植物を気候からの影響から保護する方法とは? わかりやすく解説!

気候からの保護

作物は、気候とふかいつながりがあります。
作物の育ち具合は、気候によって決まるほどです。

日でり、大雨、強い風、霜やひどい寒さなどは、みな作物に害をあたえます。
私たちは、このような害から作物をまもってやらなければなりません。


寒さからの保護

時期はずれに、ひどい寒さがくると、作物は、ひどい害を受けます。

たとえば、春遅く、霜が降ったりするとビワやそのほかの果樹の芽や野菜の苗などが枯れてしまいます。

このような寒さから作物をまもってやるにはササを立てたり風よけを立てたりします。

また畑で、もみがら・わら・草などを燃やして煙を出し気温が下がるのをふせぎます。

苗床などは油紙・よしず・ビエル・むしろなどでおおいをして保護します。

また、熱帯植物のように、とくに寒さに弱いものは冬の寒さからまもるために、温室に入れます。
また、大きな木などは、幹に、わらなどをまきつけてやります。

風からの保護

強い風にあたると、作物は吹き倒されてしまいます。
また、風のために、急に気温が下がったり空気が乾いたりして作物が傷むこともあります。

そこで、防風林をつくったり、畑のまわりに防風しょうという、風よけをつくってふせぎます。

日でりからの保護

日でりになって、長いあいだ雨が降らず土地が乾きすぎると作物は枯れてしまいます。

こんなときは、土地をよく肥やして根が地下に深く入るようにしたり、水をかけてやったりします。

また、わらや枯れ草を地面に敷いて土の水分が蒸発するのをふせいでやります。

雨からの保護

日でりと反対に、あまり雨が降り続くと土の中の水分が多くなりすぎて、根のはたらきが悪くなります。

このようなときは、畑のあぜを深く掘って、水はけをよくしてやります。




森林の育てかたとは? 木や作物の病害虫とは? わかりやすく解説!

私たちと森林

森林は、木材をつくってくれるほかにも、大切な役目をもっています。
その1つは、大水や山崩れをふせいで土地があれるのをまもってくれることです。

また、いろいろな動物の住み家をつくってくれています。

さらに、森林は気候を和らげ空気をきよめ自然の美しさを見せてくれ私たちの健康をまもり休養やなぐさめをあたえてくれるのです

ところが、世の中が進むにつれて森林はしだいに少なくなり木材が足りなくなったり大水や山崩れなどの災害が起こるようになりました。

そこで、いまでは、山に木を植え森林を育てるなど私たちの手で森林をつくるようになりました。

日本では、とくに重要なところにはえている森林を保安林として、これを水源かん養林・砂防林・防雪林・防風林・風致林など17種類にわけ、大事に保護するよう法律で定めています。


森林の育てかた

森林を育てるには、樹木が自然にはえ育つのにまかせる方法と苗木を植えたり種をまいたりして、人工的に育てる方法とがあります。

エゾマツ・トドマツ・ツガなどの森林は木を切るときに、少し残しておきます。

こうしておくと、種が地面に落ち、それが芽を出すようになります。
また、焚き木などをとる雑木林では切り株から、しぜんに芽を出すのを育ててやります。

しかし、たいていの森林は種をまいたり、さし木をしたりして苗木を育て、これを山に植えます。

直に種をまく方法もありますが、これはたくさんの種が必要なので、あまりおこなわれません。

森林の手入れ

木が小さいうちは、雑草に負けないように下草をかり、からみついたつるを切り払う、つる切りなどをしてやります。

エゾマツなどのように、しぜんに落ちた種が芽生えたのを育てるような場合には除伐をします。

これは木がこみすぎたり、ほかの木がはえてきたりしたのを切り払ってやるのです。

木が育ってくると、あいだがこんできます。
このときは、ところどころの木を切ってやります。

この作業を間伐と言い、なるべく育ちの悪いものや病気や虫の害を受けているものなどを、切るようにします。

木が大きくなると、下のほうの枝は、だんだん力が衰えてきます。
このような枝は、切ってしまったほうがよいのです。
これを枝うちと言い、なるべく幹に傷をつけないように切り落とします。

木や作物の病害虫

人間や動物に病気があるように、植物にも病気があります。
植物の病気は、ほとんどがカビの仲間の寄生によって起こります。

この害はたいへん大きいので私たちは役に立つ植物を病気から守ってやらなければなりません。

木や作物の病気にはたくさんの種類がありますがそのなかで、おもなものをあげると左の表のようになります。



病気のふせぎかた

病気のふせぎかたには、大きくわけて2つの方法があります。

1つは、病気が出ないようにする予防であり、もう1つは病気が出てしまった場合、消毒などで病気が広がらないようにする方法です。

病気の予防

まず、種は、まくときに必ず消毒します。

また、畑のわきなどにはえている雑草などは病原菌の仲立ちをしますから、できるだけ取り除きます。

畑の作物では、まえの年に病気のでた畑には、なるべく同じ作物をつくらないことです。

どうしても、同じ作物を2年続けてつくらなければならないときは畑の土を消毒します。

つぎには、畑でも林でも手入れをよくして丈夫な病気にかかりにくい作物をつくることです。

作物の肥料のうち、カリ肥料は病気をおさえるはたらきがあります。
しかし、窒素肥料は多すぎると植物の体ばかり伸びてやわらかく育つので、病気にかかりやすくなります。

モモやナシなどの果物は、ふくろをかけることによって病気や害虫をふせぐことができます。

病気をふせぐのに、いちばん大切なことは病気にかからないような強い品種をつくりだすことです。
そのためには、これからも病気に強い品種の研究を進めていかなければなりません。

病気の駆除

病気にかかってしまった場合には、その病気がほかのものに広がらないようにしなければなりません。

これには、まず、病気にかかったものを抜き取ったり斬り倒したりして、焼き捨てることです。

そして、その植物のあった場所を病原菌が残っていないように薬で消毒します。

もう1つの方法は、病気にかかった植物に薬をかけて消毒することです。
このような消毒は、トマトの疫病やキュウリのべと病などのように病気にかからないうちから、予防をかねてやることもあります。

消毒に使うおもな薬はボルドー液・ポリオキシン・ダイセン・石灰硫黄合剤・PCP剤などです。

もちろん、どの薬を使うかは、病気によって決めなければなりません。

害虫からの保護

森林の木や田畑の作物には、たくさんの種類の害虫がつきます。

これらは、たいてい昆虫ですがクロルピクリンやスミチオン・デナボン・二コチン剤などの薬を使ってふせぎます。

また、森林などでは、害虫をとって食べてくれる鳥類(益鳥)を保護して増やしてやります。




動物と文明との関係とは? 鳥・獣・魚・貝・昆虫の保護とは?

動物と文明

人間も、動物の一種ですが、頭のはたらきは、ほかのどんな動物たちよりもすぐれています。

そして、ほかの動物が考えることもできない弓矢・鉄砲などを発明しました。


これらを使って立ち向かえば、どんな大きな体の動物でも強い力を持つものでも、倒すことができます。

百獣の王と言われるライオンでも、鳥類の王様とよばれるワシでも陸に住む動物のうちで、いちばん大きいゾウでも、またゴリラでも動物どうしのあいだでは、いくら強くても人間にあっては、とうてい、適いません。

そのうえ、人間は、年ごとに人口が増えていくために森や林を切り開き、沼や池、海などを埋め立てて自分たちの住む場所を広げていきます。

また、空には飛行機が飛び、陸には自動車や電車が走り海には船がかようようになったので、動物たちは住む場所が少なくなるとともに、だんだん住みにくくなってきて野山の動物は減るばかりです。

日本では、明治になるまでは、人口がいまよりずっと少なく将軍や大名のほかは、鳥や獣をとって暮らしを営んでいる狩人しか狩りをすることは許されていませんでした。

ですから、野山には動物がたくさん住み、鳥にしても人里近くにはキジやウズラ、山に入ればヤマドリ、冬にはガンやカモが、数えきれないほど、たくさんわたってきました。

ところが明治維新になり、それまでのいろいろの制度が、いっぺんにあらためられたり、なくなったりしました。

自然に住む動物たちを守る制度もなかったので動物たちは、とられるばかりで全滅したり、滅びかけたものが、たくさんでてきました。

その後も、弁明が進むにつれ、野生の動物は減るばかりで明治以前は鳥にしても近海のクジラにしても外国人たちが驚くほどたくさんいたのに、いまでは、たいへん少なくなっています。

それで野生の鳥や獣・魚・貝などの保護に、つとめなくてはならないありさまなのです。



鳥・獣の保護

1892年には、いまの狩猟法という法律のもとになる決まりができて、とってはいけない鳥、つまり保護鳥が決められました。

そののち、保護鳥ということをやめて、それと反対に、とってもよい鳥や獣の種類や時期をきめ、そのほかは、いっさいとってはいけないことにしました。

けれども、国の掟を守らず、とってはいけない鳥や獣を、こっそりとったり、とる時期にならないうちに、とったりする人がいました。

ことに、第二次世界大戦のころからそのあと、1、2年にわたって、国内での食料不足をよいことにして、こっそりとるものが増えました。

また、燃料不足や耕地不足のために森林の木を切ったり池を埋めたてたりして鳥や獣の住む場所をとりあげてしまったので、さらに減ってしまいました。

これではしかたがないので、狩猟法があらためられ、かすみ網を使ったりして大量に鳥をとってはいけないことになりました。

それでも、年々、鉄砲で猟をする人の数が増えているので鳥や獣は、やはり減っていくことでしょう。

しかし、毎年5月10日から1週間をバードウィークすなわち、愛鳥週間として野山の鳥の保護のために鳥をかわいがる大たちが集まって、さまざまな運動をしています。

魚や貝の保護

魚や貝の仲間にしても科学が進んで、いろいろな新しい取り方が考えられるにつれて、その取り方も激しくなり、海や川・湖に住む動物たちは、どんどん減ってしまいました。

それで、いまでは、時期によって、とってはいけない場所を決めたり一定の期間とることを禁じたりしています。

ひとりでに増える魚や貝たちのほかに、ある特別な魚(サケ・マス・アユなど)や貝(カキなど)は人工ふ化とか、養殖とかいって人手によって増やすことがおこなわれています。

昆虫の保護

昆虫たちをまもるためには、特別な法律はありませんが国立公園などで、特別地域として定められている場所では動物や植物の採集には、必ず、営林署などの許可を受けなくてはならないようにしみだりに採集されないようにしてあります。

高山チョウと言われる種類などは、でる場所も、でる時期も決まっているので、摂り過ぎないように、とくに注意しなければなりません。




自然の破壊と人間の影響とは? わかりやすく解説!

つりあいの破れ

生物の世界のつりあいは個体群の大きさがきちんと一定していてかわらない、というのではなく、たえず増えたり減ったりしながら成り立っています。


ですから、2、3年という短い年月のあいだには著しく増えたとか減ったとかいう例は、いくらもあります。

しかし、10年、20年という比較的長い年月のあいだをとってみると、ほぼ決まったところで上下しているようです。

ところが、ときには長い年月にわたってつりあいが破れる例もあります。
たとえば、キクイムシという甲虫が、森林を破壊した例があります。

キクイムシは針葉樹に穴をあけて生活していますが元気な木は少しくらいのキクイムシが侵入しても、そのために枯れるようなことはありません。

しかし、荒らしなどでたまたまたくさんの木が倒れるとキクイムシにはこのうえない住み家となります。

木が枯れかかっていて穴をあけやすいのと折り重なった下枝のためキクイムシを食べるキツツキなどが近よれないからです。
 
増えたキクイムシは、大群をつくってまわりの立ち木にまで侵入し元気な木をも枯らしてしまいます。

木が枯れると、強い光と乾燥のために下草も枯れ森林に頼っていたすべての動物・植物の生活が壊されてしまいます。

そんな地域には山火事なども起こりやすく、そうなれば、何百年にもわたって、もとの森林の姿は取り戻せません。



人間の影響

人類は、いまや地球上の陸地のほとんど大部分に入りこんでいます。
直接住めない海でさえ人類の影響が及んでいます。

山を切り崩し、森林を切り払い海岸を埋めたてる事業は土地そのものをかえるだけでなく、その土地やそのまわりに住んでいるあらゆる動物・植物に大きな影響をあたえ生物の世界のつりあいを乱しています。

しかも、これがかんたんには回復できないほどに激しく乱していることが多いようです。

土地開発とならんで、工場や都市の排水や排気によって河川や海・大気を汚したり農薬によっていろいろな動物が死んでしまう害も、近ごろ、頻繁に起こっています。

こうした水や大気の汚れは環境を悪くし生物の世界のつりあいを乱します。

また、多くの農薬は、害のあるバクテリアや虫たちだけでなく、それらの天敵をも滅ぼし場合によっては回復の遅い天敵よりも害虫個体群のほうが先に回復して、思わぬ被害が起こります。

文明の進歩にともなう自然の破壊は、ある程度は避けられないでしょう。

人類の力が小さかったころは人類の活動によるつりあいの乱れも小さく、自然はいつのまにか回復していました。

しかし、人類の力が強大となったいまでは私たちは自然がどのように破壊され生物の世界に将来どんな結果が生じ、それが人類にどのように跳ね返ってくるかということを考えたうえで活動を進めなければなりません。

地球は、現在の私たちだけのものではないのです。
したがって、地球や生物界を保つのは私たちの責任です。

それを果たすためには、生物のつりあいについて、もっともっと知識を豊かにすることが大切です。




植物どうしの競争とは? 生物どうしの助けあいとは?

競争と助け合い

食う食われるの関係にある個体群は同じ時期に同じ場所にむすびついて生活していますが食う食われるの関係にない個体群は、いっぱんには別々の場所か同じ場所でも別々の時期に生活しています。

たとえば、同じ土地には非常にたくさんの種の種や地下茎があるのですがそれらが生長し、花を咲かせ、実をむすぶ時期は種によって、早春・春・夏・秋と季節に違いがあります。

また、森林では、こずえ・中枝・下枝・地表・地中の各部分で異なった虫・鳥・獣の個体群が生活しています。

ところで、同じ時期に生活場所が重なることがあると同じような生活をしようとして2つの個体群のあいだに競争が起こることがあります。

これは、まえに述べた同じ個体群のなかの個体と個体の競争に似ています。
また、生活のしかたが違っていて2つの個体群が助け合うこともあります。

生物どうしの競争や助けあいは、むかしからいろいろな例が知られていますが、それが生物の世界のつりあいのなかで、どんな役割りを果たしているのか、という点については、まだ充分にはわかっていません。


植物どうしの競争

植物の競争は、光や水を奪いあうしかたでおこなわれるのがふつうです。

しかし、植物のなかには化学物質を出して競争相手がはえてこないような効果を上げているものもあります。

ヨーロッパのニガヨモギやアメリカのエンケリア(キク科)は葉に、ある物質がつくられ、雨で葉があらわれるか落ちた葉が雨水に浸されると、この物質が土の中に入り多くの植物の発芽をさまたげます。

地中には、驚くほどたくさんの種の種が埋もれています。

これらの種が同時に芽を出したら、非常に密度の高い群落ができあがるはずですが、土の中の種は必ずしも全部は発芽しません。

これは、種によって発芽期が異なっていることのほかに、ある種の種や根から発芽をさまたげる化学物質を出している例があるからです。

生物どうしの助けあい

助けあいにはいろいろの種類がありますが、なかでも共生が有名です。

共生とは、2種類の違った生物がいっしょに生活して、お互いが利益を得る暮らしかたを言います。

共生をしている2種類の生物を引き離すと生きていけなくなったり、生育が悪くなったりします。

シロアリとトリコニンフ

シロアリは木材を食べますが木材のセルロースはなかなか消化しにくいものです。

ところがシロアリの腸の中にはトリコニンフという原生動物の一種が住んでいて、これがセルロースを分解してくれます。

それで、シロアリはセルロースを消化することができます。
もし、腸の中にこのトリコニンフがいなければシロアリは生きていくことができないのです。

クマノミとイソギンチャク

クマノミという魚は、敵に襲われると大きなイソギンチャクの体の中に逃げこみます。

ふつうの魚はイソギンチャクに食べられてしまいますがクマノミだけは食べられません。

海には、イソギンチャクを食べるものはありませんからイソギンチャクの中のクマノミは安全というわけです。

いっぽうのイソギンチャクは、自由に動くことができないのでクマノミがえさを口もとまでおびき寄せてくれるのは、たいへん都合がよいわけです。



カツオノエボシとエボシダイ

カツオノエボシという、青いきれいな色をしたクラゲは長い触手を水中に垂れ下げて、あたたかい地方の海に浮いています。

触手には、剌胞という強い毒を出すとげがあり海に住むいろいろな動物は、このクラゲを恐れて、あまり近よりません。

ところがエボシダイという小さな魚は数匹でかたまって、このクラゲの下に群がっていることがあります。

エボシダイは、触手にふれても毒を感じないのでこの魚にとってカツオノエボシの下は安全な場所になるわけです。

コバンイタダキとサメ

コバンイタダキは、背びれが変形して吸盤になっている魚です。

この吸盤で、サメやカジキ・クジラ・ウミガメなどの体に吸いつき、その食べものの残りを食べています。
この場合は、コバンイタダキだけがとくをしているようです。

これらのほか、動物の共生の例としてアリとアブラムシ、ヤドカリとイソギンチャク、カクレウオとフジナマコなどの共生などがよく知られています。

マメ科植物と根りゅう菌

植物では、マメ科植物と根りゅう菌、地衣類などが有名です。

マメ科植物の根には小さなこぶがたくさんついており、その中には根りゅう菌とよばれるバクテリアが、いっぱい生活しています。

根りゅう菌は、土壌中の空気の窒素をアミノ酸につくりかえるはたらきをもっています。

マメ科植物は、光合成によってつくった炭水化物の一部を根りゅう菌にあたえ、根りゅう菌は合成したアミノ酸の一部をマメ科植物にあたえています。

ふつうの植物が生活できないようなやせ地にマメ科植物が生活できるのは根りゅう菌との共生のためとされています。

マメ科植物のほかにも根とバクテリアやカビが共生している例は、数多く知られています。

地衣類

地衣類は、共生が非常に進んだ植物です。

外側のカビ類と、内側のランソウ・緑藻というように、まったく縁の遠い2種の植物から成り立っています。

この場合、カビ・類と藻類は、きりはなされては生活できず決まった組み合わせでいっしょになって、はじめて地衣類として生活が成り立っています。




栄養段階と生能心ピラミッドとは? わかりやすく解説!

栄養段階

食物連鎖の源は、まえにも述べた通り、必ず植物になります。

それは、植物が、生物の生活に必要な栄養物質、つまり有機物をつくるはたらきをもっているからです。


そこで、植物を(有機物の)生産者と呼ぶことができます。

動物は植物を食べ、植物の体をつくる有機物の一部をつくりかえて自分の体とし一部を生活のためのエネルギー源に使います。

ブタやウシの肉も、もとは植物にふくまれているたんぱく質・アミノ酸や脂肪や炭水化物を自分の肉につくりかたもので植物のように無機物からつくったものではありません。

そこで、植物の生産者に対して、動物を(有機物の)消費者とよびます。

草食動物・肉食動物は、植物を直接に食べるものから順々に、一次消費者・二次消費者などと呼んで区別します。

そして、このようにわけることを栄養段階によってわけると言います。

また、動物・植物の死体や排出物にふくまれる有機物はカビ・バクテリアなどの微生物によって分解されて水・二酸化炭素・アンモニウム塩・硝酸塩などの無機物になって後に再び植物に利用されます。

そこで微生物は分解者ということになります。

生物の生活は、生物体の材料ともなり生物のエネルギー源ともなっている有機物があって、はじめて成り立つわけですから生物の世界を、生産者・消費者・分解者にわけてみることは生物の世界のつりあいの様子を物質やエネルギーの面から知るうえにたいへん役に立ちます。



生態ピラミッド

湖とか、森林とか、草原を頭に描いてみましょう。
そこでは動物・植物の個体群のあいだに、あるつりあいがあると仮定します。

つまり、そこにいるすべての生物に必要な有機物は、そこにはえている植物(生産者)がつくりだし植物から一次消費者へ、ついで二次消費者へと有機物がおくられている、ということです。

さらにまた、分解者が死体や排出物をどんどん分解して、そんなものが年々たまらないように掃除をするとともに植物の生産に必要な無機物を、まわりの無生物界にもどしています。

そして、環境から生産者へ、生産者から消費者へ生産者および消費者から分解者へ、分解者から環境へというように、いろいろな物質の流れがあるつりあいを持ちながら進んでいるのです。

こんな仮定にぴったりの自然はなかなか見当たりませんが、これに近い例はいくらか知られています。

そのような地域で、栄養段階の数量を調べてみると、どんな場合でも、生産者にくらべて一次消費者はぐっと少なく二次消費者はさらにずっと少ない、ということがわかります。

生産者の数量をいちばん下に、その上に一次消費者さらにその上に二次消費者、という具合に積み上げてみると上にいくにしたがって、急激に小さくなるピラミッド形になります。

これを生態ピラミッドと言います。

生態ピラミッドは、栄養段階の上の動物の生活を支えるためには段階を下にくだるほど、莫大な生物が必要であることをしめしています。

つまり、動物は無制限に食物の生物を食べているのではなく食物の生物がかなりの年月にわたって減らない程度にしか食べていないことをしめしています。

この生態ピラミッドが、いろいろな場所について明らかにされれば、つりあいを保つのに具合のよい動物や植物の数とか、つりあいのしくみなどが、もっとよくわかるでしょう。

その知識は、自然を保護するうえで、たいへん重要なのです。




生物が増えたり減ったりする原因とは? わかりやすく解説!

密度の影響

これまでは、食べられさえしなければ個体群は増えるかのように述べてきました。

しかし、実際には、必ずしもそうはいきません。


なにかの原因で同じ植物の種が、ある面積の地面にたくさん芽を出したとしましょう。

この植物は、じきにこみあってきます。
同じ仲間の植物ですから生活のしかたも似ています。

このため、地上では隣り合う個体の葉や枝が互いに日かげをつくりあい、光合成に必要な光を奪いあいます。
地下では、根がからみあって、水や塩類を奪いあいます。

そのうちに、枯れる個体も出てきて、はじめに発芽した個体のすべてが、花を咲かせ、ふたたび種をつけるわけにはいきません。

植物によっては、イネ科やカヤツリグサ科の植物のように枯れる個体がでないかわりに全個体の生長が貧弱になり極端な例では、1本に1粒しか種をつけないというものもあります。



いずれにしても、こみあっている個体群からは個体と個体のあいだの競争のために、種は少ししかできません。

したがって、つぎの年には高い密度が保たれなかったり、ときには密度が下がったりします。

動物の場合にも、大発生に続く数年は、たまごや子を生む能力が低くなったり、病気が広がったりして仲間の増える力が低くなることもあります。

つまり、個体群がこみあうと密度を下げるようなはたらきがあらわれてくることがあるのです。

このはたらきは、個体と個体の競争を通してあらわれる場合が多く、それは個体群の増えすぎを抑えるという面で生物の世界のつりあいを保っていくのに役立っています。

気候の影響

動物や植物が成長し、増えていくためには適当な温度・水分・光などの気候条件が必要です。

例年にない大雪や強い霜をともなった冬や長期の日でり、あるいは長雨などがあると、ふ化や成長が悪くなったり病気になったり死んだりすることが多くなって個体群が増えることは、おさえられがちです。

また、気候の影響が、この個体群を食べるほうの動物に強くあらわれ食べるほうの動物が減ってしまい、かえって食べられるほうの個体群が増えるということもあります。




寄生と天敵とは?弱肉強食とは? わかりやすく解説!

寄生

動物のうちには、ほかの動物の体を住みかとして、その動物の栄養を横取りして生きているものがいます。

また、植物にも、生きているほかの生物の体について、その生物から養分をもらって生活するものがあります。

このような生物の暮らしかたを寄生と言います。
そして、寄生する生物を寄生生物、寄生される生物を宿主と言います。


寄生生物としては動物ではキンギョやコイ・フナなどの皮膚に寄生するチョウやクジラの皮膚に寄生するクジラジラミ、カマキリの腸に寄生するハリガネムシ、ウシ・ブタなどの家畜の肝臓に寄生するカンテツなどがよく知られています。

植物では、畑のダイズに寄生するマメダオシ、木に寄生するツチトリモチやネナシカズラ、ススキの根に寄生するナンバンギセルなどがあります。

これらの寄生植物は、葉緑素をもたないので光合成ができず、すべての養分を宿主からもらっています。

また、エノキ・クリ・サクラなどの枝の上で生活しているヤドリギや芝地などにはえてほかの草の根に寄生するカナビキソウなどは宿主から養分を奪ういっぽう、自分でも葉緑素をもっていて光合成を営み、養分をつくっています。

このような植物を半寄生植物と言います。

さらに、カビやバクテリアのなかには、生きている生物に寄生して、
いろいろな病気を起こさせるものがあります。

人間の肺炎・結核・赤痢・腸チフスなどはバクテリアの寄生によって起こり、水虫やだむしなどはカビの寄生によって起こります。

植物の病気のほとんどは、カビと、動物の寄生によって起こります。

なお、たいていのキノコ・カビ・バクテリアは生物の排出物や死骸について、その中の有機物を栄養としていますが、このような暮らしは死物寄生と言い、せまい意味の寄生とは区別しています。

こうした寄生も、食う食われるの関係と同じです。

食べる動物が食べられる動物にくらべて大形なのにひきかえ寄生する動物は寄生される動物よりも、いっぱんに小形であるてんが違うくらいです。

したがって、食う食われるの関係で述べたことは寄生についてもあてはまります。

天敵

ある動物は、決まった動物を食べたり決まった動物に寄生したりします。
この場合、食べられたり寄生されたりする動物にとって、はじめの動物は自然の敵なので、天敵と言います。

フクロウとネズミ

フクロウが住む木の下などを見ると、たくさんのネズミの骨などが捨てられているのを見かけます。

ネズミは、植林したばかりの木の芽や根などを食い荒らしてしまい、その害は非常に大きなものですが、このネズミの天敵がフクロウなのです。

フクロウはカエルやヘビや昆虫なども食べますが、いちばんよく食べるのはネズミ類です。

マングースとハブ

天敵には、鳥や昆虫のほかに、獣もいます。
沖縄でハブという毒ヘビがたくさん増えたときに、これを退治するため、インドからコブラという毒ヘビを食べるマングースを移入したことがあります。

マングースは毒ヘビと戦うときは、かまれないようにうまく体をかわし、隙を見て毒ヘビの頭にくいついて殺します。

沖縄では、マングースのおかげで、ハブを退治することができました。
しかし、ハブがいなくなってえさがなくなると、こんどは、マングースがニワトリを襲うようになり困ったそうです。

このほか、昆虫を食べる野鳥類、アブラムシやカイガラムシを食べるある種のテントウムシ類などがあります。

こうした天敵も食う食われるの関係と同じで生物の世界のつりあいに一役かっています。



弱肉強食

よく、生物の世界は強いものが弱いものを食い殺す闘争に明け暮れる世界だ、という人があります。

そんなとき、決まって思い浮かべられるのは獰猛なトラやオオカミが、か弱い子ウサギや子ヒツジを襲う場面です。

しかし、トラやオオカミはウサギやヒツジの姿さえ見れば食い殺しているのでしょうか。

満腹している肉食動物は、食物を見ても知らん顔をしていると言います。
トラやオオカミが必要なのは、生きていくのに必要な食物であり草食動物を殺して滅ぼすことが、役目ではないのです。

また、肉食動物さえいなければ草食動物は平和に暮らせるものでしょうか。

アメリカのアリゾナ州に、カイバブ高原という所があります。
面積は、東京都のほぼ1.5倍です。

20世紀のはじめごろ、この高原には約4000頭のシカがいて、これを食べるものとしてオオカミとピューマがいました。

シカは狩猟のよい獲物なので、これを保護するため、その後20年ちかくのあいだ、オオカミとピューマが人間の手で殺されました。

その結果、シカは一時およそ10万頭にまで増えました。

ところが、このたいへんな数のシカのために食物となる植物は急激に減ってしまい、おまけにシカが踏み固めた土地は草もはえないように荒れ果ててしまいました。

そして、ある年の冬には、4万頭ものシカが植え死にし病気が流行り、10万頭はまたたくまに1万頭になってしまいました。

このころになって、人々は、このシカがカイバブ高原で植物とつりあって末長く安全に生活していくためにはシカの増えすぎをふせぐしくみが必要であることに気づきました。

肉食動物は、シカの増えすぎをふせぎ、そのことによって植物をまもり、シカを飢え死にから守るという、重要な役割りを果たしていたのでした。

その後、オオカミとピューマも保護されてカイバブ高原はむかしのつりあいを取戻しました。




食う食われるの関係とは?食物の鎖とは? わかりやすく解説!

生命を支える植物

生物は、生きていくために、常に栄養となる物質を取り入れています。
このことは、生物が無生物と違う特徴の1つとなっています。


緑色の植物は、光合成により、太陽光のエネルギーを使って水・二酸化炭素・塩類から、必要とするすべての栄養物質をつくります。

また、あるバクテリアは光や化合物のエネルギーを使って無機物から栄養物質をつくっています。

そのほかのすべての生物、とくに人間をはじめとする動物は食物という形で栄養物質を取り入れています。

その食物とは、植物と動物です。

植物を食べたり、植物の汁を吸う草食動物は植物が作った栄養物質を直接利用しています。

動物だけを食べる肉食動物は栄養のために植物を食べることは、あまりありません。

しかし、肉食動物の食物となる動物は多くの場合草食動物であり、たとえそうでなくても、食物となる肉食動物の、そのまた食物は何かと辿っていくと栄養物質の源は必ず植物に行きつきます。

こうして、栄養物質は植物を出発点として動物から動物へと伝わっていくわけです。



食物の鎖

人間とかトラ・ライオン・ワシのような大形の肉食動物は、ほかの動物の食物となることはありません。

しかし、いっぱんの動物の個体群は、なにかの動物や植物を食べるとともに別の動物の個体群によって食べられています。

このように、1つの個体群は食う食われるの関係によって他のいくつかの個体群と強くむすびついています。

このような生物間のつながりを、食物連鎖と呼びます。

食べるということは動物が生活していくうえで、ぜったいに欠かせない生活条件です。

ですから、たとえばサバ個体群を考えると食物のイワシ個体群をどれだけ食べカツオ個体群にどれだけ食べられるかによってサバ個体群が増えたり減ったりするわけです。

ところで、動物にはカイコのようにクワの葉だけしか食べないというものがありますが、いっぽうアメリカシロヒトリのようにおよそ広葉樹の葉であればなんでも食べるというものも少なくありません。

また、ある個体群は何種類もの動物の共通の食物になっているという面もあります。

このように、実際の食う食われるの関係は複雑で食物による鎖というよりは食物による網目といったほうが、ぴったりします。

いま、上の図のトビケラのように何種類かの個体群を食べる動物がいるとします。

なにかの原因で食物の1つの個体群が減るとトビケラはその個体群を見つけにくくなって、その分の栄養物質を、ほかの個体群を食べることによって補います。

すると減り欠けた個体群は見逃されて食い減らされずに、また増えるチャンスが与えられます。

反対に食物の一個体群がとくに増えると、それだけ目立ちやすくなり、より多く食べられるため、いちじるしく増えるということはありません。

こうした関係が生物の世界のつりあいと密接にむすびついているのです。




自然のつりあいとは? 森への誘い・仲間の集まりとは?

森への誘い

自然というものを思い浮かべるとき、そこには、必ず生活している生物が存在しています。

自然のもっとも大きな特徴の1つに、生物の世界のつりあいがあります。
そこで、実際の自然に例をとって、このつりあいを考えてみましょう。


ここは、中部地方の海抜2000メートルぐらいの山地でモミやツガなどがおもにはえている原生林です。

そそり立つ巨大な木、もともと丈の低い木や若くて小さい木、いちめんにはえる下草やコケ、緑のコケにおおわれて横たわる木、白骨のような枯れた木など、原生林は人工林と違って雑然としています。

そして、全体にうす暗く、ところどころに光がさしこんでいます。

空気は夏の昼でもひんやりしていて、いろいろな小鳥の声を運んできます。

一羽だけの声もあれば、ひと群れが鳴きかわしながら通り過ぎることもあります。
小さな獣が顔を出すこともあります。

またブーンと羽音を立てて、ブヨや力がよってきます。
こんな森の中に立ったら、まず、こんなことを考えてみてください。

「さっきの小鳥は何羽もいっしょだった。
見渡すと、同じような木や草があちこちにあり、この小さな花は森のずっとおくまで続いている。

虫は1匹しか見えないが、きっとほかに仲間がいるのだろう。

私たちが見ているのは動物も植物も、そんな仲間の一部なのだというようなことです。



仲間の集まり

私たちが森林の中で見かける木や草や小鳥や獣や虫たちは、それぞれが同じ仲間(分類上の種)の一員として生活しています。

これを、生物の生活を調べる場合には、個体群とよびます。
草1本、虫1匹が個体です。

生物の生活は、個体群をもとにして成り立っています。
森林だけでなく、草原でも、池や沼、川や海などでも生物は個体群というまとまりをもって生活しています。

生物の世界のつりあいというのは、いろいろの種が何百年、何千年という年月のあいだでは大まかに見て、どの種も極端に増えすぎることもなければ減り過ぎもしない、ということです。

そのようなつりあいは、どんなしくみで保たれているのでしょうか。




発芽のしくみとは? 発芽に必要なものとは? わかりやすく解説!

生長のしくみ

植物の体は、ふつうたくさんの細胞からできています。
ところが細胞は、ある決まった大きさまでしか大きくなることができません。


ですから、植物が大きくなるには体をつくっている細胞の数をどんどん増やしていくのです。
このことを、細胞分裂と言い、このようにして体が大きくなることを生長と言います。

細胞を増やすことは、体のどの部分でもできるわけではありません。
ふつう、茎や根などのいちばんはしにある生長点というところや茎や幹に見られる形成層などでおこなわれます。

植物の体のどの部分が、いちばん激しく生長しているかを知るためにソラマメの根について調べてみましょう。

まず、ソラマメを、おがくずの上にまいて水をやり、根を出させます。
2センチぐらい伸びたら、根の先から1ミリごとに印をつけます。
こうして、24時間後に根の長さを測ります。

すると、はしから8ミリ以上のところは、ほとんど伸びないで、はしから3、4ミリのところが、いちばんよく伸びていることがわかります。

発芽のしくみ

地面などに落ちた種はまわりの温度や水分が芽を出すのに都合よくなるまでじっとしています。

そしてほどよい水分や温度があれば種の中の胚は胚乳や子葉の中にたくわえられた

養分を使って、生長をはじめます。

この様子をよく見るために、きれいに洗ったおがくずの上にインゲンマメやエンドウの種をまき、その上から水をかけて観察してみましょう。

5、6日経つと、幼根が下にむかって伸びはじめます。
幼根が伸びはじめてしばらくするとこんどは、種から2枚の子葉が抜け出して左右に開きやがて、子葉のあいだから本当の葉が出てきます。

これらの双子葉植物にくらべて単子葉植物のイネやトウモロコシでは、子葉は1枚しかありません。
子葉は、幼根のでたあとも、しばらくはさやに包まれています。

幼根は、しばらくすると生長を止め、そのかわりに新しいひげ根が、たくさん出てきます。



発芽に必要なもの

種を乾いたところに閉まっておくと、いつまで経っても芽を出しません。
種が芽を出すためには、まず水分が必要です。

また芽のではじめた種を水の中に浸しておくと、もうそれ以上は芽を伸ばさなくなります。
これは、水の中には酸素が少なく、種が呼吸できないためです。

水分や酸素があっても温度が低すぎたり高すぎたりすると種は芽を出しません。

芽を出すには、発芽にいちばん都合のよい温度が必要で、これを発芽の最適温度と言います。

時期はずれに種をまいても、芽を出さないのは植物の種類によって最適温度が違うためです。

このように、種が芽を出すためには、水・酸素・適温の3つが必要です。

種を地にまくと、地中の水分を吸ってふくれあがり呼吸をはじめます。
右の図のような実験からもわかるように酸素を取り入れて二酸化炭素を出したり、熱を出したりします。

種が吸う水分は、種のもとの重さにくらべてイネ・ムギでは26~36パーセント、ダイズ・エンドウなどのマメ類では83~126パーセント、トウモロコシでは44パーセントぐらいです。




シダ・コケ・キノコ・カビの増えかたとは? わかりやすく解説!

花の咲かない植物の増えかた

花の咲かない植物は種ができないので種に似た胞子をつくったり体の一部を使ったり、バクテリアのように体全体を2つにわけたりして増えます。


シダの増えかた

ワラビなどのシダの仲間は、たいてい地下茎(根茎)が地中に横にはい広がっています。

この地下茎のところどころから、芽を出して増えます。
シダは、このほか、種に似た胞子をつくって増えます。

ワラビやゼンマイは、この地下茎から出たばかりの、まだ若いものをとって食べるのです。

胞子

大きく育った、シダの仲間の葉の裏を見ると茶色のかたまりがいろいろな模様をつくって、くっついています。

この茶色のかたまりは胞子のふくろ(胞子のうと言います)のかたまりです。

この1つ1つのふくろの中に目では見えないほどの細かい胞子が、たくさん入っています。

この胞子のふくろはシダの種類によって特別な葉の裏にだけついているものがあります。

また、この胞子のふくろのつきかたも種類によってさまざまで、いろいろの形の模様をつくっています。

胞子の育ちかた

胞子のふくろが弾けて、中から胞子が出て地面に落ちると水分を吸って発芽し、前葉体というものになります。

前葉体は直径1センチほどの大きさで、緑色の平たい心臓形をしています。

この前葉体の裏側には、花の咲く植物の花粉にあたる精子と、胚珠にあたる卵細胞があります。

そして、この2つがいっしょになり新しい芽となってシダの体に育つのです。

このように、シダの仲間は一生のあいだに胞子で増える無性生殖の時代と卵細胞と精子とがいっしょになって増える有性生殖の時代とがあります。

このような増えかたを繰り返すことを、世代の交代と言います。

コケの増えかた

ゼニゴケなどのコケの仲間には、ふつうめかぶとおかぶとがあります。
そして、めかぶには卵細胞ができ、おかぶには精子ができます。

この2つがいっしょになると、めかぶの卵細胞が育って胞子をつくるふくろになります。

このふくろから、胞子がこぼれて地に落ちると胞子は芽を出して新しいコケに育つのです。

このように、ゼニゴケもまた、世代の交代をしているのです。

ゼニゴケなどは、このような増えかたのほかに体がちぎれて、そのまま2つの体になることもあります。

また、体の表面に、お椀のようなものができて、その中に無性芽という、小さな子どもがつくられることもあります。

これが、風に飛ばされて地面に落ち、新しいゼニゴケに育つのです。

キノコの増えかた

シイタケなどのキノコの仲間は、体が菌糸という細胞の糸でできています。

この菌糸がちぎれて、そのまま増えることもあります。

また、キノコのかさの裏側には、たくさんのひだがあります。
このひだの両側には、こん棒のような形をした菌糸がたくさん出ていて、その先に、4個ずつ胞子がついています。

この胞子が地面に落ちると、胞子によって2種類の性質の違った菌糸の子どもができます。

これらの菌糸の子どもが、くっつきあうと、そこから、新しい菌糸ができます。

この菌糸が育つと、後には、またキノコをつくるようになります。



カビの増えかた

コウジカビなどのカビの仲間はキノコと同じように体が菌糸からできています。

コウジカビは、菌糸の先が手のひらのようにわかれて、その先がちぎれ、たくさんの胞子ができます。
この胞子からは、再び、新しい菌糸が育ってくるのです。

コウボ菌の増えかた

コウボ菌は、体が1つの細胞でできています。
この細胞が、ある大きさになると、芽を出します。

芽が大きくなると、もとの体をはなれて、新しいコウボ菌になります。
また、コウボ菌は、胞子をつくって増えることもあります。

藻の増えかた

藻の仲間は、種類によって、増えかたがさまざまです。
つぎに、おもな藻について、増えかたを調べてみましょう。

コンブの増えかた

コンブの体の表面には、ところどころに黒くふくれあがったところができます。

これは遊走子のうというふくろが、たくさん集まったものです。
ふくろの中には、遊走子というものがたくさん入っています。

遊走子は、自分で動くことができるので、ふくろから出ると、岩の上などにつき、芽を出して小さな体になります。

この体には、めすとおすの区別があります。

おすの体には、花の咲く植物の花粉にあたる精子ができ、めすの体には、卵細胞ができます。
そして、この2つがいっしょになると、新しいコンブの体に育つのです。

ワカメも、このコンブと同じような増えかたをしています。

アオミドロの増えかた

アオミドロは池や沼にはえていて緑色の糸のような体をしています。
この体が、ところどころちぎれて、そのまま増えることもあります。

また、2本の糸が平行にくっつきあって細胞と細胞が管でつながり、いっぽうの糸の細胞の中身がほかの糸にうつって、そこに胞子ができることがあります。

このように細胞と細胞のくっつきあうことを接合と言います。
この胞子が外に出て芽をだすと、新しいアオミドロに育つのです。

ミドリムシの増えかた

緑色をした池やみぞの水をすくって顕微鏡でのぞいてみるとミドリムシが見つかります。

ミドリムシは、体が1つの細胞からできていて1本の長い毛(べん毛)をもっています。

このミドリムシは、体が縦に分かれて、2つに増えるのです。
また、ときには、体がまるまって、その中にたくさんのミドリムシの子どもが、できることもあります。

バクテリアの増えかた

バクテリアは、みな、体が1つの細胞でできています。
増えるときは、この体が、2つにわかれて増えます。

このわかれかたは、たいへん短い時間のあいだに起こるのでバクテリアの増えかたは、非常に早いのです。
たいていのものでは、30分に1回の割合でわかれます。

いま、仮に、1時間に1回、2つにわかれるとすると2時間後には4つになり3三時間後には8つになります。

こうして、一昼夜には、なんと1600万以上にもなるのです。

バクテリアには、そのほか、ハショウフウ菌やガスエソ菌などのように、まわりの状態が、住みにくくなると、体の中に1つの胞子をつくり厚い膜をかぶるものがあります。

こうして、まわりの状態がよくなるのを待つのです。

そして、まわりの状態が住みよくなると胞子は芽を出して新しいバクテリアになります。

またバクテリアによっては体の中に、いっぺんにたくさんの胞子をつくるようなものもあります。




接ぎ木・取り木・挿し木とは?根分けと株分けとは?

接ぎ木・取り木・挿し木

イネ・ムギ・マメ・野菜などのように1年で種がたくさんとれるものは種を使って、かんたんに増やすことができます。

ところが、果樹や草花のなかには、種ができなかったり、できても、非常に少ないものがあります。
また、種ができるまでに、長い期間かかるものもあります。

このようなものは、種を増やすことがたいへん難しいのです。
それで、体の一部の枝・茎・根などを使って増やします。

この方法は、親とまったく同じものができるので親にまじりけがあっても、すぐれた特徴をそのまま受け継いでくれます。

とくに、改良した品種はどんどん増やして多くの人たちが栽培できるようにしなければなりません。


接ぎ木

つぎ木は果樹・庭木・バラなどを増やすのにおこないます。
つぎ木は、増やしたい植物の茎や枝をほかの植物につなぎ合わせて1本の植物に育てあげるのです。

ふつう、根になるほうを台木、増やそうと思うほうを接ぎ穂と言います。

接ぎ木をすると、果樹などは早く実がなるようになります。
また病気やが害虫に強いものができたりするので、たいへん便利です。

接ぎ木の場合、台木の性質が、つぎ穂にうつることがあります。
それを利用して大きくなりすぎて困るような植物は小さい性質の台木に接ぎ木して小さい性質のものに育てることができます。

接ぎ木のしかたには、いろいろありますが、なかでもいちばんよく使われるのが、切りつぎです。

このほかに、かんむりつぎ・そぎつぎ・くらつぎ・わりつぎなどの方法があります。

きりつぎやかんむりつぎは、台木がつぎ穂より太いときに使い、そのほかは、台木とつぎ穂が同じくらいの太さのときに使います。

また、芽つぎという方法もあります。
これは、つぎ穂の芽り部分だけを台木につぎ木するのです。

つぎ穂や台木をきるときは、なるべくよく切れるナイフを使わねばなりません。

また、台木とつぎ穂が、なるべく縁の近い仲間でないと、うまくつきません。

たとえば、カキをつぎ木とするときはカキにたいへん近いマメガキを台木に使ったり、またシブガキを台木にしてアマガキをついだりします。

バラをつぎ木するときは、ほかのバラか、バラにたいへん近いハマナスを台木に使います。

つぎ木の時期は、春はやく、植物が芽を出すまえがよいのです。

取り木

つぎ木やさし木では、増やしにくいときには、とり木をします。
まず増やそうと思う木の枝を、そのまま、土の中に埋めて根を出させます。
根がでたら枝を切り離して、1本の木に育てるのです。

とり木は、つぎ木と同じように春はやく、植物のはたらきが、さかんになるまえにするのがよいのです。

とり木は、クワ・ツツジなどの、根のでやすい木についておこないます。



挿し木

挿し木は、増やそうと思う植物の若い枝・茎・葉などを切り取り土にさして根を出させて育てるものです。

これは、根のでやすいブドウ・イチジク・バラなどでおこないます。

葉を挿し木する場合は、とくに葉ざしと言います。
これはキクなどのように、葉から芽がでやすいものに、使われています。

さし木をする時期は、種類によって、いろいろと違います。
ふつう、6月のつゆのころが、いちばんよいとされています。

また、挿し木をするところは、養分が少なくて水はけのよいところで水をよくかけてやるようにします。

根わけと株わけ

根わけと株わけは、根を使って増やす方法です。

根わけ

根だけを切り離し、これを土にさして、根から芽を出させます。

根わけは、サクラ・ボケ・ヤナギ・シヤクヤク・タンポポなどの根から芽を出しやすいものに使います。
これらは、ふつう根ざしと言っています。

株わけ

植物には、体の土の中の部分から芽が出て、それに根がついているようなものやイチゴのように、つるが伸びて、それから根が出ているようなものがあります。

このようなものは、茎と根をいっしょに親のかぶから切り離して、増やすことができます。

これを、株わけと言います。

キク・ガ・ベラ・フロックスなどの草花やイチゴなどは、みな、このように株わけで増やします。

また、球根をわって増やすときも、株わけと言っています。

ユリの仲間や、アマリリスなどの球根は大きくなると、球根をわって増やすのです。




種の散りかたとは? 茎・葉・芽・根で増える植物とは?

種の散りかた

花が落ちて、実が熟し、種ができると種はいろいろな散らばりかたをして仲間を増やします。


風で飛ばされる種

タンポポ・ワタ・トウワタ・ヤナギなどの種には、たくさんの毛がはえています。

また、キリ・マツ・カエデなどの種には、羽根がついています。
そのため、これらの種は、風に飛ばされて散らばります。

また、ランの仲間の種は、1ミリにも足りない小さなものですが、やはり、風に吹かれて散らばります。

水に浮かぶ種

ヤシ・ハマオモトなどの種は、水に浮きやすいので海や川の水に運ばれて散らばります。

実が弾けて飛ばされる種

ホウセンカ・カタバミ・ゴマなどでは実がよく熟したとき、勢いよく弾けて種を飛ばします。

また、地中海地方や北アメリカにあるテッポウウリというウリの仲間は、実が熟して地面に落ちると中の汁がほとばしり出て、種を吹き飛ばします。

動物に運ばれる種

カキ・ビワ・ブドウ・アケビ・クワ・イチゴ・スイカ・トマトなどの実は、よく鳥や獣に食べられます。

いっしょに食べられた種は、消化されないで糞といっしょに外に出されます。
ですから、このような植物が思わぬところに、はえていることがあります。

スミレ・カンアオイ・クサノオウなどの種は、胚珠だったころ子房についていた部分が、まだ、種にのってついています。

アリは、これらの種を、巣に持ち込み、種についている余分なところだけを食べて、種は、巣の外に捨ててしまいます。

このため、そこに、新しい植物がはえるようなこともあります。

ニンジン・ゴボウ・ヌスビトハギ・イノコズチ・オナモミ・メナモミなどの種は、かぎやとげがついていて人や動物の体につき遠くまで運ばれます。

荷物などについて運ばれる種

アリタソウ・ノボロギク・ヒメジョオン・ブタクサなどの帰化植物は外国からきた荷物などに種がついてきてそれが、だんだん増えていったものです。

茎で増えるもの

茎は、丈夫で養分が多く、芽や根を出しやすいものです。
ですから、茎で増える植物は、少なくありません。

オランダイチゴの増えかた(走茎)

オランダイチゴは、種で増えるほか、茎でも増えます。

茎が伸びて地面に触れると、そこから根を出します。やがて、そこから芽を出して増えていきます。

このような茎を走茎(ランナーまたはストロンとも言う)と言います。
ヘビイチゴなども、やはり走茎で増えます。

ジャガイモの増えかた(塊茎)

ジャガイモは、ふつう種ができません。

そのかわり、地下茎の一部が養分をたくわえて丸いいもになり、これから芽を出して増えるのです。

このいもを塊茎と言います。

畑で、ジャガイモを育てるには春、この塊茎を畑に植えて芽を出させるのです。
このほか、サトイモやコンニャクも塊茎で増えます。

タケやハスの増えかた(根茎)

タケやハスなどでは、地下茎が根のように地中をはっています。
そして、ところどころから芽を出し、新しい体をつくります。

このような地下茎を、根茎と言います。シダやショウガなども根茎で増えます。

ユリやニンニクの増えかた(りん茎)

ユリやニンニクなどでは、短い地下茎が養分をたくわえた厚い葉につつまれていて、球になっています。

このような茎を、りん茎と言います。このりん茎は、芽を出して新しい植物になります。

チューリップ・スイセン・グラジオラスなどの球根も、みな、このりん茎で、これを土の中に植えて増やします。

かぶわかれ

イネ・ムギなどのように、根もとのふしから横に芽を出して、そこから新しい茎が伸びて、かぶがどんどん大きくなることがあります。

このような増えかたを、かぶわかれと言います。

シャクヤクやキクなどの草花も、かぶわかれして、かぶがどんどん大きくなります。
これらの草花は、かぶわけをして増やすことができます。



根で増えるもの

根も茎と同じように芽を出したり新しく根を出したりすることがあります。

サツマイモの増えかた(唹呎)

サツマイモやダリアの球根などでは根に養分がたまって、いもになっています。このような根を、塊根と言います。

塊根からは、芽を出して、新しくはえてきます。

根わけ

キクなどでは、根の一部を切り取っておくと、これから芽を出して新しく増えます。

これを利用して、植物を増やすことができます。これを根わけと言います。

タンポポの根なども細かく切っておくと、よく芽を出します。

葉や芽で増えるもの

葉は、茎や根にくらべると、芽や根がでにくいものです。
しかし、キクなどは、さし葉で増やすことがあります。
自然には、このような葉で増える例が、シダの仲間に多く見られます。

また、芽も養分を多くたくわえると自分で根を出して育つことができます。

クモノスシダの増えかた(走葉)

クモノスシダやオリツルシダなどは、葉が伸びて先が地面に触れると、そこから根をだして新しいかぶになります。

このような葉を走葉と言います。

ヤマノイモのむかご(肉芽)

ヤマノイモには、つるのところどころにまるい玉がついています。

これは、わき芽(茎の変形)が養分をたくわえて大きくなったもので肉芽と言います。

これが地に落ちると、芽を出して新しく増えるのです。

オニユリのむかご(りん芽)

オニユリにも、むかごと言われるものができます。

これは、わき芽(葉の変形)に養分がたまったもので、りん芽(珠芽)と言われます。

これが地面に落ちると、やはり、芽を出して増えていきます。




花の咲く植物の増えかたとは? 他花受粉・自花受粉とは?

花の咲く植物の増えかた

花の咲く植物は、茎や根で増えることもありますが、ふつうは花が咲き、種をつくって増えます。

種には、ウメやモモなどのように1つの花から1つしかできないものもあります。

しかし、たいていの植物は、たくさんの種ができます。
ですから1本の植物全体では、たいへん多くの種ができることになります。


種のできかた

まえにも説明したように、めしべの子房の中には種のもと(胚珠)があります。

このほかに、花粉の中にも、種のもとがあるのです。
この2つがいっしょになると種ができます。

このように、めしべにある種のもとと花粉にある種のもととがいっしょになることを受精と言います。

被子植物も裸子植物も、このようにして種ができます。
しかし、受精のしくみは、被子植物と裸子植物では、少し違っています。

被子植物の受精

被子植物の花には、めしべとおしべがあって、めしべの根もとには脂肪があります。
おしべには花粉ぶくろがあって、その中に花粉ができます。

花粉が、昆虫や風に運ばれて、めしべの先につくと花粉から花粉管という管がめしべの中へ入っていきます。

この花粉管の中にあった種のもと(精核)は、2つにわかれます。

花粉管が伸びて、胚珠の中に達すると花粉管の中の種のもとの1つは胚珠の中の種のもと(卵細胞)といっしょになり、また、もう1つの花粉管の中の種のもとは胚珠の中の胚乳のもと(中心核)といっしょになります。

これを重複受精と言います。

このような受精が終わると、胚珠の中の種のもとは育って種になり、子房やそのほかの花の部分は実になります。

裸子植物の受精

裸子植物では、どのようにして受精が起こり種ができるか、マツとイチョウについて説明してみましょう。

マツでは、め花とお花が別々に咲きます。
め花は、めしべがなく、たくさんのうろこのようなものにおおわれています。

このうろこの裏側に、胚珠が2つあり、中に種のもとが入っています。
胚珠は、被子植物と違って、子房がなく、裸でむきだしになっています。

お花は、たくさんのふくろが、ふさのように集まっていて、このふくろの中に、花粉が入っています。

花粉が胚珠につくと、被子植物と同じように花粉から花粉管が出て花粉の中の種のもとと、胚珠の中の種のもとがいっしょになります。

けれども、このように受精がおこなわれるには1年ちかくの時間がかかるのです。

イチョウでは、めすの木とおすの木があって、め花とお花が別々に咲きます。

め花は、短い柄があって、その先に2つの小さな球がついています。
これが胚珠で、中に種のもとが入っています。

お花は、小さなふくろが集まって、ふさのような形をしていて、このふくろの中に花粉が入っています。

花粉がめ花の胚珠につくと、やはり花粉管が出て胚珠の中まで伸びていきます。

けれども、このときイチョウでは、花粉の中の種のもとが、いちど特別な姿(精子)にかわってから胚珠の中の種のもとと、いっしょになります。



花粉の運ばれかた

花粉は植物の種類によって、いろいろな方法で運ばれ、めしべにつきます。

花粉が、風にふかれて運ばれるものを風ばい花、昆虫の体について運ばれるものを虫ばい花、水に流されて運ばれるものを水ばい花と言います。

また、鳥に運ばれるものを鳥ばい花と言います。
それには、つぎのようなものがあります。

  1. 風ぱい花……マツ・スギ・ハンノキ・ブナ・カシ・コナラ
  2. 虫ばい花……カボチヤ・ユリ・レンゲソウ・アブラナ・バラ
  3. 水ばい花……セキショウモ・キンギョモ・クロモ・ミズハコベ
  4. 鳥ばい花……ツバキ・ビワ

また、このようにして花粉がめしべにつくことを受粉と言います。

果樹などでは人が、筆の穂先などに花粉をつけて、めしべにつけてやることがあります。
このように、人の手によって受粉させることを、人工受粉と言います。

また、この人工受粉で受精して種ができることを、人工受精と言います。

他花受粉・自花受粉

めしべにつく花粉は、たいてい同じ仲間の、ほかの花のものです。
このような受粉のしかたを他花受粉(他家受粉)と言います。

けれども、なかには同じ花の花粉がめしべにつくことがあります。
これを自花受粉(自家受粉)と言います。

イネ・ムギ・アサガオ・エソドウ・ソラマメなどは、ふつう自花受粉します。

いっぱんに自花受粉する植物の種類は少なく多くのものは他花受粉します。

他花受粉する植物には、めしべに同じ花の花粉がつくのをふせぐために、花のつくりや咲きかたが、特別のしくみになっているものがあります。

タンポポ・キキョウなどの花は、おしべとめしべの成熟する時期が違うことによって自花受粉を避けています。

アヤメやオオカニツリなどは、花が特別なつくりになっていて、めしべに、その花の花粉がつくことはありません。

サクラソウやカタバミなどは、めしべよりおしべが長い花と、おしべよりもめしべが長い花とがあり同じ形の花の花粉がついても受精しません。

ほかに、ナシやサクラソボなどは、めしべに同じ品種の花粉がついても、花粉管が伸びないので、受精できません。

こういう現象を自家不和合性と言います。




昆虫の育ちかたとは?完全変態とは? わかりやすく解説!

昆虫の育ちかた

昆虫では、ほかの動物と違って、チョウやガのように、さなぎの時期があるものもいますしバッタのように親にたいへんよく似た子虫が、たまごからかえるものもいます。

それで、昆虫の変態は完全変態と不完全変態とに大きくわけられます。


完全変態

カラタチやミカンの木にはよくアゲハチョウがたまごを生みにきます。
葉の裏に生みつけられたアゲハチョウの黄色いたまごからは1週間も経つと小さな虫がかえります。

この虫は、カラタチやミカンの葉を食べながら何回も脱皮をして、ついには大きな緑色のいも虫となります。

いも虫は、やがて木の枝やへいの上で細い糸で体を支え、もういちど脱皮をして奇妙な形のさなぎになります。

さなぎのあいだは、食物もとらず、じっとしていますが体の中では、大きな変化が起こりチョウの体をつくりあげているのです。

たまごが生みつけられてから、1か月めぐらいで、さなぎから美しいチョウ(親)が出てきます。

チョウになると、もう変態はしません。

私たちが、うじ・いも虫・毛虫と呼んでいる昆虫の子どものことを幼虫、チョウ・ガ・ハチなどのような親虫を成虫と言いますが、たまごから成虫になるまでに、アゲハチョウのように、たまご→幼虫→さなぎ→成虫という変態のしかたをするものを完全変態と言います。

完全変態をする昆虫はチョウ・ガ・ハチのほかに甲虫・ウスバカゲロウなどがあります。

不完全変態

バッタ・カメムシ・セミなどでは完全変態の昆虫と違って、たまごからでたばかりの子虫は、羽根がないことと形がたいへん小さいことをのぞけば親虫とよく似ています。

たとえば、たまごからかえったばかりのカマキリの子どもでも、みなさんは、ひと目でカマキリとわかるでしょう。

これらの昆虫の子虫は、何回も脱皮をして成長し体の中で羽根ができあがると、最後の脱皮をして親になります。

このように、さなぎの時代を通らないで子虫からすぐ親虫になる変態を不完全変態と言います。

また、トンボは気管という細い管で呼吸していますが子虫のヤゴはえらで呼吸しています。

しかし、トンボにもさなぎの時代がありませんからバッタやセミと同じ変態をするわけです。

これらの不完全変態をする昆虫の子虫のことを、とくに若虫と呼んで、完全変態の昆虫の幼虫と区別することがあります。

変態をしない昆虫

シミ・トビムシなどのような、羽根のない下等な昆虫では、たまごからかえったばかりの子虫でも親と同じような体つきをしています。

これらの子虫は変態せずに体がどんどん大きくなるだけで親になるのです。
これらの虫の育ちかたを、無変態と言います。



脱皮・よう化・羽化

幼虫が成長していくときに皮をぬぐことを、脱皮と言います。
また、幼虫からさなぎになることをよう化、さなぎから成虫になることを羽化と言います。

これらの昆虫の不思議な変態は昆虫の頭と胸にある内分泌腺というところからでるホルモンのはたらきによって引き起こされます。

昆虫のたまごや幼虫の保護

昆虫の仲間にも鳥と同じように、たまごや幼虫を保護するものがいます。

たとえば、沼や池に住んでいるコオイムシのめすは、おすの背中にたまごを生みつけます。

おすは、たまごがかえるまで、ずっとたまごを背負っていて魚などに、たまごを食べられないようにしています。

また、台所などを荒らしまわるゴキブリのめすは腹の先にがまぐちのようなふくろをもっていて、このふくろにたまごを入れてまもっています。

庭石や植木鉢の下などに住むハサミムシも生んだたまごを腹の下に隠しています。

さらに、モンキツノガメというカメムシの一種は、たまごやたまごからかえった幼虫を、腹の下に抱いてまもっています。




エビ・カニの育ちかたとは? ウニの育ちかたとは?

エビ・カニの育ちかた

エビ・カニの仲間も、たまごからかえって親になるまでに変態をします。


エビの変態

昆虫の子虫を幼虫などと言うようにエビ・カニなどの子どもは幼生とよばれています。

たまごからかえったばかりのエビの子どもはノープリウス幼生とよばれます。体には、1つの目と6本の足がついています。

この幼生が何回か脱皮すると、ゾエアとよばれる幼生になります。
ゾエアは、一対の複眼をもっています。

ゾエアはなおも成長を続けて脱皮をすると、ミシス幼生となります。
このミシス幼生を最後に子どもの時代は終わって、幼いエビになります。

エビの種類によっては、この変態のしかたが違うものもあります。

カニの変態

カニの変態は、エビとは少し違っています。

カニは、ノープリウスの時代はたまごの中で過ごしゾエアになると、たまごの殻を出て、海水の中を泳ぎまわります。

おもしろいことに、カニのゾエアでもエビのゾエアと同じように長い腹をもっています。

親になったエビとカニとでは、ずいぶん形が違いますが子どもどうしをくらべてみると、兄弟のようによく似ています。
このことから、エビとカニが、ごく近い仲間であることがわかります。

ゾエアのつぎの時代はメガロパで、この時代になると胸の足も一通りできあがり、カニの形とかなりよく似てきます。

谷川に住むサワガニの子どもは、メガロパの時期になっても、まだ母親の腹に抱かれています。

メガロパが脱皮すると幼いカニになり、いままでの泳ぎまわる生活から海底をはう生活にかわり成長を続けていきます。

このような、エビやカニの幼生が成長するにつれて見られる、いろいろな変態のありさまは、かんたんなしくみのものから複雑なしくみをもつものへとうつりかわつています。

これは、これらの動物が長い地質時代を通して進化してきた道筋を発生のごく短い期間のあいだに繰り返していると考えられます。

つまり、こうした発生の様子から、おぼろげながら、これらの動物が進化してきた道筋を、たどっていくことができるのです。

ウニの育ちかた

ウニは、夏や冬のころ、まわりに透き通ったゼリーをかぶった小さなたまごを、たくさん海水中に生みだします。

このたまごが受精すると、すぐまわりに膜がつくられ中のたまごは2つ、4つ、8つ、16、32というようにわかれはじめます。

そして、そのうちに、ごく小さなゴムまりに似た中空の球になり短い毛がはえて、くるくるまわりだします。
このころには、まわりの膜は消えてなくなってしまいます。

さらに、こんどは少し細長くなってから、いっぽうの壁が内側に落ち込み、骨片もできてきます。

そしてなおも成長を続け、体がピラミッド型になると口や胃や腸がはっきりしてきます。

この時期をプルテウス幼生と言います。
この幼生はさらに変態して、幼いウニになるのです。




魚の育ちかたとは? 魚の変態とは? わかりやすく解説!

たまごや子魚を保護する魚

たいていの魚は、たまごを生むとあとの世話をしません。
たまごからかえった魚は、ひとりでえさをとって大きくなります。

しかし、なかには、生んだたまごを大切にまもる魚もいます。


磯にいるシマハゼは、めすが海底のカキの殻の中に入ってたまごを生みつけると、おすはその中にあとまでとどまり、たまごがかえるまで番をします。

トゲウオも同じように、おすがたまごをまもります。

淡水に住むタナゴは、めすが長い産卵管で生きているカラスガイの水管の中にたまごを生みおとします。

こうしておけば、他の魚にたまごを食べられてしまう心配がないのです。

ナマズの仲間には、口の中にたまごや子魚を入れて育てるものがいます。

テンジクダイやネンブツダイも口の中にたくさんのたまごをふくんで育てます。
このような親たちは、たまごがかえるまで、えさをとりません。

タツノオトシゴは、おすは腹のところに子を育てるための育児のうというふくろをもっています。
めすは、おすの育児のうの中にたまごを生みます。

育児のうの中に生みつけられたたまごは、その中で保護されながら発育し、かえった子どもは、ちょうどそこから生まれたように育児のうから1匹ずつ水中に泳ぎ出していきます。

子魚の成長

魚はたいへん成長が早くメダカなどでは、たまごからかえってから数か月で親になります。

ハゼをはじめ、小形の魚はたいてい1年で親になりますがサケ・マス・ブリ・マグロなどのように大きな魚は3、4年かかって、やっと親になります。

たまごからかえったばかりの子魚は腹に大きな卵黄をかかえていますが、卵黄は子魚の養分としてついやされるので、だんだんなくなっていきます。

卵黄がまだからだについているうちは、ほかのえさをとりませんが成長を続けて卵黄がなくなると、いろいろなプランクトンを食べはじめます。

体が大きくなるにつれて、ひれのすじがはっきりしてきて体の表面にはうろこもできてきます。

こうしてどんどん成長を続け、ついには親になります。



魚の変態

アユ・メダカ、そのほかの多くの魚は、かえってまもない子魚でも親と同じような体つきをしているので、成長していくあいだに体つきはあまりかわりません。

ところが、ウナギやヒラメ・カレイ・マンボウなどは、その子どもは親とは似ても似つかぬ形をしていて成長していくあいだ、ある時期になると急に形がかわります。

昆虫が幼虫から成虫になるときに変態するように魚にも変態をするものがいるわけです。

ウナギの変態

ウナギは、深海でたまごを生むと言われています。
海でかえった子魚はレプトセファルスと言われ木の葉のようにうすくて、透き通った体をしています。

これが海を泳いで成長しながら陸地に近づいていき6センチぐらいになるとシラスウナギと言われ、川口に姿をあらわします。

そして、川を遡っていくうちに黒っぽくなりヘビのような形にかわっていきます。

マンボウの変態

マンボウやクサビフグも変態します。

この魚の親たちには、尾びれがありませんが子魚には体は小さくてもちゃんとした尾びれがついています。
そして、しばらくすると体から角のようなものが飛出し金平糖のような形になります。

やがて、この角も消えてなくなり、あの奇妙なマンボウの形になるのです。

ヒラメ・カレイの変態

ヒラメやカレイもその子どもは、ふつうの魚のように体の左右に、目が1つずつついています。

しかし、親になると、海底の泥や砂の上で横倒しになった暮らしかたをするので下側になる目が成長するにしたがって頭の頂きをまわって上側にうつってきます。

このほか、魚では、アンコウも変態することが知られています。




カエルの育ちかたとは? カエルの変態とは? オタマジャクシとは?

オタマジャクシ

たまごからかえったばかりのオタマジャクシは、まだ泳ぐことができません。

しばらくのあいだは、口の近くにある吸着器で卵槐のまわりの寒天質や、水草などについています。


口もまだできあがっていないので体の中に残っている卵黄を養分として大きくなります。

やがて、えらができて尾が伸びてくると泳ぎだします。
このころになると口もようやくできあがって小さな植物を好んで食べるようになります。

オタマジャクシは、大きくなるにつれ、えらの前側の皮膚が伸びて、えらぶたになります。

そして、ついにはえらをおおってしまうので外からはえらが見えなくなります。

このとき、体の左側の一部に小さな穴が残され、そのふちがもり上がって短い管になります。

この穴は出水孔と言われ、口から入った水が、えらの隙間を通り、この穴から外に抜けでるのです。

こうして、オタマジャクシは魚のようにえらで呼吸をし、えさをとりながら成長していきます。



カエルの変態

カエルは、子どものときはオタマジャクシと言われているように親と子とでは全く体のつくりが違います。

動物が成長するときに、このように体がかわっていくことを変態と言います。

オタマジャクシが大きくなるとカエルになるための準備をはじめます。

まず、尾のつけねの両側に、いぼのようなふくらみができます。
これが伸びてくるとうしろ足となり、ひざやすねや指も、はっきり見分けがつくようになります。

前足は、うしろ足ができあがって、しばらくしてからあらわれます。
実際には前足はうしろ足と同じころからできているのですが、えらぶたの内側にでるまで、外からは見えないのです。

やがて、前足のいっぽうは出水孔から、もういっぽうの前足はえらぶたに穴があいて、そこから出てきます。

前足がでそろうと、変態は急に早くなってきます。尾はだんだん短くなり、やがてなくなります。

また、えらもなくなり、かわって肺ができてきます。

口も、歯がなくなって、虫を捕えるのに都合がよいような形になります。
体全体もカエルらしくなり水中からはいあがって陸上生活に移っていきます。

ふつうのカエルの場合、たまごからかえったオタマジャクシは、その年のうちに変態しますが、ウシガエルのオタマジャクシだけは冬を越して、体が7.5センチもある、大きなオタマジャクシになります。

親ガエルになるのは変態してから5、6年かかると思われますが、まだ、そこまで観察した人はいません。

このようなカエルの変態は甲状腺と言うところから出るホルモンのはたらきによることが実験でわかっています。




鳥の育ちかたとは?雛のふ化とは? わかりやすく解説!

鳥の育ちかた

鳥のたまごの中には、はいばんというものがあります。

巣の中で、親鳥の体温によってたまごがあたためられるとはいばんは卵黄(黄身)を栄養分としてだんだん発生が進みひなになります。

しかし、鳥のたまごにも、親鳥があたためないでヘビやトカゲのたまごのように土の中であたためられるものがあります。

南洋にいるツカツクリという鳥は、砂と草を集めて小さな山をつくり、その上のほうにたまごを生みます。

たまごは、太陽熱と草が腐るときにでる熱とであたためられ、ひなになります。


ひなのふ化

たまごからひなになることをふ化と言います。

鳥のひなは、たまごの中にいるときから鳴き出して自分のくちばしで中から殻を破って生まれてきます。

親鳥も、くちばしで殻を破るのを手伝ってやります。

かえったばかりのひなは羽根がはえそろわず外の空気に冷えやすいので親鳥は、まだしばらくのあいだ、あたためてやらなければなりません。

ひなの食物

鳥は、獣と違い、乳を飲ませてひなを育てるわけにはいきません。
ですから、親鳥は、せっせとえさを運んでやらなければなりません。

いつも、穀物や木の実を食べている鳥でも、ひなには栄養分が多く消化のいい昆虫の幼虫などをあたえます。

ハ卜は、自分の食べた果実や種などを飲み込んで消化してからまるで、乳のような液にしてひなに与えます。

こうして、巣の中で充分発育して飛べるようになると、ひなは独り立ちするようになります。

しかし、チドリのひなは、たまごからかえってから数時間経つといっせいに巣をはなれて、母鳥とつれだって、えさを探しに歩きまわります。

キジのひなは、かえるとすぐ歩きだして自分でえさを探しまわるので、ちっとも母鳥の世話になりません。

カッコウやホトトギスのひな

カッコウ・ホトトギス・ジュクイチなどは自分で巣をつくらないで、ほかの小鳥の巣にたまごを生んで、あとは知らん顔です。

かり親の小鳥は、自分の留守のあいだに生みおとされた、このたまごに気づかないで、自分のたまごといっしょにあたためます。

カッコウなどのたまごは、いつも決まって小鳥のたまごより先にかえり、そのひなは巣の中の小鳥のたまごを、みな巣の外へ放り出してしまいます。

小鳥は、このカッコウのひなを、自分の子と思って育てるのです。




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