ガラスの種類・原料・成形とは? ガラスの性質とは? わかりやすく解説!

ガラスの種類

ガラスは非常に種類が多く、また分類のしかたもいろいろありますがふつうはつぎの表のように化学成分によって分類します。


ガラスの原料

ソーダガラスの原料はケイ砂・石灰石・炭酸ナトリウムです。
カリガラスの原料は、このうちの炭酸ナトリウムのかわりに炭酸カリウムを使ったものです。

また、鉛ガラスの原料は、カリガラスの原料のうち、石灰石を酸化鉛にかえたものです。

ケイ砂は、長石質の岩石が風化してできたものですからいろいろな不純物が混じっていますが、おもな成分は二酸化ケイ素です。

二酸化ケイ素は酸性酸化物なので酸性原料といわれます。

炭酸ナトリウムは、塩基性塩なので塩基性原料といわれアンモニアソーダ法で、石灰石と食塩とから大量につくられます。
炭酸カリウムも塩基性原料で、天然の硫酸カリウムから生産されます。

石灰石と酸化鉛は、同じように塩基性原料です。石灰石のおもな成分は炭酸カルシウムです。
また、酸化鉛は、ほとんどが四三酸化鉛で、一部分一酸化鉛がまじっています。

ガラスの製法

まず、原料をまぜますが、このときまぜる原料の割合を決めるのが非常に大切でガラスの品質のよしあしは、このまぜる割合によって決まります。

まぜあわせた原料を、バッチといいますが
ふつうの板ガラスやガラス瓶をつくっている工場ではバッチだけでなく、古いガラスのくずをまぜて使います。

このくずガラスをカレットと卜います。
カレットは、いちどガラスとなっているのですから原料の配合の心配はなく、便利です。

ふつう、カレットをまざる量は、10~30パーセントですが50パーセント以上まぜることもあります。

原料の調合がすんだら、これに熱をくわえて溶かします。
工芸ガラスなどをつくる小さな工場では融解炉の中で、るつぼを使って溶かします。

いっぽう、板ガラスなどを大量につくる工場では耐火レンガでつくった、大きなタンクを使って溶かします。

原料を1300~1500℃ぐらい熱すると熱分解や化合によってカルシウムのケイ素酸塩やナトリウムのケイ酸塩ができ、種ガラスとなります。

るつぼ融解の場合は、溶けたガラスを全部とりだしてから原料を入れますが、タンク融解の場合は、いっぽうの囗から溶けたガラスをとりだしもういっぽうの口から原料を入れて、連続的に作業ができます。

ガラスの成形

種ガラスは、そのままでは使えませんから、成形をします。
ガラス製品は種類が多く、その成形法にもいろいろな方法があります。

人工吹き成形法

むかし、ガラスの成形はすべて、人工によっていました。
いまでも工芸品や理化学器械の一部は、この方法でつくられています。

人工吹き成形法は、左の写真のように長い鉄管を使っておこないます。
この鉄管の先に溶けたガラスをつけ、反対側から息をふきこんでふくらましたり道具を使って、形を整えたりします。

この方法は、技術がむずかしくいちどにたくさんつくれないなどの欠点がありますが細かい細工ができます。

機械成形法

板ガラスやガラス瓶などは、機械を使って大量につくられています。
機械成形法は、つくる物によって、つぎのような方法があります。

① 板ガラス 種ガラスに圧縮空気をふきこんで円筒形にしこれを横に切ってから切りひらく方法がおこなわれていましたが現在では種ガラスから、直接板状のガラスを引きあげる板引法によってつくられています。

② ガラス瓶 種ガラスを機械の中に入れて、圧縮空気の力で型にふきこんで瓶の形にするオーエン式があります。

③ ガラス管 機械に種ガラスを入れ、太いガラス管をつくりこれをローラーの上を引っぱってのばすダンナー式があります。

このとき、引っぱる早さを加減すると、いろいろな太さのガラス管ができます。


ガラス製品の焼きなまし

ガラス製品は、成形のときに急に冷えるために内側と外側の冷え方が違って、ひずみができます。

ひずみができたガラスは、光学ガラスとしては使えませんしふつうの器具としても、もろくて壊れやすくなっています。

それで、製品をいちど500~600℃ぐらいに熱してからゆっくり冷やすと、ひずみがとれます。これを焼きなましといいます。

板引法やオーエン式の成形機械には焼きなましの装置がついていて自動的に成形と焼きなましがおこなわれます。

ガラスの着色

ガラスに色をつけるには、原料にいろいろな金属の酸化物などをくわえます。
青色は酸化コバルト、緑色は酸化クロム、かっ色は鉄と二酸化マンガン、赤色はセレンなどをくわえます。

また、乳白ガラスはホタル石や骨灰などをまぜてふつうのガラスがうすい青緑色をしていることがありますがこれは、原料中に鉄をふくんでいるためです。

ガラスの性質

ガラスは水にわずかに溶けます。
ことに温度が高いときや、水が塩基性のときは溶け方が多くなります。
これにたいして、酸には、わりあい強い性質をもっています。

しかし、酸や塩基にたいする性質は、ガラスの種類によって違います。

また、ガラスは、フッ化水素には強くおかされます。
これは、ガラスの成分である二酸化ケイ素がフッ化水素と上の式のように反応してフッ化ケイ素という気体になるからです。

この性質を利用し、フッ化水素水溶液を使ってガラス器具に、目盛りや模様を書くことができます。



炭酸ナトリウムの性質・用途とは? わかりやすく解説!

炭酸ナトリウムの性質

アンモニアソーダ法でつくった炭酸ナトリウムは白色の粉末で水分の少ない細かい結晶になっています。


この炭酸ナトリウムは、ソーダ灰ともよばれます。

ソーダ灰を熱湯に溶かしてから、溶液をしだいに冷やすと大きい透明な結晶ができます。

これは分子中に水をふくむ、炭酸ナトリウム10水和物の結晶です。
炭酸ナトリウム10水和物は、洗濯ソーダともよばれ、洗濯に使われます。

ソーダ灰も洗濯ソーダも、水に溶かすと加水分解によって強い塩基性をしめし(水酸化ナトリウムよりは弱い)どちらも化学的には同じ性質をもっています。

洗濯ソーダを空気中におくと、結晶の表面に、だんだん白い粉ができます。
これは、洗濯ソーダの結晶の中の水が逃げて水分の少ない炭酸ナトリウムができたり(風解)空気中の二酸化炭素を吸って、炭酸水素ナトリウムができたりするためです。

白い粉末はこうしてできたソーダ灰や炭酸水素ナトリウムなどです。

炭酸ナトリウムの水溶液に、二酸化炭素を圧力をかけながら溶かすと炭酸水素ナトリウムが沈殿します。

この方法は、医薬用の純粋な炭酸水素ナトリウムを製造するのに使われます。

炭酸ナトリウムは、たいていの酸によく溶け二酸化炭素を発生して、その酸のナトリウム塩をつくります。

たとえば、酸が硫酸ならば硫酸ナトリウムが酸が塩酸ならば塩化ナトリウム、ができるわけです。

また、ふつうの炭酸塩は強く熱すると二酸化炭素を発生して分解しますが、炭酸ナトリウムは分解しません。

炭酸ナトリウムの用途

炭酸ナトリウムは、ガラスの原料として、ガラス製造に多量に使われています。

また、酸との作用は水酸化ナトリウムに似ていますが性質は水酸化ナトリウムよりも穏やかなので、取扱いに便利です。

そのため、化学工業の原料薬品としておおいに使われています。
また、調味料・セッケンなどの製造にはなくてはならない重要なものです。



炭酸ナトリウムの製法とは? わかりやすく解説!

塩の代表的なものは塩化ナトリウム(食塩)です。
塩化ナトリウムは海水中に無尽蔵といってもよいほどふくまれています。


それで塩化ナトリウムを原料としていろいろなナトリウム塩や薬品が製造されています。

そのうち、水酸化ナトリウム・炭酸ナトリウム・炭酸水素ナトリウムはとくに重要でこの3つをソーダとよびこれらを製造する工業をソーダ工業とよんでいます。

ここでは、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムについてその製法や性質などを調べてみましょう。

炭酸ナトリウムの製法

炭酸ナトリウムの製法には、18世紀の終わり頃にフランスのルブランが考え出したルブラン法と19世紀の中頃にベルギーのソルベーが発明したアンモニアソーダ法とがあります。

ルブラン法は、歴史的に有名なだけで今では使われていません。
現在では、アンモニアソーダ法が重要な方法として使われています。

アンモニアソーダ法は、図のような装置で行われます。

まず、石灰炉に石灰石とコークスを入れコークスを燃やして石灰石を強く熱するとつぎの①式のように生石灰と二酸化炭素とができます。

でてきた二酸化炭素は、炉の上部からパイプで導き出してソルベー塔に送ります。
また、生石灰は炉の下部から取り出し水を加えて石灰乳をつくります。

いっぽう、アンモニア吸収塔に濃い食塩水を入れこれにアンモニア発生塔でつくったアンモニアガスを通し食塩水に充分吸収させて飽和させます。

このアンモニアを飽和した濃い食塩水をソルベー塔に入れます。



この中では上からアンモニアをふくんだ食塩水をおりてきて下から上がってきた二酸化炭素と反応して、まず②式のように、炭酸水素アンモニウムができます。

つぎに、この炭酸水素アンモニウムが食塩水と反応して③式のように、炭酸水素ナトリウムと塩化アソモニウムができます。

炭酸水素ナトリウムは、食塩水に非常に溶けにくいので、この反応でできた炭酸水素ナトリウムは、ほとんど全部が析出します。

これをろ過して分け、よくかわかして強く熱すると下の④式のように反応し、二酸化炭素を発生して炭酸ナトリウムになります。

このとき、ろ液の中には塩化アンモニウムや炭酸水素ナトリウム・食塩などがふくまれています。

これをアンモニア発生塔におくり石灰炉からくる石灰乳と反応させると、アンモニアが分離します。

このアンモニアをアンモニア吸収塔におくります。

また①式で、炭酸水素ナトリウムから炭酸ナトリウムをつくるときに発生する二酸化炭素は石灰炉からでる二酸化炭素といっしょにして、ソルベー塔におくります。

このようにアンモニアソーダ法では反応の途中でできた副産物を工程にもどして利用することができるので、非常に経済的です。

そのうえ、できた炭酸ナトリウムは、ほとんど純粋です。
上の図は、アンモニアソーダ法の工程をくわしくしめしたものです。

この図からもわかるように、種類の少ない原料から炭酸ナトリウムのほかにも、炭酸水素ナトリウム・水酸化ナトリウムのソーダ類、塩化アンモニウム・塩化カルシウムの塩類など、たくさんの製品ができます。

そのため、アンモニアソーダ法は化学工業にとって重要な方法です。



水酸化ナトリウムの製法・作り方とは? わかりやすく解説!

水酸化ナトリウムの工業的製法

水酸化ナトリウムは、工業的には、食塩(塩化ナトリウム)を原料としてつくります。

その方法には、食塩水を電気分解し直接水酸化ナトリウムにかえる電解法と食塩から炭酸ナトリウムをつくってそれを水酸化ナトリムにかえるアンモニアソーダ法とがあります。

電解法は、さらに隔膜法と水銀法とに分けられます。


隔膜法

隔膜法は図のような電界そうを使っておこないます。
濃い食塩水を上から流しこむと、食塩水は電気分解を受けながら底に張った石綿の隔膜を通り抜けて下に落ちます。

黒鉛の陽極からは、塩素ガスが発生し隔膜の下にはった穴のある鉄板の陰極からは水素ガスが発生します。

鉄板の穴を通り抜けた食塩水は、水酸化ナトリウムをふくむようになります。

この液をに詰めると、食塩が結晶になってでてきますからそれをろ過して取り除き、残りの液を冷やすと水酸化ナトリウムの固まりができます。

水銀法

水銀法では、下の図のように、電解槽に隔膜はなく底に水銀がうすく流れていて、これが陰極になっています。
そのほかは、隔膜法とよく似ていて黒鉛の陽極からは塩素が発生します。

いっぽう、水銀の陰極ではナトリウムイオンが放電してナトリウム原子となり、水銀に溶け込みます。

これをナトリウムアマルガムといいます。

ナトリウムアマルガムは、横から流れだし別の水槽(解こう塔)に導かれそこで、ナトリウムと水が反応して水素を発生し水酸化ナトリウムができます。

ナトリウムをはなした水銀は、また電解槽に導かれて使われ解こう塔にできた水酸化ナトリウムをふくんだ水は取り出して煮詰められ、水酸化ナトリウムがつくられます。

隔膜法でつくられた水酸化ナトリウムは、食塩がまざって不純になりますが
水銀法でつくられたものは非常に純粋な水酸化ナトリウムです。

また、隔膜法でも水銀法でも水素と塩素が気体としてえられますがこれからは、塩酸がつくられます。

水酸化ナトリウムの実験室的製法

実験室では、アンモニアソーダ法と同じように炭酸ナトリウムから水酸化ナトリウムをつくります。

炭酸ナトリウム・水酸化カルシウム・水をまぜると炭酸カルシウムの白い沈殿ができます。

この沈殿を取り除いて液を煮詰めると、水酸化ナトリウムができます。
この方法でも、水銀法と同じように純粋な水酸化ナトリウムをつくることができます。

複分解

炭酸ナトリウムに水酸化カルシウムが作用するときの反応式をよく見るとナトリウムとカルシウムとが入れかわっていることがわかります。

このような反応を、複分解といいます。



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