おおいぬ座・こいぬ座・うさぎ座・はと座・アルゴ座とは?

おおいぬ座

三つ星をむすんだ直線を、南東(左ド)へ伸ばしていくと青くらんらんときらめく一等星に届きます。

これがシリウスで、空に21しかない一等星の第一位です。
中国では天狼(天のオオカミ)、日本では「あおぼし」といいます。


シリウスが、明るい光をはなつのは北半球のうち肉眼で見える最も近い恒星だからで、距離は9光年にすぎません。

直径は太陽の約2倍半ですが、青い星で温度は1万1000度以上実際の光は太陽の20倍といわれます。

シリウスは連星の1つですが、おともの白い星は直径が地球の3倍しかないのに重さは太陽と同じくらいあって引力が非常に強く、絶えず主星のシリウスを揺さぶっています。

これから考えると、この星をつくっている気体は大さじ1杯で1トンのめかたがあることになります。

シリウスと、その北東にあるプロキオンとは狩人オリオンについて昇るので、おおいぬとこいぬに見られたのですがおおいぬ座はシリウスを口の先にしたイヌの姿に見えます。

イヌの尾は、シリウスのずっと下で3つの二等星が直角をつくっています。
日本では、「さんかくはし」といっています。

こいぬ座

シリウスから天の川を越した左上にクリーム色の一等星プロキオンが光っています。
ここが、こいぬ座ですがイヌの形には見えずほかに二等星が1つあるだけです。

プロキオンはイヌの先がけという意味でシリウスより少し早く昇ります。
距離は11光年、シリウスと同じく近い星で直径は太陽の2倍あり温度が6500度の黄色い星です。

なお、プロキオン・ベテルギウス・シリウスの3つの一等星をむすぶ正三角形を、冬の大三角といいます。

うさぎ座・はと座

どちらも小さい星座です。

うさぎ座は、オリオンの一等星リゲルの下で三等・四等の4つの星が四辺形を描いているものでこれと、まわりの小さい星で、ウサギの形になります。

はと座は、うさぎ座の下で、小さい星が羽根を広げた鳥の形に見えます。
これを「聖書」にあるハ卜の話にむすびつけたものです。



アルゴ座

ギリシア神話にある船の名で日本からは船の上半分が見えるだけですが、ここに一等星カノープスがあります。

2月はじめの夜8時ごろ、シリウスが真南に高くなったときにイヌの尾の直角を二等分した線を地平線まで引き延ばすと、その右に赤く輝いているのがカノープスです。

実際は、クリーム色の星ですが地平線に近いため、空気のにごりで赤く見えるのです。
これは日の出・日の入りが赤いのと同じわけです。

カノープスは、シリウスのつぎに明るい一等星ですが距離は約200光年、直径は太陽の60倍、明るさは1300倍もありシリウスとはくらべものにならないほど大きな星です。

この星に、東京あたりでは、わずかのあいだしか見られませんが緯度が南になるほど、よく見えます。

伝説

中国ては老人星といい、これが南に低くあらわれるので南極にすむ寿老人の星と見たのです。

寿老人は、日本でいう七福神のひとりで、頭の長い老人ですがあの姿は、中国の宋の時代に老人星が都にあらわれたときに書き写したものといわれます。

そして、この星が見えた年は国がよく治まるといってお祝いをしました。
日本でも、平安時代には老人星祭りというのがありました。

さて、これまで、おもな星座を調べてきましたがもういちど、北の空を眺めてみましょう。

東から、かに座に続いて、しし座の大きなかまの形があらわれうみへび座も首を持ち上げ長い体で伸びあがりかけています。

こうして春の星座が、だんだん昇ってくるのです。




オリオン座・エリダヌス座とは? わかりやすく解説!

オリオン座

これは、四季から通じても、いちばん立派な星座です。
「すばる」が高くなると、真東から縦一文字に昇ってくる、3つ星が目印になります。


オリオンは、ギリシア神話の・狩人で、3つ星は玉の帯びです。

それを囲む4つ星の長方形が、両肩と両足でまわりにある小さい星が、首や、振り上げている棒やライオンの皮の盾などになります。

昇りはじめのオリオンは、横に寝ていますが帯の三つ星が傾くにつれて立ち上がり、西の空で直立します。

三つ星は、みんな二等星で、3度ほどの長さに行儀よく並んでいるので、すぐ目につきます。
正しく東から昇って、正しく西に沈み真南こ届くのは、2月はじめの夜8時ごろです。

オリオン座の星は、たいてい青白く光っています。
温度は1万度以上、3つ星までの距離は、平均500光年ほとです。

長方形の左角の一等屋は、ベテルギウス(巨人の肩)でオリオン座では、仲間外れの赤い星です。

温度は3100度ですが、ふくらんだときの直径は太陽の1000倍、縮まっても600倍という大きな星で、距離は500光年です。

長方形の右下の一等星はリゲル(左足)で、オリオンを代表する星です。
距離は600光年、温度が1万5000度、実際の明るさは太陽の5万倍という、すばらしい星です。

日本では、この星を「源氏星」ベテルギウスを「平家星」とよんでいます。

三つ星の下に見える「こみつぼし」は、オリオンの剣といいますが真ん中の星が、青白くにじんでいるのは、有名な大星雲です。

これは、アンドロメダの星雲とは違って銀河系の中のガスの雲で中にある星の光で輝いている散光星雲です。

距離は600光年です。



神話

オリオンは海の上でも自由に歩けた狩人ですが強いことを自慢したため、サソリに殺されました。

このため星になっても、さそり座を怖がっていますがそのかわり、太い棒を振り上げて、おうし座と戦っています。

エリダヌス座

オリオンの一等星リゲルのそばから、細かい星が飛び飛びに続き大きなSの字を描いて、南の地平線に隠れています。

これが神話の川の名をとったエリダヌス座で一等星アケルナル(川の果て)は、九州の南までいくと見えます。

この星座にあるイプシロンという四等星は、距離は11光年ですがアメリカで電波を送って宇宙人がいるかどうかを試している星の1つです。




おうし座・ぎょしゃ座・ふたご座とは? 冬の星座とは?

冬の星座

冬は空気が澄んでいるので、星がいちばんはっきり見える季節です。

秋に見たペガサスの大方形は天馬の頭を下にして西に沈みかけカシオペアのWも、ケフェウスの家の形も、大の川の中で傾き北東の地平線からは、北斗七星が大グマの足を見せて昇ってきます。

そして「すばる」をさきがけとして、冬を代表するオリオンをはじめ立派な星座がぞくぞくとあらわれ南東の空は1年のうちでも、最も美しい眺めになります。


おうし座

冬のはじめ、ペルセウスの左足先に青白くかたまっているのが日本の名の「すばる」(玉かざり)で、西洋では神話の7人姉妹の名をとったプレアデス星団です。

ふつうは6つ見えるので「むつらぼし」といいつないだ形で「はごいたぼし」ともいいます。

1月半ばの8時ごろ、真南にきます。

「すばる」の下には、もう1つヒアデス星団があって赤い一等星が小さい星と>の形にならんでいます。

これを牛の顔と見て、おうし座といいます。
プレアデスの距離は410光年、ヒアデスは130光年です。

しかし、牛の目にあたる一等星アルデバランは70光年で温度は3300度、直径が太陽の50倍もあります。

牛の顔の>から角が左上に伸びて、その先に二等と三等の星があります。
下の星の近くに、電波を出すので有名なかに星雲がありますが肉限では見えません。

ギリシア神話では、この牛は、大髪ゼウスがフェニキアの王女をのせて、地中海を渡ったときに化けた白牛だといわれています。

ぎょしゃ座

おうし座の角の左上を見ると空高く5つの星が大きな五角形をつくっていて
その1つに、牛の角の先になっています。

これが、ぎょしゃ座で、日本では「ごかくぼし」といいます。

五角形の角の一等星は力ペラ(めすヤギ)というクリーム色の美しい星です。

距離は50光年、太陽によく似た星で温度は5500度ですが、直径は太陽の16倍もあります。
2月はじめの8時ごろ、天頂に近づきます。

カペラのすぐそばで3つの星が小さな三角形をつくっているのを、こやぎといいます。

この頭にあるイプシロンには直径が、太陽の2000倍以上もある暗い星がついています。
これは、いままでわかっている星のうちでは、最も大きなものです。

この星座は、名は車の御車ですが、絵では親子のヤギを抱いている羊飼いになっています。



ふたご座

おうし座の東に、星が二列に並んでいる星座で黄道に、おうし座から、ここを通っています。

目印は、二列の頭の金色と銀色の星でにほんでは「きんぼし」「ぎんぼし」といいますが西洋では、ボルックスとカストールです。

これは、ギリシア神話のふたごの勇士の名です。
星座の名も、ふたご座とよばれます。

2つとも同じくらいの光に見えますが、ポルックスは一等星で距離が35光年、カストールは二等星で、距離が45光年ですから実際には、ならんでいないわけです。

ふたごの体は、2つの星か頭にして、飛び飛びに続く二列の星で足に天の川に届いています。

冬には、ぶらんこを振っているように見えますが春先には、西の空に直立して
たこのたらしている長い尾のように見えるでしょう。

神話

馬の名人力ストールと、拳闘の選手ポルックスはいつも、いっしょに戦争にでかけ、華々しい手柄をたてて武名をとどろかしました。

カストールが戦死すると、ポルックスは、ひどくなげき自分も死んで、カストールといっしょになりたいと祈りました。

それで大神は、ふたりを星座にして、いつまでも仲良く空に並ぶようにしてやったといわれます。




カシオペア座・ケフェウス座・ペルセウス座とは?

カシオペア座

北の天の川の中で、二等・三等の5つの星が鮮やかなMの字をつくっているのが、カシオペア座です。

9月ごろ、まだ東から昇ったばかりのときは、Wの字に見えるので、W星とよばれます。

日本の名は「船のいかりぼし」、または「やまがたぼし」です。
このWは、北斗七星と向き合って北極星をはさんで、まわっています。

そのため、秋から冬にかけて、北斗七星が低いあいだはそれにかわって北極星を見つけける役に立ちます。

そのときには、下の図のようにしますがせまいほうの角を二等分した線を伸ばすだけでもしぜんに北極星に届きます。


神話

カシオペアは、エチオピアの后で、アンドロメダ王女の母です。

王女は海の神の罰をうけて、化けクジラに食べられようとしましたが母も、椅子にかけて両手を広げたまま、1日に1回北の空をまわらなければならないことになりました。

これは、おおぐま座・こぐま座と同じように北極星を中心にまわっていることを神話にしたのです。

ケフェウス座

カシオペア座の西(左)で、三等・四等の星が天の川からはみだした五角形をつくっている星座で屋根のとがった家の形に見えます。

神話では、エチオピア王で、カシオペアの夫ですが人間の形に見るのは、少し無理です。

王の顔にあたるデルタという星は、5日9時間ごとに規則正しく明るさが四等から五等にかわる、有名な変光星です。

ペルセウス座

これはカシオペアに続いて、北東から昇る星座です。

天の川の中で、二等星が1つと、そのほか10あまりの星で弓がたをつくり、二等星からは、星のえだがでています。

星座の図では、アンドロメダ王女を救った王子ペルセウスが右手に長い剣を振り上げ左手にメズサとい化け物の首を持っている姿です。

脇腹に光っているのが二等星で、これはアンドロメダ座の星の一列を天の川の中に伸ばすと、しぜんに見つかります。

美しい紫色の星で、直径が太陽の数十倍もある大きな星です。



神話

ギリシアの王子ペルセウスは、悪い叔父の王に騙されてこの世の果てに住むメズサという化け物の首をとりにいきました。

これは、髪の毛にヘビがはえている恐ろしい顔をしておりその顔を一目見ただけでも、たちまち石になってしまうといわれていました。

王子は神の助けで空を飛んでいきメズサを、盾にうつして首を切り落としました。

そしてペガサス(天馬)にまたがって、ギリシアヘ飛んで帰る途中化けクジラの餌食になろうとしていた王女アンドロメダを見つけ空から舞い降りてクジラを退治し、王女を花嫁にしたといわれています。

ここで最も有名な星はペルセウスがもっているメズサの首のひたいにある星でアルゴル(化け物)という変光星です。

2日21時間ほどのあいだに、二等から三・五等の光に規則正しくかわって、肉眼でも、おもしろく観察できます。

これは、くじら座の変光星ミラと違って、明るい星のまわりをずっと大きな暗い星がまわっていて中の星の一部を隠すために起こるのでいわば太陽の部分食に似ています。

明るい星は直径が太陽の3倍ぐらい、暗い星はずっと大きく2つのあいだの距離は1000万キロメートルほどあります。

なお、この星座の中でカシオペアのWに近いところに二重の散開星団があって、肉眼でもよく見え小望遠鏡で見ると実に美しい眺めです。

距離は、7500光年といわれます。

ペルセウスの左の足先に、有名な「すばる」がかたまって見えますがこれは冬のおうし座の星です。




アンドロメダ座・さんかく座・おひつじ座・うお座・くじら座とは?

アンドロメダ座

星図では、半分ほど北の空にかかっている星座です。

ペガサスの大方形の、北東のかどの二等星から二等・三等の星が4つ、一列に続いていて、大方形とともに大きな北斗七星の形になっています。

その3つの二等星からでている星のえだのはずれに月のない夜、ぼんやり見えるのが有名なアンドロメダの大星雲です。

この星雲は、アンドロメダ座の中に見えますが実は、我が銀河系宇宙にいちばん近い別の宇宙です。

つまり、星の大渦巻で近いといっても、距離は約200万光年もあるのです。


神話

アンドロメダは、古代エチオピアの美しい王女でした。
母のカシオペアが、娘の器量を自慢して、海の神の悪口をいったために、津波が押し寄せたり、化けクジラが人や牛や馬までもとって食べました。

そこで海の神にわびるために、王女は海岸の大岩にくさりでつながれて、化けクジラに飲まれることになりました。

そこへ天馬ペガサスにまたがったペルセウス王子が飛んできて化けクジラを退治して王女を救いました。

星図では、アンドロメダが両手を広げ手首をつながれている姿になっています。

さんかく座・おひつじ座

アンドロメダ座の東側の下に3つの星で二等辺三角形をつくっているのが、さんかく座です。

そのすぐ下で、山がたになっているのがおひつじ座でここがヒツジの頭にあたります。

中の二等星はハマル(ヒツジ)といって太陽とよく似た星といわれます。

うお座

さんかく座・おひつじ座の右下で、小さい星が飛び飛びに、ふたまたに続いていて、ちょっと見つけにくい星座です。

黄道はここを通っています。

そして、ペガサスの大方形の左辺を下に伸ばすとこの中にあたる春分点に届くので、よく知られています。



くじら座

うお座の左下に、ぼんやりと大きく広がっています。

クジラといっても、頭は4つの星に囲まれた長方形で水かきのある足を広げ、尾をぴんと跳ね上げている動物の姿です。

これがアンドロメダ王女を食べようとした、化けクジラです。

この星座には二等星が頭と尾に1つずつあるだけですがオミクロンという変光星があるので有名です。

332日の周期で、光が二等から10等にかわり六等以下のあいだは、3か月も見ることができません。

この星は、ふくらむと明るくなり、縮むと暗くなるからです。

ふくらんだときは直径が太陽の440倍にもなりこのためミラ(不思議な星)ともよばれています。

距離は250光年で、温度は1800度くらいしかありません。




やぎ座・みずがめ座・みなみのうお座・ペガサス座とは?

秋の星座

秋になると、夜空に流れる天の川が、南から西に向きをかえ星座の位置も、夏とはすっかりかわってきます。

おりひめは北両に傾き、ひこぼしは南西にうりつりはくちょう座の大十字は西の空に、まっすぐにたちます。

へびつかい・いて・ヘラクレス・かんむり座もつぎつぎに沈み北斗七星は、地平線に低く横たわり秋の夜は星月夜といって天の川を中心とする細かい星が多く星座ではペガサス座の大方形(大きな四角形)とカシオペア座のWなどが目だつぐらいなものです。


やぎ座

ひこぼしと、それをはさむ星との1文字を、左下ヘ伸ばしていくと2つならんでいる星に届きます。

これがヤギの角で、東のはじにある2つの星が尾です。
そして、下の方の体の線とほぼ三角ぼうしを下向きにしたような形になっています。

ヤギといっても、魚の尾のはえた、不思議な姿をしています。

みずがめ座

黄道は、いて・やぎ座を通って、みずがめ座に続いています。

この星座は、あまりはっきりしませんが目印は、4つの四等星がつくる三つ矢、またはYの字の形です。

これは、ギリシア神話の少年が、肩に載せている水がめにあたります。

そこから下のほうへ、飛び飛びに続いている2列の星がかめからこぼれている水で、みなみのうお座の魚が口にうけてのんでいます。

水がめの星は9月のはじめ夜の10時ごろ、真南に、はっきり見えます。

みなみのうお座

この星座には、秋にはめずらしい一等星があります。

水がめから流れる水の下で、オレンジ色に輝いておりその名をフォーマルハウト(魚の口)といいます。

距離は22光年、温度は9000度ぐらいです。
11月はじめの夜8時ごろ、真南にきますが、高さは東京でやっと20度です。

このへんに見える、ただ1つの一等星なので船の位置をはかるときの大事な星になっています。

この星座のほかの星は、みんな小さくてぼんやり、魚の形をつくっています。

そのずっと下で、2つの二等星が1文字にならんでいるのをつる座といい、低いけれど、よく目につきます。



ペガサス座

秋の夜を代表する星座で、南東の天頂に4つの二等・三等の星が大きな四角をつくっています。

これが有名なペガサスの大方形ですが左かどの二等星は、アンドロメダ座の星です。

ペガサスは、ギリシア神話にでてくる、羽根のはえた天馬です。
大方形は馬の腹で、後半身がないのは、雲に隠れていると見るのです。

首は右下のかどから、みずがめ座の上に伸びている星の長い三角形で前足は右上のかどから伸びている星です。

つまり、天馬は、逆さまになって空を飛んでいるのです。

大方形といっても、上辺は下辺より少し短いので左辺と右辺を北へ伸ばした線は、しぜんに1点にまじわります。

その点が、ちょうど北極星にあたるのでこの大方形も、北の方角をみつけるときに使われます。

なお、左辺を逆に伸ばすと、その長さと同じくらいのところに春分点があって、3月21日ごろの太陽の位置こあたります。

また、右辺をずっと下へ伸ばすと、みなみのうお座の一等星に届きます。




はくちょう座・や座・いるか座・りゅう座とは?

はくちょう座

おりひめと、ひこぼしの間の天の川の中で5つの星が立派な十字形を描いています。

これを白鳥が長い首を伸ばし、翼を広げて飛んでいる姿と見てはくちょう座とよんでいます。


また南半球にある有名な南十字星にたいして北十字星ともいい、日本でも、十字星とよんでいます。

この十字は二等星、三等星ですが尾のはしはデネブ(鳥の尾)という一等星で、太陽の5万倍も明るい星です。

ただし、距離は1500光年です。

十字の頭の三等星は、アルビレオ(くちばし)という名で小さい望遠鏡で見ても金と青の月のさめるような二重星になって見えます。

このあたりの天の川も、銀すなごのようですが十宇にそって細長く、うす暗い裂け目のように見えるのをコールサック(石炭袋)といいます。

これは、うすいガスが天の川を隠しているのです。

なお、デネブとおりひめ・ひこぼしの3つの一等星をむすぶと大きな二等辺三角形ができます。

これが「夏の大三角」です。

神話

太陽の神の子フェートンは父の車を借りて空を乗りまわしていろうちに誤って下界におち、川の底に沈んでしまいました。

それを悲しんだ友人のキクヌスが毎日川に潜って、フェートンを探していました。

大神は、かわいそうに思って、キクヌスを白鳥にかえこの星座にしてやったといわれています。



や座・いるか座

どちらも小さい星座ですが、や座は、ひこぼしの左上で4つの星が矢の形をつくっています。

や座の下に、4つの星が、ひしがたをつくりそれに尾がはえて、イルカの形に見えるのが、いるか座で日本では、「ひしぼし」とよんでいます。

りゅう座

おりひめのすぐ左で、4つの星が四角形をつくっているのが竜の大きな首で二等星と三等星とが、目玉のように光っておりひめをねらっているように見えます。

竜の体は、おおぐま座と、こぐま座のあいだをながながとうねって、尾をたらしています。

竜の尾のはしにある星はエジプトの大ピラミッドができたころ(約4000年まえ)の北極星でした。

地球は月と太陽の引力で少しずつ傾き長いあいだには北極星がかわっていきます。

1万2000年後には、おりひめが北極星になるのです。

神話

この竜は、ギリシアの神たちの戦いに敵がたについたため、天へほうり上げられそのまま天の柱にからみついて、星座になったといわれます。




いて座・わし座・こと座とは? 七夕の由来とは?

いて座

さそり座の東(左)の天の川の中で、5つの星が弓に矢をつがえてサソリを狙っている形に見えます。

これが、いて座です。

弓の頭の星を入れて、6つの星が小さいひしゃくの形にならんでいるのが、弓を射る半人半馬の体です。

中国では、これを北斗七星にたいして南斗六星とよんでいます。
黄道にかかっているので、正月の太陽は毎年ここにきます。

天の川は天頂から流れ落ちて、いて座にかかるところで、幅が広くなり、光も美しくて、星団や星雲もたくさんあります。

これは、銀河系宇宙の中心が、この方向にあたっているからです。


わし座

いて座から天の川を東北へ昇っていくと、わし座があります。
ワシの形は、わかりにくいのですが、3つの星の1文字が日につきます。

真ん中のうす白く輝いている一等星が七夕の「ひこぼし」で中国の名では牽牛(牛をひいている男)といいます。

西洋ではアルタイル(飛んでいるワシ)といい直径が太陽の1.5倍、温度が8600度、距離は17光年です。

神話では、この大ワシは大神ゼウスの遣いで毎日、下界を飛びまわって、見たことを知らせたといわれます。

こと座

目を北の空に向けると天頂近くに有名な、こと座が輝いています。
ことの形は、4つの星の長方形をギリシアの音楽の神アポロンのことに見立てたのです。

ここに青白くきらめいている一等星が七夕のおりひめで中国では織女です。

西洋ではベガ(落ちるワシ)といい近くにある小さな星と「く」の形に並んでいるのをワシが落ちる形と見たものです。

日本では、この2つの星を、おりひめの子供と呼んでいます。

ベガは、直径が太陽の2.4倍、距離は26光年ですが温度は1万1000度以上で、「空のダイヤモンド」といわれます。

そして、天の川をはさんで、アル夕イル(ひこぼし)とまたたきあっているので、中国では、星の夫婦と見て七夕の伝説が生まれたのです。



伝説

織女は天帝の娘で、毎日毎日、わき目もふらずに、機を追っていました。
そこで、天帝もかわいそうに思って天の川の向こう岸で、牛を飼っている若者に、御嫁入をさせました。

すると織女は、すっかり怠けて、少しも機を織らなくなりました。

天帝は怒って、娘を家に連れ戻し、1年に1度、7月7日の夜だけ川を渡って若者と会うことを許しました。

このときは、カササギという鳥が天の川に羽根をさしかけて橋となり織女を渡してくれますが雨が降ると、水かさが増すためにふたりは会えないといわれています。

その夜、ふたりが無事に会えるようにそしてまた、針仕事や、ことや、文字がうまくなるようにお祈りした祭りが日本へも伝わって七夕祭りとなり星の名も、おりひめと、ひこぼしになったのです。




さそり座・てんびん座・へびつかい座・かんむり座・ヘラクレス座とは?

夏の星座

露が開けると、夜空は一面の夏の星です。

しし座は西へ沈みかけ、のしの形をしたうしかい座がおとめ座の上に直立し、北では北斗七星が北西に大きなひしゃくをぶらさげて、だんだん低くなっていきます。

夏を代表する星座は南の空にさそり座・いて座・かんむり座などがあり東から北の空では、天の川をはさむ、こと座・わし座と天の川のなかの白鳥座などが見られます。

ほかにも、大きな星座はありますが、ちょっと、見つけにくいでしょう。


さそリ座

南の中空に大小15ぐらいの星が大きなSの字を描いている星座で冬のオリオン座にも劣らないほどのすばらしい眺めです。

西洋では、これを毒虫のサソリの形と見たのですが日本では、釣り針の形と見て「たいつりぼし」とよんでいます。

サソリの胸に赤くぎらぎら光っている一等星は火星によく似ているので、アンタレス(火星の敵)といいます。

中国では、昔から大火といいました。

日本では、「あかぼし」といいまた、この星が赤いほど稲がよく実るといって
「ほうねんぼし」ともよばれます。

アンタレスは、距離が600光年、直径は太陽の約230倍もある大きな星です。
しかし、ふつう赤い星の温度は太陽の半分ほどでこの星は3000度くらいです。

神話

オリオンは強い狩人でしたが世界中の獣を根だやしにするといばった罰に神のはなった大サソリに刺し殺されました。

そのため、どちらも星座になりましたが、サソリが西に沈むまではオリオンは東からあらわれないといわれています。
これは、2つの星座が同じ季節には見られないことを神話にしたものです。

サソリの尾が天の川にくるりとまきこんでいるはしに青い星が2つならんでいるのを、日本では「兄弟星」といいます。

これは、鬼婆に追われたふたりの子どもが天の神さまに祈ると大きなくさりがさがってきたのでそれにすがって天に昇り、この星になったといわれます。

てんびん座

さそり座の西(右)のほうで、3つの三等星が裏返しにした「く」の字にならんでいる小さい星座です。

黄道は、この真ん中の星を過ぎて、さそり座・いて座へとはしっています。
てんびん座のずっと下にはケンタウルス座の一部が山がたにあらわれておりすぐそばに、おおかみ座があります。



へびつかい座

さそり座のすぐ上にある、非常に大きな星座で将棋の駒の形をしていますが、あまり目につく星はありません。

これは、ギリシアの薬の神さまが大蛇をつかみ足でサソリを踏みつけている姿で、左かどの二等星が頭です。

そして、右のほうにまっすぐ立っているのが大蛇の上半身で、へび座になっています。

かんむり座

へび座の頭の上で、うしかい座ののしがたの左隣りに5つの星が上向きの半円をつくっています。

これが、かんむり座で、日本では昔からたいこぼし・くるまぼし・おにのおかまなど、おもしろい名がついています。

4つが四等星で、1つだけ二等星です。

この星座は、ギリシアの島の王女がブドウの神から送られた玉のかんむりで後に空に投げられて星になったものといわれます。

ヘラクレス座

へびつかい座の上で、北の空にまでかかっているひどく大きな星座ですが、小さい星ばかりです。

ヘラクレスは春の、しし・うみへび・かに座の神話にでてくる大力士で星座では、逆立ちしています。

頭は、へびつかいの頭(二等星)のすぐ右にある赤い三等星ですが非常に大きい星です。

この星座で有名なのは約5万の星が球の形に集まっている球状星団かあることです。

距離は3万500光年です。




おおぐま座・こぐま座・うしかい座・春の大三角形とは?

おおぐま座

名高い北斗七星のある星座で、1年のうちでも、春がいちばん見ごろです。
北の中空で、7つの星が大きなひしゃくをふせた形にならんでいます。

北斗は中国の言葉で「北のひしゃく」という意味です。
日本でも「ひしゃくぼし」といい、また「四三のほし」ともよんでいます。

7つの星のうち、真ん中の1つだけが少し光の弱い三等星で、ほかの6つは、みな二等星です。

二等星は全天で60ぐらいしかないのに、ここに6つも集まっているのです。


北半球の星は、みな、ほぼ北極星を中心としてまわっていますがなかでも北斗七星は、北極星のすぐ外をまわっています。

毎晩、その位置によって時間がわかりますし、しだいに位置をかえて春・夏・秋・冬の季節を教えるので昔から、大切な星座になっています。

そして、ますのヘりの2つの星をむすんだ線をますの口のほうへ、その長さの5倍ほど伸ばすと北極星に届くので、よく北の方角を確かめるときに利用されています。

この2つの星を「指極星」といいます。

また、えのはしから2つめの二等星のすぐそばに小さい星(五等星)があって、昔から視力テストに使われていました。

西洋ではアルコル(馬の乗り手)といって大きいほうの星を馬と見ています。

北斗七星は、ひしゃくの形に見えますがこれは地球に住んでいる私たちに、そう見えるだけで7つの星は、みんな距離が違います。

指極屋は70光年と60光年、えのはしの星は150光年以上の距離にあります。
距離が違うことは、どの星座の星にもいえることです。

ところで、この星座を、おおぐま座とよぶのは北斗七屋をクマの横腹と長い尾にまわりの小さい星を顔や足に見立てているからです。

春の夜には、クマは逆さまになっています。

神話

このクマは、もと、カリスト-という美し卜女の人でしたが女紙の憎しみを受けて、クマにかえられました。

そして子のアルカスが狩人となり、母であると知らずにクマを弓で射ようとしたのを、大神がクマにかえ親子とも星座にしたものといわれます。

アルカスがなったクマが、つぎのこぐま座です。

こぐま座

北極星があるので知られている星座です。

7つの星が、不思議にも小さい北斗七星の形に並んでいるのでおおぐま座にたいして、こぐま座とよびクマの親子の神話が生まれたのです。

こぐま座は北極星と、ますのへりの2つの星だけしか、よく見えません。
北極星というのは中国の名で、天の北極(地球の北極が真上の点)にある星ということです。

ほとんど動かないので、この星からまっすぐ下へ引いた地平線と交わる点が、真北にあたります。
このため、昔から北の方角を知るのに大切な星になっていました。

けれども、正しくいうと、北極星と天の北極とのあいだは見かけの月が2つ入るほど、あいています。

それで、この星も1日に1回、小さい円を描いて極を中心にまわっています。
これは極にカメラを向けて何時間かおくと北極星の動きが、白い線になってあらわれるので、よくわかります。

北極星は二等星です。

色がうす黄色で、直径は、太陽の8倍ほどですが800光年以上の遠い星です。
つまり、いま見ている、それだけ、昔の北極星というわけです。



うしかい座

おおぐま座の東(右)の下で、6つの星が、のしの形をつくっている大きな星座です。

春の半ばごろには、のしの形が、おとめ座の東に並びますが、だんだん起き上がって、夏になると西の空に、まっすぐたってきます。

この星座には、アークツールス(クマの番人)というオレンジ色の一等星が、輝いています。

北斗七星のえを、ずっと東のほうへ伸ばしていくと、しぜんに、この星に届きます。

こうして、いつも北斗の大ぐまについてまわっているので、クマの番人とよばれているのです。

日本では、「むぎぼし」といっています。

アークツールスは、距離が36光年、直径が太陽の30倍ほどです。
そして、オレンジ色に見えるのは温度が低いからで、4000度ぐらいです。

この星が名高いのは、1秒間に120キロメートルという、ものすごい速度で動いているからです。
それでも、満月の見かけの直径(2分の1度)だけ動いたのがわかるまでには、500年もかかります。

北斗七星のえの上には、猟犬座が、うしかい座の西には、髪の毛座の細かい星が、まばらに散らばって見えます。

春の大曲線と春の大三角形

北斗七星のえから、アークツールスに結んだ曲線を伸ばしていくと、おとめ座のスピカに届きます。

これを春の大曲線といいます。

また、アークツールスと、スピカと、しし座の尾の二等星デネボラを結んだ正三角形を春の大三角形といって、海上で船の位置を知るのに利用されます。

やがて、春も終わりに近づくと、うしかい座の下からは、初夏の星座が昇りはじめ、西には、ふたご・ぎょしゃなど、冬の温度が沈んでいきます。




しし座・かに座・うみへび座・カラス座・乙女座とは?

春の星座

よく晴れた春の夜に、すぐ目につく星座は北斗七星のあるおおぐま座と、南の空のしし座、その東のおとめ・からす・うしかい座などです。

西の空には、ふたご・おおいぬ・こいぬ・オリオン座などまだ冬の星座が残っています。
では、まず、南の空の星から、調べてみましょう。


しし座

黄道の12の星座を代表するもので、ちょうど、ライオンの形に見えます。
大きさも、北斗七星ほどあります。

ししは西(右)向きに腹ばいになっていて西の半分は、6つの星が西洋の草かり鎌の形に、ならんでいます。

鎌のえに白く光っているのは一等星レグルス(小さい王)です。
この星は黄道(太陽の通る道)の真上にあるので、ときどき月に隠されます。

このように、星が月に隠されることを「星食」または「えんべい」といって月の位置を確かめるのに利用されます。

色の白い星や青い星は、温度が高くて太陽のような黄色い星(表面温度は6000度くらい)の2倍ほどあります。

レグルスも1万度以上あり距離は70光年です。
ししのお尻は、東(東)にずっと離れた、3つの星がつくる三角形です。

はしの二等星はデネボラ(ししの尾)で海上で船の位置を知るのに利用される星の1つです。

かに座

しし座のすぐ西にある小さな星座です。
カニの形には見えませんが、晴れた夜うす白く見える散開星団がほぼ、黄道の上に見えます。

白く見える散開星団が、ほぼ、黄道の上に見えます。

これは、プレセベ(かいばおけ)という名で距離は520光年、双眼鏡でなら、はっきりしますし大望遠鏡では、400以上の星が見えます。

かに座の右下に青く光っている一等星はこいぬ座のプロキオンで、天の川のへりにあります。

うみへび座

かに座の下で、5つ6つかたまっている星がうみへびの頭で、それから小さい星が、東のほうへ長く続いています。

たしかに空にはうみへびの姿に似ています。

しし座のレグルスの右下に赤く、ぽつんと光っている二等星はアルファード(さびしい星)といわれまた、ヘビの心臓ともよばれていて、すぐ目につく星です。

ギリシア神話では、つぎのような伝説が語り伝えられています。



神話

しし座・かに座・うみへび座はギリシアの大力士ヘルクレスに大事されて星になったものといわれます。

ヘラクレスは、大神ゼウスが人間に生ませた子でそのために大神の后に憎まれ、一生のあいだに12の冒険をやらされました。

その第一は、ネメヤという森に住んでいる大獅子大事でした。

この獅子は、牛や馬をもりもり食べていた恐ろしい大獅子で、ヘラクレスが大事にでかけ弓で射ても矢が跳ね返り、太い棒でなぐってもわらのように、折れてしまいます。

ついにくみついて、のどをしめ、ようやく殺しました。
ヘラクレスは、その皮をはいで、いつも体に巻きつけていました。

第二の冒険は、レルナイアという沼に住んでいた首が9つもあるヒドラという化けヘビを退治することでした。

ヘラクレスが、その首を叩き落とすとそばから新しい首がはえるので切り口を火で焼いてやっと退治しました。

このときヘビを助けるために沼から大きなカニが這い出してきましたが、足で踏み潰して、たちまち、殺してしまいました。

こういうわけで、いま、うみへび座といわれているのはヒドラという沼のヘビだったのです。

からす座

うみヘび座の背中にのっている小さい星座で、4つの三等星がはっきり台形をつくっています。

日本では「ほかけぼし」とよんでおり帆掛け船の形に見えますが、なかなか、カラスの姿には見えません。

このすぐ西にあるコップ座は、見えにくい星座でコップの形もはっきりしません。

おとめ座

しし座の東隣りにある黄道の星座で、秋分の日には太陽の位置がここにくるので有名です。

目につくのは5つの星のYの字でえのはしに一等星スピカが白く輝いています。

この星は日本で、「真珠星」といっているようにいかにも美しい星で、距離は250光年、直径は太陽の8倍ほどですが明るさは250倍で、温度は約2万度もあるのです。

からす座の四角形の上の辺を東へ伸ばすと、自然にスピカに届きます。

神話

おとめ座の女神は、はじめ人間の味方をして下界に住み正義(正しい道)をまもらせようと努力していました。

しかし、人間が嘘をついたり武器をつくって戦争をするようになったので愛想をつかして天に帰り、この星座になったといわれます。

スピカとは、麦のほのことですが女神のもっている麦のほの先にある星なので、この名でよばれています。

こんどは、北の空の星に、目を向けてみましょう。




星座の動きとは? 恒星と惑星の見分け方とは?

一年間の星座の動き

毎日、たとえば午後8時と時刻を決めて星空をながめると見える星空は、季節によって、だんだんとかわります。


春に見えていた、獅子座・乙女座の星が、夏には西空に沈み、天の川を中央にさそり・座・いて座や、七夕の星がならびます。

秋の星座はペガスス座・うお座・やぎ座など、数は少なくなりますが冬には、オリオン座・おうし座・おおいぬ座・こいぬ座などたくさんの星座がならびます。

これは、地球の公転運動と関係があります。

昼間、星が見えないのは、太陽の強い光に消されてしまうからで星そのものが消えてしまうのではありません。

金星がいちばん明るいときには、昼間でも見えることがあります。

ところで、太陽と同じ方向にある星座は昼間は太陽の星で見えませんし日の出まえ、日の入り後も、太陽とともに地平線より下にあるので見えません。

太陽が沈み、空が暗くなると、太陽の東側(左)に続く星空が夕方に見える星座として輝くのです。

ところが、太陽と同じ方向に見えるのは、年中同じ星座ではありません。
地球は、太陽のまわりを軌道を描いて、西から東へ公転しています。

動いている地球上からながめると、太陽は、黄道上の星座のあいだを西から東へ、少しずつ動いて見えます。

太陽は、1年かかって黄道上を360度、つまり、ひとまわりするので、1日では約1度、東にうつるわけになります。

こうして星座は、太陽にたいして、1日に1度ずつずれていきます。

私たちの使っている時間は、太陽が地平線から出入りする時刻をもとにして決めたものです。

この時間ではかると、同じ星の出入りの時刻は、毎日4分ずつ早くなります。

こうして、3か月つまり、一季節がすぎると、太陽は黄道上を90度東へうつり同時に、夕方見える星座も、東のほうへ90度うつります。

季節によって違った星座が見られ1年で一回りするのです。



恒星と惑星

星座をつくっている星を、恒星といいます。
夜空には、このほか太陽系の中の地球の兄弟星である、惑星も輝いています。

惑星を、毎日続けて観察していると、惑星は星座のあいだをぬって、ぐんぐんと動いていることがわかります。

星を研究するには、恒星と惑星を見分けることが大切です。

恒星と惑星の見分け方

① 恒星はまたたきますが、惑星はまたたきません。

天体の光は、私たちの目に届くまえに、地球をとりまく空気の層を通り抜けてきます。

この空気の層は、風とか対流とかで、いつもゆらゆらと動いています。
恒星は、見かけの大きさが小さく、その細い光はこの層によってみだされて、途中で千切れてしまい、ちかちか、またたくのです。

けれども、惑星は、その光も太い束で、少しぐらいみだされても全体としては、またたきません。

春の野に見えるかげろうの向こうにある山のように大きいものの姿は、あまりちらつきませんが、細いたち木などが、ゆらゆらと形がゆれて見えるのと同じことです。

② 望遠鏡で見て、まるい形が見えれば惑星で恒星は、どんなに大きく見える望遠鏡でも、点にしか見えません。

③ だいたい、惑星の主なものは、明るく見えます。

金星・火星・木星・土星は、どれも、ふつうの星よりはるかに明るいので目につきやすく、夕方「いちばん星見つけた」と歌われるのは惑星の場合が多いのです。

このようにして、見つけた明るい星で、星図にのっていないものは必ず惑星です。

惑星の位置は天体暦や天文年鑑を見ればのっていますからこれで調べておけば、間違いありません。

また、惑星は、太陽の通り道である、黄道の近くを動いています。
そのため、惑星が飛んでもない方角にあらわれることはありません。




星座の起こり、起源とは? わかりやすく解説!

夜空には、たくさんの星が輝いています。

どの星もぴかりと光る、小さい光の点に見えますが明るい星、暗い星、赤い星、青白い星などさまざまでまたその並びかたも、とくに、規則正しくなっているわけではありません。


ただ、ぼんやりと星空を眺めているだけではそれがなんの星か、なかなか見分けがつかないものです。

そこで、星を区別し覚えやすいようにいくつかの星をまとめて星座というものが考えだされました。

世界で古くから文化がひらけたのはアジア西部のチグリス川・ユーフラテス川流域、エジプトのナイル川流域、インドのインダス川・ガンジス川流域、中国の黄河流域の4地方です。

これらの地方では、いずれも大きな川の下流にある平野を中心にして人々はよく肥えた土地と豊かな川の水を利用して、農業にはげんで生活していたのです。

昔の人にとって、穀物の種は、いつまいたらよいかまた、いつとり入れをするかを決めることは、なかなか難しいことでした。

このためには、さまざまな方法で、「暦」というものが決められました。

これには、月の満ち欠けとか、星空の動きなど規則正しく起こるできごとが利用され、そして、かなり古くからはじめられていました。

私たちが、いま使っている星座は、いまから数千年まえチグリス川・ユーフラテス川地方にいた羊飼いたちによってはじめられたといわれます。

羊飼いたちは、夜ごとの羊の番に、空を見上げ明るい星をつないでつくった図形に、家畜や家具の姿をなぞらえました。

そしてまた、惑星の動きをもとにした星占いで、自分の未来を占いました。

惑星の通り道である、黄道付近には、12個の星座が定められ暗い星の配置も、くわしく観察していました。

バビロニア人の星の知識は、のちにこの地方に王国を築いたカルデア人の手に受け継がれました。

バビロニアでは、日食・月食・彗星のあらわれ惑星の動きなどの天体の様子をもとに、星占いで予言しました。

そして、この予言は、国の政治に取り入れられるようになり王国には多くの星占いをする人が雇われて、天体観測をしました。

いま、この地方で発掘されている、くさび形文字を刻んだ粘土板にはそのころの観測記録で星占いの予言が書いてあります。

紀元前7世紀には36個の星座ができ、獅子・乙女などいま使われているものもあらわれています。



バビロニアの天文学は、ほかの文化と同じように貿易を仕事としたフェニキア人の手でギリシアに伝えられました。

バビロニア人が星の描く図形にあてはめた人物もギリシア神話に出てくるかみや英雄にかわっています。

またギリシア人の使う器具にかたどった星座もあります。

ギリシア時代のおわりごろ、アレキサンドリアの天文学者ブトレマイオスはこれを48個の星座にまとめました。

大熊・小熊・オリオン・ヘラクレス・ペルセウス・アンドロメダなど私たちの使う星座の大部分に、このギリシア時代のものを、そのままに取り入れています。

近世に入り15世紀末になると、ヨーロッパから南アフリカをまわるインド航路アメリカ大陸の発見といったように、遠洋航海が発達しました。

それまでは、岸づたいに地図を頼りにに船をすすめましが大洋に乗り出すようになってからは、星空に頼って方角を決めていました。

こうして、航海術がすすむとともに、天文学も発達しました。
いままでヨーロッパ人の知らなかった南半球に船をすすめ新しい星があることを発見しました。

17世紀に、バイエルは、南の空に12個の星座を、新しくつくりました。
クジャク・カジキ・トビウオ・カメレオンなど珍しい熱帯動物の名前がつけられています。

また、望遠鏡が発達するにつれて、しだいに暗い星まで観測されるようになりました。
いままでの明るい星座のあいだの部分にも、小さい新しい星座が、つくられました。

ヘベリウスはキリン・トカゲ、猟犬などと動物の名をラカイユは望遠鏡・顕微鏡・時計・ポンプなどと器械の名をそのほかたくさんの天文学者が、めいめい勝手な星座をつくりました。

このため、同じ星座が、人によって違った名前で、よばれることがありました。

そこで、1922年、天文学の国際会議で、全天を線で区切りたくさんの星座を88個の星座(黄道星座12・北天星座28・南天星座48)に正式に整理されました。

これが、いま世界中で、広く使われている星座です。

星の名前

星座は、星の描く図形に、物の姿をあてはめたもので、星を覚えるのに、なによりの手がかりになります。

また日本全体をたくさんの県にわけたように、全天を88個にわけた小区分で
天体の見える位置が、どの方向かをしめすのに役立ちます。

星の名前も、この星座を使ってよばれることがあります。

とくに明るい星は、昔から多くの人に見られシリウス・アンタレス・ペガ・アルタイルなどという名前でよばれています。

それもギリシア・ローマ時代や、イスラム教がさかえた時代につけられた名前が、そのままに使われています。

これは、長い天文学の歴史をしめしているのです。

いちばんふつうに使われるのは、1つの星座の中で明るいほうからアルファ・べータ・ガンマ……とギリシア文字のアルファベットを使ってしめす方法です。

たとえばシリウスはおおいぬ座アルファ星、アルタイル(けん牛星)は、わし座アルファ星とよばれます。

光をかえる変光星、急に明るさがます新星も、その星の見える星座によって名前をつけます。

星団・星雲も、有名なものは、オリオン星雲・ヘルクレス星団などと星座名でよばれることがあります。




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