくりには、つぎのようなものがあります。

背斜構造

地層がしゅう曲して、馬の背のようにもちあがったところを、背斜といいます。
ですから、水より軽い石油は、そこにできた高まりのところに集まるのでそこを掘れば、いちどにたくさんの石油がとれます。

単斜構造

地層がまがらないで、そのまま傾いている地質構造を単斜構造といいます。
しかし、この場合は、油そう岩の上のほうに石油をふうじこめておくようなつくりになっていなければ、地表へ逃げてしまいます。


油田の分布

油田は、世界各地に分布しています。

しかし、石油の産出量を国別にみると毎年、アメリカ合衆国が、世界の半分以上をしめています。

ところが、まだく乱されていない量をくらべてみますとイラン・イラク・サウジアラビアなどの中近東が半分以上をしめいちばん石油を使っているアメリカは24パーセントにすぎません。

世界各国、とくにアメリカが、中近東の石油開発に力を入れているのはこのためです。

地質時代別に見ると世界全体としは新生代第三紀にできた地層から産するのが多いようです。

しかし、中国・ソ連・アメリカ東部・アメリカ中西部には古生代の地層のもの、中近東には中生代の地層のものが、かなり発達しています。

日本の油田

日本の石油は、ほとんど新生代第三紀の中ごろにできた地層だけからでています。
しかも、その分布は、新潟から秋田までの日本海の海岸沿いの地域と北海道中央部の平地帯にかぎられています。

それは、これらの地帯が、むかし石油ができるのに都合のよいつくりの地形だったからです。

しかし、その規模は小さく、しゅう曲も激しすぎるし断層も多いので日本全体の石油産出量や、1つの井戸がくみあげる石油の量はわずかです。

したがって、日本で使う石油の量の1パーセントにもなりません。
そこで、大部分は輸入で補っています。

しかし、最近は、日本の石油開発技術者たちは東南アジアや中近東で油田を探しあて、安い石油を日本にもってこようと努力しています。

石油の利用

原油を熱していくと、沸点の違いによって、いろいろな油にわけることができます。
そして、それぞれ重要な燃料や原料となっています。

また、石油を産する地方には、天然ガスがいっしょにでることがあります。

これはそのまま燃料に使うこともありますがこれから、揮発油などをつくることもできます。

最近では、ナイロン・ポリエチレン・ビニルなど合成樹脂や合成繊維をつくるのになくてはならない重要な材料になっています。




石油のできかたとは?油田のできかたとは? わかりやすく解説!

石油と原油

石油は、炭素と水素の複雑な化合物である炭化水素からできていてたいへんカロリーの高い液体鉱物です。

天然の石油は、原油とよばれていますがこれはたくさんの種類の炭化水素が混合しているものです。

原油は大きく、パーラフィン系の炭化水素が多いものとナフテン系の多いものとにわけられます。

石油を人工的につくる試みは、70年ほど前からおこなわれていました。
1926年、フィッシャーは、一酸化炭素と水素とから石油によく似た炭化水素(人造石油)をつくりました。

これを手がかりにして、石油のできかたを探ろうと試みましたが人造石油をつくる条件が、石油のできる自然の条件とかなりかけ離れているので石油のできかたを知る決め手にはなりませんでした。


石油をふくむ岩石

石油をふくんでいる地層は、サ岩などの粒の粗い岩石からできています。
しかし、その近くには、必ず、デイ岩やケツ岩が広く分布しています。

このデイ岩やケツ岩の厚い地層は山脈が、むかし山脈であったところに沿って分布しています。

石油になるまで

石油をつくりだした岩石(母岩)と考えられる黒いデイ岩やケツ岩の中にはむかし海の底に住んでいた生物の化石が、ほとんど見つかりません。

それにも関わらず、生物から分解してできたと思われる有機物が、たくさんふくまれています。

これは、そのころの海の表面近くに、たくさんのプランクトンが住んでいてこれが死んで海の底へ沈み、そして、海の底で酸化されずに有機物として残り石油としてたまったためでしょう。

そのころの海の底には、ほとんど酸素がありませんでした。

これは、底に住む生物の化石が見つからないことやオウテッ鉱がよく見つかることからも考えられます。

このオウテッ鉱は水中に溶けていた鉄分が酸化されずに、硫黄とむすびついて沈殿したものです。

また、石油のでる地域を調べてみると酸素の多いふつうの海水との流通が悪かったこともわかります。



石油のもと=腐泥

たくさんの微生物の死骸が、海の底に沈みこれが泥の中にうすめられて、酸化されないで発酵して分解したものを腐泥といいます。

腐泥が土砂の下じきとなり、長い年月のあいだ圧力や1000度以下の地熱をうけてできたのが原油と考えられています。

油田のできかた

母岩の中で全体に散らばってできはじめた石油の粒はもっと隙間の多いサ岩やレキ岩の中へうつりはじめます。

その隙間の粗い岩石の上に、隙間のない岩石(泥岩など)があると石油は上へ逃げ出すことができません。

そして、もっぱら、粒の粗い岩石の中にたまっていきます。
こういう岩石を油そう岩とよび、上にかぶってくる粒の細かい岩石をぼう岩とよびます。

こんな油そう岩の中には石油といっしょにたいへん塩分の多い水が地下水としてたまっています。
しかし、石油のほうが軽いので、この水の層の上に集まります。

石油川の上には石油から蒸発してできたガスの層がのっています。




石炭の利用しかたとは? 石炭の利用に便利な分類とは?

石炭の利用のしかた

石炭は、日本では足利時代から、燃料として使われていました。
また、ヨーロッパでは、古代ローマ時代から使われ歴史のうえでは、産業革命の原動力にまで発展したのです。

そして、19世紀の末ごろから、石炭の使い道が、急に広がりました。

これは、石炭を乾留したときに、ガスや、ガス液・タール・コークスなどの物質がえられることがわかり、これを利用する方法がつぎつぎに研究されたからです。


石炭の利用に便利な分類

たくさんガスがでるか、どんなコークスができるかなどということは石炭の性質によって違ってきます。
そういう性質から、石炭をつぎのようにおけると、実用上便利です。

①一般用炭

そのまま燃料として使うもので、かっ炭やれきせい炭が使われます。

②ガス用炭

家庭用のガスをとるための石炭で、れきせい炭が使われます。

③ガス発生ろ用炭

発熱柚の大きいガスをとるために使われる石炭でれきせい炭や亜れきせい炭が使われます。

④原料炭

1000度以上で高温乾留して、コークスをつくるときに使われる石炭をいいます。
このコークスは緻密で硬いほどよいので揮発分や灰分の少ない、れきせい炭が理想的です。

なお、乾留したときにできるタールからは、医薬品になどいろいろな原料もできます。

石炭の使用量

世界中で、毎年20億トンほどの石炭がほりだされています。

日本では、毎年5000万トンを産出していますが、その大部分は亜れきせい炭ですから、74.1パーセントは一般用炭として利用されます。

また、原料炭は19.5パーセント、ガス発生ろ用炭は6.4パーセントにすぎません。

ですから、工業用原料炭は。毎年輸入しなければなりません。




炭田の分布と埋蔵量はどのくらい? わかりやすく解説!

世界の炭田

炭田とは、石炭層をはさんだ地層が分布している地域を言います。

世界の石炭の埋蔵量は、約6~7兆トンと言われています。
その半分ちかくはアメリカにあってカナダ・ソ連・イギリス・ドイツ・中国という順序で大きな炭田を持っています。


しかし、ブラジルやエジプトのように国土が広くてもほとんど石炭のでない国もあります。

このように炭田が発達しているかどうかは、国土の広さよりもむかし石炭のできるような状態が、そこにあったかどうかによります。

古生代の後半には、特に北半球で、石炭のできる状態がよく発達したため、全世界の炭田面積の3分の2ちかくは、北半球にあります。

いちばん古いものは、陸上植物が地球にあらわれて栄えはじめたデボン紀後期の石炭です。

しかし、いちばん良質の石炭をふくんでいるのは石炭紀から二畳紀にできた地層です。

中生代にできた石炭は、その埋蔵量もずっと少なく炭田もほとんどが小さいものばかりです。

しかし白亜紀にできた北アメリカの炭田やジュラ紀にできた満州の炭田は、たいへん大きなものです。

新生代第三紀の炭田は、新生代に地殻運動の盛んに起きている太平洋をとりまく国々に発達してします。
このほかに、ドイツのかっ炭がとれる大きな炭田も、この時代のものです。

日本の炭田

日本では、世界全体の様子と全く違っていて古生代にできた炭田はほとんどありません。
中世代のものも、三畳紀の舞鶴(京都府)・成羽(岡山県)・大嶺(山口県)の三炭田をのぞいては、小さいものばかりです。

これにくらべて、第三紀の前半にできた炭田から産出する石炭量は日本の石炭産出量全体の95.5パーセントもしめています。

北九州・北海道・常磐などの大きな炭田はみなそうです。

これらの炭田の石炭は、新しい時代にできたわりあいに炭化が進んでいます。
それは、日本が、第三紀の地殻変動をさかんに受けたからでしょう。
そして、国土のせまいわりには、総埋蔵量が多く、212億トンといわれています。

日本では、炭化のもっとも進んだ無煙炭や工業用にどうしても必要な粘結性の強いれきせい炭がたいヘん不足しています。

そのうえ、石炭の層がうすかったり、切れていたり、まがったりしていて外国にくらべて、あまりよい状態ではありません。




石炭の性質とは?物理的性質・化学的性質とは? わかりやすく解説!

物理的性質

石炭の色・つや・割れかたなどの性質を物理的性質と言います。

炭化が進むにつれて、枯れ木のような色からだんだん黒くなります。

条こん色

素焼きの面を、岩石や鉱物でこすると、粉にしたときの色がわかります。
これを条こん色といいます。

これも、炭化が進むほど黒ずんできます。

つや

炭化が進むほど、つやがでます。

割れ口

もろくて質が一定でない石炭を叩いて割ると、でこぼこの割れ口ができます。
質が一定であると貝がらを割ったときのような割れ口になります。

もろさ

炭化が進んで、質が一定になるほど、細かく砕けやすくなります。

比重

ふつう炭化が進むほど大きくなります。

しかし、石炭の中の燃えないものの量、言い換えれば灰の分量が多いと炭化の進んでいない石炭でも重いことがあります。

火つきの温度

木材では、摂氏470度、泥炭では280度です。
表に見られるように炭化が進むほど高い温度が必要となります。

炭カロリー

石炭の発熱量というのは、石炭1キログラムが完全に燃えたときだす熱量でキロカロリーであらわします。

そして、この1キロカロリーを一炭カロリーとして使います。
炭カロリーは、炭化が進むにつれて大きくなります。


化学的性質

炭素・水素・酸素の量

491ページの表にもしめしたように炭化が進むにつれて、駿素は激しく減りますし水素も少し減りますが炭素はほとんど残りますから、その割合が急に増えます。

ねばりけ(粘結度)

石炭を火の中に投げ入れると、石炭の種類によっては燃えながら溶けて、カルメラのようにねばりけがでて、固まってくるものがあります。

このような性質を石炭の粘結性といってコークスからくるのに大切な性質となっています。

こうして固まるときに、あまりガスを出さないで硬いコークスをつくる石炭を強粘結性の石炭と呼びガスを出してやわらかいコークスをつくるものを、弱粘結性の石炭と言います。

この粘結性は、れきせい炭と、やや炭化の進んだ亜れきせい炭にだけあります。

組織

石炭の面をよく見ると、つやのある部分と、つやのない部分とが、しまをつくっています。

つやのある部分は、輝炭とよばれ、木の幹のようなところが炭化したものでときには、もとの植物の細胞が残っています。

にぶいところに、暗炭といい、小枝・木の葉・腐った木が炭化した部分であって花粉・胞子・種子がふくまれているときもあります。

このほか、木炭のように見える炭母炭とよばれる部分もときどき見られます。
これは、山火事などでできた天然の木炭だと考えられています。

日本のものでは、特に岩手県久慈の石炭に多くふくまれています。
また、コハクも、むかしの植物の樹脂がかわったものと考えられています。




石炭のでき方とは?石炭のできる場所とは? わかりやすく解説!

石炭

石炭と言うのは、大むかしの木や葉が厚く積もり土砂の中にうずまって、長い年月のあいだ地熱や圧力をうけてできたものでよく燃える岩石とも言えます。


石炭ができる場所

石炭は、植物からできたものですが、その植物は、もとのままでは残っていません。

石炭になるまでには、熱をうけ、押し縮められて性質もかわり、たいへん小さくなっています。

石炭は、厚さが1~3メートル、ときには十数メートルという層をつくっていることがあります。

こういう炭層の石炭を、もとの植物の大きさに直してみるとものすごく厚かったことが、そうそうされます。

ですから、このような場所ではたくさんの木が折り重なるようにして積もったことになります。

しかし。森林の木や葉が積もっても、空気に触れていればすぐに腐ってしまい、石炭のもとになる物資は、なくなってしまうでしょう。

ですから、石炭ができるときには、そのような分解をしてしまう前に木や葉が土砂の中に、埋め込まなければなりません。

したがって、石炭は、土砂のよく積もるような沼・湖・海岸の近くでしかも森林のよく発達したところにだけできます。



炭化作用

植物の幹や葉が水中に入って土砂をかぶりますと、空気の酸化作用や、酸素を使って生きている酸化バクテリアや昆虫などの作用がにぶり、腐りにくくなります。

さらに土砂がたまるにつれて、植物は、どんどん地下に沈んでいきます。
すると、植物質中の酸素と水素がむすびつき、水となってでていきます。
あとに残ったのが炭素をたくさんふくんだ泥炭です。

これが炭化作用の前半で、泥炭化作用とよばれています。

つぎに、上に厚く積もった土砂の重みや地殻の変動による圧力や火山・温泉の作用などで、水分や揮発分が逃げていきます。
これが後半の炭化作用です。

こうして、植物は、泥炭やかっ炭になりつぎに、れきせい炭となって、ついには無煙炭となります。

つぎの表でもわかるように、木材から無煙炭になるにつれて炭素の量はしだいに増え、水素と酸素の量は、だんだん減ってきます。

そして、炭素の量の多い石炭を炭素の量の少ない石炭に対して炭化作用の進んだ石炭といいます。

石炭の黒いのは、炭素が多いからです。

石炭の分類

炭化作用の進み具合で、左の表のように石炭を分類することができます。

日本のように火山の多いところでは火山の熱で、蒸し焼きにされてできたオコリとよばれる無煙炭の一種やチクラとよばれるれきせい炭、または、せん石とよばれる天然のコークスがあります。




物理探査・化学探査とは?地下資源の探査と種類とは?

探査

地下には石炭・石油・金属鉱床をはじめとして、いろいろな地下資源があります。
これら、地下資源や地下水・温泉などを調査することを探査と言います。


物理探査

人工的または自然に起きたいろいろな現象を、おもに地人万観測してその観測したものをもとにして地下の構造や鉱床を調査する方法を物理探査といいます。

物理探査には、現在つぎのような方法が広く用いられています。

電気探査

地表に電極を差し込んで、地下に電流を流し、地下を通った電流を別の電極で受け地下の物質の電気抵抗の大小を測定するものです。

その測定した結果により、岩石の種類、表土の厚さ地下水面の深さなど、地下の様子を調べるものです。

重力探査

重力計を用いて地下の物質や構造を水底する方法です。
地下に質量の大きい物質があると、重力の方向はその物質のほうに偏ります。

これによって、地下にある物質の密度分布から鉱床に位置や深さ、地層の状態などを調べるものです。

地震探査

火薬を爆発させて人工地震を起こし地表の各地点にあらかじめ設けられた地震計に、その波の伝わりかたを記録します。

そして、その記録を調べることにより、地下の構造や鉱床などを探査する方法です。

音波探査

水中から等しい間隔で繰り返し音波を出して、跳ね返ってくる波を記録しそれを調べることによって、海底資源や大陸棚の様子を調べるものです。

磁力探査

地下には、磁鉄鉱をはじめとして、磁石のように磁化されている物質があります。
この磁化されている物質によって生じる地磁気のごくわずかな異常を測定して
その物質の分布を水底する方法です。

この方法は、磁鉄鉱のほかにニッケル鉱などの探査にもよく用いられています。

放射能探査

ガイガ=ミュラーカウンターやシンチレーションカウンターと言われる放射能を測定する器械を用いて探査する方法です。

この方法は、ウラン・トリウムなどのような放射性元素をふくんでいる物質を
探査するのによく用いられています。



化学探査

化学的な方法によって鉱床を探査するとをいいます。

この方法は、川の水や地下水に溶けている成分の種類や量を化学分析によって調べ、その結果から、鉱床のあるなしを見分けるものです。

また、鉱床が地表にあらわれていないときはその表土を化学分析することにより地下の鉱床を調査します。

そのほかの探査

地質調査

地表にでている露頭を観測して、地下の状態を推定するものです。

地質調査は、岩石の種類・特徴、地層の重なりかた地層の走向や傾斜、地層の厚さ、マグマの活動、火成岩の産出状態などを調べるものです。

ボーリング

地表から地中に直径20~50ミリの穴をあけて、地下の地質構造を調べたり地下資源をとったりする作業を、ボーリングまたは試錐と言います。

ボーリングには手掘り・機械掘り、つなの上下動による衝撃によるもの回転式の機械によるものなど、いろいろな方法があります。

人工衛星によるもの

最近、人工衛星による資源の開発が注目を浴びています。

これに、人工衛星のうち、実用衛星とよばれるものでとくに、そのうちの資源衛星(地球資源観測衛星)と言われる衛星です。

この資源術星は、広い地域の航空写真をとり、断層やその破砕帯から新しい油田を発見したり、地表の赤外線を測って地表の温度をもとめ火山の噴火を予測したりします。

また、実用衛星のうち海洋衛星は、海流から魚群を見つけたり大陸棚の海底地形から海底の資源を発見したりします。

このような方法で、アラビアの油田を見つけたところもあります。

このように、これからの探査は、たんに地表からおこなうばかりでなく人工衛星などを用いて地球上のいたるところから地ド資源を見つけるようになるでしょう。




鉱床のでき方とは?火成鉱床・堆積鉱床とは? わかりやすく解説!

鉱床

地殻の中には、銅や鉄をふくんだ鉱物がごくせまいところに集まって分布しているところがあります。これを鉱床といいます。

私たちの日常生活や、いろいろな工業に役に立つ鉱物はおもに鉱床にある特殊な岩石から産します。

鉱床という言葉は、鉱物ばかりでなく石炭・石油・地下水・温泉などにも広い意味で使うことがあります。


鉱床と鉱石

銅の原料となるオウドウ鉱や、亜鉛の原料となる閃亜鉛鉱などいろいろな有用鉱物は銅や亜鉛の原料としては役に立たない石英とか方解石というような不用の鉱物といっしょに産出されるのがふつうです。

このように、有用な元素の集まった岩石を鉱石といいそのうち、採掘の目的となるものを鉱石鉱物、役に立たない不用なものを脈石鉱物と言います。

しかし、どんなに役に立つ鉱物であっても採掘の目的に適わないものは鉱石とは言えません。

たとえば、方解石や石英は金属の原料をとる目的では脈石鉱物になりますがこれらの鉱物の結晶がよく、また、整った形として産し光学材料や装飾として採則の目的に適うならば、鉱石鉱物となるわけです。

このように、鉱石鉱物と脈石鉱物は、鉱物の種類によって決まるのではなく採掘の目的に適うかどうかによって決まるのです。

鉱床のできかた

鉱床は、いろいろな形で分布していますがふつう岩石の割れ目を満たしている状態で分布することが多いようです。

とくに、金属元素をふくれ金属鉱床はそのできかたや産出される状態がいろいろあり火成鉱床・堆積鉱床・変成鉱床に大きくわけられます。



火成鉱床

マグマがゆっくり冷え固まるときに特定の元素が集まって火成岩や、火成岩の近くの岩石の中に鉱床をつくることがあります。

これを火成鉱床といいます。

火成鉱床は、マグマが冷え固まるときの温度や、マグマにふくまれる成分などによって、いろいろな種類の鉱床ができます。

正マグマ鉱床

マグマが冷え固まる初期のころに、密度の大きい鉱物が結晶して出てきてマグマだまりの下のほうに沈殿してできる鉱床です。

このときできる鉱床は、鉄・ニッケル・コバルト・白金などをふくむ鉱物です。

ペグマタイト鉱床

造岩鉱物にならなかった元素の大部分は、残ったマグマの中に集まり火成岩の割れ目などに入って、石英・長石・雲母などの大きな結晶をつくります。

そして、これら結晶とともにタングステン・リチウム・ベリリウムなどをふくんだ金属鉱物も結晶として産出します。

このようにしてできる鉱床をペグマタイト鉱床といいます。

気成鉱床

造岩鉱物が結品として出て、残ったマグマの中のガスの圧力が大きくなると
マグマは岩石中やその割れ目などに入ってスズ・モリブデン・タングステン・銅などをふくんだ鉱物が結晶して鉱脈をつくることがあります。

これを気成鉱床と言います。

熱水鉱床

マグマの温度が下がって、熱水溶液になりこれが岩石中やその割れ目などに入ってつくる鉱床を、熱水鉱床といいます。

このとき金・銀・銅・鉛・亜鉛・水銀などをふくむ鉱物が結晶としてでます。

接触交代鉱床

残ったマグマのガスや熱水溶液が、とくに石灰岩の中に浸透するとその岩石と化学反応を起こして、スカルンとよばれる岩石ができます。

そして、このスカルンの中に、鉄・銅・鉛・亜鉛などをふくんだ鉱物が結晶としてでることがあります。

これを接触交代鉱床といいます。

堆積鉱床

堆積岩ができるときと同じように川底や湖底に堆積してできる鉱床を堆積鉱床といいます。

漂砂鉱床

火成岩にふくまれていた成分が風化して細かくなり重さの違いなどによって水底に沈殿してできる鉱床を漂砂鉱床といいます。

このようにしてできる鉱床には、砂鉄・砂金・ダイヤモンドなどがあります。

沈殿鉱床

湖水にふくまれる鉄分や塩分が沈殿してできる鉱床を沈殿鉱床と言います。

これには、岩塩・セッコウ・鉄・マンガン・ウランなどがあります。

残留鉱床

熱帯や亜熱帯地方で、風化作用によって有用な鉱物が集まってできる鉱床を残留鉱床といいます。

これには、ボーキサイト・陶土などがあります。

変成鉱床

すでにできている鉱床が、変成作用をうけてできる鉱床を変成鉱床と言います。
おもな銅山には銅硫化鉄鉱(キースラーガー)といわれる鉱床がケッショウヘン岩中に産することがあります。

これは変成鉱床の1つです。




貴金属や宝石となる鉱物の種類と特徴とは? わかりやすく解説!

自然金

金というのは金属としての名前で、天然に産する金を自然金とよんでいます。
形は細い糸か、木の枝のようになっています。

色は、金属光沢のある美しい黄金色で、条こんも同じ黄金色です。
比重は15.6から19.3と非常に重く、硬度は3です。

成分は純粋の金ですが不純物として、銀や銅が入っていることが多いようです。


輝銀鉱(キギン鉱)

輝銀鉱というのは、金属光沢をもった銀の鉱物という意味です。

形は、八面体か六面体ですが、不規則な塊状となっていることもあります。
劈開はなく、展性があります。

色は金属光沢をもった鉛色ですが、ときどき表面がさびて黒くなります。
比重は7.3、硬度は2でやわらかく、ナイフで切れます。

成分は銀と硫黄で、銀を約87%ふくみます。

ダイヤモンド(金剛石)

ダイヤモンドというのは、非常に硬い石という意味です。

結晶の形は、あまり見られませんが、形は、まるみを帯びた八面体です。
ダイヤモンドだけに見られる強い光沢をもっていて、ダイヤモンド光沢とよばれています。

色は、無色透明なものから、黒みがかったもの、黄色のものまであります。

比重は3.5、硬度は10です。

ダイヤモンドは、純粋の炭素からなっていて酸やアルカリなどの強い薬品にもおかされません。

ダイヤモンドの中で色・形などが悪かったり傷があって宝石にならないものをボルツと呼ぶことがあります。

ダイヤモンドの重さを測るとき、よく、カラットという単位が使われます。
1カラットは、0.2グラムにあたります。

ルビー・サフフイア(鋼玉)

鋼玉というのは、非常に硬い玉という意味です。

赤くきれいなものをルビー、青くきれいなものをサファイア、これらをまとめてコランダムともよばれてしいます。

形は六角柱で両端のとがった形が、いちばん理想的ですがふつうには粒状になって産します。

色は、暗い灰色から、赤・青・黄色と非常に多く、条こんは無色です。
比重は4.0、硬度は9でダイヤモンドについで硬い鉱物です。



エメラルド

エメラルドは、リョクチュウ石(緑柱石)の中でも、美しい緑色をしたものです。

形は、六角柱状になることが多く、縦に条線が入ります。劈開は、ほとんどありません。

また、ガラス光沢をもっとものもあります。比重は2.7、硬度は7です。
成分は、ベリリウム・アルミニウ厶・ケイ素・酸素などです。

ヒスイ(翡翠)

ヒスイは、キ石の一種で、形は塊状か、繊維状がふつうです。
色は、緑・青・白色などいろいろです。

比重は3.3、硬度は7です。成分は、ナトリウムを多くふくんだチョウ石と同じです。

ムーンストーン(月長石)

ムーソストーンは、この鉱物が無色透明で内部からでる光が月の光のような感じがすることから名付けられたものです。

柱状をした結品をし、劈開のある、チョウ石の一種です。

無色透明で、比重は2.6、硬度は6です。成分は、カリウムに富んだチョウ石と同じです。

メノウ(瑪瑙)・ヘキギョク(碧玉)・ギョクズイ(玉髄)

これらの鉱物は色の違いを除けば、だいたい同じ鉱物と考えられています。

岩石の割れ目やゲンブ岩などの穴の中を満たして産出し形は、いずれも不規則なかたまりとなっています。

色は、メノウが赤と白の縞模様、ヘキギョクが緑、ギョクズイがワックスに似た光沢のある白と灰色です。

比重は2.6、硬度は6~7です。

成分は、セキエイと同じようにケイ素と酸素とだけからなりますが結晶質になっていない部分と、小さな結晶との集合したものと考えられています。




非金属鉱物とは?石墨・雲母・石英・滑石とは?

石墨(セキボク)

石墨は、色も光沢も鉛によく似ています。
形は不規則な塊状か土状がふつうで、魚の鱗のようになっています。

色は、鉛によく似た黒色で、金属のような光沢があり、条こんも黒色です。
比重は2.2、硬度は1.5で、やわらかい鉱物です。
成分は、炭素だけからなっています。


雲母(ウンモ)

形は、板状の結晶で、劈開か、1つの方向にだけ非常に発達しているので、うすくはがれる性質があります。
色は、黒と白とがあって、それぞれ黒雲母・白雲母と言います。

比重は3、硬度は2~3です。
成分は、ケイ素と酸素のほかに、アルミニウムやカリウムなどをふくんでいます。

雲母は、熱や電気を通しにくい性質があります。

石英(セキエイ)

六角柱状の結品のよいものを、ふつう水晶と言いますが鉱物としては、石英も水品もまったく同じものです。

形は、六角柱状で、先がとがっているのがふつうです。
劈開はなく、割るとがガラスを割ったような形(貝がら状断口)になります。
結晶面には、横の線が入っていますが、これは劈開ではなく条線といいます。

色は、ガラス光沢を持った無色透明がふつうですが紫・ピンク・白・黒などもときどき見かけます。

比重は2.7、硬度は7です。成分は二酸化ケイ素からなっています。
石英は、強い酸やアルカリなどの薬品に強く、フッ化水素に侵されます。

滑石(カッ石)

滑石は、名前の通り、すべすべした石で、指先で触ると、ロウのような感じです。

色は、白がいちばん多いのですが、青みを帯びたり、黄みを帯びることもあります。
比重は2.7、硬度は1で、爪でも傷がつくほど、やわらかい鉱物です。

成分はマグネシウムとケイ素と酸素と水分です。

方解石(ホウカイ石)

方解石は、ふつうひし形の面で囲まれたものが多いです。
しかし、とがったもの、板状のもの、繊維状のものなどもあります。

劈開は三方向に発達しているので、ひし形で囲まれた、劈開片になります。
色は、ふつう無色透明ですが、白・黄・灰・緑褐色などもあります。

比重は2.7、硬度は3です。
成分は、炭酸カルシウムで、うすい塩酸に溶けて二酸化炭素を発生します。

ザクロ石(柘榴石)

ザクロに似た赤色の結晶です。
形は、斜方12面体や、それに似たものになります。
色は、赤・緑・黄・灰・黒色などいろいろあります。

比重は4、硬度は7です。
成分は、二酸化ケイ素がおもで、そのほかカルシウム・アルミニウム・マグネシウム・鉄・マンガンなどが混じっています。



硫黄

形は、八面体か厚い板状、または不規則な塊状になります。
劈開はなく、色は脂肪光沢のある鮮やかな黄色で、条こんも黄色です。

比重は2、硬度は2です。成分は硫黄です。

黄鉄鉱(オウテッ鉱)

黄鉄鉱は、黄色をした鉱物で、形は六面体や五角12面体になります。
色は、金属光沢をもった黄金色で、黄銅鉱に似ていますが条こんが黒褐色で、黄銅鉱とは区別できます。

比重は5、硬度は6です。

成分は硫黄と鉄で、硫酸の原料とするため利用面からは非金属鉱物になりますが光沢面からは金属鉱物になります。

長石(チョウ石)

長石は、細長い形をした柱状の結晶です。劈開が直角の方向によく発達しています。

色は、ガラス光沢のある白がもっとも多く、ときには黄・ピンク・灰色のものがあります。
比重は2.5~2.75までのものがあり、硬度は6です。

成分はケイ素・アルミニウム・酸素・カルシウム・ナトリウム・カリウムなどからなります。

その中でも、カリウムが多いものをセイチョウ石といいカルシウムとナトリウムが多いものをシャチョウ石といいます。

ホタル石(蛍石)

ホタル石は、八面体か六面体をしたものが多く、劈開もよく発達しています。
色は無色透明なものから、白・緑・青色などいろいろあります。

比重は3.2、硬度は4です。成分はフッ素とカルシウムからなります。

セッコウ(石膏)

セッコウは、ふつうひし形か、柱状の結晶をしたものが多いです。
劈開があり、色は、ガラス光沢をもった白色のものがよく見られます。

比重は2.3、硬度は2です。成分は結晶水をふくんだ硫酸カルシウムです。




錫石・クロム鉄鉱・輝水鉛鉱・軟マンガン鉱の利用法とは?

錫石(スズ石)

錫石というのは、すずをふくむ石という意味です。
形は、短い柱状ですが、2つの結品がハの字形についていることがよくあります。

劈開は、ほとんど見られません。

色は、かっ色がかった黒色で金属に近い光沢をもっています。条こんは、うすい褐色です。

比重は7、硬度は6.5です。
成分は、すずと酸素とからなり、すずを約79%ふくむので、すずの鉱石となっています。

錫石は、そのまま吹管で熱しても溶けませんが錫石の粉に炭酸水素ナトリウムをまぜて熱すると金属のすずをとることができます。


クロム鉄鉱(クロムテッ鉱)

クロム鉄鉱というのは、クロムと鉄をふくむ鉱物という意味です。
形は、不規則な塊状となってでることが多く、劈開も見られません。

色は黒色ですが、条こんは褐色です。比重は4.7、硬度は5.5です。

成分はクロムと鉄と酸素からなり、クロムを約46%ふくみ、クロムの鉱石となっています。

磁鉄鉱によく似た鉱物ですが磁性がないかあっても非常に弱いことが磁鉄鉱と違う点です。

輝水鉛鉱(キスイエン鉱)

輝水鉛鉱というのは金属光沢(輝)を持ちモリブデン(水鉛)をふくむ鉱物という意味です。

形は板状か鱗のようなものがふつうです。
劈開は、一方向にだけ非常に著しいので、雲母のように薄く剥げる性質があります。

色は金属光沢をもった銀色で、条こんは、鉛のような灰色になります。
比重は4.8で硬度は1のやわらかい鉱物です。

そのため、紙の上にこすりつけても、灰色のすじをつけることができます。

成分はモリブデンと硫黄からなりモリブデンを約60%ふくむので、モリブデンの鉱石です。

やわらかく、油のような感じがあるのは、石墨とよく似ていますが輝水鉛鉱は閉管で熱すると分解して硫黄くさいにおいがし管の中には、黄色の硫黄が昇華してつきます。

軟マンガン鉱(ナンマンガン鉱)

軟マンガン鉱というのは、マンガンをふくれやわらかい鉱物という意味です。
形は、土状か塊状で、結晶になることはありません。

したがって、劈開もありません。色は黒く、条こんも黒色です。
やわらかいので、触ると手が汚れるのは石墨によく似ています。

比重は4.8で、硬度は2.5です。
成分は、マンガンと酸素と水で、マンガンを約60%ふくみます。
また、軟マンガン鉱は、塩酸に溶けて塩素を出します。



硬マンガン鉱(コウマンガン鉱)

硬マンガン鉱というのは、マンガンをふくむ硬い鉱物という意味です。
形は、ブドウのふさやそら豆のかたまりのようになっています。
割ると、貝がら状の断口をしめします。

色は、鉄のような黒色で、条こんも同じ黒色になります。
比重は4.7、硬度は、軟マンガン鉱より硬く、5.5くらいあります。

成分も軟マンガン鉱と同じでマンガンと酸素と水からなりマンガンを約60%ふくむのでマンガンの重要な鉱石となっています。

硬マンガン鉱も、軟マンガン鉱と同じように、塩酸に溶けて塩素を出します。
また、濃い硫酸の中に粉末を入れると、溶けて紫色になります。

ボーキサイト

ボーキサイトの名前はフランスのボーというところからたくさんでたので、こう名付られたといわれています。

形は不規則な土状のものが多いですが大豆の集まったようなものになることもあります。
劈開はなく、色も条こんも同じで黄色から褐色まで、まちまちです。

光沢はなく、水で濡らすと、ねん土くさいにおいがします。
比重は2.6、硬度は1から5までで、一定していません。

成分は、アルミニウムと酸素と水で、アルミニウムを約39%ふくみます。
また、不純物として鉄分を少しふくむのが、ふつうです。

鉄マンガン重石(テツマンガンジュウ石)

鉄マンガン重石というのは、鉄とマンガンをふくむ重い鉱物という意味です。

形は、板状の結晶が多く、縦の条線があります。劈開も見られます。

色は、金属光沢をもった黒色で、条こんは、やや赤みを帯びた黒色です。
比重は7.3~7.6、硬度は4~4.5です。

吹管で熱すると、かんたんに溶けます。
成分はタングステンと鉄とマンガンと酸素からなり、タングステンの重要な鉱石です。




黄銅鉱・方鉛鉱・閃亜鉛鉱・輝安鉱・辰砂の利用法とは?

黄銅鉱(オウドウ鉱)

形は四面体ですが、いっぱんには塊状になっています。折ると、貝がら状断口になります。

色は金属光沢をもった金色ですが表面がさびて青紫色や黒色になっているものも、よく見かけます。
条こんは、やや緑色がかった黒色です。

黄鉄鉱と似ていますが、黄鉄鉱は、条こんが黒褐色をしているので区別できます。比重は4.2、硬度は4です。

成分は銅と鉄と硫黄からなり、銅を約35%ふくむので銅の鉱石として重要な鉱物になっています。

また、黄銅鉱の小さなかけらを吹管でふくと、ピチピチ跳ねて折れます。
閉館で熱すると、分解した硫黄が閉管につきます。

そして、硫黄くさいにおいがします。


方鉛鉱(ホウエン鉱)

ホウエン鉱とは四角(方形)に折れる、鉛をふくんだ鉱物という意味です。

形は、さいころのようなものがいちばんふつうですが互いに直角の方角に交わる劈開のある塊状になってでることもあります。

劈開は、直角の方向に非常によくできるのでどんなに小さく割っても、直方体か立方体をした劈開片になります。
色は、金属光沢のある銀色ですが、表面がさびて、灰色になっていることがあります。条こんも灰色です。

比重は7.6で、重い鉱物の仲間に入ります。硬度は、2.5です。

成分は、鉛と硫黄からなり、鉛を約87%ふくむので、鉛の重要な鉱石です。
ホウエン鉱の粉末を、木炭の上で、吹管で強く熱するとピチピチ音を立てながらかんたんに溶け、しまいには、鉛の小球ができます。

閃亜鉛鉱(センアエン鉱)

閃亜鉛鉱というのは、金属光沢をもち、亜鉛をふくんだ鉱物という意味です。

形は、四面体か、四面体の角がちょっと欠けた形になります。
劈開は非常によく発達していますが、劈開の方向や劈開片の形が方鉛鉱とは違います。

色は、松やにのような光沢のある黒い褐色で、ごく薄くすると光を通すようになります。

金属をとる鉱物の大部分はどんなに薄くしても、光を通しませんから閃亜鉛鉱のようなものは例外と言えましょう。

条こんは、褐色がかった黄色です。比重は4.0、硬度は4です。
成分は亜鉛と硫黄からなり、亜鉛を約67%ふくむので、亜鉛の鉱石になっています。

また、閃亜鉛鉱のかけらを吹管で熱するとピチピチ音を立てて割れますが、溶けません。



輝安鉱(キアン鉱)

形は、長い柱状か針状をしています。
劈開は、結晶の長く伸びた方向に平行して、非常によく発達しています。
色は、金属光沢を持った

鉛のような灰色ですが、直射日光にさらすと、表面がさびて光沢を失います。
条こんは、灰色がかった黒色です。比重は4.6、硬度は2です。

成分はアンチモンと硫黄からなり、アンチモンを約71%ふくむので、大切な鉱石です。

輝安鉱は、熱に対して、非常に溶けやすい鉱物の1つで小さなかけらは、ろうそくの火でも、かんたんに溶かすことができます。

開管で熱すると酸化されて、もくもくと白い煙りをあげ開管の口からは硫黄くさいにおいがします。
そこに濡れたに青いリトマス試験紙をかざすと、赤く変化するのが見られます。

また、輝安鉱を粉にしたものを木炭の上で吹管で熱すると穴のまわりには白と青の大きな鉱衣がつき、穴の中にはアンチモンの小球ができます。

辰砂(シンシャ)

辰砂とは、中国の辰州からとれたものが有名だったのでこう名付けられたと言われます。

形は、不規則か土状がふつうですがまれに、はっきりした板状結品のものがでることもあります。劈開もあります。

色は赤く、条こんも同じように赤色です。
比重は8で重く、硬度は2でやわらかい鉱物です。

成分は、水銀と硫黄からなり、水銀を約86%ふくむので水銀の重要な鉱石となっています。

辰砂は、閉管で熱すると、昇華して(溶けない)閉管の中ほどに黒くつきます。

この黒いところも辰砂ですから、さらにそこを熱するとその上にまた黒い辰砂がつきます。




おもな鉱物とその利用とは?金属をとるための鉱物とは?

大地にふくまれる金属

私たちの身のまわりを見ると、鉄やアルミニウムなどいろいろな種類の金属が、じつにたくさん使われていることに気がつきます。

これらの金属は、すべて私たちが住んでいる大地からとれたものです。

大地には、いったいどのくらいの金属がふくまれているかを見ると平均して、鉄は5.0%、アルミニウムは8.07%、銅は0.01%しかふくまれていません。

水銀は、さらに少なく、0.0002%しかふくまれていません。

しかし幸いなことに、大地には、金属をたくさんふくんでいる鉱物があり私たちは、このような鉱物から金属をとっています。

また、鉄・アルミニウム・マンガンをとるための鉱物は酸素をふくんでいるという特徴があります。

銅・鉛・亜鉛・スズ・水銀などをとる鉱物には硫黄がふくまれることが多くなっています。


鉄をとる鉱物

鉄をとる鉱物には、磁鉄鉱・赤鉄鉱・褐鉄鉱があります。

黄鉄鉱は、鉄の含有量は多いのですが、硫黄をふくんでいるためむかしは鉄の鉱石として使いませんでした。

しかし、いまでは、精錬法が発達したので硫黄をとった残りからも、鉄をとるようになりました。

磁鉄鉱(ジテッ鉱)

形は八面体の結晶になることが多いのですが細かな結晶が集まって、塊状になってでることもあります。劈開はありません。

色は鉄のような黒色をしていますが、条こん色も黒色になります。比重は5.0、硬度は6です。

成分は鉄と酸素からなり、鉄を約72%ふくみます。
粉末にすれば塩酸に溶けて黄色の液になります。

磁鉄鉱は、磁性がとくに強い鉱物でなかには、磁鉄鉱自身が磁石になっているものもあります。
このような磁鉄鉱を天然磁石とよんでいます。

赤鉄鉱(セキテッ鉱)

赤鉄鉱と言うのは、赤くて鉄をふくんでいる鉱物という意味です。

形は、ちょうど血がどす黒くかたまったようになっていますが不規則な塊状のこともあります。劈開はありません。

色は赤かっ色ですが、灰色をした板状の結晶になっていてちょっと見ただけでは、セキテッ鉱であることに気がつかないことがあります。

しかし、その条こんを調べとどちらも赤かっ色がでるので同じ鉱物であることがわかります。

比重は5.3、硬度は5.5です。

成分は鉄と酸素とからなり、鉄を約70%ふくみます。
ごく細かい粉にすれば、塩酸に溶かすことができます。

磁性はありませんが木炭の上で吹管を使って強く熱すれば磁性をもったものができます。

褐鉄鉱(カッテッ鉱)

いっぱんには、不規則な塊状ですがブドウのふさのような形や、そら豆のような形になってでることもあります。

かわったものでは黄鉄鉱のさいころ形の結晶がそのまま褐鉄鉱にかわって黄鉄鉱の形をした褐鉄鉱もあります。

このような褐鉄鉱を、長野県ではブ石とよんでいます。
色は褐色で条こんも褐色ですが、水分などによって、色もかなり違います。

比重は4.0、硬度は約4~5.5です。成分は鉄と酸素とからなり、鉄を約60%ふくみます。

砂鉄

砂鉄は鉱物の名前ではなく、砂のように細かくなった鉄の鉱物のことをいいます。

砂鉄は、その大部分が磁鉄鉱です。




鉱物の化学的性質とは? わかりやすく解説!

閉管による実験

直径8ミリくらいの試験竹の底に鉱物の粉を入れ、下からバーナーかアルコールランプで熱してみます。
閉管には、ガラス管を10センチの長さに切り、片方を閉じて使ってもかまいません。

また、鉱物はハンマーで砕いてから乳鉢に入れ、ざらざらしなくなるまで粉にします。
これを耳かきで、3~4杯ずつ閉管の底に入れます。

熱しはじめたら、①溶けるか溶けない ②煙りは出るか出ないか③外華物が出るかどうか ④閉管の上部がくもるかどうか(くもれば水滴がついたからで、鉱物に水がふくまれていたことが、わかります)⑤においがでるかどうか、などに注意して観察します。

たとえば、シンシャを熱してみると管の底から1センチくらい上に、黒いものが帯のようにつきます。

これは、シンシャが昇華してついたもので閉管の底に黒く残っているのは、シンシャではなく不純物の場合が大部分です。

また、閉管の口では、硫黄のにおいがします。


開管による実験

開管は、写真のように30度ほど曲がったガラス管で、両はしは開いています。

この曲がっているところに、鉱物の粉を入れ閉管の実験と同じように、バーナーかアルコールランプで注意しながら熱してみます。

たとえば、キアン鉱を熱してみると粉はすぐ溶けますがしばらくすると、そこから白い煙りが、もくもく出てきます。

このとき、開管の一方のはしからは、イオウくさいにおいがでますしそこに湿ったに青色のリトマス試験紙を近づけると、赤くなります。

このことから、酸ができたことがわかります。

吹管による実験

木炭に炭すいやナイフ・きりなどでくぼみをつくり、この中に鉱物の粉を少し入れます。
これに吹竹でバーナーかアルコールーランプの炎を吹き付けて、鉱物を強く熱します。
そのとき、鉱物が溶けて、金属球や昇華物などができるのを、注意して観察します。

木炭は、よく上皮をはぎ落として、長さは13センチぐらいに切って使います。
くぼみは直径5ミリ、深さ3ミリくらいにします。

吹竹を吹くには、息を切らさないように続けて空気を送ることが必要です。
それには、ふき口にほほをぴったりつけるようにして、徐々に吹きはじめます。

そして、肺の中の空気がなくなりかけたらほほの中の空気を送り出しているあいだに、鼻から肺の中に空気を吸い入れます。

たとえば、ホウエン鉱を吹管で熱すると鉛が小さい球状に残りまわりに昇華物が黄色につきます。

このように、鉱物のまわりにできる昇華物を鉱衣といいどんな鉱衣がつくか、鉱物の近くと遠くでは鉱衣にどんな違いがあるかを注意することも大切です。

ホウエン鉱の例では、鉱物から離れたころに、青みがかった鉱衣ができます。

酸による実験

うすい塩酸をたらすと溶ける鉱物があります。
このような鉱物は、そのおもな成分が炭酸カルシウムからできているためです。

たとえば、ホウカイ石に塩酸をたらすと泡を出して溶けます。
これはホウカイ石が炭酸カルシウムからできているためでこのとき生じる泡は、二酸化炭素です。

そのほか、カスミ石・ランドウ鉱・クジャク石なども、うすい塩酸に溶けます。




鉱物の性質・形・硬度とは? わかりやすく解説!

結晶形

鉱物には、結晶しているものと、結晶でないものとがありますが多くの鉱物は結晶になっています。

ふつう、結晶になっている鉱物は、規則正しい形をしていますが結晶でありながら規則正しい形をしていないのもあります。

結晶の正しい形には、つぎのようなものがあります。

  • 立方体(サイコロのような形)
  • 八面体(正角形が8つ集まった形)
  • 四面体(正三角形が4つ集まった形)
  • 柱状(細長い形)
  • 板状(うすい板のような形)
  • りょう面体(ひし形が6つ集まった形)

鉱物がどんな結晶形かしているかは、鉱物の種類によって決まっています。

結晶の面角

2つの結晶面のあいだの角を面角といいます。
面角は、結晶面の交線に直角になるようにはかりますが結晶の種類を含める大切な性質の1つになっています。


色と条こん色

条こん色は、鉱物の粉末の色です。
この色は鉱物自体の色と違うことがあるので、鉱物を調べるのに、よく利用されます。

実験で条こん色を調べるにはふつう白い素焼きの板でできた条こん板に鉱物をこすりつけて、そのすじの色をみます。

そのほか、茶碗の糸底にこすりつけでもよいし乳鉢で粉にしたときの色を見るのもよいでしょう。

光沢

鉱物を調べるには、光沢に注意することも必要です。光沢には、つぎのようなものがあります。

金属光沢

磨いた金属に見られる光沢で金属をとる鉱石には金属光沢をもつものがたくさんあります。

ガラス光沢

ガラスを折ったときの面のような光沢で岩石をつくる鉱物のように透明な鉱物の大部分のものが、ガラス光沢をもっています。

脂肪光沢

ろうそくや脂肪のかたまりの表面に見られるような光沢でメノウやジャモン石に見られます。

金剛光沢

ダイヤモンドのように、透明で、屈折率の大きい鉱物に見られる強い光沢です。

真珠光沢

真珠のような光沢で、オパールやセッコウなどに見られます。

絹糸光沢

絹糸のような光沢で、イシワタなどに見られます。

硬度

鉱物の硬さは、2つの鉱物を互いに傷つけあって決めます。

同じ鉱物でも、とがった部分と、平らな面の上では傷のつきかたが違うので鉱物の硬さを決めるには、つぎのような注意がいります。

① とがった部分を使っても、相手の鉱物の平らな面の上に傷をつけることができない。(相手の鉱物のほうが硬い)

② 互いに、傷を付け合うことができる(同じ硬さとする)傷がついたかどうかを確かめるのには、指先でこすって傷をつけたときの粉をぬぐって調べてみます。

いろいろな鉱物の硬さは、硬さの順に、やわらかいほうから10の段階にわけてあります。

そして、それぞれの段階から代表的な鉱物を1つずつ選び鉱物の硬さをくらべるためにつくられたのが、モースの硬度計です。

ある鉱物の硬さを調べたいときはその鉱物をモースの硬度計にあるどれかの鉱物とこすりあわせてみます。

そして、たとえばホタル石でこすっても傷がつかないがリンカイ石でこすると傷がつくときは、その鉱物の硬度は4.5であるというように決めます。

また、身近に、モースの硬度計のないときは人間の爪の硬度が約2、ガラスが約5であることを覚えておくとだいたいの硬度を知るのに便利でしょう。

劈開と断口

鉱物かハンマーなどで叩いて割ると規則正しく割れるものと不規則に割れるものがあります。

規則正しく割れる性質を劈開といい、不規則に割れたときの割れ口を断口と言います。

劈開が、非常にできやすいか、ふつうにできるかできにくいかなどによって、鉱物を区別することがよくあります。

劈開によってできた割れ目が劈開面です。
劈開が1つの方向にだけ特別に発達したときは、雲母のようにうすくはがれるようにする。

また、輝石でカクセン石は、2つの方向に劈開面が発達しその角度が輝石ではやく87度、カクセン石では、やく124度になります。

キ石とカクセン石は、見かけは非常によく似ているので、劈開面の角度の違いが2つの鉱物を見分ける大切な点になっています。

壁面が互いに直角に3方向に発達すると、長方形やマッチ箱のような形に割れます。このような形を劈開片と言います。

また、断口が、貝殻を割ったような形になったものを、貝がら状断口とよびます。

セキエイは劈開がなく、割ると、貝がら状断口になります。



比重

ほぼ同じ大きさのホウエン鉱とセキエイを両手に乗せてくらべるとホウエン鉱のほうが重いのに気がつきます。

同じ大きさの水の目方とくらべた鉱物の重さを比重といいます。

比重を調べることは鉱物の性質や、鉱物の種類を見分けるのに役立ちます。
比重を測るには、つぎのような方法があります。

ジョリーの比重計

上のさらに鉱物を乗せたときの目もりをW、下のさらに鉱物をのせたときの目もりをW’としたときの比重はつぎの式でもとめられます。

比重瓶を使う方法

鉱物の重さをW、比重瓶に水をいっぱい入れたときの重さをW’比重瓶に鉱物と水をいっぱい入れたときの重さをW’とすると比重はつぎの式でもとめられます。

磁性

鉱物の中には磁石に吸いつけられるものがあります。
このように磁石にひきつけられる性質を磁性とよんでいます。

多くは、鉄をふくむ鉱物でなかでもジテッ鉱の磁性はとくに強く、鉄片を吸いつけるほどです。

ふく屈折

ホウカイ石を通して文字を見ると、二重に見えることはよく知られています。

自分で実験するときは、できるだけ透明なホウカイ石を選び、紙に書く字もできるだけ細く書くことが大切です。

下の字が二重に見えるのは、ホウカイ石の中で1つの光が屈折率の違う2つの光にわかれるからです。これを、ふく屈折といいます。

ふく屈折を調べるときは、どちらの方向に字がずれるか鉱物をまわしながら、ずれる方向を調べてみます。

溶けやすさ

鉱物を熱してみて、溶けやすいか溶けにくいかということも、鉱物の種類をきめる1つの方法です。

いろいろな鉱物の溶けやすさを、6つの段階にわけその段階の代表的な鉱物を決めてあるのが、コッペルの融解計です。

なお、溶けやすさを調べるときは、鉱物の大きさを約1.5ミリにします。




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