結晶形
鉱物には、結晶しているものと、結晶でないものとがありますが多くの鉱物は結晶になっています。
ふつう、結晶になっている鉱物は、規則正しい形をしていますが結晶でありながら規則正しい形をしていないのもあります。
結晶の正しい形には、つぎのようなものがあります。
- 立方体(サイコロのような形)
- 八面体(正角形が8つ集まった形)
- 四面体(正三角形が4つ集まった形)
- 柱状(細長い形)
- 板状(うすい板のような形)
- りょう面体(ひし形が6つ集まった形)
鉱物がどんな結晶形かしているかは、鉱物の種類によって決まっています。
結晶の面角
2つの結晶面のあいだの角を面角といいます。
面角は、結晶面の交線に直角になるようにはかりますが結晶の種類を含める大切な性質の1つになっています。
色と条こん色
条こん色は、鉱物の粉末の色です。
この色は鉱物自体の色と違うことがあるので、鉱物を調べるのに、よく利用されます。
実験で条こん色を調べるにはふつう白い素焼きの板でできた条こん板に鉱物をこすりつけて、そのすじの色をみます。
そのほか、茶碗の糸底にこすりつけでもよいし乳鉢で粉にしたときの色を見るのもよいでしょう。
光沢
鉱物を調べるには、光沢に注意することも必要です。光沢には、つぎのようなものがあります。
金属光沢
磨いた金属に見られる光沢で金属をとる鉱石には金属光沢をもつものがたくさんあります。
ガラス光沢
ガラスを折ったときの面のような光沢で岩石をつくる鉱物のように透明な鉱物の大部分のものが、ガラス光沢をもっています。
脂肪光沢
ろうそくや脂肪のかたまりの表面に見られるような光沢でメノウやジャモン石に見られます。
金剛光沢
ダイヤモンドのように、透明で、屈折率の大きい鉱物に見られる強い光沢です。
真珠光沢
真珠のような光沢で、オパールやセッコウなどに見られます。
絹糸光沢
絹糸のような光沢で、イシワタなどに見られます。
硬度
鉱物の硬さは、2つの鉱物を互いに傷つけあって決めます。
同じ鉱物でも、とがった部分と、平らな面の上では傷のつきかたが違うので鉱物の硬さを決めるには、つぎのような注意がいります。
① とがった部分を使っても、相手の鉱物の平らな面の上に傷をつけることができない。(相手の鉱物のほうが硬い)
② 互いに、傷を付け合うことができる(同じ硬さとする)傷がついたかどうかを確かめるのには、指先でこすって傷をつけたときの粉をぬぐって調べてみます。
いろいろな鉱物の硬さは、硬さの順に、やわらかいほうから10の段階にわけてあります。
そして、それぞれの段階から代表的な鉱物を1つずつ選び鉱物の硬さをくらべるためにつくられたのが、モースの硬度計です。
ある鉱物の硬さを調べたいときはその鉱物をモースの硬度計にあるどれかの鉱物とこすりあわせてみます。
そして、たとえばホタル石でこすっても傷がつかないがリンカイ石でこすると傷がつくときは、その鉱物の硬度は4.5であるというように決めます。
また、身近に、モースの硬度計のないときは人間の爪の硬度が約2、ガラスが約5であることを覚えておくとだいたいの硬度を知るのに便利でしょう。
劈開と断口
鉱物かハンマーなどで叩いて割ると規則正しく割れるものと不規則に割れるものがあります。
規則正しく割れる性質を劈開といい、不規則に割れたときの割れ口を断口と言います。
劈開が、非常にできやすいか、ふつうにできるかできにくいかなどによって、鉱物を区別することがよくあります。
劈開によってできた割れ目が劈開面です。
劈開が1つの方向にだけ特別に発達したときは、雲母のようにうすくはがれるようにする。
また、輝石でカクセン石は、2つの方向に劈開面が発達しその角度が輝石ではやく87度、カクセン石では、やく124度になります。
キ石とカクセン石は、見かけは非常によく似ているので、劈開面の角度の違いが2つの鉱物を見分ける大切な点になっています。
壁面が互いに直角に3方向に発達すると、長方形やマッチ箱のような形に割れます。このような形を劈開片と言います。
また、断口が、貝殻を割ったような形になったものを、貝がら状断口とよびます。
セキエイは劈開がなく、割ると、貝がら状断口になります。
比重
ほぼ同じ大きさのホウエン鉱とセキエイを両手に乗せてくらべるとホウエン鉱のほうが重いのに気がつきます。
同じ大きさの水の目方とくらべた鉱物の重さを比重といいます。
比重を調べることは鉱物の性質や、鉱物の種類を見分けるのに役立ちます。
比重を測るには、つぎのような方法があります。
ジョリーの比重計
上のさらに鉱物を乗せたときの目もりをW、下のさらに鉱物をのせたときの目もりをW’としたときの比重はつぎの式でもとめられます。
比重瓶を使う方法
鉱物の重さをW、比重瓶に水をいっぱい入れたときの重さをW’比重瓶に鉱物と水をいっぱい入れたときの重さをW’とすると比重はつぎの式でもとめられます。
磁性
鉱物の中には磁石に吸いつけられるものがあります。
このように磁石にひきつけられる性質を磁性とよんでいます。
多くは、鉄をふくむ鉱物でなかでもジテッ鉱の磁性はとくに強く、鉄片を吸いつけるほどです。
ふく屈折
ホウカイ石を通して文字を見ると、二重に見えることはよく知られています。
自分で実験するときは、できるだけ透明なホウカイ石を選び、紙に書く字もできるだけ細く書くことが大切です。
下の字が二重に見えるのは、ホウカイ石の中で1つの光が屈折率の違う2つの光にわかれるからです。これを、ふく屈折といいます。
ふく屈折を調べるときは、どちらの方向に字がずれるか鉱物をまわしながら、ずれる方向を調べてみます。
溶けやすさ
鉱物を熱してみて、溶けやすいか溶けにくいかということも、鉱物の種類をきめる1つの方法です。
いろいろな鉱物の溶けやすさを、6つの段階にわけその段階の代表的な鉱物を決めてあるのが、コッペルの融解計です。
なお、溶けやすさを調べるときは、鉱物の大きさを約1.5ミリにします。