海底の地形の特徴とは? 大陸棚・海底火山とは?

海底の地形は陸上にくらべて傾斜がゆるやかで、大規模です。

これは、陸上が風雨・雪・川・氷などの浸食作用を強く受けるのにたいして海中では、その作用が弱くなるからです。

しかし、海氏にも山や谷にあたるでこぼこがあり火山の活動もおこまわれています。


大陸棚

海底は、陸地から離れるにしたがって、だんだん深くなっていきますが深さが100~200メートルくらいまでは傾斜が非常にゆるやかです。

この部分は、陸地から庭にはりだした棚のようなところなので大陸棚といいます。

大陸棚は数万年ないし数十万年前の氷河時代には、大部分陸地であったと言われます。
大陸棚の上には、この時代にできた谷や20メートルぐらいの高さの丘やくぼみが残っています。

大陸棚の面積はかなり広く、海の広さの7.3パーセントつまり、地球の全表面債の5.4パーセントをしめています。

これは現在の陸地面積の18.4パーセントほどになります。
日本の大陸棚の面積は、28.3万平方キロで陸地面積の76パーセントもあります。

大陸棚の上には、海の生物がよく育つのでよい漁場になるうえ、大陸棚の地下には鉱物資源がうずもれています。

大陸棚は、人間の生活にとって大切なところです。

大陸斜面

大陸棚の先、深さ200~3000メートルぐらいまでは大陸棚と大洋底をつなぐ部分です。
ここは大陸斜面とか陸がい(崖の意味)といわれ海底のほかの部分にくらべると、傾斜が急です。

しかし、実際には、崖と呼ばれるようなところは少なく平均の傾斜は、2度から5度です。
表面は、平らなところも、谷や丘が組み合わさった複雑なところもあります。

太平底

深さ3000~6000メートルの部分は、全体として平らな広い地域です。
これを大洋底と言い、全海洋面積の76パーセントをしめています。

この大洋底は、いままでは非常に平らだと考えられていましたが最近の研究によると、ここにも、山がたくさんあるということがわかってきました。



海溝・海淵

大陸斜面の先には、ところによって深い溝があることがあります。これが海溝です。
海溝はどこにでもあるわけではなく大部分、大洋のふちの弓形の列島沿いにあります。

海溝や大洋底には、ところどころに、とくに深いところがあります。
これを海淵と言います。

海淵には、深さ1万メートルに達するものがいくつかあります。
世界でもっとも深いものは、太平洋のマリアナ海溝にあるビチアス海淵で1万1034メートルもあります。

平頂海山

海底には山脈や山がありますが、そのなかに、富士山のような美しい形をしていて山頂が平らな山が見られます。

これは平頂海山とかギュヨーと呼ばれるものです。

平頂海山は、大むかし海の上まで頭を出していた海底火山が頂上の部分を波で削られ、その後、海中に沈んだものと考えられています。

5000~6000メートルの深海の底から3000~4000メートルもそびえています。
なかには、その頂上が海面から数百メートルの下まで近づいているものもありあます。

海底火山と島

海底でも、陸上と同じように火山活動がおこなわれます。これを海底火山といいます。

海底火山のなかには、頂上を海面の上にだして、島をつくるものもあります。これが火山島です。

ハワイ諸島や伊豆七島などは、このようにしてできた島です。

また、大洋には、サンゴ虫という下等な動物がつくるサンゴ礁があります。
サンゴ礁は、はじめ火山島などのふちにできますがその後、中心の島が沈んでしまっても、まるい輪のようになって残ることがあります。

このように、サンゴ礁のつくる島を、サンゴ島と言います。
サンゴ島は、ごく低い小さな島で、熱帯の海に多くみられます。

火山島やサンゴ島のように、大陸と関係なくできた島を洋島といいます。
これにたいして、大陸の一部が島になっているものを陸島といいます。




陸と海の分布、地表の高低の広がりはどれくらい?

地表のでこぼこ

地球の表面には、8000メートルを越す山や深さ1万メートル以上の海底などがあります。

地表は非常にでこぼこしているように考えられます。
すじゃす、地球の半径は6380キロもありますから2万メートル足らずの工程は、わずかなものになります。

たとえば地球の半径を1メートルと考えて見ると、その高低は3ミリほどにすぎません。
そのため私たちが地球を考えるときは、その表面に滑らかだと考えても差支えありません。


陸と海の分布

地球の表面には、陸と海があります。
陸と海の割合は、ほぼ3対7で、海は陸の2階半もあります。

陸地のほとんどは大陸によってしめられていますが大陸はたいてい北に広く南にせまくなっています。

そのため北半球と南半球をくらべると北半球に陸地が全面積の40パーセントちかくをしめるのにたいして南半球の陸地は20パーセントにも足りません。

また、地球をもっとも陸地の多い半分ともっとも陸地の少ない半分にわけたものを陸半球・水半球と言います。

陸半球

フランスのロワール川の川口を中心とした地球の半分が陸半球です。
この部分では陸地が面積の半分ちかくをしめています。

水半球

陸半球に反対の部分で中心はニュージーランドの南東部にあるアンチホデス島になります。

この部分では海が90パーセント以上をしめています。



地表の高低の広がり

地球の表面で、もっとも高い地点はエベレスト山で高さは海面から約8800メートルです。

また、もっとも低いところは、海底にある海溝といわれるもので、海面から1万メートルを越す深さのものももあります。

このあいだで、どのくらいの高さのところがどのくらいの面積をしめているかを調べてみます。

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世界地図を見てもわかるように陸地には高さ4000メートル以上のところはそれほど広くはありませんが、海の大部分は深さ4000メートルを越えています。

これをはっきりしめしたものが上のグラフです。

このグラフを見ると、高さが約1000メートルから深さ200メートルぐらいまでのところと深さが3000~6000メートルのところの面積が広いことがわかります。

このように面積の広いところがあるといいうことは地球の表面が2つの違った性質のものからできていると考えられます。

2つの性質というのは、いうまでもなく海と陸地のことですがこのグラフは、陸の低いところが海になったのではなくて海と陸とは全く別のものだということをあらわしています。

深さ4000~6000メートルのところは海の代表としての大洋底をあらわし高さ1000メートルから深さ200メートルまでのところは陸の代表としての平野の部分をあらわしています。

深さ200メートルまでというと海底の部分になるので陸地にいれるのは不思議なようです。
しかしよく調べてみると、ここは陸地であることがわかります。

つまり、現在の海には、もともと陸地であったところが低いために海水につかったところと、地表のつくりからいってはじめから海であるところの2つがあるわけです。




地球の大きさと質量とは? 地球の半径のもとめかたとは?

地球の大きさ

地球の大きさをあらわすものとしては、半径・円周・表面積・体積があります。
このうち、半径さえわかれば後のものは、半径をもとにしてもとめることができます。


エラトステネスがもとめた地球の半径

エジプトのエラトステネスは、紀元前250年ごろ地球の半径をつぎのような方法でもとめました。

ナイル川のシエネと、その真北にあるアレキサンドリアとで同じ時刻に地面に垂直に棒を立てて、その影の長さを調べました。

そして、両地点での棒の影の長さの違いからシエネとアレキサンドリアとで緯度が7度12分違うことを知りました。

さらに、両地点間の距離を歩は幅で測りこれから地球の円周を出し、半径をもとめました。

こうしてもとめた地球の半径は約7360キロで現在の値(6380キロ)とあまり違っていません。

地球の半径のもとめかた

地球上でかなり離れた2つの地点から1つの星の高度を測りその高度の違いから地球の半径をもとめることができます。

このようにして測った地球の半径は、約6380キロになります。
この半径をもとにして計算すると、円周は約4万キロ、表面積は約5億平方キロ
また体積は約1兆立方キロになります。

地球の質量

地球の質量(重さ)を測るにはニュートンの発見した「万有引力の法則」が使われます。

万有引力の法則

2つの物体のあいだには、互いに引きあう力があります。この力を万有引力と言います。

万有引力は、どんな物体のあいだにもはたらきます。
そして、その強さは物体のそれぞれの質量が大きいほどまた、物体のあいだの距離が近いほど、大きくなります。

地球上で、物が下に落ちるのも、この万有引力のためです。

この万有引力の法則を使えば、引力の強さと、2つの物体のあいだの距離およびどちらかの物体の質量がわかれば、もうひとつの物体の質量がもとめられます。

地球の質量も、この方法で計算します。
こうしてもとめられた地球の質量は、約598兆トンの1000万倍にもなります。




地球の形と大きさとは?地球がまるい証拠とは?

地球の形

飛行機が世界を1周したり地球儀を見慣れている現在は地球がまるいものだということを疑う人はいません。

しかし大むかしには、地球がまるいと考えた人はほんのわずかでした。


昔の人の考えた地球の形

大むかしは交通が不便であったため人々は世界を自分たちの知っている範囲だけで考えていました。

そのころの人々は、地球がまるいということなど、考えてもみませんでした。

天も地もお盆のようなもので、まわりの山が天を支えていると考えたりまるい板のような大地が、柱で支えられていると考えたりしました。

このような時代に地球が球形であると最初に主張したのはギリシアのピタゴラスでいまから2400年ほど前のことです。

それから200年ほど経ったころ、同じギリシアのアリストテレスなどが①高いところにのぼると遠くまで見える。

②場所によって北極星の高さがかわる。
③月食のときに月の表面にうつる影がまるい。

などを挙げて、地球がまるいことの証拠にしました。

地球がまるい証拠

高さと見通し

地球上では高いところにのぼるほど遠くのほうまで見通せます。
高い山や建物や遠くのほうからでも見ることができます。

また、海岸出てていく船を見送るとき下のほうからだんだん水平線に隠れてしまい最後にマストが見えなくなります。

これらは、地球がまるいと考えると、理解できることです。

北極星の高度

星は非常に遠いところにあるので、地球に届く星の光は平行な光線と考えられます。
ですから、いつでも位置のかわらない北極星は地球が平らならばどこでも同じ高度に見えるはずです。

しかし、実際には南から北へ進むにつれて、北極星の高度はしだいに高くなります。
このときも、地球がまるいと考えると解決できます。

月食の影

月食は、太陽と月のあいだに地球が入りこんで地球の影が月にうつるため、月が欠けて見えることです。

この月食のとき、月にうつった地球の影はいつでもまるく見えます。
これも、地球がまるい証拠になります。

高空写真

非常に高いところから地球を眺めることは、なかなかできませんでした。
地球から離れたところからうつした写真を見ることができるようになりました。

この写真で見ると、地球も月と同じようにまるくなっていることがわかります。



緯度と経度

地球上の位置は、緯度と経度によってあらわします。

緯度

地球上の南北の位置を決めるものです。
緯度の基準は、地球を赤道で切ったときの面(赤道面)です。

ある場所の緯度は、その地点から地球の中心に向かった線が地球の中心で赤道面とのなす角度によってあらわします。

ですから0度は赤道、90度は極になるわけです。

赤道面の中心に角度10度に棒を立ててぐるりとひとまわりさせると緯度10度の線が引けます。

このような。同じ緯度を結んだ線を緯線と言います。
赤道より北は北緯、南は南緯であらわします。

経度

地球上の東西の位置を決めるものです。

経度の基準はイギリスのグリニッジ(旧天文台)を通る子午面(北極・南極・グリニッジ・地球の中心をふくむ面)です。

ある場所の経度は、その地点の子午面がグリニッジの子午面とのなす角度によってあらわします。

経度は、グリニッジを通る基準の子午線を0度としてそれから東まわりに180度までを東経、西まわりに180度までを西経であらわします。

180度の子午線は、東経と西経が同じになります。

子午線と子午面

地球上のある地点と、北極・南極を結ぶ線を子午線といいます。

また、子午線と地球の中心をふくむ面を子午面といいます。
子午線は同じ経度をむすんでいるので、経線ともいわれます。

地球楕円体

くわしく調べてみると地球は完全な球ではなく赤道付近がわずかにふくらんでいることがわかります。

たとえば、赤道付近と極付近で、緯度1度に対する子午線の長さを測ってみます。
地球が完全な球ならば、どちらも同じ長さになりますが実際には赤道付近で測ったほうが、やや長くなります。

これは、地球の中心から極までの距離よりも中心から赤道までの距離のほうが長いということです。

したがって、地球を北極と南極を通るようにして縦に切った形は少し上下に潰された楕円になります。

いっぽう、赤道に沿って経度1度の長さを測ってみると、どこでも同じ長さになります。
ですから、地球を赤道で横に切った切り口は円になります。

このような楕円を地球楕円体といいます。
この形は、地球の自転による遠心力のためだと考えられています。

ジオイド

実際の地球の表面は、山・谷・海などがあり、複雑な形をしています。
このような地表の形を正しくあらわすために海の応分は平均海水面とし陸地の部分は、そこに溝を掘って海水を引き入れたときの海水面として地球の形を定義したものをジオイドといいます。

ジオイドは、どんな所でも、重力の方向に垂直になっており地表の凹凸や、地下の物質の分布によって、少しながら起伏があります。

いっぱんに、大きい山脈のところでは、高くなっています。
地球楕円体は、このジオイドに最もよくあうように考えられた楕円体です。




地球の内部と表面はどのようにわけられているの? わかりやすく解説!

地球は、地球をとりまく大気をふくめて大きく気圏・水圏・岩石圏と内圏の4つの圏にわけられ、これを地球の四圏といいます。


気圏

地球をとりまいている大気の部分を気圏といいます。
最近、人工衛星やロケットの発達によって地球から離れた大気層の厚さや構造がだんだんわかってきました。

気圏に、その性質や構造の違いから対流圏・成層圏・電離圏・外気圏の4つにわけられます。

対流圏

地表から高さ12キロメートルくらいまでのところをいいます。
対流圏では、高さが増すにつれて気温が下がります。
また、対流圏では、雨・雲などの気象現象が起こるところでもあります。

対流圏と成層圏の境の面を圏界面といいます。
圏界面の高さは、緯度によって異なり、赤道付近で16~17キロでもっとも高く極に近づくにつれて低くなります。

成層圏

高さ12~80キ口くらいまでのところを言います。
清掃圏の下部のほうに、太陽の紫外線を酸素が吸収して生じたオゾンを多くふくむ層があります。

これをオゾン層と言います。

また、上部には、ときどき絹雲に似た銀白色の雲があらわれます。
これを夜光雲といい、高緯度地方では、日没後、および日の出前によく見られます。

電離圏

高さ80~800キロくらいのところを言います。
電離圏には、電波を反射する層があり、これを電離層といいます。

この電離層がE層とF層とにわかれており、F層は、昼間さらにF1層とF2層とにわかれます。

地上70~80キロのところにもD層と呼ばれる電離層があります。
このほか、80~100キロくらいのところには非常に小さい天体が大気の抵抗を受けて高温になり発光する、流星も見られます。

また、高緯度地方の上空では、オーロラ(極光)も見られます。
オーロラは黄緑色や赤色・青白色をした美しいものでカーテン状やアーチ状の形に見えます。

このオーロラは、太陽面の爆発によって出される電気を帯びた粒子が大気中の酸素や窒素も原子や分子にぶつかって発光したものです。

外気圏

電離圏の上層で、800キロ以上のところを言います。
最近、人工衛星による観測で、非常に強い放射能をもった層が地球をとりまいていることがわかりました。

この放射能帯をバンアレソ帯と言います。

バンアレン帯は、太陽から出される電気を帯びた粒子が地球の磁場のために、ある決まった場所に集まってできたものです。

水圏

地球の表面に分布している海・湖沼・河川・地下水などをふくめて水圏といいます。
水圏は、地球表面積の約70パーセントをしめています。
地球上の水の98パーセントは海水です。

大気中の水分は、海水の量とくらべると、わずかなものですが雨・雲などの気象の変化にたいへん重要な役割りをもっています。

そのほか、海・河川などの水は流水となって、地表の変化をもたらします。



岩石圏と内圏

地表から30~40キロの地殻の部分を岩石圏といいそれより下の地球の中心までを内圏といいます。

岩石圏をつくっている元素は、主に酸素・ケイ素・アルミニウム・鉄・カルシウムで全体の約90パーセントをしめています。

内圏は、マントルと核にわけられ、核は、ざらに外核と内核にわけられます。

地球の内部のつくりや性質は地震波の伝わりかたなどから、くわしく調べています。

三圏の交流

地球の四圏のうち、気圏・水圏・岩石圏の三圏は地表の近くでは互いに関連しあって循環しています。

水圏の水は、太陽熱によって蒸発して水蒸気気になり気圏に入ります。
気圏に入った水蒸気は雲をつくり雨を降らせ、水圏に戻ります。

この水は川となり岩石圏を浸食したり風化させたりして岩石圏の様子をかえていきます。

浸食された物質は、積み重なって体積岩をつくります。
また、岩石圏内にある炭素や窒素は火山活動や生物の呼吸などで気圏に出て行きます。
気圏に出た気体は、また雨となって水圏へと戻ります。

このように、気圏・水圏・岩石圏の三圏はそれそれが関連しあって循環していることがわかります。

地磁気

地球上で磁針が、ほぼ南北の方向を指すことは地球が1つの大きな磁石になっているからです。
この地球自身が持っている磁気を地磁気といいます。

磁石の針がしめす北極と南極の位置に、地理学上の北極と南極とは一致しません。
また、磁石がしめす北極・南極の位置は、長い年月に少しずつ移動していきます。

磁針に磁力線と平行になる性質があるので子午線の方向や水平面とある角度をなしています。

磁針の指す北の方向と地理学上の北の方向とのなす角を偏角といい水平面とのなす角を伏角と言います。

まだ、ある地点での地磁気の強さを全磁力といい全磁力の水平方向の分力を水平磁力、鉛直方向の分力を鉛直磁力といいます。

いっぱんに、偏角・伏角・水平磁力を地磁気の3要素といいます。

宇宙線

宇宙のどこかで発生して昼も夜も四季の区別なく地球上に降り注いでいる強い放射線があります。

これを宇宙線といいます。

宇宙線は、エネルギーの非常に大きい電気を帯びた粒子で物質を貫通する力を持っています。

この宇宙線がどこで発生したかについてはいろいろな説がありますが、まだ定説はありません。




地殻が生成されたのはいつ頃? 海と大陸の誕生はいつ?

潮汐説

地球は、地殻というからができて、はじめて地球と呼べるようになったといえます。
地球が潮汐説の説明のように太陽からわかれてできたものだとするとはじめのどろどろな火の玉の時代に、すでに地球の内部では、重い物質は沈み軽い物質は浮いて層にわかれるでしょう。

このようにして、地殻のうちのシアル層ができはじめたころにその一部が飛び出して月になり、あとの凹みが太平洋という海になったと考える人がいます。

太平洋の底の地殻にシアル層がないのを、このように説明しているのです。

また、シアル層は最初に地球上の1か所に集まっていたが地球の自転などによって散らばり、現在のような分布をしめしているという説もあります。
これが有名なウェーゲナーの大陸漂移説です。

しかし、これらの説は、両方とも力学的に証明できません。
それで最近では、つぎのような考えが広まっています。

シアル層は、はじめうすく地球全体をおおっていましたが地球の内部にできた対流のために、1か所に集められさらに、地球の内部に核ができると対流は小さくわかれシアル層も厚くなりながらわかれてきたという考えです。

潮汐説では、海の誕生をつぎのように考えています。
はじめどろどろに溶けていた地球は冷えるにしたがって水蒸気を生じます。

これが熱い雨になって、何千万年という長いあいだ降りそそぎ地表の低いところをつめて海になったというのです。


隕石説

隕石説によれば地球の中心部の化学成分も外側の化学成分と大きな違いがないはずです。

地震波の伝わりかたでわかる、外側と内部の密度やかたさの違いは同じ元素でも、非常に大きな圧力のもとでは原子の体積が小さくなる
という最近の発見によって説明ができます。

しかし、地球が冷たい隕石によってできたとすると地球の内部が、5000度もの高温になっているのが不思議に思えるかもしれません。

地球の内部がこのように高温になったのは、地球をつくっている物質にウランやトリウム・カリウム40・アクチノウランのような放射性元素がふくまれているからです。

こういう元素は、たえず放射線を出しながらほかの物質にかわっていきますが
そのときに熱を出します。
この熱が、数十億年という長い年月のあいだに地球の内部にたまったのです。

こういう経路をへて、はじめに地球をつくった隕石は溶けてしまいます。
そして、この一部はマグマになって大きなひび割れから地表に吹き出し火山活動をおこないます。
このような火山活動は、放射性物質の多かった原始地球では、とくに激しかったでしょう。

この火山活動によって、地表は、溶岩や火山灰によって厚くおおわれました。



海の誕生

地球が厚くなるにつれて、水酸化物や含水ケイ酸塩といわれる酸素や水素をふくんだ物質が、熱で分解して水蒸気を吐き出します。

この水蒸気は冷えて雨になり、へこみにたまって最初の海水になったと考えられています。

ですから、隕石説によると、海水ははじめは少なく、しだいに増えてきたのです。

山脈と大陸の誕生

このようにして海ができると、海→空→地表→海のあいだに水の循環が起こります。

そして、地表に降りそそいだ雨水は岩石が風化してできた土砂を水底に運んで水成岩をつくります。

こういう堆積物がどんどんたまる地域ではそれにつれて地盤が沈み、地下深いところで大きな圧力と熱を受けるようになります。

そしてついには、その圧力のためにしゅう曲をつくりながら上昇をはじめ山脈をつくるようになります。

そのとき、水改岩は圧力のために変成岩になったりとけてカコウ物質の岩石にかわったりして、シアル層の一部になります。

こうして地殻の厚みが増していきました。

海は、この山脈の外側にうつり、そこで、また、体積物が厚く沈殿してつぎの山脈をつくる準備をします。

このようにして、外側に山脈がつけ加わるにしたがって内側の古い山脈は削られて平らになりしゅう曲などの地変のない安定した大陸塊になります。

このようにして、陸地は時代とともにでこぼこが大きくなってきます。

いっぽう、海水もしだいに増えるため海陸の分布や地形・気候・海流の様子は、しだいに複雑になってきました。




隕石が集まった地球、隕石説とは? わかりやすく解説!

改められた考え方

太陽系のような星の集まりに決して珍しいものではないので潮汐説のように、起こりにくいことを仮定する考えかたにあてにならなくなりました。

太陽系は、自然にできあがったものと考えるほうが正しいのです。

そのような考えかたの1つに、ソ連のシュミットが1944年に出した、隕石説と言われるものがあります。


太陽の交わりの星雲

はじめ、太陽はひとりぼっちでしか、その周囲には惑星も彗星もまわっていませんでした。
この原始太陽は、宇宙空間を運動しているうちに、星雲の中を通り抜けました。

この星雲というのは、ガスとちり粒などがまじりあったもので広い範囲に漂っています。
太陽と恒星の出会いにたいへんまれなことですが、太陽と星雲との出会いはごくありきたりと考えられています。

原始太陽は、星雲の中を通るときこの星雲の一部分を引力で引き付け、そのままもぎとってしまいました。

そのときのはずみで、太陽のまわりの星雲は、ぐるぐるまわり出しました。

星雲の中で惑星誕生

太陽のまわりの星雲は、はじめ、球形をしていました。

その中では、ガスとちり粒とが太陽をとりまいてそれぞれ楕円の軌道を描いて飛びまわっていました。

これらの粒に、互いにぶっかりあい、いっしょになってだんだん大きな粒になります。
いくつもの総長い楕円を重ね合わせると、その軌道は平均されて円に近い形になります。

この円は、太陽の赤道にあたるところにたくさんの輪となって並びます。
足雲全体の形も、球から赤道のまわりがはりだして、平たい円盤状になります。
これは、回転によって起こる遠心力によるためです。

円盤状になった星雲の中では、ガスはちり粒にくっつきちり粒は幾列もの流れになって、太陽のまわりを周っています。

その流れのところどころに、ひときわ目立った粒の固まりができます。
そうすると、これが芯となって通り道にあたる小さな粒はつぎつぎと吸い寄せられていきます。

このようにして、かたまりは、しだいに大きくなりしまいに、1つ1つの惑星となっています。

惑星のもとになっているちり粒は地上に流れ星となってふりかかる隕石と同じものです。
このため、この新しい説を、隕石説といいます。



隕石説の品定め

この説には、偶然の出来事に頼るような、無理な考えかたがありません。
太陽ばかりでなく、ふつうの恒星も、これと同じ成り行きで
やはり太陽系のような仕組みを持つことができます。

隕石説によると太陽系の性質いくつかは、自然に説明がつきます。
また、地球や火星などのように、太陽に近いところでは太陽光線のために、軽い物質が吹き飛ばされ小さくて比重の大きい惑星となるので①の性質ができます。

つぎに、星雲の外側のほうは、物質が薄いので1つの惑星ができるために、広い幅の物質が必要です。

最後に、1つの惑星ができかかるとそのまわりにやはり星雲の輪ができて、その中から衛星がうまれます。

このように隕石説は太陽系のどの性買にもよくあてはまる、すぐれた考えかたといえます。

地球の組み立て

潮汐説では、熱い火の玉が、冷えて固まったものが地球だといいますが隕石説ではもともと、冷たいちり粒の集まりになります。

この冷たい地球の内部に地熱が生じたのは、放射性物質が熱を出すためです。
地熱によって隕石が融かされ重い物質と軽い物質との入れ替えがおこなわれました。
そして軽いケイ酸物は、表面に浮かび上がって地殻をつくりました。

またこのとき、内部にふくまれていた水蒸気が地上に吹き出て、海となりました。




ジーンズの潮汐説とは? わかりやすく解説!

考え方の狙い

地球は太陽系ができたとき、ほかの惑星といっしょに誕生しました。
その地球の上に、山や川ができ、生物が生まれ、やがて、人類があらわれてきました。

ですから人間は、ひとりとして、地球の誕生を見たもはいません。
しかし、みんな、その謎を知りたがっています。
大むかしの人々は、神話の中で想像しましたが、今日の私たちは科学的に判断します。

自然の中には、自然界の歴史が刻まれています私たちは、それを注意深く読み取るのです。

太陽系の性質こそ、その生い立ちの記録なのです。
これを手がかりとして、地球の誕生を説明するのが、考え方のねらいです。

デカルト以来、20あまりもの、たくさんの説がだされました。
ここでは20世紀に発表された説のうちから、代表的なものを述べることにしましょう。


ジーンズの潮汐説

1916年に、イギリスのジーンズという天文学者は、つぎのような説を立てました。

原始の太陽は、まだ惑星をしたがえてはいませんでした。
この太陽のそばを、ほかの恒星が通り過ぎました。
恒星が近づいてくると恒星の引力が太陽にはたらきはじめ太陽の表面が持ち上がります。

このような現象か潮汐作用といい、地球の海面が月の引力で高くなるのと同じです。
恒星が太陽に最も近よったとき、恒星の引力で太陽の内部から、厚いガスが、ひものように引き出されました。

このガスのひもは、恒星が通り過ぎるときに受けた力で太陽にまきつくようにまわり出しました。
その形は、両はしが細く、中心のあたりが太くなっています。

時間が経つにつれてガスのひもはちぎれ、いくつかの火の玉になりました。
この火の玉が、1つ1つの惑星で、しだいに冷えて固まり、現在のようになったのです。

また、その惑星が、太陽のまわりをまわるうちに太陽の引力によって、惑星から衛星が飛出しました。

地球も月も、このようにして誕生したというのです。
このジーンズの説のことを潮汐説といっています。

潮汐説の良い点と悪い点

惑星のうちで、太陽にいちばん近い水星といちばん遠いめい王星とが小さくて中ほどにある木星や土星が大きいことは、潮汐説でうまく説明できます。

また太陽系の性質のうちいくつかは、なるほどとうなずけます。
しかし潮汐説では、どうしても説明できないこともあります。

潮汐説によると、惑星の軌道の形は細長い楕円になるはずです。
ところが実際には、円に近い軌道で太陽系の①の性質に反しています。

また太陽から引き出された厚いガスが、寄り集まって惑星が生じたということも説明しにくいことです。

ふつう、真空中にガスを放すと、より集まるどころか、飛び散ってしまうからです。
さらに、めい王星ほどの遠くまで飛び出すためには恒星は、太陽にぶつかるぐらい近づかなければなりません。

太陽と恒星の出会い

ジーンズの立てた潮汐説は、ビュッフォンの説に似ています。
違う点は、相手の天体が彗星ではなくて、恒星であること直に太陽にぶつかるのではなくて、ごく近くを通り過ぎることです。

恒星は、どれも光る点のように見えますがそれは地球からたいへん遠くにあるためで、実物は太陽ぐらいの天体です。

また地上から眺めると、恒星は、まる天井に散りばめられた宝石のようにいつまでも、星座を形づくっているように見えます。

しかし、これも実際には、お互いに毎秒10キロぐらいの速さでそれぞれ、勝手な方向に動いているのです。

いま、恒星の大きさを人間の胸囲ぐらいに例えるなら1つ1つの恒星のあいだの距離は、約500キロ(直線距離で東京~青森間)動く速さは1年間に約3メートルになります。

これでは、隣同士が、たとえ向きあって動いたとしてもすれ違うには、約5万年かかります。

まして、勝手な方向へ動くのですから、何千兆年経っても恒星どうしは出会えないでしょう。

こんな具合ですから、太陽と恒星が出会うということはごくまれな珍しい出来事なのです。

それにもかかわらず、星の世界には太陽系と同じようなものが、かなりたくさんあるのです。




デカルトとビュッフォンの説の違いとは?ケプラーの法則とは?

太陽と地球の間柄

神話には、実際に起こりそうもないことや、理屈にあわないことが述べられています。
しかし16世紀に、コペルニクスが地動説をたててから、科学はぐんぐん進みました。
地球の誕生についても、だいぶ科学的な考えかたが発表されるようになりました。

ここでは、初期に発表された2つの代表的な説を述べましょう。
この2つの説は、いろいろな点で考えかたが正反対ですから注意深く調べてみましょう。


デカルトの説

これは、デカルトという、フランスの数学者が考えた説です。
コペルニクスが、地動説を発表してから100年も後のことです。

宇宙のはじめは、すべてがまじりあっていました。

この中に、3種類の元素(もとになる物質)がふくまれていたのでお互いに、ぐるぐる渦巻きのようにまわりあっているうち同じ物質同士が寄り合って別々の天体ができました。

その第1は、光った元素から太陽と恒星ができ第2は、透き通った元素から天空ができました。

そして第3に、不透明で光を反射する元素から惑星や彗星(ほうき星)ができたと考えたのです。

この説では太陽と地球は同じお腹から生まれた兄弟のような間柄、ということになります。

ビュッフォンの説

デカルトの説が出てから、さらに100年ほど後にフランスの生物学者でビュッフォンという人が、地球は太陽からわかれたものだ、と考えました。

全ての彗星は、遠方から飛んできて、太陽の近くを通り過ぎます。
大昔、その1つが太陽の表面をかすっていって、その部分を削り取ったとします。

ちょうど、円板の淵をかんなで削ったとき削りくずが周囲へ飛び出すのと同じように、太陽の表面から大小いくつかのかけらが、空間をまわりはじめます。

そのようなかけらが固まって惑星となり、そのうちの1つが地球になったというのです。
この説によると地球は、太陽の血肉をわけた子供にあたる間柄ということになります。

2つの説の違い

デカルト節とビュッフォン説とくらべると左の表のように、大切な点で全く違っています。

デカルト ビュッフォン
説を立てた年 1644年 1745年
地球のでき方 星雲が周りながら固まる 彗星の衝突で太陽からわかれる
地球のできた時期 太陽とほぼ同じ 太陽よりもあと
地球のもとの物質 太陽と違う物質 太陽と同じ物質
地球のできる速さ ゆっくりと自然に 突然激しく
原因となった力 自分自身の力で ほかの天体の力で

この後にたくさんの学者が、それぞれの説を唱えましたが根本的な考えはこの2つの説のどちらかに似ています。



ケプラーの法則

地球は、太陽のまわりを公転しています。
このような天体は、全部で9個あり、惑星といいます。

これらの惑星は、みな共通の点をもっています。
有名なものは惑星の運動に関するつぎのようなケプラーの法則です。

「どの惑星も、太陽のまわりで楕円を描きながら公転し太陽に近づいたときは速く、遠のいたときは遅く動く。1周するのにかかる時間は内側の惑星ほど短い」

太陽系の性質

太陽の万有引力がおよぶ範囲を、太陽系といいます。
ところが太陽系全体についてみますと、万有引力によっても証明しつくせないつぎのような性質があります。

①惑星の軌道の形は、楕円といっても非常に円に近いものです。

②惑星の軌道の位置は、どれも、ほとんど同じ平面上にあり太陽の赤道面ともほぼ同じです。

③惑星の公転の方向は、みな同じ方向で、しかも太陽や惑星の自転の方向とも一致します。

④水星・金星・地球・火星など、太陽に近い惑星は形が小さいが、比重が大きく、自転が遅く、衝星の数は少なくなっています。

これにたいして、木星・土星・天王星・海王星など、太陽から遠い星はその反対の性質をもっています。

⑤惑星の軌道の半径は、だいたい2倍ずつの割合でましています。
そして、軌道と軌道の間隔は、外側になるほど広くなっています。

⑥太陽の重さは、太陽系全体の重さの99パーセントをしめ惑星全部を寄せ集めても重さはごくわずかです。

⑦惑星のまわりで衛星が公転する様子は太陽のまわりで惑星が公転する様子にそっくりです。

以上のようないろいろな性質は、どのようにしてできたのでしょうか。
これは、太陽系の成り立ちかたに関係があります。




地球の誕生にまつわる神話とは? わかりやすく解説!

神話の中の天と地

大むかしの人々は、この世界を天と地の2つにわけて考えていました。

天界には、たくさんの星がかがやき、地上に人間が住んでいますがこの2つの世界も、はじめは1つのものだったち考えました。

では、どのようにして2つにわかれたのでしょうか。
それは、神話の中で語られています。

もちろん、国によって、その考えかたも違っています。
ここでは、そのうちの代表的なものを3つ選んでお話しましょう。


バビロニアの神話

いまのイラクの国のある地方を、メソポタミアといいます。
この地方には、約7000年ぐらい前から、文明が明けていました。

バビロニアはその1つの国ですが人々のあいだで天地の成り立ちについての神話が、言い伝えられていました。

宇宙の最初の時代には、一面が大海でした。
この水の中で、すべてのものは、区別なく入り混じっていました。

この大海はティアマートという悪魔の神が支配していて乱暴をはたらいていたのですが大海から生まれたマルドークという太陽の神がこの悪魔の神を退治することになりました。

マルドークは、稲妻を武器にして、ティアマートに立ち向かいました。
大きな口を開いて襲いかかるテイアマートのその口の中に風を吹き込むと、その体は、破裂してしまいました。

そこでその体を2つに裂き、半分を高くつるすとこれが天となり、あとの半分を広げると、これが地となったのです。

エジプトの神話

エジプトも、バビロニアと同じくらい、古い王国でした。
ここにも、天地の成り立ちについての神話があります。

いちばんはじめに宇宙は、やはり水で満たされていました。
天の神ヌイトと、地の神シブとは、この水の中で1つとなり、じっとしていました。

するとある日のこと、水の中から、シューという神があらわれてヌイトを頭上高く持ち上げました。
するとヌイトは両手両足を踏ん張って、体中にたくさんの星をひからせました。

またいっぽう、シブはシューの足もとで手足を伸ばしました。
そうすると、植物が生え、動物や人間が動くようになりました。

それらの植物の中に、1本のハスの茎がありました。
そのつぼみがパッと開いて太陽の神ラーがおどりでて、天にのぼりました。
ラーが、天と地をくまなく照らすと、神々が、つぎつぎと生まれました。

ナイル川の神オシリスも、この群れの中にまじっていました。
人々は、ラーにあたためられ、オシリスに潤されながら暮らすようになりました。



日本の神話

バビロニアとエジプトの神話とをくらべると、天地ができあがるまえには水の中に、なにもかも、ごちゃごちゃにまじりあっていたという点が似ています。

日木の神話の中でも、そのような考えが語られています。
日本でいちばん古い歴史の本に『日本書紀』という本があります。
書かれたのは、西暦720年ですが、天地のはじまりのことから書き出してあります。

最初の世界の様子は、ちょうどニワトリの卵の中のようにどろどろに溶けあったようになっていました。

時間が経つにつれて軽くてすんだものは上方にたちのぼり、たなびいて大空となりました。
いっぽう、重くてにごったものは、よどんで大地となりました。

大空が広がるのは、容易かったのですが、大地は、なかなか固まりませんでした。
そこで、男女二柱の神様が雲の上から、矛で地面をかきまわして日本列島をつくったということです。

この日本の神話で感心することは私たちがふだん観察することのできる、蒸発や凝固などの物理現象をよく取り入れていることです。




定点観測船・気象観測ロケットと人工衛星の役割とは?

定点観測船

海上の測侯所ともいうべきものです。

広い海の上の決まったところにいて、ふつうの気象観測やラジオゾンデ観測や海洋観測をおこなっています。


それから、電波灯台の役目をしています。また、ときには海難救助にも協力します。
日本では、海上保安庁の巡視船に気象庁の観測員が乗り込んで毎年5月から11月まで、この仕事をしています。

この巡視船に、その位置が、四国の南450キロの海上にあるので梅雨前線や、南洋から日本にやってくる台風の観測にたいへん大切な役目をもっています。

定点観測船では、水のほかにはなにも見えない海の上で荒波と戦いながら、毎日観測を続けています。

そして観測の結果は、無線電信で気象庁に送られています。

海に囲まれた日本にとって、この観測船の仕事は天気予報や気象警報を出すうえになくてはならないものです。

気象観測ロボッ卜

人が住めないような山や島に据え付けられて、自動的に気象観測しその結果を無線電信で知らせる装置です。

ロボット雨量計はその1つで雨量の様子を観測し自動的に、こくこくと電波で発信します。
測候所や気象通報所で、その電波を受信し、山に降った雨の量を知ることができます。

ロボット雨量計の観測は、洪水警報の大切な資料になります。
また大雨のまえにあらかじめダムの扉を開いて放水するかどうかを決めるもとになります。

このほか、気象観測ロボットには、風向と風速だけを測るものもあり
いろいろの種類の気象観測を自動的におこなえるような器械もできています。



気象観測ロケットと人工衛星

ラジオゾンデで観測できる範囲よりも、もっと高い空の気温に湿度・風向・風速などの様子を観測するためには、ロケットが使われその観測結果はロケットから電波で地上に送られてきます。

また、特別につくられたカメラで空のずっと高いところのロケットから地球表面にある雲の様子を、撮影することもできます。
雲の様子がうつったフィルムはロケットが地面や水上に落ちたときに取り出すのです。

人工衛星は、いろいろの役目をもっていますが気象観測のためには特別のカメラを備え、地球のまわりをまわりながら広い地域に分布する雲の写真をとります。

人工衛星の飛んでいる高さは地上から数百キロくらいですからこの人工衛星の撮影した雲の写真を見ると、どこに雲がたくさんあるかまた、どんな雲かが、ひとめでわかります。

この人工衛星には、カメラで撮った雲の写真をテレビで地上へ送ってくるような装置がつけられています。

このテレビ装置で送ってきた雲の分布を見ると低気圧・前線や台風がどこにあるかが、ひとめではっきりとわかります。

このような人工衛星が、たくさん地球のまわりをまわり気象のうつりかわりを地上の気象台にこくこく知らせるようになれば天気予報はもっと正確になり災害をふせぐためにも、たいへん役立つことでしょう。

地球ができたのは、約50億光年も前のできごとといわれています。
その最初の姿はどのようであったでしょうか。

地球は、どろどろに溶けた、厚い大きな原始太陽からわかれてきたものではじめは火の玉のようであったという考えかたです。
これはジ-ンズの潮汐説で代表され、広く認められていました。

ところが、20世紀の半ばに入り、シュミットによって隕石説という新しい考えが発表され、潮汐説にとってかわるようになりました。

隕石説というのは隕石や宇宙塵の星雲の一部が太陽のとりこになりその中で星雲の粒がお互いにぶつかりあいながら固まり地球のような惑星のもとになったというものです。

ですから、地球のできはじめは、むしろ冷たかったというのです。
このように、地球の誕生については全く違う1つの大きな考えかたがあります。

つぎに、この違いについて調べてみましょう。




気象レーダー・ラジオゾンデ・気象観測機とは? わかりやすく解説!

気象レーダー

これは、雨雲の様子を調べるためのレーターです。

ある決まった短い波長の電波を出して、その電波が雨雲にぶつかって跳ね返ってくるのを受信してテレビと同じようなブラウン管にうつしだすのです。

このようにして、雨雲がどこに分布しているかどの方向に動いて、どれくらいの強さで雨が降っているかを知ることができます。


台風や梅雨前線、雷雲を観測するのに大切な器械です。

気象レーダーの使う電波の波長は、3センチ、5.6センチ、10センチなどのものがあり観測できる範囲は遠いところは400キロくらいまでにもおよびます。

前ページの写真のレーダーは、室戸岬測候所のものでこのパラボラアンテナの直径は4メートルもあります。
これはとくに台風観測のためにつくられたものです。

このほかに、乱象レーダーを備えつけてあるところは、全国十数か所あります。
とくに、富士山頂にあるレーダーは日本でいちばん広い範囲を受信することができるので台風観測に大いに役に立っています。

気象レーダーによって、台風のうつりかわりが手にとるように観測することができるので、これは台風の予報にはなくてはならない器械です。

気象観測機にも気象レーダーがつけてあります。
また、最近は人部分の旅客機にも気象レーダーがつけてあります。

ラジオゾンデ

電波を利用して、空の高いところの気象を観測する器械です。
直径2メートルもあるゴム風船に水素ガスを詰めこれに観測器械と無線の発信器をつけて空に飛ばします。

このゾンデは、1分間にだいたい350メー卜ルの速さで2万メートルから3万メートルまでの高さにあがっていきます。

観測は毎日2回、定期的におこなわれ高い空の気温・湿度・気圧・雲などを観測します。
ラジオゾンデから送ってくる測定値はモールス符号で発信されこれを地上で受信します。

また、ラジオゾンデから発信される電波の方向をはかって風船が風に流されていくありさまから、上空の風向と風述をはかります。

ラジオゾンデの観測は、ふつう、夜・昼の2回おこないます。
気象台では、各地のラジオゾンデ観測の結果を集めいろいろの高さについて高層天気図をつくります。

高層天気図は、毎日の・天気予報にとって役立つことはもちろんですが高い空を飛ぶ飛行機には、とくに大切なものです。

ラジオゾンデのほかに、小型のゴム気球を飛ばしそれが風に流されていく方向をはかり、上空の風向と風速だけを観測するものもあります。

これをレーウィンといいます。



気象観測機

これは、台風の観測に活躍する、特別の装置をもった飛行機です。
気象観測の器械や気象用レーダーをもっていて台風についてのいろいろな観測をします。

この観測機は暴風の範囲を調べたり、ドロップゾンデといって、ラジオゾンデの器械をパラシュートにつけたものを飛行機から落とし台風の中心の気圧や気温を観測します。

また、海面の波の様子から中心付近の風速の観測をします。

そして、ときには、危険を冒して台風の中に飛び込んで中心の様子を調べることもあります。
こうして、台風の中心の位置をとらえ、台風の大きさ強さ、移動する方向などを調べます。

こうして観測した結果は飛行を続けながら無線で報告します。

いま、日本付近の台風の観測は、アメリカ空軍の気象観測校がこの任務についています。
そして、観測した結果は、気象庁に知らされます。

気象庁では、この結果をもとにして予報当番がつぎつぎにかわっていく台風の様子や、その動きを知ることができます。

台風のように大きな災害を起こすものには世界各国の気象台が力を合わせて、予報や警報を出しています。

そして、私たちの体や財産を台風から守るようにしているのです。




富士山測候所・鳥島気象観測所とは? わかりやすく解説!

富士山測候所

この測候所は、富士山頂の3776メートルの高いところにあります。
そして、6、7人の観測員が20日間交代で、年中休むことなくはたらいています。

高山測候所としては、世界でも、いちばん高いところにある測候所です。

天気は、空の高いところからかわっていきます。
それで、この測候所の観測は、天気予報とくに台風や前線の様子を知るうえに、非常に大切です。

高層観測には、ラジオゾンデがさかんに使われていますがここでは器械による観測だけでなく、実際に人の目で雲やいろいろなものを調べることができるのです。

ここは、暴風のときには、50メートル以上の強い風が吹きまた、かみなりの落ちることも多いのです。

寒いときは、風速計などにつく、固い霧氷を叩き落としながら観測をするなど、たいへんな苦労をしています。

富土山測候所は、このようにして観測した山頂の天気の様子を東京の気象庁や名古屋・静岡の気象台と無線電話で連絡して、報告しています。

伊吹山・剣山などの測候所も富士山測候所と同じような仕事をしています。


鳥島気象観測所

東京の南方、560キロ、八丈島よりもっと南の海上に、二重式火山の鳥島があります。

面積は約4.5平方キロの小さな無人の離れ島でアホウドリが住んでいることで知られています。

鳥島気象観測所は、第二次世界大戦後の1947年に気象庁によって設けられて以来、南海上に発生する台風や梅雨前線の観測基地として重要な役目を果たしてきました。

ところが、1965年11月、火山爆発の危険を知らせる地震が起こりました。

鳥島は、火山島で、むかし、何回も噴火したことがあります。
明治時代には、噴火のために住んでいた人が全滅したことさえあります。

気象庁では、しだいに大きくなる地震に、観測の中止と観測所員全員の引きあげを命じました。

11月15日、観測所は閉鎖されました。
そして1967年6月1日、ついに廃止されることになったのです。

現在、鳥島付近の気象観測は、定点観測船によっておこなわれています。




気象台や測候所・航空気象台の仕事とは? わかりやすく解説!

気象台や測候所の仕事

気象台や測候所は、どの府県にも必ず1つはあり、多い県では5つもあります。

そして、1つの県全体の予報を受け持つのが地方気象台です。
管区気象台や海洋気象台は、その県の地方気象台の役目もしています。
測候所は、地方気象台の下にあって、ふつう県内の一部分の予報を受け持っています。

1日の気象観測の回数は、日本全体の天気図をつくるうえにどれくらい大切な場所であるかによって、それぞれの気象台・測候所で違います。

また、観測の種類も、どの仕事に重点を置くかによって、いろいろあります。

気象台や測候所では、気象観測の結果を、電報で気象庁予報部に報告します。
また、気象庁が放送する気象無線放送や天気図のファクシミリ放送を受信して天気図をつくり、それぞれ、受け持ちの地方の天気予報や気象警報を発表します。


いろいろな観測

① 地上気象観測

毎時観測(1日に24回)のところと、3時間おき(1日に8回)のところと6時間おき(1日に4回)のところなど、場所によって違います。

② 高層気象観測

ラジオゾンデの観測(全国で16か所)、測風気球観測(全国14か所)をおこないます。

③ 海洋観測

海水の温度や比重・うねり・潮汐などを観測します。

④ 地震観測

地震計を絶えずまわしています。
地震が起こると、すぐに観測結果を気象庁観測部に報告します。(全国で108か所)

⑤ 火山観測

大島三原山・浅間山・阿蘇山などの火山活動を見守り振動・地盤の傾斜・噴煙・ガス・火山灰や、溶岩などの噴出物、爆発などを観測します。(全国で13か所)

⑥ 大気放射能観測

雨水や雪にふくまれている大気中の放射能を測定します。

⑦ 生物季節観測

桜の開花・紅葉する植物や、ツバメ・ヒバリなどの動物が季節によってうつりかわる有様を観察します。

⑧ 無線ロボット雨量計の観測

結果を気象通報所や測候所で受信し、ダムの調節や、洪水警報のもとにします。
観測の結果は、管区気象台を通して、ただちに気象庁に報告されるほかに1か月ごとにまとめて、気象庁観測部に報告されます。

気象台や測候所は、前に説明した、いろいろな天気予報や気象警報を出します。

そして、テレビ・ラジオ・新聞で、いっぱんの人に知らせるほかに警察・国鉄・電力会社・市町村役場などに知らせます。

とくに鉄道や電力会社には、特別の気象通報をおこなっています。
また、漁船が安全に仕事ができるように海上の天気のうつりかわりを漁業無線局を通して各漁船に知らせています。

海洋気象台

函館・神戸・舞鶴・長崎の4か所にあって、海洋観測船をもっています。

観測船は、海上気象観測のほか海水の温度・塩素量や酸素などの化学分析・海水の放射能・プランクトンなどの海洋観測をおこないます。

海洋気象台は、海上を走る旅客船や貨物船が、安全に航行できるようにまた、港を遠く離れて魚を獲る漁船が安心して仕事ができるように海の上の天気予報や、気象警報を出しているのです。



航空気象台の仕事

東京都羽田にある東京国際空港には日本や外国の航空会社のたくさんの飛行機が毎日約230機、離陸したり、着陸したりしています。

このたくさんの旅客機が安全に飛べるように航空管制塔などいろいろの設備がありますが、その中に気象の仕事をする東京航空地方気象台があります。

外国へ行く旅客機の操縦士に、出発前にここへ来て飛行機の飛ぶ道筋の気象の様子と、予報を詳しく聞いていくのです。

航空気象台では、国内の気象観測結果はもちろんホノルル・東京間とニューデリー東京間の国際気象通信回線を通して太平洋・アジア大陸など、広い範囲の気象観測の結果を集め地上天気図やいろいろの高さの高層天気図をつくります。

これまでのプロペラ式の旅客機はふつう7000メートルくらいの高さを飛んでいましたがジェット旅客機は1万メートルから1万3000メートルくらいの高さを飛びます。

それで、このような高さで、低気圧や前線がどこにあるか気温はどのくらいかがわかるような天気図が必要なのです。

また、いちばん強い風は、どの高さに吹いているかその風速は何メートルかなども調べます。

航空会社は、それらをもとにして電子計算機によりいちばん短い時間で飛んでいけるコースを決めるのです。

ジェット機の操縦士は、とくに、そのときのジェット気流の様子をくわしく知らねばなりません。

航空気象台では、飛んでいる旅客機にたいして無線電話放送によって、空の気象の様子と天気予報を知らせています。

また、航空気象台では、外国の飛行場にある気象台と連絡して旅客機が飛んで行く先の気象状況や、飛行場付近の天気の様子を知らせます。
着陸するまえの旅客機には、飛行場付近の天気の様子を教えます。

とくにジェット機には、滑走路の見通しや、気温・風の様子が大切です。

航空測候所は日本に7か所あって、東京航空気象台と連絡して飛行場や旅客機の飛ぶコースの天気の様子と予報や警報を知らせる役目をもっています。

また、たいがいの飛行場には気象台の分室があって、このような仕事をしています。

空を飛ぶ旅客機の数は、年ごとに増え、しかもジェット機の発達によってスピードは、ますます、速くなってきました。

航空気象台や航空測政所のはたらきによって旅客機は安全に大勢のお客や貨物を運び、しかも経済的に飛んでいるのです。




天気予報・気象警報のいろいろな種類とは? わかりやすく解説!

テレビ・ラジオや新聞の天気予報では、高気圧・低気圧や前線がどこにあるかだいたいの気圧配置をいって、それらがどう移り変わっているかを説明しています。

そして各地の今日、今晩、明日、明後日の天気・風・気温・湿度・雨量などの様子を予報します。

このほかに、その日から1週間の予報をする週刊予報と1か月、3か月などの長い期間の天気を予想する季節予報があります。

これらの天気予報は、ふつうの家庭はもちろん農業など、社会の各方面でいろいろの計画を立てたり予定を組むうえに役立つようにつくられています。

強い風や大雨などによって、大きな災害の起きそうなときには気象注意報や気象警報を出して、被害をできるだけ少なくするように呼びかけます。


気象注意報と警報

風速が毎秒10メートルを超えて、被害の起こりそうなときには、強風注意報を出します。
大雨が降って、30ミリから50ミリくらいの雨量があると予想されるときには大雨注意報を出します。

また、湿度がたいへん低くなりそうなときには、異常乾燥注意報を出します。

大気中の湿度は、ふつう、50パーセントから60パーセントくらいですがときには空気が乾いて、湿度30から20パーセント以下になることがあります。

このようなときには、火事が起こりやすくいっぱんの人に火の用心をするように、呼びかけるのです。

このほかに、風雨注忿報・風雪注意報・大雪注意報・霜注意報・濃霧注意報などがあります。

台風が近づいて、風や雨がものすごく強くなり木や塀が倒れたり、洪水になって大きな災害が起こりそうなときには、暴風雨警報をだします。

とくに、台戦が日本に近づいて来たときには台風の進む方向や暴風の範囲など、つぎつぎとかわる様子を説明する、台風情報を発表します。

このほか大雨警報・大雪警報・暴風警報があります。

これらの気象警報が発表されると、私たちの学校は特別に休校になったり、安全なところに避難したりすることがあります。

とくに、つぎのことは、ぜひ守りましょう。

  1. 外出や旅行は止めること。登山・海水浴は、絶対にしないこと
  2. ラジオやテレビの天気予報や気象情報をよく聞いて台風がどこにあるかを正しく知ること
  3. 停電や断水になることがあるから、懐中電灯・ろうそく・飲み水などの用意をしておくこと
  4. 警察署や消防署からの避難命令などをよく聞くこと

高潮警報

強い低気圧や台風が上陸すると、高潮が起こるころがあります。

1959年9月の伊勢湾台風のときには海の波が4メートル以上の高さで名古屋市付近の海岸を襲いました。

このため、大災害が起こって、大勢の人が死にました。

このようなことが予想されるときには、高潮注意報や高潮警報や発表します。



洪水警報

梅雨前線や台風のために、大雨が降って、洪水になりそうなときには洪水警報を出します。

1日に100ミリ以上の大雨が降ると低い水はけの悪いところは水がたまりたいがいの川は、洪水が起こる危険があります。
山地では、1日に200ミり以上の大雨か降ると、山崩れの危険があります。

利根川など、洪水をお越しやすい川ではとくに、気象台と建設省とが力をあわせて、洪水警報を出す仕事をしています。

洪水警報が出ると、人々は力をあわせ、堤防の弱いところに土のうを積み排水がポンプを用意し、また、ダムの水を調節して洪水にならないようにします。

火災警報

空気が乾き、風が強くなると大火事の心配があります。
湿度が40パーセントより低く、風速が10メートル以上になると気象台から、そのときの気象の様子を消防署に知らせます。

消防署は、その知らせによって火災警報を出し人々に火の用心をするように呼びかけるのです。

津波警報

地震が起こると、各地の気象台や測侯所は地震観測の結果を、すぐ電報で気象庁観測部へ報告します。

気象庁観測部は、それによって、地震の起こった位置・深さ・地震の大きさ・各地の地震の揺れ具合を発表します。

また、津波が襲ってくる心配のあるときには、津波警報を出します。
津波警報は、津波の来そうな沿岸と予想される津波の高さを知らせ、人々に強く注意します。

津波警報は、警察・電電公社・放送局・海上保安庁・国鉄などの電話やラジオを通して市町村役場所や船、いっぱんの人々に知らされます。

この津波警報に、地震が起こってから、20分以内に気象庁から発表するようになっています。

気象資料の統計や調査

気象庁では、各地の気象台や測候所から、月ごとにまとめて送ってくる観測資料や災害調査報告をもとにして、いろいろの統計や調査報告をつくります。

これらは、農業や工業など、たくさんの産業社会のいろいろな方面に役立つことはもちろん、また、学問の研究のもとにもなります。




気象台と測候所、気象庁の役わり・仕事とは? わかりやすく解説!

気象台と測候所の役わり

気象台のいちばん大切な仕事は、気象観測をして暴風や大雨などによるいろいろな災害から、人々を守るために天気予報や気象警報を出すことです。

正しい予報や警報を出すためには広い地域で、気圧・気温・湿度・風向・風速などを、同時刻に決められた方法で正しく測って、それを1か所に集めできるだけ早く、天気図をつくらなければなりません。

私たちの日常生活に大切な天気予報は、日本だけの観測では足りません。

もっと広い範囲の観測結果が必要なのです、気象の災害から人々を守るために世界中の気象台が力を合わせて昼も夜も休むことなく、この仕事を続けているのです。

世界中の国々の気象台は、世界気象機関条約の取り決めにしたがって同じ方法で気象観測を行っています。

そして、観測の結果を互いに知らせ合い受け持ちの範囲の天気予報や気象警報を出しています。


気象庁の仕事

日本では、上の表のように、たくさんのところに気象台や測候所があって、多くの学者や技術者たちがはたらいています。

天気予報を出すまで

気象台や測候所で観測した結果は雲量・風・視程・天気・気圧・気温・雲・露点・降水量・最高気温・最低気温などの順に電報で東京お気象庁予報部に報告されます。

また、海の上を航行する船や空を飛ぶ飛行機、灯台、国鉄や電力会社の行う気象観測の結果も使われます。

各地の気象観測の結果は、気象台を通して特別に設けられている有線や無線の通信回路でまた、海の上の船からは沿岸無線局を通して、気象庁予報部に送られてくるのです。

また、世界中とこの国でも、決められた順に、気象無線放送をしています。
これを受信すれば地球上のどこでも、気象の様子がわかります。

インドのニューデリーから、東南アジア・ソ連・ヨーロッパ地域の気象資料がまたアメリカのニューヨークから、ハワイのホノルルを通してアメリカ・太平洋地域の気象資料が、東京の気象庁にラジオテレタイプで送られてきます。

これで、北半球全体の気象観測の結果が、集められるのです。

東京からは、ニューデリーへ、アメリカや極東地域の気象資料をニューヨークヘ、極東・東南アジア地域の気象資料を送っています。

こうして集めた、各地の観測の結果を、記号や数字で白地図の上に書き込みこれに等圧線や前線を引いて天気図をつくります。

この天気図で、低気圧・高気圧・前線の様子や天気の移り変わりの様子を調べて、天気予報をつくるのです。



気象無線通報

気象庁予報部では、集めた内外の気象観測の結果をまとめ気圧配置のだいたいの様子といっしょに内地、船舶また、日本が受け持っているアジア地域の国々に向けて気象無線通報を放送します。

各地の気象台や測侯所では、この放送を受信して大気図を書きそれぞれ、受け持ちの地方の天気予報をつくるのです。

また、気象庁予報部が書いた天気図のいくつかはファクシミリ(無線で天気図をそのまま電送する機械装置)で放送されます。

地方の気象台や測候所で受信して特別の装置を通すともとのものと同じ天気図を機械が書いてくれます。

気象庁では、東経100度から180度のあいだで赤道から北側の北緯60度までの東アジアと北西太平洋の広い範囲の気象放送と警報を受け持っているのです。

いろいろの天気図

気象庁でつくる天気図の範囲は、アジア・太平洋地域、極東地域、北半球全体が主なものです。
場合によって、赤道地域やアジア地域のものも書かれます。

測侯所の観測をもとにした地上天気図のほかにラジオゾンデ観測や飛行機の観測をもとにした、高層天気図があります。

高層天気図は、気圧が100ミリバールのところ(約1万6000メートル)をはじめいろいろの高さについてつくられます。

また、電子計算機によって、24時間、48時間後の予想天気図をつくります。

これら、たくさんの天気図と天気変化図などをもとにしてレーダー観測の結果などをあわせ考え、天気予報をつくるのです。




海上交通、航空機における気象との関係とは? わかりやすく解説!

海上交通と気象

旅客や荷物を乗せて、海上を走る船や、港を遠く離れ魚を獲る漁船にとって、霧や、暴風は大敵です。

1955年5月、瀬戸内海で紫雲丸は、濃い霧のために第三宇高丸と衝突し、またたくまに沈没してしまいました。

そして、乗っていた修学旅行の小・中学生が、大勢遭難しました。

レーダーを備えつけて、危険物が見えるようにしたり無線電話で互いに連絡がとれるようにして、霧の中でも走れる船もたくさんあります。

それでも、せまい海峡を通るときや、港を出入りするときには、とくに注意がいります。
秋の台風・冬の季節風・冬や春先に、発達しながら速い速度で移動する低気圧は海上の船にとっては、いちばん恐ろしいものです。

強い風と高い大波のために、大きな船も木の葉のようにもまれてしまいます。
1954年9月、函館港外で遭難した洞爺丸は、15号台風の暴風と高波のために沈没し1000人以上の人が、犠牲になりました。

冬から・春先に、アリューシャンやカムチャッカ方面で遠洋漁業をしている商船は、大しけに注意しなければなりません。

この季節の強い低気圧の風は、台風と同じくらい強いものですから船に乗ってはたらいている人たちは、いつも天気予報や気象警報を聞いて仕事をしているのです。


航空機と気象

空を飛ぶ飛行機は、天気の影響を、もっとも、うけやすい乗り物です。

近頃のようにジェット機が発達して、スピードはますます速くなりしかも、飛行場から、あいついで飛び立つようになると気象に安全運航のために、いよいよ大切になってきました。

飛行場には、コントロールタワーがあって、着陸する飛行機を安全に導き離陸する飛行機に、順番に離陸の指令を出し、空の交通整理をしています。

また、霧や煙霧があっても、飛行機を電波で導いて安全に着陸させるような設備があります。
それでも、雲の高さが150メー卜ル、視程が1600メートル以下になると安全な着陸は難しくなります。

このようなときは、飛行機の発着は禁止されます。

東京や大阪の飛行場では、濃い霧や煙霧のために、旅客機が着陸できないで引きかえしたり、ほかの飛行場に着陸するようなことがあります。

工場地帯に近い飛行場では、工場からでる多量の排煙によって視程が非常に悪くなることがあります。

霧や煙霧のほかに、飛行機に影響するのは強い雨・吹雪・着氷・空中電気・気流の乱れ・雪などがあります。

気象台では、飛行機の飛ぶ空路や飛行場の気象を説明し、視程や風向、風速を予報します。
操縦士は、空路の気象の様子を調べ、安全にそして経済的に飛ぶように、飛行の計画を立てるのです。

とくに、ジェット旅客機は、滑走路の気温と風が、エンジンのはたらきに、関係します。
たとえば、滑走路の気温が高いとエンジンの力が少なくなって、滑走距離は長くなります。

飛行機の速度は、1秒間に50メートルから300メートルくらいです。
高い空では、いつも10メートル以上の風が吹いているので向かい風になるか、追い風になるかによって、速さがたいへん違います。

日本の付近の上空では、6キロから10キロくらいの高さにジェットストリームといって、非常に強い西風の吹くところがあります。

ジェットストリームは、夏と冬とで違い、南で北に移動しますがだいたい、地球をとりまく帯のようになっています。

このジェットトストリー厶での風速はときには1秒間に100メートル以上にもなることがあります。
日本からアメリカまで、ジェットストリームを利用して飛ぶと時間をたいヘん縮めることができます。
したがって、燃料の節約にもなるわけです。

東京からハワイのホノルルまで、大型ジェット旅客機はふつう夏に7時間目40分、冬は6時問20分で飛びます。

上空の西風は、夏よりも冬のほうが強いために定期旅客機の時間表も、このようにかわるのです。

近頃、冬のジェットストリー厶を利用した大型旅客機が東京からホノルルまで5時間20分ほどで飛び、予定の時間を2時間も縮めました。

このように旅客機は、経済的で安全な空路を選んで飛んでいるのです。




工業、農業、交通における気象との関係とは? わかりやすく解説!

工業と気象

工業の発達とその土地の気候のあいだにも、大切なつながりが見られます。
福井県や石川県は、昔から絹織物の産地で、近頃は人絹織物も盛んになりました。

このわけは、

  1. 長い冬のあいだ、農家が暇になって、工場に、はたらきにでられる人が多いこと
  2. 水力電気が、動力して、たくさん使えること
  3. 湿り気が多いために、糸きれがしないので、よい織物ができることなどです

    1. いろいろな工業のうちで、気象に関係があるのに織物・金属・機械器具・窯業(かまや炉を使って、粘土や鉱石などを高温で焼いたり融かしたりして、陶器・ガラス・セメントなどのような加工品をつくる仕事)・化学・製材・木製品・印刷製本・食料品・ガス・電気などです。

      工場の中では、有毒ガス・ほこり・湿度・温度などが仕事の能率と、製品の良し悪しに関係してきます。

      仕事をするのに都合のよい温度は、仕事の種類によって、いろいろ違います。
      また、よい製品をつくるのに都合のよい温度と湿度も、上の表のように調べられています。

      近頃は、大きな工場では、空気調節装置をつけて生産に都合のよい温度、湿度を保つようにしています。

      また、時計やカメラ・ラジオなどの精密な器械を取り扱っている工場ではほこりを取り除く装置を取り付けるようになりました。

      長業と気象

      作物のとれ高は、気象のかわり具合と深い関係があります。
      稲・麦・野菜・果物など、すべての植物がよく育つためには適当な気温・湿度・日光・雨が必要です。

      米がたくさんとれるためには、だいたい次のような気象条件が必要です。

      ① 稲が育つ6・7・8月の気温が高く、晴れの日が続き、しかも円の水が充分あること。
      ② 稲のかぶが大きくなるころには、とくに気温が高く、適当な雨量があること。
      ③ 花が咲く時期は、晴れた日が続き。温度が高く、取り入れの時期に雨が少なく
      もみを干すのに都合がよいこと。

      ④ 花が咲く時期に台風の害がないこと。
      異常高温が続いたり、雨が降り続くと、稲の病気や虫の害が起こりやすくなります。

      種まきのとき、肥料をやるとき、農薬をまくとき、取り入れ・保存のときなどに気象は、大きな影響をあたえますから、天気用法をよく理解して利用しなければなりません。



      交通と気象

      汽車・電車・船・飛行機など、陸・海・空、すべての交通は、気象と深い関係があります。

      鉄道と気象

      鉄道事故のもとになるものに大雨・暴風・雪・霧などがあります。

      台風や梅雨の大雨のために、洪水が起こり、鉄橋が流され土砂崩れのため、線路が埋まってしまうことがあります。

      台風や強い低気圧のために、強い風が吹いて風速30メートル以上になると、列車の運転を中止します。

      冬になると北海道では、凍上(地面の中にふくまれている水分が凍って膨張するために地面が持ち上げられること)が起こって、道床にでこぼこができます。

      このような線路の上を列車が走るのは、たいへん危険です。

      また、吹雪のために見通しが悪くなると、列車の安全運転が難しくなり線路に雪が積もると列車が走れなくなります。

      大雪のために、線路がうずまることが予想される場合にはラッセル車やロータリー車などを配置し、線路の雪をのぞくために、たくさんの人を動員します。

      また、ときには、乗客の数を制限することもあります。
      このほかに、信号機や転てつ機(ポイント)の故障も、起こりやすくなります。

      濃い霧のために、見通しが悪くなり、視界(見通しのきく範囲)が1000メートル以下になると、列車は遅れるようになります。

      視界が50メートルくらいになると、列車はとくに信号をしっかりと確かめ速度を落として1秒間に2.5メートルの速度で走らねばなりません。

      国鉄や私鉄は、いつも気象台と連絡をとって気象の変化に注意し、車が安全に走れるようにしています。




体感温度とは? 気候と住まい、食物の関係とは?

私たちの暮らしと気象

私たちの毎日の生活は、天気のうつりかわりに、深いつながりがあります。

私たちばかりではありません。
地球上に住む動物・植物は、すべて気象の影響を受けています。

しかし、その影響を、自分の考えでいろいろにかえることができるのは人間だけです。

私たちは、暑さや寒さにしたがって、着物を取り換えます。
また、進んで暖房や冷房をすることもできるのです。


体感温度

私たちの感ずる暑さ寒さは、ただ気流の高い低いだけでなくそのときの湿度や風によって、ずいぶん違うものです。

それで、湿度・風・日射・などをあわせ考えて暑さ寒さをあらわすようにしたものを、とくに体感擾度といいます。

温度計で測った気温と体感温度とは、かなり食い違いいが起こることがあります。

気温が体温に近い35度くらいになっても、湿り気がうんと少なく体から、汗が、どんどん蒸発すれば、そんなに暑く感じません。

反対に、気温がそれほど高くなくても、湿り気がうんと多く汗が蒸発しないと、たまらないほどの暑さを感ずるものです。

家の中にいて、いちばん気持ちのよいのはだいたい温度が18度、湿度65パ一セントのときとされています。

気候と住まい

私たちの住む家は、暑さ・寒さ・雨・雪・風などから、体を守るためにつくられたものです。
したがって、住まいの形やしくみは、その土地の気候と、深い結びつきがあります。

たとえば日本の夏は湿り気が多く、暑いので家は大きな窓を開け、風通しをよくしてあります。
しかし、冬になると、このような家は寒く、毎日こたつを使っている日が5か月も6か月も続く地方さえあります。

日本では、北海道の果てと九州南部とでは、たいへん気候が違います。
したがって、これからは家の建て方をもっと研究してその地方の気候に適した建築をしなければなりません。

気候と食物

食物は、私たちの成長や活動のもとになるものです。
この食物も、季節や気候に大きなつながりを持っています。

寒いときは、あたたかいものやカロリーの多い脂肪質のものを、たくさん食べます。
じめじめした梅雨のころや、暑い夏には、食物の蓄えかたに、気をつけなければなりません。

1年のうちで、食中毒の多いのは、6月から8月です。

このころの気温と湿度とが、最近の増えるのに都合がよいしまた、暑さのために胃腸が弱っているからです。

細菌が増えるのに都合のよい気温は25度から30度のあいだです。
このように四季の移り変わりと、食物とは、深い関係があります。




日本の冬、日本海側の雪の特徴とは? わかりやすく解説!

日本の冬

日本の冬は、地形に影響されるために太平洋側と日本海側とでは天気の様子がだいぶ異なります。

太平洋側では、湿り気の少ない北西風が吹き天気のよい日が続きます。
いっぽう、日本海側では、くもりがちで、雪の多い日が続きます。
このように、場所によって、雪が多く降る地域と降らない地域とがあります。


日本海側の雪

日本海側では、大陸から吹いてくる、冷たい北西の季節風は日本海をわたるとき、海面であたためられます。
下のほうがあたためられると、空気は、対流で上に上がっていきます。

このとき、海面から蒸発した水蒸気も、上に上がってきます。
そして、上空に上がっていった水蒸気は雲になります。

こうして、日本海を渡ってきた雲は本州の中央を通るとき山脈に突き当たり上昇して冷え、日本海側に雪を降らせます。

この雪を降らせた空気は山脈を越えると温度が上がるため乾燥して雲は消えてしまいます。

太平洋側で、乾いた北西風が吹くのは、この乾燥した空気のためです。
この乾いた風を、地方によってはからっ風とかおろし風とよんでいます。

雪国の生活

東北のうち日本地方では冬になるとたくさんの雪が降るために表での仕事ができなくなります。
このため、雪が降るまえに長い冬の生活に備えて、いろいろな工夫がされています。

たとえば農家では、家畜小屋や仕事をする所が1つの尾根でつながったL字形の中門造りなども、その1つです。

また、雪がたくさん積もる地方では、雪の重みで家が潰されないように屋根の傾斜を急にして、雪がすぐ落ちるようにしてあります。

そのほか、1階からの出入りができるなくなるため2階からの出入りができるように家のつくりが工夫されています。

農家では、畑仕事かできなくなるため夏に備えて縄をなったり、俵をつくったりして冬を過ごしています。

しかし、最近は、機械化と生活様式などの変化から冬の仕事はなくなり都市へ出稼ぎにいく人が多いようです。



雪の害と益

日本海側では、たくさんの雪のために線路が埋まって、列車が通れなくなることがあります。

また、線路ぎわの崖などから、雪が崩れ落ちて線路を埋めてしまい列車が立往生することもしばしばあります。

最近道路交通が非常に発達したため、雪国でも主な市街道路の雪を早く解かさなければなりません。
このため、道路の中央に、噴水のように絶えず水が出ている融雪器が設けられています。

雪国に限らず、都会でも雪が降ると、自動車はみなタイヤチェーンを巻かないと走ることができません。
そのため、スピードが落ちて、交通が麻痺状態になることもあります。

ぼたん雪が降ると、電線のまわりに雪がくっついてその重みで伝染が切れることもあります。
そして、電気もつかず、電話もできない、という事態が起こることもあります。

そのほか、山の斜面に積もった雪が、急に流れ出して雪崩が生じることがあります。
雪崩が起こると人が死んだり、家が潰されたりすることもあります。

このように、雪はいろいろの害をあたえます。
しかし、春になって、山の雪がとけて川に流れだすと水力発電に利用され、役に立つこともあります。

大きな水力発電所やダムは、ほとんど雪どけの水が利用できる川にそってつくられています。

また、水田の多いうら日本では、この雪どけ水をかんがい用水として、田植えに利用しています。




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