根・茎・葉の運動とは?花や実の運動とは? わかりやすく解説!

届光性と屈地性

植物を暗い所において、一方から光をあてると茎は光のくる方向に根は反対の方向に伸びます。

この性質を屈光性とよびます。

また、茎は正の屈光性(向日性)根は負の屈光性(背日性)があると言います。

これらは、光とオーキシンという物質のはたらきで曲がった外側のほうの細胞が、いっそう長く伸びたために起こります。

多くの植物は、光合成をおこないますから茎が光の方向に伸びていくことは、植物にとって都合のよいことです。
同じように光のあたるところは乾きやすいので根は光から遠ざかります。

また、植物は重力の方向に対しても反応し根は下に茎は上に伸びます。この性質を屈地性と言い。

根は正の屈地性、茎は負の屈地性があると言います。


つるの回せん運動

インゲンマメやアサガオなどは、つるを棒などにまきつけて伸びます。
つるには右まきのものと、左まきのものとがあります。

これらの植物のつるも、伸びはじめはまっすぐです。
少し経つと先のほうが弓のように曲がり、円を描くような運動をします。

このころ、つるの先がものに触れると、それにまきつきます。
この運動を回せん運動と言います。

オジギソウのおじぎ

オジギソウの葉は羽状複葉です。
1つの小葉に触れると、その小葉は内側に閉じます。

この運動は、つぎつぎと隣りの小葉に伝わっていき、その葉柄についている小葉全部がしおれたように縮まり、ついには葉柄も下を向いてしまいます。

この不思議な運動が起こるのは小葉や葉柄の付け根にある葉沈と呼ばれる関節状のもののためです。

葉に触れると、この葉沈の片側の細胞の水が、細胞の外に流れだして、その細胞が縮むため、小葉や葉柄がしおれたようになるのです。

葉の睡眠運動

植物によっては、昼から夜、夜から昼へとうつりかわるにつれて葉が運動をおこなうものがあります。

たとえば、広葉樹の仲間には、昼間は葉が水平になっていて夜になると下に垂れ下がるものがあります。

マメ類の葉も、睡眠運動をすることで知られています。
マメ類の葉のつけねには葉沈というところがあり、葉沈の下側の細胞は、細長く、細胞と細胞のあいだには隙間があります。

夜になって光が弱くなると、細胞の中の水が隙間に出てきて細胞がしぼみ、葉が垂れ下がるのです。



花の開閉

イネの花では、2枚のうろこが、子房を両側からつつんでいます。
このうろこが水を吸ってふくらむと、内側と外側のえい(花びらにあたるもの)を押すので花が開き、おしべとめしべが外にあらわれます。

キクの花は、昼開いて夜は閉じてしまいます。
これは、光の強さによって、花びらの付け根の生長が内側と外側とで違ってくるからです。

クロッカス・チューリップ・タンポポなどは早春に花を開きます。
これらは、温度がかおると、花びらの表と裏とで生長する早さが違ってくるために花が開いたり、閉じたりします。

とくに、クロッカスは、0.5度ぐらいの温度の違いでも花が開閉するほど、温度に感じやすい植物です。
いっぱんの植物では、ふつう5~10度の温度の違いで花が開閉します。

実がはじけて種を飛ばす運動

マメ類の種がさやから弾け出たりホウセンカの種が飛び散ったりする運動が、この例です。

これらは、さやや実の皮が乾燥するとき皮の内側と外側で縮みかたが違うために起こるものです。

また、シダ類の胞子が飛び散るときにも、これに似た運動が起こります。

食虫植物の捕虫運動

モウセンゴケ・ムシトリスミレなどの食虫植物は虫をつかまえるために、特別な運動をしています。

これが、捕虫運動です。

種類によって、捕虫運動は、いろいろ違いがありますが、つぎに、モウセンゴケを例にして、説明しましょう。

モウセンゴケには、葉の表面やふちに、触糸(腺毛)という糸があり、その先から、粘液を出しています。

虫が葉にとまると、まず粘液のために吸いつけられてしまいます。
虫が逃げようとして暴れ、葉の中央にある短い触糸に触れると葉のまわりの触糸が、曲がってきて、虫の上からかぶさります。

そして、触糸の先から消化液を出し虫の体を溶かして体内に吸収してしまいます。

植物の自由運動

植物のうちでも、ミドリムシやムラサキホコリカビの仲間は細胞膜をもっていないので、自由に体の形をかえることができます。

それで、アメーバのように、体のところどころから突起をだして、はいまわることができます。

また、バクテリアやモの仲間には、いくつかの長い毛や、たくさんの短い毛などを体にはやしていて、これで動きまわるものがあります。

このように、植物が自分の力で体を動かす運動を自由運動と言います。




葉の蒸散作用とは?水と養分のはたらきとは?

水は、植物の体の中で、つぎのような2つのはたらきをします。

形を保つはたらき

木の幹や太い枝は、細胞の壁が厚くて、しかも硬くなっていますから丈夫なのはあたりまえですが本当は、この壁は死んでいるので生活をしていません。

芽・葉・茎などのような、生活をしている部分は、みなやわらかです。
しかも、水が細胞をふくらませているので形がぴんとして、しっかりしています。

植物がしおれるのは、水がなくなって体の細胞がしぼむからです。

また、水と細胞のふくらみのつりおいで植物の体の形が保たれるだけではありません。
このつりあいによって、植物は体を動かすこともできます。

たとえば、花や葉を閉じたり開いたりするときには特別な細胞の中の水を多くしたり少なくしたりして運動をします。

また葉の気孔を開いたり、閉じたりするときにも孔辺細胞の中の水を多くしたり少なくしたりしておこないます。


養分の製造や運搬

水は、光合成で炭水化物をつくるときの原料として使われており、さらに、できた炭水化物や根から吸いあげた養分を体のすみずみまで運ぶ役目ももっています。

また、体のあらゆるところで生活のための複雑な化学変化が進んでいますがそれらは、みな水に溶けた状態でおこなわれています。

水は、根から、体の中に取り込まれると、いろいろ大切なはたらきをしながら滞ることなく葉の蒸散作用によって、外に出ていきます。

葉の蒸散作用

土から水を吸いこむのは根のはたらきによります。

吸いこんだ水を頂きまで上げるのは根の押し上げる力も少しは役立ちますが、ほとんどは葉の蒸散作用によります。

日木の植物で高くなるものはモミ・マツ・スギで30メートルもあります。
世界一高いのは、北アメリカのダグラスモミで120メートルもあります。
こんなに高いところまで水を運ぶのも、葉の蒸散作用によります。

つまり、気孔から水が水蒸気になって出ていくと葉から茎を通って根まで続いている水は引き続いて蒸発していくのです。

充分生長したトウモロコシで調べてみると晴天の日には1本で1日に約5リットルもの水を、蒸散させています。

気孔は、ふつうの植物では葉の裏側にあります。
葉の表皮はほとんど水を通しませんが、気孔が開いていると、ここから水分は水蒸気となって、空気中に出ていきます。

しかし、葉は、特別に水蒸気を吐き出すわけではありません。
濡れた洗濯物の水分が、水蒸気となって失われるように空気の乾き具合(湿度)と風によって、水分が運びさられるのです。

開いた気孔の面積は、全部よせ集めても葉の裏側の面積の5、6パーセントしかありません。

これでは葉からの蒸散は極めてわずかなものにしかならないようですが、小さな穴が点々と散らばっているために実際には、かなりの水分を蒸発させることができます。

また、この気孔を閉じさえすれば葉からの水分は、ほとんど失われないですみます。

水の蒸散をさかんにするだけでしたら水を通さない葉の表皮などがないほうが都合がよいのですが、そうなれば、植物は常に、干からびる危険にさらされます。

つまり植物は、干からびるめにあわないで、しかも水分を捨てる方法として気孔のようなしくみをもつように進化してきたのです。

また、蒸散作用は、私たちが暑いときに汗を出して、体温の昇りすぎをふせいでいるように、植物の体の熱を調節しています。

水孔のはたらき

蒸散作用では水分は水蒸気になって出ていきます。
しかし、植物の種類や、時期によって水のままで外に出ていくこともあります。

夏の朝はやく、イネや、フキ・イチゴなどの葉を見ると葉のまわりに水の粒がついていることがあります。

夏は気温が高く地中の水分もたくさんあるので根からどんどん水を吸いあげます。

ところが、夜になって気孔が閉じ蒸散作用が衰えてくると体の中の水分が多くなります。

そこで、体の中にある余分の水分は液体のままで葉のまわりにある水孔という穴から染み出てきて水滴になるのです。



炭水化物の移動

昼間のあいだに、光合成によってつくられた同化でんぷん(炭水化物)は夕方までには葉にたくさんたまっています。

しかし、つぎの日の朝までには、葉からすっかり姿を消してしまいます。

これは、炭水化物が水に溶ける形にかわり師管を通って茎・根・実などに運ばれるからです。

そして運ばれたところで水に溶けていた炭水化物は糖・でんぷん・セルロースなどにかわり、呼吸に使われたり、細胞をつくったり、あるいは栄養としてたくわえられたりします。

これを、果樹を栽培するときなどに利用することがあります。
それには、枝の皮を細い帯びのように、はぎとります。

こうすると、この部分より上の葉でつくられた炭水化物は下のほうに流れていけなくて、ここにたまります。

この手術をする時期によって、花芽をつくらせたりあるいは、すでにできている若い実を、よく太らせたりすることができます。

炭水化物の移動には、光・温度、体の水分状態などが影響しているようですが、くわしいことはまだよくわかっていません。

しかし、移動のしくみがだんだんわかってくれば植物を栽培したときに、私たちが欲しいものをいまよりも能率よくつくりだすのに、たいへん役立つことでしょう。

根からとった養分の使い道

根が水といっしょに吸いあげた養分は光合成でつくられた炭水化物とむすびついて体をつくる材料になったり、生活のための原動力になっています。

また、体のいろいろなはたらきをさかんにしたり遅くしたりするはたらきもします。

しかし植物が同じ場所にはえていても種類によって体の中の成分が違っているので、それぞれ自分に必要な養分を吸収しています。




根と茎のはたらきとは?水や養分のとりかたとは?

まえに説明したように、植物には、いろいろな元素が必要です。

これらのうち、酸素と炭素は光合成によって空気中の二酸化炭素から取り入れ、そのほかのものは、みな、地中から水や養分として、取り入れるのです。

植物の体で、水や養分を取り入れるはたらきをしているところは根です。


根のはたらき

根は、地上にでている植物の体を支えたり、また、生きるために必要な養分をたくわえたりします。

しかし、根のいちばん大切なはたらきは地中から水や養分を体の中に取り入れることです。

このしごとは、根の先に近いところにある細かい毛のような根毛でおこなわれます。

根毛は、1つの細胞からできていて、ほかの体の部分と同じように表面には細胞膜があります。

根毛には、この細胞膜を通して水に溶けた養分を吸いこむはたらきがあるのです。

この細胞膜は、固体のままの養分は通さず必ず水に溶けたものだけを通す性質があります。

ですから植物は、水がなければ養分をとることができません。
これも、植物にとって水が大切なわけの1つです。

茎のはたらき

茎は、葉や花を支える役目をしていますが、いちばん大切な役目は水や養分の通り道になることです。

葉でつくられたでんぷんなどの養分や、根から吸いとった水や養分は体のいろいろなところに運ばれて、たくわえられたり使われたりします。

根から吸いとった水や養分は、茎の中の道管を通して運ばれます。

また、葉でつくられたでんぷんなどの養分は師管を通して体のいろいろなところへ運ばれてきます。

ですから、師管の部分を表皮といっしょにはぎとってしまうと切り口のところに養分がたまって、しだいにふくらんできます。

茎は、このほかサトイモ・ジャガイモ・アスパラガス・ウドなどのように養分をたくわえる役目をすることもあります。

水中植物の養分のとりかた

水中植物では、海藻類をはじめ、クロモやフサモなどの種子植物でも水や養分を根ばかりでなく茎や葉などの体全体からとることができます。

これは、呼吸や光合成をするときと同じです。

ですから、陸上の植物と違って葉の表面はクチクラや、ろうなどをかぶらず、気孔もありません。

下等な植物の養分のとりかた

バクテリア・コウボ菌・カビなどのような下等植物にはクロロフィル(葉緑素)がありません。

また、体は、根・葉・茎などがなく、つくりが非常にかんたんなので養分のとりかたも、高等な植物とたいへん違っています。

これらの植物は光合成ができないので必要な養分を、ほかのものからとらなければなりません。

そのために、ほかの植物に寄生します。

そして、植物などの養分の豊かなものについて体から消化液を出し取り入れやすいように分解してから、体全体で吸いとっています。




植物と水・養分との関係とは?農作物の肥料とは?

植物と水

種を乾いたところに閉まっておくと、いつまでたっても芽を出しません。
これは水がないからです。
反対に種を畑にまいたり、湿ったところにおくと水を吸って芽を出します。

また、花びんにさした草花や生け花なども水を入れておかなければ、すぐにしおれてしまいます。
このように、植物が生きていくためには、水が必要なのです。

これは、植物の体には、たくさんの水分がふくまれていて大部分が水でできているといってもよいほどだからです。

砂漠のような水の少ないところにある植物は、たとえばサボテンのように体のつくりが水分をたくわえておくのに都合よくできています。

そのうえ、葉がとげにかわっていて水分が体の外に逃げ出さないようになっています。


植物にふくまれている水

植物の体の水分の量は、植物の種類やはえている場所によって違います。
また、同じ植物でも、体の部分によって、また時期によって、たいへん違いがあります。

水中で暮らしているものは、陸上のものより水分が多く陸上の植物でも、日かげにはえているものは日なたのものより水分を多くふくんでいます。

花の咲く植物(種子植物)では実・葉・根などに水分を多くふくんでいます。
実には、およそ95パーセントもふくまれています。

種には、水分がずっと少なく、10パーセントくらいです。
また、わかい芽や根の先などのような、はたらきのさかんなところにはとくに多くの水分がふくまれています。

植物と養分

植物の体をつくっている元素を調べてみると、ほとんど炭素(C)・水素(H)・酸素(O)の3つの元素からできています。

これらのものは植物が生長するにつれて、みな外から取り入れたものです。

水素は、根から吸いあげた水(H2O)から取り入れられ、また、酸素や炭素は光合成によって空気中の二酸化炭素(CO2)から取り入れられています。

これからわかるように、植物にとっては水のほかに空気もたいへん大切な役割りをしているのです。
しかし、植物は、これだけでは生きていくことができません。

いまでは、いろいろな実験によってふつうの植物は、炭素・酸素・水素のほかに窒素・硫黄・りん・カリウム・カルシウム・マグネシウム・鉄などの元素が必要であることがわかりました。

植物は、これらの養分を根のはたらきによって、みな地中から取り入れるのです。

農作物の肥料

田畑に肥料をやらないで農作物をつくっていると年が経つにつれて、だんだん農作物が育ちにくくなります。

これは、田畑の土の中にふくまれていた養分が、農作物に吸いとられて、だんだん少なくなっていくからです。

そこで、田畑に農作物をつくるときは肥料をあたえて農作物に必要な養分をたしてやらなければなりません。

肥料として必要な元素のうち、窒素・りん・カリウムの3つは、とくに足りなくなりやすいものです。

そのため肥料としては、おもにこの3つの元素をふくんだものをやり、これを肥料の三要素と言います。

また、作物が必要とする量はごくわずかですが作物の生育には欠くことのできない元素がいくつかありカルシウム・マグネシウム・硫黄・鉄・炭素・酸素・水素の7つの元素を肥料の7成分、マンガン・ほう素・銅・亜鉛・モリブデンの五元素を微量要素と言います。

肥料のいろいろ

肥料は、大きくわけて鉱物質を理化学的に処理してつくる無機質肥料(化学肥料)と、たい肥や魚かすのような有機質肥料とがあります。

化学肥料は工場で大量に生産され、その使用量も非常に多くなっていますが、これだけを使うと、その土地の性質を悪くするため実際に肥料をほどこすときは、化学肥料と有機質肥料とを作物や土壌の状態により、いろいろな割合で組み合わせて用いています。



おもな肥料は、つぎの通りです。

①窒素肥料(おもに窒素をふくんでいるもの)

硫酸アンモニウム・塩化アンモニウム・石灰窒素・尿素・魚かす・大豆油かすなど。

②りん酸肥料(おもにりん酸をふくんでいるもの)

過りん酸石灰・重過りん酸石灰・苦土過りん酸・よう成りん肥・骨粉類・魚かす類・鳥糞類など。

③カリ肥料(おもにカリウムをふくんでいるもの)

硫酸カリウム・塩化カリウム、草木の灰。

④下ごえ

人糞尿などをよく腐らせたもので、窒素・りん酸・カリウムの3つをふくんでいる。

肥料としてはたいへんよいが病原菌や寄生虫のたまごを殺してしまうように、気をつけなければならない。

⑤緑肥

レンゲ・ソラマメ・ダイズなど、マメ科植物の仲間を田畑に埋め腐らせて肥料にするもの。

マメ科の仲間の根には、根りゅうバクテリアが共生していて、これが空気中の窒素をとって、養分とする性質をもっているので、たいへんよい肥料となる。

⑥たい肥

草・わら・落ち葉などに、家畜の糞や尿をまぜて積み重ね腐らせたもの窒素・りん酸・カリウムの3つをふくんでいる、たいへんよい肥料である。

⑦カルシウム肥料

生石灰・しょう石灰などで、土地の酸性を中和して土の中のバクテリアのはたらきをさかんにして農作物が育ちよい土地にする。

元ごえ・追ごえ

このほかに肥料は、農作物にあたえる時期によって元ごえと追ごえにわけられます。

元ごえは、農作物の種まきや苗をうつし植えるまえにあたえる肥料のことで、たい肥のような、効き目のゆっくりあらわれるものが多く使われます。

追ごえは、農作物が少し育って元ごえのきれたころにあたえる肥料のことです。

追ごえ(追肥)には、おもに化学肥料が使われます。




炭素と窒素の循環とは? わかりやすく解説!

炭素の循環

地球上の全ての生物は、呼吸して生きています。

つまり、いろいろな有機物を体内でゆっくり酸化させ、これによってできるエネルギーを、生活に使っているのです。

また、生物の体をつくる物質の大部分は炭素をふくむ複雑な有機物であり、これらのほとんどは、緑色植物の光合成によってつくりだされています。

光合成によって、いちど炭水化物がつくりだされるとこれをもとにして、たんぱく質や脂肪などさままざな物質がつくられ、あらゆる生物の栄養になり、さらに動植物の呼吸や活動のために酸化されて、ふたたびもとの二酸化炭素と水になります。

このように、炭素は光合成という植物だけがもつ特別のはたらきを通して形をかえながら自然界を循環しています。


窒素の循環

生物は窒素や、その化合物を体内に取り入れアミノ酸やたんぱく質をはじめ、窒素をふくんだ有機物をつくっています。
このようなはたらきを、窒素同化作用と言います。

相物は、いっぱんに硝酸塩やアンモニウム塩などの無機窒素化合物から、アミノ酸やたんぱく質をつくりだしています。

尿素のような有機窒素化合物を利用することもできます。
また、根りゅう薗などは空気中の窒素を利用することもできます。

動物は、有機窒素化合物しか利用することができないので、これらを食物として取り入れて、消化・分解してから吸収し体に適した形のたんぱく質につくりかえています。

植物や動物の体をつくっている窒素をふくむ有機物は死体や排出物としてさらされると、ふたたび地中の硝酸塩やアンモニウム塩になります。

また、空気中の窒素は空中放電によって硝酸や亜硝酸となり、地中に入ります。

そして植物に吸収され、さらに植物を食べる動物のたんぱく質となったり、ある種の微生物によって分解されて空気中の窒素となったりします。




植物の呼吸のしくみとは?気孔や皮目のはたらきとは?

呼吸のしくみ

植物も、生きていくためには、人間や動物たちと同じように、やはり呼吸をしなければなりません。

ふつう呼吸というのは体の中に酸素を取り入れて二酸化炭素を吐き出す酸素呼吸のことです。

この酸素呼吸は、二酸化炭素を吸って酸素を吐き出す光合成と、ちょうど反対のはたらきになるわけです。

光合成は、植物の体でも緑色をした部分でおこなわれ、しかも、光が必要です。

これにくらべ、呼吸は、植物の体のすべての部分で、夜となく昼となく、また、光があってもなくても、たえずおこなわれています。

ですから、植物の光のあたっている緑色の部分では光合成のため、二酸化炭素を取り入れて酸素を出すと同時に呼吸のために酸素を吸いこみ二酸化炭素を出すはたらきがおこなわれているわけです。

しかし、昼間は呼吸作用より光合成がさかんであり、夜はこの反対です。
したがって、植物は、昼間は酸素を吐き出し、夜は二酸化炭素を吐き出すことになります。


気孔や皮目のはたらき

二酸化炭素や酸素は、植物の体の表面の、どこからでも自由に出入りするというわけではありません。

ふつうの植物では、葉の表面を包んでいる表皮に、ところどころに穴があり、ここから二酸化炭素や酸素が出入りするのです。

この穴を気孔と言います。

気孔は、体内から出ていく水分を調節する役目も持っています。
コスモスやアサガオなどの草では葉と同じように、茎にも気孔があります。

また、サクラやヤナギなどの木でも、もちろん葉に気孔をもっています。

しかしこのほかに、かっ色をした厚い皮につつまれた幹にも、ところどころに裂け目があり、ここでも、気孔と同じように二酸化炭素や酸素の出し入れをしているのです。

この裂け目は、皮目とよばれています。

呼吸によってできるもの

呼吸は、光合成とはちょうど反対のはたらきをします。

光合成によってできた炭水化物は水と二酸化炭素から一足とびにできたのではなく、いくつかの段階をへて、いちばんあとの段階で、糖のような複雑なものができあがったのですが、呼吸の場合も、同じように、酸素のはたらきによって炭水化物からいくつかの段階をへて、最後に二酸化炭素と水になります。

この道すじの中の大部分は、水素をきりはなす酸化であって酸素は最後に水素を受け取って、水になる役目をしているだけです。

そして、このときできたエネルギーを、生活に使っているのです。
このエネルギーの一部は、熱や光となってあらわれます。

たとえば、クローバーの葉を、魔法瓶につめて温度計を差し込んだ栓をしておくと瓶の中の温度は外の温度よりも、ずっと高くなるのがわかります。

外の温度が18度のとき、中の温度が48度にもなったという記録もあります。

また、発光バクテリアやキノコの仲間のツキヨタケなどは光を出します。
これは、呼吸のときにできたエネルギーの一部が光になってあらわれたのです。



水中植物の呼吸

陸上の植物は、まえに調べたように空気中の酸素を取り入れて呼吸していますが、水中植物では空気がないので水に溶けこんでいる酸素を使って呼吸しています。

そして、この酸素で炭水化物を分解し、そのエネルギーを使って生活することは陸上の植物とかわりありません。

けれども、陸上の植物のように気孔がないので酸素や二酸化炭素は、体全体から、出入りしているのです。

また、水中は空気中よりも酸素が少ないので体の細胞と細胞とのあいだに隙間があって、そこに酸素をたくわえる便利なしくみをもっています。

酸素のいらない呼吸

ふつうの酸素呼吸をする植物は酸素がまったくないところでも、しばらくのあいだは、体の中の養分を分解して生きていることができます。

しかし、長いあいだ、これにたえることはできません。

ところが、下等な植物のなかにはコウボ菌や、ある種のバクテリアなどのように、酸素のあるところでは、かえって暮らすことができないものもおります。

このようなものは、全く酸素のないところを好んで生活しています。

これらの植物は、酸素を使わないで炭水化物をアルコールに分解したり、乳酸に分解したりして、このときにできるエネルギーを使って暮らしているのです。

この呼吸を無酸素呼吸と言い、また、炭水化物を二酸化炭素と水とにわける途中までのはたらきしかしないので、不完全呼吸とも言います。

コウボ菌を使って、ビールや酒をつくるのは炭水化物をアルコールにかえる、コウボ菌の呼吸を利用したものです。

このような、私たちの生活にたいへん役に立つ無酸素呼吸のことを、とくに発酵と言います。




紅葉と落葉のしくみとは? 落葉樹と常緑樹とは?

紅葉

秋になると、木の葉が緑から紅や黄にかわって野山を美しく彩ります。
葉の色がこのようにかわることを紅葉または黄葉と言います。

この紅葉は、秋になって葉が落ちるまでに起こるだけでなく、春になって木の芽が伸び、新しい葉が開いたばかりのときにも起こります。


秋になって、だんだん気温が下がり、根や葉のはたらきが衰えてくると、葉にふくまれている葉緑素が壊れるので、緑色がだんだん消えてきます。

そのかわりに、アントシアンという赤い色素ができるので葉の色が紅色にかわるのです。

また、イチョウやヤナギなどは、秋になると葉が黄色くなります。

これは葉の葉緑素が壊れて、いっしょに葉にふくまれていたキサントフィルやカロチンなどという色素の色があらわれるからです。

これらの色素の色は普段は葉緑素の緑色のために消されて、あらわれなかったのです。
葉の色がかわる植物には、つぎのようなものがあります。

  1. 黄色になるもの……イチョウ・カツラ・ユリノキ・イタヤカエデ・ポプラ
  2. 紅色になるもの……カキ・ツタ・ヌルデ・カエデ・ニシキギ・ドウダンツツジ



落葉

サクラやヤナギなどの木は、秋も終わりに近づくと葉をふるい落として、寒空に裸の枝を広げて、冬を越します。

いったい、なんのために、葉を落とさなければならないのでしょうか。
また、どのようにして、葉が落とされるのでしょうか。

落葉するわけ

植物は、生活するために必要ないろいろな養分を、根から取り入れます。

しかし、それほど必要でないものも、いっしょに吸いあげられたり必要な養分でも、余分に吸いあげられたりしてしまいます。

それで、このような余計な養分や体の中で使っていらなくなったものなどは葉のところまで運んで、体外に吐き出さなければなりません。

ところが、葉に送っても、水分だけが先に出ていってしまい葉な中には、だんだんいらない余計なものがたまってしまいます。

ですから、葉は古くなるほど、これらのものに邪魔されて光合成のはたらきが衰えてきます。

また、気温か低くなると根のはたらきが鈍くなって水分が充分にとれなくなります。

そして、葉をつけていたのでは体の水分がどんどん逃げ出していってしまいます。

このため、役に立たなくなった古い葉は、体から落として冬を越すのが、いちばん植物の生活にかなっているわけなのです。

落葉のしくみ

落葉するときには、葉のつけねのところに離層という特別のさかいめができる植物があり枝から葉のほうへ水分かいかないようになります。

そのために、葉はひとりでに枯れてしまい離層のところから、はなれ落ちてしまうのです。

落葉樹と常緑樹

木には、サクラ・ヤナギなどのような落葉樹とマツ・スギ・カシなどのような常緑樹があります。

落葉樹は毎年秋になると、いっせいに葉を落としますが常緑樹は、1年中緑の葉をつけています。

しかし、常緑樹でも、葉の寿命がくると葉を落としたり、葉のついたまま枝を落としたりします。

葉の寿命は種類によって違い同じ種類でも木によって違います。

また、針葉樹はたいてい常緑樹ですがカラマツやアメリカのラクウショウなどのように秋になると葉を落としてしまう落葉樹もあります。




海藻類の光合成とは?植物のつくる養分とは? わかりやすく解説!

光と海の深さ

光は、水の中を進むとき、だんだん水に吸収されていきます。

ですから、海などでも深さが増すにつれて、光がとどかなくなり、ごく深いところでは、いつもまっ暗です。

太陽の光は、虹を見てもわかるように七色の光線からなりたっています。

このうち、海の中を進むとき、いちばん先に吸収されるのは赤から黄の光線で、つぎに黄から緑の光線、もっと深くなると緑から紫の光線という順になります。


海藻の光合成

海の浅いところでは、よく緑色の海藻(緑藻)を見かけます。
それよりやや深くなるとかっ色の海藻(褐藻)もっと深くなると紅色の海藻(紅藻)が生育しています。

これは、日光が海水中を進むとき、いちばん先に赤から黄の光線が吸収されるためアオノリのような葉緑素以外の色素をもたない海藻は海の深いところでは生活することができないからです。

ワカメやコンブなどの褐藻は葉緑素のほかにフコキサンチン(褐藻素)という色素をもっているので黄から緑の光線でも光合成をおこなうことができます。

また、トサカノリのような紅藻は葉緑素のほかにフィコエリトリン(紅藻素)という色素を持ち青の光線でも光合成が営まれるのです。

でんぷんのいろいろ

植物は光合成によって二酸化炭素からいろいろな道すじを通って、ぶどう糖をつくります。

このぶどう糖は、植物が生きていくために使われたり、また、でんぷん・たんぱく質・脂肪などをつくるときの材料にもされます。

同化でんぷん

昼間、光合成がさかんにおこなわれると、ぶどう糖がどんどんできて、葉にたまってきます。

このぶどう糖は、でんぷんにかえられて一時、葉の中にたくわえられます。
こうしてできたでんぷんを同化でんぷんと言います。

しかし、夜になって光合成がとまると同化でんぷんはふたたび糖類になり水に溶かされて体のいろいろなところに運ばれ、そこで使われます。

ですから、昼間、葉にたくわえられた同化でんぷんは夜明けごろにはほとんど姿を消してしまいます。

貯蔵でんぷん

葉でつくられ、種・根・地下茎などにおくられてきた糖類は、そこででんぶんにかわり、たくわえられます。

これを貯蔵でんぷんと言います。
このような植物の体の中のでんぷんは植物の種類によって、さまざまな形をしています。

  1. 球形………ナンキンマメ
  2. 長円形………ジャガイモ
  3. たまご形………サツマイモ・コムギ
  4. ひょうたん形………ヤマノイモ
  5. 多角形………コメ・ソバ

また、でんぷんの粒にうすいヨードチンキをたらし偏光顕微鏡で見ると粒の一点を中心にして、たくさんの輪が見られます。

このような輪ができるのは昼と夜とでは、でんぷんのたまる割合が違うからです。



植物のつくるいろいろな養分

まえに説明したように、植物の体の中では、ぶどう糖やでんぷんなどの炭水化物がつくられるほかに脂肪やアミノ酸もつくられています。

脂肪

脂肪は、植物の体のいろいろなところに少しずつふくまれています。
とくに、種に多くふくまれています。

しかし、種の中の脂肪は、はじめから脂肪ではありません。
また、これは、体のほかの部分から送られてくるのでもありません。

葉から送られてきた糖類が、グリセリンと脂肪酸とにかわって、これらが種の中で脂肪につくりかえられるのだと考えられています。

種にたくわえられた脂肪は、種が芽を出し、葉ができて光合成を営むように生長するまで植物の大切な栄養のもとになるのです。

アミノ酸・たんぱく質

光合成によって、ぶどう糖やでんぷんをつくる途中に、このほかのいろいろな養分もつくられます。

そしてこの養分は、根から吸いとった窒素をふくんだ養分とむすびついて、アミノ酸がつくられます。
アミノ酸は、さらにたんぱく質にもつくりかえられます。

このように、根から取り入れた窒素をもとにして、たんぱく質をつくるはたらきを窒素同化作用と言います。

アルカロイド類・ビタミン類

このほか、植物の体の中ではアルカロイド類やビタミン類もつくられています。
しかし、そのくわしい道すじは、まだ、わかっていません。

アルカロイド類は、アミノ酸がたんぱく質にかわるのとは別の方向に進んで、つくられるのだろうと考えられます。

アルカロイドで、私たちの生活に関係の深いものには麻酔薬のモルヒネ(ケシにふくまれている)、カフェイン(コーヒー)ニコチン(タバコ)・キューネ(キナ)コルヒチン(イヌサフラン)などがあります。
 
トリカブトは、猛毒のある植物として知られていますが、これはアコニチンというアルカロイドをふくんでいるからです。

ビタミン類は、なにからつくられるか、はっきりわかっていません。

しかし、植物の体の中には、いろいろなビタミンが少しずつふくまれています。




葉緑素と光合成とは?光合成によってできるものとは?

葉緑素

私たちがすぐ気がつくように、たいていの植物は緑色をしたうすい葉をもっています。

葉が緑色に見えるのは葉の中にクロロフィル(葉緑素)という緑色の色素があるからです。

葉緑素は、細胞の中にふくまれる葉緑体の中のグラナというものにふくまれています。

グラナは、電子顕微鏡で見ると直径が0.4~0.6ミクロン(1ミクロンは1000分の1ミリ)ぐらいあって、円板状をしておりリポイドとたんぱく質の円板が互い違いに層状に積み重なったつくりをしています。

隣り合ったグラナどうしは、うすい膜でむすびついています。

緑色をした植物の葉をとって、アルコールにつけておくとアルコールが緑色になり、植物の葉は白くなります。
これは、葉の中の葉緑素が溶けだしてきたためです。

この緑色の液を、さらに細かく調べてみると2種類の葉緑素があることがわかります。

これらの葉緑素は、光合成のとき重要な役割りを果たしているのです。


光合成のしくみ

緑色をした陸上の植物の葉の裏には気孔とよばれる小さな穴があります。
この気孔は、空気中の二酸化炭素(炭酸ガス)を葉の中に取り入れたり、また光合成でできた酸素を体の外に吐き出したりする役目をもっています。

植物は葉緑素の助けを借りて、空気中の二酸化炭素と根から吸いあげた水と太陽の光とで、炭水化物という養分をつくります。

このような植物のはたらきは、必ず光を必要とするところから、光合成または炭酸同化作用と呼んでいます。

水の中に生活する植物は気孔をもたないので呼吸するときと同じように体全体から酸素や二酸化炭素を出入りさせています。

光合成のしくみは、つぎのようになっています。

気孔から植物の体に取り入れられた空気中の二酸化炭素は葉緑体の中に取り入れられ、少しのあいだ、ある物質とむすびつきます。

水は、光を吸収してはたらきやすくなった葉緑素によって酸素と水素にわけられます。

この水素がさきほどのある物質とむすびついて炭水化物のもとになり残った酸素は、気孔から空気中に吐き出されるのです。

すなわち、

という形であらわせます。



光合成によってできるもの

光合成によってできるおもな炭水化物が糖であることは、かなり古くから知られていましたが、糖は複雑な物質ですから二酸化炭素から一足飛びにできるものではありません。

実際に、糖がつくられるまでの道すじは、いくつかの段階にわかれておこなわれるものであることが最近になってはっきりしてきました。

光合成によって、はじめにどのような炭水化物ができ、それがどのようにかわっていくのか、いまのところ、まだはっきりわかってはいません。

しかし、放射性同位元素(いっぱんにラジオアイソトープとよばれているもの)の炭素14(C14)から二酸化炭素をつくり、その二酸化炭素を使って光合成を2秒間だけおこなわせたところ最初にできるものは燐グリセリン酸であることがわかりました。

これは三炭糖(C3)とよばれる炭素3個からなるかんたんなつくりの物質に近いものです。

光合成の時間を30秒間にすると燐グリセリン酸のほかにアラニン・アスパラギン酸のようなアミノ酸やリンゴ酸のような有機酸ができてきます。




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