ふりこ時計
ふりこ時計は、ふりこの等時性を利用して、時間を測る機械です。
これを動かすエネルギーは帯のような鋼でつくったぜんまいに、たくわえられています。
ふりこの運動は、空気などの抵抗によって、しだいに弱まろうとします。
このとき、ぜんまいにたくわえられたエネルギーが少しずつふりこにあたえられて、振動が続くのです。
ぜんまいは、その弾力によって、たえずもどろうとしています。
この力に、いくつかの歯車によって、がんぎ車に伝わっていきます。
ぜんまいのもどる速さを調節するのが、アンクルです。
アンクルは、ふりこが一定の周期で左右にふれるたびにがんぎ車の溝にくいこみます。
そのため、ぜんまいは一定の速さでもどりこれにつながる歯車を一定の速さで回転させるのです。
歯車は、動力を伝えるほかに、回転数をかえるはたらきもします。
かみあった2つの歯車の回転数は、その歯数に反比例します。
たとえば、歯数の割合が、1対2の歯車を組み合わせると大きいほうの歯車の回転数は小さいほうの歯車の2分の1になります。
この考えから、時計の長針と短針をまわす仕組みを調べてみましょう。
時計の針は、長針が1回転するうちに、短針が12分の1回転しなければなりません。
それには、長針と短針をまわす歯車の歯数を、1対12の割合にすればよいわけです。
しかし、実際には1対12の割合の歯車を、いちどにかみあわせないでいくつかの歯車を使って、少しずつ回転数をかえ全体として1対12の割合になるように、工夫されています。
図は文字板の裏にあって、長針の12分の1の回転数で、短針をまわす仕組みです。
これを、日のうら装置と言います。
長針のついている三番車は、1時間に1回転します。
この軸は、中心割カナという、小さな歯車が固定されてして日のうら歯車という大きな歯車とかみあっています。
日のうらカナという小さな歯車は、大きな時針歯車とかみあっています。
時針歯車の軸には、短針がついていて、三番車の軸に、ゆるくはまっています。
ふりこ電気時計
電磁石を使って、ふりこをふらせる時計をふりこ電気時計と言います。
この時計は、ふりこの重りが、磁石になっています。
この磁石が、コイルの中を通れるようにし、コイルには乾電池から電流を通し磁石のはたらきをさせてあります。
ふりこ電気時計は、この2つの磁石の引力によってふりこをふらせるので、ふつうの柱時計のように、ねじをまく心要がありません。
しかし、1年ぐらいで、乾電池を取り換えなければなりません。
また、ふりこの周期にあわせて電流のスイッチが切れたり入ったりするので重りの磁石がコイルの磁石に吸い込まれたままにならないように工夫してあります。
腕時計・置時計
腕時計や、置時計も、針を動かす動力に、ぜんまいが使われていてがんぎ車・アンクル・歯車・指針などが組み合わされています。
ただ、腕時計や置時計には、ふりこのかわりに、テンプが使われています。
しかし、針を動かす仕組みは、ふりこ時計と同じです。
テンプは、図のように、大きな金属の輪と、細いひげぜんまいからできています。
このテンプを、少しまわしてはなすと、ひげぜんまいの力で、勢いよくもどります。
しかし、その勢いで、もとの位置を行き過ぎてしまいます。
そして、またもどり、また行き過ぎます。
こうして、左から右、右から左と、往復の回転迎動を繰り返します。
テンプも、ふりこと同じように、1往復する時間が決まっています。
ふりこの場合は、周期はふりこの長さで決まりましたが、テンプの周期はひげぜんまいの長さで決まります。
ひげぜんまいが長くなれば、テンプはゆっくり動き、短くなれば、速く動きます。
したがって、テンプは、ふりこがふれるのと、同じはたらきをしています。
テンプが一往復するたびに、がんぎ車が一歯ずつ動く仕組みは、ふりこ時計と同じです。
テンプの振動は、外から力を加えてやらなければしだいに弱まり、しまいに止まってしまいます。
がんぎ車やアンクルは、ぜんまいの力をテンプに伝えて振動を続けさせる役目をしています。
これも、ふりこ時計の場合と、全く同じです。腕時計の中に自動まき腕時計というのがあります。
これは、指先でねじをまくかわりに手を動かすことによって起こる振動を利用して、ねじが自然にまけるように工夫してあります。
自動まき腕時計の内部は、いつも、下にくる重りがありその重りを手の振動で動かし、このわずかの力を利用してねじをまくしくみになっています。