昆虫採集のしかた
季節や場所によって、どんな虫がとれるかが、一通りわかりました。
つぎに実際の採集方法を説明しましょう。
みつけどり
花やクヌギ・ナラなどの木の汁に集まっているチョウ・ガ・ハチ・甲虫などをみつけて、捕虫網でとらえる方法です。
捕虫網でうまくチョウをとらえたならば、すぐに網をまわしてチョウが逃げないようにし網の上からチョウの胸を強くおさえて殺します。
殺したチョウは、すぐに三角紙にうつします。
このとき羽根にさわらないように充分注意し、必ず、胸か腹を持ちます。
殺してから時間が経つと、乾いて足やひげが、折れやすくなるものです。
ハチ・甲虫などをとったときは、すぐに毒瓶に入れます。
さがしどり
石や木の皮の下、焚き木のあいだ、腐った木、キノコ、糞などには、めずらしい甲虫・ハサミ・ムシ・ショウジョウバエなどが集まっています。
このようなところは、とくに、念入りに探してみる必要があります。
めくらどり
道を歩きながら、草や木の葉のあいだを網ですくうと虫が網の中に入ることがあります。
また、捕虫網をあてておいてから、急に木を揺すったり叩いたりしても、とれることがあります。
この方法では、思いがけなく、めずらしい虫がとれることがあります。
夜の虫とり
この採集法にはいくつかのやりかたがありますが、そのうちの2、3の例をあげてみましょう。
灯火採集
昆虫が、光に集まる性質を利用したもので、いちばんよくおこなわれます。
ふつうは、谷を見下ろす高台に、白い布でまくをつくりその前に、電灯やアセチレン灯をおいて、集まってくる虫をとるのです。
ガや甲虫の採集には、たいへん効果がありますが月の出ていない、曇った晩を選ぶことが大切です。
このほか、ケーブルカーの駅の電灯や誘蛾灯にも多数の昆虫が集まりますから、注意して見てまわりましょう。
糖蜜採集
黒砂糖を煮詰めて、酒を少しくわえた蜜をクヌギのような、肌の粗い木にぬっておきます。
日が沈んでから2、3回見てまわり、ここに集まった昆虫を採集するのです。
おもに、ガが集まります。
腐肉採集
これは、魚・カエル・獣などの死体や、肉片・馬糞などをガラス瓶に入れ、野山のところどころにうずめておく方法です。
つぎの朝まわってみるとシデムシ・エンマムシ・マグソコガネなどが、たくさん瓶に入っています。
この採集法で注意することは瓶をうずめるときに瓶の口と地面が水平になるようにすること、捕まえた虫は熱湯かアルコールで、よく洗ってから乾燥することです。
昆虫のたまごの取り方
アゲハチョウのたまごをとるにはアゲハチョウのとまったカラタチの木を、注意深く探します。
ガは、おなかの大きいめすを空き箱に入れておけば、たまごを生みます。
アカトンボやシオカラトンボは、たまごを生みにきているめすをとらえて羽根をもち、腹の先で水を叩くと、おもしろいようにたまごを生みおとします。
セミは、紙ぶくろに入れておくと、たまごを生みます。
このほかの虫も、親の虫の性質がわかればたまごをとる工夫ができますから
普段から注意しておくことです。
クモの採集
用意するもの
ふつう、クモの採取には管瓶が3、4本あれば、ほかに特別な準備はいりません。
しかし、もっと次式に、たくさんのクモを集めたいときは、つぎのようにするのがよいでしょう。
直径2センチ、長さ7、8センチぐらいの大きな管びん2、3本と、直径1センチ、長さ5センチぐらいの小さな管びん15本ぐらいを用意し大きいほうの管びん1本と、小さいほうの管びん5本には、それぞれ70パ-セントのアルコールを入れておきます。
ふつうの大きさのクモで、とくにめずらしいとも思えないものはアルコールのはいった大きな瓶に、いっしょにいれます。
また、めずらしいものや小さいクモはアルコールの入った小さな瓶に1匹ずつ入れるようにします。
アルコールの入れていない瓶は、生かして持ち帰るときに使います。
クモの採り方
クモが網をはっていたり、草の葉などにとまっていたら捕虫網で下からすくうようにしてとります。
草原などで、めくらどりしても、かわったクモが採集できることがあります。
しかし、クモにかぎらず動物の採取がするときには、その動物がどんな生活をしているかを調べることが、もっとも大切なことなのです。
ですから、捕虫類をふるまえに、まず草や木の葉の裏側などを静かに調べてみましょう。
クモは地面の上にも地中にも、また木の根毛とや木の皮のあいだなどにも住んでいます。
夏には家のまわりや、やぶの中などに、たまごのふくろを網につるしたり口にくわえたりしているのが、見つかります。
また冬は、枯れ草のあいだや垣根にかかった枯れ葉のかたまりの中から、いろいろなクモが出てきます。
ですから、クモは1年中採集ができるわけです。
採集したクモには管びんごとに日づけや採集した場所を記入しておきましょう。