空気の重さと浮力
私たちは、空気を見ることも、手で掴むこともできません。
しかし、空気は草や木が成長するときにも、また、私たちが呼吸をしたり、あるいは、物が燃えたりするときにも、なくてはならないものなのです。
空気は、私たちの頭の上ばかりでなく体内にも、体の周りにも、いたるところにあります。
そこで、空気にはどんな性質があるか、調べてみましょう。
空気の色とにおい
スポイトの先を水の中に入れ、頭についているゴムを押すとぼこぼこと泡が出てきます。
これは、スポイトの中の空気が出てきたのです。
また、空のコップをふせたまま水の中に押し込んでみると、コップの中に水はあまりあがりません。
この水のないところには、空気が入っているのです。
コップを少しずつ横に傾けるとやはり中の空気が泡になって外へ出ていきます。
また、ゴム風船をふくらませて、手をはなすと、風船は前へ飛出します。
これは、風船の中の空気が目には見えませんが、勢いよく外へ出るのでその反動で風船が押されるからです。
ふつうの空気には、色もないし、においも、味もありません。
空気の通る道
空気には、どんな小さな隙間にも入っていこうとする性質があります。
それで、特別に空気を抜いたところのほかはたいていのところに空気が入っています。
今、水をいっぱい詰めたサイダー瓶を、逆さにしてみましょう。
水が外へ出ていくとき、空気が泡になって瓶の中に入っていくのが見えます。
これは、水がでたあとに隙間ができるとその隙間を埋めようとして、空気が瓶の中に入り込むからです。
また、缶入りのジュースをコップにうつすのに1つだけ穴を開けたのではジュースがよくでません。
これも、缶の中に空気が入りこもうとしてジュースが出ていくのを邪魔するからです。
このため、別のところにもう1つ空気の入る穴を開けるとこんどはよく出るようになります。
また、醤油瓶から、醤油を出すとき空気の取り入れ口をつけた栓をすると、醤油が、よくでます。
空気の弾性
みなさんは、紙玉鉄砲で遊んだことがあるでしょう。
玉をうつためには、まず1つ目の玉を筒の先に押し込みつぎに、2つ目の玉を強く押し込むと、先の玉が飛出します。
これは2つ目の玉を押して、玉と玉のあいだの空気を押し縮めるとその空気が、もとの体積まで広がろうとして1つ目の玉を強く押し出すからです。
これは、ゴムひもを伸ばしておいて、その力を急に緩めるとゴムひもがもとの形にもどるのと同じです。
このような性質を弾性と言います。
紙玉鉄砲で玉を撃つことができるのも、空気に弾性があるからです。
そのほか、自転車に使う空気ポンプの空気の出口を硬く閉じてポンプのピストンを強く押すと、逆に押し返されるのも空気の弾性によるものです。
また、ゴムまりやフットボールのたまが弾むのも地面にあたって縮んだ空気が、もとの体積にふくれるのでその力で飛び上がるのです。
混合物としての空気
空気は物が燃えるのに役立つ気体とそうでない気体とが混ざりあったものです。
物が燃えるのに役立つ気体は酸素で、その量は空気の体積の約5分の1です。
また、物が燃えるのに役立たない気体は、おもに窒素でその量は空気の体積の約5分の4です。
このほかにも少量の水蒸気や、二酸化炭素もふくまれています。
また、アルゴン・ネオン・ヘリウムなどの気体もあります。
空気は、このようないろいろな気体がまじりあった混合物なのです。
また、ふつうには、空気は気体ですが、押し縮めた空気を急に膨張させると温度が下がる性質があります。
そして、零下190度ほどになると空気はついに液体になってしまいます。
これを、液体空気と呼んでいます。
液体空気をほうっておくと、はじめに窒素の多い気体が蒸発するのであとに残る気体には、酸素が多くなります。
そこで、この性質を利用すると、液体空気から窒素と酸素とをわけることができます。
空気の広がり
私たちの周りにある空気は、空の高いところまで広がっています。
そして、この空気の厚い層が地球を取り巻いています。
このような厚い空気の層を、大気とよんでいます。
また、空気は、地球の表面から遠くはなれるにつれてしだいにうすくなります。
全体の空気の約半分は、5.5キロメートル以下のところにあると言われます。
大気がどのくらいの高さまであるかよくわかりませんが学者たちは、オーロラのあらわれる高さから考えて少なくとも、地上1000キロメートルまで、空気があると考えています。
空気の重さ
空気に重さがあるなどと言うと、不思議に思う人もいるかもしれません。
しかし、ガリレオ・ガリレイという人は、つぎのような方法で空気にも重さがあることを確かめました。
ガリレオは、まず大きなガラスの瓶の中に、空気をポンプで押し込みこの瓶を測りにかけてつり合わせました。
つぎに瓶の栓を開けて重さを測ると、瓶の中の空気の一部分が逃げ出して、瓶のほうが軽くなるので、重りが下がりました。
このとき、もし、逃げ出した空気と同じ重さの重りを瓶のほうにかければ、測りはふたたびつり合うはずです。
このことから、空気にも重さがあることがわかりました。
あとで、ガリレオはもっとくわしく調べて同じ体積の水の重さの400分の1であるとしました。
しかし、現在では、水の重さの約800分の1であることがわかっています。
空気の重さの測り方
私たちはガリレオとは別の方法で、空気の重さを測ることができます。
それには、まずフラスコの空気を抜き取ってそのときのフラスコの重さを測ります。
つぎに、フラスコに空気を入れて、もういちど重さを測ります。
このとき増えた重さがフラスコの中に入った空気の重さです。
また、フラスコの容積を測り、空気の重さをフラスコの容積でわれば1立方センチあたりの空気の重さがわかります。
実験
まず、200立方センチくらいのフラスコに少量の水を入れ、ガラス管の先にゴ厶管をつけた栓をします。
そして、アルコールランプで、フラスコの水に立てます。
すると、フラスコの中の空気は水蒸気といっしょにほとんど外に出てしまいます。
つぎに火を消し、すぐにゴム管を曲げてピンチコックではさみます。
そして、フラスコを水で冷やしてから、フラスコ全体の重さを測ります。
水蒸気は、水になると、その体積が約1650分の1に減るのでこのフラスコの中は、ほとんど真空に近い状態になっています。
こんどはピンチコックを開いてフラスコに空気を入れもういちど重さを測ってみましょう。
このとき増えた重さが、空気の重さです。
最後に、メスシリンダを使ってフラスコに何立方センチの水が入るか調べてみます。
こうして容積を測ってから、空気の重さを容積でわって1立方センチあたりの空気の重さを出してみましょう。
くわしく調べると、0℃一気圧のときの空気の重さは1立方センチあたり、0.001293グラムです。
つまり、1リットルあたり、約1.29グラムです。