春の星座
よく晴れた春の夜に、すぐ目につく星座は北斗七星のあるおおぐま座と、南の空のしし座、その東のおとめ・からす・うしかい座などです。
西の空には、ふたご・おおいぬ・こいぬ・オリオン座などまだ冬の星座が残っています。
では、まず、南の空の星から、調べてみましょう。
しし座
黄道の12の星座を代表するもので、ちょうど、ライオンの形に見えます。
大きさも、北斗七星ほどあります。
ししは西(右)向きに腹ばいになっていて西の半分は、6つの星が西洋の草かり鎌の形に、ならんでいます。
鎌のえに白く光っているのは一等星レグルス(小さい王)です。
この星は黄道(太陽の通る道)の真上にあるので、ときどき月に隠されます。
このように、星が月に隠されることを「星食」または「えんべい」といって月の位置を確かめるのに利用されます。
色の白い星や青い星は、温度が高くて太陽のような黄色い星(表面温度は6000度くらい)の2倍ほどあります。
レグルスも1万度以上あり距離は70光年です。
ししのお尻は、東(東)にずっと離れた、3つの星がつくる三角形です。
はしの二等星はデネボラ(ししの尾)で海上で船の位置を知るのに利用される星の1つです。
かに座
しし座のすぐ西にある小さな星座です。
カニの形には見えませんが、晴れた夜うす白く見える散開星団がほぼ、黄道の上に見えます。
白く見える散開星団が、ほぼ、黄道の上に見えます。
これは、プレセベ(かいばおけ)という名で距離は520光年、双眼鏡でなら、はっきりしますし大望遠鏡では、400以上の星が見えます。
かに座の右下に青く光っている一等星はこいぬ座のプロキオンで、天の川のへりにあります。
うみへび座
かに座の下で、5つ6つかたまっている星がうみへびの頭で、それから小さい星が、東のほうへ長く続いています。
たしかに空にはうみへびの姿に似ています。
しし座のレグルスの右下に赤く、ぽつんと光っている二等星はアルファード(さびしい星)といわれまた、ヘビの心臓ともよばれていて、すぐ目につく星です。
ギリシア神話では、つぎのような伝説が語り伝えられています。
神話
しし座・かに座・うみへび座はギリシアの大力士ヘルクレスに大事されて星になったものといわれます。
ヘラクレスは、大神ゼウスが人間に生ませた子でそのために大神の后に憎まれ、一生のあいだに12の冒険をやらされました。
その第一は、ネメヤという森に住んでいる大獅子大事でした。
この獅子は、牛や馬をもりもり食べていた恐ろしい大獅子で、ヘラクレスが大事にでかけ弓で射ても矢が跳ね返り、太い棒でなぐってもわらのように、折れてしまいます。
ついにくみついて、のどをしめ、ようやく殺しました。
ヘラクレスは、その皮をはいで、いつも体に巻きつけていました。
第二の冒険は、レルナイアという沼に住んでいた首が9つもあるヒドラという化けヘビを退治することでした。
ヘラクレスが、その首を叩き落とすとそばから新しい首がはえるので切り口を火で焼いてやっと退治しました。
このときヘビを助けるために沼から大きなカニが這い出してきましたが、足で踏み潰して、たちまち、殺してしまいました。
こういうわけで、いま、うみへび座といわれているのはヒドラという沼のヘビだったのです。
からす座
うみヘび座の背中にのっている小さい星座で、4つの三等星がはっきり台形をつくっています。
日本では「ほかけぼし」とよんでおり帆掛け船の形に見えますが、なかなか、カラスの姿には見えません。
このすぐ西にあるコップ座は、見えにくい星座でコップの形もはっきりしません。
おとめ座
しし座の東隣りにある黄道の星座で、秋分の日には太陽の位置がここにくるので有名です。
目につくのは5つの星のYの字でえのはしに一等星スピカが白く輝いています。
この星は日本で、「真珠星」といっているようにいかにも美しい星で、距離は250光年、直径は太陽の8倍ほどですが明るさは250倍で、温度は約2万度もあるのです。
からす座の四角形の上の辺を東へ伸ばすと、自然にスピカに届きます。
神話
おとめ座の女神は、はじめ人間の味方をして下界に住み正義(正しい道)をまもらせようと努力していました。
しかし、人間が嘘をついたり武器をつくって戦争をするようになったので愛想をつかして天に帰り、この星座になったといわれます。
スピカとは、麦のほのことですが女神のもっている麦のほの先にある星なので、この名でよばれています。
こんどは、北の空の星に、目を向けてみましょう。