天文台は、天体を観測するところでこの観測結果を用い、宇宙の有様を研究しています。
暦の計算や報時のように、私たちの暮らしに関係の深いしごとをするのは、天文台の大切な役目です。
しかし、天文台のしごとは、これだけではありません。
太陽・月・星などの有様を休みなく観測しまだまだたくさんある宇宙の謎を解くために天文学者たちは、いろいろ苦心しています。
このように、私たちの暮らしとは、直接関係のうすいしごともこつこつと毎日続けられているのです。
世界には、大きな天文台だけで、300ほどもあります。
このたくさんの天文台は、お互いに手をつなぎあって研究をすすめています。
天体の研究のためには、いろいろな国の大勢の人が、力をあわせなければならないからです。
太陽の研究
東京の天文台では、昼間、空か晴れているかぎりたえず太腸の観測をしています。
望遠鏡の焦点のところに、白紙をおき投影法によって、毎日、黒点の有様をスケッチしています。
白斑や紅えんは、分光太陽写真儀や分光太陽望遠鏡で写真をとりまた、爆発現象の起こるのを監視しています。
太陽のスペクトル(7色の虹模様)は塔望遠鏡を使って観測します。
これはシースロットを使い、太陽に光を地下室の中に導きその室内にある大きなプリズム分光器(切り口が三角形になったガラスの柱に光をあててその光をわける器械)や、回折格子(よく磨いた金属面、またはガラスの平面に1センチについて5000~7000本の細い線を等間隔にひいたもの)を使い、スペクトル写真をとります。
太陽のコロナは、日食のとき以外にもコロナグラフとにいう、特別なしかけで撮影します。
しかし、空かあまりすんでいなくてほこりの多いときには使えないので高山の頂上に観測所をおいています。
日本では、北アルプスの乗鞍岳に東京天文台のコロナ観測所があり1年中、コロナの形・明るさ・コロナの出すスペクトル線などの研究を続けています。
月と星の研究
東京天文台にある65センチ望遠鏡は屈折型としては、日本でいちばん大きなものです。
筒の後ろのほうに写真かん板・をおき、天体写真を撮ることができます。
これで、月や惑星の表面の模様を研究しまた、衛星で、小惑星・彗星などの位置を決めることができます。
また、焦点のところに光電管(光を電気にかえる真空管)をおき星の明るさを決めることができ、変光星の明るさの変化を調べ星の明るさの研究から、正しい距離を決めたりします。
また、月の後ろに星が隠されるえんべい現象を観測し月の動きの詳しい研究をします。
恒星・惑星・月などの位置を詳しく調べるには子午環や子午儀を使います。
岡山天体物理観測所
1960年に岡山県の鴨方町にある竹林寺山に建設された天文台は岡山天体物理観測所という名前です。
ここでは主に、恒星のいろいろな性質を研究しています。
この観測町には、口径188センチと口径91センチの大小2個の望遠鏡があります。
大きいほうの望遠鏡は、焦点にかん板をおき月・惑星・星雲などの写真を撮ることができますがまた分光器を使って、星のスペクトルの写真を撮ることもできます。
星のスペクトルには、何本もの細い黒線があらわれます。
この線のあらわれかたを調べると星がどのような元素からできているかがわかります。
また、温度や圧力はどのくらいか星の表面では、ガスがどのような動きをしているかということがよくわかるのです。
このように、分光器を使った観測は、星の世界の有様を調べるのにいちばん大事なしごとです。
小さいほうの望遠鏡には、焦点のところに光電管をつけ反射鏡によって集められた星の光を電気にかえ電流の強さによって、星の明るさを調べるのです。
この2つの望遠鏡は、夜の観測だけをおこない昼間はドーム(まる屋根)いし、太陽の熱が室内に入るのをふせぎます。
夜、星を観測するときに室内と室外の温度があまり違うと器械や反射鏡の表面の状態がかわったり、まわりの空気が揺れて拡大された星の像がぼやけたりします。
星がまたたくのは地球をとりまく空気の揺らぎによっておこるのですがこのため、星の像もぼやけます。
せっかく、性能のよい望遠鏡を使っても途中の空気によって、性能が落ちては困ります。
天文台が岡山に建てられたのは晴れた夜が多いというほかに空気の揺らぎが少なく、はっきりした星の像が見られるからです。
時刻を決める
正しい時刻を決めるには写真天頂筒を使い、天頂を通る星を監視します。
これで、天文台で動かしている水晶時計や原子時計のすすみや遅れを監視しています。
このようにして決められた正しい時刻は分秒報時という短波放送で、世界中に伝えられます。
また、ラジオの時報によって、私たちの家庭にまで伝えられるのです。
暦をつくるしごと
暦は、私たちの生活に深い関係があります。この暦のもとになる計算をするのが、天文台です。
天文台では太陽・月・惑星の見える位置、日の出・日の入り、月の出・月の入りの時刻、春分・夏至・秋分・冬至・日食・月食の起こる様子などを、くわしく計算します。
この計算は、毎年、暦象年表というかたちで本になっています。
カレンダーなど私たちが日常に使う暦は、みなこの本をもとにしています。