動物の巣の役割りとは? わかりやすく解説!

巣の役割り

ひとくちに動物の巣といっても、いろいろと性質の違ったものがあります。

私たちの家のように動物が長いあいだ、または一生を、そこで寝起きして暮らす巣もあります。

また、雨つゆをしのぐだけの一時的な隠れ家もあります。
また、子を育てるための巣もあるでしょう。

いずれにしても、だとは、風・雨・雪など動物にとって都合の悪いものや敵から、自分の身をまもり、あるいはたまごや子をまもるために動物がつくったものを言うのです。

いろいろな動物がつくる巣は、その役割りから見て、だいたい、住まいとしての巣、一時的な隠れ家としての巣、育児用の巣の3つにわけることができます。

よく、クモがつくった網を「クモの巣」と言いますが、あれは、えさを捕まえるためのものですから巣ではありません。

クモの網と言うべきです。
アリジゴクの穴も同じように巣ではありません。

しかし、昆虫が、幼虫から成虫になるときにつくるまゆ、たとえば、カイコやヤママユガのまゆやダイミョウセセリの幼虫がヤマノイモの葉をつづり合わせてつくる隠れ家は身をまもるためのものですから巣の一種と言えましょう。


住まいとしての巣

ハチやアリのような昆虫にも住まいとしての巣をつくるものがあります。

ほかの動物で、このような性質の巣をつくるのは獣ではネズミ類・モグラ類・アナグマ・ビーバーなどが知られています。

モグラの巣

モグラの巣は、土の中に掘ったトンネルです。

中央の深いところに、球形の部屋があり、ここには枯れ草がいっぱい入れてあります。

これが、モグラの寝室で、ここでお産もします。

この部屋から、2、3本の太いトンネルが出ていて、それからいくつもの細いえだ道がわかれ、しだいに地面に近づき、ついには、地面のすぐ下を走っています。

地面近くのトンネルは、えさにするミミズや甲虫の幼虫などを探すところです。

寝室のまわりには、細い道がぐるぐると走っていますが、これは、たぶん逃げ道でしょう。

この巣穴は、ずいぶん広いものですが、ここにモグラはたった1匹で暮らしているのです。
ほかのモグラが入ってくるとたいへん怒って激しく戦い、追い出してしまいます。

畑や草原に住んでいるハタネズミやヤチネズミなどもモグラに似た巣をつくります。

ビーバーの巣

獣の巣のなかで、いちばん大仕掛けなのはカナダなどに住むビーバーの巣でしょう。

ビーバーは、川岸に水中からトンネルを掘り、寝室をつくります。
ところが、このままでは、冬になって水が少なくなるとトンネルの入り口がむきだしになってしまいます。

そこで川にダムをつくって、水が減らないようにするのです。

川岸にはえているハンノキやカワヤナギなどの木をかじって切り倒し、それを川に運び、石を重りにして、流れないようにします。

数匹が力を合わせて工事をするので、大きいダムになると長さが180メートル、厚さが6メートル、高さが3メートルほどのものがあります。

アナグマの巣

アナグマは、ふつう、山の斜面にトンネルを掘って住んでいます。
トンネルには、いくつかのえだ道があり、奥に数個の寝室があります。
アナグマは数匹いっしょに、ここに住みます。

キツネやタヌキは、穴を掘るのがあまりうまくないので、たいてい、自然にできた穴に住みます。

しかし、キツネはアナグマの巣を横取りすることがあります。
アナグマのいないときに、巣の中に入って小便をして汚すと、きれい好きなアナグマは、臭くて我慢ができずに、そこから逃げ出し、別な巣をつくります。

するとキツネは、空き家になったアナグマの巣を横取りして、そこに住みついてしまうのです。



チンパンジーやゴリラの巣

チンパンジーやゴリラなどは、夜、小枝を折って、木の上に積み重ね、
ちょうど、ガラスの巣のようにして眠ります。
ゴリラは毎晩同じところには寝ないで、毎日別の巣をつくるそうです。

また、大きいおすは、重すぎて木にのぼれないので木の根もとに巣をつくり、幹によりかかって眠ります。

リスの巣

リスは鳥に似て、上手に巣をつくります。
そのなかでも、北アメリカのキツネリスの巣は、木の枝の上に球形、または、長円形に枯れ枝を組み合わせてつくったものです。

見たところ、あまりよい巣ではなさそうですが、よく調べてみると、どうしてそうではありません。

枯れ枝でできた外側の囲みの中には、立派な壁があります。
これは、大きな葉を集め、それがまだ、湿っているうちに押し固めたものなので、激しい風や雨も中までは通りません。

巣の中には、やわらかい木の皮を細かく裂いたものや木の葉が敷いてあって寝室になっています。

入り口は横に開いていますが、通ったあとは、ふさがるようになっているので、ここから風が入る恐れもありません。
ですから巣の中はとてもあたたかく、どんな吹雪の夜でも少しも寒くありません。

春になるとリスはここで子を生みますが夏には、別に涼しい巣をつくります。

イエネズミの巣

イエネズミには、おもに天井裏に住むクマネズミ、台所の流しや下水に住むドブネズミ、小さなハツカネズミの3種があります。

クマネズミは、天井のすみに紙や布・わらなどを集めて、さらのような巣をつくります。
しかし、夏になると、たいてい、家から外へ出て、畑などに住みます。

ドブネズミは、ふつう下水やみぞに横穴を掘って、巣にします。
しかし、1年中、そこに住むわけではなさそうです。

ハツカネズミは畑にも住みますがタンスのうしろや物置などに紙などで巣をつくることもあります。




住む場所をかえる動物とは? わかりやすく解説!

住む場所をかえる動物

ガン・カモ・ツバメ・シギなどの鳥は、季節がかわると南から北に、あるいは北から南にわたりをします。

また、クジラやオットセイなどの獣で広い大洋を泳ぎ回る魚も同じような回遊をします。

しかし、これらは、同じ陸上なら陸上、海中なら海中を行き来しているだけで陸から海にうつるというようなことはありません。

ところが、魚のなかには海水から淡水、または淡水から海水に住みかをかえるものがあります。
また、カエルや昆虫の中には水中から陸上に住みかをかえるものがあります。


住む場所をかえる魚

ふつう海に住んでいるサケやマスは、たまごを生むころになると、川を遡ります。
また、ウナギは川に住みますが海に下ってたまごを生みます。

水中から陸上に住みかえる動物

水の中にいるボウフラやヤゴが陸にあがって力やトンボになることは、だれでも知っているでしょう。

力の幼虫は、水中で生活をしていますが実は空気を呼吸しているのです。
ですから、たいした変化ではありません。

トンボの幼虫のヤゴは、肛門から水を腸の中に入れて呼吸していますが、トンボになって空を飛ぶようになると、気管で空気を吸って呼吸します。

カエルは、オタマジャクシのころは頭の両側に突き出ているえらで呼吸をしています。
そして手足はなく、尾びれで泳いでいます。

しかし、だんだんに肺ができて、えらがなくなり手足がはえ、尾がなくなって陸上にあがってくるのです。

つまり、オタマジャクシは、魚とほとんど同じ体つきですがカエルはトカゲなどのような陸上に住む動物とほとんど同じです。

ですから、オタマジャクシがカエルになるありさまは魚から水にも陸にも住むことのできる動物にわかれた大むかしの進化のありさまを、いまでも繰り返しているわけで、たいへん面白いことです。




水に住む動物とは?魚の浮き袋とは? わかりやすく解説!

水に住む動物

海・川・湖などの水の温度は、場所や季節によっても陸地の温度ほど激しくかわりません。

そのうえ、これらの水には、生物の生活に必要な栄養分が、たくさんふくまれています。

ですから、陸上にくらべると海や川や湖などは動物にとって、ずっと住みいわけです。


水に住む動物のいろいろ

水に住む動物には、アメーバ・ヤコウチュウなどのような体のしくみのかんたんな動物をはじめクラゲ・イソギンチャク・貝・エビ・カニ・ヒトデ・魚・クジラなど、さまざまな動物がいます。

かわった動物に、カイメン・サンゴ・イソバナ・コケムシ・エボシガイ・ウミシダなどがいます。

これらは、海底の岩の上についていて、動くことができませんし形も植物のように見えますが海水の流れがプランクトンなどの食物をたえず運んでくれるので、じっとしていても生活することができるのです。

水に住み動物の体の形やしくみ

水は、空気にくらべて、ずっと密度が大きいので体が浮きますから体を支える足はいりません。

このため、水に住む昆虫では、ゲンゴロウのように足が体を支えるためでなく、泳ぐための足になっているものもいます。

体の形も、泳ぎやすいように平たい流線形をしています。

ウニやヒトデのように、あまり動かない動物は体が星形か円形、または球形をしていて、左右の区別がありません。

クラゲは、体が浮きやすいように、つりがね形や、ふくろのような形をしています。

ところが、エビ・魚などのように、水中で泳ぐ運動をするものは体の中心を境にして、右側と左側が同じ形をしています。

そして、たいていは、体のうしろはしに尾びれがあって、これで水を押しやって泳ぎます。

魚には、さらに、背・腹・胸などにもひれがあって体が横に揺れるのをふせいだり、急に止まったり方向をかえたりするのに都合よくなっています。

また、どの魚にも、ほとんどみな浮きぶくろがあって体を浮かすのに役立っています。

クジラ・イルカ・アシカなどの獣やウミガメなどは、もとは陸に住んでいたのですが、海の中で生活するようになってから足や尾の形がかわって水中を泳ぐのに都合のよい、ひれにかわりました。

ことに、クジラは、前足が胸びれに、尾が尾びれになってしまいました。
種類によっては背にも、りっぱな背びれができていて魚と間違うほどです。

海に住む動物と波・光

海岸近くの浅いところは、波がひどいので、ここに住む動物は貝類のように、硬い殻で身をつつんだり岩などにしっかりくっついていなければなりません。

海の深いところに行くと、波はなくて静かになってきますが、そのかわり、光が届かなくなり、だんだん暗くなってきます。

ですから、深海魚では目が大きくなったり非常に深いまっ暗なところにいるものでは目があっても、ものを見ることができないので反対に目が退化しているものもあります。

また、深海魚には発光器をもっていて、自分で光を出すものもあります。

チョウチンアンコウは、背中から長い枝が伸びて、その先に提灯のようなものをぶら下げ、それが口の前で光ります。

ほかの魚たちが、その光に誘われて近づくと大きな口で食べてしまいます。



魚の浮きぶくろ

魚が水の中に浮いていられるのは、浮きぶくろがあるためです。

魚の浮きぶくろは、食道の一部がふくらんでふくろになったもので子魚のうちは、浮きぶくろと食道とが細い管でつながっていますが成長するにつれて、細い管がなくなります。

しかし、コイ・フナ・サケ・ウナギなどのように成長して親になっても、細い管が残っているものもあります。

浮きぶくろには、細い血管がたくさん集まってできた赤腺というしくみがあって、ここで血液中の酸素や二酸化炭素を浮きぶくろの中に出します。

水の中に二酸化炭素が多くなると赤腺からたくさんの二酸化炭素が出され、浮きぶくろが大きくふくらみます。

また、浮きぶくろの中のガスは卵円腺というところから吸い取ることができるので魚たちは、この浮きぶくろの大きさをかえて、自由に体を浮き沈みさせることができます。
 
また、深海魚などが住むような深いところでは魚は、たいへん大きな水心圧力を受けます。

そのため、深海魚では、浮きぶくろの中の気体の圧力を大きくして体が水の圧力に押し潰されないようにしています。

浮きぶくろは、このほか音を聞いたり呼吸をするのにも役立つことがあります。

動物の体を住みかとするものかわった動物に、ほかの動物の体を住みかとしてぃるものもあります。




空を飛ぶ動物の特徴とは?モモンガなどの飛ぶしくみとは?

空を飛ぶ動物

空を飛ぶ動物でも、昆虫のように小さなものは体が軽いので、かんたんに飛ぶことができます。

ところが、獣やは虫類などは体が大きく重いので飛ぶことは決してかんたんではありません。


トビトカゲ・モモンガなどの飛ぶしくみ

飛びかたにもいろいろあって、いちばんかんたんなのは、グライダーのように、高いところから、低いところに滑空する方法です。

マライ地方のトビトカゲは体の両側にかさのような膜があり、これを広げて飛びます。

日本にいるムササビやモモンガ、マライ地方にいるヒヨケザルは体のわきの皮膚が、手と足まで伸びていて、これを広げて木から木へ飛びうつります。

しかし、これらは高いところから低いところに飛び降りるだけですから、空を自由に飛ぶとは言えません。
獣のうちで、本当に飛ぶのはコウモリだけです。

コウモリや鳥の体のしくみ

コウモリは前足、ことに指が長くなって指のあいだとうしろ足のあいだに、うすい膜があり、これで空気をうって飛びます。

鳥も、前足が長くなっていますが指は短く、そのかわり、羽毛が大きくなって、翼になっているのです。

コウモリや鳥は大きな翼を強く羽ばたくために胸の筋肉がよく発達しています。
また、この筋肉がついている胸の骨もしっかりしています。

鳥の骨は、中が空で空気が入っていますから見かけよりずっと軽く飛ぶのに便利です。



また、肺からは、いく組かの気のうが出ていて内臓のあいだや骨の中にまで伸び、中に空気を満たしています。

このため、体は軽く、浮かび上がりやすくなります。
また。これは伸び縮みするので肺の中の空気を取り換える助けにもなるようです。

飛んでいるときの呼吸には気のうのはたらきが、ことに大切だと言われています。

また、飛ぶためには、するどい感覚と、たくみな運動が必要です。
そうでなければたちまち何かにぶつかって死んでしまうでしょう。

そのため、鳥は目と小脳がとくに発達しています。

コウモリは、翼の膜の感覚がするどく、また、耳がとくによく発達しています。

飛びながら、人の耳には聞こえない高い音を出していますが、これがものにぶつかって、跳ね返ってくるのを感じて、もののあることを知り、ぶつからないように避けて飛びます。




地中に住む動物の特徴とは? わかりやすく解説!

地中に住む動物

土の中で動物が住めるのは、有機物の多い、ごく浅いところだけです。

土の中だけで生活する動物は、ミミズや細長い糸のような線虫類、ダニ、コガネムシの幼虫(ジムシ)、ハダカヘビ・メクラヘビなど、ごく小さなものだけです。

もう少し大きいものでは、モグラ・ヒミズモグラ・タカチホヘビ・シロマダラ・ジムダリなどがありますが、これらは土の中だけにいるわけではなく、ときどきは土の上にも出てきます。


色素と目

土の中には光が入りません。
そのため目は役に立たず、目の見えないものが多いのです。

ミミズや線虫類には目がありませんし、ハダカヘビやメクラヘビ・ヒミズモグラ・モグラなども目は役に立ちません。

モグラやヒミズモグラの目は直径が1ミリほどで皮膚がかぶさっています。
光のうち、紫外線は体の中に入ると有害です。

私たちが裸でいると皮膚が黒くなるのは体の中に紫外線が入るのをふせぐために皮膚にメラニン色素が増えるからです。

反対に、紫外線のこない土の中で暮らすものは、それをふせぐ必要がなく、したがって皮膚の色素もいりません。

土の中だけに住む動物が、たいてい白いのはこのためです。

ミミズが赤いのは、皮膚に色素があるためではなく血液に赤いヘモグロビンがあるためです。

しかし、土の上にも出てくる動物は皮膚にちゃんと色素をもっています。



体の形

土の中を動きまわるために体は円筒形をしていて、でこぼこがありません。
足はあってもごく短く細いトンネルの中を押し進むのに都合よくできています。

モグラやヒミズモグラは、前足がシャベルのようになっていて、これで土の中に穴を掘って進みます。

モグラと同じようなトンネルをつくるケラの前足もモグラによく似たシャベル形になっています。

また耳たぶや尾はごく小さいか、またはありません。
モグラやヒミズモグラは耳たぶがなく毛もネズミなどにくらべるとずっと短くなっています。

これらでは、体の毛は長さが短くそろっていて、うしろにも前にも、どちらへでも倒れ、細いトンネルの中を前進したり、後ずさりしたりしても、毛が逆立って中に泥が入る心配はありません。

アナグマは、土の中だけに住む動物ではありませんが土の中に長いトンネルを掘って住みかにしているので、体つきはモグラによく似ています。

しかし、小さいながら口も耳たぶもあり前足もモグラほど強く大きなものではありません。

このような、土の中に巣をつくって暮らすものは北アメリカのプレーリードッグやマーモッ卜、アジア・ヨーロッパのハタリス、アフリカのツチブタなどです。

日本にいる動物ではシマリス・ハタネズミ・ヤチネズミ・アカネズミ・ジネズミ・トガリネズミなどがあります。

このうち、いちばん土の中の生活に適しているのはハダネズミで耳たぶと目が小さく、短い尾や滑らかな毛をもっています。

そのため、モダラネズミなどと言われることもあります。




陸に住む動物の特徴とは?体温を保つしくみとは?

陸に住む動物

陸上は、水中より酸素が多く、食物になる植物もたくさんはえていて動物には住みよいように思えます。

ところが、そうでもないのです。


陸に住む動物の皮膚

カエルを水のないところで飼っておくとミイラのようになって死んでしまいます。
これは、カエルの皮膚を通して、体の中の水分が出てしまうからです。

ですから、陸に住む動物は、体の水分が蒸発しないような、また、硬いものに触れても傷がつかないような、しっかりした皮膚をもっていなくてはなりません。

獣の厚い皮膚、トカゲのうろこ、昆虫の硬い甲(キチン質でできています)は、このような役目もしているのです。

陸に住む動物の呼吸器

動物は、呼吸をしなければ生きていけません。そのため、たいてい呼吸器をもっています。

水の中に住む動物の呼吸器は、ふつう、えらです。

これは、オタマジャクシのえらのように体の外にむきだしになっていても、乾く心配はありません。

ところが、陸上に住む動物の呼吸器は形はいろいろでも、みな、体の中に入っています。



陸に住む動物の足

陸上の動物たちは食物を探しまわるために体を移動させる足が必要です。

ヘビのように、足のないものでも足のかにわりにうろこを使って動きまわります。

トカゲ・ワニなどは足がので体を引きずってよたよたと歩いていますが、獣では長い足をもっているので体を地につけずに楽に歩くことができます。

ネズミ・クマなどは、足の裏を地面にぴったりつけているので、あまり速くは歩けませんが、イヌやシカなどになると足の指先だけしか地につけないので、速く走ることができます。

陸に住む動物の口と歯

動物の食物は種類によって、いろいろ違います。
そして、口や歯は、それぞれ食物をとりやすいような形をしています。

体温を保つしくみ

陸上は温度の変化が大きいので1年中活動するには体温を自分で調節して、いつも同じ温度にしておかなければなりません。

体温を保つために、獣は、皮膚に毛を、烏は、羽毛をはやしています。

毛や羽毛のあいだには熱を伝えにくい空気があるので体の熱はあまり外に逃げません。

また、体温が高くなりすぎると、獣は汗を出したり口を開いて呼吸器から熱を逃がしたりして調節します。

このように陸の上で生活するには、いろいろの、こみいった体のしくみがいります。

ですから、下等な動物の大部分は、陸上に住むことができないのです。




動物暦と植物暦とは? わかりやすく解説!

動物暦と植物暦

ウグイスは春に、モズは秋にあらわれるというように季節の目安になるような動物が、たくさんいます。

それぞれの動物が、1年を通じて、いつあらわれ、どんな活動をするかなど季節による活動や状態のうつりかわりをもとにしてつくったのが動物暦です。


同じように、ある植物が、花を咲かせたり紅葉したりする時期も1つの地方では、毎年それほどかわりません。

これをもとにしてつくったのが植物ごよみです。

動物暦と植物暦を、いっしょにして、生物ごよみ、あるいは生物季節などとも言います。

この生物暦によって生物の姿から季節のうつりかわりを知ることもできます。

気象庁では、全国の気象台や測候所からくる報告をまとめ生物季節として、いろいろなことに利用しています。

報告することがらは気象庁できめたもので生物の種類は全国どこにでも分布するもの、よく見かけられ種類の見分けが簡単なものを選んであります。

例をあげると、つぎのようなものです。

①力エル・ヘビ・トカゲの冬眠した日、冬眠から冷めた日。

②ツバメ・ガン・カモなどのわたり鳥がわたってきた日
かえっていった日。

③ウグイス・ヒバリ・モズなどがはじめて鳴いた日。

④トンボ・モンシロチョウ・コオロギ・キリギリス・セミの仲間などが
はじめてあらわれた日。

⑤ウメ・サクラ・ツバキ・ツツジ・ハギ・サルスベリなどの開花日。

⑥カエデ(モミジ)・イチョウなどの紅葉日(黄葉日)と落葉日。

このうち、開花日とは、ふつう、一枝に5、6輪咲いた日、紅葉日とは大部分の葉が色づき緑の葉がほとんど見られなくなった日を言います。

動物が冬眠するのは、活動できにくい気候になったからですし、わたり鳥がくるのは、その鳥たちにとって都合のよい気候になったからです。

また、花が咲くのは、その植物にとって開花に適した気候になったからです。

このように、生物の活動する気候は、だいたい決まっています。
いっぽう、各地の平均の気温なども調べられていますから生物季節の報告を見れば、ある地方の気候が、いつもの年より遅れているのか早いのか、ほかの地方にくらべてどう違うかなどがわかるわけです。

季節のうつりかわりは、だいたい決まっていますが年によっては、いくぶん違います。

このことから、農家では、種まきなどの作業を何月何日と決めるよりも、どの木の芽が伸びはじめたら何の種をまき、どの花が咲いたら何を移植するという具合にしたほうが自然の条件にあった作業が進められることになります。

また、あたたかくなるのが遅れている年にはイネなどの作物は、わせの品種を選び凶作を咲けることもできます。




四季の植物とは?季節の移り変わりを感じさせる植物とは?

四季の植物のいろいろ

日本は、南北にわたって、たいへん細長い形をしている国です。
そのため、南の地方と北の地方とでは、季節の訪れる時期や期間が、かなり違います。

また、気温も地方によって、ずいぶん違ってきます。
このため、同じ種類の値物でも、ところによって花の咲く時期などが、かなり違うのです。

ですから、ここでは、東京付近を中心にして四季の花を説明することにします。


春の花

3月になると、日差しは、日増しに強くなってきます。

そして、庭の日だまりなどでは、いろいろな草が伸びはじめます。
野山には、フキノトウやツクシが顔をだし庭ではジンチョウゲの花が強い香りを放ちはじめます。

4月になると、チューリップ・ヒヤシンス・サンシキスミレなどが花壇を色どり、野山には、ソメイヨシノやヤマザクラなどが花ざかりになります。

野原には、スミレやタンポポが咲き、畑にはムギが青々と伸びアブラナの花が黄色に咲き広がりリンゴ・ナシ・モモなども花をつけます。

田には、レンゲソウやタネツケバナが咲き乱れます。

このように、このころは1年のうちでも、いちばん花が咲きそろう美しい季節です。

5月になると、庭では、ツツジ・フジ・ボタン・バラ・アヤメなどが咲き、野山には、ノイバラ・オキナグサ・アマドコロなどの花が見られます。

また、5月は木々の新緑が、ひときわ目にさえる、すがすがしい季節でもあります。

春の七草

日本では、むかしから1月7日に7種類の草を入れたかゆをつくる習わしがあります。

これらの草は、春の七草と言ってセリ・ナズナ(ペンペングサ)・ゴギョウ(ハハコグサ)ハコベラ(ハコベ)・ホトケノザ(コオユタビラコ)・スズナ(カブ)スズシロ(ダイコン)などです。

そして、これらは、たいてい4月ごろに花を咲かせます。

夏の花

6月に入ると、まもなくつゆ(梅雨)になります。
ハナショウブは、このころ花を開きます。

梅雨があけ、太陽がじりじりと照り付ける7~8月になると海岸の砂浜では、ハマヒルガオ・ハマゴウ・ハマオモトなどが、きれいな花を開きます。

また、小川や池の水面にはヒツジグサ・ヒシ・ヒルムシロ・セキショウモ・エビモなどが見られます。

高山では、7月のはじめが平地の春にあたるので7月下旬から8月上旬にかけて、いろいろな高山植物の花が、いっせいに咲きそろいます。

また、庭では、アサガオやマツバボタンなどの花が眺められます。



秋の花

夏の熱さも峠を越し、野山に涼しい風が吹きわたる9月ともなると、まず、シュウカイドウが、日かげで薄紅色の花を開きはじめます。

マンジュシャゲは秋分(秋の彼岸)の前後に咲くのでヒガンバナとも言います。

夏の熱さに少し弱ったダリアは、秋になると元気を取戻し霜がおりるころまで咲き続けます。
コスモスは10月に花ざかりになり野山のリンドウも紫色の花をつけます。

しかし、秋の花のうちで、いちばん人目をひくのはキクです。
キクにはいろいろな種類があり、夏咲きのものもありますが、たいていは秋咲きです。

これは、秋になって、日のだんだん短くなることがキクの花を咲かすもとになるからです。
このような性質をもっている植物を、短日植物といいます。

秋はまた、紅葉の季節でもあり野山は木々の紅葉で美しくかざられます。

秋の七草

春の七草と同じように、秋にも七草があり、やはり古くから言われていたものと思われます。
山上憶良が万葉集で詠んだ歌の中に、つぎの7種が出てきます。

ハギ・オバナ(ススキ)・クズ・ナデシコ・オミナエシ・フジバカマ・アサガオ(現在のキキョウと言われる)がそれで、いずれも観賞して楽しむ草花です。

冬の花

寒さが厳しくなると、植物は、体のはたらきが衰えてしまいますが、そのあいだに、花を開く植物もないわけではありません。

ビワやヤツデの花は冬のはじめに咲きスイセンは1月前後に花を開きます。
また、ツワブキやサザンカも霜がおりてからも咲いています。

ウメも、2月の寒いころに花を咲かせます。




季節による動物の変化とは? わかりやすく解説!

四季の生物

春の麦畑にはヒバリがさえずり、夏の昼にはアブラゼミが鳴き秋の澄んだ空にはアカトンボが飛び回っています。

私たちのまわりをとりまいている、自然の世界を観察すると季節のうつりかわりは、さまざまの生物によって彩られていることがわかります。

生物は、種類によって、くらしよい環境がきまっており気温・湿度・日光の強さなどを敏感に感じとります。

そして、1年のうち、これらの条件がいちばん適した時期に、さかんな活動をおこないます。

日本のような温帯地方では、とくに四季の変化がはっきりしていますが、そのうつりかわりを、私たちに教えてくれるのは、おもに生物です。

このように、季節と生物とは、切っても切れない、深い関係があります。


季節による動物のかわりかた

動物たちは、それぞれ、まわりの様子にあった暮らしをしています。

季節がかわると、気温や湿度や光の強さがかわります。
そのなかでも、動物はとくに、気温の変化に感じやすいのです。

動物たちは種類によって、くらしよい温度がだいたい決まっているので、季節によって毛や羽根をかえたり、住みよい場所に移ったりして生きていきます。

エチゴノウサギやライチョウは、1年中同じところに住んでいますが夏にはかっ色だった毛や羽根が、冬になって雪が降ると、ほとんど抜け落ちて、白色の毛や羽根がはえてきます。

このように、身をまもる道具のない動物は、まわりの色と同じ色にかわるので敵の目から逃れやすいのだと考えられます。

鳥の仲間には、羽根があって、遠くのほうまで移動できるので季節によって、住むところをかえるものが、たくさんいます。

南の国から、春わたってくるツバメ、冬に北国からやってくるツグミ・カモなどのわたり鳥、また、山奥と人里のあいだを移動するウグイスやヒヨドリなどの漂鳥は季節のうつりかわりを、とくによく教えてくれます。

姿や色ばかりでなく、鳴き声やさえずりも、はっきり聞きわけられるほど、季節によってかわります。

ことに、たまごを生んだり、ひなを育てたりするころの鳴き声やさえずりは、ほかのときとは、大分違ってくるので、すぐにわかります。

海や川の魚にも、季節によって、住む場所をかえるものがあります。

サケ・マス・アユが川にのぼる時期、サンマ・ニシン・イワシが海岸に近づくときも、だいたい決まっています。

夏のあいだ、田んぼなどで、うるさくないていたカエルたちも秋になると、鳴き声も姿も、見せなくなります。
寒い冬がくるので、土の中などにもぐって、冬眠をはじめるのです。

昆虫は、種類が多く、どこにでもいるので、人目につきやすい動物です。

そして、温度や湿度の変化を感じやすいので季節がかわると、いっせいに姿を消したり現したりして暮らしかたを大きくかえます。




根・茎・葉の運動とは?花や実の運動とは? わかりやすく解説!

届光性と屈地性

植物を暗い所において、一方から光をあてると茎は光のくる方向に根は反対の方向に伸びます。

この性質を屈光性とよびます。

また、茎は正の屈光性(向日性)根は負の屈光性(背日性)があると言います。

これらは、光とオーキシンという物質のはたらきで曲がった外側のほうの細胞が、いっそう長く伸びたために起こります。

多くの植物は、光合成をおこないますから茎が光の方向に伸びていくことは、植物にとって都合のよいことです。
同じように光のあたるところは乾きやすいので根は光から遠ざかります。

また、植物は重力の方向に対しても反応し根は下に茎は上に伸びます。この性質を屈地性と言い。

根は正の屈地性、茎は負の屈地性があると言います。


つるの回せん運動

インゲンマメやアサガオなどは、つるを棒などにまきつけて伸びます。
つるには右まきのものと、左まきのものとがあります。

これらの植物のつるも、伸びはじめはまっすぐです。
少し経つと先のほうが弓のように曲がり、円を描くような運動をします。

このころ、つるの先がものに触れると、それにまきつきます。
この運動を回せん運動と言います。

オジギソウのおじぎ

オジギソウの葉は羽状複葉です。
1つの小葉に触れると、その小葉は内側に閉じます。

この運動は、つぎつぎと隣りの小葉に伝わっていき、その葉柄についている小葉全部がしおれたように縮まり、ついには葉柄も下を向いてしまいます。

この不思議な運動が起こるのは小葉や葉柄の付け根にある葉沈と呼ばれる関節状のもののためです。

葉に触れると、この葉沈の片側の細胞の水が、細胞の外に流れだして、その細胞が縮むため、小葉や葉柄がしおれたようになるのです。

葉の睡眠運動

植物によっては、昼から夜、夜から昼へとうつりかわるにつれて葉が運動をおこなうものがあります。

たとえば、広葉樹の仲間には、昼間は葉が水平になっていて夜になると下に垂れ下がるものがあります。

マメ類の葉も、睡眠運動をすることで知られています。
マメ類の葉のつけねには葉沈というところがあり、葉沈の下側の細胞は、細長く、細胞と細胞のあいだには隙間があります。

夜になって光が弱くなると、細胞の中の水が隙間に出てきて細胞がしぼみ、葉が垂れ下がるのです。



花の開閉

イネの花では、2枚のうろこが、子房を両側からつつんでいます。
このうろこが水を吸ってふくらむと、内側と外側のえい(花びらにあたるもの)を押すので花が開き、おしべとめしべが外にあらわれます。

キクの花は、昼開いて夜は閉じてしまいます。
これは、光の強さによって、花びらの付け根の生長が内側と外側とで違ってくるからです。

クロッカス・チューリップ・タンポポなどは早春に花を開きます。
これらは、温度がかおると、花びらの表と裏とで生長する早さが違ってくるために花が開いたり、閉じたりします。

とくに、クロッカスは、0.5度ぐらいの温度の違いでも花が開閉するほど、温度に感じやすい植物です。
いっぱんの植物では、ふつう5~10度の温度の違いで花が開閉します。

実がはじけて種を飛ばす運動

マメ類の種がさやから弾け出たりホウセンカの種が飛び散ったりする運動が、この例です。

これらは、さやや実の皮が乾燥するとき皮の内側と外側で縮みかたが違うために起こるものです。

また、シダ類の胞子が飛び散るときにも、これに似た運動が起こります。

食虫植物の捕虫運動

モウセンゴケ・ムシトリスミレなどの食虫植物は虫をつかまえるために、特別な運動をしています。

これが、捕虫運動です。

種類によって、捕虫運動は、いろいろ違いがありますが、つぎに、モウセンゴケを例にして、説明しましょう。

モウセンゴケには、葉の表面やふちに、触糸(腺毛)という糸があり、その先から、粘液を出しています。

虫が葉にとまると、まず粘液のために吸いつけられてしまいます。
虫が逃げようとして暴れ、葉の中央にある短い触糸に触れると葉のまわりの触糸が、曲がってきて、虫の上からかぶさります。

そして、触糸の先から消化液を出し虫の体を溶かして体内に吸収してしまいます。

植物の自由運動

植物のうちでも、ミドリムシやムラサキホコリカビの仲間は細胞膜をもっていないので、自由に体の形をかえることができます。

それで、アメーバのように、体のところどころから突起をだして、はいまわることができます。

また、バクテリアやモの仲間には、いくつかの長い毛や、たくさんの短い毛などを体にはやしていて、これで動きまわるものがあります。

このように、植物が自分の力で体を動かす運動を自由運動と言います。




葉の蒸散作用とは?水と養分のはたらきとは?

水は、植物の体の中で、つぎのような2つのはたらきをします。

形を保つはたらき

木の幹や太い枝は、細胞の壁が厚くて、しかも硬くなっていますから丈夫なのはあたりまえですが本当は、この壁は死んでいるので生活をしていません。

芽・葉・茎などのような、生活をしている部分は、みなやわらかです。
しかも、水が細胞をふくらませているので形がぴんとして、しっかりしています。

植物がしおれるのは、水がなくなって体の細胞がしぼむからです。

また、水と細胞のふくらみのつりおいで植物の体の形が保たれるだけではありません。
このつりあいによって、植物は体を動かすこともできます。

たとえば、花や葉を閉じたり開いたりするときには特別な細胞の中の水を多くしたり少なくしたりして運動をします。

また葉の気孔を開いたり、閉じたりするときにも孔辺細胞の中の水を多くしたり少なくしたりしておこないます。


養分の製造や運搬

水は、光合成で炭水化物をつくるときの原料として使われており、さらに、できた炭水化物や根から吸いあげた養分を体のすみずみまで運ぶ役目ももっています。

また、体のあらゆるところで生活のための複雑な化学変化が進んでいますがそれらは、みな水に溶けた状態でおこなわれています。

水は、根から、体の中に取り込まれると、いろいろ大切なはたらきをしながら滞ることなく葉の蒸散作用によって、外に出ていきます。

葉の蒸散作用

土から水を吸いこむのは根のはたらきによります。

吸いこんだ水を頂きまで上げるのは根の押し上げる力も少しは役立ちますが、ほとんどは葉の蒸散作用によります。

日木の植物で高くなるものはモミ・マツ・スギで30メートルもあります。
世界一高いのは、北アメリカのダグラスモミで120メートルもあります。
こんなに高いところまで水を運ぶのも、葉の蒸散作用によります。

つまり、気孔から水が水蒸気になって出ていくと葉から茎を通って根まで続いている水は引き続いて蒸発していくのです。

充分生長したトウモロコシで調べてみると晴天の日には1本で1日に約5リットルもの水を、蒸散させています。

気孔は、ふつうの植物では葉の裏側にあります。
葉の表皮はほとんど水を通しませんが、気孔が開いていると、ここから水分は水蒸気となって、空気中に出ていきます。

しかし、葉は、特別に水蒸気を吐き出すわけではありません。
濡れた洗濯物の水分が、水蒸気となって失われるように空気の乾き具合(湿度)と風によって、水分が運びさられるのです。

開いた気孔の面積は、全部よせ集めても葉の裏側の面積の5、6パーセントしかありません。

これでは葉からの蒸散は極めてわずかなものにしかならないようですが、小さな穴が点々と散らばっているために実際には、かなりの水分を蒸発させることができます。

また、この気孔を閉じさえすれば葉からの水分は、ほとんど失われないですみます。

水の蒸散をさかんにするだけでしたら水を通さない葉の表皮などがないほうが都合がよいのですが、そうなれば、植物は常に、干からびる危険にさらされます。

つまり植物は、干からびるめにあわないで、しかも水分を捨てる方法として気孔のようなしくみをもつように進化してきたのです。

また、蒸散作用は、私たちが暑いときに汗を出して、体温の昇りすぎをふせいでいるように、植物の体の熱を調節しています。

水孔のはたらき

蒸散作用では水分は水蒸気になって出ていきます。
しかし、植物の種類や、時期によって水のままで外に出ていくこともあります。

夏の朝はやく、イネや、フキ・イチゴなどの葉を見ると葉のまわりに水の粒がついていることがあります。

夏は気温が高く地中の水分もたくさんあるので根からどんどん水を吸いあげます。

ところが、夜になって気孔が閉じ蒸散作用が衰えてくると体の中の水分が多くなります。

そこで、体の中にある余分の水分は液体のままで葉のまわりにある水孔という穴から染み出てきて水滴になるのです。



炭水化物の移動

昼間のあいだに、光合成によってつくられた同化でんぷん(炭水化物)は夕方までには葉にたくさんたまっています。

しかし、つぎの日の朝までには、葉からすっかり姿を消してしまいます。

これは、炭水化物が水に溶ける形にかわり師管を通って茎・根・実などに運ばれるからです。

そして運ばれたところで水に溶けていた炭水化物は糖・でんぷん・セルロースなどにかわり、呼吸に使われたり、細胞をつくったり、あるいは栄養としてたくわえられたりします。

これを、果樹を栽培するときなどに利用することがあります。
それには、枝の皮を細い帯びのように、はぎとります。

こうすると、この部分より上の葉でつくられた炭水化物は下のほうに流れていけなくて、ここにたまります。

この手術をする時期によって、花芽をつくらせたりあるいは、すでにできている若い実を、よく太らせたりすることができます。

炭水化物の移動には、光・温度、体の水分状態などが影響しているようですが、くわしいことはまだよくわかっていません。

しかし、移動のしくみがだんだんわかってくれば植物を栽培したときに、私たちが欲しいものをいまよりも能率よくつくりだすのに、たいへん役立つことでしょう。

根からとった養分の使い道

根が水といっしょに吸いあげた養分は光合成でつくられた炭水化物とむすびついて体をつくる材料になったり、生活のための原動力になっています。

また、体のいろいろなはたらきをさかんにしたり遅くしたりするはたらきもします。

しかし植物が同じ場所にはえていても種類によって体の中の成分が違っているので、それぞれ自分に必要な養分を吸収しています。




根と茎のはたらきとは?水や養分のとりかたとは?

まえに説明したように、植物には、いろいろな元素が必要です。

これらのうち、酸素と炭素は光合成によって空気中の二酸化炭素から取り入れ、そのほかのものは、みな、地中から水や養分として、取り入れるのです。

植物の体で、水や養分を取り入れるはたらきをしているところは根です。


根のはたらき

根は、地上にでている植物の体を支えたり、また、生きるために必要な養分をたくわえたりします。

しかし、根のいちばん大切なはたらきは地中から水や養分を体の中に取り入れることです。

このしごとは、根の先に近いところにある細かい毛のような根毛でおこなわれます。

根毛は、1つの細胞からできていて、ほかの体の部分と同じように表面には細胞膜があります。

根毛には、この細胞膜を通して水に溶けた養分を吸いこむはたらきがあるのです。

この細胞膜は、固体のままの養分は通さず必ず水に溶けたものだけを通す性質があります。

ですから植物は、水がなければ養分をとることができません。
これも、植物にとって水が大切なわけの1つです。

茎のはたらき

茎は、葉や花を支える役目をしていますが、いちばん大切な役目は水や養分の通り道になることです。

葉でつくられたでんぷんなどの養分や、根から吸いとった水や養分は体のいろいろなところに運ばれて、たくわえられたり使われたりします。

根から吸いとった水や養分は、茎の中の道管を通して運ばれます。

また、葉でつくられたでんぷんなどの養分は師管を通して体のいろいろなところへ運ばれてきます。

ですから、師管の部分を表皮といっしょにはぎとってしまうと切り口のところに養分がたまって、しだいにふくらんできます。

茎は、このほかサトイモ・ジャガイモ・アスパラガス・ウドなどのように養分をたくわえる役目をすることもあります。

水中植物の養分のとりかた

水中植物では、海藻類をはじめ、クロモやフサモなどの種子植物でも水や養分を根ばかりでなく茎や葉などの体全体からとることができます。

これは、呼吸や光合成をするときと同じです。

ですから、陸上の植物と違って葉の表面はクチクラや、ろうなどをかぶらず、気孔もありません。

下等な植物の養分のとりかた

バクテリア・コウボ菌・カビなどのような下等植物にはクロロフィル(葉緑素)がありません。

また、体は、根・葉・茎などがなく、つくりが非常にかんたんなので養分のとりかたも、高等な植物とたいへん違っています。

これらの植物は光合成ができないので必要な養分を、ほかのものからとらなければなりません。

そのために、ほかの植物に寄生します。

そして、植物などの養分の豊かなものについて体から消化液を出し取り入れやすいように分解してから、体全体で吸いとっています。




植物と水・養分との関係とは?農作物の肥料とは?

植物と水

種を乾いたところに閉まっておくと、いつまでたっても芽を出しません。
これは水がないからです。
反対に種を畑にまいたり、湿ったところにおくと水を吸って芽を出します。

また、花びんにさした草花や生け花なども水を入れておかなければ、すぐにしおれてしまいます。
このように、植物が生きていくためには、水が必要なのです。

これは、植物の体には、たくさんの水分がふくまれていて大部分が水でできているといってもよいほどだからです。

砂漠のような水の少ないところにある植物は、たとえばサボテンのように体のつくりが水分をたくわえておくのに都合よくできています。

そのうえ、葉がとげにかわっていて水分が体の外に逃げ出さないようになっています。


植物にふくまれている水

植物の体の水分の量は、植物の種類やはえている場所によって違います。
また、同じ植物でも、体の部分によって、また時期によって、たいへん違いがあります。

水中で暮らしているものは、陸上のものより水分が多く陸上の植物でも、日かげにはえているものは日なたのものより水分を多くふくんでいます。

花の咲く植物(種子植物)では実・葉・根などに水分を多くふくんでいます。
実には、およそ95パーセントもふくまれています。

種には、水分がずっと少なく、10パーセントくらいです。
また、わかい芽や根の先などのような、はたらきのさかんなところにはとくに多くの水分がふくまれています。

植物と養分

植物の体をつくっている元素を調べてみると、ほとんど炭素(C)・水素(H)・酸素(O)の3つの元素からできています。

これらのものは植物が生長するにつれて、みな外から取り入れたものです。

水素は、根から吸いあげた水(H2O)から取り入れられ、また、酸素や炭素は光合成によって空気中の二酸化炭素(CO2)から取り入れられています。

これからわかるように、植物にとっては水のほかに空気もたいへん大切な役割りをしているのです。
しかし、植物は、これだけでは生きていくことができません。

いまでは、いろいろな実験によってふつうの植物は、炭素・酸素・水素のほかに窒素・硫黄・りん・カリウム・カルシウム・マグネシウム・鉄などの元素が必要であることがわかりました。

植物は、これらの養分を根のはたらきによって、みな地中から取り入れるのです。

農作物の肥料

田畑に肥料をやらないで農作物をつくっていると年が経つにつれて、だんだん農作物が育ちにくくなります。

これは、田畑の土の中にふくまれていた養分が、農作物に吸いとられて、だんだん少なくなっていくからです。

そこで、田畑に農作物をつくるときは肥料をあたえて農作物に必要な養分をたしてやらなければなりません。

肥料として必要な元素のうち、窒素・りん・カリウムの3つは、とくに足りなくなりやすいものです。

そのため肥料としては、おもにこの3つの元素をふくんだものをやり、これを肥料の三要素と言います。

また、作物が必要とする量はごくわずかですが作物の生育には欠くことのできない元素がいくつかありカルシウム・マグネシウム・硫黄・鉄・炭素・酸素・水素の7つの元素を肥料の7成分、マンガン・ほう素・銅・亜鉛・モリブデンの五元素を微量要素と言います。

肥料のいろいろ

肥料は、大きくわけて鉱物質を理化学的に処理してつくる無機質肥料(化学肥料)と、たい肥や魚かすのような有機質肥料とがあります。

化学肥料は工場で大量に生産され、その使用量も非常に多くなっていますが、これだけを使うと、その土地の性質を悪くするため実際に肥料をほどこすときは、化学肥料と有機質肥料とを作物や土壌の状態により、いろいろな割合で組み合わせて用いています。



おもな肥料は、つぎの通りです。

①窒素肥料(おもに窒素をふくんでいるもの)

硫酸アンモニウム・塩化アンモニウム・石灰窒素・尿素・魚かす・大豆油かすなど。

②りん酸肥料(おもにりん酸をふくんでいるもの)

過りん酸石灰・重過りん酸石灰・苦土過りん酸・よう成りん肥・骨粉類・魚かす類・鳥糞類など。

③カリ肥料(おもにカリウムをふくんでいるもの)

硫酸カリウム・塩化カリウム、草木の灰。

④下ごえ

人糞尿などをよく腐らせたもので、窒素・りん酸・カリウムの3つをふくんでいる。

肥料としてはたいへんよいが病原菌や寄生虫のたまごを殺してしまうように、気をつけなければならない。

⑤緑肥

レンゲ・ソラマメ・ダイズなど、マメ科植物の仲間を田畑に埋め腐らせて肥料にするもの。

マメ科の仲間の根には、根りゅうバクテリアが共生していて、これが空気中の窒素をとって、養分とする性質をもっているので、たいへんよい肥料となる。

⑥たい肥

草・わら・落ち葉などに、家畜の糞や尿をまぜて積み重ね腐らせたもの窒素・りん酸・カリウムの3つをふくんでいる、たいへんよい肥料である。

⑦カルシウム肥料

生石灰・しょう石灰などで、土地の酸性を中和して土の中のバクテリアのはたらきをさかんにして農作物が育ちよい土地にする。

元ごえ・追ごえ

このほかに肥料は、農作物にあたえる時期によって元ごえと追ごえにわけられます。

元ごえは、農作物の種まきや苗をうつし植えるまえにあたえる肥料のことで、たい肥のような、効き目のゆっくりあらわれるものが多く使われます。

追ごえは、農作物が少し育って元ごえのきれたころにあたえる肥料のことです。

追ごえ(追肥)には、おもに化学肥料が使われます。




炭素と窒素の循環とは? わかりやすく解説!

炭素の循環

地球上の全ての生物は、呼吸して生きています。

つまり、いろいろな有機物を体内でゆっくり酸化させ、これによってできるエネルギーを、生活に使っているのです。

また、生物の体をつくる物質の大部分は炭素をふくむ複雑な有機物であり、これらのほとんどは、緑色植物の光合成によってつくりだされています。

光合成によって、いちど炭水化物がつくりだされるとこれをもとにして、たんぱく質や脂肪などさままざな物質がつくられ、あらゆる生物の栄養になり、さらに動植物の呼吸や活動のために酸化されて、ふたたびもとの二酸化炭素と水になります。

このように、炭素は光合成という植物だけがもつ特別のはたらきを通して形をかえながら自然界を循環しています。


窒素の循環

生物は窒素や、その化合物を体内に取り入れアミノ酸やたんぱく質をはじめ、窒素をふくんだ有機物をつくっています。
このようなはたらきを、窒素同化作用と言います。

相物は、いっぱんに硝酸塩やアンモニウム塩などの無機窒素化合物から、アミノ酸やたんぱく質をつくりだしています。

尿素のような有機窒素化合物を利用することもできます。
また、根りゅう薗などは空気中の窒素を利用することもできます。

動物は、有機窒素化合物しか利用することができないので、これらを食物として取り入れて、消化・分解してから吸収し体に適した形のたんぱく質につくりかえています。

植物や動物の体をつくっている窒素をふくむ有機物は死体や排出物としてさらされると、ふたたび地中の硝酸塩やアンモニウム塩になります。

また、空気中の窒素は空中放電によって硝酸や亜硝酸となり、地中に入ります。

そして植物に吸収され、さらに植物を食べる動物のたんぱく質となったり、ある種の微生物によって分解されて空気中の窒素となったりします。




植物の呼吸のしくみとは?気孔や皮目のはたらきとは?

呼吸のしくみ

植物も、生きていくためには、人間や動物たちと同じように、やはり呼吸をしなければなりません。

ふつう呼吸というのは体の中に酸素を取り入れて二酸化炭素を吐き出す酸素呼吸のことです。

この酸素呼吸は、二酸化炭素を吸って酸素を吐き出す光合成と、ちょうど反対のはたらきになるわけです。

光合成は、植物の体でも緑色をした部分でおこなわれ、しかも、光が必要です。

これにくらべ、呼吸は、植物の体のすべての部分で、夜となく昼となく、また、光があってもなくても、たえずおこなわれています。

ですから、植物の光のあたっている緑色の部分では光合成のため、二酸化炭素を取り入れて酸素を出すと同時に呼吸のために酸素を吸いこみ二酸化炭素を出すはたらきがおこなわれているわけです。

しかし、昼間は呼吸作用より光合成がさかんであり、夜はこの反対です。
したがって、植物は、昼間は酸素を吐き出し、夜は二酸化炭素を吐き出すことになります。


気孔や皮目のはたらき

二酸化炭素や酸素は、植物の体の表面の、どこからでも自由に出入りするというわけではありません。

ふつうの植物では、葉の表面を包んでいる表皮に、ところどころに穴があり、ここから二酸化炭素や酸素が出入りするのです。

この穴を気孔と言います。

気孔は、体内から出ていく水分を調節する役目も持っています。
コスモスやアサガオなどの草では葉と同じように、茎にも気孔があります。

また、サクラやヤナギなどの木でも、もちろん葉に気孔をもっています。

しかしこのほかに、かっ色をした厚い皮につつまれた幹にも、ところどころに裂け目があり、ここでも、気孔と同じように二酸化炭素や酸素の出し入れをしているのです。

この裂け目は、皮目とよばれています。

呼吸によってできるもの

呼吸は、光合成とはちょうど反対のはたらきをします。

光合成によってできた炭水化物は水と二酸化炭素から一足とびにできたのではなく、いくつかの段階をへて、いちばんあとの段階で、糖のような複雑なものができあがったのですが、呼吸の場合も、同じように、酸素のはたらきによって炭水化物からいくつかの段階をへて、最後に二酸化炭素と水になります。

この道すじの中の大部分は、水素をきりはなす酸化であって酸素は最後に水素を受け取って、水になる役目をしているだけです。

そして、このときできたエネルギーを、生活に使っているのです。
このエネルギーの一部は、熱や光となってあらわれます。

たとえば、クローバーの葉を、魔法瓶につめて温度計を差し込んだ栓をしておくと瓶の中の温度は外の温度よりも、ずっと高くなるのがわかります。

外の温度が18度のとき、中の温度が48度にもなったという記録もあります。

また、発光バクテリアやキノコの仲間のツキヨタケなどは光を出します。
これは、呼吸のときにできたエネルギーの一部が光になってあらわれたのです。



水中植物の呼吸

陸上の植物は、まえに調べたように空気中の酸素を取り入れて呼吸していますが、水中植物では空気がないので水に溶けこんでいる酸素を使って呼吸しています。

そして、この酸素で炭水化物を分解し、そのエネルギーを使って生活することは陸上の植物とかわりありません。

けれども、陸上の植物のように気孔がないので酸素や二酸化炭素は、体全体から、出入りしているのです。

また、水中は空気中よりも酸素が少ないので体の細胞と細胞とのあいだに隙間があって、そこに酸素をたくわえる便利なしくみをもっています。

酸素のいらない呼吸

ふつうの酸素呼吸をする植物は酸素がまったくないところでも、しばらくのあいだは、体の中の養分を分解して生きていることができます。

しかし、長いあいだ、これにたえることはできません。

ところが、下等な植物のなかにはコウボ菌や、ある種のバクテリアなどのように、酸素のあるところでは、かえって暮らすことができないものもおります。

このようなものは、全く酸素のないところを好んで生活しています。

これらの植物は、酸素を使わないで炭水化物をアルコールに分解したり、乳酸に分解したりして、このときにできるエネルギーを使って暮らしているのです。

この呼吸を無酸素呼吸と言い、また、炭水化物を二酸化炭素と水とにわける途中までのはたらきしかしないので、不完全呼吸とも言います。

コウボ菌を使って、ビールや酒をつくるのは炭水化物をアルコールにかえる、コウボ菌の呼吸を利用したものです。

このような、私たちの生活にたいへん役に立つ無酸素呼吸のことを、とくに発酵と言います。




紅葉と落葉のしくみとは? 落葉樹と常緑樹とは?

紅葉

秋になると、木の葉が緑から紅や黄にかわって野山を美しく彩ります。
葉の色がこのようにかわることを紅葉または黄葉と言います。

この紅葉は、秋になって葉が落ちるまでに起こるだけでなく、春になって木の芽が伸び、新しい葉が開いたばかりのときにも起こります。


秋になって、だんだん気温が下がり、根や葉のはたらきが衰えてくると、葉にふくまれている葉緑素が壊れるので、緑色がだんだん消えてきます。

そのかわりに、アントシアンという赤い色素ができるので葉の色が紅色にかわるのです。

また、イチョウやヤナギなどは、秋になると葉が黄色くなります。

これは葉の葉緑素が壊れて、いっしょに葉にふくまれていたキサントフィルやカロチンなどという色素の色があらわれるからです。

これらの色素の色は普段は葉緑素の緑色のために消されて、あらわれなかったのです。
葉の色がかわる植物には、つぎのようなものがあります。

  1. 黄色になるもの……イチョウ・カツラ・ユリノキ・イタヤカエデ・ポプラ
  2. 紅色になるもの……カキ・ツタ・ヌルデ・カエデ・ニシキギ・ドウダンツツジ



落葉

サクラやヤナギなどの木は、秋も終わりに近づくと葉をふるい落として、寒空に裸の枝を広げて、冬を越します。

いったい、なんのために、葉を落とさなければならないのでしょうか。
また、どのようにして、葉が落とされるのでしょうか。

落葉するわけ

植物は、生活するために必要ないろいろな養分を、根から取り入れます。

しかし、それほど必要でないものも、いっしょに吸いあげられたり必要な養分でも、余分に吸いあげられたりしてしまいます。

それで、このような余計な養分や体の中で使っていらなくなったものなどは葉のところまで運んで、体外に吐き出さなければなりません。

ところが、葉に送っても、水分だけが先に出ていってしまい葉な中には、だんだんいらない余計なものがたまってしまいます。

ですから、葉は古くなるほど、これらのものに邪魔されて光合成のはたらきが衰えてきます。

また、気温か低くなると根のはたらきが鈍くなって水分が充分にとれなくなります。

そして、葉をつけていたのでは体の水分がどんどん逃げ出していってしまいます。

このため、役に立たなくなった古い葉は、体から落として冬を越すのが、いちばん植物の生活にかなっているわけなのです。

落葉のしくみ

落葉するときには、葉のつけねのところに離層という特別のさかいめができる植物があり枝から葉のほうへ水分かいかないようになります。

そのために、葉はひとりでに枯れてしまい離層のところから、はなれ落ちてしまうのです。

落葉樹と常緑樹

木には、サクラ・ヤナギなどのような落葉樹とマツ・スギ・カシなどのような常緑樹があります。

落葉樹は毎年秋になると、いっせいに葉を落としますが常緑樹は、1年中緑の葉をつけています。

しかし、常緑樹でも、葉の寿命がくると葉を落としたり、葉のついたまま枝を落としたりします。

葉の寿命は種類によって違い同じ種類でも木によって違います。

また、針葉樹はたいてい常緑樹ですがカラマツやアメリカのラクウショウなどのように秋になると葉を落としてしまう落葉樹もあります。




海藻類の光合成とは?植物のつくる養分とは? わかりやすく解説!

光と海の深さ

光は、水の中を進むとき、だんだん水に吸収されていきます。

ですから、海などでも深さが増すにつれて、光がとどかなくなり、ごく深いところでは、いつもまっ暗です。

太陽の光は、虹を見てもわかるように七色の光線からなりたっています。

このうち、海の中を進むとき、いちばん先に吸収されるのは赤から黄の光線で、つぎに黄から緑の光線、もっと深くなると緑から紫の光線という順になります。


海藻の光合成

海の浅いところでは、よく緑色の海藻(緑藻)を見かけます。
それよりやや深くなるとかっ色の海藻(褐藻)もっと深くなると紅色の海藻(紅藻)が生育しています。

これは、日光が海水中を進むとき、いちばん先に赤から黄の光線が吸収されるためアオノリのような葉緑素以外の色素をもたない海藻は海の深いところでは生活することができないからです。

ワカメやコンブなどの褐藻は葉緑素のほかにフコキサンチン(褐藻素)という色素をもっているので黄から緑の光線でも光合成をおこなうことができます。

また、トサカノリのような紅藻は葉緑素のほかにフィコエリトリン(紅藻素)という色素を持ち青の光線でも光合成が営まれるのです。

でんぷんのいろいろ

植物は光合成によって二酸化炭素からいろいろな道すじを通って、ぶどう糖をつくります。

このぶどう糖は、植物が生きていくために使われたり、また、でんぷん・たんぱく質・脂肪などをつくるときの材料にもされます。

同化でんぷん

昼間、光合成がさかんにおこなわれると、ぶどう糖がどんどんできて、葉にたまってきます。

このぶどう糖は、でんぷんにかえられて一時、葉の中にたくわえられます。
こうしてできたでんぷんを同化でんぷんと言います。

しかし、夜になって光合成がとまると同化でんぷんはふたたび糖類になり水に溶かされて体のいろいろなところに運ばれ、そこで使われます。

ですから、昼間、葉にたくわえられた同化でんぷんは夜明けごろにはほとんど姿を消してしまいます。

貯蔵でんぷん

葉でつくられ、種・根・地下茎などにおくられてきた糖類は、そこででんぶんにかわり、たくわえられます。

これを貯蔵でんぷんと言います。
このような植物の体の中のでんぷんは植物の種類によって、さまざまな形をしています。

  1. 球形………ナンキンマメ
  2. 長円形………ジャガイモ
  3. たまご形………サツマイモ・コムギ
  4. ひょうたん形………ヤマノイモ
  5. 多角形………コメ・ソバ

また、でんぷんの粒にうすいヨードチンキをたらし偏光顕微鏡で見ると粒の一点を中心にして、たくさんの輪が見られます。

このような輪ができるのは昼と夜とでは、でんぷんのたまる割合が違うからです。



植物のつくるいろいろな養分

まえに説明したように、植物の体の中では、ぶどう糖やでんぷんなどの炭水化物がつくられるほかに脂肪やアミノ酸もつくられています。

脂肪

脂肪は、植物の体のいろいろなところに少しずつふくまれています。
とくに、種に多くふくまれています。

しかし、種の中の脂肪は、はじめから脂肪ではありません。
また、これは、体のほかの部分から送られてくるのでもありません。

葉から送られてきた糖類が、グリセリンと脂肪酸とにかわって、これらが種の中で脂肪につくりかえられるのだと考えられています。

種にたくわえられた脂肪は、種が芽を出し、葉ができて光合成を営むように生長するまで植物の大切な栄養のもとになるのです。

アミノ酸・たんぱく質

光合成によって、ぶどう糖やでんぷんをつくる途中に、このほかのいろいろな養分もつくられます。

そしてこの養分は、根から吸いとった窒素をふくんだ養分とむすびついて、アミノ酸がつくられます。
アミノ酸は、さらにたんぱく質にもつくりかえられます。

このように、根から取り入れた窒素をもとにして、たんぱく質をつくるはたらきを窒素同化作用と言います。

アルカロイド類・ビタミン類

このほか、植物の体の中ではアルカロイド類やビタミン類もつくられています。
しかし、そのくわしい道すじは、まだ、わかっていません。

アルカロイド類は、アミノ酸がたんぱく質にかわるのとは別の方向に進んで、つくられるのだろうと考えられます。

アルカロイドで、私たちの生活に関係の深いものには麻酔薬のモルヒネ(ケシにふくまれている)、カフェイン(コーヒー)ニコチン(タバコ)・キューネ(キナ)コルヒチン(イヌサフラン)などがあります。
 
トリカブトは、猛毒のある植物として知られていますが、これはアコニチンというアルカロイドをふくんでいるからです。

ビタミン類は、なにからつくられるか、はっきりわかっていません。

しかし、植物の体の中には、いろいろなビタミンが少しずつふくまれています。




葉緑素と光合成とは?光合成によってできるものとは?

葉緑素

私たちがすぐ気がつくように、たいていの植物は緑色をしたうすい葉をもっています。

葉が緑色に見えるのは葉の中にクロロフィル(葉緑素)という緑色の色素があるからです。

葉緑素は、細胞の中にふくまれる葉緑体の中のグラナというものにふくまれています。

グラナは、電子顕微鏡で見ると直径が0.4~0.6ミクロン(1ミクロンは1000分の1ミリ)ぐらいあって、円板状をしておりリポイドとたんぱく質の円板が互い違いに層状に積み重なったつくりをしています。

隣り合ったグラナどうしは、うすい膜でむすびついています。

緑色をした植物の葉をとって、アルコールにつけておくとアルコールが緑色になり、植物の葉は白くなります。
これは、葉の中の葉緑素が溶けだしてきたためです。

この緑色の液を、さらに細かく調べてみると2種類の葉緑素があることがわかります。

これらの葉緑素は、光合成のとき重要な役割りを果たしているのです。


光合成のしくみ

緑色をした陸上の植物の葉の裏には気孔とよばれる小さな穴があります。
この気孔は、空気中の二酸化炭素(炭酸ガス)を葉の中に取り入れたり、また光合成でできた酸素を体の外に吐き出したりする役目をもっています。

植物は葉緑素の助けを借りて、空気中の二酸化炭素と根から吸いあげた水と太陽の光とで、炭水化物という養分をつくります。

このような植物のはたらきは、必ず光を必要とするところから、光合成または炭酸同化作用と呼んでいます。

水の中に生活する植物は気孔をもたないので呼吸するときと同じように体全体から酸素や二酸化炭素を出入りさせています。

光合成のしくみは、つぎのようになっています。

気孔から植物の体に取り入れられた空気中の二酸化炭素は葉緑体の中に取り入れられ、少しのあいだ、ある物質とむすびつきます。

水は、光を吸収してはたらきやすくなった葉緑素によって酸素と水素にわけられます。

この水素がさきほどのある物質とむすびついて炭水化物のもとになり残った酸素は、気孔から空気中に吐き出されるのです。

すなわち、

という形であらわせます。



光合成によってできるもの

光合成によってできるおもな炭水化物が糖であることは、かなり古くから知られていましたが、糖は複雑な物質ですから二酸化炭素から一足飛びにできるものではありません。

実際に、糖がつくられるまでの道すじは、いくつかの段階にわかれておこなわれるものであることが最近になってはっきりしてきました。

光合成によって、はじめにどのような炭水化物ができ、それがどのようにかわっていくのか、いまのところ、まだはっきりわかってはいません。

しかし、放射性同位元素(いっぱんにラジオアイソトープとよばれているもの)の炭素14(C14)から二酸化炭素をつくり、その二酸化炭素を使って光合成を2秒間だけおこなわせたところ最初にできるものは燐グリセリン酸であることがわかりました。

これは三炭糖(C3)とよばれる炭素3個からなるかんたんなつくりの物質に近いものです。

光合成の時間を30秒間にすると燐グリセリン酸のほかにアラニン・アスパラギン酸のようなアミノ酸やリンゴ酸のような有機酸ができてきます。




キノコとカビの体のつくりと特徴とは? わかりやすく解説!

キノコの体

キノコをとってみると根もとのところに、糸のようなものがついています。
これは、キノコの体のもとになっているもので、菌糸と言います。


シイタケの体

シイタケは、シイ・ナラ・カシ・クヌギなどの枯れ木にできます。
食べるところは、かさと柄からできています。

これは菌糸から生長したものです。
そして、かさの裏には放射状のひだがあり、ひだの表面に、たくさんの胞子がついています。

スッポンタケの体

スッポンタケは、野山でよく見かけるものです。

はじめ、地面にやわらかいたまご形のものができ、やがてこれが破れて、中からキノコが出てきます。

かさは、くらい緑色で、つりがねの形をしています。

かさの表面には、網のめのようなひだがあり、粘液がついています。
この粘液の中に、胞子がたくさん入っているのです。

カビの体

カビも、キノコと同じように、体は困糸でできています。
菌糸は、細長い細胞が、一列につながったものです。

カビによっては、細胞と細胞とのあいだのしきりが、なくなったものがあります。



餅にはえるカビ

餅が古くなると青・赤・黒などの色をしたカビがはえてきます。
黒いのはクロカビで、青いのはアオカビ、赤いのはアカパンカビです。

これらの菌糸のあるものは、棒のようになって、その先にまるい胞子をつけています。
カビがさまざまな色をしているのは、この胞子の色なのです。

ムラサキホコリカビの体

腐りかけた材木などに濃い紫色のビロードのようなものがついていることがあります。

これがムラサキホコリカビです。

これには、カビという名がついていますがアオカどやクロカビと違って体は菌糸からできていないので本当はカビではありません。

ムラサキホコリカビのふつうの姿はどろどろした粘液が湿った材木などをゆっくりはっているのです。

これが生長して、体が乾くと柄のついた胞子のうをたくさんつくります。
ビロードの毛のように見えるのは、この胞子のうの集まりなのです。




シダとコケの仲間の体のつくりと特徴とは? わかりやすく解説!

シダの体

シダの仲間は、ワラビ・イヌワラビ・シノブなどの身近なものから私たちの見たこともないようなものまで、いろいろあります。

そして、これらは、それぞれ違った体つきをしていますが、もとになるつくりはあまりかわりません。

根を、ていねいに掘ってみると、地中に根茎がはっていて、これに細いひげ根がついています。

また、根茎のほかに、地上茎があって、カニクサのようにつるになるものや、ウラジロのように何年も枯れないもの、ヘゴのように木になるものなどがあります。

そして、たいてい鳥の羽根のような、羽状複葉となります。
その葉柄には、うろこのようなものが、ついています。

これらの葉のつきかた、その他は、すべて種類わけの手がかりになります。


胞子のう

イヌワラビやシノブなどでは、葉のうらのところどころに胞子の入った胞子のうというふくろが集まって胞子のう群をつくっています。

この胞子のうには柄がついていて、ふくろの表面は一層の細胞でできた、うすい膜になっています。
そして、胞子のう群は、包膜といううすい膜でおおわれています。

イノモトソウやワラビなどでは、葉のへりに、やはり包膜でつつまれた、胞子のう群がたくさんならんでいます。

ノキシノブやミゾシダなどのように、包膜のないシダもあります。

茎のつくリ

シダの仲間の茎も、木部と師部が集まって維管束をつくっていることは、花の咲く植物と同じですが、形成層がありません。

ワラビでは、維管束が、隣りのものとつながって網のめのようになっていますが種類によって、さまざまなならびかたをしています。

葉のつくリ

シダの仲間の葉は、花の咲く植物とあまりかわりません。
しかし、表皮にも葉緑体があることが、たいへん違っています。

スギナの体

春になると、野原などに、ツクシがでてきます。

これは、スギナの胞子をつくる特殊な茎で、かっ色のりん片状のものが葉にあたります。

ツクシの先にある長楕円形の部分が胞子のうの穂で、これは六角形をしたたてのようなものが集まってできています。
この六角形のものの裏側に、たくさんの胞子のうがついています。

胞子は、この胞子のうの中に入っているのです。
ほかのシダの胞子と違って、4本の糸をもっています。

この糸は空気が乾くと伸びて湿ると縮み、この運動で胞子は飛び散ります。

スギナは、ふつうのシダの体(栄養体)にあたり、ふしからは、放射状に細い葉が出ています。

そして、光合成はおもに茎でおこないます。

コケの仲間の体

コケの仲間は、種類によってさまざまな形をしています。
そして、スギゴケの仲間のほかは茎・葉・根の区別がはっきりしていません。

スギゴケの体

スギゴケは茎・葉・根からできていますが茎には道管や師管がなく、葉には葉脈がありません。

根が仮根と言って、細胞が1列にならんでいるか、それが枝わかれしているかだけで道管も師管もありません。

スギゴケは、茎の先に長い柄をだして、その先に、帽子のようなものをかぶった、胞子のうをつくります。

この中に、胞子がたくさん入っています。

スギゴケの仲間には、おすのかぶと、めすのかぶが別々になっているものがあります。

このようなものでは、めすのかぶだけに、胞子のうができます。

ゼニゴケの体

ゼニゴケには、葉と茎の区別がありません。平たい葉のようなものと、根があるだけです。

葉のようなものには、葉脈がなく根も仮根で細胞が一列につながっているだけです。

ゼニゴケにも、おすのかぶとめすのかぶとがあります。

ウメノキゴケの体

ウメノキゴケは、ウメの幹などについていて、広がっています。
体は平たい葉のようなものだけで、根も茎もありません。

これは、コケといっても、ふつうのコケではなく、モとカビがいっしょになり、カビがモをつつんでいるのです。

このような仲間は、地衣類と言います。




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