静電誘導の性質と特徴とは? わかりやすく解説!

静電誘導

電気振り子や紙きれに、毛皮でこすったエボナイト棒を近づけるとなぜひきよせられるのでしょうか。

振り子や紙きれには、はじめ電気をあたえてなければまえに説明したように、+と-の電気が、同じ分量だけあります。


そして、+と-が組みになっておりどの部分も平均して電気をもっていないのと同じになっています。

ところがこれに、たとえば、摩擦して+の電気をもったガラス棒を近づけると振り子の中にある+の電気は、ガラスから遠ざけられる力を受けます。

いっぽう-の電気は、ひきつけられる力を受けます。
そして+と-の組みのならびかたが、図のようになって振り子のガラス棒に近い側には-がならび、遠い側には+がならびます。

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左はしと右はし以外のところは+と-がすぐそばにならんでいてお互いに打消しあって、電気がないのと同じです。

全体として右の図の(a)のようになっています。

ガラス棒の+と振り子の-とは引き合い、振り子の+とは退け合いますが引き合うほうが距離が近いので力が強く、振り子は、ガラス棒に吸いついていきます。

コルクの振り子に摩擦して-の電気をもっているエボナイト棒を近づけたときも左の(b)図のようになって、考え方は右の(a)図のときと同じです。

振り子を、アルミ箔のような金属でつくったときも同じような現象が見られますが、理由は少し違います。

金属も、+と-を同じ量だけもった原子から成り立っています。
だから、+と-が打消しあって、電気をもっていないのと同じです。

ただ、金属には、金属の中を自由に動きまわれる自由電子というのがあります。
電子は-の電気をもっています。

なにかの原因で、自由電子のいる場所に偏りができると自由電子がたくさん集まっている場所はほかよりは、-の電気が起こったようになります。

自由電子が少なくなった場所は、-の電気があまってほかよりは、+の電気が起こったようになります。

金属の近くに+の電気をもっているガラス棒をもってくると自由電子は、引き寄せられて、ガラス棒に近い側には-の電気が集まり遠い側には+の電気が集まります。

金属の中に、このような電気の偏りができたのは金属の近くに、電気をもったガラス棒をもってきたことが原因になっています。

ガラス棒を遠ざけると、自由電子を引き付ける原因がなくなったので金属はふたたび、電気をもたないような状態にもどります。

このように、電気を持ったものを近づけるだけで他の物体に電気が起こることを、静電誘導と言います。



実験

静電誘導によって起こってくる電気の種類は近づけた電気に近い側には、反対の種類の電気が集まり遠い側には、同じ種類の電気が集まることを確かめてみましょう。

毛布でこすったエボナイト棒を電気振り子にふれます。
振り子は、エボナイト棒から退けられます。

図のように、絹糸につるしてある分銅A・Bに近づけます。
(このとき、A・Bはよくふれあっているようにしておきます)BをAから遠ざけてから、エボナイト砂を取り去ります。

分銅Bをまえの電気振り子に近づけるとエボナイト棒と同じように、振り子を退けます。
分銅Aを近づけると、振り子はAに引き付けられます。

したがって、エボナイト棒に近かったAには反対の種類の電気が起こったことがわかります。

電池の無かった昔に、電気をたくさん起こすために、この静電誘導や利用しました。
中でも、ウィムズハーストの起電機は有名です。
また、摩擦電気をたくさん集めるものに、バン=デ=グラーフの誘導起電機があります。




摩擦電気の起こり方とは?物をこすって起こる電気とは?

物をこすって起こる電気

ビニルの下じきやものさしを手や布きれでこすると小さい紙きれを吸いつけるようになります。

こすり合わせたものが、軽いものを吸いつけることは紀元前500年ごろから知られていたと言われています。

このことが電気のはたらきによることがわかったのは、16世紀ごろです。
このように、摩擦によって起こる電気を、摩擦電気と言います。

こするものが湿っていたり、空気の湿度が高いときは摩擦電気が逃げてしまいやすいので摩擦電気が起こったことが、わかりにくくなります。

日本では、空気の乾燥している冬に摩擦電気の現象を身近に見ることができます。
くしで紙の毛をすいているとき、くしに摩擦電気が起こり紙の毛を吸いつけることがあります。

またナイロンなど合成繊維のシャツと、毛のセーターを重ねてきていると摩擦電気が起こって、パチパチという小さい音が聞こえることがあります。


電気振り子

細い絹糸に小さいコルク球や、発泡ポリスチレンの球などをつけた振り子をつくります。
この振り子を使って、摩擦電気の性質を調べることができます。

摩擦した物を球にくっつけると球は、摩擦した物からはじき飛ばされるようになります。

このように、電気振り子の球に近づけたとき球をひきつけたり、球をはじき飛ばすものは、電気をもっていることがわかります。

+の電気と-電気

摩擦電気は、ビニルやナイロンばかりでなくガラス・エボナイト・硫黄などにも起こります。

また、金属棒でも、エボナイトなど、電気を通さない物でえをつけておくと、摩擦電気が起こることを確かめることができます。

いろいろなものに起こった摩擦電気の性質を、電気振り子で調べてみましょう。

実験

エボナイト棒を毛皮でこすって摩擦電気をお越しエボナイト棒を電気振り子に近づけます。

振り子は、エボナイ卜棒にひきつけられ、しばらく棒にふれていますがやがて、エボナイト棒に退けられるようになります。

このようになった振り子の球はエボナイト棒にはけっして吸いつけられないで、逃げまわっています。

つぎに、絹の布で摩擦したガラス棒をこの球に近づけてみるとエボナイト棒に退けられていたのにこんどは、ガラス棒にひきよせられます。

しばらくの間、ガラス棒にふれていますがやがて、ガラス棒に退けられるようになります。

この球は、摩擦したエボナイト棒には、吸いよせられます。

この実験から、ガラスに起きた電気と、エボナイトに起きた電気とはどちらも電気振り子の球をひきつける性質をもっているけれども何か違いのあることがわかります。

そこで、ガラスに起きた電気を+(正の電気)エボナイトに起きた電気を-(負の電気)と約束しています。

エボナイトとガラスだけでなくビニル・ナイロン・アセテート・硫黄などいろいろなものを組み合わせて、摩擦したときに起こってくる電気を前と同じように電気振り子を使って調べてみると電気には種類がふたつしかないことがわかってきます。

ですから、電気の種類をわけるには、+と-だけで区別してやれば、充分なのです。

この実験からわかるように、同じ種類の電気(+と+・-と-)は退け合い違う種類の電気(+と-)は引きあいます。

この力は、両ほうの電気が多いほど強く、距離か近いほど強いものです。
これは、電気のいちばんもとになる性質です。

この性質を使って、目に見えない電気の分量の単位を約束することができます。

摩擦電気の起こり方

エボナイトと毛皮をこすると、エボナイトには-の電気が起きますが毛皮のほうには、反対の+の電気が起こっています。
このように2つの物をこすりあわせると2つの物に、それぞれ反対の電気が起こります。

どちらが+で、どちらが-になるかは、物によって違います。
また、同じ物でも、こする相手が違うと+が起こったり、-がおこったりします。

つぎにかいてある物から2つ取り出してこすりあわせたとき矢印の向いているほうに、+の電気が起こります。

毛皮←髪の毛←水晶←ガラス←木綿←麻←絹←手←木材←金属←ゴム←樹脂←硫黄←エボナイト←プラスチック

たとえば、絹の布とガラス棒を摩擦すると絹の布には-、ガラス棒には+が起こりますが絹の布とプラスチックでは、絹の布のほうが+になります。

2つの物をこすりあわせると、なぜいっぽうには+がもういっぽうには-の電気が起こってくるかその理由は、まだよくわかっていませんが、つぎのように考えることもできます。

すべての物は原子からできていますが、その原子はまた、+の電気をもった原子核と、そのまわりをまわっているいくつかの電子から成り立っています。

電子の持っている電気の種類は-です。

そして、原子核のもつ+の電気の量は電子のもつ-の電気の全体の量と等しくなっていて原子全体としては、電気をもたないのと同じになっています。

だから、原子が集まってできている物は、+と-を同じ数だけもっていますが摩擦したとき、どちらかの物の-の電気がうつると、うつってきた物は-が多くなり、とりさられたほうは+の電気が多くなって、+が起こったようになります。




電池の種類と特徴とは?太陽電池と原子力電池とは?

一次電池と二次電池

一度電気を使いきり、電池内で化学変化が進んでしまうとそれをもとにもどせないものを、一次電池と言います。

それにたいし、電流を使っても充電によって外から電気エネルギーをあたえてやれば、何度でもくりかえし使えるものが、二次電池です。

私たちが普段よく使う乾電池やボルタの電池は、みな一次電池です。
そして蓄電池は二次電池です。


マンガン乾電池

ふつう使われる乾電池は、マンガン乾電池で、ルクランシェ電池をかえたものです。

筒形の容器は、亜鉛でできており、陰極のはたらきをしています。
筒の中心に入っている炭素棒は、陽極です。

その間には、炭素の粉と二酸化マンガンを塩化アンモニウム溶液でねったものがつめられています。

この電池では、塩化アンモニウムが電解質溶液であり二酸化マンガンは減極剤で、炭素棒につく水素を水にかえてしまうのです。

マンガンかん電池は、1個で1.5ボルトの電圧がえられます。

水銀電池

マンガン乾電池よりは、値段も高くなりますが大きさを3分の1にしても、マンガン乾電池と同じ時間使えます。

このように、水銀電池を使えば、電池を小型にすることができますからこの電池は、トランジスタラジオなどに使われています。

この電池で鋼またはニッケルでつくられた外側の容器が陽極です。
容器の底には、減極剤の酸化水銀と黒鉛の粉をつめその上には、電解液である水酸化カリウムがつめられます。

その上にある、亜鉛90パーセント、水銀10パーセントをまぜた粉が陰極なのです。
そして、この電池でえられる電圧は約1.4ボルトです。

蓄電池

ふつうに使われている蓄電池は、鉛蓄電池と言われ、陰極として鉛の板を陽極としては、表面を二酸化鉛の膜でおおった鉛の板が使われます。

電解液は希硫酸です。

電解槽の中に、陽極板と陰極板を互い違いにくみあわせて入れ極板がふれあわないように、極板の間には木の板を入れ、電解液の希硫酸をつめます。

鉛蓄電池の陽極と陰極をつなぎ、電流を流すと2組みの極板ではつぎのような化学反応がおこります。

電池の電圧が下がってきたら充電器を使って、電流を逆向きに流してやると極板の化学反応も反対に進み、陽極と陰極は元通りに回復します。

蓄電池は、2ボルトの電圧がえられます。

蓄電池は充電すれば、何度でもくりかえし使うことができます。
しかし、あまり電流を流しすぎて、電圧が下がりすぎると電極表面の電気抵抗が大きくなり、充電が非常に難しくなります。

蓄電池の電圧低下は、電解液である硫酸の比重が小さくなることでわかります。
そのため、適当な比重の小球を電解液中に入れ、充電すれば浮き上がり放電で電圧が下がると、沈むように工夫してあります。

このような小球の浮き沈みで、充電の時機を知ることができます。

持ち運びに便利な乾電池にたいして、蓄電池の欠点は重くて壊れやすく、持ち運びに不便なことです。



カドミウム電池

かわった電池には、カドミウム電池(ウェストン電池)があります。
これは、ふつうの電池のように、電流を流すことを目的としません。

ふつうの乾電池や蓄電池は、使わなくても自然に放電して、電圧が下がりますがカドミウム電池は、電流を流さないかぎり何年でも正確な電圧を保ちます。

それに、カドミウム電池は電圧にたいする温度の影響も少ないので、電圧の標準として使われます。

太陽電池と原子力電池

シリコンやゲルマニウムのような半導体に、太陽光線をあてると電流をとりだすことができます。

これを利用したのが太陽電池です。太陽電池は、人工衛星の電源として有名です。

また、放射性元素からの電子の流れを電極で集めれば電流を取り出すことができます。
2つの半導体のふれあっている部分に、放射線をあてて、電流をうる方法もあります。
このようなしくみでは、元素からの放射線が続くかぎり、電池の寿命も続くわけです。

このような原理による原子力電池では、放射線の害から人を守るための防護膜の厚さや、大きさが問題になり、実用化を難しくしています。

これらの電池は、最近発明されたばかりですが、これから急速に進歩するでしょう。




電池の発見の歴史とは?ボルタの電池とは? わかりやすく解説!

電池の発見の歴史

1780年に、イタリアの解剖学者ガルバーニが、偶然の機会に解剖したカエルの足が電気的に痙攣したのを見て、興味を覚えました。

研究の末、カエルの足を強く痙攣させるには、2種類の違った金属をつなぎあわせその両はしをカエルの足の筋肉にふれればよいことに気づきました。

ガルバーニはその原因を、カエルが電気をもっているからだと考えました。

イタリアの物理学者ボルタは、ガルバーニの説明に疑問を持ちました。
ボルタは、つなぎあわせた2種の金属が、この電気の本当の原因でありカエルはどうでもいいのだと考えました。

彼は、銀板と亜鉛板の間に、塩水でぬらした布をはさんだものを数十組積み重ねそのいちばん下の板といちばん上の板を針金でつなぐと電流がえられることを発見しました。

これは、ボルタの電たいと言われますがこの発見で彼はガルバーニのカエルの足はぬれた布という意味しかもたないことを明らかにしました。

そして、ボルタはさらに液体の中に1種の違った金属板を入れてそこから電流を取り出す電池をはじめて発明したのでした。

それは、ボルタの電池とよばれています。


ボルタの電池

ボルタの電池とは希硫酸の中に、銅と亜鉛との板を立てた、ごくかんたんなものでした。

実験

ガラスのコップに希硫酸を入れ、その中に銅板と亜鉛板を離して立てます。

銅板と亜鉛板を銅線でつなぎ、その間に豆電球を入れるとはじめはよく電流が流れ、豆電球がつきます。
しかし、しばらくそのままにしておくと、豆電球の光は暗くなってしまいます。

硫酸(H2SO4)の場合には、つぎの式でしめすイオンができます。

H2SO4→2H+ + SO4(硫酸イオン)

H+ は銅板のほうにいき、銅板に+電気をあたえSO4は亜鉛板からでる亜鉛イオン(Zn++)と結合して硫酸亜鉛(ZnSO4)をつくります。

このため、銅線中には、銅板から亜鉛板にむかって電気が流れ、豆電球がつきます。
電池とは、このように物質の化学変化を利用して電流をつくりだすしくみになっています。

ボルタの電池は、銅板のところにできた水素ガスが泡になって外に出てくれません。
そのため、水素ガスは銅板の表肉にくっついて硫酸と銅板があまりふれなくなるようになります。

すると、電気が通りにくくなり、豆電球は暗くなるのです。

このように、電池の極板に気体の泡がつくような場合にはこのガスができないように、適当な物質を電解質溶液に加えてやる必要があります。

このような物質を、減極剤(消極剤)と言っています。




イオンと電子と電気の流れとは?固体金属・気体・液体中の電気の流れとは?

陽イオンと陰イオン

原子核のまわりをまわる電子は、いくつかの層をつくって規則正しく原子核のまわりをまわっています。

この層は電子殻とよばれています。


下の図では、ナトリウムと塩素とアルゴンとネオンの原子内の電子のありかたとナトリウムが陽イオンを、塩素が陰イオンをつくるしくみを、模型的にしめしました。

いちばん内側のK殼には2個、つぎのL殼には8個、3番目のM殼には18個の電子が入れますが、それより多くの電子は入れません。

原子内の電子は、内側の殼からつぎつぎといっぱいにしていきます。
原子の化学的性質は、いちばん外側の殼に何個電子があるかで決まります。

原子のいちばん外側の殼が電子で満たされているとき原子はいっぱんに安定で、他の元素と化合しません。

そのため電子2個をもつヘリウム、電子10個をもつネオンはK殼・L殻がそれぞれ電子で満たされますから安定です。

3番目のM殻までいっぱいになるには、28個の電子が必要なわけですがここでは、中間の18個の電子で、安定な原子アルゴンができます。

こうして電子11個で中性原子をつくるナトリウムはいちばん外側の電子1個を失って、安定なネオンの構造をもつ陽イオンとなります。

反対に塩素は外から電子1個をもらって陰イオンとなり安定なアルゴンの構造をもとうとします。

電子1個をもつ水素が、その電子をだして陽イオンとなり電子8個をもつ酸素が電子2個をもらって陰イオンとなるのもみな同じように説明されます。

塩化ナトリウム(食塩)とはナトリウムの陽イオンと塩素の陰イオンが電気的にむすびついたものなのです。

固体金属中の電気の流れ

固体金属では、原子は規則正しいならび方をして、結晶をつくっています。

しかも、金属原子内のいちばん外側をまわっている電子は自分が属している原子のそばを離れて、自由に運動しているのです。

このような電子を自由電子と言います。

自由電子を別にすると、結品をつくっている金属原子はみな陽イオンになっていると考えることができます。

ですから、規則正しくならぶ陽イオンの海の中を自由電子が勝手に動きまわっているというのが金属の原子的模型です。

金属に電圧をかけると自由電子は陽極側に引っぱられていきこれが金属に電気が流れるということです。

金属を流れる電流とは-電気をもった電子が陰極から陽極にむかって流れることで+電気が陽極から陰極に流れるのではありません。



気体中での電気の流れ

気体中の電気の流れには、いろいろなものがあります。

しかし、いずれにせよ、気体の陽イオンや電子の流れがこの電流の原因であることは、真空放電で見られる、陰極線や陽極線で明らかです。

気体の中には宇宙線などのために、いつもわずかの気体イオンと、電子が生じています。

そして、気体放電の主役を果たすのは電子です。

高い電圧のために加速された電子が、気体分子から電子をたたき出して陽イオンにしはじめるようになると、電子の数はねずみ算式に増えるので電流も急に大きくなります。

さらにできた陽イオンが陰極にあたって陰極から電子がでるようになれば、電流はまた増えます。

液体を流れる電気

液体の中には、希塩酸や食塩水のように電気をよく通すものと、蒸留水や砂糖水のように電気を通さないものがあります。

電気を通す液体を電解質溶液と言い、電気を通さない液体を非電解質溶液と言います。

電解質溶液が電気を通すのは、+電気をもった粒(陽イオン)が陰極に+電気を運び、-電気をもった粒(陰イオン)が陽極に-電気を運ぶためだということはファラデーが明らかにしました。

しかし、食塩のような電解質物質は、電圧をかけなくても水に溶かすだけでイオンにわかれてしまうことはスウェーデンのアーレニウスがはじめて明らかにしたのです。

たとえば、塩酸は水素の陽イオンと塩素の陰イオンにわかれます。

式で書くと、

HCl(塩素)
→H+(水素イオン)+Cl(塩素イオン)です。

この希塩酸に2つの電極を入れて、直流電圧を加えると、Clは陽極にいき極板に-電気をあたえ、自分は塩素ガスとなって出ていきます。

そして、H+は陰極にいき、極板から-電気をもらい自分は水素ガスとなって出ていくのです。

このように、電解質溶液に電流を流してその液体を化学的に分解することを、電気分解(電解)と言います。

食塩水の場合は、もう少し複雑です。
このときは、食塩と水の一部は、つぎの式のようなイオンをつくります。

NaCl(食塩)
→Na+(ナトリウムイオン)+ Cl(塩素イオン)

H2O(水)
→H+(水素イオン)+ OH(水酸イオン)

Na+とH+は陰極のほうへいき、陰極からは水素ガスが出てきます。
ClとOHは陽極のほうへいき、陽極からは塩素ガスが出ていきます。

こうして、陰極の近くの液をにつめると、固体の水酸化ナトリウムがえられます。

しかし、実際には、この水酸化ナトリウムはさらに塩素と化合して別の化合物にかわりますから、食塩水の電解で水酸化ナトリウムをえるにはいろいろ工夫が入ります。




原子と電流の関係とは?原子が持つ電気とは?

化学の研究から分子原子説へ

今から200年くらいまえは、新しい化学の基礎がかたまりはじめた時代でした。

物が燃えるのは、物が空気中の酸素と化合して酸化物ができるためだということがわかりこのことから物が燃えるときに発生する熱を物質だとする古い考え力が間違いであることがわかりました。

そして、新しい化学の実験が進むと化合物では、それぞれの元素が決まった割合の重さでむすびつきあっていることがわかりました。

また、気体どうしが化合物をつくるときには化合する気体の容積は、かんたんな整数比になっていることもわかりました。

こうした事実を説明するために1806年にイギリスのドルトンが、分子原子説を唱えました。

物質を細かくわっていくと、目に見えない小さな分子という粒になるという説です。
分子は、物質がもっている性質をかえずに細かくわけることのできる1ばん小さな粒ですが、分子も、いくつかの原子にわけられるのです。

つまり、化合物は、いくつかの違う種類の原子の集まりでこの化合物の分子を原子にわけていくとはじめもっていた性質をなくしてしまうというのです。

人々は、いちばん軽い水素原子の重さを、だいたい1としてほかの原子の重さ(原子量)や分子の重さ(分子量)を実験で決めようとしました。

しかし、こうした試みも、はじめのうちは、いろいろな混乱をうみました。


原子が持つ電気

分子原子説のでたころは、電流の発見が世の中を驚かせていました。
ボルタは、はじめて電池を発明し、デービーはいろいろな物質を電気分解してみせました。

いろいろな化合物の溶液に2つの電極板をひたし極板の間に電圧をかけると電気が流れて、物質が分解するということは化合物の中の原子が+または-の電気を持つからであり分子とは、このような電気を持つ原子がお互いにその電気の力で引きあうからだと考えました。

しかし、原子どうしは、必ず電気の引力でむすびついているのだとすると酸素や水素のように、2個の同じ原子からできている分子は、どうなるでしょう。

同じ原子は同じ種類の電気を持つはずですから退け合うはずです。
だから、酸素や水素の分子が2個の同じ原子からできているということは大いに疑われ、こうしたことが、はじめのころの分子原子説を混乱させたのでした。

現在では、原子が分子をつくるためにはいろいろな形のむすびつきのしかたがあることが、明らかになりました。

原子が電気をもつイオンとなり、イオンどうしが電気の引力でむすびつくのはこれらのうちの1つにすぎないのです。

しかし、原子はなぜイオンになるのでしょう。

それに、イオンのもつ電気が決まった量であることは電気分解の法則をくわしく研究したファラデーが見つけましたが
これはなぜなのでしょう。

それを知るには、原子の構造を知らなければなりません。



陰極線と陽極線、原子をつくるもの

原子がもつ電気の正体は、真空放電という意外な現象から明らかになったのです。

うすい気体の中で放電をおこさせるといっぱんに、その気体に特布な美しい光を発します。

しかし、気体の圧力が水銀柱の高さで、0.001ミリくらいに下がると管の中の光は消えて、陽極側のガラス管の壁が蛍光を発し、緑色に光ります。

それはある放射線が、陰極のほうから陽極のほうにいくのだと考えられ陰極線と名づけられました。

陰極線はまっすぐに進みますがその進行方向におかれた軽い羽根車をまわすことから質量をもつ粒の流れだということがわかりました。

また、陰極線の進路に直角に電界や磁界をかけると、その道すじが曲がることからその粒は決まった-の電気をもつこともわかりました。

この決まった重さと-の電気をもつ粒は電子とよばれどんな原子にもふくまれている物質に共通な粒だとわかりました。

しかし、電子の質量は、原子の中でもっとも軽い水素原子の1800分の1で
原子のほんの一部を形づくるにすぎません。

真空放電では陰極線とは反対に陽極側から陰極にむかって走る放射線も発見されました。

それは、陽極線とよばれました。

この陽極線にも電界や磁界をかけて、その曲がり方を調べたところ陽極線は+の電気をもち、質量は電子よりはるかに大きく気体原子の質量に等しい粒の流れであることがわかりました。

つまり、陽極線中の粒は気体原子から1個あるいは数個の電子をのぞいた残りであり、+のイオンだったのです。

原子核と電子

すべての原子には電子がふくまれ、その電子の数は質量の大きい原子ほど、いっぱんに多いことがわかりました。

たくさんの電子をもった原子が、ふつう電気をもたないのはこれらの電子のもつすべての電気量に、等しい+電気をもつ原子核があるからです。

原子核は原子の中心にあり、原子の大きさにくらべればずっと小さいのですが原子の質量は、ほとんど全部がこの小さな原子核の中に集まっているのです。

そして、太陽のまわりに多くの惑星がまわっているように原子核のまわりには、電子がまわっています。

この考えは、長岡半太郎とラザフォードによって立てられた説です。




殺菌灯と太陽灯とは?アーク灯・閃光電球とは?

殺菌灯と太陽灯

蛍光灯では、ごく低い圧力の水銀蒸気の中の放電でえられた紫外線を蛍光物質にあてて、目に見える明るい光にかえました。

しかし、紫外線はそのままで、細菌を殺すという役に立つはたらきをもっています。
そこで、この低圧水銀灯はそのままの形で、殺菌灯として使われています。

水銀蒸気の圧力が大きくなると、放電でえられる光は目に見える長い波長のものが多くなります。

紫外線がでるとしても、その波長は低圧のときよりも長くなります。
このような波長のわりあい長い紫外線は健康によいので、医療用に使われます。

医療に使われる、太陽灯とよばれる高圧水銀灯では管内の水銀の蒸気の圧力は大気圧に近いものです。

波長の短い紫外線は目に見えませんが、波長の長すぎる光も目に見えません。

この波長の長すぎる光を、赤外線と言います。
そして、電球には、赤外線だけを出す赤外線電球もあります。

この赤外線は熱作用が大きいので、熱線ともよばれこれもまた、医療用に使われています。


アーク灯

アーク灯もまた、放電灯の一種です。

アーク灯の実験をはじめておこなったのはイギリスのデービーで、電球の発明よりはるかに早い1808年のことでした。

やがて、1876年にロシアのヤブラチコフが炭素棒の間にアークを飛ばす電気ろうそくを発明しこれは一時、町中や劇場の照明用に使われましたが不経済なので、すぐに廃れてしまい白熱電球の研究が進められるようになったのです。

炭素アーク灯の原理は、2本の炭素棒電極の先をくっつけてその間に電流を流しておき、それを静かに離して電極間にアークを発生させることです。

時間が経つと電極の炭素の蒸発のために、電極間の距離が大きくなってアークが消えますから、自動的に炭素棒を近づけてやる必要があります。

アークの光は、ふつうの照明用には強すぎますし電力もかかり、取扱いも不便です。
しかしその強い光は、サーチライトや製版機に使われています。

閃光電球

暗いところで写貞をとる場合に、カメラに取り付けて使う、閃光電球があります。
閃光電球は、光はシャッターの開いている、ごく短い時間だけついていればよいのですが、そのかわりに強い光が必要です。

そのために、電球内にはアルミニウムのうすいはくと酸素がつめられ中に入れたタングステンのフィラメントはただ、このアルミニウムに火をつける役目をもっているだけです。

タングステンのフィラメントに電流が流れて熱が出ると、アルミニウムが酸素と化合して、酸化アルミニウムができます。

この反応は、いちど起こりはじめると爆発的な速さで進みこのとき非常に大きな熱を発生して、まばゆい光を出します。

いろいろな照明

住宅の照明、工場や事務所の照明、商店あるいは広告を目的をした照明から戸外の照明、投光器を自由に使って芝居の効果をあげる舞台照明など場所と目的により、照明のしかたにいろいろと工夫がしてあります。

たとえば、住宅の照明でも仕事の場所と休息の場所とでは照明をかえたほうがよいでしょう。

仕事場では、人の目を疲れさせず、ものを見やすいように照らす方向をよく考えます。
また、休息の場所では、問接照明や色彩の調節などによりやわらかい感じを出すほうがよいでしょう。




ネオンサインと蛍光灯のしくみとは?真空放電とは?

真空放電

非常にうすい気体の中に電流を流すことを真空放電と言います。
真空放電が、ファラデーがはじめて注目したものです。

その後、1859年にはガイスラーが水銀柱にして圧力数ミリ程度の空気をふくんだ細長いガラス管をつくりました。

この電極の間に高い電圧をかけると管内の空気を通して電気が流れ、管は美しい色に光りました。
このような圧力の低いい空気の中での放電管は、ガイスラー管と言います。


その後、クルックスが、管内の気体の圧力を水銀柱で0.1ミリ以下に下げることに成功しました。これをクルックス管と言います。

クルックス管を放電させると管の中は光りませんが陰極とむきあうガラス管の壁が、蛍光現象で光りはじめます。

これは、陰極からガラスにむかってマイナスの電気をもった小さい粒が飛んでゆくためであることがわかりこのほか、電子と反対に、プラスの電気をもち電子の数千倍も多い粒が陽極から陰極にむかって飛んでゆくこともわかりました。

そして、これにふつうの分子や原子から1個あるいは数個の電子が失われた残りであって、それは陽イオンとよばれるようになりました。

このように、原子はさらに分解され電子のような丸ごと小さな粒があることがわかったことはその後の物理学の理論を大いに発展させる原因となりました。

真空放電は20世紀の物理学の開拓者だったと言えるでしょう。

ネオンサイン

ガイスラー管の中に、空気のかわりにいろいろな気体を入れると、それぞれの気体特有の色に光りだします。

これを、ネオン管灯または、ネオンサインとよびます。
これは、広告などに広く利用されています。

このネオン管灯は、はじめはネオンガスを入れたものがつくられたためネオン管灯とよばれましたが、今では表のように、さまざまな気体を入れてさまざまの美しい色を出しています。

ふつうの電球は、電流を熱にかえこの熱がフィラメントを高温に熱するから、光がでるのです。

しかし、真空放電灯では管内に入れたうすいガスの原子・分子に電気(正しくは電気を帯びた粒)が、直接にはたらいいて光を出すしくみですからほとんど無駄な熱がでることはありません。

しかし、このネオン管灯に電気を流すには高い電圧を必要としますから、家庭用の照明にはむきません。



蛍光灯

ネオン管灯を改良して、100ボルトの電圧で放電させ明るい光を出すように工夫したものが、蛍光灯です。

蛍光灯では、管の内側に、蛍光物質とよばれる、さまざまな化合物がぬってあります。
蛍光物質とは、紫外線やX線のように、目に見えない短い波長の光をあてるとその間だけ目に見える長い波長の光を発するものです。

この管の中には、ごく少量の水銀蒸気が入れてあります。
水銀蒸気の圧力は水銀柱で0.1ミリ以下におさえられています。

管の両はしには、二重コイルにしたタングステンフィラメントがあり電極になっていますが、そのまえには、このフィラメントを守る役目をする電極があります。

蛍光灯をつけるためには、ふつう点燈管燈を使います。

スイッチを入れると、はじめ点燈管がつくとともにフィラメントにはたくさんの電流が流れ、充分に熱せられます。
やがて点燈管が自然に消えると、蛍光灯の2つの極の間に放電がはじまります。

こうして管内の低い圧力の水銀蒸気の中で放電がおこるとこの水銀蒸気からはたくさんの紫外線がでます。

その紫外線が管の内側にぬった蛍光物質にはたらいて、明るい光がでるのです。
もちろん、いろいろな蛍光物質をうまく組みあわすと、いろいろな色の光がえられますが。

いっぱんの照明用には、太陽の光に近いものがでるように、工夫されています。

蛍光灯は熱をあまり出さない電灯ですから、電気の無駄がありません。
四畳半なら20ワット1本、八畳では20ワットを2本使えば十分です。

ですから、電力は白熱電球の3分の1くらいですみますし電灯のもちもよいので、経済的ですが、値段の高いことが欠点です。

なお、ふつうの蛍光灯は細長くて場所を取りますので最近では細長い管をまるく曲げた、円形の蛍光灯も、広く使われています。




電球のしくみとは?電球の発達とは? わかりやすく解説!

電球のしくみ

真空または、燃えないガスを入れたガラス球内に、フィラメントを入れ電流を流すと、電気抵抗が大きいのでフィラメントは熱をだし、光りはじめます。

このようにして、わりあい小さな電熱で明るい光をえようとするのが白熱電球です。

電球を分解してみると、つぎのようになっていることがわかります。
口金には、ソケットにはめこむ真鍮のねじと、はんだをつけた中央のでっぱりがあり、これらは、黒色ガラスで絶縁されています。

フィラメントに続く2本の導入線のうち1本はねじの部分に、もう1本は中央のでっぱりにつながっています。

導入線はステ厶管のつまみの部分をつらぬいてガラス球の内側に入っています。
その先に、細い針金をらせん状にまいたものがついています。
これがフィラメントで、タングステンでできています。

フィラメントのまき方には、単コイル式と二重コイル式の2つがあります。
そして、ステムの先からはアンカがでていて、電球をつけているときでもフィラメントが動かないように支えています。


電球の発達

針金に電流を流し、照明用の明るい光をえようという考えは130年まえからありました。

しかし、はじめて実用的な電球をつくったのはアメリカのエジソンで、1879年のことでした。

炭素電球

エジソンが発明した電球は、真空のガラス球の中に炭素線のフィラメントを入れたものでした。

エジソンは、日本の竹からつくった炭素線が非常によいことを発見しました。
この炭素電球は切れやすく、長もちしませんでしたがこの電球を発明すると、エジソンはすぐさま発電所をつくり電灯のために電流を送ることを考え、それを実現するためにたくさんの技術的な発明や改良をおこないました。

タングステン電球

フィラメントとして大切なことは、

①高温でも溶けないこと
②高温度になっても蒸発が少ないこと
③電気抵抗が大きいばかりでなく、温度が高くなると、その値がどんどん大きくなること
④たやすく細い針金にひけること
⑤値段が安いことなどですが

こうした点で、タングステンがいちばんすぐれていることが20世紀のはじめに、クーリッジが発見しました。

こうして現在では全部タングステン電球にかわりました。

しかし、はじめのうちは電球内を真空にしたので2200℃を越えるとタングステンが蒸発してガラス球が黒くなりフィラメントが切れてしまいました。

こうした欠点を除くために、ガス入り電球ができたのです。



ガス入り電球

炭素線と同じく、タングステン線も空気中では高温で燃えてしまいます。
そのため、ガス入り電球の場合には、まず、電球内の空気を抜きそれからタングステンと作用しないガスを入れるようになりました。

電球に入れるガスには、はじめ窒素ガスが使われました。
しかし電球に入れた窒素ガスはフィラメントに熱せられて対流をおこしフィラメントの熱をうばいさるので、電気の無駄が増えました。

この無駄を少なくするために、タングステン線をらせん状にまいたフィラメントが使われるようになりました。

こうすると、らせん状にまいたフィラメントの隙間にはガスが流れこみにくいのでフィラメントとガスのふれあう面積が少なくなり、電気の無駄が少なくなりました。

また今日では、窒素ガスより熱の伝わり方の悪いアルゴンガスが使われるようになりましたが、これもガスの対流を少なくし電気の無駄をいっそう少なくすることに役立ちます。

つやけし電球

はじめのころの電球は、ガラス球の先から空気を抜いたのでそのあとが電球の先にとんがりとなって残っていました。

いまでは、電球の根本から空気を抜き、アルゴンガスを入れるので電球の先の危険なガラスのとんがりはなくなりました。

また、透き通ったガラス電球では光がまぶしいのでガラス球の内側をすりガラスにして、光をやわらげる工夫がされました。

これがつやけし電球です。

現在の電球は、ほとんどがらせん状にまいたタングステンのフィラメントを利用したアルゴンガス入りのつやけし電球です。

ただし、10ワットや20ワットの小さな電球では、ガスを入れません。
ガス入りにすると、対流による電気の無駄が大きいからです。

ふつうの住宅内の白熱電球による照明には1畳あたり、10から15ワットが適当だとされています。




電熱器具のしくみとは?電気コンロ・電気釜・トースターのしくみ

電気コンロ

電気コンロのいちばん大切なところはぐるぐると丸くまいたニクロム線を溝にはめこんだ、素焼きの熱板です。

この熱板は電気の絶縁体で、電気コンロの台にとりつけられこの熱板の下には反射板がおかれ、ニクロム線の熱が下へ逃げるのをふせいでいます。

まいたニクロム線の両端には、がい管をはめ図のように、ニクロム線が直接にふれあわないようにして、コードヘ導きます。

電気コンロをコンセントにつなぐと、まずニクロム線が熱をだし熱板全体が熱くなり、その上にかけたなべややかんを熱します。

熱が無駄にならないように、電気コンロにかけるなべややかんは底が平らで、発熱部より少し大形のものがよいと言えます。

電気コンロでは、熱板全体に鉄の板をかぶせ、外から熱板の見えないものがあります。
こうしておけば、なべのこぼれ汁などが熱板やニクロム線にかからないので電熱器具が長持ちし、熱の無駄も少なくなります。

ニクロム線は塩分に弱いので、汁をふきこぼすと、弱くなりきれてしまいます。

切れて短くなったニクロム線を、つないで使うことは危険です。
なぜなら、たとえ太さはかわらなくても、短くなると電気抵抗は小さくなり、余分の電流が流れるからです。

電気コンロが消費する電力はワッ卜であらわされたくさんの熱を出す大形のものでは、ニクロム線が太くなっています。

長さが同じときには、ニクロム線が太いほど電気抵抗は小さくなるので電流は余分に流れ、熱の出かたも多くなるのです。

1200ワット以上の電気コンロではたいてい同じ太さと長さのニクロム線が2本入っておりスイッチ1つで、この2本の線を、直列あるいは並列に切り替えるようになっています。

このときは、並列につないだほうが、直列の場合よりずっと多く熱を出します。


電気がま

ごはんが炊きあがると、サーモスタットのはたらきで自動的に電流が止まる電気がまも、便利なものです。

電気がまでは、電熱線は二重になったかまの底に入っており米はふつう、内なべに入れますが、かまに直接に米を入れる方式のものもあります。

内なべに米を入れる三重式の電気がまでは外がまに決められた量の水を入れ、電気をながして熱します。

内なべの中の米は、底から熱せられるとともに外がまの湯が出す蒸気によって、側面からも上からも熱せられ美味しいごはんが炊けます。

電気アイロン

電気アイロンは重さで区別され、2キロなら300ワット、3キロなら400ワッ卜くらい6キロともなると、1キロワッ卜以上の電力を必要とします。

分解してみると、布におしつけられるめっきされた底金と重みをつける押え金の間に平たいニクロム線をウンモにまきつけた発熱体がおさめられています。

もちろん、この発熱体と底金・押え金の間は、同じウンモ板で絶縁されています。
このようにして、ニクロム線の発生する熱であたためられた底金で、アイロンをかけます。

最近のように、繊維品の種類が多くなると繊維の種類によってアイロンの温度を加減しないと、布地を傷めてしまいます。
そのため、細かく温度調節のできるアイロンができています。

これは、つけっぱなしにしたアイロンの過熱による火事の予防にも役立っています。

また、アイロンの中に水タンクを入れ、蒸気を吹き出させて霧吹きの手間を省く、スチームアイロンもあります。

トースター

パン食の多くなった私たちの食卓の上にはトースターもなくてはならないものになりました。

トースターのニクロム線も電気アイロンと同じように平たい線で、ウンモにまきつけられています。

ふつう、トースターは一度に2枚のパンを焼くためにこのような発熱体が3枚入っていて、パンを両面から焼くようになっています。



その他の電熱器具

電熱によって空気をあたため、この空気の対流で部屋全体をあたためる対流式の電気ストーブは、電気を多く使うので、家庭ではあまり使われません。

家庭で多く使われているのは、電熱線を熱しその熱を反射鏡を使って、正面前方に集める放射式の電気ストーブです。

500ワットくらいの小型のものは反射鏡の中央に素焼きの筒にまいたニクロム線がおかれています。

1キロワット以上のものはたいてい角型です。

これらの電気ストーブは、局部的にあたためるのには、早くて能率がよく便利です。

家庭用の暖房器具として経済的なものには、電気こたつがあります。
こたつは、ふとんや毛布をかけるため、熱が逃げ出さないので熱の発生が少なくても、充分にあたたまります。

ですから、電気こたつは400ワット以下がふつうです。
電気こたつには、サーモスタッ卜がついていて温度をある一定の範囲に保つようになっています。

そのほか、体をあたためる器具として電気毛布・電気ふとん・電気あんか・電気足温器などがありますがどれもせいぜい100ワッ卜くらいの電気ですみます。

その中で電気ふとんは、ごく細い電熱線を石綿の糸にまきつけて絶縁しそれをさらに石綿や強い綿で包んでふとんにしたものです。

こうした電熱器にも広くサーモスタットが利用されています。




電熱器具の使い方と電熱器具のよい点とは? わかりやすく解説!

電熱器具の使い方と電熱器具のよい点

ふつう、電熱器具には、100V・500Wなどと、記号が書いてあります。
これは、100ボルトで使えばよいということです。

そうすると、この器具には、5アンペアの電流が流れ500ワッ卜の電力が消費されるということです。
では、この電熱器具を100ボルトより高い電圧で使ったら、どうなるでしょう。


たとえば、100V・500Wの電気コンロを、200ボルトで使ったとすると大きな電流が流れ、コンロの電熱線は、発生する余分の熱のため、溶けてしまいます。

電熱線が溶けないで、抵抗もかわらないとすると、この電気コンロには10アンペアの電流が流れ、消費される電力は2000ワッ卜で4倍の熱がでることになります。

このように、電圧が少し上がっただけでもワッ卜数は大きくかわり、余分な熱がたくさんでて、危険です。

しかし、実際には、電熱線の温度が上がると電気抵抗は大きくなるので、ワット数はある程度おさえられます。

このように、100ボルト用の器具を100ボルト以上の電圧で使ってはいけません。
そのため、電熱器具の電気を、電灯線などからとってはいけません。

家庭用の電灯は大きくても200ワッ卜を越えませんから電灯線は大きな電力を使うようにはなっていません。

電熱器具の電気は必ず、壁に埋めこまれたコンセントからとりましょう。
近ごろでは家庭で使う電熱器具の種類が増えたのでどの部屋にも、コンセントを備えておくようになりました。

コンセントさえあれば、どこででも電熱器具は必要なときにすぐ使えいらなくなればスイッチを切れば、それですみます。

電熱器具は、石油や薪、ガスのように炎を出しませんし、一酸化炭素のような人体に害のあるガスを出すこともないので、清潔で健康的に使えます。

しかし、1つのコンセントからあまり多くの電気をとらないように、注意しましょう。




電熱の利用とは?発熱量とは? ジュールの法則とは?

電熱の利用

金属や合金に電流を流すと、熱がでます。これを、電熱と言います。
電気アイロン・電気コンロ・電気ストーブなどは、この熱を利用する電熱器具です。

電熱線に電流を流すと電熱線は赤く光ってきます。
それは、電熱線が熱のために高温になったからです。

電熱線に多くの電流を流し、高い温度に熱すれば熱するほど電熱線は強い光をだすようになります。
しかし、あまり多くの電流を流すと電熱線は高温にたえかね、溶けて切れてしまいます。

高い温度にたえる特別の金属を使って細くて、短い針金(フィラメント)をつくって電流を流せばわりあい少ない電気で明るい光がえられます。

このように、少ない電力で明るい光をえようとするのが電灯のようなものです。


針金の種類と発熱量

針金の種類によって、発熱量が違うことは、かんたんな実験で知ることができます。

実験1

同じ太さ、同じ長さのニクロム線と銅線を図のように乾く電池に直列につなぎ、電流を流してみます。

すると、ニクロム線のほうが、ずっと速く熱くなります。
このことは、2本の針金にろうをぬっておけば、そのろうの溶け方からわかります。

つまり、同じ電流が流れるときには、ニクロム線のほうが、熱を多くだします。

実験2

まえのニクロム線と銅線を別々に乾電池につなぎ電流計で流れる電流の強さを調べると銅線に流れる電流のほうが大きいことがわかります。

つまり、同じ電流が流れるときには、電気抵抗が大きくて電気を通しにくい針金のほうが熱を多くだします。

しかし、電流は針金にかける電圧によっても違います。

実験3

まえに使ったニクロム線に、乾電池を1個、2個、3個と直列につないでみます。
すると、電池の数が多くなるほど、電流の強さも、熱のでかたも大きくなります。

電熱線

電熱器具で熱を発生する針金を、電熱線と言います。

たくさんの熱がでるように、電熱線では抵抗の大きいことが必要です。
また、高い温度にたえ、溶けたり、切れたりしないことも重要です。

ニクロム線は、ニッケルが80、クロムが20の割合にまぜた合金です。
このニッケルを減らし、鉄(数十パーセント程度)でおきかえた鉄クロム線も電熱線として使われます。

この合金は色が黒く、高温でもろくなる恐れがあるだけでなく水にあうと錆びる欠点もあります。



ジュールの法則

針金の発熱量は、まえに述べたように、電圧や電流・抵抗などによって違いますがこの関係を正しく知るためには、もっとくわしい実験が必要です。

スライダック(変圧器)、交流電流計、電熱線を中に組みこんだ水熱量計を図のようにつなぎ、100ボルトのコンセントから電流をとります。

水熱量計には、水を入れたビーカーを熱が逃げないように絶縁体でくるみ同じように絶縁体のふたをかぶせ、温度計とかきまぜ棒を用意しておきます。

電熱線から出た熱は水を熱しますから、発熱量は水温の上がりかたに比例します。
かきまぜ棒で水をよくかきまぜ、水全体が同じ温度になるようにしておけば温度計のしめす温度から、発生した熱が計算されます。

また、この実験では、たくさんの熱を発生させる必要があるので乾電池のかわりに100ボルトのコンセントから電気をとり、スライダックでいろいろな電圧を自由にえられるようにしておきます。

スライダックは、100ボルトのコンセントから電気をとり0から120ボルトまで、電圧を自由にかえられるようになっています。

何ボルトの電圧になったかは、交流電圧計で正しくよみます。
そして、電熱線を流れる電流は、交流電流計でよみます。

電熱線をかえたり、電流や電圧をかえて実験すると電熱は、電圧と電流の積に比例することがわかります。

また、オームの法則から、電流の二乗と電気抵抗の積にも比例します。
正確に式で書くと、

発熱量=0.24×電圧 × 電流 × 時間
=0.24×(電流)2 × 抵抗 × 時間

となります。

この式は、今から130年ほどまえにジュールが発見したので、ジュールの法則とよばれ電熱のことを、ジュール熱と言います。

これは、それまでの、熱が物質だと考える説を否定し熱は仕事をする能力(エネルギー)だという説を決定したもっとも重要な実験の1つでした。




電力と電力量とは?電力の単位とは? わかりやすく解説!

電力

モーターは回転して物を運びあげたり、電車を動かしたりするしごとをします。
もちろん、しごとをしているモーターは、電気を使ってします。
また、電熱器に電流が流れると、熱が発生します。

水蒸気などに熱をあたえるとタービンをまわす仕事をしますから熱も仕事をするはたらきがあります。

このように、電気はもともと、仕事をするはたらきをもっています。
モーターが仕事をすれば、それだけ電気が使われるわけです。
そこで、電気器具が1秒間に使う電気のことを電力と言います。

電力の測りかたは、その電気器具を流れた電気の量ではなく電気器具を流れた電気が1秒間にどれだけの量の仕事をするはたらきがあったかで測ります。

つまり、電気器具が電気を使う割合です。


電力のもとめ方

家庭にきている電気は100ボルトです。

どこの家庭でも同じ電圧の電気を使いますからたとえば、いろいろなモーターの電力は、それぞれを流れる電流の強さに比例します。

しかし、同じモーターでも、電圧が違うところで使えば電流の強さも違うし、そのモーターのする仕事も違ってきます。

ですから、電力をもとめるには、電気器具を流れる電流と電気器具に加える電圧がわかっていなければなりません。

電力(P)、電圧(E)、電流(I)の間には、つぎのような関係があります。

P = E × I ……………………①

電気器具の電気抵抗をRとすると、E、I、Rの間にはオームの法則で、E=IR または、I=E/Rという関係がありますから①式はつぎのようにもあらわすこともできます。

P = I2 × R …………………②

P = E2/R……………………③

電気器具を使うとき、その器具についてE、I、Rのどの値がわかっているかによって①、②、③のどれかを使います。

電力の単位

まえの①~③の式でEをボルト単位、Iをアンペア単位Rをオーム単位で計算したときの電力の単位を、ワッ卜(W)と約束しています。

たとえば、100ボルトの電圧を加えたとき、1.5アンペアの電流が流れるモーターは、100(ボルト)× 1.5(アンペア)=150(ワット)となり3ボルトの電圧で、0.15アンペアの電流が流れる豆電球は3(ボルト)× 0.15(アンペア)= 0.45(ワット)となります。

また、1000ワッ卜のことを1キロワット(kW)と言います。
1キロワッ卜の電力を消費する器具を、100ボルトの電源につないだとき流れる電流の強さは、①式で E=100、P=1000として

1000=100× I

これより、I=10(アンペア)ともとめられます。



電気器具の記号

電球や電気コンロなどの電気器具には記号で、電圧と電力の数字が書いてあります。

電圧の値は、その器具を使うときの電圧をしめしています。
その電圧以上の電源で使うと、電流が強すぎて故障をおこします。
電球ならば、寿命がたいへん短くなります。

60Wとか、100Wと書いてあるのは決められた電圧で使ったとき、その電気器具が使う電力をしめしています。

電気器具にしめされている電圧と電力の値から、その器具の電気抵抗がわかります。
たとえば、100V、60Wと書いてあれば、まえの③式で。

60 = 1002/R です。これから計算してR=167(Ω)ともとめられます。

電力の和

2つ以上の電気器具を使うときは、ふつうは、並列つなぎで使います。
そのときの全体の電力は、それぞれが使う電力を加えた和になります。

たとえば、30ワットの蛍光灯4本、500ワッ卜の電気アイロン1個150ワッ卜のテレビ1台、100ワッ卜の電気洗濯機を同時に使用すると全体の電力は{30(W)×4 }+ 500(W) + 150(W) + 100(W) = 870(W) となります。
したがって、このときに安全器を流れる電流の強さは、870(W)÷100(W) =8.7(A)となります。

ですから、安全器のヒューズは9アンペアにたえるものでなければならないことになります。

電力量

電気器具が1秒間に使う電気が電力ですから電気器具を何時間か使ったときの電力の全体の量は(電力)×(時間)で計算します。

これを電力量と言い、ワッ卜時(Wh)の単位であらわします。

1ワッ卜時は、1ワットの電力を消費する器具を2時間使用したときに使われる電力量です。

ふつうは、キロワッ卜時(kWh)を使います。

たとえば、150ワッ卜のテレビを3時間つけると、150(W)×3 = 450(Wh)= 0.45(kWh)の電気を使ったことになります。

家庭や工場で使った電力量を計算する器械が、積算電力計です。

積算電力計の内部には、アルミニウムの円板があってこれが、モーターと同じしくみで、まわっています。

この円板の回転数が、歯車のはたらきで目もりをつぎつぎにかえるしくみになっています。

ですから、目もりを見れば、使った電力量がわかるのです。




電気抵抗と温度の関係とは?導体・不導体・半導体とは?

電気抵抗と温度の関係

電気抵抗は、温度によって違います。

ニクロム線やタングステン線のような金属は温度が高くなるほど電気抵抗が大きくなります。

電球のフィラメントに使われているタングステン線はついているときには3000℃ちかくなるので抵抗は、ついていないときの20倍にもなります。

温度を低くしていくと、金属の電気抵抗は、いっぱんに小さくなります。
ところがアルミニウムは、およそ零下255℃、また、水銀では零下270℃のようにある温度にまで冷やすと、抵抗が急に0になるものがあります。

これを超伝導と言い、超伝導のおこる温度はそれぞれの金属の種類によって決まっています。

超伝導のおこる金属は、その温度以下では、低抗がなくなりますからなにかの方法で電流が流れはじめると永久に流れ続けることになります。


抵抗器

電気器具では、使い道によって、電気の流れかたを多くしたり少なくしたりしなければなりません。
そのために、いろいろな抵抗の大きさをもった抵抗器がつくられています。

固定抵抗器は、抵抗の大きさが一定です。

同じ抵抗の大きさでも、電流がたくさん流れるところに使うものは熱をだして温度があがらないような材料でできたものを使います。

また、スライド抵抗器は抵抗の大きさが線の長さに比例することを利用したものです。

スライド片と抵抗線がふれている場所をかえて抵抗の大きさがかえられるようになっています。

ラジオ・テレビのつまみをまわすと音が大きくなったり映像の明るさがかわったりするのは、スライド抵抗器のためです。

電気抵抗のつなぎ方

抵抗のつなぎ方の主なものには、直列つなぎと並列つなぎがあります。

①直列つなぎ

図の(a)のように、抵抗をつぎつぎにつなげるつなぎ方を、縦列つなぎといいます。

図のように、A・Bを電池につなげたとき、Iアンペアの電流が流れたとしましょう。
これとは別に、同じ乾電池に1本の抵抗Rをつないでちょうど(a)と同じ強さの電流Iアンペアが流れるような抵抗がみつかったとします(c図)。

この抵抗Rは、R1とR2のはたらきとまったく同じです。
そういう意味で、このRの抵抗の大きさをR1とR2の合成抵抗と言います。

くわしい計算によると。R=R1+R2 という関係があります。

たとえば、20オームと30オームの抵抗を、直列につなげると、(20+30)=50オームの抵抗が1つだけあるのと同じことになります。

直列につないだ抵抗は、どちらも同じ大きさの電流が流れます。
また、抵抗の両はしには、乾電池の電圧が抵抗の大きさに比例配分されてかかります。

②並列つなぎ

図の(b)のように、左側は左側どうし右側は右側どうしにつなげるつなぎ方を並列つなぎと言います。

このときも、電池から電気が流れでて、ふたたび電池にながれこんでいます。
だから、電池に1本の抵抗Rがつなげられているのと同じことになります。

R1(Ω)とR2(Ω)の抵抗を並列つなぎにすると

で計算される抵抗線と同じことになります。
たとえば、20オームと30オームの抵抗を並列にすると

を計算してR=12オームが合成抵抗です。



導体・不導体・半導体

金属や炭素などのように、電気をよく通すものを電気の導体と言います。
純粋な水は電気が通りにくいのですが硫酸や食塩などが溶けている水は、電気をよく通します。

これにたいして、電気を通しにくいものが不導体です。
不導体と言っても、電気をまったく通さないわけではありません。

表面が汚れていたり、湿っていたりすると表面を伝わって電気が通りやすくなります。
また、電気の不導体は、熱の不導体でもあります。

不導体は、電気を通しにくいので、電気を必要なところだけに安全に通すために、絶縁体として使われています。

送電線をつりさげているがいしなどは、絶縁体です。

いろいろな物を電気抵抗の大きさによってわけると、抵抗の非常に小さい導体と非常に大きい不導体のほかに不純物の量や、光のあたり具合、温度の違いなどの条件で、抵抗の大きさがかわる性質をもったものがあります。

このような性質をもったものには酸化第一銅・酸化亜鉛・酸化ニッケル・酸化バリウムなどの金属の酸化物のほかシリコン・ゲルマニウム・セレンなどがあります。

抵抗の大きさが、導体にくらべるとはるかに大きいが絶縁体にくらべると、かなり電気をよく伝えるので、半導体と言います。

半導体は、金属とは違った特別な性質をもっているので整流器や、トランジスターに広く利用されています。

真空管と同じはたらきをしますが小形で、電力をあまり使いません。

接触抵抗

2つの針金をふれあわせるとき、おしつけ方の強さによって電気の通りにくさがかわります。

これは、ふれあうところに抵抗ができるためです。
この抵抗を接触抵抗と言い、かなり大きくなることがあります。

接触抵抗が大きいと、電気が通りにくいばかりでなくその部分から熱をだして、火災や電気器具の故障の原因となることもあります。

線をつなぐときは、表面を磨いたり、よくねじりあわせ、はんだづけをしたりします。

抵抗の調べ方

電気抵抗の大きさをかんたんに測るには、テスターを使います。

テスターのつまみを抵抗計にまわし、1本のテスター棒の先をふれたときにメーターの針が、ちょうどいっぱいに右にふりきれて0Ωを指すように0点調節をしておきます。

調節が終わったら、抵抗を調べたい両はしに、テスター棒をふれます。

このとき、メーターの針を読みとればその線の抵抗の大きさがもとめられるようにできています。

屋内配線は建物とよく絶縁されていないと火災の原因となります。
絶縁の度合(大きな抵抗の値)を調べるには、メガーという道具を使います。




電気抵抗とは?抵抗率とは?電気抵抗の単位とは?

電気抵抗

乾電池にいろいろな豆電球をつけると、豆電球によって明るいものもあるし、暗いものもあります。

これは、同じ電圧でも電気がたくさん流れる豆電球もあればあまり電気の流れない豆電球もあるからです。

つまり、豆電球をつくるとき電流の流れやすい線でフィラメントをつくれば明るい豆電球ができます。

このように、電気の流れやすい線もあれば、電気の流れにくい線もあります。
電気の流れやすさ、流れにくさは、線ごとに決まっていてこれを電気抵抗またはただ抵抗と言います。

高いところにたまっている水を、パイプで流すときパイプの太さや長さによって、水の流れ方が違うのとよく似ています。

細いパイプや長いパイプは、水流にたいする抵抗が大きく水が流れにくいのと同じような考え方です。


電気抵抗の単位

電気の流れにくさは、線の種類によって決まっています。

ある線の両はしに、1ボルトの電圧をかけたとき強さ1アンペアの電流が流れたとするとこの線のもつ電気抵抗を1オーム(Ω)と約束します。

これはオームの法則E=IRからでてくる約束です。
この式からE=1(ボルト)のとき、I=1(アンペア)なら、R=1となるからです。

ですから、ある線の電気抵抗の値を調べるにはその線に適当な電圧をかけて電流を流して、そのときの電圧と電流を測ります。

そして、オームの法則の式に入れて計算すればもとめられます。

たとえば、電圧1.5ボルトをかけたとき、流れる電流が0.3アンペアならその線の抵抗は、1.5(ボルト)÷ 0.3(アンペア)= 5(オーム)です。

テスターを使えば、もっとかんたんに線の抵抗を測ることができます。

大きい抵抗では、1000オームを単位とします。
1000Ω =1kΩ(キロオーム)です。

たとえば、10000Ωにと言わないで10kΩと言います。

線の長さ・太さと電気抵抗

電気抵抗の値は、電流を通す線の種類(鉄・ニクロム・アルミニウム・銅など)によって違います。
また、同じ種類からできている2本の線でも、長さや太さによって違います。

実験1

300ワッ卜用・1メートルのニクロム線数本、直流電流計(1アンペア用)
直流電圧計(5ボルト用)、乾電池2個を用意します。

ニクロム線を図のように板にはり、板に10センチごとの目もりをつけます。
これに乾電池・電流計・電圧計を、図のようにつなぎます。

クリップで、ニクロム線の長さが10センチメートル・20センチメートル……となるようにはさみそれぞれの長さでスイッチを入れて、電気を流しそのたびに電流と電圧の大きさを測って、電気抵抗を計算します。

(電気抵抗=電圧÷電流)

この実験の結果をグラフにすると、図のように、原点を通る1本の直線になります。
このことから、ニクロム線の電気抵抗は、長さに比例して大きくなることがわかります。

このことは、ニクロム線にかぎらず太さの決まった線の電気抵抗の大きさは、線の長さに比例します。



実験2

300ワッ卜のニクロム線2本を図のように並列につなぎ乾電池・電圧計を、まえの実験と同じようにつなぎます。

スイッチを入れて電流の強さ、電圧の大きさを測り、電気抵抗を計算します。

この抵抗の大きさは1本のときとくらべてみると長さは同じでも、太さが2倍のニクロム線の抵抗を測ったことになります。

つぎに、3本を並列にして実験しましょう。

太さが3倍のニクロム線の抵抗の大きさがでます。
このようにして、4本・5本と増やして実験すれば、太さと電気抵抗の関係がわかります。

この実験から、長さが同じ導線の電気抵抗の大きさは切り口の面横に反比例することがわかります。

つまり、針金の面積が、2倍、3倍……となると電気抵抗は2分の1、3分の1……となります。

抵抗率

太さ・長さが同じでも、金属の種類が違うと、導線の抵抗の大きさも違ってきます。
つまり、電気の流れやすい物質もあれば、流れにくい物質もあるのです。

そこで、いろいろな物質で同じ太さ、同じ長さの線をつくってそれぞれの抵抗をはかって、表にしておくと電気の流れやすい物質かどうかをくらべるのに便利です。

右下の表で、値の小さい物質は、電気が流れやすい物質です。
この値が非常に大きい物質は、ほとんど電気が流れない物質で不導体と言われるものです。

電気抵抗は、針金の長さに比例し切り口の面積に反比例するという関係がありますから表のように、断面積1平方ミリメートル、長さ1メートルの抵抗の値がわかっていると、ある長さ、ある太さの抵抗の値を計算でもとめることができます。

たとえば断面積0.5平方ミリメートル、長さ3メートルのタングステン線の抵抗の値は、

となります。

とくに、断面積1平方メートル、長さ1メートル、つまり1立方メートルあたりの電気抵抗の大きさを、その物質の抵抗率と言います。




電流計と電圧計の使い方とは? わかりやすく解説!

電気の実験では、電流計や電圧計を使うことが、よくあります。

これらの使い方を誤ると、内部の線が切れたりうまく電気が流れなかったりしますから、正しい使い方を覚えましょう。


① 電気には、直流と交流の電気があります。

電流計・電圧計には、それぞれ直流用と交流用があって直流用のものは交流電気には使えませんし、交流用のものは直流電気には使えません。

目もり板には、図のような記号で、直流用と交流用を区別しています。

② 電流計は、測ろうとする回路に、直列に入れます。
これを間違えて、並列につなぐと電流計の中の線が切れます。

③ 電圧計は、測ろうとする回路に、並列に入れます。
これを直列につなぐと、回路に電流が通りません。

④ 測ろうとする電流の強さや電圧の、およその見当をつけて適当なものを使います。
たとえば、電流の強さがだいたい3アンペアとしたら5アンペア用を使います。
また電圧が10ボルトくらいならば、15ボルト用を使います。

ふつうは、1つのメーターで2、3通りに使えるようになっていてそれぞれ端子が別についてしますから、適当な端子につなぎます。

もし、およその見当もつかないときは、大きいほうの端子から順につなぎます。
反対に小さなほうからつなぐと、針がふりきって、故障することがあります。

⑤ 針が、目もりの0点にあっているかどうかを確かめます。
もしあっていなければ、0点調整のねじで訓節します。

⑥ 直流用は、端子に+記と-記号があります。
+記号のあるほうを電池の+側に、-記号のあるほうを電池の-に必ずつながなければなりません。

交流用には、+・-がありません。

⑦ 目もり板には、上の図のようにななめにおいて使うことや垂直において使うことをかいたものがありますから、それにしたがって使います。

⑧ 2.5級と書いてあるのは、正確さの段階をしめすもので間違いが2.5パーセント以内ということです。

学校の実験などに使う電流計・電圧計は、2.5級でかまいませんがもっと正確な値が必要なときは、0.5級とか、1.0級のものを使います。




電流と電圧とは?オームの法則とは? わかりやすく解説!

電流

乾電池の+と-に豆電球をつなぐと、電気が+から-ヘ流れて、豆電球がともります。
この電気の流れを電流と言い、流れる電気の多少を電流の強さとよびます。

強い電流と言えば、電気が多く流れていることであり弱い電流と言えば、少し流れていることです。

電流は、目で直に見ることはできません。
しかし、これを水の流れにたとえて考えると、わかりやすくなります。

大きな川ではたくさんの水が流れ、小さな川では少ししか流れません。
大きな川の流れは強い電流にあたり、小さな川の流れは、弱い電流にあたります。

また、池やダ厶にたまっている水は、摩擦電気(静電気)にあたります。


電圧

水が流れるのは、水面の高さが違うためです。
水面の高さが違えば水圧も違い、水圧の高いほうから低いほうへ水が流れます。

電流の場合には、水圧にあたるものを電圧と言います。
水圧が水流を起こす原因となるように、電圧は電流を起こす原因となる力です。

電池の+というのは、電圧が高いほうで、-というのは、電圧の低いほうです。

2つの水槽に、水圧の差がいくらあってもそれをつなぐ、パイプが細ければ、水流も少ないように電圧がいくらあっても、+と-をむすぶ線によって、電流の強さは違ってきます。

電流と電圧の単位

電流の強さをくわしく測るには電流計で測り、アンペア(A)という単位であらわします。
100ワッ卜の電球に流れる電流は、100ボルトの電圧がかかっているとき1アンペアです。

電圧は、電圧計で測り、ボルト(V)という単位であらわします。
単一・単二などの乾電池の電圧は1.5ボルト、家庭にきている電圧は100ボルトです。

電圧が高いほど、電気を流す力が強いので危険になります。
家庭にきている電気に手をふれると、体に電気がながれてビリビリと感じます。
50ボルト以上の電圧のものは、体に直接ふれないように、注意しましょう。

電池のつなぎ方と電圧

電池のつなぎ力には、直列と並列があります。
直列つなぎは、水にたとえると、水槽を何個も積み重ねたようなものです。

水槽を積み重ねるほど水圧が増すように、電池の列直つなぎでは両はしの電圧は、それぞれの電池の電圧の和に等しくなります。

したがって、両はしに豆電球をつなぐと強い電流が流れて明るくなりますが、電池の電気は速くなくなります。

並列つなぎは、水槽を同じ高さのところで横にならべてつないだようなもので水圧は、1個のときとかわりません。

ただし、1個のときより、長いあいだ水が流れます。電池の並列つなぎでも同じです。

電流と電圧の関係

水圧が大きくなれば、水流の勢いが強くなります。
これと同じように、電圧が高くなるほど、電流も強くなります。

実験

直流電流計(1アンペア用)、直流電圧計(10ボルト用)単一乾電池3~4個、エナメル線、300ワッ卜用ニクロム線を用意します。

ニクロム線・直流電流計・直流電圧計・乾電池を図のようにつないで回路をつくったときの電流計・電圧計の針のふれをよんで記録します。

つぎに、乾電池の数を、2個・3個……と直列につなぎそれぞれの場合で、電流の強さと電圧の大きさを測って記録します。

実験の結果をグラフにしてみるとこれらの点は、図のように、原点を通る1本の直線上にならびます。

このことから「電流の強さは、加える電圧に比例する」ことがわかります。
つまり、電圧が2倍・3倍……となれば、電流の強さも2倍・3倍……となるわけです。

いま、ニクロム線に加える電圧をEボルト、そのときの電流の強さをIアンペアとすれば、この関係は左のような式であらわされます。

E∝I(∝は比例することをあらわす記号)比例定数をRとすると E=I×Rとなります。

このときのRは、電気抵抗または抵抗とよび、電気の流れにくさをあらわします。



オームの法則

ニクロム線に電流を流したとき、電圧・電流・電気抵抗のあいだには

E = I × R ………… ①

(電圧=電流×電気抵抗)

という関係があることがわかりました。これをオームの法則と言います。

オームの法則をあらわす①の式に、つぎのようにも変えられます。

I = E ÷ R(電流=電圧÷電気抵抗)…………②

R = E ÷ I (電気抵抗=電圧÷電流)…………③

この3つの式は、つぎのような計算のもとになります。

(a)電圧がもとめられる

6ボルトの電圧に、電気抵抗5オームの豆電球をつなぐと1.2アンペアの電流が流れます。

いま、このうち電気抵抗の値と電流の強さがわかっている場合は①の式から電圧がもとめられます。

1.2(I)×5(R)=6(E)
と、計算によって、6ボルトがでます。

(b)電流の強さがもとめられる

電圧と電気抵抗かわかっていると②の式から電流の強さがもとめられます。

6(E)÷ 5(R)=1.2(I)

(c)電気抵抗がもとめられる

電圧と電流の強さがわかっていると、③の式から電気抵抗がもとめられます。

6 (E)÷ 1.2(I)= 5(R)

オームの法則は、かんたんなものですがいろいろな電気の計算のもとになる、大切な法則です。




乾電池と豆電球のつなぎ方とは?電気の流れる道とは?

乾電池と豆電球のつなぎ方

ソケットに豆電球をはめて、ソケットの2本の線を、図のようにして乾電池の+と-の極につなぐと、豆電球がつきます。

これは、電池の+のほうから電流がでて銅線・フィラメントを通り、-のほうへ流れこむためです。

電流は、見ることはできませんが電気は、+の極から-の極へ流れるものと、決められています。


実験

2個の乾電池と、1個の豆電球をつなぐつなぎ方は、下の図のように、5通りあります。

A・Dのつなぎ方では豆電球がつきますが、B・C・Eのつなぎ方ではつきません。
電気は、+から+へや、-から-へは、流れないからです。
また、Eのようにつなぐと電池がすぐ弱ってしまいますから、気をつけましょう。

電池の直列つなぎと並列つなぎ

Aのように、1つの電池の+の極に、ほかの電池の-の極をつなぐのを電池の直列つなぎと言います。

このときの豆電球の明るさを、電池1個つけたときの明るさとくらべると2個の電池を直列つなぎにしたAのほうがずっと明るくなります。

これは、直列つなぎにすると、豆電球に流れる電気の量が、多くなるからです。

直列つなぎでは電池をたくさんつなげばつなぐほど強くなりますが電気が多く流れて、速く電池が弱ります。

このときの電気を流す力(電圧)はつないだ電池の数に1.5ボルトをかければ、そのときのだいたいの電圧になります。

Dのように、電池の+と+、-と-をつないだつなぎ方を、並列つなぎと言います。

並列つなぎでは、電池1個のときと、豆電球の明るさはかわりません。しかし、電池は長もちします。

これは、大きな電池を使ったのと、同じことになります。

実験

1個の電池に2個の豆電球をつなぐには、下の図のように①・②の2通りがあります。

①では、2つの豆電球が明るくつきますが、②では暗くつきます。
このことから、①には、2つの豆電球にたくさんの電気が流れ②には電気の流れが少ないことがわかります。

豆電球の並列つなぎと直列つなぎ

実験の①のように、2つ以上の豆電球の両はしを電池の同じ側につなぐことを並列つなぎといいます。

並列つなぎでは、どの豆電球にも、電気を流す力が同じにはたらき同じ強さの電流が通るので、明るさも同じになります。

また、1つの豆電球を消しても、もう1つの豆電球は、ついています。
このことから、家庭の配線では、すべての電気器具を並列につながなければならないことがわかります。

②のように、豆電球のはしとはしをつないで一列にしたものを、直列つなぎと言います。
直列つなぎでは、豆電球に流れる電気が少なくなって明るさが減ります。

そして、直列につなぐ豆電球の数が、多くなるほど明るさは暗くなって、しまいにはつかなくなってしまいます。

また、いくつかつないだ豆電球の1個を消すと、ほかの全部の豆電球が消えてしまいます。



電気の回路

豆電球を乾電池につなぐと、電気は+から出てソケットの導線を通り豆電球のフィラメントからふたたびソケッ卜の導線を通って、電池の-にかえります。

そして、途中のどこかが切れていると、電気は流れることができません。
それで、この電気の通る道筋のことを回路(1回りする道筋という意味)とよびます。

電気を流すときは、この回路ができていることが大切です。

回路の途中に故障があって、接触が悪かったり線が切れたりしていると電気が流れません。
回路は、電池の+からはじまって-で終わります。

1つの回路では、どこでも同じ強さの電気が流れます。
回路のはじめも終わりもかわりません。

上の図のように2個の豆電球を直列につないだ場合でも両方の豆電球には同じ強さの電気が流れて、同じ明るさになります。

スイッチ

電気の回路をつないだり、切ったりするものに、スイッチがあります。
スイッチを入れると回路が閉じ、切ると回路が開くので電気を流したり、止めたりするのに便利です。

配線図

電気の実験をしたり、電池を使った模型をつくったりするとき電気の回路を図に書いておくと、電気をどのように流すかを考えたりどの部分が故障したかを見つけるのに、たいへん便利です。

この回路図のことを、配線図ともよびます。

配線図には、実体配線図と平面配線図とがあります。
実体配線図は、実物をそのまま立体的に書いたものでいままで出て来たような図は、すべて実体配線図です。

回路が複雑になると、実体配線図を書くのは、非常に大変です。

平面配線図は回路をわかりやすくかんたんにあらわしたもので、つぎのようにして書きます。

① 電池・豆電球・スイッチなど、器具は、すべて記号であらわします。

② 回路に使う導線などはまっすぐに書き、曲がるところは、立角に曲げて書きます。




乾電池と豆電球のしくみと種類とは? わかりやすく解説!

乾電池と豆電球

電気は危なくて怖いものと思っている人が、多いようです。
確かに、私たちの家庭にきている電気に、直に手をふれると危険です。

しかし、ふつうの懐中電灯などに使っている乾電池は、どんな使い方をしても安全です。

そこで、乾電池と、それでつく豆電球を使って、いろいろな実験をしながら電気の働きや性質を、調べてみましょう。


乾電池の種類

乾電池には使い道によってまるいもの・四角いもの、大きいもの・小さいものなど、いろいろあります。

ふつう、懐中電灯などで使っている乾電池はまるい形のもので、大きさによって単一・単二・単三などの種類があります。

この3つは、電気を流す力はみな同じで1.5ボルトですが形の大きいものほど、長もちします。

私たちの実験には、このうちのどれかを使います。

携帯ラジオや写真のフラッシュなどに使う電池に、積層乾電池といって小形の乾電池をいくつも積み重ねたもので、高い電圧を出すことができます。

乾電池のしくみ

電池には、どんなものも、+と-の、極とよばれる2つのはしがあります。
電池から電気をとりだすには、必ず、この2つの極からとらなければなりません。
1つだけでは、電気をとりだして、利用することはできません。

乾電池では、頭の真ん中にある黄銅のキャップは中の炭素棒につながっていて、+の極になっています。

横は、金属やボール紙・プラスチックなどで包まれていますがその下にあるはし色の金属の筒は、亜鉛の板でつくられていて、全体が-の極です。

中には、図のように、炭素棒と、それを囲んで炭素の粉と二酸化マンガンを塩化アンモニウム液で硬くねった合剤が詰まっています。

さらにそのまわりには塩化アンモニウムの濃い液でつくったのり(電解液)がとりまいています。

筒の上は、中身がこぼれないように、ピッチ(石炭を蒸し焼きにしてできたもので電気を通さない)で固めてあり、黄銅のキャップだけがでています。

電池が弱ってくると、亜鉛の筒がぼろぼろになり、中の薬品がこぼれるので外側は、ボール紙の上を、鉄板やプラスチックの膜で包んであります。

乾電池の取扱い方

乾電池は長く続けて使っていると、だんだん弱ってしまいに、電気を流す力がなくなります。

乾電池は、続けて長いあいだ使うよりも、ときどき休ませて使うほうが長もちします。

また、使わないでも、長い年月のあいだには弱ってきますから製造年月の新しいものを選んで買いましょう。
亜鉛は、湿気にあうと錆びますから、なるべく、乾いた場所におくようにしましょう。

乾電池は、ホルダーにはめて使うと便利です。



豆電球の種類

豆電球にも、写真のように、いろいろな形や大きさのものがあります。

2.5ボルト用というのは、電圧2.5ボルトの電池につなぐとちょうどよい明るさに輝くように、つくられたものです。

もし、2.5ボルト用の豆電球を10ボルトの電池につなぐと電気が流れすぎてフィラメントが切れます。
まだ、これを1.5ボルトの電池につなぐと電気の流れ方が少なくて、暗くなります。

しかし、2.5ボルト用といっても、4ボルトや5ボルトの電池につないでもすぐフィラメントが切れるようなことはありません。

私たちの実験には、2.5ボルト用が適当でしょう。

豆電球のしくみ

豆電球は、ふつうの電球と同じように、口金とガラスの球とからできています。
ガラス球の中には、細いタングステンのフィラメントがあります。

フィラメントは、2本の支柱で支えられていて1本の支柱は口金のねじにつながり、もう1本は、口金の頭のところに出ています。




光の三原色とは?色のしくみと正体とは? わかりやすく解説!

光の三原色

太陽の光をプリズムで分散すると、赤から紫までの色の光にわかれます。
ところが、わかれた光をふたたび1つに集めると、またもとの白色光にもどります。

このことからわかるように、太陽の光は目で1つの色の光に見えていても実は、いろいろの色の光の集まりであることがわかります。


実験

3本の懐中電灯を、それぞれ赤・青・緑色のセロハンで包みます。
白い紙を壁にはり、それに懐中電灯の光を、いろいろまぜてうつしてみましょう。

赤と青の光をまぜると、赤紫ができ、赤と緑の光をまぜると、黄色ができます。
さらに、赤・青・緑の光をまぜると白紙には色が見えないで、白色光がうつるだけです。

このように、赤・青・緑の3つの色の光りをまぜてほかの色をつくることができるし、まぜる割合をかえると、違った色ができます。

しかし、青と緑をどんな割合でまぜても、赤はできません。
同じように緑と赤から青、青と赤から緑の光をつくることはできません。

つまり、赤・青・緑の光りは、互いに独立した色と考えることができ赤・青・緑の色の光を、光の三原色と言います。

補色

赤い光と青緑の光とを適当な割合でまぜあわすと、白色光になります。
このような2つの色を、互いに捕色(余色)と言います。

絵具の三原色

光をまぜあわせる場合、たとえば赤と青の色の光をまぜると、赤紫になります。
ところが、絵具の赤と青をまぜると紫色になります。

左の図のように、色のついていない白色光が黄色の絵具にあたるとその中で反射や屈折して、青・青紫・紫などの光は吸収されてしまいます。

しかし、赤・橙・黄・緑などの光は反射されて外へ出てきます。
そして、これらの光のうち黄色がいちばん強いので、絵具は黄色に見えるのです。

同じように青色の絵具では、赤・橙・黄などの光は吸収され残りの色が反射して外へ出てきますが、そのうち青色が強いので絵具は青く見えます。

そこで、黄色と青色の絵具をまぜると、互いに他の反射光を吸収しあい2つの絵具が共通して外に出す色が緑色の光だけになるので緑色に見えます。

絵具の場合には、いろいろな色をつくるのに必要な色は赤・青・黄の3つで、これを絵具の三原色と言います。

絵具の補色

光と同じように、絵具にも捕色があります。
たとえば、赤と青緑、黄と青紫などの絵具をまぜあわせると明るい灰色になります。
このように、まぜあわせると無彩色になる2つの色を、互いに補色と言います。

また、たくさんの色の絵具をまぜあわせるとすべての色光を吸収するので暗い灰色になります。

実験

図のようなこまを厚紙でつくり、半分ずつ、互いに補色の色をぬってまわしてみましょう。

全体が、うすい灰色に見えてきます。

中間混合

このように、色をぬった円板で色をまぜあわせると色光と絵具の中間のまざり方をするので、中間混合と言います。



光の正体

目に見えるだけで、手にふれても何も感じられずにおいもない光は、むかしの人にとっては、大きな謎だったのです。

17世紀に入るころまで、光は、つぎのように考えられていました。

空気中には、目にも見えないしまた、手をふれても感じることができないエーテルとよばれているものがいっぱいあって、音が空気中を伝わるように光がこの中を伝わっていくと信じられていました。

粒子説と波動説

18世紀になってニュートンが、光は光源からつぎつぎに飛び出てくる、非常に小さな粒であると考えました。

光の反射や屈折などは、この考え方で、うまく説明することができます。
この考え方は、長いあいだ正しいと考えられていました。

しかし、シャボン玉や水たまりに浮かんだ油のうすい膜にはきれいな色がついて見えますが、これを、光が小さな粒であると考えたのではどうしても説明することができませんでした。

そこで、光は、音と同じような波ではないかと言われるようになりました。

電磁波としての光

こうして光の正体はなかなか掴めないまま、19世紀の前半が終わりました。

1864年、マクスウェルという人が、難しい方程式を使って光の速度と電気の波(電磁波)の速度がほとんど同じことを発見しました。

ラジオの電波や、赤外線・紫外線・X線なども、みな電磁波とよばれる横波の形で真空中を光の速度で伝わり、ただ波長だけが違っていることがわかったのです。

そして、ヘルツという人が、実験で電磁波を確かめました。

ところが、20世紀になって、原子についてのくわしい研究が進むにつれてまた、光が粒であると考えなければ説明できないいろいろなことがおこってきました。

金属に光をあてると、その表面から電子が飛出します。
このことなどは、光は粒であると考えなおさなければ、どうしても説明できません。

このようにして、いろいろに考えられてきた光は現在では光は、波の性質と粒の性質の両方をもっているもの、と考えられています。

私たちが身近に経験することは、すべて、光を波と考えて説明することができます。

ただ、原子のように、非常に小さなものの中でおこることがらを説明するにはどうしても、光を粒であると考えることが必要になるのです。




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