中和と指示薬・中和滴定法とは? わかりやすく解説!

中和と指示薬

水酸化ナトリウムの水溶液に、塩酸を少しずっくわえていったときに当量の中和がおこったかどうかを調べには指示薬を使います。

このような中和の進み方を調べるときに使う指示薬を中和指示薬といいます。

たとえば、中和指示薬にリトマスを使った場合当量の中和がおこったときには
リトマスの酸性の色(赤)と塩基性の色(青)との中間の色(紫)をしめします。


中和滴定法

酸や塩基の濃度がわからないときには濃度の決まった塩基や酸を使って濃度を調べることができます。

たとえば、酸の濃度がわからないときこの酸をある分量だけとり、これを濃度の決まった塩基で中和指示薬を使って当量の中和をおこせます。

当量の中和がおこったら、塩基を加えるのを止めそれまでに加えた塩基の量を調べます。

このようにして、とった酸の量と、使った塩基の濃度と量から酸の濃度をもとめることができます。

この方法を、中和滴定法といいます。

中和滴定法で中和を調べるときに塩酸と水酸化ナトリウムのように強酸と強塩基の場合には中和指示薬として、リトマス・フェノールフタレイン・メチルオレンジのどれを使ってもかまいません。

しかし、塩酸とアンモニア水のように強酸とか弱塩基の場合や、酢酸と水酸化ナトリウムのように弱酸と強塩塩基の場合は、使える中和指示薬の種類がきまってくるので注意しなければなりません。

たとえば、弱塩基を強酸で中和する場合にはメチルオレンジのように、変色域がpHから7のあいだの指示薬が使われます。

また、弱酸を強塩基で滴定する場合は変色域がpH7~11ぐらいの指示薬を使います。

弱塩基や弱酸を使って、中和滴定をすると中和する点がわかりにくいので、あまり行いません。

中和滴定法では、指示薬を選ぶのが非常に大切でこれを間違えると滴定の結果が違ってくることがあります。

充分注意して、適当な指示薬を選ぶようにしましょう。




アンモニアの製法・性質・用途とは? わかりやすく解説!

アンモニア水の製法

アンモニア水をつくるには、アンモニアを水に溶かせばよいわけです。
アンモニアは、純粋な窒素と水素に、触媒を通して合成します。


市販の濃アンモニア水は約28パーセント、比重は0.9ぐらいです。
瓶のフタを開けると、アンモニアの刺激の強いにおいがします。

瓶の内側は、アンモニアの蒸気で高い圧力になっていますから
瓶を開けるときには、注意が必要です。

ふたを開けた瓶の口に、塩酸をつけたガラス棒を近づけると
塩化アンモニウムの白煙を生じます。

実験室ではこの濃いアンモニア水を、10倍の容積の水でうすめて使います。

アンモニア水には、アンモニウムイオンと水酸イオンが溶けていますが
アンモニア水は、電離がわりあい少ないので
塩基としては、弱い性質しかしめしません。

アンモニアは、金属の陽イオンとむすびついて
陽イオンを沈殿しにくくする性質があります。

たとえば、塩化銀は、水に溶けにくいため沈殿しますが
アンモニア水をくわえると、上の式のように塩化銀とアンモニアが反応して
銀アンモニア錯イオンができ、溶けてしまいます。

このようにイオンにほかの分子などが結びついてできているイオンを
錯イオンといいます。

アンモニアは塩基のアンモニア水として使われることは少なく
アンモニアガスとして使われ、重要な工業原料になっています。

アンモニアを酸で中和すると、酸の種類によって
硫酸アンモニウム(硫安)・硝酸アンモニウム(硝安)・塩化アンモニウム(塩安)などの塩ができます。

これらは窒素肥料として使われていますが
それぞれの成分を調べてみると
硫安塩安にくらべて硝安窒素のふくまれ方が多いので
窒素肥料としてすぐれていることがわかります。

また、アンモニアと空気から硝酸、アンモニアと二酸化炭素から
尿素をつくることができます。

尿素は窒素肥料として使われるほか、合成樹脂の原料としても重要です。
アンモニアはこのほかにも染色や氷の製造、冷凍用に使われています。



弱塩基と強塩基とは? 一酸塩基と多酸塩基とは?

弱塩基と強塩基

酸に弱酸と強酸があるように、塩基にも弱塩基と強塩基とがあります。 

アンモニア水のように、一部分しか電離をおこさない塩基は水酸イオンを少ししかつくらないために塩基性が弱く弱塩基とよばれます。

水酸化ナトリウムのように、ほとんど全部が電離する塩基は水酸イオンをたくさんつくるために塩基性が強く、強塩基とよばれます。

強塩基には、水酸化ナトリウムのほか水酸化カリウム・水酸化バリウムなどがあります。

水酸化カルシウムは水に溶けにくいのでその水溶液は弱い塩基性しかしめしません。

一酸塩基と多酸塩基

塩基は、化学式の中にふくまれる水酸基の数によって酸と同じように一酸塩基と多酸塩基に分けられます。

また、多酸塩基は、水酸基の数によって二酸塩基、三酸塩基に分けられます。

二酸塩基は水酸基が1つのもので水酸化ナトリウム・水酸化カリウムなどがあります。

多酸塩基は、水酸基を2つ以上もつもので水酸化バリウム・水酸化カルシウムのは二酸塩基です。



濃い酸のはたらきとは? 王水とは? わかりやすく解説!

濃い酸のはたらき

うすい酸のはたらきを調べたときと同じようにして濃硫酸や濃塩酸のはたらきを調べてみましょう。 


濃硫酸と濃塩酸は、どちらも取扱いには、充分注意しましょう。

亜鉛・鉄・スズ・銅を濃い酸に入れた場合いの結果をまとめるとつぎのようになります。

① 亜鉛・鉄・スズは、水素を発生して濃塩酸に溶けます。
スズは、濃硫酸にほとんど溶けません。

② 銅は、濃塩酸には溶けませんが、濃硫酸にはゆっくり溶けます。
亜鉛・鉄も溶けます。

このとき発生する気体には、刺激臭があります。
それは、この気体に二酸化硫黄がふくまれているからです。

濃硫酸との反応は、温度が低いとはっきりしませんが加熱するとよくわかります。

いっぽう、銅は、濃塩酸には溶けませんが濃硫酸には、二酸化硫黄を発生して溶けます。

濃塩酸の場合の反応は、希塩酸のときとまったく同じですが、濃硫酸の場合に、反応のしかたが少し違います。

まえに述べたように、硫酸は強い酸化力をもっています。
その性質は希硫酸ではあまりあらわれませんが濃硫酸では強くあらわれてきます。

たとえば、銅を濃硫酸に入れると銅の表面はすぐに酸化されて、図の①式のように酸化第二銅になります。

このとき、硫酸自身も変化して、二酸化硫黄を発生します。

こうしてできた酸化第二銅は、すぐに酸が電離してできている水素イオンと作用して、②式のように第二銅イオンとなって水に溶けます。

硝酸も.硫酸と同じように、非常に酸化力が強いのでもともと酸に溶けない銅や銀などの金属を酸化銅や酸化銀などの酸化物にかえて溶かしてしまう性質をもっています。


王水

銅や銀は、濃硝酸を使って酸化物にして溶かすことができますが金や白金は、硝酸の酸化力では酸化することができません。

ところが、濃硝酸と濃塩酸を1対3の割合でまぜた液を使うと金や白金も溶かすことができます。

この混合液を王水といいます。
王水の中には、硝酸と塩酸が化合して塩化ニトロシルという、非常に酸化力の強い化合物ができこれが、金や白金を塩化物にかえるはたらきをしてこの塩化物が塩酸に溶けるのです。

金属酸化物への酸のはたらき

濃い酸のはたらきで調べたように、イオン化傾向が小さくてそのままでは酸に溶けない金属でも、酸化剤で酸化物にかえると溶けるようになります。

つまり、金属の酸化物は、金属そのものよりも水素イオンと反応しやすいわけです。

この金属の酸化物と酸の反応について、もう少しくわしく調べてみましょう。

酸化第二銅に硫酸が作用する場合を考えてみます。
酸化第二銅は.硫酸が電離してできた水素イオンと反応して、上の①式のように、第二銅イオンになります。

硫酸は完全に電離して、水素イオンと硫酸水素イオンになりさらに硫酸水素イオンの一部は水素イオンと硫酸イオンとに電離しています。

酸化第二銅と硫酸との反応をまとめると②式のようにあらわすことができます。

この溶液をに詰めると、銅イオンと硫酸イオンとがむすびついて、硫酸銅の結晶ができます。

酸化第二銅は、塩基ではありませんが、この変化は酸と塩基の中和反応によくにています。

それで、中和反応でできる物質を塩というように硫酸銅を銅の硫酸塩といいます。

このように、金属の酸化物を酸に溶かすと金属とその酸の塩ができます。



酸・塩基の指示薬とは? リトマス・フェノールフタレインとは?

水素イオン濃度が違えば、同じ液でも非常に性質がかわってきます。
そのため、いろいろな溶液の水素イオン濃度を調べることは非常に大切です。


指示薬

溶液が酸性か塩基性かを調べるいちばん簡単な方法は、なめてみることです。
もし酸味があれば酸ですし、舌を刺すような味ならば塩基です。

しかし、なめるのは、たいへん危険なだけでなく不正確です。
そこで、水素イオン濃度を詳しく調べるときには指素イオン濃度の小さいときにしめす色を塩基性の色といいます。

例えばリトマスの酸性の色は赤、塩基性の色は青です。
この、酸性の色から塩基性の色にかわるときの水素イオン濃度の範囲を変色域といいます。

例えば、リトマスはpH4.4からpH8.3までの間で酸性の色から塩基pH5~pH8ということになります。

リトマス

リトマスは、水素イオン濃度が大きいときには酸性の色である赤をしめしますが、中性の近くになるにしたがってだんだん紫色になります。

水素イオン濃度が中性よりさらに小さくなって水酸イオン濃度より小さくなるとこんどは塩基性の色である青をしめします。

リトマスをアルコールに溶かした液に希塩酸を少量加えると赤色になりアンモニア水を少量加えると青色になります。

この赤色と青色の液を、それぞれろ紙にふくませて乾かしたものが赤色リトマス紙と青色リトマス紙です。

もし、調べる液が酸性ならば、青色リトマス紙の色が酸性の色である赤にかわります。

液が塩基性ならば、赤色リトマス紙の色が塩基性の色である青にかわります。



フェノールフタレイン

フェノールフタレインは無色の結晶で水にはごくわずかしか溶けませんがアルコールにはよく溶けます。

それで、指示薬としてはフェノールフタレインをアルコール溶液にして使います。

フェノールフタレインは、酸性や中性の溶液では無色ですが塩基性の液では赤色になります。
つまり、変色域が中性よりやや塩基性によっているのです。

ですから、フェノールフタレインを赤色にする液は必ず塩基性です。

フェノールフタレインは、液が塩基性かどうかを試すのに使われます。

また、酸を塩基で中和する反応のとき中和が完全に行われたかどうかを調べるのにも使われます。

メチルオレンジ

メチルオレンジの酸性の色は赤色、塩基性の色は黄色です。
メチルオレンジは、フェノールフタレインと同じように中和を調べる中和指示薬として使われます。

とくに、塩酸とアンモニア水のような強酸とか弱塩基の中和のときに多く使われます。

pH試験紙

指示薬にはリトマス・フェノールフタレインのほかにもいろいろなものがあります。

指示薬によっては変色域が心中性の水素イオン濃度より大きい(pHが7より小さい)ところ、つまり酸性の側にあるものと、変色域が中性の水素イオン濃度より小さい(pHが7より大きい)ところつまり塩基性の側にあるものとがあります。

ですからいろいろな種類の指示薬の試験紙をそろえておけば水溶液の水素イオン濃度、つまりpHを調べることができます。

例えば、ある水溶液のpHを調べるときにはその水溶液をいろいろな試験紙につけてみて変色域の色をしめす試験紙をみつけだせば水溶液のpHは、その試験紙の変色域の範囲にあることがわかります。

また、変色域でしめす色の調子をくわしく調べるともっとくわしいpHを決めることができます。

このように、pHを測定するためにいろいろな試験紙を組みにしたものをpH試験紙といいます。

pH試験紙には、それぞれの試験紙の変色域の色の変化を色ずりにした見本がついています。



酸と塩基の関係とは? 水素イオン濃度と水酸イオン濃度の関係とは?

純水の電離

純粋な水も、ごくわずかですが水素イオンと水酸イオンとに電離しています。


この場合、水1分子から水素イオンと水酸イオンが1つずつできるので水素イオンと水酸イオンの数は等しくなります。

このことを、水素イオンの濃度と水酸イオンの濃度が等しいといいます。

水素イオンの濃度と水酸イオンの濃度とが等しいときには酸性と塩基性が、互いに打ち消しあうのでどちらの性質もあらわれません。

ところが、純粋な水に酸を加えると酸の電離によって、水素イオンが増えるので水素イオンの濃度が水酸イオンの濃度より大きくなります。

そのため、溶液は酸性をしめすようになります。
また、純粋な水に塩基を加えると逆に、水酸イオンの濃度が水素イオンの濃度より大きくなって溶液は塩基性をしめすようになります。



水素イオン濃度と水酸イオン濃度の関係

水素イオン濃度と水酸イオン濃度とのあいだにはいっぽうが増えるるといっぽうは減るという関係があります。

そして、その関係は、いっぽうが倍になるといっぽうは半分になるという、規則正しいものです。

つまり、水素イオン濃度と水酸イオン濃度をかけあわせたものはいつも一定になるわけです。

このことは、水素イオン濃度を「H+]、水酸イオン濃度をOH]であらわすと上の式のようになります。

この式からもわかるように、水素イオン濃度が決まるとひとりでに水酸イオン濃度も決まっててしまい
どちらかいっぽうの濃度だけをかえることはできません。

つまり、酸性・塩基性の強さは、水素イオン濃度だけであらわすことができます。



塩基と塩基性とは? 塩基の電離や性質とは? わかりやすく解説!

アンモニアの水溶液

アンモニアは、20℃での水に、水の700倍ぐらいの体積が溶けます。

アンモニアの水溶液に、青色リトマス紙と赤色リトマス紙を入れると二酸化炭素の水溶液の場合と違って赤色リトマス紙は青くなりますが青色リトマス紙は色がかわりません。


一方、乾いたアンモニアの気体の中に青色リトマス紙と赤色リトマス紙を入れてみるとどちらも色がかわりません。

しかし、この場合でも、リトマス紙が水分を吸っていたりアンモニアがよく乾いていないで、水分をふくんでいたりするとアンモニアの水溶液のときと同じように赤色リトマス紙の色が青くかわります。

これは、アンモニアの気体がアンモニアやリトマス紙にふくまれる水分といっしょになってアンモニアの水溶液と同じはたらきをするからです。

アンモニアは水に溶けると、水と反応して、下の式のように、アンモニア水ができるのです。

この実験で乾いたアンモニア(水酸化ナトリウムか水酸化カリウムを詰めた瓶の中を通す)には、乾いたリトマス紙の色をかえるはたらきがなく水に溶けてアンモニア水になると、赤色リトマス紙の色を青色にかえるはたらきをもつようになることがわかりました。

アンモニア水のよに、赤色リトマス紙の色を青色にかえる物質を塩基またはアルカリといいます。

また、塩基のもっている性質を塩基性といいます。



塩基の電離

アンモニアが水に溶けると、アンモニア水ができ塩基のはたらきをしますがアンモニア水そのものが塩基のはたらきをしめしているのではありません。

アンモニア水の一部は、左の①式のように変化しアンモニウムイオンと水酸イオンとに分かれています。

同じように、水酸化ナトリウムが水に溶けるとそのほとんどが上の②式のようにナトリウムイオンと水酸イオンとに分かれます。

このように、塩基がアンモニウムイオンやナトリウムイオンのような陽イオンと陰イオンである水酸イオンとに分かれることを、塩基の電離といいます。

塩基のはたらきをするのはアンモニア水や水酸化ナトリウムのものではなくてこれらが電離してできる水酸イオンなのです。

電離してできる陽イオンは、塩基のはたらきには直接関係しません。

したがって、塩基と塩基性ということを水酸イオンを使っていいあらわすと塩基というのは、電離によって水酸イオンをだす物質のことで塩基性とは、水酸イオンのもつ性質であるということができます。

塩基とアルカリ

水溶液の中で電離して、水酸イオンをだす物質を塩基といいましたが、アルカリともいいます。

アルカリというのは、塩基のなかでもよく水に溶け強い塩基性(アルカリ性)をしめす物質をさします。

ふつう、ナトリウム・カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物やカルシウム・バリウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物例えば水酸化ナトリウムや水酸化バリウムなどを、アルカリといっています。

突然には、アルカリ・アルカリ性というかわりに塩基・塩基性という言葉を使います。

塩基の性質

塩基は、水酸イオンをだす物質です。
ですから、いろいろな塩基は水酸イオンの性質を共通にもっているわけです。
つまり塩基に共通した性質は、水酸イオンの性質ということになります。

水酸イオンのおもな性質は、つぎのとおりです。

① 塩化鉄・硫酸銅のような重金属の塩の水溶液から
よく水酸化物をつくります。

これは、水酸イオンが、金属の陽イオンと反応して水に溶けにくい水酸化物をつくるからです。

② リトマスのような指示薬に、塩基性特有の色をつけます。

③ 酸と中和反応をおこします。



酸と酸性とは? 酸の性質とは? わかりやすく解説!

アサガオの花やシソの葉からしぼりとった色水に酢やナツミカンの汁を入れると色が赤くなります。

一方、この色水に、灰じるのうわずみ液を入れると色が青くなります。

また、酢のかわりに塩酸を灰じるのかわりに水酸化ナトリウムの水溶液を使っても、同じ実験ができます。
酢や塩酸は酸とよばれ、水酸化ナトリウムは塩基とよばれます。

酢や塩酸と、灰じるや水酸化ナトリウムの水溶液とでは花の色水のかえ方が違います。

この酸や塩基は、どのような性質をもっているか調べてみましょう。


二酸化炭素の水溶液

二酸化炭素は、15℃の水に、水と同じくらいの体積が溶けこみます。

二酸化炭素の水溶液に、青色リトマス紙と赤色リトマス紙を入れると青色リトマス紙は赤くなりますが赤色リトマス紙は色がかわりません。

一方、乾いた二酸化炭素の気体の中に青色リトマス紙と赤色リトマス紙を入れてみるとどちらも色がかわりません。

しかし、この場合でも、リトマス紙が水分を吸っていたり二酸化炭素がよく乾いていないで水分をふくんでいたりすると二酸化炭素の水溶液のときと同じよう青色リトマス紙の色が赤くかわります。

これは、二酸化炭素の気体が二酸化炭素やリトマス紙にふくまれる水分といっしょになって二酸化炭素の水溶液と同じはたらきをするからです。

二酸化炭素は、水に溶けると、水と反応して図の式のように炭酸ができるのです。

この実験によって、乾いた二酸化炭素(濃硫酸を通す)は乾いたリトマス紙(塩化カルシウムデシケーターに入れる)の色をかえるはたらきがなく、水に溶けて炭酸になること青色リトマス紙の色を赤色にかえるはたらきをもつことがわかりました。

炭酸のように、青色リトマス紙の色を赤色にかえる物質を酸といいます。
また、酸のもっている性質を酸性といいます。

酸の電離

二酸化炭素が水に溶けた炭酸は、酸のはたらきをしますが炭酸そのものが酸のはたらきをするのではありません。

炭酸の一部に水とはたらきあって、左の①式のように変化しヒドロニウムイオンH3O+と炭酸水素イオンHCO3とに分かれています。

同じように、塩化水素が水に溶けると塩酸という酸になりますが塩酸では、そのすべてが水とはたらきあって上の②式のように、ヒドフニウムイオンと塩素イオンとに分かれています。

このように、酸が、ヒドロニウムイオンと炭酸水素イオンや塩素イオンのような陰イオンとに分かれることを酸の電離といいます。

酸のはたらきをするのは、炭酸や塩酸そのものでけなくて、これらが電離してできるヒドロニウムイオンH3O+なのです。

電離によってできる陰イオンは、酸のはたらきには直接関係しません。



水素イオン

酸の電離によってできるヒドロニウムイオンは酸からでる水素イオンが水の分子とむすびついてできたものです。

つまり、酸からでる水素イオンは、水中ではそのままで入れなくて必ず水の分子とむすびつき、ヒドロニウムイオンになっているのです。

しかし、ふつうは、ヒドロニウムイオンを水中の水素イオンという意味でたんに、水素イオンといっています。

ですから、ここでも、とくにヒドロニウムイオンと水素イオンH+を区別しないで、両方とも、水素イオンH+と書きあらわすことにします。

したがって.いま述べた意味での水素イオンを使って酸と酸性をいいあらわすと酸というのは電離によって水素イオンH+をつくりだす物質のことであり酸性とは、水素イオンH+のもっている性質であるということができるのです。

酸の性質

酸は、水素イオンH+をつくりだす物質ですからいろいろな酸は、水素イオンの性質を共通にもっているわけです。

つまり、酸に共通な性質は、水素イオンの性質ということになります。
水素イオンのおもな性質は、つぎのとおりです。

① 酸味をもっています。
これは、水素イオンの刺激による味です。

② 亜鉛・スズなどの金属とはたらきあって水素を発生します。
これは、これらの金属原子が、酸の中の水素イオンに電子をあたえ水素ガスにするからです。

金属は、イオンになって、水に溶けるのです。

③ リトマスのような指示薬に、酸性に特有な色をつけます。

④ 塩基と中和反応をおこします。



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