滑車の組み合わせ
動滑車を使うと、力を得することができますが、重りを上にあげるには滑車のひもを、上に引き上げなければなりません。
また、定滑車を使うと力で得することはありませんが力の向きをかえることができます。
そこで、定滑車と動滑車を、いくつか組み合わせると両方のはたらきをいっしょにすることができ、たいへん便利になります。
つぎに、いろいろの滑車の組み合わせについて、調べてみましょう。
しかし、滑車の重さや摩擦などは、考えに入れないことにします。
動滑車1つと定滑車1つ
この組み合わせでは、動滑車のはたらきで力の得をして、定滑車のはたらきで、力の方向をかえます。
組み合わせ方は、上の写真のように2通りありますが原理は、どちらも同じです。
動滑車を用いると、ひもを引く力は滑車と重りの重さの半分でよいわけですが滑車の重さを考えにいれなければ、ひもを引く力は重りの重さの半分でよいわけです。
定滑車1つだけでは、力の方向をかえるだけで力を得することはできませんから、この組み合わせ滑車を用いるとひもを引く力は、動滑車1つを使ったときと同じ力に等しいわけです。
たとえば、この組み合わせで、100グラムの重りを引き上げるには50グラムの力で引けばよいことになります。
動滑車2つと定滑車1つ
まえの動滑車1つと定滑車1つの組み合わせに下の図のように動滑車を、もう1つ加えた組み合わせ方です。
重りをつるしてある第一の動滑車のひものはしは第二の動滑車の軸につるしてあり、第二の動滑車のひものはしは定滑車にを通してあります。
第一の動滑車から第二の動滑車にかかるひもAには重りの重さの半分の力が加わります。
また、第二の動滑車から定滑車にかかるひもBにはAにかかる力の、さらに、半分の力がかかることになります。
この組み合わせ滑車で第一の動滑車に100グラムの重りをつるしたとき、その重りを引き上げるには
(重りの重さ)× 1/2 × 1/2 = 引く力
の大きさの力で、すむことになります。
つまり、
100 × 1/2 × 1/2 = 25
で、25グラムの力で引けばよいわけです。左の写真は、さらに、動滑車1つを加えたものです。
第一の動滑車のはたらきで、重りの重さは2分の1に第二の動滑車のはたらきで、さらにその2分の1になり第三の動滑車のはたらきで、さらに2分の1になります。
ですから、ひもを引く力は、
(重りの重さ)× 1/2 × 1/2 × 1/2 = 引く力
の大きさの力となります。
このような組み合わせ滑車では動滑車の数を、4つにしても、5つにしても同じような考え方でよいわけです。
定滑車3つと動滑車3つ
下の図のように、定滑車3つと動滑車3つを組み合わせた滑車では動滑車を支えている6本のひもには、それぞれみな同じ力がかかります。
というのは、動滑車にかかるそれぞれのひもがみな重りをつるしていることになるからです。
したがって、1本のひもにかかる力は、重りの重さの6分の1になります。
この組み合わせ滑車では、ひも1本にかかる力はひもの数が多くなるほど、つまり、滑車の数が多くなるほど小さくなります。
いま、図の動滑車に、60グラムの重りをつるしたとき定滑車のひもを引く力は60グラムの6分の1、10グラムの力で引けばよいのです。
定滑車2つと動滑車2つ
この組み合わせ滑車では、定滑車は定滑車で動滑車は動滑車で、1つの軸を縦にならべたものです。
下のA図で、定滑車の軸の下につるしたひもは小さい動滑車を通して小さい定滑車へ大きい動滑車を通して大きい定滑車へと1本のひもで定滑車と動滑車のあいだを往復させた組み合わせ滑車です。
動滑車をつるしているひもは、全部で4本ありますから1本のひもには重りの重さの4分の1の力がはたらいていることになります。
たとえば、A図のように、40グラムの重りを引き上げるには動滑車をつるしている4本のひもに、それぞれ10グラムの力がはたらいているわけです。
したがって、10グラムの力でひもを下に引っ張ればよいことになります。
動滑車2つと定滑車3つ
B図のように、ひものはしを動滑車の軸の上につるすと定滑車は1つ増えることになります。
B図の組み合わせ滑車が、A図のそれと違うところは定滑車が1つ増えたことですが、定滑車が1つ増えることによって動滑車をつっているひもの数が1本増えることになります。
ですから、この組み合わせ滑車にA図の組み合わせ滑車につるした重りと、同じ重さの重りをつるすと定滑車が1つ増えただけ、力は小さくてすみます。
40グラムの重りをつるしたときひもを引っ張る力は、5分の1の8グラムでよいわけです。
このような組み合わせ滑車では、ひもを引っ張る力の大きさは動滑車をつっているひもの本数によってかわってきます。
つまり、同じ重さの重りをつるし上げるにはひもの本数が多ければ多いほど、力は小さくてすみます。
したがって、ひもを引っ張るときの力の大きさを考えるときは動滑車をつっているひもの本数を数えそれらのひも1本1本に重りの重さがかかっていることを考えに入れなければなりません。
定滑車3つと動滑車3つ
さらに定滑車1つと動滑車1つを増やして定滑車3つと動滑車3つの組み合わせ滑車を考えてみましょう。
A図の組み合わせ滑車もB図の組み合わせ滑車も同じ数だけの定滑車,動滑車とを用いた組み合わせ滑車ですがA図では滑車を縦にならべ、ひもの組み方をわかりやすくしたもので、B図では、共通の軸を持たせ、定滑車は定滑車どうし動滑車は動滑車どうしでいっしょにしたものです。
この2つの組み合わせ滑車は、いずれもひものはしが定滑車の軸の下につないであります。
動滑車をつっているひもの本数は、全部で、6本ありますから重りの重さは、それぞれひも1本1本に等分され1本のひもにかかる力の大きさは、重りの重さの6分の1になります。
たとえば、600グラムの重りをつるすには6本のひもにそれぞれ100グラムずつの力がはたらいているので100グラムの力ですむにわけです。
このように、組み合わせ滑車では力の大きさがひもの多少によって、違います。