空気による浮力とは?気体の比重とは? わかりやすく解説!

水素をつめた風船

アルキメデスの原理は、水ばかりでなく、空気についても成り立ちます。

つまり、空気中にある物は、すべてその物と同じ体積の空気の重さに等しい浮力を受けて、その分だけ軽くなっています。

ゴム風船は、空気をつめても浮かび上がりませんが水素をつめると、空気中に浮かび上がります。
これに風船全体の重さより、風船にはたらく空気の浮力のほうが大きいからです。

たとえば、1リットルの水素をつめた風船には約1.29グラムの浮力がはたらきます。

1リットルの水素の重さは約0.09グラムですから
1.29 – 0.09 = 1.20(グラム)
だけの力を受けて、この風船は空気中に浮かび上がるのです。

しかし、実際には風船や糸の重さがあるので風船を浮かせる力はもっと小さくなります。


物の重さと空気の浮力

空気中で物の重さを測ると、その値は本当の重さとは、少し違ってきます。

たとえば、ばねばかりで物の重さを測ると空気による浮力だけ小さい値があらわれてくるからです。

式であらわすと、測った値=(本当の重さ)-(空気の重さ)になります。

そのため、本当の重さを知るには測った値に空気の浮力を足してやらなければなりません。

しかし、空気の重さは、ふつうの物の重さにくらべて非常に小さいので私たちがふつうに物の重さを測るときには空気による浮力を考えないことにしています。

気体の比重

空気より比重の小さい気体を風船につめるとその風船は、空気中に浮かびあがります。

たとえば、ヘリウムという気体は、その比重が空気の約0.14倍なので大きな気球を飛ばすときに使われます。

いろいろな気体の比重を調べると、空気の比重よりも大きいものも小さいものもあります。

たとえば、酸素の比重は、空気の約1.1倍でアンモニアは空気の0.597倍にあたります。




空気の性質とは?空気の弾性と重さとは? わかりやすく解説!

空気の重さと浮力

私たちは、空気を見ることも、手で掴むこともできません。

しかし、空気は草や木が成長するときにも、また、私たちが呼吸をしたり、あるいは、物が燃えたりするときにも、なくてはならないものなのです。

空気は、私たちの頭の上ばかりでなく体内にも、体の周りにも、いたるところにあります。

そこで、空気にはどんな性質があるか、調べてみましょう。


空気の色とにおい

スポイトの先を水の中に入れ、頭についているゴムを押すとぼこぼこと泡が出てきます。

これは、スポイトの中の空気が出てきたのです。

また、空のコップをふせたまま水の中に押し込んでみると、コップの中に水はあまりあがりません。
この水のないところには、空気が入っているのです。

コップを少しずつ横に傾けるとやはり中の空気が泡になって外へ出ていきます。

また、ゴム風船をふくらませて、手をはなすと、風船は前へ飛出します。
これは、風船の中の空気が目には見えませんが、勢いよく外へ出るのでその反動で風船が押されるからです。

ふつうの空気には、色もないし、においも、味もありません。

空気の通る道

空気には、どんな小さな隙間にも入っていこうとする性質があります。
それで、特別に空気を抜いたところのほかはたいていのところに空気が入っています。

今、水をいっぱい詰めたサイダー瓶を、逆さにしてみましょう。
水が外へ出ていくとき、空気が泡になって瓶の中に入っていくのが見えます。

これは、水がでたあとに隙間ができるとその隙間を埋めようとして、空気が瓶の中に入り込むからです。

また、缶入りのジュースをコップにうつすのに1つだけ穴を開けたのではジュースがよくでません。

これも、缶の中に空気が入りこもうとしてジュースが出ていくのを邪魔するからです。

このため、別のところにもう1つ空気の入る穴を開けるとこんどはよく出るようになります。

また、醤油瓶から、醤油を出すとき空気の取り入れ口をつけた栓をすると、醤油が、よくでます。

空気の弾性

みなさんは、紙玉鉄砲で遊んだことがあるでしょう。
玉をうつためには、まず1つ目の玉を筒の先に押し込みつぎに、2つ目の玉を強く押し込むと、先の玉が飛出します。

これは2つ目の玉を押して、玉と玉のあいだの空気を押し縮めるとその空気が、もとの体積まで広がろうとして1つ目の玉を強く押し出すからです。

これは、ゴムひもを伸ばしておいて、その力を急に緩めるとゴムひもがもとの形にもどるのと同じです。

このような性質を弾性と言います。
紙玉鉄砲で玉を撃つことができるのも、空気に弾性があるからです。

そのほか、自転車に使う空気ポンプの空気の出口を硬く閉じてポンプのピストンを強く押すと、逆に押し返されるのも空気の弾性によるものです。

また、ゴムまりやフットボールのたまが弾むのも地面にあたって縮んだ空気が、もとの体積にふくれるのでその力で飛び上がるのです。

混合物としての空気

空気は物が燃えるのに役立つ気体とそうでない気体とが混ざりあったものです。

物が燃えるのに役立つ気体は酸素で、その量は空気の体積の約5分の1です。
また、物が燃えるのに役立たない気体は、おもに窒素でその量は空気の体積の約5分の4です。

このほかにも少量の水蒸気や、二酸化炭素もふくまれています。
また、アルゴン・ネオン・ヘリウムなどの気体もあります。
空気は、このようないろいろな気体がまじりあった混合物なのです。

また、ふつうには、空気は気体ですが、押し縮めた空気を急に膨張させると温度が下がる性質があります。

そして、零下190度ほどになると空気はついに液体になってしまいます。
これを、液体空気と呼んでいます。

液体空気をほうっておくと、はじめに窒素の多い気体が蒸発するのであとに残る気体には、酸素が多くなります。

そこで、この性質を利用すると、液体空気から窒素と酸素とをわけることができます。



空気の広がり

私たちの周りにある空気は、空の高いところまで広がっています。
そして、この空気の厚い層が地球を取り巻いています。
このような厚い空気の層を、大気とよんでいます。

また、空気は、地球の表面から遠くはなれるにつれてしだいにうすくなります。
全体の空気の約半分は、5.5キロメートル以下のところにあると言われます。

大気がどのくらいの高さまであるかよくわかりませんが学者たちは、オーロラのあらわれる高さから考えて少なくとも、地上1000キロメートルまで、空気があると考えています。

空気の重さ

空気に重さがあるなどと言うと、不思議に思う人もいるかもしれません。

しかし、ガリレオ・ガリレイという人は、つぎのような方法で空気にも重さがあることを確かめました。

ガリレオは、まず大きなガラスの瓶の中に、空気をポンプで押し込みこの瓶を測りにかけてつり合わせました。

つぎに瓶の栓を開けて重さを測ると、瓶の中の空気の一部分が逃げ出して、瓶のほうが軽くなるので、重りが下がりました。

このとき、もし、逃げ出した空気と同じ重さの重りを瓶のほうにかければ、測りはふたたびつり合うはずです。
このことから、空気にも重さがあることがわかりました。

あとで、ガリレオはもっとくわしく調べて同じ体積の水の重さの400分の1であるとしました。
しかし、現在では、水の重さの約800分の1であることがわかっています。

空気の重さの測り方

私たちはガリレオとは別の方法で、空気の重さを測ることができます。

それには、まずフラスコの空気を抜き取ってそのときのフラスコの重さを測ります。

つぎに、フラスコに空気を入れて、もういちど重さを測ります。
このとき増えた重さがフラスコの中に入った空気の重さです。

また、フラスコの容積を測り、空気の重さをフラスコの容積でわれば1立方センチあたりの空気の重さがわかります。

実験

まず、200立方センチくらいのフラスコに少量の水を入れ、ガラス管の先にゴ厶管をつけた栓をします。

そして、アルコールランプで、フラスコの水に立てます。
すると、フラスコの中の空気は水蒸気といっしょにほとんど外に出てしまいます。

つぎに火を消し、すぐにゴム管を曲げてピンチコックではさみます。
そして、フラスコを水で冷やしてから、フラスコ全体の重さを測ります。

水蒸気は、水になると、その体積が約1650分の1に減るのでこのフラスコの中は、ほとんど真空に近い状態になっています。

こんどはピンチコックを開いてフラスコに空気を入れもういちど重さを測ってみましょう。
このとき増えた重さが、空気の重さです。

最後に、メスシリンダを使ってフラスコに何立方センチの水が入るか調べてみます。

こうして容積を測ってから、空気の重さを容積でわって1立方センチあたりの空気の重さを出してみましょう。

くわしく調べると、0℃一気圧のときの空気の重さは1立方センチあたり、0.001293グラムです。

つまり、1リットルあたり、約1.29グラムです。




毛管現象とは?日常見られる毛管現象とは? わかりやすく解説!

毛管現象と水の高さ

細い穴の通ったガラス管(これを毛管という)の下のはしを水槽に入れます。

このとき、毛管の内面がきれいであれば、水は内面を濡らしながら毛管の穴を通って、ある高さまであがります。

このときの毛管内の水面を注意してみると、下側にくぼんでいます。


こんどは、同じ毛管の内面に油を塗って、水に立ててみるとまえとは反対に、毛竹管の水は下がってしまいます。

このときの毛管内の水面は、まえと反対に、上側にもりあがっています。

このような現象を毛竹現象と言います。
これも、表面張力によって起きる現象の1つです。

内面がきれいなガラスの毛管ではガラスが水に濡れてその管内の水面は、下側がくぼんだ形になっています。

ところが、このような面は水平な面よりも表面積が広いので表面張力のはたらきは、この面を水平にしようとして下の水までもひきあげてしまいます。

そして、水面があがって水平になると水はガラスをぬらす性質があるので、また下側にくぼんだ形になります。

そこで、また同じことが繰り返されて水面が高くあげられしまいにはくぼんだ水曲をもちあげようとする表面張力とその下の水の柱の重さとが、同じになってしまいます。

つまり、そこまで毛管内の水面が表面張力によってあげられたことになるのです。

また、毛管内か水で濡れないようにしてある場合にはまえと反対で管内の水面は上にとがった形になります。

こんどは、表面張力によって、水面が押し下げられることになるのです。
そして表面張力の押し下げようとする力と面の深さによって決まる水圧とは、同じになるところまで下がってつり合うことになります。

水銀の中に、ガラスの毛管を立てる場合にはいつでも毛管内の水銀面が下げられます。

また、毛管現象によってあがる水の高さは毛管の穴の太さによって違います。

穴が細いほど、管内の水面の曲がり方が激しくなり表面張力の効果が大きくなるので、水は高くあげられます。

同じ穴の太さの毛管でも、液体の種類が違うと、あがる高さも違います。
これは液体の種類によって、表面張力も密度も違うからです。

このことを利用して、いろいろな液体の表面張力の強さを測ることができます。



日常見られる毛管現象

てぬぐいの一方のはしを水につけておくとしだいに上のほうまで濡れてくるのは水が布目を毛管としてあがってくるためです。

すい取り紙のはたらきも、万年筆の先にインキを送るしくみも毛管現象に基づくものです。

また、下の図のような自記温度計や乾湿球湿度計などに使われている記録用のペンも、万年筆のペンと同じしくみです。

そのほか、大きな木が、根で吸った水を高い先の葉まで運ぶことができるのも1つにはこの毛管現象の助けによっているのです。




表面張力とは?表面張力の利用とは? わかりやすく解説!

表面張力

容器に入っている水の面は、いつでも水平ですが毛布やほこりの積もった床などに落とした水滴は、ほぼ球形になっています。

また、スイレンやイモの葉の上にある水滴も、丸い玉になっています。
水道管からぼたぼた垂れている水や雨粒も空中ではだいたい球形になっています。

また、コップに水を静かに注いでいっぱいにしてからなお水を加えていくと水はこぼれないで、水の山もりができます。

このほかにも、私たちの身のまわりにはこれに似た現象がいろいろ見られますがいずれも水の表面の性質によるのです。


水には、その表面積を、できるだけ小さくしようとする性質があります。
この性質のために、水の表面には、力がはたらいているのです。

水ばかりでなく、どんな液体にも、このような性質があってその裏面に力がはたらいています。
そこで、この力を液体の表面張力と呼んでいます。

この力があるために、液体の表面にはうすい膜があってその膜が、いつも小さく縮もうとしています。

小さな水の粒が球形になろうとするのも、表面張力のためです。
まるい球の形は、体積が一定であるときいちばん小さい表面積をもった形なのです。

コップの水がこぼれでるには、水がいっぱしになったうえにもっと表面が広くならなくてはなりません。
ですから表面張力のほうが、横に流れでる力よりも強いあいだは水の山もりができるのです。

実験1

鉄は水に沈みます。
ところが、油をぬった針を静かに水面におくと水に浮かべることかできます。

針の置き方は、図のように、ろ紙を使うのがよい方法です。

水にぬれない針は、まず自分の重みで、水面の膜をくぼまします。
そのために表面がわずかに広くなるので、表面張力はそのくぼんだ面をもとにもどそうとはたらきます。

この力が、針を支えているのです。

これとまったく同じ原理で、水面を運動する動物がいます。
それは、池などにいるアメンボやミズスマシの仲間です。
ちょうど、水面のうすい膜の上を氷すべりでもしているように走っていきます。

実験2

一方のガラス管が短いU字管を用意して長いガラス管のほうから、静かに水を入れてやります。

短い管が水でいっぱいになっても、なお水を加えると、水はこぼれないで、図のように管の水面が違ったままでつりあっています。

このとき、短い管の水面は、半球状にもりあがっています。

これも、表面張力のはたらきです。
短い管の水面が半球状にもりあがっているので平らな場合よりも、表面が広くなっています。

そのため、表面張力は球面を下げるようにはたらくので長い管の水面はその力につりあう分だけ、高くあがることができるわけです。

実験3

針金で、コの字形のわくをつくり、2本の針金の先を図のように曲げて、それに針金(A)をわたしておきます。

これを石鹸液に入れて静かに鉛直に引き出すとわくにうすい石鹸の膜ができます。

さらに、わくを静かに傾けて、水平に近づけていくと針金が膜でひきあげられるようになります。

この場合、石鹸液にも、表面張力があります。
そのため、石鹸の膜はできるだけ表面積を小さくしようとして針金を内側に引いているのです。

ところが動くのは針金だけですが、針金(A)には重力が別にはたらいているので、その重力よりも大きくなければ動かすことはできません。

わくを傾けると、針金にはたらく重力は図のようにわけて考えられます。
そして、しまいには表面張力のほうが大きくなって針金を引き上げるのです。

走る小舟

表面張力を利用したおもしろいおもちゃがあります。
夏の夕方、えん日などで見かけるセルロイドの小さな船です。

この船のうしろに、しょうのうの小さな白いかたまりを1つつけて水に放すと小舟は生きてでもいるように、いつまでも水面を走りつづけます。

この小舟の動力が、実は表面張力なのです。
しょうのうが水に溶けると、溶けた水の表面張力が小さくなります。

そのために、小舟のまえとうしろでは、表面張力の違いができ小舟は大きな表面張力のはたらく方向へ動きだすのです。



散弾の製造

ウサギや小鳥をうつのに使われる猟銃弾は散弾といって、小さな鉛の玉がたくさん入ったものです。
この鉛の玉の製造には表面張力が上手に利用されています。

はじめ、高温に熱して溶かした液状の鉛を適当な大きさの穴の開いたふるいのようなものから下の水の中へふるい落とします。

穴からふるい落とされた液状の鉛は空中を落ちているあいだに表面張力のはたらきで小さな球形になります。
これがそのまま水におちこんで、急に冷やされ、鉛の玉になるのです。

この場合、ふるいの位置があまりに低すぎるときれいな球形の玉ができません。

シャボン玉

シャボン玉とゴム風船はよく似ていますがこの玉が縮もうとする力はゴム風船ではゴムの弾力ですがシャボン玉では石鹸の膜にはたらく表面張力です。

いま、ここに、大きさも厚さも同じ2つのゴム風船を用意して一方を大きく、他方を小さくふくらませます。

それを図のように、ガラス管の両はしにとりつけます。
すると、大きいほうから、小さいほうのゴム風船に空気が流れて同じ大きさになってつりあいます。

ところが、図のように、シャボン玉で同じような実験をしてみると小さいほうから大きいほうのシャボン玉に空気が流れて小さいほうは、ますます小さくなってしまいます。

この実験からわかることは表面張力はゴムの弾力とは違うということです。

ゴム風船の場合には、大きくふくらんだほうがもとにもどろうとする弾力が強くなります。

しかし、シャボン玉では、面の曲がり方が大きいほどつまり、小さいシャボン玉ほど、表面張力の効果が大きくなるのです。

容器の壁と液体

ガラスの容器に入れられた水の面はガラスの壁の近くでは水平になっていません。

ガラスの壁がきれいで、水に濡れやすくなっているとその面は、図のように、上に曲がっています。

また、もし、ガラスの壁に油をぬって、水に濡れないようにしておくとこんどは反対に下に曲がります。

水がガラスの壁を濡らす場合には、ガラスの壁は水を持ち上げて図の下のような実線でしめす形の水面になります。

これでは、水の表面が広くなるので、表面張力のはたらきによって図の点線の形にして安定を測るのです。

反対にガラスの壁が濡れない場合には、はじめ実線の形をとろうとしますが、これも表面張力のはたらきで、図の点線の形になります。

また水銀は、ガラスを濡らさないのでガラスの容器に入れられた水声にガラスの壁の近くでは、いつでも下に曲がった面になります。




水準面と水平面とは?連通管の利用とは? わかりやすく解説!

水準面と水平面

糸のはしに小石をつけてたらすと、糸はまっすぐな直線状になります。
この糸の方向を鉛直方向と言い、その線を鉛直線と言います。

いま、水槽に水を入れ、図のように糸をたらしてその糸と水面との関係を調べてみると水面は糸の鉛直線に垂直になっています。

静かな池の水面でも、同じことがわかります。
このような性質のある水面を、水準面と呼んでいます。

ところが、鉛直線は地球の中心にむかう線であり地球はほぼ球形であることを考えると、広い水準面は球面状になっていなくてはなりません。

水槽に入った水の表面や、小さな池の水面などでは地球が非常に大きいので、その曲がり方がわからないだけなのです。

容器に入った水の面を平らに伸ばしてみると図のように、水凖面とは違った面が得られます。

これを、水平面と呼んでいます。

したがって、容器中の水準面は、いつでも水平面だと言えます。


連通管

いくつかのガラス管を、底でつないだ容器を、連通管と言います。

水の入った連通管の水面は、どれも水平面になっていてこれらのうちのどれか1つの水面を平らに伸ばすとどの管の水平面も同じ高さになります。

このわけを、図のようなU字管の連通管で調べてみましょう。

U字管の底をつなぐガラス管に、図のような1つの面を考えると水が静止しているためには、この面を押す右からの水圧も左からの水圧も、同じ大きさでなくてはなりません。

ところが、水圧の強さは、水面からの深さだけできまりますからこの2つの水圧が等しくなるためには、両方の管の水面が同じ水平面であればよいことになります。

連通管の利用

ボイラなどのように、中を通して見えない物に入っている水の量を知るのには、水位計が使われます。

これは、細いガラス管になっていて連通管の原理によって、ガラス管の水面と同じ高さまで、水があることがわかるしくみになっています。

水準器

水平を確かめるための道具に、水準器があります。

これは下の写真のように、曲がったガラス管にエーテルがエーテルとアルコールの混じった液を入れ空気をわずかに残して両はしを閉じたものです。

ガラス管の気ほう(閉じ込められた空気)がちょうど中央で止まっていれば、その水準器は水平なのです。




浮力が利用されているものとは? わかりやすく解説!

船は、鉄でつくられていますが、水に浮かびます。
洗面器や茶碗なども水に浮かびますが水が容器の中に入りすぎると沈んでしまいます。

言い換えれば、容器の内部の空気を水におきかえると沈んでしまいます。
このことから、物が浮かんでいるためには内部の空気が大切なはたらきをしていることがわかります。

たとえば、茶碗をとって、このわけを考えてみましょう。

浮いている茶碗がおしのける水の体積は図の水面下の斜線の部分の体積に等しいはずです。

この体積のうち、比重が1より大きな瀬戸物でしめる体積の割合いは極めて小さく、その大部分は、水よりはるかに軽い空気です。

しかし、空気の部分でおしのけた水の重さも浮力としてはたらくので、茶碗が浮くようになるのです。

このように、材料でおしのける水の重さよりも空気でおしのける重さのほうを大きくするように工夫すればたとえ材料の比重が1より大きくてもその物を浮かせるだけの浮力をつくることができます。

船が浮かぶわけも、茶碗と同じです。


比重の測定

浮力を利用して、いろいろな物の比重をかんたんに測ることができます。

水に沈む物の比重

たとえば、石の比重を測るには、まず石の空気中での重さを測ります。
つぎに、水中での石の重さを測れば、石の比重がもとめられます。

水に浮く物の比重は、もちろんこの方法では、測れません。

その場合には、その物を静かに水中におしこんでしまうまでに流れでた水の重さを測り、それで空気中の重さをわればその比重をもとめることかできます。

液体の比重

油の比重は、油に沈む物の重さを、つぎのように測れば、もとめられます。
たとえば油に沈む物として、石を選んだとするとまず、空気中での石の重さ(W)を測ります。

つぎに、水中での石の重さ(Q)と油の中での石の重さ(P)をはかります。

そして、つぎの式から、油の比重をもとめます。

浮きばかり

浮きばかりは、液体の比重をかんたんに測るためのものです。

これを測ろうとする液の中に浮かべその液面の目もりを読みとれば、それが比重になります。

浮きばかりの目もりには、その目もりより下の部分の体積で浮きばかり全体の重さを割った値が、書きこまれています。

いま、この浮きばかりをある液に浮かせてみて液面の目もりが1.3であったとします。

すると、この目もり以下の体積に等しい液体の重さが浮力としてはたらき、それが浮きばかり全体の重さとつりあっているはずです。

したがって、目もり1.3は、この液体の密度だということになります。
密度も比重も同じあたいですから、これを比重といってよいのです。

浮き

海水よく使われる、浮き輪や浮きボート、港や海岸などで見かける浮標なども、浮力を利用したものです。

そのほか、自記雨量計で雨量を測るときやガス湯わかし器で水の量を加減するところなどに浮きが上手に利用されてします。




水による浮力とは?アルキメデスの原理とは?

水による浮力

ガラスの欠片を、水に浮かべようとしても、沈んでしまいます。
ところが、空のガラス瓶は、浮かびます。
また、木片は、内部が空でなくても浮かびます。

空の瓶でも、その中に釘のようなものを入れていくとだんだん沈むようになり、しまいにはまだ中に空気が入っていても沈んでしまいます。

このように、物が浮かんだり、沈んだりするのはどんな条件で決まるのか、調べてみましょう。


水中での物の重さ

水の中では、物の重さは、どうかわるか、つぎの実験をして調べてみます。

実験1

用意するものは、おしばね兼川のばねばかり大きいビーカー、小さいビーカー、上ざらてんびん、糸、小石、木片です。
大きいビーカーの口にパラフィンをぬって水の表面張力をふせぎます。

① 小石を糸でゆわえつけ、空気中での重さを、ばねばかりではかります。

② 大きいビーカーを少しななめにして水があふれでるくらいにしておきます。

図のようにばねばかりにつるした小石をビーカーの底につけないようにして、水中での重さをはかります。

③ こぼれでた水を、小さいビーカーにとりその水の重さを上ざらてんびんではかります。

水の重さのはかり方は、空のビーカーの重さをあらかじめはかっておき、つぎの式でもとめます。

(水の入ったビーカーの重さ)-(空のビーカーの重さ)=水の重さ

実験2

こんどは木片を用意します。

① 木片の重さを空気中ではかります。

② この木片を静かに水に浮かべ、このとき流れでた水をビーカーにとって、その水の重さをはかります。

③ 木片をおしばね兼用のばねばかりで、静かに水中に沈めます。
そして、木片が完全に水につかったときのばねばかりの目もりを読みとります。

ばねばかりで読みとった重さは浮いている木片を完全に沈めるために必要な力です。
このとき流れでた水を別のビーカーにとって、その水の重さをはかります。

④ 木片を、水中深く沈めたときと、浅いときとでばねばかりの目もりに違いがあるかどうかを確かめます。

これらの実験から得た結果をくらべてみるとつぎのようなことがわかります。

(実験1)から小石の空気中での重さは水中での重さと、こぼれでた水の重さの和に等しい。

(実験2)から(1)木片の空気中での重さは木片を浮かべたときにこぼれでた水の重さに等しい。
(2)浮かんでいる木片を、完全に沈めるために必要な力はそのとき流れでた水の重さに等しい。

(3)②と③のとき、流れ出た水の重さを加えたものは空気中での木片の重さと木片を完全に沈めるために必要な力とを加えたものに等しい。

(4)木片を完全に沈めるために必要な力は水の深さで、かわることはない。



アルキメデスの原理

実験の結果を上手に説明するためには、水中での物体はその物体がおしのけた水の重さだけ軽くなると考えればよいのです。

これを、アルキメデスの原理と呼んでいます。

また、物を軽くするためにはたらく力を、浮力と言います。
したがって浮力は、物体がおしのけた水の重さに等しいわけです。
これらのことは、水ばかりでなく、ほかの液体についても同じです。

(実験1」で、水中での小石の重さは、小石が沈んで、おしのけられてこぼれでた水の重さと同じだから、その水の重さだけ軽くなります。

(実験2」では、最初にこぼれでた水は、木片が水にひたっている部分が、おしのけた水ですから、この水の重さだけの浮力が木片にはたらいているはずです。

この浮力が、木片の重さに等しいので、つりあって浮いているのです。

つぎに、水に浮いている木片を、さらに水の中に押し込むのには、力が必要なことが、まえの実験でわかりました。
この力は、水面に出ていた木片がおしのけた水の重さに等しい力です。

このことは、木片が、新たにおしのけた水の重さと同じ浮力を受けるので、それと同じ力を、浮力と反対方向に加えてやる必要があるからです。

また、木片を全部水中に沈めたときには木片と同じ体積の水がおしのけられるので、浮力の大きさは2回にわたって流れでた水の全体の重さに等しくなります。

ところが木片の重さは、この水の重さよりも小さいので浮いてしまうのです。

木片を、完全に水に沈めておくには木片の重さとこぼれでた水全体の重さとの差だけの力を浮力と反対向きに加えなくてはなりません。

この場合、浮力の大きさとは、水中の深さに関係なくただおしのけた水の重さだけで決まることです。

水に浮くもの・沈むもの

ガラスのビー玉が沈むのは、ビー玉の体積に等しい水の重さよりビー玉の重さのほうが大きいからです。

ここで、まえに説明した物の比重を思い出してみましょう。
比重は、同じ体倣の水の重さの何倍であるかをあらわした数値なので比重が1より大きな物は、水に浮かせると、浮力よりもその物の重さのほうが大きいことになります。

このため、そのようなものは、水に沈みます。
反対に、比重が1より小さいと、その物は水に浮かびます。

もし、比重がちょうど1であればその物は、水中にもぐり、水中のどこにでも留まっています。

しかし、比重が1より大きな物でも、その物の形をうまく工夫すれば瓶や洗面器のように、水に浮かべることができます。

また、もし水のかわりに水銀を使ったとすればこんどは、物がおしのけられた水銀の重さと同じ浮力を受けるので銀や鉄なども浮いてしまいます。

水銀の比重は、約13.6で、銀の比重が10.5、鉄の比重が7.9だからです。
しかし、金のように、比重が19.3のものは、水銀の中に沈みます。




パスカルの原理とは?水圧機とは? わかりやすく解説!

パスカルの原理

こんどは、外から圧力を加えたとき水の内部にどんな変化が起きるかを、考えてみましょう。


ゴムまりに同じ大きさの小さな穴をたくさん開けてその中に水をいっぱい入れます。

穴が小さいと、そのままでは水は外に流れでることはありません。

このときゴムまりの内部には水圧があり、下側の部分ではその上の水の重さだけの圧力を受けていますが表面張力のために、水は流れないのです。

ところが、いまこのゴムまりの一部を、外側から指で押してみます。
すると、中の水はどの穴からも、ゴムまりの面に垂直にしかもほとんど同じ勢いで飛出します。

指の近くの穴では、飛び出る水の方向は、外から加えた力の方向とはほとんど反対になりますが、やはりほかの穴と同じように飛び出ます。

また、押す指の力を強くすると、飛び出る水の勢いも強くなります。

このとき、水がゴムまりの面から垂直に飛び出るのは内部の水が、ゴムまりの面に垂直におさえられる圧力を受けるからです。
この圧力は、指でゴムまりを押したことによってできた、新しい圧力です。

また、どの穴の水も、同じ勢いで飛び出ることから、この新しい圧力はゴムまりの内部のどこででも、同じ強さではたらいていることがわかります。

外からの力は、指とゴムとが接している面を通して水にはたらくわけですから、言い換えれば圧力が外から水の一部に加えられたことになります。

このときの圧力の強さは、加えた力を、接している面積で割った値です。

また、外から圧力の強さを増せば穴から飛び出る水の勢いも強くなることからゴムまりの内部に生まれた新しい圧力も、外からの力を増せば大きくなることがわかります。

そこで、外からゴムまりに加えられた圧力は、ゴムまりの中の水にそのまま同じ強さで伝えられるものと考えられます。

つまり、閉じ込められた水の一部に圧力を加えるとその圧力は、水の各部分に同じ強さで伝えられるのです。

このことは、水ばかりでなくほかの液体にもあてはまることで、これをパスカルの原理と呼んでいます。

このパスカルの原理は、図のような装置を使って実験で確かめることができます。



水圧機

太さの違うU字形の器に水を入れ、その水を閉じ込めるようにAとBの2つのピストンをつけます。
AとBの断面積は、それぞれ、10平方センチと90平方センチであるとします。

いま、ピストンAの上に、50グラムの重りをのせます。
そのために、水は、50÷10=5で1平方センチあたり5グラムの圧力の強さで外から押されていることになります。

この圧力の強さは、閉じ込められている水の各部に同じ強さで伝えられますから、ピストンBの面も同じ圧力の強さで押し上げられることになります。

したがって、ピストンBが受ける全体の圧力は90×5 =450で450グラムになります。

そこで、Bに重りをのせて、ちょうど水をつりあわせておくためには何グラ厶の重りが必要になるかを実験で確かめてみるとまえに計算でもとめた450グラムと、同じであることがわかります。

このパスカルの原理を応用したのが、水圧機です。

これは、小さな力を大きな力にかえることができるのでいろいろなものを圧縮したり、重いものを持ち上げたり、油をしぼったり、材料の強度試験をするときなどに使われます。

また、水のかわりに油を使うときには、油圧機と言います。




水圧実験のやり方とは?水圧の強さを調べる方法とは?

水圧実験

まず、つぎにあげる材料を用意します。

材料

ガラス製のU字管・ゴム管(約1メートル)・ろうと状のガラス(ろうとでもよい)・うすいビニルの膜(直径約10センチの円形)・輪ゴム3個・赤インキ・スタンド


装置のつくり方

① まず、赤インキをたらして着色した水をU字管の半分ほどの高さにいれて、これをスタンドに固定します。

赤インキで着色するのは、見やすくするためです。

② ろうとの口に、ビニルの膜をゆるくはって図のように、輪ゴムで水が入らないように、硬く止めます。

③ ろうとの出口とU字管の一方のガラス管のはしをゴム管でつなぎます。
このとき、U字管の水面が同じ高さになっていることが大切です。

実験1(予備実験)

ろうとの口にはったビニルの面を、静かに指で押してみましょう。
するとU字管の水面が一方から押されて、水面に差ができます。

ビニルの面を押す力が大きくなれば、水面の差も大きくなります。
このことを確かめてから、つぎの実験にうつりましょう。

実験2

こんどは、ビニルの面にはたらく力を、水圧にかえて実験してみます。

まず、ビニルの面を水平にしてだんだん、ろうとを水の中に入れていきます。

ビニルの面が深く沈むにつれてU字管の水面の違いも、しだいに大きくなります。

しかも、注意して、ビニルの面の深さとU字管の水面の違いとをくらべてみるといつでもほとんど同じであることがわかります。

このことは、ある深さでの圧力の強さは、底面が1平方センチで高さがその深さに等しい水の柱の重さと同じであることをしめしています。

つぎに、ビニルの面を水中で傾けてみましょう。
こんども、U字管の水面には違いが見られます。
その水面の違いも、ビニルの面の中心の深さに等しくなっています。

そこで、ビニルの面の中心の深さを一定にして、その深さをかえないように、ビニルの面をいろいろな方向に傾けてみます。

しかし、U字管の水面の違いには、変化がありません。

このことから、深さが同じであれば、面をどのように傾けてもその面におよぼす圧力の強さには、かわりがないことがわかります。



実験3

図のような容器に、水を入れたとき、A点とB点との圧力の強さに違いがあるかどうか、実験して調べてみましょう。

これは、ビニルの面の中心が、A点とB点にいっしょになるように沈めて、それぞれの場合の、U字管の水面の違いをくらべてみればわかります。

実験の結果は、A点の圧力の強さも、B点の圧力の強さも同じになります。
ところが、A点もB点も、水面または水面を延長した面から等しい距離にあります。

したがって、A点もB点も同じ深さになっています。
このような場合でも、同じ深さでは、圧力の強さは等しいのです。

実験2や実験3でわかったような性質をもつ水の内部の圧力を私たちは静水圧、または水圧と呼んでいます。

魚は、この静水圧の中に住んでいます。

私たちも実は、積み重なった空気の底に住んでいるので静水圧と同じ性質の大気圧の中に住んでいることになるのです。

容器に入れられた水の内部には、このような水圧がはたらくので容器の側面にも、左の図のような圧力がかかります。

そこで容器をつくるときにも底のほうが丈夫になるようにつくられています。
ダムの構造などにも、強い水圧にたえられるような工夫がみられます。

そのほか、深い海の底まで潜る潜水艇なども、強い水圧を受けます。
たとえば、フランスでつくられたアルキメデス号は1万メートルの深海まで潜ることができるすぐれた潜水艇ですがこの船が、1万メートルの深さまでもぐると1平方センチあたり、約1トンもの水圧を受けることになります。

そこで、潜水艇の構造にも、特別の工夫が必要で船体に、鋼鉄製の球体になっています。

この中に人間がのって観測しますがゴンドラの壁の厚さに15センチもあります。
大きさは、直径約2メートル40センチで観測のための窓が3つついています。

実験4(食塩水中の静水圧)

こんどは、食塩を充分に溶かした食塩水を容器に入れてその中での水圧を調べてみましょう。

だいたい水中の場合と同じですが、1つだけ大きな違いがみられます。

それは、ビニルの面の中心の深さとU字管の水面の違いが同じではないということです。
U字管の水面の違いのほうが、いつも一定の割合だけ大きいことがわかります。

これは、食塩水のほうが水の密度より大きいのでビニルの面の中心より上にある食塩水の重さが水のときより重いためです。

こそのため同じ深さでも食塩水中の圧力の強さのほうが水の場合よりも強いことがわかります。

また、このときの食塩水の密度を測りその密度をビニルの面の中心の深さにかけるとちょうどU字管の水面の差の値に等しくなります。




圧力とは?水の圧力の強さとは? わかりやすく解説!

圧力

いま、図のような直方体のれんが(重さ600グラム)をいちばん広い面(A面)を下にして、机の上に置いてみます。
このとき、れんがと机のあいだには、どんな力がはたらいているのでしょうか。

まず、れんがの重さは、600グラムですからそれだけの力でA面全体にわたって、机の面を垂直に押しているはずです。

反対に、れんがもA面に垂直に同じ大きさで机からの抵抗力を受けています。
ですから、A面には、両方から同じ大きさの力が同時に垂直にはたらいて押しあっていることになります。

この場合、A面は圧力を受けていると言います。

つまり、机とれんがの触れあう面(この場合はA面)全体に垂直に押しあう力を圧力というのです。

もし、れんがをもう1つ重ねるとA面では、2倍の圧力を受けることになります。
もちろん、れんがが3個になれば、圧力も3倍になります。


圧力と圧力の強さ

こんどは、れんがの置き方をかえてB面を下にして机の上に置いた場合を考えてみましょう。

れんがの重さは、まえと同じ600グラムですからこれだけの重さが、こんどはB面の広さにはたらくわけです。
言い換えれば、まえよりせまい面積に同じ大きさの力がはたらしていることになります。

つぎに、柔らかい、ふわふわした厚いゴム板の上にれんがを置いてみましょう。

下の図からもわかるように、れんがの置き方によってゴム板のくぼみ方が違うことに気がつきます。

このような違いは、どうして起きるのでしょうか。

図の①の置き方では、れんがとゴム板の触れあうA面全体に600グラムのれんがの重さに等しい圧力が、はたらいています。

これに対して、②の置き方では、それより面積の小さなB面に同じ圧力がはたらいています。

これは、机の場合と全く同じです。

しかし、②のようにゴムを大きくくぼますには、①より大きな力が必要です。
言い換えれば、②の置き方のほうがゴムにはたらく力の効果が大きいことになります。

これは、同じ圧力でも、はたらく面積の大小によってその効果が違うことをしめしています。

このことから、圧力をくらべるには1平方センチあたりの圧力の大きさであらわすのがよいことに気がつきます。
そこで、1平方センチあたりの圧力の大きさを圧力の強さと呼んでいます。

圧力の強さのことを、かんたんに圧力と言うこともありますがここでは、はっきり区別して使います。

①と②の場合の圧力が強さを計算してみましょう。
れんがの寸法は、図のようですからつぎの計算によって、それぞれの圧力の強さがもとめられます。

①の場合

A面の面積は、20×10=200 200平方センチです。

この面積に600グラムの力がはたらくのですからこのときの圧力の強さは、600÷200 = 3で1平方センチあたり、3グラムの強さになります。

②の場合

20×6=120(B面の面積)
600÷120=5で、1平方センチあたり5グラムの強さになります。

ゴム板は、圧力の強さが大きいほど、余計にへこむことがわかります。

つぎに、圧力の強さが等しいときはゴム板のくぼみ方も同じになることが図の実験からも確かめられます。

この場合、①の圧力の強さは、600÷(10×6)=10で1平方センチあたり10グラムになります。

また、②の圧力の強さは図の計算と同じで1平方センチあたり5グラムになります。

そのため、①とくらべると、②のほうのくぼみ方が小さくなります。

しかし、③のようにれんがを2個重ねると圧力の強さも2倍になって、1平方センチあたり10グラムになります。

そして、①と同じくぼみ方になります。



水の圧力の強さ

ふたたび水にもどって容器に入って、静止している水の圧力について、考えることにしましょう。

容器の中の水は底の面の上にのっているものと考えることができます。
水にも重さがありますから、底の面には、圧力がはたらいていることがわかります。

この圧力の強さは、底の面のAの位置に1平方センチをとりその上に積み重なった、水の柱の重さに等しくなくてはなりません。

ですから、底の受ける圧力の強さは、水の深さによって違います。

もちろん、底全体の圧力(底圧とも言う)はこのときの圧力の強さに底面積をかければもとめられます。

今までは底だけについて水の圧力を考えましたがこんどは、図のBの位置ではどうなっているか、調べてみましょう。

Bには底がありませんが、Bより上には水があります。
したがって、もしここに底があるとすれば当然この面にも、圧力がはたらくはずです。

Bより上の水は、それより下の水を、B面をさかいにちょうど図の水の柱の重さに等しい圧力の強さで押しています。

また、Bより下の水は同じ圧力の強さで上の水を支えていることになります。

つまり、Bの面には、等しい力で押し合う圧力がありその圧力の強さは、B面の深さによって決まることがわかります。

このようなB面を、水の内部のどこにうつしてみても同じことです。
つまり、ある面の圧力の強さは、深さによって違い深さが同じであったら、どこでも同じ圧力の強さだということになります。

つぎに、ななめに置かれた面(図のC面)では圧力の強さはどうなるでしょうか。

これは、つぎの水圧実験をしてみると、よくわかります。




水の密度とは?水の体積と重さとは? わかりやすく解説!

水の体積と重さ

注射器を用意して、その中に、水を吸いこんで口をふさぎ、筒を押して、中の水を押し縮めていきます。

しかし、中の水を押し縮めようとしてもほとんどその体積を加えることにできません。
また、筒を引き抜こうとしても、中の水はふくらまないため筒は抜けません。

このように、水の体積は、力をくわえても変化しません。
たとえば、フラスコの水をビーカーヘうつしたとしても形はかわりますが、体積には変化がありません。

ですから、私たちは、水の体積を図のようにメスシリングーやますを使って、測ることができるのです。

また、一定の体積の水をビーカーにとりたいときにはピュレッ卜やビペッ卜などを使います。

水の重さを知るには、重さのわかっている容器に水をいれてんびんで全体の重さを測ってから、容器の重さを差し引けばわかります。


水の密度

1立方センチあたりの物の重さを、その物の密度と言います。
ですから、水の密度は、水の重さを全体の体積で割ればもとめられます。

水の密度は、だいたい1立方センチあたり1グラムです。
だいたいというのは、水の密度は、温度によってわずかずつ違うからです。

たいていの物は、熱して温度をあげていくと体積が増えます。
これを熱膨張と言います。
そのため、物の密度は温度が高くなるにつれて小さくなるのがふつうです。

ところが、水の密度は、グラフのように、ちょうど4℃を頂点としてそれより高い温度でも、低い温度でも、小さくなっています。

高い温度で小さくなるのはふつうの物と同じですが4℃以下でも小さくなるのは、たいへん違います。

つまり、水は4℃から0℃に近づくにつれてその体積はわずかずつ膨張していることになるのです。

水には、このような性質があるので冬の寒い日に池の水が凍るようなときには、いつでも表面から凍ります。

昼のあいだにあたためられた池の水が、夜になってしだいに表面から冷えると冷えた表面の水は密度が大きくなるので、底に沈みます。

このような水の移動は、池の水全体が4℃になるまで続きます。

そして4℃以下に冷えると今度は冷えた水は軽くなるので浮くことになります。そのため、氷は表面からできるのです。

もしも、0℃から4℃までの水に、このような性質がないとするといつでも冷たい水が底のほうに沈むことになって氷は底のほうからできることになります。

そうなると、池の魚は、みな氷の中に閉じ込められたり氷の上に追い出されてしまいます。

このこと1つを考えてみても、私たちの身のまわりの自然がたいへんたくみにできていることがわかります。

また、4℃以上の水では高温になるにつれて体積が増えるため、密度が小さくなります。

物の密度は、その重さをその体積で割ったものですが水を熱したとき、重さはそのままで体積だけが増えるために密度が小さくなるのです。

密度が小さくなると、軽くなってその部分は浮き上がります。
水を熱したとき、表面からあたたかくなるのは、このためです。

また、写真のような蒸留装置で、パイプを能率よく冷やすには、冷たい水を底のほうから入れて、上のほうから流し出すようにします。

そのほか、ボイラのパイプがななめになっているのはボイラの水を循環させて、低い温度の水を入れ代わり立ち代わり絶えず熱い炎で、あたためるようにしているからです。



比重

物の重さをくらべるのには、2つの方法があります。

その1つは、AとBのふたりの人のうちどちらが重いかをくらべる場合で、このときは、重さだけを測ればわかります。

もう1つは、ガラスと鉄とではどちらが重いかという場合でこのときには、体積が問題になります。

体積を同じにしておいてくらべるのでなければ、意味がなくなります。
この場合には、密度の大小でくらべることもできます。

また、ある決められた物を基準にして、それと同じ体積の重さがその基準の物の重さの何倍であるかをもとめて2つの物の重さをくらべる方法もあります。

このときの基準の物としては、ふつう4℃の水を選びます。
そして、その物の重さの割合を、その物の比重と言います。

たとえば、鉄の比重は、つぎのような割り算でもとめることができます。

ところが、4℃の水1立方センチの重さを、1グラムと決めてありますから、前の式は、鉄1立方センチの重さと同じ値になります。

そのため、いろいろな物の比重はその物の密度と同じ値になりますが、比重には単位はつきません。




電子計算機とは? わかりやすく解説!

人間はいろいろな機械を発明して、科学を発達させました。
そして、人間が力を使ってするしごとを機械にさせるようになりました。

機械は人間の手や足ではできないような大きな力や速さでしごとができます。

そのうえ人間は、頭を使ってするしごとまでも機械にやらせることができるようになりました。


人間がやれば何十年もかかるというような面倒な計算をたった何秒という短い時間にしかも間違えないで計算する機械が、いまでは使われています。

電子計算機はそういう機械です。

1946年に、アメリカのエニアックという電子計算機は数千の真空管を使い、円周の長さと直径の割合、つまり円周率を二千余けたまで計算しました。

電了計算機の大きなものは、トランジスタなどを何万本も使っています。
最大では、トランジスタよりもさらに小型の集積回路(IC)を使ったものがつくられています。

電子計算機は計算をするだけではなく非常にたくさんの資料の整理をしたり、統計をとったりその結果を覚えておくこともやります。

そればかりでなく、将棋をさす機械も、電子計算機のしくみでできます。

また、翻訳する機械、たとえば、ロシア語を英語になおしたりすることができる機械もあり日本語を英語になおす機械も考えられています。

これらの機械は電子頭脳と言われます。

電子頭脳は、化学工場などの機械をあやつるのにも利用されオートメーションといって、人間のいらない工場もできています。

制御室には計器を見つめる人が2、3人いるだけで機械が故障すればブザーが知らせたり、自動的になおるようになっています。




FM(周波数変調)・宇宙通信・レーザー光線とは?わかりやすく解説!

FM(周波数変調)

ふつうの中波を使ったラジオ放送では送りたい音声の振動にしたがうように音声より周波数のずっと高い電波にのせて送るAM(振幅変調)を利用しています。

この方法では、1つの電波に、1つの放送しかのせられません。

ところがFM放送では、周波数の高い電波の周波数を送る音声にしたがって変化させて放送する方法です。

AMにくらべて雑音の影響か入りにくく音質がよく、そのうえPM多重通信では、ある幅の電波に何百という言葉や音をのせることができます。

ですから、FM多重通信は都市のあいだの電話の中継やテレビの中継に使われています。

たとえば、東京から大阪へ電話をかけるような場合でもFMの中継が使われるようになってからは電話を申しこめば待たずに通話ができるようになりました。

FM通信には、テレビに使われている電波よりいっそう波長が短い極超短波(FMでは76~110メガヘルツ)が使われています。

そのため、電波が光と同じように直進しビルや山の陰では弱くなってしまいます。

そのため、見通せるところまでしか電波が届かないのでバラボラアンテナで中継しています。

放送局や大きなビル、山の上などで見かけるおわん形をしたパラボラアンテナは、たいていFM多重通信用のアンテナです。


レーダー

レーダーは、第1次世界大戦のときに敵の飛行機をはやく見つけるために研究され、発達したものです。

レーダーから送られた超短波は、何か物にあたると跳ね返ってきます。
とくに金属などにあたると、強く反射されます。

ですから、ある方向に送った電波が跳ね返ってきたらそちらに何かがあることがわかります。
また、電波をだしてから、跳ね返ってくるまでの時間を調べればその物までの距離もわかります。

いまでは、レーダーのおかげで飛行機は霧や雲の中でも、安全に飛び、着陸することができます。
船の航海も、ずっと安全になりました。

気象用レーダーは、台風の目をとらえたり雨雲を観測したりするために用いられます。

レーダーは、どんな霧の中でも暗闇の中でも見える電波の目と言えるでしょう。

電波望遠鏡

太陽や星に関することを研究する学問を天文学と言いますが以前には、太陽や星から送られてくる光を望遠鏡やそのほかの器械によって調べいろいろなことが研究されていました。

ところが、1932年、アメリカのジャンスキーが銀河の方向から電波がくることを発見しそれ以来、太陽や星から、いろいろな周波数の電波が出ていることがわかり、その電波を調べることによって今までわからなかったことも、知ることができるようになりました。

そのうえ、光は出していないが電波やX線を出している星もいろいろ見つかり宇宙の様子が、いっそうはっきりしてきました。

しかし、天体からくる電波は極めて弱いのでそれをはっきりと受けるには大きなアンテナがいります。

このような装置を電波望遠鏡といって、日本にもありますが外国では大じかけなものがたくさんつくられています。

ロラン

第二次世界大戦中に遠くの船や飛行機に位置を教えるために発明されました。

陸上の離れた2か所の無線局からそれぞれ特別な形の信号をのせた電波を同時に送りだしそれらを船などで受信し、2つの信号のずれをはかることによって船などがいまいる位置を地図上で知ることができるようなしくみになってします。

ロラン電波は、送信所から2000キロメートルも離れたところでも受信できるので、太平洋や大西洋で広く使われています。

宇宙通信

地球から宇宙にある人工衛星などと通信したり宇宙にある衛星船どうしなどで通信することを宇宙通信と言います。

月やそのほかの天体に打ち上げたりロケットが勝手なところにいってしまわないために地球から送る電波で正しい飛び方をするように命令することができます。

そして、天体に近づくと、逆推進ロケットをはたらかせゆっくりと天体に着陸するように命令することもできます。

また、天体の表面の様子を写真にうつし特殊な方法で地球へ送ってくるように命令することもできます。

そのほか、小さなシャベルを使って地面をほり、その岩石の種類を調べ、さらにそれを電波で報告させることもできます。

このように、宇宙通信により天体のいろいろなことが、だんたんわかるようになってきました。



通信衛星

外国との無線通信は、短波を使ってできますがテレビ放送や多重通信は短波ではできません。

それは、周波数が低いので、多くの信号を送ることができないからです。
そのため、マイクロ波を使えばよいのですがマイクロ波は電離層を通り抜けるので、地球の裏側には届きません。

そこで、赤道上の3万6000キロメートルの高さにそれぞれが三角形の頂点になるように人工衛星を打ち上げそれにマイクロ波の中継をさせます。

それが通信衛星です。

この衛星は、ほかの人工衛星と違って地球から見ると止まっているように見えます。
しかし、本当は地球のまわりを公転してしるので落ちてこないのです。

このように、3個の通信衛星を打ち上げておくと世界中の人々がいっしょに同じテレビを見たりどこの国の人とでも、かんたんに通信ができます。

レーザー光線

写頁を撮るときによく使われるキセノンガスの放電管から強い光を出してこれをルビー(宝石と同じ質の鉱物)などの特殊な物質にあてると特別な性質をもった強い光がでます。

これがレーザー光線です。

レーザー光線は、ふつうの電灯などから出る光線と違って遠くへいっても広がらないので弱まりません。

それで、マイクロ波と同じように見通しのきくところで通信に使うことが考えられています。

将来の宇宙通信の有力な方法になることでしょう。




テレビジョン放送のしくみとは? わかりやすく解説!

テレビジョン受像機

テレビジョン受像機にはふつう20本くらいの真空管やトランジスタなどが使われています。
そのうちいちばん大切なのは、ブラウン管です。

アンテナで受信した電波を増幅しそれから、信号電流(映像電流と音声電流)をとりだします。
これは、ラジオの電波から音声電流をとりだす検波にあたります。

とりだした信号電流のうち、音声電流は増幅してスピーカーへおくり音声をださせ、映像電流も増幅してからブラウン管へ送ります。


ブラウン管

ブラウン管は、電流の強弱を光の強弱にかえる真空管です。

ブラウン管の中には、速い電子の流れをつくる部分(電子銃という)その流れを調節する部分、電子の流れがあたると光る部分(蛍光面)があります。

映像電流がブラウン管に届くと電流の強弱の通りに蛍光面の明るさがかわり、映像になります。

放送局で電気にかえられた光が、また光にもどって実際に目に見えるようになるわけです。

テレビジョン放送のしくみ

テレビジョンは、音といっしょに、いろいろな映像を電波にのせて放送するしくみです。

イメージオルシコン

ラジオ放送では、マイクロホンで音波を電気振動にかえました。
ところが、テレビジョンでは光の強弱を電流の強弱にかえなければなりません。

このはたらきをするのがテレビカメラのイメージオルシコンです。

テレビカメラでは、ふつうのカメラのフィルムにそうとうするところに、イメージオルシコンの光電面というスクリーンがあります。

テレビカとフのレンズを通った光で、スクリーンの上に像ができるとそこから電子(光電子)が飛出します。
光電面というのに、光を電気にかえる面という意味です。

光電面は強い光があたったところからはたくさんの光電子が飛出し弱い光があたったところからは、光電子が少し飛出します。

ですから、光の明暗を、電流の強弱にかえることができます。
この電流を映像電流と言います。

音声は、マイクロホンで音声電流にかえて増幅し別につくった100メガヘルツくらいの高周波を映像電流と音声電流がいっしょにのるように変調してアンテナから電波として送りだします。

カラーテレビジョン

レンズを通った光を三原色(赤・緑・青)にわけてその三原色をふつうのテレビジョンと同じように電流の強弱にかえて超短波などにのせて送ります。

電波をうける受像機にはふつう3本の電子銃と三原色の蛍光を出す物質を細かくぬりわけた蛍光面があり、おくられてきた電流を映像電流にかえ、三原色をうまく重ね、もとの映像をつくりだすようになっています。




コイルとコンデンサーのしくみとは?ラジオ放送のしくみとは?

コイル

電線を何回かまいたものをコイルと言います。コイルに電流を流すと、磁石になります。

しかも、コイルは電流が強く流れようとするとそれを弱め、電流が弱くなろうとすると、それを強める性質があります。


コンデンサー

電気をたくわえるはたらきをするものをコンデンサー(蓄電器)と言います。
2枚の金属板を向い合せたようなつくりになっています。

電気がたまっているコンデンサーに、コイルを図の①のようにつなぐと、電気は+から-側へ、コイルを伝わって流れます。

このとき、コイルのはたらきによってコンデンサーの-側が、はじめと反対に+になります。

そして、こんどはコイルの中を反対向きに電流が流れます。
これを繰り返すので、電気は何度もいったりきたりします。

1秒間に何回いったりきたりするか、コンデンサーの大きさと、コイルのまき数できまります。

大きなコンデンサーとまき数の多いコイルを使えば振動数の少ない電流、つまり低周波電流がつくれます。

小さなコンデンサーと、まき数の少ないコイルを使えば高周波の電流ができます。

けれども、この電流はすぐに弱まってしまいます。
いつまでも続く振動電流にするには弱まろうとする電流を強めてやらなければなりません。

それには、真空管の増幅作用を使えばできます。

図は、三極管とコイルとコンデンサーを使って振動電流をつくりだす真空竹発振器です。

コイルAにできた振動電流は、すぐ近くにあるコイルBにうつります。
これはトランス(変圧器)と、まったく同じはたらきをします。

コイルBにできた電圧は、真空管のグリッドに入り増幅されて、プレートからまたコイルAに入ります。

これが繰り返されて電気振動がいつまでも続けられます。



ラジオ放送のしくみ

音声電流

人の声や音楽を放送するときには外から余計な音が入らないようになっているスタジオでマイクロホンで音を受け、音波(空気の振動)を電流の振動にかえます。

これを、音声電流と言います。

この音声電流をそのままの形で電線でおくりレシーバーで聞くのが電話です。

ラジオ放送では、音声電流を調整室で調整したりほかのマイクロホンから送られてきた音声電流とまぜたりしてから増幅器で増幅し、送信所へ送ります。

変調

送信所では、水晶発振器と真空管を使って周波数が一定の高周波電流をつくりだします。

これを搬送波と言います。

そこで、音声電流の波の高さによって高周波電流の波の高さを加えると、下の図Cのような波ができます。

これを音声電流で振幅変調(AMともいう)された高周波と言い。
音声の波形の通りに、大きく振動したり小さく振動したりしている高周波と考えることができます。

そして、これをさらに増幅器で増幅して、アンテナへ送ります。

アンテナは、地上にはられた1本の銅線でこれに変調された高周波電流が流れここから音声をのせた電波が空中へ送り出されます。

波長

放送に使われる高周波の周波数にはいろいろありますがふつうのラジオ放送では、535キロヘルツから1600キロヘルツまでのあいだの電波がそれぞれの放送局にわりあてられています。

たとえば、NHKの東京第一放送は590キロヘルツ大阪の第一放送は670キロヘルツの電波を使っています。

周波数の多い電波は、それだけ波長が短いので3000キロヘルツから3万キロヘルツまでの電波を、短波とよびます。

ふつうのラジオ放送に使われている電波は、中波と言います。
短波よりさらに波長の短い電波を超短波と言いまた、中波よりさらに振動数の少ない電波を、長波と言います。




アンテナとアースのしくみとは? わかりやすく解説!

放送局では、強い電波を送り出すために大仕掛けなアンテナとアースを使っています。

空中を伝わってきた電波を受けるにもアンテナとアースが必要です。


アンテナには、ふつう、銅線が使われます。

電波がくるとアンテナには電波の周波数と同じ周波数の高周波電流ができます。

この電流は、アンテナの形や大きさによってかわりますがたいてい地上からの高さが高いほど強く水平な部分が長いほど強くなります。

感度のよいラジオ受信機では室内に、アンテナ線を少しはるだけでよいようです。

アンテナにできた高周波電流はラジオの入り口であるアンテナ同調コイルを通ってアース線から地面に伝わっていきます。

ですから、アース線も電気をよく伝える銅線でつくり湿った地面に埋めた銅の板に、よくはんたづけしておかなければなりません。

アンテナ線は、はだか線でも、被ふく線でもよいのですがラジオ受信機に入る途中で、立木や、軒先などにふれると高周波電流が逃げます。

ですから、ところどころに、がいしを使って止めておかなければなりません。

近頃のラジオ受信機にはμアンテナというものを器械の中に備えたものが多くなりました。

このアンテナは、写真のような、5~15センチほどのダストコアに電線をまいたものでこれだと、とくにアースがいらないので便利です。

それで、ポータブルラジオには、たいてい、μアンテナが使われています。

しかしμアンテナは、その向きによって電波の受け方(指向性)が違いますからラジオをおく向きに気をつけなければなりません。

テレビジョン受像機に使われる電波の波長はラジオの電波より短く、3メートルぐらいです。
このような電波をうけるには、ダイポールアンテナが使われます。

これは、全長が電波の波長の半分の長さか波長と同じ長さになるようにすると、電波がよくうけられます。
アンテナと受像機の間に、フィーダーでつなぎます。

波長が、もっと短い極超短波になるとおわん形をしたパラボラアンテナや使い道によっていろいろな形のアンテナが使われます。




ラジオ受信機のしくみと種類とは?受信のしくみとは?

ラジオ受信機

ラジオ受信機には、かんたんな鉱石ラジオ受信機(ほとんどがゲルマニウムダイオードを使っている)をはじめ、ふつうの中波放送のほかに短波放送やFM放送が聞かれるものまでたくさんの種類があります。


鉱石ラジオ受信機

まず、鉱石ラジオ受信機について調べてみましょう。図はその配線図です。

電波はアンテナから入り、同調コイルを通ってアースヘ出ていきます。
同調コイルとバリコンの組みあわせで、聞きたい放送の電波を選びだします。

そこで、ゲルマニウムダイオード検波器を通すと電流の強さが音波の形をした2方向だけの高周波電流がえられます。

さらにレシーバーとコンデンサーをつなぐと、音が聞こえてきます。
鉱石ラジオ受信機は、電波が強いところではよく聞こえますが弱いところでは真空管やトランジスタを使ったラジオ受信機がいります。

三球ラジオ受信機

3本の真空管を使って放送を聞くようにしたラジオ受信機を三球ラジオ受信機と言います。

弱い電波を受けて、大きな音ではっきり聞くためにはアンテナから取り入れた高周波電流を充分強めてやらなければなりません。

これを、増幅すると言います。

三球ラジオ受信機では、まずアンテナから取り入れた高周波電流の中から、アンテナ同調コイルとバリコンの組みあわせで放送を選びだします。

これを検波管で検波すると音声電流が取り出せます。

これを同じ真空管で増幅し、つぎの低周波増幅管によってスピーカーを鳴らすことができるように増幅して、スピーカーへ送ります。

三球ラジオ受信機は、鉱石ラジオ受信機よりやや込み入っていますが原理は同じです。
残りの1本の真空管は整流管で他の真空管のはたらきに必要な高電圧の直流をつくる役目をします。

五球スーパーラジオ受信機

三球ラジオ受信機と同じようにアンテナから取り入れた高周波電流の中からアンテナ同調コイルとバリコンの組みあわせで、放送を選びだします。

周波数変換管は、選びだした周波数を常に455キロヘルツの中間周波数をもった高周波電流にかえます。
こうすると、さらに大きく増幅することも、かんたんになるのです。

中間周波増幅管で増幅された電流は検波増幅管でまず検波さか、音声電流が取り出され再び増幅されます。

増幅された音声電流は、最後の真空管の低周波増幅管によってスピーカーを鳴らすことができるように増幅して送られます。

五球スーパーラジオ受信機は、込み入っているようですが鉱石ラジオ受信機と原理は同じものです。



同調

たくさんの放送局からでたいろいろな周波数の電波が、空中を伝わってきます。

この電波をアンテナで受けてその中から聞きたい放送を選びださなければなりません。
これには同調回路というものを使います。

コイルとコンデンサーをつないだものにいろいろな周波数の高周波電流を送るとその中で、ちょうどよい周波数の高周波だけが、とくに強く振動します。

これが同調です。

コイルやコンデンサーをかえると、同調する周波数がかわり違う周波数の電波を、強く受けることができます。

ふつうのラジオ受信機では、コンデンサーの大きさ(電気容量)をかえて、いろいろな周波数の電波に同調させます。

このようなコンデンサーをバリアブルコンデンサー(バリコン)と言います。

また、コイルの中にダストコアという鉄の合金の細かい粉を絶縁物でかためた芯をさしこんで、同調する周波数をかえるものもあります。

いちばんかんたんな鉱石ラジオ受信機ではコイルの途中からタップという線を何本もだしそれらにバリコンを適当につなぎかえて同調周波数をかえることもあります。

検波・増幅

選びだされた高周波電流は、レシーバーに通しても音声にはなりません。
その中から、音声電流をとりださなければなりません。

これが検波です。

鉱石ラジオ受信機の音声電流は、非常に弱いのでそのままでは、スピーカーを鳴らすことはできません。

三球ラジオ受信機では、検波されたばかりの音声電流は弱いので真空管を使って、充分強くします。これが低周波増幅です。

五球スーパーラジオ受信機では、高周波電流を一度別の周波数(中間周波数)の電流にかえ、増幅してから検波し音声電流を取り出します。

これを2つの真空管で増幅し、スピーカーを鳴らします。

とくに感度のよいものでは、アンテナから取り入れた高周波電流をそのまま増幅します。

それを、高周波増幅と言います。
それから中間周波にかえ、増幅してから検波します。




鉱石検波器・トランジスタ・パラメトロンとは?

ゲルマニウムダイオードと検波作用

放送局から送られてくるラジオの電波をアンテナから取り入れてそれをレシーバーに通しても音声は聞こえません。

放送電波は、図のAのようになっていて1秒間に数十万回以上も振動している高周波だからです。
このような振動から音声電流を取り出すことが検波です。

鉱石ラジオに使われているゲルマニウムを使った鉱石検波器は検波するためのもので、二極管と同じように電流を片方にだけ通す性質をもっています。

Aのような、音声で変調された高周波電流を検査波器に通すとBのような片方だけの高周波電流になって出てきます。

これをコンデンサーにつなぐと、Cのような音声電流になります。
この電流をレシーバーに通すと音になって聞こえるのです。


トランジスタ

真空管は、長いあいだラジオやそのほかの電気器械に使われてきました。
真空管の大部分は高い温度のカソードからでる熱電子を利用しているので、形が大きく、重く、熱くなりやすく、電力をたくさん使うので不便でした。

1848年に、ゲルマニウムを使ったトランジスタが発明され小型ラジオやテレビなどにたくさん使われています。

トランジスタは、真空管にくらべるとずっと小さく、カソードを熱する必要がなくとくに低い電圧ではたらくので、電力も少なくてすみます。

そのうえ、丈夫で、寿命が何倍も長いので非常に進歩して、広く使われるようになってきました。

半導体は、純粋なゲルマニウムやシリコンに混ぜる不純物の種類と割合により、N形の半導体とP形の半導体ができます。

トランジスタには、N形を2個のP形ではさんだPNP形トランジスタや逆にP形をN形ではさんだNPN形トランジスタなどがあります。

ふつうの、トランジスタではそれぞれの半導体に導線がとりつけてあるので3本あしのように見えます。

これらは、それぞれ三極管のプレート(陽極)・グリッド(格子)カソード(陰極)に相当する役目をし、それぞれをコレクター・ベース・エミッタと言います。

集積回路(IC)

トランジスタは真空管にかわるすばらしい性質をもっているうえに極めて小さくつくれるので、小型で性能のよいラジオやテレビ・電子計算機など、がつくられるようになりました。

しかし、トランジスタに取り付けてはたらかすコンデンサーや抵抗器・ダイオードのような部分品はあまり小さくはできません。

そこで、これらの部分品をトランジスタと同じように小さなかたまりにつくっておき、それぞれを電線でつなぐかわりに順々に重ね合わせたり、ならべたりして、全体を1つにしたものが集積回路です。

こうすれば、ラジオなどは現在よりもっと小さくなり腕時計くらいにすることもできるしそのほかの電気器械もずっと小型にすることができ私たちの生活にも大へん役に立つことでしょう。

パラメトロン

1955年に、後藤英一によって発明され電子計算機に使われている部分品です。

フェライト(一種の半導体で鉄・コバルト・ニッケルなどの酸化物でつくる)でつくられた小さなドーナツ形(フェライトコアという)のものに電線が何回かまいてあります。

この電線に電流を流すと、フェライトは磁石になりますがその強さは電流の強さに比例しません。
この性質が、電子計算機にうまく利用されています。

パラメトロンに真空管より構造がかんたんで丈夫なうえ、はたらきが確かなので、計算機に適しています。

エサキダイオード

1957年に、江崎玲於奈が発明したダイオードです。

ふつうのゲルマニウムダイオードは一方向だけに電流を流す性質があります。
この性質は、ラジオ受信機の中で、検波や整流に使われています。

エサキダイオードは、たいへん小さくすることができ電圧を高くしていくと、途中で電流が少なくなるところがあります。

この性質を利用すると、よいスイッチができるので計算機などに使いはたらきをずっとよくすることができます。




真空放電とは? 二極管・三極管とは? わかりやすく解説!

真空放電

電極を2個入れて真空にしたガラス管に高い電圧をかけると電極の間に電流が流れます。
この現象を、真空放電と言います。

このときガラス管の中に空気などのガスが少しでも残っていると美しい色の光がでます。
広告などに使うネオンサインは、これを利用したものです。
管の中にガスがほとんどないときは、+側の管の内側がうす緑色に光ります。

これらは、-側の電極から電子とよばれる-電気をもった非常に小さい粒子が飛出し、これがガスに衝突するとガスが+と-の電気をもったものにわかれそれがふたたびいっしょになるときあざやかな光がでてまた、電子がガラスに直接衝突すると緑色の蛍光がでるものと考えられています。

蛍光灯は、この真空放電を利用したもので管の中の水銀の蒸気からでる紫外線が管の内側にぬってある蛍光物質にあたり、目に見える光を出させるものです。


エジソン効果

エジソンは、中を真空にした電球の研究をしていてつぎのような発見をしました。

真空電球の中にフィラメントのほかに、金属の板を入れ図の(A)のようにつないでフィラメントを熱くしてやると金属板とフィラメントの間に電流が流れました。

(B)のようにつないだのでは、電流は流れませんでした。
そして、フィラメントが熱くないときはどの場合にも電流が流れませんでした。

フィラメントが熱いと、電子がたやすくたくさん飛出しやすくなるからです。
このようなはたらきをエジソン効果と言い、真空の中での電流はこの電子の流れのことなのです。

二極管(二極真空管)

フィラメントとプレート(金属板)とをふうじこんだ真空管でプレートのほうがフィラメントより電圧が高い場合を考えてみましょう。

このとき、プレートは+に、フィラメントは-になっています。

フィラメントに電流を流して高い温度にさせ、赤く光るようにすると-の電気をもつた電子が飛出し、プレートの+の電気にひかれて飛んでいきます。

逆に、プレートよりフィラメントのほうが電圧が高い場合はフィラメントから電子がでてもプレートのほうへ飛んでいくことができません。

二極管は、電流を1つの方向にだけしか流さないのでちょうど水をくみあげるポンプの弁のようなはたらきをすることになります。

整流作用

交流は、行ったり来たりする電流ですが、これを二極管に流すと一方向だけに流れる直流になります。

このはたらきを整流作用と言い、テレビやラジオなどに使われています。

シリコン整流器

シリコン(ケイ素)は、ゲルマニウムとよく似た性質をもっているので、ダイオードをつくることができます。

シリコンダイオードはゲルマニウムダイオードより高い電圧で使うことができるとともに大きな電流を流すことができるので、いっそう便利です。

電車を走らせるときなどに必要な直流を交流からつくるときシリコンを使った整流器が、さかんに使われています。



三極管(三極真空管)

三極管は、二極管をもとにしてつくられた真空管で+極(プレート)と-極(カソード)のあいだに格子(グリッド)というものがあります。

グリッドは、金属の網が螺旋になっていて電子の通り道をふさいでいます。

電子は、網の目を通り抜けて+極へ届くのですがもし、グリッドが-極より電圧が低く-の電気をもっていたらどうでしょう。

電子も-の電気をもっているのでグリッドの-の電気に跳ね返され、ほとんど+極へ届きません。

グリッドの-電気を弱くしてやれば、電子のうちのいくつかはグリッドの網の目をくぐりぬけていきます。

グリッドの-電気をいろいろにかえるとそれにつれて、+極に届く電子の数がかわります。

つまり、グリッドの電圧をかえてやることによって真空管を流れる山流の大きさをかえることができるのです。

増幅作用

三極管のグリッド電圧をわずかにかえてやるだけで真空管を流れる電流を大きくかえることができます。
これを三極管の増幅作用と言い、三極管のもっとも大切なはたらきの1つです。

遠い放送局からおくられてきた、弱い電波は受信機に入っても、弱い電圧にしかなりません。

これをゲルマニウム検波器や、二極管検波器を通してレシーバーで聞いても、小さな音しか聞こえてきません。

しかし、この弱い電圧を三極管のグリッドに入れてやれば大きく変化する電流にかえることができます。

レシーバーできけば、まえよりずっと大きな音に聞こえてきますしスピーカーを鳴らすこともできるようになります。

いろいろな真空管

真空管には、二極管・三極管のほかにも、いろいろな種類があります。

四極管にはグリッドが2つ、五極管には3つあります。
これらは、三極管を改良したもので、スーパー受信機には特別なはたらきをする七極管も使われています。

たいていの真空管は、-極(カソード)が真ん中にあってまわりを螺旋形のグリッドが取り囲み、その外側を筒形の+極(プレート)が取り囲んでいます。

カソードには2通りあります。

フィラメントに電流を流して高温度にしそこから、直接飛び出す電子を利用している直熱型でこのような真空管は、おもに電池などの直流で使う装置に用いられています。

けれども、電灯線からの交流の電気を使うふつうのラジオでは防熱型のカソードをもつ真空管が使われています。

この真空管では金属酸化物をぬったニッケルの細い管の中にヒーターが入っていて、ヒーターで管を熱して管の表面から電子が飛び出すようになっています。




電離層とは?X線の性質と利用とは? わかりやすく解説!

電離層

地球をとりまく大気中には、電波を跳ね返す層があります。

この層は、電気をもった小さな粒がたくさん集まってできていて、電離層と言われます。

電離層は、ふつう2つの層になっていて低いほうをE層、高いほうをF層と言います。
長波や中波はE層で反射されますが、短波や超短波は通り抜けます。

F層はE層より電波を反射するはたらきが強いので短波はここで反射されますが、超短波は通り抜けます。

短波は、F層と地球の表面で反射されます。
それが繰り返されて、地球の裏側に伝わりやすいので外国むけの放送などに使われます。


X線の性質

白金やタングステンのような重い金属に非常に速い電子を衝突させると、X線がでます。

X線は光や紫外線と同じような電磁波ですが波長がずっと短く、10ミリミクロンから、0.001ミリミクロンほどです。
ですから、他の電磁波とは、その性質もたいへん違っています。

多くの物質を通り抜け、写真フィルムを感光させたり蛍光物質を光らせたりします。
また、物質の中を通ると、その物質に+と-の電気を帯びさせます。

これらの性質は、X線の波長によってかわりますが波長は、衝突させた電子の速度によってかわります。

通り抜ける力の強いX線をつくるには数万ボルトの電圧で電子を衝突させます。

X線の利用

体の内部を調べるレントゲン検査はX線を利用したものです。
ガンを治すために使われることもありますが確実に治るとはかぎらないようです。

工業用としては、金属材料の内部の傷を検査するにはもっとも大切な方法の、1つになっています。

また、物質の内部の細かいしくみを調べるために使います。
X線をあてると内部の細かいしくみによって通り方や、跳ね返され方が違うからです。

X線は遺伝の研究にも使われます。

X線を生物にあてると、かわった子どもが生まれることがあるので遺伝がどのようにおこなわれるかを調べるのに役立ちます。




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