ぶどう糖・乳糖・麦芽糖とは? わかりやすく解説!

ぶどう糖

ぶどう糖は、単糖類のなかの六炭糖の一つで、グルコースともよばれています。

ぶどう糖には二コルプリズム(方解石でつくったプリズム)を通ってきた偏光を違った方向に曲げる二種類のぶどう糖のあることが知られています。

そのいっぽうをαぶどう糖、もうひとつのほうをβぶどう糖とよんで、区別することもあります。


ぶどう糖は、そのままの形でブドウやそのほかのいろいろな果実にふくまれています。
また、ほ乳動物の血液中には、0.1パーセントぐらいふくまれています。

ぶどう糖はこのような形のほかに、ぶどう糖どうしまたはぶどう糖と他の炭水化物が結合した形でも天然にたくさん存在しています。

たとえばでんぷんやグリコーゲンのような多糖類、つぎに説明する麦芽糖・乳糖・砂糖などの二糖類などです。

ぶどう糖をつくるには、でんぷんをうすい硫酸とともに熱し加水分解(水と反応して分解すること)します。

食品として売っているものは、このようにしてつくったものです。

充分に精製されていないものは黄かっ色をしています。
これには60パーセントぐらいのぶどう糖がふくまれています。

充分に精製されたものは、白色の結晶となります。
ぶどう糖は還元性をもち、フェーリング反応で酸化第一銅の沈殿を生じます。

ぶどう糖は栄養物として大切なものです。
たとえばふつうの状態で栄養物がとれないときや体が非常に弱っているとき、中毒したときなどはよくぶどう糖を注射することがあります。

また、ぶどう糖の甘みは砂糖ほど強くはありませんが砂糖とともに、お菓子をつくるときによく利用されます。



麦芽糖

麦芽糖は、マルトースともいわれ二糖類のなかまで、ぶどう糖二分子から、水一分子がとれて結合したものです。

麦芽糖も、ぶどう糖のように、α麦芽糖とβ麦芽糖がありどちらもフェーリング液を還元する性質があります。

麦芽糖は、でんぷんやグリコーゲンにアミラーゼという酵素をはたらかせるとできる物質です。
天然に存在している例としては、発芽している種子がありますが麦芽糖は少量しかふくまれていません。

麦芽糖は、うすい酸やマルターゼという酵素によって加水分解され二分子のぶどう糖になります。

乳糖

乳糖も二糖類の一種で、ラークトースともいいます。
単糖類のひとつであるβガラクトース一分子とぶどう糖一分子から水一分子がとれて結合しておりやはり、α・βの二種類の乳糖があります。

ぶどう糖が、αぶどう糖のときはα乳糖、βぶどう糖のときはβ乳糖ができます。

乳糖もまた、還元性をもっています。乳糖の甘みはほかの糖にくらべて弱く水にわりあい溶けにくい性質をもっています。

天然には乳の中に存在し、牛乳に4~6パーセント、人乳には5~8パーセントふくまれています。
また、チーズをつくるときの副産物として、とりだされます。

二種類の乳糖のうちで、β乳糖は、α乳糖よりも水に溶けやすく甘みもやや強く、さらに赤ちゃんの腸における吸収・消化もよいので食品としてすぐれています。




炭水化物とは? 単糖類・少糖類・多糖類とは? わかりやすく解説!

ぶどう糖の化学式C6H12O6を見ると
炭素原子6つと水の分子6つとが化合してできているように見えます。
これは、この化学式をC6(H2O)6と考えると、よくわかるでしょう。


このことから、ぶどう糖や、これからできあがっているでんぷんなどは有機化学の発達していなかったころに炭水化物または含水炭素と名づけられました。

これが、今日でも習慣になって、このようによばれていますが最近では糖質とよばれることが多くなってきています。

炭水化物を化学式であらわすと、いっぱんにCn(H2O)mとなります。
ここで、nは2か、またはそれ以上の数、mはnと同じか、あるいはそれ以下の数をしめします。

炭水化物の分け方

炭水化物は、分子のつくりをもとにして単糖類、およびこれらから水がとれて結合した少糖類・多糖類に分けて考えることができます。

単糖類

単糖類は、その分子の中の炭素の数によって、それぞれ名前がつけられています。
たとえば2個の炭素をもつものを二炭糖3個の炭素をもつものを三炭糖などとよんでいます。
天然には、七炭糖まで存在することが知られています。

これらのうちで、食品としてもっとも大切なものは六炭糖でぶどう糖や果糖などがふくまれています。

しかし、三炭糖・五炭糖などのなかにも天然に存在して重要なはたらきをもったものがあります。

少糖類

少糖類は、少数の単糖類からできているもので2個の単糖類からなるものを二糖類、3個の単糖類からなるものを三糖類というようにいいます。

二糖類のなかには、食品として重要な砂糖・麦芽糖・乳糖などがあります。

三糖類以上で少糖類とよばれている炭水化物にはとくに生活に直接関係しているものはあまりありません。

多糖類

多糖類は、たくさんの単糖類からなる炭水化物のことです。
でんぷんや、でんぷんが少し分解してできるデキストリン、肝臓や筋肉に多くふくまれているグリコーゲン、植物の繊維の成分であるセルロースなどは多糖類とよばれます。

炭水化物と食品
炭水化物は、私たちの食べる食品の多くのものにふくまれています。
とくに植物性の食品には、たくさんふくまれていて毎日食べる食品のうちの主要な部分をしめています。

炭水化物は、脂肪とともにエネルギーをつくりだすために重要であるほか私たちの体をつくる材料として、なくてはならない大切なものです。



でんぷんの性質とは? わかりやすく解説!

可溶性でんぷんとデキストリン

でんぷん粒を熱したり、あるいはうすい塩酸をはたらかせたりするとでんぷんは水に溶けやすい可溶性でんぷんになります。

可溶性でんぷんは、のりにしたり紙をすくときにまぜたり糸をつむいだりするときに利用されます。

可溶性でんぷんになると、でんぷんは少し壊れていますがこれがさらに壊されていくと、デキストリンとよばれるものになります。

デキストリンも、のりとして使われています。


でんぷんの糊化

でんぷん粒は、水をくわえただけでは、何の変化もおこしませんが
だんだんと温度を上げていくと、水を吸ってふくれはじめ
ある温度になるとふくれ方が急に激しくなり
ついにでんぷん粒が破れ、中からでんぷんがでてきます。

こうして、液はねばっこくなりのりができます。
このように、のりになることを糊化とい卜ます。

糊化温度

でんぷんからのりができるときの温度、正確には、でんぷん粒が急にふくれあがる温度を糊化温度といいます。

糊化温度は、どのでんぷんでも同じというわけではなく、そのでんぷんをふくむものによって、いろいろと違います。

糊化温度のいちばん低いのはトウモロコシのでんぷんで64~71℃いちばん高いのは、サツマイモのでんぷんで82~83℃です。

でんぷんの糖化

でんぷんに麦芽をはたらかせると、甘い水あめができます。
また、ごはんを口の中でよくかむと、だんだん甘みがついてきます。

これは、麦芽やだ液の中に、アミラーゼとよばれる酵素があってでんぷんを分解し、麦芽糖というものにかえるからです。

この反応を、でんぷんの糖化といいます。
できた麦芽糖は、砂糖によくにた物質で水によく溶け、甘みがあります。

アミラーゼは、このほかダイコン・ジャガイモなどいろいろな野菜にふくまれていますが、熱に弱いので料理のとき熱するとすぐ壊れてしまいます。

でんぷんにアミラーゼがはたらくとアミロースは完全に分解されて全部甘い麦芽糖にかわります。
ところが、アミロペクチンは、完全には分解しません。

これは、アミラーゼが、アミロペクチンのえだの分かれめに邪魔されてはたらきかけることができなくなるからです。

ヨウ素でんぷん反応

でんぷんにヨウ素をはたらかせると青くなることは19世紀のはじめからよく知られていました。

今でもこのヨウ素でんぷん反応はでんぷんを調べるときによく利用される大切な反応なのです。

ヨウ素でんぷん反応の液は、ヨウ化カリウムの20パーセント水溶液にヨウ素をくわえた、かっ色の液です。
この液の一滴をでんぷんの水溶液にくわえると、濃い青色から紫色になります。

このように着色したものを静かに温めていくと色は消えますが液を冷やすとまた色がつきます。

でんぷんには、アミロースとアミロペクチンの2つの成分かおりますがヨウ素でんぷん反応の色もそれぞれ違います。

アミロースは、この反応で青色になりますがアミロペクチンは、赤みをおびた青から紫色になります。
ヨウ素でんぷん反応は、でんぷんが分解されて麦芽糖になるともう見られなくなります。

それで、この反応を使ってでんぷんがどのくらい分解されたかを調べることができます。



実験

充分にかんで甘みのなくなったチューインガムをさらにかみでてくるだ液を集めます。
また、でんぷん1グラムを100立方センチの水とまぜて温めたでんぷん液をつくっておきます。

つぎに、何本かの試験管にでんぷん液1立方センチとだ液1立方センチをまぜ、体温くらいに温めておいて5分おきにヨウ素液を一滴ずつくわえていきます。

はじめは、ヨウ素液をくわえると、青い色になりますが時間が経つにつれて、反応の色がでなくなります。
これは、だ液によって、しだいにでんぷんが糖化されていくからです。

フェーリング液との反応

酒石酸カリウムナトリウムの塩基性溶液に硫酸銅を溶かしてつくった青色の溶液を、フェーリング液といいます。

試験管に、このフェーリング液を少しとってぶどう糖をくわえ、沸騰させると、それまで青かった液がたちまち赤くにごりはじめ、やがて赤い沈殿ができます。

これは、硫酸銅が、ぶどう糖で還元されて、赤い酸化第一銅にかわったからです。
フェーリング液を還元する性質は、ぶどう糖だけでなく、麦芽糖や乳糖も、もっています。

ところが、でんぷんには、この性質がありません。
また、でんぷんと同じように、ぶどう糖が結合してできたグリコーゲンにもありません。

そこで、でんぷんやグリコーゲンが分解されたかどうかを確かめるために
この反応が利用されます。

実験

まず、つぎのような2種類の溶液をつくります。
①結晶硫酸銅34.6グラムを500立方センチの蒸留水に溶かす。

②酒石酸カリウムナトリウム173グラムと水酸化ナトリウム50グラムを500立方センチの蒸留水に溶かす。

①と②の溶液を、それぞれ2立方センチずつとってよくまぜこれにだ液で消化したでんぷん液をくわえバーナーで熱します。

すると、赤い沈殿ができます。

これは、でんぷんの分解によって、麦芽糖ができた証拠です。
この麦芽糖が、フェーリング液を還元するのです。

だ液をくわえなかったでんぷん液は、反応しないことも確かめましょう。



でんぷんの作り・でき方・成分とは? わかりやすく解説!

サツマイモ・ジャガイモや、米・麦などがたくわえているでんぷんは植物が芽をだしたり生長したりするために使われるエネルギーの材料として、大切なはたらきをしています。

動物は、植物のつくったでんぷんを食べて消化・吸収し分解します。
そしてそのときでてくるエネルギーを利用して体温をたもったり、運動したり成長するために必要な物質をつくったりしています。


てんぷんのでき方

でんぷんは、緑色植物が太陽の光の助けを借りて水と二酸化炭素とから合成したものです。

このとき、同時に酸素もできます。

でんぷんができるときには植物体のなかで多くの酵素という物質がはたらき複雑な化学反応が進みます。
それで、まだ人間の力では水と二酸化炭素とからでんぷんをつくることには成功していません。

でんぷんがつくられるところは、ほとんど葉緑素をもった葉の部分ですがつくられたでんぷんは、根や地下茎・種子などの中にたくわえられます。

たとえば、サツマイモは根にジャガイモは地下茎にイネや麦は種子にでんぷんをたくわえます。

生物によって、でんぷんが分解されつくすと、また水と二酸化炭素になりますがこのとき、でんぷん1グラムにつき約4000カロリーの熱が発生します。

空気中にでた二酸化炭素は、また植物がでんぷんをつくるときに利用されます。

てんぷん粒

でんぷんが植物にたくわえられているときはでんぷん粒とよばれる粒の形をしています。

このでんぷん粒は、植物の種類によって形が違うため顕微鏡で調べるとどの植物のものか、かんたんに見分けがつきます。

でんぷん粒の大きさは、直径が0.002~0.15ミリとさまざまです。
そしてこの粒は、皮におおわれているので、水に浸しただけでは溶けません。

湯の中ではだんだんふくらみ、ついに皮が破れて中の物質が外へ出てきて溶けていきます。
くず湯をつくるのに湯を使うのは、このためです。

実験

ジャガイモの皮をむき、水で洗ってから、おろし金ですりおろします。
これを二重、三重に重ねたガーゼに包んで水の中でもむと赤黒くにごった汁がでます。
この汁を鉢に入れておくと、底にでんぷんが沈んでたまります。

つぎに、鉢を静かに傾けて上澄みを捨て、きれいな水を入れてかきまわします。
底にでんぷんが沈んだら、また水を捨てます。
これを何回か繰り返したあと乾かすと、きれいなでんぷんの粉がとれます。

顕微鏡で調べると、大小さまざまなでんぷんの粒がよくわかります。


食物中にふくまれるでんぷんの量

食物によって、でんぷんのふくまれる割合はいろいろと違います。
たとえば、つぎの食物100グラム中にふくまれるでんぷんの量は小麦では77グラム、米87グラム、大豆13グラム、バナナ9グラムです。

でんぷんの成分

でんぷんは、ぶどう糖C6H12O6がいくつもつながってできた分子量の非常に大きい化合物です。

ぶどう糖が結合するとき、一分子の水を放出するので化学式であらわすと[C6H10O5]nとなりますが、このnはぶどう糖がいくちもつながっていることをしめす数字です。

でんぷんをとった材料によって、この数字はいろいろと違いますがふつうは450から2200のあいだです。
つまりでんぷんは、ぶどう糖の分子が450から2200個ぐらいも結合してできあがっているということができます。

しかし、よく調べてみると、ぶどう糖のつながり方の違いからでんぷんには2つの成分のあることがわかります。

2つのうち1つは、アミロースとよばれぶどう糖がひものように、まっすぐにくっついているものです。

もう1つは、アミロペクチンとよばれぶどう糖が木のえだのようにつながったものです。
でんぷんに熱湯を注ぐとゼリーのようにどろっとなるのはアミロペクチンがあるためです。

でんぷんの中のアミロースとアミロペクチンの割合はでんぷんをふくむ植物の種類によって、ずいぶん違います。

たとえば、米のでんぷんはアミロペクチンが83パーセントですがもち米のでんぷんは、ほとんど全部がアミロペクチンです。

トウモロコシでは79パーセント、小麦では76パーセントジャガイモでは78パーセントがアミロペクチンです。



有機化合物と無機化合物とは? わかりやすく解説!

地球上には、いろいろな物質がありますがこれらの物質は、90種類あまりの元素からできています。

物質を形づくっているもっとも小さい粒を原子といいます。


同一の原子が結合してできたものを単体といいこれにたいして、2種以上の原子が結合したものを化合物といいます。

このような化合物のうちで、炭素原子が中心になってこれに他の原子が結合しているようなものをとくに有機化合物といい、炭素原子をふくまないものを無機化合物といっています。

たとえば、砂糖やアルコールは燃やすと炭ができたり二酸化炭素をだすことからわかるように炭素をふくんだ化合物ですから有機化合物です。

しかし、炭素をふくんでしても二酸化炭素・一酸化炭素・炭酸ナトリウム・二硫化炭素といったようなものはいっぱんに無機化合物として取り扱われています。

有機化合物は、その種類が非常にたくさんあります。
それは、炭素原子の性質として、炭素原子どうしまた酸素・水素・窒素・イオウ・リンその他のいろいろな原子と結合する力が強いことによるのです。



炭素の原子価は4ですが、これは1個の炭素原子が4つの手をだしてこれに他の原子が結合できることを意味しています。

むかし、有機化合物は、すべて動物や植物・微生物などの生き物によってはじめてつくられるものであると考えうれていました。
有機という言葉は、同時に生物という意味をも、もっているのです。

私たちの体をつくっているたんぱく質植物によってつくられるでんぷんなどをはじめ脂肪・ビタミンなどは、すべて有機化合物に入るものなのです。

ところが、1828年ドイツのウェーラーという化学者が尿素という尿の中に見いだされる有機化合物をシアン酸アンモニウムという無機化合物からつくりだすことに成功しました。

それ以来、もともと生物によってつくりだされた物の中からだけ見いだされたいろいろな有機化合物が、実験室で合成されるようになりました。

さらに、天然にも見いだされないような物もつくられるようになって有機化合物の複雑な性質が調べられ私たちの生活に役立つようになりました。

ビタミンやそのほかの医薬品・合成樹脂・合成繊維・香料・染料などはその一例です。



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