葉のつくり
葉は、でんぷんなどの養分をつくったり、呼吸をしたり体の水分を調節したりするなど、大切なはたらきをしています。
また、このほかに、形をかえてさまざまなはたらきをしています。
このようなはたらきをする葉は、どんな形やつくりをしているでしょうか。
葉は、葉身・葉柄・たく葉(そえ葉)の3つの部分からできています。
たとえば、サクラの葉をとってみると平たい葉のおもな部分が葉身で葉の柄のところが葉柄です。
そして、たく葉というのは葉柄の根もとにある小さな2枚の葉のことです。
たく葉は、たいていのものにありますが、これをもっていない植物や、あってもはやく落ちるので目立たないものもたくさんあります。
表皮
葉を横切りにしてみると、葉のいちばん外側に、うすい表皮があるのがわかります。
この表皮に囲まれた中の部分を葉肉と言います。
表皮は、一層の細胞からなり外側の細胞膜は、内側のよりも厚くなっています。
この表皮の外側が、カシやシイなどの葉のように、とくに硬くなったものをクチクラ(角皮)と言います。
また、この細胞膜にろうがふくまれているとツバキの葉のように、硬くて、つやのある葉になります。
この表皮の細胞には、葉緑体はふくまれていません。
気孔
たいていの植物では、葉の裏側の表皮のところどころに気孔という穴があいています。
これは、呼吸や光合成のとき、酸素や二酸化炭素を出し入れしたり体の水分を水蒸気として外に出すところです。
この気孔の入り口には孔辺細胞という特別な形の、2つの細胞があります。
この孔辺細胞は、ふつうの表皮の細胞とは違って葉緑体をふくんでいます。
孔辺細胞は、水分が多くなってふくらむと、2つの細胞が外側に曲がり気孔を広げ、水蒸気が外に出やすいようになります。
水分が少なくなると、もとにもどって気孔を閉じ水蒸気が外にでないようになります。
このような気孔のはたらきによって葉の中の水分を調節することができるのです。
水孔
夏の朝などに、イネやタケなどの葉のふちに水玉がついていることがあります。
これは、葉のふちにある水孔という穴から出た水です。
水孔は、気孔に似た形をしていますが葉身のふちにあって、葉脈のはしに口をあけています。
そして、気孔とは違って口を開閉することはできません。
植物が、生活に必要な養分や水分を、根から吸収して茎の先端まで上げるためには葉から水を蒸散させなければならないのですが気孔が閉じているときには、気孔から水を蒸散させることができません。
こんなときは、葉脈を通して、水孔から液体のままで押し出すのです。
葉の内部
葉の内部を見ると上のほうに縦に細長い細胞がぎっしりつまっています。
下のほうになるにつれ、いろいろな形の細胞が網のめのようにつながり、隙間が多くなっていて、気孔を通して外の空気に通じています。
葉の内部の細胞は、みな葉緑体をもっていて、光合成をしています。
葉が緑色に見えるのは、この葉緑体のためです。
葉のすじ
葉のすじ(葉脈)は養分や水分の通り道で茎の維管束につながっています。
イネ・ササ・チゴユリのように、このすじが平行しているものを平行脈と言い、これは単子葉柆物の特徴の1つになっています。
バショウ・ショウガなどのように横の方向に平行しているものもあります。
また、すじが網のめのようになっているものを網状脈と言いキク・サクラ・ヒイラギなどに見られます。
葉ならび
葉が、茎につく様子を、葉ならび(葉序)と言います。
茎のふしに、葉が1枚ずつついているものを互生(アサガオ・ドクダミ・サクラ・テッポウユリなど)2枚ずつ向きあってついているものを対生(ハコベ・ナデシコなど)3枚以上の葉が、1つのふしについているものを輪生(ヤエムグラ・ツリガネノウ・クロモなど)と言います。
葉の形
葉は、植物の種類によってさまざまな形をしていますがふつうは1本の葉柄に1枚の葉(葉身)がついており、これを単葉と言います。
また、葉身いいくつかの小さな葉(小葉)にわかれているものを複葉と言います。
複葉でも、バラやサンショウのように、葉柄が羽根のように枝を出し、これに小葉がついているものを羽状複葉と言います。
アケビやトチノキのように葉柄の先に小葉がたくさんついて手のひらのようになったものは掌状複葉と言います。
また、葉のへりには、滑らかなものと、いろいろな形の切れ込みのあるものとがあります。
葉身の形も、マツのような針形、エンドウのような長円形、シュウカイドウのような心臓形、ニセアカシアなどのようなたまご形、スミレのようなさじ形など、さまざまなものがあります。
葉のかわったもの
葉には、特別なはたらきをするために姿をかえてしまったものがあります。
エンドウのまきひげ、サボテンのとげ、タケノコの皮などは、みな葉のかわったものです。
また、モウセンゴケ・タヌキモ・ムジナモ・ウツボカズラなどの食虫植物の葉は、小さな虫をとらえるために特別な形になり捕虫葉と言われています。
珍しい葉
食虫植物のウッボカズラの葉(捕虫葉)は、先がふくろになっています。
そして、その底に液体があって、中に入った虫は、この液体で溶かされ、養分にされてしまいます。
また、イシコロマツバギクは南アフリカの強い日光が直射する乾燥地にはえますが葉が水をたくわえてまるくなり表面が茶色で、まわりの小石と区別できないくらい、よく似ています。
ウェルウィッチアも、アフリカの砂漠にはえていて2枚のベルトのような葉をだしますが、この葉は年々生長して長さ2メートルくらいにまで伸び、100年以上も生きています。