飛行機の翼にはたらく力とは? わかりやすく解説!

流れに対してななめにおいた板

川の流れや空気の流れの中に、流れに平行に板をおくと板は流れからそれほど力を受けません。

ところが、流れに対してななめに板をおくと流れの方向に押し流されようとしますが板の面に、垂直の力を受けます。

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図のように、水の流れに対して、ななめに板をおいた場合を考えてみましょう。

板の面には、垂直に力がかかるので、板にはABという力がはたらきます。

この力を平行四辺形の法則によって流れの方向の力ADとADと直角の方向のACという力に分解してみます。

ADの力は、水の流れの方向ですから、板を押し流すようにはたらきます。
それから、ACは、板を上のほうに持ち上げるようにはたらきます。

ABは、流れが速いほど、また、板が流れに対して直角に近いほど大きくなりますが、板が、流れに対して45度以上になると、ACの力は小さくなります。

船のかじや、飛行機の主翼やかじにはたらく力も、これと同じことが言えます。


飛行機の翼にはたらく力

グライダーでも飛行機でも、重さがありますからこの重さをどのように支えて空中に浮かばせるかということが、まず問題です。

飛行機を、空中に浮かばせるはたらきをするのは、主翼です。
主翼は、風が下からあたるように、まえが少し高く取り付けてあります。
この主翼の傾きを、迎え角と言います。

むかえ角をつけた主翼に、風があたるときは、ちょうど、水の流れに対してななめにおいた板と、同じように力がはたらきます。

たとえば、左の図①で、空気の流れの方向をGAとすると主翼にはGBという力がはたらきます。

そしてこの力は、空気の流れの方向の力GAと空気の流れに直角な方向の力GCとに分解することができます。

このGCという力が、飛行機が浮き上がる力としてはたらきます。
この力と飛行機の重さがつりあうと、飛行機は空中に浮かんでいることができます。

したがって、飛行機が浮きたがる力が飛行機の重さより大きいとしだいに飛行機は浮き上がり、反対に、飛行機の重さより小さいと下がっていきます。

また、飛行機が浮き上がるために主翼が、つぎのようなはたらきをすることも大切です。

主製の断面は、上の図の②のように、上側のまるみが大きくしてあります。
このため、主翼につきあたった空気は主翼のまえのふちで上と下の2つにわけられます。

このとき、上の空気の流れは、下の空気の流れよりも速くなります。

すると、流れが速いほど、まわりが受ける圧力は小さくなるので主翼の上側の空気の圧力が減り、下側の空気の圧力が増えてきます。

その結果、主翼の上と下とでは、圧力の差ができます。
そのため、主翼を上に持ち上げようとする力がはたらきます。
この作用は、飛行機の速さが大きいほど、大きくなります。

このことを、つぎの実験で確かめてみましょう。



実験1

スプーンを指先で軽く持ちその裏側を水道の水の流れに触れさせます。
すると、スプーンは流れに吸い寄せられて、はなれにくくなります。

スプーンの裏側は、ふくらんでいますからスプーンにそって流れる水は、この部分が速さを増します。
このため、水の圧力が減り、スプーンが水の流に吸いよせられるのです。

実験2

2枚の紙を、上の写真のようにならべてたらし、そのあいだを強く吹いてみます。
すると、2枚の紙は、互いに吸いつくようになります。

これは、紙のあいだを空気が速く流れるため内側で紙を押す空気の圧力が外側の圧力より小さくなるからです。

水や空気のようなものに、このように速さが増すと圧力が減るという性質があります。

実験3

画用紙で、図のように、翼と同じような形をつくります。
これに、きっちりと麦わらをはめこみ、麦わらに針金を通して台の上に立てます。

できあがったら、うちわで、まえから風を送ってみます。
すると、画用紙はどんどん上に上がっていきます。

これも、まえの実験と同じ原理です。翼の上面の空気の速さが増して圧力が下がり、下側の空気の速さが減って圧力が増えたため上に押し上げられるのです。




流れから受ける力とは?流れの速さと抵抗とは? わかりやすく解説!

流れが緩いときの抵抗

川の水の流れによって橋脚が受ける力や、風によって電柱や人体が受ける力は水や空気の流れる速さに比例して、大きくなります。

このほか、物体の形や流れる水や空気の摩擦にも関係します。


水や空気には、摩擦がなさそうに見えますが、つぎのような実験をしてみると、摩擦のあることがよくわかります。

バケツに水を入れて速く回転させてみます。
すると、はじめ静止していた水が、しだいに回転しはじめて中央部か低く、外側が高くなります。

これは、まず、いちばん外側の水が、バケツとのあいだの摩擦でバケツの回転につれて動きはじめ、つぎに少し内側の水がはじめに動きだした水との摩擦で動きます。

こうして、つぎつぎに内側のほうへ運動がうつっていき全体がバケツと同じ速さで回転するのです。

このように、水や空気には摩擦があってその中を動く物体の運動を、さまたげる力となります。
したがって、摩擦が大きいほど、物体の受ける抵抗は大きくなるわけです。

ゆっくり流れている水の中に、円柱をおいたときにも、同じことが言えます。
円柱の近くを流れる水は円柱にそって1周りし、その後は、いちように流れていきます。

この場合、円柱をとりまいている、ごくうすい水の層は円柱の表面にくっついていますから、円柱とともに止まっていると考えられます。

その外側のうすい層は、小さい速さで流れ、さらにその外側のうすいのはそれよりやや大きい速さで流れています。

こうして、水の各川のあいだに摩擦がはたらき、もっとも内側にあって円柱に触れている層にも、流れの方向に摩擦力がはたらきます。

この力が、円柱を押し流す力となり、その大きさは、流れの速さに比例しています。

また、球を緩い流れの水の中につるしたとき球が流れから受ける力は球の半径が大きくなれば半径に比例して大きくなります。

流れが速いときの抵抗

暴風や、水が速く流れているときの抵抗は、まえよりも複雑になります。

いま、速い流れの水に、円柱をおいたとするとまえの場合と違って円柱のうしろに、うずができます。
このことは、川の中に建っているくいや、橋脚などのうしろによく見かけます。

円柱のうしろにうずができると、円柱の前面にはたらく圧力はうしろ側にはたらく圧力より大きくなります。
そのため、円柱は、流れの方向に、押し流されようとします。

このような場合の抵抗は流れの速度の2乗と流れる空気や水の密度と流れの方向から見た物体の断面積をかけた値に比例します。

また、抵抗を受ける物体の形にも関係します。

そこで、船や飛行機などのように高速度で水や空気の中を運動する物体は流れの方向から見た断面積を小さくすることとうずのできないような形にする研究が、大切になります。



船の形と流線形

船の形は、2つの角度から考えねばなりません。
その1つは、荷を積んだときや傾いたとき船が転覆しないようにすることです。

もう1つは、水の抵抗を、できるだけ小さくすることです。
ここでは、水の抵抗の面からだけ、考えてみましょう。

水の抵抗を小さくする研究に、よいヒントをあたえてくれるのは、魚の形です。

魚にも、いろいろの形かわりますがだいたいは、ぼうすい形をしています。

このことは、気流や水流を使って、いろいろの方法で研究されました。
図は、その結果をしめしたもので、5と6のような形を、流線形と言います。

船の形を流線形にしておくと、大きな速度で水中か走っても、そのうしろにできるうずが、非常に少なくなり、水の抵抗を小さくすることができます。

したがって、船を進める力の無駄がなくなりそれだけ、速度を増すことができるわけです。

船ばかりでなく、飛行機・高速電車・自動車などの形もできるだけ流線形になるように、設計されています。

雨粒の落ちる速度

雨粒が落ちるときは、ふつうの落下運動のように重力によって等加速度運動をします。

ことに雨粒は、非常に高いところから落ちはじめるのでもし空気の抵抗がないとすれば地上に着くときには非常に大きな速度になっているはずです。

ところが、雨粒が落ちはじめると、速度が増すにしたがって抵抗もしだいに大きくなり、ある速度になると抵抗が重力とつりあうようになります。

それ以後は速度が増さないので抵抗も増さずそのままの速度で等速運動をすることになります。




振動のふせぎ方とは?ばねの利用、オイルダンパ・空気ばねとは?

ばねの利用

振動は、時計の振動のように、いろいろ役に立つことに利用されています。

しかし、いっぽうでは自転車・自動車・電車などの振動のように私たちの役に立たないばかりか、かえって邪魔になる振動もあります。

電車などの車輪の部分には板ばねやつるまきばねがところどころに取り付けてあります。

これは、車体の振動の振幅をばねの弾力よってできるだけ小さくして、乗り心地をよくするためです。


オイルダンパ

板ばねやつるまきばねだけでは電車や自動車が受ける衝撃の力や振動を小さくするのに充分ではないので、オイルダンパが工夫されました。

これは、衝撃や振動のエネルギーを、熱エネルギーにかえて油(オイル)に吸収させ、外部に熱として発散させるものです。

客車などの台車に使われているものは、ピストン型とよばれるものです。

これは、油をつめたシリンダ(円筒)の中に小さい穴のあるピストンを入れたものでビストン棒は車体を支えているはり(ゆれまくら)につながっています。

シリンダは、内側と外側と二重になっていて小さい穴でつながっています。

この場合、一定の容積の中にピストン棒が入るのでそれに相当する容積の油を外側のシリンダへ逃がします。

このとき、油と小さい穴とで起こる摩擦によって電車などの車体の振動を弱めているのです。

空気ばね

空気ばねは、圧縮した空気を、ゴムのふくろ(ゴムペローズ)に入れ空気の弾力を利用して振動を弱める仕掛けになっています。

自転車などのタイヤも、空気ばねの一種と言えましょう。

バスに使われている空気ばねは、ばねをやわらかくするほか車体の重さを一定に保つ装置が、取り付けられています。

上の図は、その仕組みをしめしたものです。

ゴムベローズは、補助空父室とレベリングバルブにつながっています。
補助空気室はベローズが伸びたり縮んだりするときベローズ内の圧力の変化をやわらげて、ばねをやわらかくする役目をします。

いま、車体に重みがかかってベローズが縮むとレベリングバルブが、車体といっしょに下に沈みます。

すると、連結棒が、レベリングバルブの回転腕を押し上げ空気だめの空気をベローズの中へ流す通路をあけます。

そこで、ベローズの中の圧力が高くなって、車体を持ち上げます。
車体が、ある高さまであがると、レベリングバルブの回転腕は水平になり空気の通路がふさがれて、車体の上がるのが止まります。

車体が軽くなると、車体が浮き上がり、レベリングバルブの回転腕が下がります。

排気の穴が開かれて、ベローズの中の空気が外に吐き出され一定の高さのところまで、車体が下がって止まります。




振動の利用とその例と特徴とは? わかりやすく解説!

ふりこ時計

ふりこ時計は、ふりこの等時性を利用して、時間を測る機械です。
これを動かすエネルギーは帯のような鋼でつくったぜんまいに、たくわえられています。


ふりこの運動は、空気などの抵抗によって、しだいに弱まろうとします。
このとき、ぜんまいにたくわえられたエネルギーが少しずつふりこにあたえられて、振動が続くのです。

ぜんまいは、その弾力によって、たえずもどろうとしています。
この力に、いくつかの歯車によって、がんぎ車に伝わっていきます。
ぜんまいのもどる速さを調節するのが、アンクルです。

アンクルは、ふりこが一定の周期で左右にふれるたびにがんぎ車の溝にくいこみます。

そのため、ぜんまいは一定の速さでもどりこれにつながる歯車を一定の速さで回転させるのです。

歯車は、動力を伝えるほかに、回転数をかえるはたらきもします。
かみあった2つの歯車の回転数は、その歯数に反比例します。

たとえば、歯数の割合が、1対2の歯車を組み合わせると大きいほうの歯車の回転数は小さいほうの歯車の2分の1になります。

この考えから、時計の長針と短針をまわす仕組みを調べてみましょう。

時計の針は、長針が1回転するうちに、短針が12分の1回転しなければなりません。
それには、長針と短針をまわす歯車の歯数を、1対12の割合にすればよいわけです。

しかし、実際には1対12の割合の歯車を、いちどにかみあわせないでいくつかの歯車を使って、少しずつ回転数をかえ全体として1対12の割合になるように、工夫されています。

図は文字板の裏にあって、長針の12分の1の回転数で、短針をまわす仕組みです。
これを、日のうら装置と言います。

長針のついている三番車は、1時間に1回転します。
この軸は、中心割カナという、小さな歯車が固定されてして日のうら歯車という大きな歯車とかみあっています。

日のうらカナという小さな歯車は、大きな時針歯車とかみあっています。
時針歯車の軸には、短針がついていて、三番車の軸に、ゆるくはまっています。



ふりこ電気時計

電磁石を使って、ふりこをふらせる時計をふりこ電気時計と言います。

この時計は、ふりこの重りが、磁石になっています。
この磁石が、コイルの中を通れるようにし、コイルには乾電池から電流を通し磁石のはたらきをさせてあります。

ふりこ電気時計は、この2つの磁石の引力によってふりこをふらせるので、ふつうの柱時計のように、ねじをまく心要がありません。

しかし、1年ぐらいで、乾電池を取り換えなければなりません。

また、ふりこの周期にあわせて電流のスイッチが切れたり入ったりするので重りの磁石がコイルの磁石に吸い込まれたままにならないように工夫してあります。

腕時計・置時計

腕時計や、置時計も、針を動かす動力に、ぜんまいが使われていてがんぎ車・アンクル・歯車・指針などが組み合わされています。

ただ、腕時計や置時計には、ふりこのかわりに、テンプが使われています。
しかし、針を動かす仕組みは、ふりこ時計と同じです。

テンプは、図のように、大きな金属の輪と、細いひげぜんまいからできています。
このテンプを、少しまわしてはなすと、ひげぜんまいの力で、勢いよくもどります。

しかし、その勢いで、もとの位置を行き過ぎてしまいます。
そして、またもどり、また行き過ぎます。
こうして、左から右、右から左と、往復の回転迎動を繰り返します。

テンプも、ふりこと同じように、1往復する時間が決まっています。
ふりこの場合は、周期はふりこの長さで決まりましたが、テンプの周期はひげぜんまいの長さで決まります。

ひげぜんまいが長くなれば、テンプはゆっくり動き、短くなれば、速く動きます。

したがって、テンプは、ふりこがふれるのと、同じはたらきをしています。
テンプが一往復するたびに、がんぎ車が一歯ずつ動く仕組みは、ふりこ時計と同じです。

テンプの振動は、外から力を加えてやらなければしだいに弱まり、しまいに止まってしまいます。

がんぎ車やアンクルは、ぜんまいの力をテンプに伝えて振動を続けさせる役目をしています。

これも、ふりこ時計の場合と、全く同じです。腕時計の中に自動まき腕時計というのがあります。

これは、指先でねじをまくかわりに手を動かすことによって起こる振動を利用して、ねじが自然にまけるように工夫してあります。

自動まき腕時計の内部は、いつも、下にくる重りがありその重りを手の振動で動かし、このわずかの力を利用してねじをまくしくみになっています。




単振動・固有振動とは?自由振動と強制振動とは? 振動の共振とは?

単振動

ふりこの振動のような運動を単振動と言います。

下の図のように、つるまきばねに重りをつるし、Bまで引き伸ばしてはなすとOを中心としてAとBのあいだで振動します。

これも、単振動です。

このときは、重力と、つるまきばねの弾力とがはたらくので弾性振動とも言います。
腕時計のひげぜんまいは、図と形は違いますが、同じ単振動をします。

いろいろの楽器や、マイクロホン・スピー力ーなどの振動はすべて弾性振動ですが、ふりこや、つるまきばねにつるした重りの振動のようにかんたんな振動ではありません。


固有振動

鉄をU字形にし、そのあしに、木箱(共鳴箱)を取り付けたものを音叉と言います。

音叉を、木づもで軽く叩くと、きれいに澄んだ音がでます。
これは、音叉が振動をして、この振動が空気に伝えられ、音波になるからです。
音叉が振動していることは、その先を、少し水面にさしこんでみれば、わかります。

音叉の振動や、これを伝える空気の振動などで1秒間に振動する数を、その振動数と言います。

振動数に、その振動の周期をかけると1になるという関係かわりますから1を周期で割ると振動数がもとめられ、1を振動数で割ると周期をもとめることができます。

音叉は、その形や大きさ、材料にした鉄の性質などによって決まる一定の振動数をもっています。
これを、固有振動数と言います。

音叉だけでなく、すべての物体は、叩けば必ず音がでます。
その振動数は、その物体の形や弾性によって決まる、一定の大きさをもっています。
このように、物体が、固有振動数で振動することを、固有振動と言います。

自由振動と強制振動

ふりこや音叉の振動のように、はじめに外から加えられた力だけで物体が振動することを、自由振動と言います。

自由振動では、固有振動の振動数で振動し振動を続ける力がはたらかなければ、しだいに振動が止まってしまいます。

このような振動を減衰振動と言います。

ぶらんこに子どもをのせて、いちばん下にくるたびに少しずつ押してやると、しだいに大きく揺れていきます。

このように、ある物体が自由振動をしているとき、一定の周期をもった力をたえず外から加えると、振幅が大きくなります。
この力を強制力と言い、強制力によって起こる振動を、強制振動と言います。

ぶらんこが、いちばん下にくるたびに動く方向と反対向きの力を少しずつ加えると振幅がしだいに小さくなって、ついには止まってしまいます。

このように、強制力は振動を強めることも、弱めることもできます。



振動の共振

すべての物体は、それぞれ固有振動数をもっています。
この固有振動数に等しい強制力を加えると、その物体は、しだいに振動しはじめます。

このことを、共振または共鳴と言います。

図のように固有振動数の等しい音叉AとBを向い合せておき一方を叩いて振動させます。

しばらくして、叩いたほうの音叉を手で握り、その振動を止めて耳を傾けると叩かなかった音叉が、鳴り出しています。

そのわけは、つぎのように説明できます。

まず、Aの振動が空気に伝わり、音波ができます。
音波は、進行方向に圧力をもっていますからその圧力が強制力となって、Bをごくわずかずつ押し動かします。

この場合、Bの固有振動数は、強制力の振動数と等しいのでBの振動が音波のくるたびにさかんになって、鳴り出すのです。

また、つぎのような実験をしてみましょう。
下の写真のように、1本の糸を水平にはり、長さの同じふりこAとBをむすびつけます。

はじめ、AのふりこをふらせるとAの振動が弱まるにつれて、Bが大きくふれてきます。

Aの振動が止まると、Bの振動がもっとも大きくなりBの振動が弱まると、しだいにAの振動が強くなります。

そして、これが繰り替えされます。

これも、振動の共振です。
2つのふりこの長さが等しいので、固有振動数も等しくなります。

このため、一方のふりこの振動が水平にはった糸を伝わってもう1つのふりこを動かすのです。

電車が振動するときは、そのときの車体の振動数に等しい固有振動数をもつつりかわが共振して大きく揺れ動きます。

つり橋をわたるとき、足なみが橋の固有振動数とあうと橋は大きく揺れだします。
これも、共振の例です。

したがって、つり橋をわたるときは数人で足なみをみだしながら歩くほうが安全です。




ふりこの運動とは?ふりこの等時性とは? わかりやすく解説!

ふりこの長さと周期

図のように、糸の先に重りをつけC点からつりさげて自然のままにしておくと重りは重力によって、C点の真下のO点で静止します。

このときのCOの方向が、鉛直方向、つまり重力の方向です。

重りを、A点まで手で動かしてはなすと、A→O→B→O→Aと糸の長さlを半径とした円周上を動いて、もとの位置にかえる運動を繰り返します。


この運動を振動と言い、このような仕掛けを、ふりこと言います。
私たちが、普段よく見かけるふりこは、柱時計のふりこです。

上の図で、OからAまでの距離、またはOからBまでの距離を振幅と言います。

OAとOBの距離は等しくなります。

AからBにいき、BからAにかえるまでの時間を、ふりこの周期と言います。

糸の長さをいろいろにかえて、糸の長さと周期の関係を調べてみると「ふりこの周期は糸の長さの平方根に比例し、重力の加速度の平方根に反比例する」ことがわかります。

この関係は、周期をT秒、糸の長さlセンチ、重力の加速度を、毎秒・毎秒gセンチとすると、つぎの式であらわされます。

πは、円周率(3.14)です。

したがって、糸の長さが長くなるほど周期は大きくなります。
また、赤道の近くとか、富士山の頂上とか重力の加速度の小さいところほど周期は大きくなることになります。

ふりこの重さと周期

糸の長さはかえないで、重りの重さだけをかえてストップウォッチで周期を測ってみるとふりこの周期は少しもかわらないことがわかります。

このことは、まえの周期の式に重りの質量が入っていないことからも、わかります。

重力の加速度の測定

ふりこの長さを一定にしておいて、その周期を測るとまえの式から、重力の加速度をもとめることができます。

重力の加速度は、緯度や重さによってかわるばかりでなく地下の岩石の質や、割れ目があるかないかによっても、かわります。

このことを利用して、日本の陸地や近海の各地で、重力の加速度を測り地下に地震の起こりそうな多くの割れ目があることを、知ることができました。

ふりこの等時性

ふりこの運動で、面白いことは、ふりこの振幅が、ある程度小さい範囲では「振幅が大きくても小さくても、周期が一定している」ということです。

これは、イタリアのガリレオが、1583年にピサの礼拝堂でつりランプの揺れるのを見て脈拍を時計がわりに使って発見したことでふりこの等時性と呼ばれています。

ふりこの等時性を利用して、ふりこ時計かはじめてつくったのはオランダのホイヘンスという学者で1673年のことです。

ふりこの周期は、その長さの平方根に比例しますからふりこの長さを長くすると、周期が大きくなります。

柱時計のふりこには、下のはしにねじがついています。
時計が遅れるときは、このねじで重りを上げ進むときは重りをさげて調節するようになっています。

ふりこにはたらく力

図を見てください。

ふりこが連動しているときにはたらく力は、重りの重さWと糸の張力、Tです。
WとTの合力Pは、Tと直角で、円の接線の方向を向いています。

このPの力は、中心Oに近づくほど小さくなりますがふりこがA点からO点にくるまでに加速度をあたえ続けているのでO点で、いちばん速さが大きくなります。

ふりこが、慣性によって、O点か通り越して左側にいくとPの力は運動の方向と反対方向なるので速さはしだいに小さくなっていきます。

そして、ついに速さがゼロになると中心Oにむかってまえと同じような運動をします。




向心力とは?遠心力とは? わかりやすく解説!

向心力

等速円運動では、速さはかわらないが方向が絶えずかわっているので方向をかえる加速度(法線加速度)が絶えずはたらいています。


円周上の接線と、その接点を通る半径とは垂直に交わっているので、この加速度は。円の中心にむかいます。

図で物体をPとすると、PAという矢印で、この加速度をあらわすことができます。

質量のある物体に、加速度があらわれるのはそこに、力がはたらいているからです。

このとき、力の方向と加速度の方向は同じですから物体にはたらく力も、中心を向いているはずです。
このように、等速円運動をする物体にはたらく力を向心力と言います。

小石に糸をつけて、手でふりまわし、円運動をさせると手に力が加わります。この力は、向心力の反作用です。

カーブと向心力

走っている人や、自転車に乗っている人がカーブを曲がるときの様子を見ると体をカーブの内側に傾けています。

カーブを曲がるということは円運動の一部にあたるので向心力を生みださなければなりません。

その向心力は、体を傾けることによって重力の水平方向の分力としてあらわれます。

電車や汽車のレールで、カーブしているところは外側のレールが、少し高くつくられています。
また、大きな速度で自動車がカーブするところも道路の面を内側に傾けてあります。

これも、向心力をつくるためです。

図で、自動車にはたらく重力(GC)を水平方向(GA)と道路に垂直の方向(GB)に分解してみます。

すると、GBは道路を押す力となりGAが向心力となって自動車に円運動させることがわかります。



遠心力

円運動をしている物体に、私たちが乗っているとします。
このとき、私たちの体は物体といっしょに円運動しているのに円運動をしていることは、少しもわかりません。

たとえば、地球上にいる人は地球の自転のために1日に1回という速度で地軸のまわりをまわっています。
しかし、円運動をしていることは、少しもわかりません。

また、等速運転をしている電車が半径が一定のカーブを走っているときは乗客も電車も、等速円運動をしています。

このときも、乗客は、電車に対して静止していて円運動をしていることがわかりません。

ところが、円運動をするには向心力が心要で、この力は円の中心にむかっています。
そこで、円運動をしている物体に乗っている人から考えると向心力の方向に体が動かないのが不思議です。

そこで、物体が中心の方向に動かないためには、向心力と同じ大きさで反対向きの力がはたらいていると考えなければ、これまでのことが理解できません。

このような力を、遠心力と言います。

地球上の物体の重さは、地球の万打引力と遠心力との合力であると言えます。

遠心分離機

小石に糸をつけてふりまわしたときに糸がきれたとすると向心力ははたらかなくなり、小石は円の接線方向に飛び去ります。

円筒の中に、土でにごった水を入れ、円筒の軸をモーターで回転させると土の細かい粒も、いっしょに円運動をはじめます。

ところが、これに向心力をあたえるものがないのでしだいに接線方向に動き出します。

そして、うずまき形の曲線を描いて中心から遠ざかりしまいには円筒の壁にくっついてしまいます。

このような方法で、比重の違う液体と液体や固体と液体を分離する機械を、遠心分離機と言います。




人工衛星と重力の関係とは? わかりやすく解説!

地球の引力は、高さが高くなるにしたがって、しだいに小さくなりますが非常に高いところでないと、ゼロにはなりません。

そこで、人工衛星や月ロケットを打ち上げるにはこの重力に打ち勝つ方法を考えなければなりません。


人工衛星の場合では、数百キロの高さまで打ち上げその軌道(運行の道筋)を地球の表面に平行に向かせたとき地球を中心とした、楕円運動をはじめます。

このときの向心力は、ちょうど、人工衛星にはたらく重力に等しいような速度でなければなりません。

人工衛星を打ち上げるロケットは、特殊燃料を燃やしてそれをうしろに吹き出し、その反動で進みます。

しかし、積み込まれている燃料には、かぎりがありますからこれが燃えきってしまうまでに、最大速度にします。

この最大速度が、毎秒7.9キロ以上にならないと楕円運動に必要な向心力が人工衛星にはたらく重力に等しくならないのです。

人工衛星が、回転の軌道にのると、地球の引力によってたえず方向がかえられ、ケプラーの第一法則にしたがって運動を続けます。

そのはじめの速度は、特殊燃料によってあたえられたのですが燃料がなくなってからは、そのときの速度で、慣性による等速運動をします。

月ロケットの場合は、人工衛星と少し違います。

月にも万有引力かわりますから、地球と月のあいだに2つの引力が等しくなる点(図のA点)があります。

月にロケットを着陸させるには、すくなくともこのA点か通らせるまで、地球の引力に逆らって運動させねばなりません。

それには、口ケットの最大速度を、毎秒11.2キロ以上にする必要があります。

月ロケットがA点を通ってからは月の引力によって月の面に向かって落ちていきます。

しかし、月の表面に平行な方向にロケット動きだし月の引力と運動による向心力が等しいと月を中心としてまわる人工衛星になります。

ロケットの誘導技術が発達し、A点を通ったロケットの操縦ができるようになりロケットを月に無事に着陸させ、さらに地球に帰ってくることもできるようになりました。




万有引力と重力とは?万有引力の法則とは? わかりやすく解説!

万有引力

ニュートンは、運動の3つの法則を使って、いろいろの力の問題を説きましたがその中でいちばん有名なのは万有引力の発見です。

ニュートンよりまえに、ドイツにケプラーという学者がいて17世紀のはじめに惑星(水星・金屋・火星など)の運動について3つの法則を発見していました。

その法則とは、つぎのようなものです。


第一法則

水星や金星などの惑星は太陽を1つの焦点に持つような楕円の軌道を描いて運動している。

第二法則

上の図で、F1に太陽があるとして、同じ時間にAからB、またはCからDまで惑星が動いたとすれば、赤線で囲んである扇形の面積が等しくなるように運動する。

第三法則

楕円には、長いほうの半径aと短いほうの半径bがあるが惑星が軌道を1周する時間(周期)の2乗は長いほうの半径の3乗に比例する。

ニュートンは、自分の立てた運動の3つの法則をもとにしてケプラーの惑星の運動の三法則を調べ、もし、太陽と惑星のあいだにつぎのような万有引力があればケプラーの法則は計算から導き出せることを発見しました。

ニュートンの考えた万有引力とは「太陽と惑星の質量の積に比例し、距離の2乗に反比例する」というものです。

これを万有引力の法則と言います。

ここで大切なことは、万有引力は質量と質量のあいだの引力で太陽と惑星とのあいだだけではなく地球上にあるすべての物体(万有)のあいだでもはたらいているということです。

磁石と磁石のあいだの磁気力、電気と電気のあいだの電気力にもこれとにたような関係があります。

このことは、18世紀の末に、フランスのクーロンという学者が万有引力の法則にヒントを得て発見しました。



重力

地球上のすべての物体は、地球の自転のために、円運動をしています。

円運動をしている物体には、それを円の中心にむかって引く力(向心力)とそれと同じ大きさで、向きが反対の力(遠心力)が、はたらいています。

重力というのは、この遠心力と物体が地球の中心に引かれる力(引力)との合力を言います。

私たちが、手で物を支えたり、ぶらさげたりすると重さを感じますがこの物体の重さとして感じるのが、重力と呼ばれるものです。

遠心力の大きさは、地球の引力とくらべると、ごく小さいものですが地球上でも赤道付近と、北極や南極のように緯度の違うところでくらべてみると、わずかながら差がでてきます。

これは、地球が自転をしているため、地球上の緯度で、地軸を自転軸として大きく円運動をするところと、全く円運動をしないところが出てくるためです。

したがって、全く円運動をしないところ(北極や南極付近)では、遠心力が生じないので重力が大きくなります。
逆に、大きく円運動をするところ(赤道)では、地球上で遠心力が一番大きいところなのでそれだけ重力は小さくなります。

そのため、重力の大きさは、赤道付近が小さく、北極や南極に近づくほど大きくなっています。

地球上で、場所によって重力が違うのはこのように地球の形や地球の自転の影響を受けているからです。

しかし、その違いはごくわずかなために地球の引力そのものを、重力と言うこともあります。

引力の大きさは、地球の中心からの距離の2乗に反比例しますから高いところへもっていくと、物体の重さは軽くなります。

たとえば、同じ物体の重さを東京と富士山の頂上とで測ると富士山の頂上のほうが、軽くなります。

さらに、地球からはなれて、月の引力と地球の引力とが同じところでは物体の重力がなくなり(無重力状態)すべての物体が空中に浮かんでしまいます。

重力の加速度は、ふりこを使って測ります。
その大きさは緯度45度の海面上で、約毎秒・毎秒980センチ(980cm/秒2)です。
赤道では978、極付近では、983ぐらいで、その差は約毎秒・毎秒5センチぐらいです。

月の世界での物体の重さは、月の引力によります。
月は地球にくらべると、質量は約82分の1、半径は約4分の1ですから、計算すると、月の世界での引力は、地球の約6分の1になります。

したがって、地球上の物体を月の世界へもっていくと、約6分の1の重さになります。




力と加速度の関係とは?力の単位とは? わかりやすく解説!

力と加速度

物体に力がはたらかない場合は、慣性の法則によって、静止を続けたり等速直線運動を続けようとしますが、それに力がはたらくとどうなるでしょう。

ニュートンは、いろいろの研究から「物体に力がはたらくと、力の方向に加速度が生じ加速度の大きさは、力に比例し、質量に反比例する」ということを発見しました。

これを、ニュートンの運動の第二法則と言います。

したがって、質量の違う2つの物体に、同じ加速度を生じさせるには質量の大きいものには大きな力が必要であり、質量の小さいものには小さい力でもよいということになります。


力とは何か、と質問されると、いろいろの答えが考えられます。

まず、相撲をとったり、荷物を手でさげたりするときの筋肉の感じから「物体を押したり、引いたりするはたらきが、力である」と言ってもよいでしょう。

また、少し進んで、慣性の法則から考えると「静止しているものを動かしたり、動いているものの速さや方向をかえるはたらきが、力である」と言ってもよいのです。

これは「物体の慣性に逆らう作用が力である」とも言えます。

さらに進んで、運動の第二法則を使うと「力とは、物体の質量と加速度を、かけたものである」とも言えます。

力の単位

力の単位には、ダインや、ニュートンを使います。
質量1グラムの物体に、毎秒・毎秒1センチ(1cm/秒2)の加速度を生じさせるはたらきをする力が1ダインで質量1キログラムの物体に毎秒・毎秒1メートルの加速度を生じさせるはたらきをする力が1ニュートンです。

ダインとニュートンとの関係は、ダインがCGS単位系、ニュートンがMKS単位系に属するもので、基本単位から導かれるものです。

近頃では、このニュートンという単位が広く使われるようになりました。

1ニュートンをダインにかえるには、つぎのようにすればよいのです。

つまり、10万ダインになります。




慣性の法則とは?質量と重さとは? わかりやすく解説!

慣性の法則

机の上に置いた本は、誰かが動かさないかぎり、いつまでも動きません。
このような物体の性質を慣性と言います。


動かない場合の慣性は、すぐわかりますが動いている物体が慣性をもっていることは、なかなかわかりませんでした。

しかし、動いている物体についても「これに力がはたらかないかぎり、いつまでも等速直線運動を続ける」と言う性質をもっていることがわかりました。

これは、イタリアのガリレオが発見した法則です。

机の上の本に、力を加えて滑らしても、摩擦力のために、すぐ止まります。
また、本のかわりに、ろうかでボールを転がしてみると遠くまで転がりますが、やはり最後には止まります。

これも、摩擦のためです。

ボールが遠くまでころがるのは、本を滑らすときの、滑り摩擦よりもボールを転がすときの転がり摩擦のほうが、ずっと小さいからです。

したがって、摩擦力や空気の抵抗のような、運動をさまたげる力がまったくはたらかない場合を考えてみると、ガリレオの法則通りになるのです。

ニュートンは力学のもとになる、3つの法則を立てたことで有名ですがその第一には、ガリレオの慣性の法則を取り入れました。

それは「物体に、外から力がはたらかないならば静止している物体は永久に静止し、動いている物体は永久に等速直線運動を続ける」というものです。

この法則は、ニュートンの運動の第一法則とも言います。
これを言い換えると「すべての物体は慣性をもつ」と言ってもよいわけです。

電車やバスが、急に走りだすと、のっている人は、うしろに倒れそうになります。
また、急に止まると、進行方向に倒れそうになります。

走っている電車やバスの中で、物を落とすと、落とした物はうしろに取り残されないで、車中の人から見ると、まっすぐ下に落ちます。

また、走っている電車の中で、まっすぐ上に飛び上がってももとのところへ落ちてきます。

これらは、いずれも、物体に慣性があるために起こることです。



質量と重さ

質量という言葉は、ニュートンが物体の慣性の大小をあらわすために用いた言葉です。

質量と重さとは、混同しやすいので、注意しなければなりません。

質量とは、物質がかわらないかぎりどんなところで測っても、その大きさはかわらないものです。

たとえば、地球上で測った質量もまた、月ではかった質量もどちらもかわりがありません。

ところが、重さは地球上の場所によってもまた、地球内部の密度の大きい物質の作用によってもかわってきます。

しかし、その差は、ごくわずかです。

これは、重さが物体にはたらく重力の大きさに左右されるからです。
つまり、重さは、外から物体に作用する力(重力)であってその力の大きさしだいで、異なる値をとるからです。

質量の単位には、グラム(g)やキログラム(㎏)などを用います。
そして、力の単位には、物体にはたらく重力の大きさであらわすこともあります。

たとえば質量1グラムの重さを1グラム重、1000グラム重を1キログラム重などと言います。




物体の重さと落ちる速さとの関係とは? わかりやすく解説!

物体の重さと落ちる速さ

空気中で物体を落とすと、重いものほど速く落ちます。

たとえば、石と木の葉をいっしょにもって、ぱっと指を開けば同時に落ちはじめますが石のほうが速く地面に届きます。


このような経験から、むかしは重い物ほど速く落ちると考えることが正しいとされていました。

ところが1604年に、イタリアのガリレオがこれは空気があるためであろうと考え、いろいろの実験をして物体の落ちる速さは、重さとは全く関係がないことを発見しました。

これを、つぎのような実験で、確かめてみましょう。

図のような長さ1メートルくらいのガラス管の中に金属片と鳥の羽根を入れたものを用意します。

この中に空気を入れたまま、急に逆さにすると、金属片はスーツと速く落ち、羽根は、ひらひらしながら、ゆっくり落ちます。

つぎに、上のコックのところから真空ポンプで空気を抜きとって同じ実験をしてみます。
すると、金属片も羽根も、同じ速さで落ちて、同時に底にたっします。

この実験から「軽い物ほど遅く落ちるのは、空気の抵抗があるためで真空中では物体の重さと関係なく、同じ速さで落ちる」ということがわかります。

それでは、物が落ちる速さは、どのようにかわっていくでしょう。

ガリレオは、まず、斜面の上においたたまが自然に落ちていく様子を調べ、自由落下の法則を発見しました。

これは、「物体が自然に落ちる速さは、時間に比例して速くなり落ちる距離は、時間の二乗に比例する」と言うものです。

上の写真は、ボールを自然に落としたときごく短いー定の時間ごとに光をあてて、落ちる様子をうつしたものです。

落ちるにしたがって速さが増し、落ちる距離が大きくなることが、よくわかります。



水平に投げた物体の運動

物体を水平方向に投げると、図のような放物線を描いて、次第に落ちていきます。
このことは、石やボールを投げるとき、いつも経験することです。

水平方向には、はじめに手で速度があたえられますが手をはなれてからは、まったく力がはたらきません。

ところが、鉛直方向には、物体の重さのために重力がはたらいて、しだいに速く落ちるようになります。

つまり水平に投げられた物体は、水平方向では等速運動をし鉛直方向では等加速度運動をすることになります。

そして、この2つの運動がいっしょになって、放物運動となるのです。

これをくわしく見ると、空気の抵抗のために、水平方向でも鉛直方向でも運動と反対向きの力がはたらくのですがおおよその研究では空気の抵抗を考えなくてもよいのです。

水平に投げた物体の運動では、物体が地面に落ちるまでの時間は物体がまっすぐ落ちて、地面に達するまでの時間と同じです。




接線加速度と法線加速度とは?加速度の合成と分解とは?

加速度

自転車にのって走りはじめると、速さが次第に速くなりブレーキをかけると次第に遅くなって、やがて止まります。

このように、速度がかわる運動のときは、そのかわる割合を決めないと運動の様子をはっきりあらわすことができません。

この速度のかわる割合を、加速度と言います。

速さのかわらない運動は、いちばんかんたんでこれを等速運動と言い、速さのかわる運動を不等速運動と言います。


速さをかえる加速度

もっともかんたんな不等速運動は、不等速直線運動です。

たとえば、1つの物体が直線上を運動しているとし、はじめの速度が毎秒10センチ、つぎの1秒間の速度が毎秒12センチ、つぎの1秒間が毎秒1間センチというようになったときは、1秒ごとに、毎秒2センチずつ速くなっています。

このとき、この物体には毎秒・毎秒2センチの加速度が加わっていると言います。

加速度といっても、速度が増すときだけをいうのではありません。

たとえば、はじめの速度が毎秒20センチ、つぎの1秒間の速度が毎秒17センチ
つぎの1秒間が毎秒14センチになっていたとすれば1秒ごとに毎秒3センチずつ速度が減っていることになります。

このようなときは、毎秒・毎秒3センチの負(マイナス)の速度が加わっていると言います。

つまり加速度とは、1秒間とか1分間とか1時間という単位の時間内に、速度が増えたり減ったりする割合をいうのです。

加速度をもとめるには、何秒かのちの速度から、はじめの速度をひいてそれを、かかった時間で割ればもとまります。

たとえば、はじめの速度が毎秒10センチで3秒後に毎秒16センチになったとすれば、(16-10)÷ 3 = 2

となって、このときの加速度は毎秒・毎秒2センチ(2cm/秒2、毎秒2cm/秒)
であると言います。

もし、1時間ごとに、毎時4キロメートルずつ速くなるときは毎時・毎時4キロメートルの加速度と言います。

このように、加速度の単位には時間の単位を2つ書いて距離の単位をつけ加えることになっています。

方向をかえる加速度

曲線運動では、速さはかわらなくても方向がかわるので加速度の考え方も、いくらか難しくなります。

たとえば、等速円運動では、1秒間に物体の動く距離、つまり速さはかわらないのですが、その方向が絶えずかわっています。

このときも、加速度が加わっていると言います。

等速円運動では、上の図のように、速度はいつも接線の方向を向き、加速度は、常に円の中心に向かっていて、運動の方向をかえる役目だけをします。

接線加速度と法線加速度

直線運動で言われる加速度は、速さだけをかえる加速度でこれを接線加速度と言います。
等速円運動のように動く方向だけをかえるはたらきの加速度は法線加速度と言います。

いっぱんの曲線運動では、接線加速度と法線加速度が2つともあらわれるので運動を考えることが複雑になります。

加速度の合成と分解

加速度も、速度と同じように大きさと方向をもっています。
したがって、平行四辺形法を使って、合成や分解をすることができます。

たとえば、いっぱんの曲線運動で接線加速度と法線加速度をあらわす矢印を二辺として平行四辺形をつくるとその対角線が、実際の物体にはたらいている加速度の大きさと方向をしめします。




落下運動とは?物の動きと速さとは? 直線運動・曲線運動とは?

速さと速度

人が道を歩いたり、自転車で走ったりするときとかまた、ヘリコプターと自動車とどちらがどのくらい速いかというようなときに速いか遅いかを含めるには、速さという言葉の意味を含めないとはっきりしたことがあらわせません。


そこで1時間とか1秒間に、どれだけの距離を動いたかで、その速さを含めています。

たとえば、人が1時間に4キロメートル歩いたとすればその速さは毎時4キロメートルと言いあらわします。

また、小銃のたまが、1秒間に600メートル飛んだとすればその速さは、毎秒600メートルであると言います。

このように速さは、一定の時間内に、物体の動いた距離であらわせばよいのです。
その単位には、距離と時間の単位をならべて、毎時何キロメートル、あるいは何キロメートル毎時(km/時)というように、あらわすことになっています。

100メートルを、12.5秒で走る人の速さは、毎秒 100/12.5 = 8なります。

この場合、はじめと中ほどと終わりのころとでは、速さが違うかもしれません。
したがって、毎秒8メートルという速さは、この人の平均の速さを意味しています。

同じ速さで動いても、東へ動くか、北へ動くか、その物体の動く方向によって位置のかわり方は、まったく違います。

たとえば、図で、一点Oから同じ速さで動きはじめても東へ迎えばA点にくるし、北へ迎えばB点にきます。

そこで、物体の速さとあわせて方向もつけ加えると物体の動きが非常にはっきりします。

このように、方向も合わせて速さをあらわすときは、速度と言います。
速度をあらわすときは、矢印を使います。

矢の長さで速さをあらわし、矢の向きでその方向をあらわせば、はっきりします。
速度の大きさの単位も、メートル毎秒(m/秒)と言うようにあらわします。



速度の合成と分解

流れの速い川を泳いでわたるときは川の流れと直角に泳いでいても少しずつ流されていきます。
このときは、泳ぐ速さと流れの速さとから、体の進む方向を決めることができます。

図のように、泳ぐ速度と流れの速度に比例する長さで矢印OAとOBを書き
これが二辺となるような平行四辺形を書きます。
その対角線OCをもとめると、これが泳いでいる人の進む方向と、速さになります。

たとえば、泳ぐ速さが毎分4メートル、流れの速さが毎分3メートルであれば紙の上にOAを4センチ、OBを3センチにして、平行四辺形を書いてみます。

OCをものさしで測ってみると、約5センチとなります。
したがって、体の進む速さは、毎分5メートル、その方向はOCとなるにわけです。

このように、平行四辺形を使って、2つの速度からこれが合わさったときの速度をもとめることを速度の合成と言います。

この方法は、力の合成の平行四辺形法とまったく同じで力や速度などのように、大きさと方向のある量には、すべてあてはまります。

また、まえの例のOAとOBとが、直角でなくて、どんな角度でも成り立ちます。

つぎに、OCがわかっていて、これをもとにして、泳ぐ速度OAと流れの速度OBをもとめることを速度の分解と言います。

1つの直線OCを対角線にもつ平行四辺形は、いくつもあります。
したがって、ある速度を分解するには、分解する2つの速度の方向がわかっているか、1つの速度の大きさと方向がわかっているときだけ、決まった答えがでます。

直線運動・曲線運動

まっすぐなレールの上を、電車や汽車が走るときのように動く方向が直線である運動を直線運動と言います。

このとき、速さが一定であれば、等速直線運動と言います。

これに対して。高く打ち上げた野球のボールのように曲がった道筋を通る運動を曲線運動と言います。

曲線運動では、速さが一定であっても方向がいつもかわりますから、速度は絶えずかわっています。




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