自動車のしくみとは?自動車が揺れないしくみとは?

シャシ

自動車の骨組みのうち、いちばんもとになっているのはフレームとよばれる鋼材の枠組みです。
これは、自動車にとって、人間の背骨にあたるほど大切なものです。

このフレームにエンジンや動力を伝えるいろいろな装置、車輪などをとりつけたものを、シャシと言います。

シャシにボデーをつければ、自動車ができあがります。

最近の乗用車ではフレームとボディーをいっしょにしてフレームを用いない
フレームレスボディー(モノコックボディー)を使う自動車も多くなってきています。


エンジン

自動車には、軽くて小さく、しかも、力の強いガソリンエンジンのほか
軽油を燃料とするディーゼルエンジンがおもに使われます。

ふつうは、これらのエンジンを自動車の前部におき後輪をまわす仕掛けが多く取り入れられています。

しかし、土木建設、農耕作業用や軍用自動車などには後輪とともに前輪もまわして走る、全輪駆動車もあります。

エンジンを冷やす方法には空冷式と水冷式とがありますが自動車のエンジンには水冷式がおもに使われています。

空冷式は、しくみがかんたんで軽いのでおもに二輪車や小型の自動車に使われています。

自動車のエンジンの形にはまっすぐにならべた直列配置型、V字形にならべたV型、水平に向かいあわせてならべた水平対向型があります。

また近頃では、ふつうのエンジンのようにピストンの往復運動をクラック軸に伝え、これによって回転力を取り出すのではなく回転するロータ(ピストン)から直接に回転力を取り出すようにしたロータリーエンジンも使われるようになりました。

自動車がゆれないしくみ

自動車のフレームと車軸とのあいだには、ばねやショックアブゾーバという油の入った円筒が取り付けてあります。

これらは、自動車が走っているときに受ける衝撃や、振動を弱めるためのものです。

このほか、最近の自動車には独立けんがという車輪の取り付け方をしたものがあります。

これは、車輪が穴に落ちたり、石に乗り上げたりしたときその車輪だけが上下して、自動車全体があまり揺れないようにした仕組みです。

独立けんがは、前輪だけに取り付けたものと乗り心地をよくするために、前後の車輪に取り付けたものとがあります。

自動車のばねには鋼鉄を使った重ね板ばねやつるまき(コイル)ばね、ねじり棒(トーションバー)などが使われています。

このほか、ゴムの袋の中に空気をつめて空気の弾力を利用した空気ばねなどがあります。

空気ばねを使うと鋼鉄のばねよりも衝撃や細かい振動が伝わりにくいので、乗り心地がたいへんよくなります。

最近では、ばねにショックアブソーバを使った自動車が多くなりました。
ショックアブソーバを使うと振動をはやく沈めるはたらきが加わるので乗り心地がよくなるとともに、安全に走れます。

前輪の取り付け

前輪の取り付け方には自動車が楽に走れるように、いろいろの工夫がしてあります。

キャンバ

自動車を前から見ると、前輪はまっすぐ立っていないで少し外側に傾いています。
この傾き具合(角度)をキャンバと言います。

これは、かじをとるときに、タイヤが地面に接する点と車輪の軸が首をふって向きをかえる中心とを近づけかじとりハンドルの動きを軽くするためです。

トーイン

左右の車輪に、それぞれキャンバをつけて、上のほうを外側に傾けておくと左右の車輪は、それぞれ外側の方向に回転して進もうとします。

これを正しい進行方向に向け直すために上から前輪を見たとき両側の車輪の先のほうを、少しつぼませて、せまくしてあります。

このつぼみ具合をトーインと言います。

キャスタ

自動車を横から見ると、前輪を車軸に止めているキングピンは地面に対して直角ではなく、少し傾いています。

この傾きを、キャスタと言います。

これによって、前輪はいつも進行方向に向きやすくなり、かじとりハンドルが安定します。

これらの前輪の取り付け方を、前輪の整列とよんでいます。



かじとリ装置

かじとり装置は、運転する人が、自動車の進む方向を自由にかえられる仕掛けです。
ふつうは、輪になったハンドルをまわして前輪を動かし、進む方向をかえます。

ハンドルを進もうとする方向にまわすとハンドル軸がまわり、その先にあるウォームがまわります。

ウォームは、セクタギヤとかみあってしてその軸につながる腕を、押したり引いたりします。

この動きは、ドラックリング(引き棒)から前輪の軸につながる腕に伝わって、車輪の向きをかえます。

また、この動きは、タイロアドによって反対側の前輪を動かす腕にも伝えられます。
このため、左右の前輪は同じように操られます。

これらの仕掛けは、動きが重かったり、振動を起こして不安定となったり、外れたり、折れたりすることがなく、高速で走ったり、悪い道路を走ったりしても、正確で楽に運転できるように工夫してつくられています。

なお、エンジンのまわる力の一部を利用して、かじとりハンドルを軽く確実にまわせる、パワーステアリングという装置もあります。

ブレーキ装置

自動車の速さは、アクセルペダルで加減されますが、自動車を停止させたり坂を下りるときや、惰力で走るときの速度を落としたりするにはブレーキを使います。

自動車の車輪の内側にはブレーキをかけるための鉄の車(ブレーキドラム)があります。

これに、ブレーキシューを押し付けると、その摩擦によってブレーキがかかります。
ブレーキシューには、石綿をゴムや合成樹脂で固めたもの(ライニング)がはってあり、大きな摩擦がはたらくようにしてあります。

このようなブレーキをドラムブレーキと言います。

また、ブレーキドラムのかわりに、円板(ディスク)を使ったものもありディスクブレーキと呼ばれています。
ディスクブレーキはブレーキの利きが安定していて安全に運転することができます。
最近、スポーツカーなどで、さかんに使われるようになりました。

ブレーキの性能は、時速50キロで走っているとき急ブレーキをかけてその停止距離が22メートル以下、時速35キロのとき14メートル以下時速20キロのとき5メートル以下と、規則によって決められています。

すぐれた自動車は、手入れが完全なら、この半分くらいの距離でも停止できます。

ブレーキをはたらかせる仕組みには、足ブレーキでは油の圧力を利用するオイルブレーキがおもに使われています。

このブレーキは、油を送る管が破れると全車輪のブレーキが利かなくなる恐れがあります。
また、坂道の途中で駐車させておくときには、足ブレーキを使うことができません。

そこで、推進軸を機械的に締め付けたりブレーキドラムを外側から締め付けたりする駐車ブレーキが設けられています。

これには、手ではたらかせるものと、足ではたらかせるものとがあります。

ブレーキには、このほか、てこを利用した機微ブレーキ、圧縮空気を利用した空気ブレーキ、エンジンの吸入力を利用した真空ブレーキなどがあります。




自動車とは?使い方・しくみによる分け方とは?

自動車

自動車は、道路の上をエンジンの動力で走るものです。
レールや架線がないことが、電車や機関車と違うところです。

自動車は使い道や、しくみによってわけられるほか法規こよっていろいろとわけられています。


使い道によるわけ方

使い道によっては、乗用車・バス・トラック・貨物乗用車・特殊自助車などにわけられます。

特殊自動車にはロードローラー・グレーダー・フォークリフト・農耕作業用自動車などがあります。
パトロールカー消防車・救急車などは、緊急自動車と言われます。

しくみによるわけ方

しくみからは、車輪の数、駆動輪の位置、エンジンの種類、エンジンの位置
運転室の位置などによってわけられます。

車輪の数からは、二輪車(オートバイースクーター)三輪車・四輪車などにわけられます。

駆動輪の位置からは、前輪をまわす前輪駆動(フロントドライブ)後輪をまわす後輪駆動(リヤドライブ)のほか前輪と後輪とをいっしょにまわすことのできる。

全輪駆動にわけられます。
エンジンの種類からはガソリン自動車・ディーゼル自動車・電気自動車にわけられます。

エンジンの位置からは、エンジンが前にあるリヤエンジン、エンジンが床の下にあるアンダーフロアエンジンなどにわけられます。

ガソリン自動車は、ガソリンを燃料に使いますが最近、プロパンガスを燃料にしたタクシーやトラックが増えてきています。

ディーゼル自動車は、燃料に軽油を使っています。
バスやトラックなどでは、ほとんどがディーゼル自動車です。

運転室の位置からは、ボンネッ卜型・キャブオーバー型などにわけられます。

エンジンが前にあり、駆動輪がうしろにある自動車をフロントエンジンリヤドライブと言い駆動輪が前にある自動車をフロントエンジンフロントドライブと言います。

また、エンジンも駆動輪もうしろにある自動車をリヤエンジンリヤドライブと言います。

とくに、乗用車では座席の数やドアの数などの車体の形によっていろいろとわけられリムジン・フォードアセダン・ツードアセダン・クーペ・コンバーチブル・ハードトップ・ロードスター・ステーションワゴンなどがあります。




位置エネルギー、運動エネルギーとは?仕事とエネルギーとは?

仕事とエネルギー

私たちが、物体を、ある高さだけ持ち上げたときにする仕事はその物体の重さと、持ち上げた距離との積であらわします。

動いている物体は、外からその物体を止めようとしないかぎり、等速運動を続けます。
これを、止めるには、その物体を止めるだけの仕事をしなければなりません。

持ち上げられた物体は、落ちることによってまた、動いている物体は動いていることによって仕事をする能力がある場合に、その物体はエネルギーをもっていると言います。


位置エネルギー

水力発電所のダムにたくわえられた水は水圧鉄管の中を、落ちることによって、発電機の水車をまわす仕事をします。

このような場合に物体は、位置エネルギーをもっていると言います。
これは、重力による位置エネルギーの例です。

このほか、ゴムやぜんまいを引っ張って、そのはしに物体をつけてはなすとゴ厶やぜんまいが縮むとき、物体を動かして仕事をします。

これは、引き伸ばされたゴムやぜんまいが、位置エネルギーを持っているからでこの場合には、ゴムやぜんまいの弾力がもとになっています。

位置エネルギーの例ば、重力や弾力だけでなく電気力や磁気力でも、位置エネルギーが考えられます。

運動エネルギー

物体が、ある速度をもって動いているときにほかの物体に衝突すると、その物体を動かして仕事をします。

このようなエネルギーを、運動エネルギーと言います。

運動エネルギーの大きさは動いている物体の速度が大きいほどまた、物体の質量が大きいほど大きくなります。

エネルギーのあらわし方

位置エネルギーも運動エネルギーも、仕事をすることができる能力をもっています。
ですから、物体が仕事をすることができれば、その原因が何であってもエネルギーをもっているということができます。

エネルギーをあらわす単位には、仕事と同じ単位を使います。
たとえば、運動エネルギーでは、物体がその速さがなくなるまでにする仕事の量で、その大きさをあらわします。

熱エネルギー

木炭・石炭・石油・ガソリン・ガスなどを燃やすと、熱がでます。
この熱を蒸気機関や、ディーゼル機関・ガソリン機関などの熱機関に加えるといろいろの仕事をします。

したがって、然もエネルギーの一種であることがわかります。

現代文化のエネルギーのほとんどは熱エネルギーであるといっても言い過ぎではないでしょう。

電気エネルギー

電動機に電流を通すと、回転運動を起こして、仕事をします。
したがって、電気もエネルギーの一種であることがわかります。

電気エネルギーは、熱エネルギーよりも輸送に便利です。
そればかりか、電動機は効率がよく、清潔である点がすぐれています。

そのため、電動機は、電気機関車や工場の大型電動機から家庭用の井戸の電動機や電気洗濯器・電気掃除機・電気冷蔵庫などの小型電動機にいたるまで、広く使われています。

したがって、私たちの文化生活のもとになるエネルギーは熱エネルギーとともに電気エネルギーがその大部分をしめているといえましょう。

その他のエネルギー

位置エネルギー・運動エネルギー・熱エネルギー・電気エネルギーのほかにもいろいろのエネルギーがあります。

たとえば、石炭や石油は、燃えるとき多量の熱を出すのでこれらの物質は、エネルギー(化学エネルギー)をもっています。

燃えることによって、化学エネルギーから熱エネルギーにかわるのです。

このほか、太陽熱による太陽エネルギー、核分裂などでえられる熱は核エネルギーから熱エネルギーにかわります。

光や音のエネルギーなどもあります。



エネルギーのうつりかわり

水力発電所のダムにたくわえられた水は、大きな位置エネルギーをもっています。
水のこの位置エネルギーは水が落ちることによって、運動エネルギーにかわります。
さらに、発電機の水車をまわすことによって、電気エネルギーにかわるのです。

火力発電所では、石炭や重油を燃やしそれでえた熱エネルギーで、タービンをまわします。
その運動エネルギーを、発電機で電気エネルギーにかえています。

電気エネルギーは、送電線によって工場や家庭へおくられます。
これが、電動機に入れば、運動エネルギーにかわりまた、電熱器に入れば、熱エネルギーにかわります。

電球に入れば、光のエネルギーにかわります。

蓄電池は、電池がもっている化学エネルギーを電気エネルギーにかえ豆電球に電気が流れることによって光のエネルギーにかわります。

このようにエネルギーは、物体から物体へのりうつるばかりでなくいままでに述べた、いろいろの形のエネルギーにかわります。

ここで、大切なことは、物体のあいだをうつったり、形をかえたりしてもあるときにもっているエネルギーの全量は、いつまで経っても減ることも増えることもないということです。

このことエネルギー保存の法則と言います。




原爆と水爆とは?原子力の平和利用とは? わかりやすく解説!

原爆と水爆

濃縮されたウラン235を瞬間的に結合せると100万分の1秒ぐらいで、すべての原子核を分裂させることができます。

このとき、非常に大きい熱と光と放射線のエネルギーを出します。
これが、原子爆弾(原爆)です。

原爆を重水素で包んで爆発させると、その爆発の熱によって重水素が核反応を起こし、さらに大きい爆弾となります。

これが、水素爆弾(水爆)です。

原爆は、ある程度以上大きくすると、宇宙線などの中性子によって自然に爆発してしまうので、その大きさには、かぎりがあります。

これを制限質量と言い、それは約1~10キログラムぐらいだろうと考えられています。

ところが、水爆には、この制限がないのでいくらでも大きいものをつくることができます。


原子炉

原子核を分裂させると非常に少ない燃料で、多くのエネルギーをうることができます。

たとえば、ウラン1キログラ厶の核分裂によって出るエネルギーを熱量でいうと約200億カロリーになります。

これは、3000トンの石炭が燃えて出す熱量と同じです。

また、これを電気とくらべると100ワット電球を3万年つけっぱなしにできるエネルギーです。

そこで、このエネルギーを平和的に利用することが考えられました。

それには、ウランの核分裂を、ゆっくりと起こす装置をつくることです。
これが、原子炉の燃料には、天然のウランをそのまま使ったり少し濃縮したウランを使ったりします。

原子炉では中性子がさかんに発生しますがこの中性子は、物質を突き抜ける性質が強いので非常に危険です。

そこで、中性子が外へ飛び出さないように原子炉の本体を、いろいろの材料で包んであります。

原子炉では中性子がウラン238にとらえられて、ウラン239になりこれがベータ線を2回出して、プルトニウムという元素になります。

さらにこの元素も分裂する性質があります。このようにして分裂が続きます。

したがって、原子炉ではウラン235ばかりでなくその40倍もたくさんあるウラン238も燃料になります。



プラズマ

ほとんどの気体の分子が、+と-の電気にわかれている状態をプラズマと言います。
非常に高い温度の中でプラズマをつくり、重水素の核融合反応を起こさせるとたくさんのエネルギーが生じます。

このエネルギーを平和的に利用しようと、研究がすすめられています。

原子力の平和利用

原子炉をつくる目的は、2つあります。

その1つは、熱を利用して、発電所のタービンや船の動力に使うことでもう1つは中性子を利用し、人工放射性元素をつくりだすことです。

発電所や船では、原子炉でえられた高熱で蒸気をつくり、その蒸気で、タービンをまわします。

発電所のタービンは、発電機につながってしますからここで電気を起こすことができるわけです。

いっぽう、中性子の利用として原子炉でつくられた人工放射性元素は農業・工業・医学・学術研究などに応用されています。

たとえば、農業の面では、植物の種子を放射線でてらし突然変異を起こさせ、品種を改良するのに応用されています。

工業の面では、金属、たとえば歯車などの減り具合を調べたりまたダムの水もれなどを調べるのに利用されています。

医学の方では、がんの治療などに、さかんに利用されています。




原子核の人工破壊とは?濃縮ウラン・核融合とは?

原子核の人工破壊

鉛より原子番号の小さい原子を壊してほかの原子にかえることはできないだろうか、ということが20世紀のはじめころから考えられていました。

原子核を壊すには、強い弾丸の役目をするものが必要です。
イギリスのラザフォードは1919年にラジウムからでるアルファ線を弾丸に使って窒素原子を壊すことに成功しました。

つぎに、考えられたのは、アルファ線のような自然の弾丸ではなく、人間がつくった弾丸で安定した原子核を壊すことでした。

たとえば、水素ガスを蛍光灯のように電気で光らせると電子のとれた裸の原子になります。

これは、陽子で水素イオンとも言います。
これに、何十万ボルトと言う電圧をかけて真空中を走らせ原子核を壊すための弾丸を使うのです。

この方法で、イギリスのコッククロフトとウォルトンが1932年にリチウムの原子核を壊すことに成功しました。

その後、いろいろのイオン加速装置が工夫され現在では、すべての安定した原子核を壊したり放射性にすることができるようになりました。


中性子と人工放射性元素

水素イオンが、まとになる原子核に近づくと、原子核の陽電気力が反発するのでよほどの高速度でないと中に突入して、これを壊すことはできません。

ところが、中性子は電気をもたないのでどんなに遅くても原子核の中へ入りこみ、これを壊したり、放射性にしたりします。

このような方法で、放射性になった元素を、人工放射性元素と言います。

減速材

中性子が、原子核に入ってはたらくとき遅い中性子ほど原子核と作用する時間が長いので、効果が上がるのです。

そこで中性子を水素原子や炭素原子と衝突させて、速さを遅くします。
このような材料を、減速材と言います。

原子核を壊す弾丸に中性子を使うことをはじめて考えたのはイタリアのマエルミという学者です。

フェルミは中世子をぶつけると、ほとんどすべての安定な原子が壊れるか放射性をもつようになることを発見しました。

この研究は、1934年から、その翌年にかけてのことです。

原子核の分裂

鉛より原子番号の小さい、安定した元素の原子でなく安定な自然放射性元素の原子に中性子を打ちこんだらどうなるかということを研究したのは、ドイツのハーンとシュトラックスマンというふたりの学者でした。

この研究で、たとえば、ウランに中性子を打ち込むとウランがほとんどまっぷたつに裂ける、ということを1938年に研究しました。

これを核分裂と言います。



原子力

中性子が突入して原子核が分裂するときには質量がエネルギーに変化して、非常に多くのエネルギーを出します。

このエネルギーを原子力、または、原子エネルギーと言います。

この原子エネルギーは、石油や石炭などを燃やしたときにでるエネルギー(熱エネルギー)とは、全くその発生の原因が違うばかりでなくその大きさは、何億倍というほど違います。

連鎖反応

紙などに火をつけると、その一部が燃えて、熱を出しこの熱で、つぎの部分が発火点に達し、つぎつぎと燃え広がっていきます。

ウラン235の原子核の分裂は1回の核分裂で、2個から3個の中性子が飛びだしこれが、つぎのウラン原子核に飛び込んで分裂を起こすことになるのです。

すると、また、2~3個の中性子が飛出してつぎのウラン原子核を分裂させるというように、つぎつぎと分裂が続きます。

これを連鎖反応と言います。

濃縮ウラン

天然のウランには質量数が238、235の2つの同位元素が140対1の割合でまじっています。

ウラン238は、分裂を起こさないばかりかウラン235の分裂でできた中性子をとらえて、連鎖反応をさまたげます。

そこで、このウラン238をできるだけ少なくしウラン235をできるだけ多くする必要があります。

これには、いろいろな装置が工夫されています。
こうして、天然のウランから、ウラン235の割合の多いウランをつくることを濃縮と言い、そのウランを濃縮ウランと言います。

核融合

重水素を何千万度という高い温度にすると2つの重水素核がむすびついて、ヘリウム原子核になります。

この反応でも非常にたくさんの原子力が放出されます。
これを核融合とか・熱核反応と言います。




原子・原子核の組み立てとは?自然放射能とは?

原子の組み立て

地球上のあらゆる物質は、水素・酸素・炭素などのようないろいろな元素がむすびついてできたものです。
これらの元素には、その元素固有の原子があります。

そして、すべての原子は、中心に1つの重い原子核がありそのまわりをいくつかの軽い電子が、ぐるぐるとまわっている仕掛けになっています。

原子の直径の大きさは、約1億分の1センチぐらいですが電子や原子核の大きさは、原子の大きさの1万分の1ぐらいの大きさです。

たとえば、直径が10メートルの球を1つの原子とすると原子核や電子の大きさは、直径が1ミリくらいの小さな粒にあたります。

原子の中は隙間だらけで、ほとんど空っぽだといってもよいほどです。

原子核は+(正)の電気をもち電子は-(負)の電気をもっているので互いに引きあっています。

電子が、この引力で、原子核に引き寄せられないのは、電子が原子核のまわりをぐるぐるとまわっていて、引力と遠心力とが、うまくつりあっているからです。

原子の組み立ては、太陽系によく似ています。

太陽系では、万有引力、すなわち、物体と物体との間の引力で太陽が、水星や地球などの惑星をひいていますが原子核が電子をひく力は、+と-の電気のあいだの引力であるという点が違っています。

水素や酸素など、いろいろな元素の原子が違うのは外をまわっている電子の数と原子核のしくみが、それぞれ違うからです。


原子核の組み立て

原子核のうちで、水素の原子核が、いちばんかんたんでこれを、とくに陽子(プロトン)と言います。

陽子は、電子と同じ量の、+の電気をもっています。

また、この陽子とほとんど同じ質量をもっていて電気をもたない粒子を中性子(ニュートロン)と言います。

そして、原子核は、この陽子と中性子が集まってできています。

たとえば、水素には、質量数が、1と2と3の同位元素があります。
質量数2の水素は、重水素とよばれ、陽子と中性子が1つずつむすびついてできています。

また、質量数3の水素は三重水素とよばれ陽子1つと中性子2つとがむすびついています。

すべての原子は、原子番号だけの電子をもっています。

たとえば、水素原子は、原子番号が1だから電子を1個、ヘリウム原子は2個、ウラン原子は92個もっています。

ふつうの原子は、電気をもたないようになっているので原子核の中には原子番号と同じ数の陽子があって電子の-の電気を中和していると考えられます。

たとえば、質量数が238のウラン原子は原子番号が92ですから238-92=146となり、146個の中性子をもっています。

ですから、質量数が、238のウラン原子は中心に92個の陽子と146個の中性子とが集まった原子核があってそのまわりを92個の電子が、いろいろの軌道を描いてまわっていることになります。

原子核のまわりを、ぐるぐるまわっている電子はそのエネルギーの一部を、電磁波として、放出することがあります。

これが光やX線です。



自然放射能

水素と酸素が化合すると水になり、水を電気分解すると、また、水素と酸素になります。
しかし、原子核は、少しも変化しません。

ですから、むかしは原子は、永久に壊れないものだと考えられていました。

ところが、1896年にフランスのベクレルという学者がウランから正体のわからない放射線が、自然に出ていることを発見しました。

これを自然放射能と言います。

この現象は、有名なフランスのキュリー夫妻、その他の学者によって研究されこの放射線には、アルファ(α)線・ベータ(β)線・ガンマ(γ)線の3種類があることがわかりました。

原子核がアルファ線やベータ線を出すと、ほかの元素の原子になります。
放射線を自然に出す元素は、自然放射性元素とよばれています。




ジェットエンジンのしくみとは?ロケットのしくみとは?

ジェットエンジンのしくみ

プロペラ式の飛行機では、プロペラをまわすと速い速度でうしろに流れる空気の流れができます。

この空気の流れの反動で、進行方向に、プロペラは推力を受けます。
この力が、飛行機をまえに進ませるのです。


しかし、ジェットエンジンには、進行方向に開いた口から空気を吸い入れて圧縮し、この空気の中に燃料を噴射して、燃やすしくみがあります。

そして、できた燃焼ガスを高速度で後方にふきだして、その反動で推力を起こすのです。

イギリスのホイットルは、イカが口から出す水の流れの反動で泳ぐのを見てジェットエンジンのしくみを考えついたといわれます。

ふつうのガスタービンでは燃焼ガスのエネルギーはできるだけたくさん、タービンの回転力にかえるのがよいのです。

けれども、ジェットエンジンでは、タービンの回転力は小さくて構いません。
ただ圧縮機をまわすだけでよいのです。

ガスの勢いをほとんどそのまま残し、後方に非常な速さでふきださせるのです。
その流れの反動で、大きな推力が発生し、エンジン全体を前方に押し進めます。

圧縮機は、軸流式が多く、なかには遠心式もあります。
燃料は、ガソリンと灯油をまぜたものです。

大馬力のガソリン機関のような高級ガソリンは使いませんがまだ燃料のくわれ方が多いのが欠点です。

ジェットエンジンは、ガソリン機関にくらべて、しくみがかんたんで目方もかるく、ガソリン機関では到底出せないような大推力がえられます。

そのため、音の速さに近いか、またはそれ以上の速さで飛ぶ飛行機にはなくてはならないものになっています。

また、ジェット飛行機より速力は遅いが飛ぶ距離をはるかに長くする必要のある飛行機にはプロペラをつけたジェットエンジンが用いられます。

この場合のガスタービンでは圧縮機ばかりでなくプロペラもまわすしくみになっています。
そのために、ふきだす燃焼ガスの速さは、ずっと弱くなります。

しかし、このジェツトガスの推力とプロペラの空気流の推力の合計が飛行機にはたらくことになります。



ロケットのしくみ

ジェットエンジンは、空気を取り入れて圧縮し、その中に燃料を噴射して高温・高圧のガスをつくり、これをうしろに勢いよくふきだすしくみです。

このように、空気を使って燃料を燃やすのですから空気のあるところでしか、はたらきません。

これにくらべて、ロケットは燃料を燃やす酸素のもとを、自分で持って飛ぶのです。
ですから、真空に近いうすい空気の中でもはたらきます。

このジェツトガスをつくりだす原料を、推進剤と言います。
古くから使われていたロケットの推進剤は、ごく遅く燃えるように工夫された火薬です。

いまでは、ロケット用としてよい性質をもっている火薬や薬剤が研究され実際に用いられています。

このような薬剤は、ふつう円体なのでこれを使うロケットを、固体ロケットと言います。

液体の推進剤を使うロケットが、液体口ケットです。

液体ロケットの一例をあげると図のように、エチルアルコールと液体酸素とを別々の入れ物に入れておきます。

そして、これをポンプで必要な分量だけ、連続して燃焼室にふきださせます。

ここで点火されて燃焼し、高温度で鳥圧力の燃焼ガスができます。
このガスが、ノズルから外界へものすごい速さでふきだします。

このガスの反動で、大きな推力がでるのです。
ガスのふきだす口は、やはりノズルと言います。

固体ロケットは、短い時間しか燃料がもたないので長い距離は飛べませんが、しくみがかんたんなのでよく使われます。

たとえばロケット弾や離昇補助ロケットなどに利用されます。




排気タービン・高速ディーゼル機関・ガスタービンとは?

排気タービン

機関の膨張行程が終わっても、シリンダの中の燃焼ガスは400度~600度で、3気圧くらいの圧力を持っています。

そこで、このガスを、直に大気中に捨ててしまわずに一段式につくられた、タービンの羽根車をまわすのに使うことができます。

これが、排気タービンです。

このタービンに、遠心送風機を直接つないだものを、過給機とよびます。
これは、たくさんの空気をかるく圧縮して、シリンダに押しこむことができます。

そのため、いっそう燃料をよく燃やすことができ、過給機をとりつけた機関は外したときの機関の馬力の1.5倍から1.8倍の力を出すことができます。


高速ディーゼル機関

バスやトラックや耕運機、土木建設用機械、鉄道用の機関車や客車などには高速回転のディーゼル機関が使われます。

高速ディーゼル機関は目方がかるく、多くは水冷四行程式ですが二行程式もあります。

四行程式では、たて型で直列4シリンダ・6シリンダのもの、V型12シリンダ、横型で直列8シリンダのものなどがあります。

また、空冷1~2シリンダの小型の耕運機用もあります。
燃料は軽油で、重油は使いません。

鉄道車両で、ディーゼル機関をつけたのはディーゼル機関車とディーゼルカーです。
ディーゼルカーは、客車の床下に、200馬力くらいの機関をとりつけたものです。
また、ディーゼル機関車は、1000馬力くらいの機関2台を車台に積んだものや
500馬力くらいを2台積んだものなどがあります。

ガスタービン

ガスタービンは、燃焼ガスのエネルギーを利用したタービンです。

燃焼器で灯油を燃やし、3~5気圧くらいで、700~900度の燃焼ガスをつくりそれをノズルを通して、タービンのはねにはたらかせて動力を起こします。

ガソリン機関は燃焼ガスの圧力でピストンを動かしましたがここでは蒸気タービンの場合と同じように、タービン羽根車を使うのです。

空気は、軸流式圧縮機で圧縮されて、燃焼器に入ります。
ここで燃料がふきだされて燃え、温度の高い燃焼ガスになります。

圧力は圧縮機をでたところと同じですが高温度のために体積がずっと大きくなります。



また、ノズルと羽根は多くは反動式につくられているので反動タービンといってもよいわけです。

圧縮機をまわすのは、タービンの羽根車でつくられた動力の一部です。
圧縮機を動かすのに、動力を使いすぎると、取り出して利用できる動力が減ります。

それで、ガスタービンでは圧縮機にくわれる動力をなるべく小さくすることが大切です。

圧縮機には、反動蒸気タービンを逆にまわしたようなしくみの軸流式と遠心式圧縮機があります。

しかし、軸流式圧縮機のほうが効率がよいので特別小型のもの以外は軸流式を使います。

燃焼器は、内外二重の筒になっていて空気は内側の筒の外を冷やして、内部に入ります。

すると燃料ポンプで、灯油が内側の筒の内部に噴射されこれに火がつけられて燃えます。

発生する熱のために、燃焼ガスは高温度の大きな体積になり、羽根軍のほうに流れていきます。

ガスタービンの羽根車の羽根の切り口はへの字のような形をしていて羽根のあいだをガスが通るときの反動で車がまわるようになっています。

この羽根は、1000度もある高温の燃焼ガスの中におかれるうえに強い遠心力を受けるので、高温に強い合金が使われています。

燃料は、灯油が使われます。
そのほか、溶鉱炉から出るガスや原油を分留するときにでるいらないガスを利用した、ガスタービンもできています。
これは、実際に製鉄工場や石油工場におかれ、発電用に使われています。

ガスタービンは、ほかの往復動式の内燃機関にくらべて形が小さいわりに、大きな馬力を出せることが特長で振動も非常に少ないのです。




ディーゼル機関のしくみとはたらきとは?燃料噴射とは?

ディーゼル機関のしくみとはたらき

ディーゼル機関には、気化器がありません。
空気だけを吸いこみ、圧縮行程で空気だけを、30~40気圧に圧縮します。

これは、ガソリン機関よりも、はるかに圧縮の程度が高いので押し縮められた空気の温度はずっと高くなり、600度くらいになります。

この圧縮空気の中に燃料を細かい粒にして吹き込むと燃料は空気の高熱で自然に火がつき、燃え広がっていっそう高湿度・高圧力になります。

このために電気点火のしくみはいりません。

ディーゼル機関の燃料にはガソリンよりはるかに揮発性の少ない軽油や重油が用いられます。


燃料噴射

燃料をふきこむことを燃料噴射と言い、噴射ポンプ・噴射管および噴射弁を使います。

このうち噴射ポンプは燃料を圧縮するしくみでその圧力は、250~500気圧にもなります。

この高圧の燃料を、丈夫な噴射管の中を通して、噴射弁に送ります。

そして噴射弁にある、3~8個の小さい穴からシリンダの圧縮空気の中に、ふきださせます。

燃料のふきでる速さは、たいへん速いのでちぎれて細かい粒となり、速く燃えるのに都合よくなります。

ディーゼル機関はドイツ人のルドルフ・ディーゼルが今世紀のはじめころに発明した機関です。

その後、たいへんに進歩したので現在では、熱効率は40パーセントを越しています。



ディーゼル機関のいろいろ

ディーゼル機関は、大きな船から小さい船までいろいろな種類の船のプロペラをまわす動力として用いられています。

また、船の中で発電したり、ほかの機械類をまわすのにも使われます。
これには、値段の安い重油を使うので、運転の費用が安くつきます。

重油はガソリンにくらべて引火点が高いので火がつく危険が少ないことも都合のよい点です。

大型船の大馬力のディーゼル機関は、全部水冷二行程式です。
シリンダは、直列四シリンダから直列九シリンダのならべ方があります。

現在、もっとも大馬力のものは、シリンダの直径が86センチ、ピストンの動く距離が1メートル60センチもあり直列9シリンダで約2万馬力をだします。

二行程式ディーゼル機関では、掃気ポンプで空気を押しこみます。

これには、ピストンを使ったポンプが多いのですが排気タービンを使った、遠心送風機も使われるようになりました。

100~200馬力の機関は遠洋漁業の船に用いられ、水冷四行程式につくられています。




ガソリン機関のしくみとはたらきとは? わかりやすく解説!

ガソリン機関のしくみとはたらき

ガソリンを燃料にする内燃機関を、ガソリン機関と言います。

ガソリン機関は、四行程式につくられることが多く二行程式は、ごく小型の機関だけに用いられます。

ガソリン機関では空気は吸気管・吸気弁を通って、シリンダに吸い込まれます。

吸気管には気化器があり、ここでガソリンは細かい霧になります。
そして空気とまじって混合ガスとなり、シリンダに吸いこまれるのです。


気化器

図にしめしてあるのが、気化器です。この気化器で、ガソリンは気体になります。

空気が、せまくなった通路を通ると流れが速くなるかわりに、そこの圧力が大気圧より下がります。
そのため、フロート室からガソリンが吸いだされ、空気の流れにまざります。

フロート室の中にはフロートがあり、ガソリンの面が高くなれば浮き上がって燃料管からガソリンが入るのを止めガソリンの面が下がれば、沈んでガソリンを入れます。

このようにして、フロート室のガソリンの面々、いつでも同じ高さに保ちます。

点火プラグ

圧縮された混合ガスに火をつけるには電気火花を使います。
点火プラグの電極は、シリンダの中にかおを出してします。
この電極のあいだに、数千ボルト以上の高い電圧をかけると電気火花が飛びます。

電圧か上げるしくみは、まき数の多いコイルと少ないコイルを重ねた誘導コイル(感応コイル)です。

まき数の少ないコイルに、短い時間電流を通し、急に電流を切るとその瞬間に、もう一方のコイルに、ごく短い時間だけ、高い電圧の電流が流れるのです。

これには、蓄電池を使うものとマグネト(高圧磁石発電機)を使うものの2つがあります。

たくさんのシリンダを使ったガソリン機関ではいくつものシリンダで、つぎつぎと点火しなければなりません。
そのため、配電器があり、これでいくつかのシリンダのプラグに順序よく電気を通して、点火していきます。

シリンダの数

ガソリン機関を、自動車や船に使ったり発電機をまわすのに用いるときはふつう何個かのシリンダをもった機関を使います。

これは、1個のシリソダで出すことのできる馬力には、かぎりがあるからです。
また、シリンダの数を適当に多くすると振動が少なくなるのです。

シリンダは気筒とも言います。
シリンダが4つある機関を4シリンダ、または四気筒機関、6つあれば六シリンダ、または六気筒機関と言います。

空冷式と水冷式

シリンダは適当に冷やさないと中のピストンの温度が高くなりすぎて壊れる心配があります。
続けて運転することもできなくなるので、水や空気を使って冷やします。

この場合、シリンダを二重の壁にして、水を通すのを水冷式、シリンダの外側にたくさんのひれを出し、空気に触れる面積を増やして空気を送って冷やすしくみを、空冷式と言います。



ガソリン機関のいろいろ

自動車用のガソリン機関には水冷式四行程式が多いのですがなかには空冷式もあります。

ふつうに見られるような小型の自動車にはシリンダ4個を1列にならべた直列4シリンダが多く、それ以上の大型になると直列6シリンダや直列8シリンダが使われています。

また、V形と言って直列シリンダを二組み、前から見てV字形にしたものがあります。

大型の乗用車には、直列4シリンダ2組みをV形にしたV8機関とか直列6シリンダ2組みをV形にした、V12シリンダ機関も用いられています。

飛行機用のガソリン機関も、第二次世界大戦までは、さかんに使われました。
しかし、ジェットエンジンができてからは、性能がよいのでいまでは、ジェットエンジンのほうが多くなりました。

けれども、小型や中型の飛行機とかヘリコプターには星型ガソリン機関も使われています。

これは、空冷四行程式で、シリンダを放射状に7個または9個星形にならべたものです。
また、これを2組み重ねて二重星型14シリンダや、18シリンダにしたものがあります。

飛行機が高い空にのぼると、空気がうすくなるので、エンジンの力が弱まります。
これをふせぐために、エンジンの力の一部でまわす遠心送風機で空気を圧縮しシリンダに送りこんでやります。

オートバイや、自動三輪車用のガソリン機関はずっとしくみがかんたんで、バイクモーターとよばれています。

これは、シリンダが1または2個で空冷二行程式が多く使われています。




内燃機関の仕組みとは?ガスの力とは? わかりやすく解説!

ガスの力

燃料を燃やしたときにできる燃焼ガスは、はじめから空気中にあった窒素や
燃焼によってできた二酸化炭素や水蒸気からなっています。

燃焼ガスで水を熱して蒸気をつくり、蒸気機関やタービンを動かすことができます。
しかし、この高い温度の気体のもつエネルギーを直接動力にかえることもできるのです。


内燃機関の仕組み

燃料を、機械の中のせまい室で燃やしてできる燃焼ガスは高い温度と高い圧力になります。
そのエネルギーから、直接に動力をつくりだすのが、内燃機関です。

まず、ガスの力をためす実験からやってみましょう。

実験

まえに使ったドロップの缶の中に、ガソリンを2滴たらして、かるくふたをします。
そして、底を少しあたためます。

缶の底を指でさわって、あたたかいなと思うくらいの温度にしておきます。
このとき、缶の中では、ガソリンが蒸気になって、空気と混じりあっています。

そこで、上の図のようにふたをあけ、火のついたマッチ棒を投げこむと音を立てて炎がふきだします。

こんどは、缶の底に近いところに、直径2ミリくらいの穴をおけてみましょう。
ガソリンを2滴、上の口から落としほんの少しあたためてから口の上にふたを逆さまにおきます。

つぎに、下の穴に火のついたマッチ棒の炎を近づけると缶の中のガスに火がつき音を立てて炎がふきだし、ふたを吹き飛ばします。

これは、燃料と空気がまじったガスが、爆発のように燃え燃焼ガスができて、その圧力がふたを飛ばしたりです。
このとき、ふたをねじこむと危ないので、注意しなければなりません。

燃料と空気がまじったガスを、混合ガスと言います。

ピストンを押す燃焼ガス

図のようにピストンによってシリンダの中に閉じ込められた混合ガス(ガソリンの蒸気と空気のまじったもの)に火をつけると非常に速い燃え方をするので、高温度・高圧力ができます。

その様子が、爆発に似ているので、爆発とも言います。
この圧力でピストンを押します。

ピストンを押す力は、連接棒(コネクチングロッド)とクランクによって回転する力にかえられます。

ピストンを押し終わったガスは、くりかえして使うことはできません。
そこで、新しい混合ガスにかえて、同じことをくりかえします。
ガスを入れる方法の違いで、内燃機関は、四行程式と二行程式にわけられます。

ピストンがいちばん上にきた位置を上死点、ピストンがいちばん下にきた位置を、下死点と言います。

そして、ピストンが上死点から下死点へ、または、下死点から上死点へ動くことを、それぞれ一行程と言います。



四行程式

下の図にしめしたのが。四行程式の内燃機関です。
吸気・圧縮・膨張および排気の4つの行程を順におこなったのちもとの吸気の行程にかえるしくみです。

吸気行程のときは、ピストンが上死点から下死点に動きます。
そのとき、吸気弁が開いて、混合ガスをシリンダの中に吸い込みます。

ピストンが下死点にくると吸気弁が閉じて混合ガスはシリンダの中に閉じ込められ、つぎにピストンが上がって圧縮されます。

これが圧縮行程です。

この圧縮でガスの温度と圧力が高くなります。
圧縮行程のまわる少しまえに、ガスに火がつけられて爆発し燃焼ガスとなって温度と圧力がいっそう高まり、その圧力でピストンを押し下げます。

このピストンを押し下げる力が、動力のもとです。
ピストンが下がると、ガスの体積が増え(膨張する)温度と圧力が下がって、下死点にきます。

これが、膨張行程です。

つぎの排気行程には、排気弁が開いて、燃焼ガスが大気中に押し出されます。

二行程式

二行程式は、クランク1回転ごとに同じことがくりかえされ四行程式の吸気・排気行程にあたるはたらきを下死点の近くで同時にすまさせてしまいます。

ピストンがシリンダの中のガスを圧縮しながら上死点にくると点火が起こり爆発して、ガスの温度と圧力が高くなり、ピストンを押し下げます。

ピストンが下がって、下死点に近づくころ排気の穴が開いて燃焼ガスの吐き出しがはじまります。

そしてシリンダの中の圧力が充分に下がったころ掃気穴が開いて、新しい混合ガスが入ってきます。

混合ガスは、はじめクランク室に吸い込まれピストンが下がるときに、かるく圧縮されます。

つぎに、シリンダの中に入って燃焼ガスを排気穴から押し出します。
下死点をすぎてまもなく、掃気と排気の穴が閉まりピストンの上向き運動によって、圧縮がおこなわれます。

圧縮が終われば、また火をつけて爆発させます。




蒸気タービンとは?反動タービンとは? わかりやすく解説!

蒸気タービン

ポンプに往復式と回転式があったように蒸気を用いる機関にも、往復式と回転式があります。

いままで述べたものはシリンダの中で、ピストンが往復する往復式の機関です。

ふつう、これを蒸気機関と言っています。
また、回転式のものは蒸気タービンと呼びます。

蒸気タービンは、ボイラから送られる蒸気を羽根のついた車にふきつけてまわすものです。

これは、風をふきつけてまわす風車や水をあててまわす水車と、まわす原理は似ています。


実験

まえの実験で使ったドロップの缶をもとにして、羽根車をまわしてみましょう。
まず、コルクの栓に穴を開けて、ガラス管を通します。

つぎに、缶に水を入れ、火で熱すると水は沸騰し、蒸気が勢いよく噴き出してきます。
べつに、コルクに軸を通し、まわりにGペンを何本もさして、羽根車をつくります。

出てきた蒸気を、Gペンの羽根車にあてると車は非常な速さでまわります。
これが、蒸気タービンの原理です。

ガラス管のふきだし口の直径が大きいものや、小さいものをつくっておいてつけかえてみると、さらにおもしろい観察ができるでしょう。

ノズル

蒸気の噴き出す口の部分がノズルです。
ノズルの大きさが適当でないとタービンはよくまわりません。

たとえば、口で風車を吹く場合にも、口をつぼめます。
これは、口を大きくあけたままでは、風車がよくまわらないからです。

また、あまり口をつぼめすぎてもかえって吹くのに力がいるばかりで、よくまわりません。

タービンの場合でも、羽根車にちょうど適当なノズルの大きさがあります。
また、その形も、吹き出したときに、勢いが強くなるように考えられています。

タービンのノズルには、2種類あります。
切り口が先のほうほど小さくなっているものを、先細ノズルと言います。

また、入り口から少し入ったところがいちばん細く吹き出す口が広がっているものを末広ノズルと言います。

ボイラでできた高い圧力の蒸気は、ノズルを通るとき圧力と温度が下がります。
そのかわり、蒸気は、非常に速い速さになります。
圧力や熱の形になっていたエネルギーが、ここで運動のエネルギーにかわるのです。

実際のタービンではボイラからの蒸気は1秒間に30メートル以下の速さで、ノズルに入ります。
そして1秒間400~500メートルくらいの速さでノズルの出口から吹き出します。
これは、音よりも速い速さです。

タービンのはね車

このように速い速度の蒸気を吹き付けて、非常な速さでまわすのですからタービンの羽根車は、丈夫につくられています。
また、蒸気の力を、無駄なく回転力にかえるように、形が工夫されています。

羽根の切り口は、三日月のような形をしていて、くぼんだ側に蒸気がぶつかります。
羽根車は、この力でまわされるのです。

このようなしくみのものを、衝動タービンと言います。

このうち、羽根車が1つのタービンを単式衝動タービンと言い1分間に6000回から8000回まわり、200馬力くらいのものがつくられています。

これにたいして、羽根車を多く用いるものを、多段式衝動タービンと言います。
これは、発電所用などに、大きな馬力のものがつくられています。

多段式では、羽根車のあいだに、ノズルになる蒸気の通り道があります。

蒸気は、ノズルの通るごとに圧力が減って、最後の羽根車かでたのちには復水器の圧力まで下がって復水器に入ります。

このようにすれば、蒸気のもっているエネルギーを充分に取り出して羽根車の回転にかえることができます。
また、回転の速さも、あまり速すぎないものがつくれます。

このようなタービンは火力発電所で発電機をまわすためや船のスクリューをまわすために多く使われています。



反動タービン

衝動タービンのほかにも、少し違ったしくみで動く蒸気タービンがあります。

これは、蒸気が勢いよくぶつかる力ではなく蒸気が羽根のあいだを流れるときにできる力を利用して、羽根車をまわすのです。

このとき、蒸気は圧力が減って速くなって出ていくのでその反動で、羽根がけるようにまわされるのです。

このしくみでは、羽根を何列にもならべ、羽根の列と列のあいだに蒸気の流れる方向をかえる、案内ばねがおかれています。

そして、これは外側のケーシング(車室)に固定されています。
まわるほうのばねも案内ばねも切り口は、への宇のような形をしています。

このようなタービンを反動タービンと言います。
衝動タービンにくらべて、かなり低い回転につくれるので船のスクリューをまわすのに都合がよいのです。

それで、船に多く使われています。

反動タービンは、圧力があまり高い蒸気を使うのは、よくありません。
それで、はじめに、衝動タービンを使い、そこで圧力の下がった蒸気をこのタービンに通すようにしたものもあります。

蒸気タービンには高い温度と強い力を受けてもびくともしない金属が用いられています。

近頃では、このような金属がたいへん進歩したのでタービンにも、ますます高温度・高圧力の過熱蒸気が用いられるようになりました。

現在、火力発電所などでは556℃で169気圧の過熱蒸気を用いる大動力のタービンが使われています。

また、アメリカでは、650℃・350気圧のタービンまであらわれています。
そして、熱効率も40パーセントを越えるものもできています。

そのほか、非常に小さいタービンには蒸気機関車のボイラの上におかれて発電機をまわし、ヘッドライト用の電気を起こすものもあります。




ボイラの種類による特徴としくみとは? わかりやすく解説!

ボイラのいろいろ

大きさの折り合いに、強い力を出す蒸気機関をつくるにはまず、高い圧力の蒸気をつくらなければなりません。

蒸気をつくるためには、いろいろなボイラが工夫されています。

ボイラは、燃料から出た熱をできるだけたくさん水に伝えるようなしくみでなければなりません。


横がまと縦がま

このボイラは、かんたんなしくみで、おもに小さな工場で使われています。
工場用の横がまは、ふつう10気圧まで、縦がまは6気圧までの蒸気をつくります。

また、蒸気機関をすえた船ではどう体の直径が大きく、奥行の短い船用がまが使われます。
これは、20気圧くらいまでの蒸気をつくります。

これらのボイラは、燃料を燃やす部分の炉と、水の入った部分とにわかれます。
炉のたき口の底には、火ごうしがあります。
この火ごうしの上に、たき口から石炭を投げこんで、燃やすのです。

水管式ボイラ

このボイラは、中にたくさんの管があって水が管の中を通り、燃料が燃えて出来た炎や、熱い気体は管のあいだを通ります。

このような管を使うと熱が伝わる面積が非常に大きくなり熱を無駄なく水に伝えることができます。

はたらきのよい水管式ボイラでは、燃料を燃やしてできる熱のうち90パーセントくらいまでを、水に伝えることができるほどです。

そして30気圧以上の圧力の蒸気をつくることができます。
発電所などでは100気圧以上もある蒸気をつくるボイラがあります。

燃料には、細かい石炭(粉炭)やさらに細かく砕いた微粉炭、重油、原油などが用いられます。
重油や原油を燃やすときには、バーナーという燃焼装置を用います。

燃料をよく燃やすためには、空気(酸素)が必要ですので高い煙突をたて、その通風力を利用したり、送風機で空気を送りこんだりします。



飽和蒸気と過熱蒸気

ボイラの中では、水が湧きたって、蒸気がいっぱいになっています。
このとき、水と蒸気は、同じ温度になっています。
そして、この温度は、圧力によって決まります。

このような蒸気を、飽和蒸気と言います。
高い温度の飽和蒸気は、圧力も高くなります。

温度100度の飽和蒸気の圧力は、1気圧ですが150度の飽和蒸気は5気圧になります。
さらに、温度を上げていくと、ボイラの中の蒸気の圧力もどんどん上がります。
そして、360度では約190気圧になります。

このような飽和蒸気の温度と圧力の関係は実験でくわしく測定され、蒸気表として発表されています。

つぎに、飽和蒸気だけを取り出して熱すれば圧力をそのままで、いくらでも高い温度にすることができます。
このように、高い温度の蒸気を過熱蒸気と言い、熱するしくみを過熱器と言います。

飽和蒸気は、温度が少しでも下がると、すぐ水になってしまいます。
それで、飽和蒸気を使った蒸気機関のなかには、水がたまりやすくなります。
しかし、過熱蒸気を使えば、このようなことは起こらず、熱効率もよくなります。

そのため水管式ボイラには必ず過熱器が取り付けてあります。




蒸気機関が進んだしくみと流れとは? わかりやすく解説!

進んだ蒸気機関

図を見て考えてください。

いままで述べた蒸気機関では、ピストンを動かして水あげポンプをはたらかせる力は蒸気機関のピストンが下がるときに出る力でした。

しかも、この蒸気機関のピストンを下げる力は、大気の圧力なのです。

この場合、復水器でどんなに圧力を下げても、大気には一気圧の力しかありません。

これでは、出せる力にかぎりがあります。


そこでワットは、この機関を改良してピストンを上げるにも下げるにも蒸気の力を使う仕組みをつくりました。

これなら、高い圧力の蒸気を使えば、小さなピストンの機関で大きな力を出すことができます。

ボイラから送られた蒸気が、ピストンをいっぱいに押し上げると図の①の弁が閉まって、こんどは②の弁が開きます。

すると、こんどは、蒸気が上からピストンを押します。

このとき③の弁が開いて、下側の蒸気は復水器へ流れ、圧力が減ります。
それで、ピストンは強い力で下がるのです。
これを繰り返して、ピストンは往復運動をします。

この往復運動に、ピストンロットでシリンダの外に取り出され、クランクで回転運動にかえられます。

この蒸気機関ができて、はじめて人間は動力を自由に利用することができるようになったといえるでしょう。

蒸気機関は風車や水車と違って、どこでも必要な場所に据え付ければ動力をつくりだしてくれます。



そのため、鉱山や紡績のほか、あらゆる動力に使われるようになりました。
そして、産業革命を起こし、人間の暮らしを大きくかえてしまったのです。

ワットが、蒸気機関をつくってからのちも、いろいろな改良がおこなわれました。
また、用途も広くなりました。

イギリスのスチブンソンはいまの蒸気機関車のもとになった機関車をつくって列車を走らせました。
アメリカのフルトンは、はじめて船に蒸気機関をすえつけて、汽船をつくりました。

また、シリンダを1つではなしに、2つも3つも用いる機関も考えられました。
まず、高い圧力の蒸気を、小さなシリンダに入れて、ピストンを動かします。

シリンダからでてきた蒸気は、体積が増えて圧力が下がっています。
けれども、まだピストンを動かす力はもっているのでこれをもういちど、大きいシリンダに送ってやるのです。

これを、2回膨張機関と言います。

さらに高い圧力の蒸気を使ったものではもういちど、もっと大きなシリンダに送る場合もあります。
これは、3回膨張機関と言われ、船に用いられています。

しかし、どのような蒸気機関にしてもおおもとのしくみは、ワットのものとほとんどかわりがありません。

そのほか、復水器は、シリンダから出てくる蒸気を冷やして水にかえすとともに中の圧力を真空に近い状態に保っている大きな箱です。

これは、大きな蒸気機関や蒸気タービンには、必ず用いられています。
復水器を使うと高い圧力にまで蒸気を膨張させることができるので熱効率が高くなるのです。




ピストンとシリンダとは?ボイラのしくみとは? わかりやすく解説!

蒸気の圧力

水を熱すると、圧力の高い蒸気になって吹き出します。
ここで、蒸気の圧力について実験をしてみましょう。


実験

まず、四角でうすいドロップの缶を用意します。
この缶に試験管半分くらいの水を入れて、コルクで栓をします。

缶をアルコールランプか、ガスの炎で熱すると、まもなく中の水が沸騰します。水は蒸気になると体積が非常に増えます。
 
けれども、この蒸気は、逃げ道がないので、缶の中に押し詰められます。
そして圧力の高い蒸気ができ、しまいには、勢いよく、コルクの栓を吹き飛ばします。

水を入れすぎると、このときいっしょに熱い水を吹き飛ばすことがあるので、注意しましょう。

ピストンとシリンダ

つぎに、下の図のように、まるい筒の中に水を入れそれを上からピストンがふさいでいるしくみを考えてみます。

このまるい筒をシリンダと言います。
シリンダを底から火で熱すると中の水が沸騰して水蒸気となりその圧力がピストンを押し上げます。

このとき、火をのけてやると、蒸気は冷えて水にもどるのでピストンの下側は圧力が小さくなります。

すると、ピストンの上からはたらいている大気の圧力がピストンを押し下げます。

このピストンにひもをつけておいて仕事をさせるしくみをはじめて考えたのはフランス人のドニ=パパンでした。
 

ボイラ

こんどは、シリンダの中で蒸気をつくらないで外から圧力の高い蒸気を送りこんでみます。

これでも、ピストンを押し上げることはできるはずです。
このとき、蒸気をつくるしくみを、ボイラと言います。

まず、ボイラからパイプを通して、シリンダに蒸気を送ります。
ピストンが押し上げられると、こんどはシリンダに冷たい水を送りこんでやります。

すると、この水のため、シリンダの中の蒸気が冷えて水になり体積が減って圧力が下がるので、ピストンも下がります。

図は、このしくみをしめしたものです。
①の弁をあけると、シリンダに蒸気が入ります。
①をしめ、②をあけると、水が入ってシリンダが下がります。

1717年、イギリスのトーマス=セイバリはこのようなボイラのある蒸気機関をつくりました。

これは、1718年ころから、実際に使われました。

また、そのころニューコメンはセイバリのものよりさらに進んだ蒸気機関をつくりました。
これは、鉱山の水あげにさかんに使われました。

しかし、このような蒸気機関では、シリンダに厚い蒸気を入れそれを冷やし、また熱い蒸気を入れるということをくりかえさなければなりません。

このため、熱がたいへん無駄になります。



熱のエネルギーのうち、どれだけが仕事にかわるか、その割合を熱効率と言います。
このような蒸気機関は、熱効率が非常に低いのです。

そこで、ジェームズ=ワットは、1769年にこれを改良しました。

蒸気をシリンダの中で直接水にもどすのをやめて別に復水器というものをつけたのです。

この蒸気機関では、シリンダの中の蒸気は、パイプで復水器の中を通されここで冷たい水によって冷やされます。

すると、復水器の中の圧力が低くなり、シリンダの中の圧力も減るので大気の圧力によって、ピストンが押し下げられます。

蒸気機関のしくみは、ポンプによく似ているのに気がつくでしょう。

ポンプでは、外から力を加えて、水や空気を動かしました。
反対に蒸気機関では、蒸気の力が、ピストンを動かすようにできています。

また、ポンプでは弁があって水や空気を手順よく送っていくはたらきをしていました。蒸気機関でも、これは同じです。

つまり、ボイラからシリンダヘ蒸気を送るときにはシリンダから復水器へつながる弁は閉めておきます。

また、シリンダから復水器へ蒸気を通す場合にはボイラのほうの弁は、しめておきます。

復水器に水がたまって、これを流しだすときにはシリンダと復水器のあいだの弁を閉めておきます。

はじめは、人間が手でこれらの弁を開けたり閉めたりしていました。
しかし、まもなくピストンの往復運動を利用して弁を機械的に動かすようになりました。




風車のしくみとは?水車のしくみと種類とは? わかりやすく解説!

風車

風車の種類にもいろいろあって、羽根の枚数がオランダ風車と言われるものは4枚、アメリカ風車と言われるものは20~30枚、プロペラ型は2~6枚、ハラディー型は60~70枚の羽根を持っています。

また、材料も、布でできたものや木・金属でできたものがあります。

羽根も開いたものや、真ん中がくぼんだものなどがあります。

ところが、風は私たちの力で起こさせるものでなく、自然の仕業です。
また、風向きもかわったりします。
この場合、風車は、風の向きと垂直になっていないと、うまくまわりません。

そこで、風車は自由に方向がかえられるようなしくみになっています。

風車の図をごらんなさい。この風車は、風にあたると、羽根車がまわります。

そして、この力が車軸をまわして、下のポンプを押しタンクに水をくみ上げる仕組みになっています。

また、方向をかえるために、うしろに大きな羽根がついています。

風車は、風向や風速がかわるので、いつも一定の力でまわることができません。
このため、風車の動力は、ときどき休んでもよいような仕事に使われます。
また、この動力を電気にかえて、蓄電池にためて使う方法もあります。

日本の農家でも、水のくみあげなどによく風車が使われましたが、いまでは、あまり使われていません。

オランダでは海面より低い陸地に入ってきた海水や川の水をくみだすために風車がよく使われました。

また、粉などをひく動力としても、風車が利用されてきました。


水車

風車と同じように、自然の力をうまく利用したものに、水車があります。

田舎の小川のほとりなどで、ときどき水車を見かけることがあります。
この水車は、大きな車のまわりに、たくさんの水うけ板をつけてここに水をあててまわす仕組みになっています。

このような水車は、仕組みの違いから、上がけ水車と下がけ水車とにわけられます。

水車には、このほか、水力発電用として広く使われているものがあります。
これは、水タービンとも呼ばれ、ペルトン水車・フランシス水車・カプラン水車などの種類があります。

上がけ水車

小川の水を、といをつけたりして水車の真上に導きます。
流れ落ちる水は、水車の水うけにたまり、その水の重さで水車がまわります。

上がけ水車は、水の量があまり多くなくても流れが急で水車までかんたんに水をひけるような場合に、多く使われます。

下がけ水車

この水車は、小川を流れる水の力をそのまま利用して、水車をまわすようになっています。

そのため、水の量が多いところで使われます。

しかし、このような水車では水の力をうまく使えず大きい割合に出力が小さいという欠点があります。



ペルトン水車

アメリカのペルトンという人が、1870年に考えた、能率のよい水車です。
この水車は水車のはねが、お椀のような形をしています。

水を細い穴(ノズル)からふきださせ、水を残らず羽根にぶつけます。

すると水車の羽根がお椀のような形をしているのでぶつかった水が後戻りするように跳ね返され、水の力を無駄なく使うことができます。

ペルトン水車は、水を落とす高さ(落差)が高く水の量が比較的少ないところで使われます。

フランシス水車

この水車は、図のように、案内ばね(動かない羽根)と回転ばね(くるくるまわる羽根)の2種の羽根からできています。

上の図は、羽根のところを横から切った図です。
これを見るとわかるように、水は案内ばねの外から入ります。

そして、案内ばねに導かれた水は、勢いよく回転ばねにぶつかって水車をまわし、下に落ちるしくみになっています。

また、この水車に水を導くにはうずまきのように曲がったパイプ(うずまきケーシング)が使われます。

水車をまわし終わった水は下においている大きな穴(吸い出し管)から出ていくようになっています。

この水車は、落差が大きいところでも、小さいところでも使われます。
日本の水力発電所では、この形の水車がいちばん多く使われています。

カプラン水車

この水車は、船のスクリューの形をしていて、効率よく水車をまわすため回転ばねの角度が、流れる水の量に応じて、かえられるようになっています。

フランシス水車と同じように、うずまきケーシングを通って流れてきた水は案内ばねを通ってから回転ばねをまわします。

カプラン水車は落差が10~40メートルくらいの小さい落差で水の量が多いところで使われます。




飛行機の翼にはたらく力とは? わかりやすく解説!

流れに対してななめにおいた板

川の流れや空気の流れの中に、流れに平行に板をおくと板は流れからそれほど力を受けません。

ところが、流れに対してななめに板をおくと流れの方向に押し流されようとしますが板の面に、垂直の力を受けます。

図のように、水の流れに対して、ななめに板をおいた場合を考えてみましょう。

板の面には、垂直に力がかかるので、板にはABという力がはたらきます。

この力を平行四辺形の法則によって流れの方向の力ADとADと直角の方向のACという力に分解してみます。

ADの力は、水の流れの方向ですから、板を押し流すようにはたらきます。
それから、ACは、板を上のほうに持ち上げるようにはたらきます。

ABは、流れが速いほど、また、板が流れに対して直角に近いほど大きくなりますが、板が、流れに対して45度以上になると、ACの力は小さくなります。

船のかじや、飛行機の主翼やかじにはたらく力も、これと同じことが言えます。


飛行機の翼にはたらく力

グライダーでも飛行機でも、重さがありますからこの重さをどのように支えて空中に浮かばせるかということが、まず問題です。

飛行機を、空中に浮かばせるはたらきをするのは、主翼です。
主翼は、風が下からあたるように、まえが少し高く取り付けてあります。
この主翼の傾きを、迎え角と言います。

むかえ角をつけた主翼に、風があたるときは、ちょうど、水の流れに対してななめにおいた板と、同じように力がはたらきます。

たとえば、左の図①で、空気の流れの方向をGAとすると主翼にはGBという力がはたらきます。

そしてこの力は、空気の流れの方向の力GAと空気の流れに直角な方向の力GCとに分解することができます。

このGCという力が、飛行機が浮き上がる力としてはたらきます。
この力と飛行機の重さがつりあうと、飛行機は空中に浮かんでいることができます。

したがって、飛行機が浮きたがる力が飛行機の重さより大きいとしだいに飛行機は浮き上がり、反対に、飛行機の重さより小さいと下がっていきます。

また、飛行機が浮き上がるために主翼が、つぎのようなはたらきをすることも大切です。

主製の断面は、上の図の②のように、上側のまるみが大きくしてあります。
このため、主翼につきあたった空気は主翼のまえのふちで上と下の2つにわけられます。

このとき、上の空気の流れは、下の空気の流れよりも速くなります。

すると、流れが速いほど、まわりが受ける圧力は小さくなるので主翼の上側の空気の圧力が減り、下側の空気の圧力が増えてきます。

その結果、主翼の上と下とでは、圧力の差ができます。
そのため、主翼を上に持ち上げようとする力がはたらきます。
この作用は、飛行機の速さが大きいほど、大きくなります。

このことを、つぎの実験で確かめてみましょう。



実験1

スプーンを指先で軽く持ちその裏側を水道の水の流れに触れさせます。
すると、スプーンは流れに吸い寄せられて、はなれにくくなります。

スプーンの裏側は、ふくらんでいますからスプーンにそって流れる水は、この部分が速さを増します。
このため、水の圧力が減り、スプーンが水の流に吸いよせられるのです。

実験2

2枚の紙を、上の写真のようにならべてたらし、そのあいだを強く吹いてみます。
すると、2枚の紙は、互いに吸いつくようになります。

これは、紙のあいだを空気が速く流れるため内側で紙を押す空気の圧力が外側の圧力より小さくなるからです。

水や空気のようなものに、このように速さが増すと圧力が減るという性質があります。

実験3

画用紙で、図のように、翼と同じような形をつくります。
これに、きっちりと麦わらをはめこみ、麦わらに針金を通して台の上に立てます。

できあがったら、うちわで、まえから風を送ってみます。
すると、画用紙はどんどん上に上がっていきます。

これも、まえの実験と同じ原理です。翼の上面の空気の速さが増して圧力が下がり、下側の空気の速さが減って圧力が増えたため上に押し上げられるのです。




流れから受ける力とは?流れの速さと抵抗とは? わかりやすく解説!

流れが緩いときの抵抗

川の水の流れによって橋脚が受ける力や、風によって電柱や人体が受ける力は水や空気の流れる速さに比例して、大きくなります。

このほか、物体の形や流れる水や空気の摩擦にも関係します。


水や空気には、摩擦がなさそうに見えますが、つぎのような実験をしてみると、摩擦のあることがよくわかります。

バケツに水を入れて速く回転させてみます。
すると、はじめ静止していた水が、しだいに回転しはじめて中央部か低く、外側が高くなります。

これは、まず、いちばん外側の水が、バケツとのあいだの摩擦でバケツの回転につれて動きはじめ、つぎに少し内側の水がはじめに動きだした水との摩擦で動きます。

こうして、つぎつぎに内側のほうへ運動がうつっていき全体がバケツと同じ速さで回転するのです。

このように、水や空気には摩擦があってその中を動く物体の運動を、さまたげる力となります。
したがって、摩擦が大きいほど、物体の受ける抵抗は大きくなるわけです。

ゆっくり流れている水の中に、円柱をおいたときにも、同じことが言えます。
円柱の近くを流れる水は円柱にそって1周りし、その後は、いちように流れていきます。

この場合、円柱をとりまいている、ごくうすい水の層は円柱の表面にくっついていますから、円柱とともに止まっていると考えられます。

その外側のうすい層は、小さい速さで流れ、さらにその外側のうすいのはそれよりやや大きい速さで流れています。

こうして、水の各川のあいだに摩擦がはたらき、もっとも内側にあって円柱に触れている層にも、流れの方向に摩擦力がはたらきます。

この力が、円柱を押し流す力となり、その大きさは、流れの速さに比例しています。

また、球を緩い流れの水の中につるしたとき球が流れから受ける力は球の半径が大きくなれば半径に比例して大きくなります。

流れが速いときの抵抗

暴風や、水が速く流れているときの抵抗は、まえよりも複雑になります。

いま、速い流れの水に、円柱をおいたとするとまえの場合と違って円柱のうしろに、うずができます。
このことは、川の中に建っているくいや、橋脚などのうしろによく見かけます。

円柱のうしろにうずができると、円柱の前面にはたらく圧力はうしろ側にはたらく圧力より大きくなります。
そのため、円柱は、流れの方向に、押し流されようとします。

このような場合の抵抗は流れの速度の2乗と流れる空気や水の密度と流れの方向から見た物体の断面積をかけた値に比例します。

また、抵抗を受ける物体の形にも関係します。

そこで、船や飛行機などのように高速度で水や空気の中を運動する物体は流れの方向から見た断面積を小さくすることとうずのできないような形にする研究が、大切になります。



船の形と流線形

船の形は、2つの角度から考えねばなりません。
その1つは、荷を積んだときや傾いたとき船が転覆しないようにすることです。

もう1つは、水の抵抗を、できるだけ小さくすることです。
ここでは、水の抵抗の面からだけ、考えてみましょう。

水の抵抗を小さくする研究に、よいヒントをあたえてくれるのは、魚の形です。

魚にも、いろいろの形かわりますがだいたいは、ぼうすい形をしています。

このことは、気流や水流を使って、いろいろの方法で研究されました。
図は、その結果をしめしたもので、5と6のような形を、流線形と言います。

船の形を流線形にしておくと、大きな速度で水中か走っても、そのうしろにできるうずが、非常に少なくなり、水の抵抗を小さくすることができます。

したがって、船を進める力の無駄がなくなりそれだけ、速度を増すことができるわけです。

船ばかりでなく、飛行機・高速電車・自動車などの形もできるだけ流線形になるように、設計されています。

雨粒の落ちる速度

雨粒が落ちるときは、ふつうの落下運動のように重力によって等加速度運動をします。

ことに雨粒は、非常に高いところから落ちはじめるのでもし空気の抵抗がないとすれば地上に着くときには非常に大きな速度になっているはずです。

ところが、雨粒が落ちはじめると、速度が増すにしたがって抵抗もしだいに大きくなり、ある速度になると抵抗が重力とつりあうようになります。

それ以後は速度が増さないので抵抗も増さずそのままの速度で等速運動をすることになります。




振動のふせぎ方とは?ばねの利用、オイルダンパ・空気ばねとは?

ばねの利用

振動は、時計の振動のように、いろいろ役に立つことに利用されています。

しかし、いっぽうでは自転車・自動車・電車などの振動のように私たちの役に立たないばかりか、かえって邪魔になる振動もあります。

電車などの車輪の部分には板ばねやつるまきばねがところどころに取り付けてあります。

これは、車体の振動の振幅をばねの弾力よってできるだけ小さくして、乗り心地をよくするためです。


オイルダンパ

板ばねやつるまきばねだけでは電車や自動車が受ける衝撃の力や振動を小さくするのに充分ではないので、オイルダンパが工夫されました。

これは、衝撃や振動のエネルギーを、熱エネルギーにかえて油(オイル)に吸収させ、外部に熱として発散させるものです。

客車などの台車に使われているものは、ピストン型とよばれるものです。

これは、油をつめたシリンダ(円筒)の中に小さい穴のあるピストンを入れたものでビストン棒は車体を支えているはり(ゆれまくら)につながっています。

シリンダは、内側と外側と二重になっていて小さい穴でつながっています。

この場合、一定の容積の中にピストン棒が入るのでそれに相当する容積の油を外側のシリンダへ逃がします。

このとき、油と小さい穴とで起こる摩擦によって電車などの車体の振動を弱めているのです。

空気ばね

空気ばねは、圧縮した空気を、ゴムのふくろ(ゴムペローズ)に入れ空気の弾力を利用して振動を弱める仕掛けになっています。

自転車などのタイヤも、空気ばねの一種と言えましょう。

バスに使われている空気ばねは、ばねをやわらかくするほか車体の重さを一定に保つ装置が、取り付けられています。

上の図は、その仕組みをしめしたものです。

ゴムベローズは、補助空父室とレベリングバルブにつながっています。
補助空気室はベローズが伸びたり縮んだりするときベローズ内の圧力の変化をやわらげて、ばねをやわらかくする役目をします。

いま、車体に重みがかかってベローズが縮むとレベリングバルブが、車体といっしょに下に沈みます。

すると、連結棒が、レベリングバルブの回転腕を押し上げ空気だめの空気をベローズの中へ流す通路をあけます。

そこで、ベローズの中の圧力が高くなって、車体を持ち上げます。
車体が、ある高さまであがると、レベリングバルブの回転腕は水平になり空気の通路がふさがれて、車体の上がるのが止まります。

車体が軽くなると、車体が浮き上がり、レベリングバルブの回転腕が下がります。

排気の穴が開かれて、ベローズの中の空気が外に吐き出され一定の高さのところまで、車体が下がって止まります。




振動の利用とその例と特徴とは? わかりやすく解説!

ふりこ時計

ふりこ時計は、ふりこの等時性を利用して、時間を測る機械です。
これを動かすエネルギーは帯のような鋼でつくったぜんまいに、たくわえられています。


ふりこの運動は、空気などの抵抗によって、しだいに弱まろうとします。
このとき、ぜんまいにたくわえられたエネルギーが少しずつふりこにあたえられて、振動が続くのです。

ぜんまいは、その弾力によって、たえずもどろうとしています。
この力に、いくつかの歯車によって、がんぎ車に伝わっていきます。
ぜんまいのもどる速さを調節するのが、アンクルです。

アンクルは、ふりこが一定の周期で左右にふれるたびにがんぎ車の溝にくいこみます。

そのため、ぜんまいは一定の速さでもどりこれにつながる歯車を一定の速さで回転させるのです。

歯車は、動力を伝えるほかに、回転数をかえるはたらきもします。
かみあった2つの歯車の回転数は、その歯数に反比例します。

たとえば、歯数の割合が、1対2の歯車を組み合わせると大きいほうの歯車の回転数は小さいほうの歯車の2分の1になります。

この考えから、時計の長針と短針をまわす仕組みを調べてみましょう。

時計の針は、長針が1回転するうちに、短針が12分の1回転しなければなりません。
それには、長針と短針をまわす歯車の歯数を、1対12の割合にすればよいわけです。

しかし、実際には1対12の割合の歯車を、いちどにかみあわせないでいくつかの歯車を使って、少しずつ回転数をかえ全体として1対12の割合になるように、工夫されています。

図は文字板の裏にあって、長針の12分の1の回転数で、短針をまわす仕組みです。
これを、日のうら装置と言います。

長針のついている三番車は、1時間に1回転します。
この軸は、中心割カナという、小さな歯車が固定されてして日のうら歯車という大きな歯車とかみあっています。

日のうらカナという小さな歯車は、大きな時針歯車とかみあっています。
時針歯車の軸には、短針がついていて、三番車の軸に、ゆるくはまっています。



ふりこ電気時計

電磁石を使って、ふりこをふらせる時計をふりこ電気時計と言います。

この時計は、ふりこの重りが、磁石になっています。
この磁石が、コイルの中を通れるようにし、コイルには乾電池から電流を通し磁石のはたらきをさせてあります。

ふりこ電気時計は、この2つの磁石の引力によってふりこをふらせるので、ふつうの柱時計のように、ねじをまく心要がありません。

しかし、1年ぐらいで、乾電池を取り換えなければなりません。

また、ふりこの周期にあわせて電流のスイッチが切れたり入ったりするので重りの磁石がコイルの磁石に吸い込まれたままにならないように工夫してあります。

腕時計・置時計

腕時計や、置時計も、針を動かす動力に、ぜんまいが使われていてがんぎ車・アンクル・歯車・指針などが組み合わされています。

ただ、腕時計や置時計には、ふりこのかわりに、テンプが使われています。
しかし、針を動かす仕組みは、ふりこ時計と同じです。

テンプは、図のように、大きな金属の輪と、細いひげぜんまいからできています。
このテンプを、少しまわしてはなすと、ひげぜんまいの力で、勢いよくもどります。

しかし、その勢いで、もとの位置を行き過ぎてしまいます。
そして、またもどり、また行き過ぎます。
こうして、左から右、右から左と、往復の回転迎動を繰り返します。

テンプも、ふりこと同じように、1往復する時間が決まっています。
ふりこの場合は、周期はふりこの長さで決まりましたが、テンプの周期はひげぜんまいの長さで決まります。

ひげぜんまいが長くなれば、テンプはゆっくり動き、短くなれば、速く動きます。

したがって、テンプは、ふりこがふれるのと、同じはたらきをしています。
テンプが一往復するたびに、がんぎ車が一歯ずつ動く仕組みは、ふりこ時計と同じです。

テンプの振動は、外から力を加えてやらなければしだいに弱まり、しまいに止まってしまいます。

がんぎ車やアンクルは、ぜんまいの力をテンプに伝えて振動を続けさせる役目をしています。

これも、ふりこ時計の場合と、全く同じです。腕時計の中に自動まき腕時計というのがあります。

これは、指先でねじをまくかわりに手を動かすことによって起こる振動を利用して、ねじが自然にまけるように工夫してあります。

自動まき腕時計の内部は、いつも、下にくる重りがありその重りを手の振動で動かし、このわずかの力を利用してねじをまくしくみになっています。




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