金属とガラス、硫酸と硝酸を発見したのはいつ頃? わかりやすく解説!

物質

鍋・包丁・ナイフ・釘・レールは、鉄でできています。
鏡やレンズは、ガラスでつくらています。

このような鉄やガラスは、物質とよばれています。水・食塩・でんぷんも物質です。

ナイフや包丁など、鉄でできたものを湿り気のあるところに長いあいだ放りっぱなしにしておくと、さびることがあります。

さびた鉄は、もとの鉄とは違う物質です。

ごはんをゆっくり噛んでいると、甘い味がでます。
これは、米のでんぷんが、糖にかわるからです。でんぷんと糖とは、違った物質です。

このように、ある物質が、別の違う物質にかわることを、化学変化といいます。

化学変化を研究する学問が化学です。


金属の発見

人間が、はじめて利用した化学変化は、木や草を燃やすことでした。
石をつり上げて、かまどのようなものをつくり、その中で木や草を燃やすとよく燃えることを知ったからです。

また、上や粘土を焼いて、陶器からくることも覚えました。
これは、いまから7000~8000年も昔のことです。

火を起こしたり、土器を火で焼きかためたりしているうちに人問は、ぴかぴか光る金属の銅を発見しました。

たぶん、銅をふくんだ鉱物が、かまどの土で石の中に混じっていたのでしょう。
人々は、銅をふくんだ鉱物を集めてかまどで焼き銅を取り出すようになりました。

そのうちに、銅にすずを混ぜた青銅が発明されました。
西南アジアでは700年ぐらいまえから、青銅の刀やくわが使われていたようです。
鉄が使われるようになったのは、銅や青銅より遅く、およそ4000年くらい前からです。
鉄の取り出しかたが、銅より難しかったからです。

古代文明社会で知られていた金属は、銅・鉄・すず・鉛・金・銀・水銀です。
このように、金属を取り出したり、使ったりしているうちに昔の人の化学の知識は、どんどんすすみました。

ガラス器具の発明

だんだん時代がすすむにつれて、陶器のつくりかたも進歩してきました。
うわぐすりを発明して、陶器に塗って焼くようになったのです。

粘土を焼いただけの壺では、水がもれます。
うわぐすりを塗って焼いた壺は、水がもらないばかりか、非常にきれいです。

また、うわぐすりをもとにして、ガラスがつくられるようになりました。
およそ、2000年くらい前のことです。

ガラスを加工して、複雑な形の器もできるようになりました。
どろどろに溶けたガラスを管にくっつけて、息を吹き込んでつくるのです。

同じころ、エジプト人はすでに、ガラスの蒸留器をつくっています。
そして、バラの花などを蒸留し、香りのよい、香水のもとををつくりました。



硫酸・硝酸の発見

8世紀から10世紀のころ、アラビアやイタリアで大切な物質が発見されました。

それは硫酸と硝酸です。

硫酸は、ガラスの蒸留器にミョウバンという物質を入れて熱するとできます。
また、ミョウバンに、硝石という物質を混ぜて熱すると、硝酸ができます。

この硫酸や硝酸は、混じりけのある金や銀を混じりけのないものにするために役立ちました。

これらの酸の発見で、化学変化についてたくさんのことがわかりいろいろな新しい物質が、酸によってつくられるようになりました。

錬金術

ヨーロッパでは、中世からルネサンス時代にかけて、錬金術が研究されました。
これは、銅・すず・鉛・水銀などのような、値打ちの低い金属を金や銀のような値打ちの高い金属にかえようとするものです。

もちろん、錬金術で銅・すず・鉛などを金や銀にかえることは失敗に終わりました。

しかし、錬金術を研究していた人たちは、金属やその化合物を詳しく調べました。また、自分たちの研究を本に書き残しています。

このおかげで、その後の化学変化の知識はずっと増えたのです。




硫酸の性質と用途とは? わかりやすく解説!

硫酸の製法

硫黄や硫黄をふくんだ鉱石を、空気を通しながら焼くと二酸化硫黄(亜硫酸ガス)ができます。


硫酸は、図の式のように、二酸化硫黄を空気中の酸素で酸化して三酸化硫黄とし、さらに水を反応させてつくります。

しかし、この反応は触媒がなければうまくおこりません。
触媒というのは、化学反応を助けたりさまたげたりして、反応速度を加えるけれどもそれ自身は変化しないような物質のことです。

鉛室法

大きな鉛ばりの部屋(鉛室)の中で二酸化窒素を触媒として二酸化硫黄を硫酸にかえます。

鉛室法による硫酸はあまり純粋ではなくまた、この方法は現在、ほとんど行われなくなりました。

接触法

二酸化イオウと空気を400~550℃に熱した触媒(五酸化バナジウムまたは酸化鉄)の上を通すと、①式のように、三酸化硫黄ができます。

酸化硫黄を水に溶かすと、②式のように硫酸ができます。
三酸化硫黄は、無水硫酸ともいいます。

接触法でできた硫酸は純粋です。

したがって、接触法は、純度の高い硫酸や濃硫酸・発煙硫酸などの製造に用いられています。


硫酸の性質

水をふくまない純粋な濃硫酸はねばりけのある無色の液体で比重は1.84です。

硫酸は、どんな割合にでも水とまざります。
水にその5分の1の容積の硫酸をくわえたものは濃硫酸ほど危険ではないので、使用に便利です。

また実験室では、ふつう、この硫酸をさらに5倍の水でうすめた希硫酸を使います。

硫酸を水でうすめるときには熱が発生して温度があがり、加えた水が急に沸騰して硫酸が飛び散る危険があります。

ですから濃硫酸を水でうすめるときには硫酸の中に水をくわえてはいけません。

水の中に硫酸を少量くわえてよくかきまぜ冷えてからまた少量くわえるようにします。

濃硫酸は、水を吸う性質が非常に強いのでデシケーターに入れて、乾燥剤として使います。

硫酸は水分を吸収するだけではなく化合物の中から、酸素と水素を水の割合でうばいとるはたらきもあります。

たとえば、砂糖や紙などが濃硫酸にふれると水素と酸素が水の割合でとれてあとに炭素が残るので黒くこげたようになります。

このような硫酸が水を吸いとる性質を脱水作用といいます。
このほか、高温の硫酸には、非常に強い酸化作用があります。

硫酸の用途

硫酸は、脱水作用や酸化作用をもっている薬品のうちでは
もっとも安いので、利用範囲が非常に広く、重要な工業薬品です。

硫酸の大部分は、肥料の原料として使われます。

硫酸とアンモニアからつくる硫酸アンモニウム(硫安)は窒素肥料としてもっとも重要なものですしリン酸肥料として大切な過リン酸石灰もリン鉱石に硫酸を作用させてつくります。

硫酸はこのほかにも、いろいろな化学工業で広く使われています。

とくに、火薬・染料・医薬品などの製造には、硫酸はなくてはならないものですし、石油の精製にもぜひ必要です。

また、銅の電解精練などの冶金工業でも重要な薬品です。



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