粒の大きさ
あらいだされた岩のかけらが、川で運ばれるとき流れの強い上流では、粒の粗いものしか沈殿しませんが下流へ行くにしたがって細かい粒も沈むようになります。
海底の堆積物も、沖にいくほど細かくなっています。
しかし実際には波や海流の影響が強くて粒の粗いものと細かいものとの分布が、入り乱れています。
したがって、砕屑岩を分類し、その成り立ちを知るにはそれをつくる物質の粒の大きさを調べることが、まず第一に必要になります。
その大きさは、つぎのようになります。
- 巨れき……直径265ミリ以上
- 大れき……直径265ミリ~64ミリ
- 中れき……直径64ミリ~54ミリ
- さいれき…直径に54ミリ~2ミリ
- 砂…………直径2ミリ~16分の1
- シルト…………直径に16分の1ミリ~265分の1ミリ
- ねん土……直径256分の1ミリ以下
砕屑岩は、大小さまざまの粒が集ってできたものですからどの大きさの粒が、どんな割合で入っているかを、知らなければなりません。
そのため、岩を砕いて、ふるいでわけたり、水中に沈殿させたり岩をうすくすり減らして顕微鏡で見たりして、岩をつくっている粒の大きさを調べその平均をもとめて、その平均値から、レキ岩・砂岩・泥岩の3つに区別します。
粒のそろいかた
大水がでて、ドサッとたまった川原の砂利などは随分いろいろな大きさのれきで、できています。
また大水のときに海に運ばれた土砂なども、まちまちな粒からできています。
ところが急流の流れこまない湖の底にたまった泥とか波が繰り返し押し寄せる遠浅の砂浜の砂などはふるいわけられてたいへん粒がそろっています。
このように粒のそろいかだけ、その砕屑岩ができたところやできたかを知るのに役立ちます。
層理と粒のならびかた
土砂をふくんだ水を、ガラスのコップの中に入れてかきまわし水がすむまで、ほうっておくと底には、いちばん粒の粗いものが沈み上に行くほど細かくなり、ついには、ねん土になるのが見られます。
この上に、もう二度、泥水をいれると、また粗い粒から沈みはじめ同じようなならびかたをした組織ができます。
そして、上と下との組織の境目は、たいへん、はっきりしています。
このような様子は、天然の堆積岩にも見られます。
そして、この境目は層理とよばれ、地層を分類するときや、地層が傾いたかどうかしゅう曲しているかどうか、などを知るときの目安になります。
こういう組織をよく見ると同じ高さのところで粒の大きさがよくそろっていたり鉱物の種類が同じだったりしていてはっきりした1枚の面をつくっていることがあります。
これを葉理といいます。
これは、粒の重さや粒の形によって進む速さが、それぞれ同じだからです。
粒の種類
粒の種類を調べるとその堆積岩のできたときの様子がわかります。
そのうえ、その堆積岩をつくる物質の源になった岩がどんな鉱物からできていて、どこにあったかということを知ることもできます。
また、堆積岩をつくっている鉱物の種類から、その源になっている岩石のかけらがどんな道すじを通ってたどり着いたかを知る手がかりも掴めます。
たとえば、あたたかくて雨の多い地方では風化作用が激しいので多くの鉱物の分解がすすみ、ねん土になります。
石英や白雲母などのような分解しにくいものだけが砂粒として残り、堆積岩をつくります。
これに対して、寒い地方や雨のかなり少ない地方では風化作用が弱いために、いろいろな鉱物が分解されずにそのまま、あらいだされます。
また、風化の激しい地方でも、日本のように、川や海の浸食の激しいところでは風化作用が充分に、進まないうちに、岩石があらいだされます。
そこで、わりあいに分解されやすい長石・輝石・角閃石などの鉱物もそのまま運ばれます。
さらに、運ばれていく途中で、やわらかい鉱物や、砕けやすい鉱物はすり減ったり、砕けたりしてしまいますが石英などのように硬い鉱物は、あまり壊れずに堆積します。
岩のかけらでも、かたくて緻密なセキエイハン岩や硬い砂岩などは大きなれきとして、遠くまで運ばれます。
しかし、やわらかい泥岩などはすり減り、カコウ岩は細かく砕けやすくケッショウヘン岩などはうすく、はげやすいためにすぐ小さくなり砂や泥になってしまいます。
続成作用
水底にたまったばかりの堆積物は、たくさんの水分をふくんでいてやわらかく
ふわふわしているのがふつうです。
しかし、その上に、新しい堆積物が、どしどしたまっていくとその重みで砂つぶや泥粒のならびかたがかわり隙間が減って、水分をしぼりだすようになります。
泥粒などは、さらに、粒自身が板のようにつぶれてしかも、平行にならび、つぎには粒の中に吸着されていた水分さえ、しぼりだされます。
こうして、堆積物は、かたまります。
東京の下町などの低地帯は、毎年の地盤沈下で騒がれていますがそのいちばん大きな原因は、むかしの川(たとえば、東京では利根川や荒川)が、三角州として堆積させた泥が年々、その中の水分をしぼりだして、硬くなっていくことなのです。
また、粒をつくる成分の一部は、隙間の水分中に溶けふたたび沈殿して、粒と粒をかたくむすびつけます。
あるいは、そういう成分だけが集まって沈殿し、かたまりをつくります。
粒をつくる鉱物どうしでも化学反応がおきて、いっぽうの鉱物だけが大きく育ってきたり、全く新しい鉱物ができたりすることもあります。
このような変化は、上に重なる堆積物の重さやそのほかの地殻変動による圧力・地熱などによって、いっそう早く進みます。
堆積物が、そのたまった場所で硬い岩石にかわっていくいろいろな作用を続成作用といいます。
人によっては、この続成作用を弱い変成作用(熱や圧力で岩石を変質させる作用)の一種とみる人もあります。
火山砕屑岩
火山からは、水蒸気やそのほかの気体といっしょに大小の岩のかけらが、空中にほうりだされます。
このかけらは、大きさや形によって、つぎのようにわけられます。
小豆の粒より小さいものを火山灰、小豆の粒くらいの大きさからニワトリの卵くらいの大きさのものを、火山れき、それ以上の大きさのものを火山岩塊といいます。
また、火口の中で、どろどろに溶けた溶岩が、ふきちぎられながら放りだされると針のような毛となったり、ラグビーボールのような火山弾となります。
こうしたときに水分などの揮発しやすい液体がたくさんふくまれていると圧力と温度が急に下がるために、それらの液体が激しく逃げ出すのでたくさんの穴があきます。
軽石やスコリアは、こうしてできたものです。
火山砕屑岩は、このような岩石のかけらがそのまま陸上や水底に積もったり、流れで運ばれたりしてできます。
おもに、火山灰でできている砕屑岩を凝灰岩、それにかなりの火山れきがまじっているものか、カクレキギョウカイ岩、このカクレキギコウカイ岩の火山灰が少ないものをギョウカイカクレギ岩、さらに火山岩塊をふくんだものをカザンカクレキ岩といいます。
そして、火山弾のたくさんふくまれているものはとくに、シュウカイ岩とよんで区別します。
日本はむかしから、激しい火山活動が繰り返し起きた川なのでさまざまな火山砕屑岩が広く分布しています。
キリョクギョウカイ岩は、そういう岩石が、長い年月のあいだに著しい続成作用をうけてできたものです。
また、第三紀の中頃に、北海道西部の低地帯から東北・信州を経て、伊豆半島にかけて広く厚く堆積してできたリョクショクギョウカイ岩に、グリーンタフとも言われかなりの続成作用を受けた火山砕屑岩です。
質は、やわらかいのですが、熱に強いので、各地で石材に使われています。
宇都宮市大谷町のオオヤ石は、このうちとくに有名です。