呼吸器の病気とは? せき・くしゃみ・いびき・あくびとは?

呼吸器の衛生

私たちの周りの空気は、いつもきれいに澄んでいるとはかぎりません。
風が吹けばほこりが多くなるし、冬は冷たくなりすぎたり、乾きすぎたりします。

また、害になるガスがふくまれていたり、病原菌、混じっていることもあります。

空気中のほこりやごみは、たいてい鼻や気管で取り除かれ肺の中にはあまり入りません。

しかし、いつもほこりの多い空気を吸っていると肺や気管に病気が起こりやすくなります。

空気の中に、害のある成分や病原菌がふくまれているかどうかは特別な方法で調べなければわかりません。

しかし、冬は、部屋を閉めることが多いので空気がにごりがちですから、喚起に注意しなければなりません。

また伝染病が流行るときには、人が込んでいるところに近よらないようにします。
マスクに、ほこりやごみなどが呼吸器の中に入るのをふせぎ、冷たい空気を温めます。


風邪

風邪は、病気の中でいちばん多いものですがその原因は、今でもはっきりしていません。
伝染性のもは、ビールスによって起こると考えられています。

体を濡れたままにしていたり急に冷たい空気にさらしたりしたときにかかりやすいものです。
ふつう、1,2週間で治りますがこのために気管支炎・肺炎などを起こすことがあるので早く治すようにしなければなりません。

風邪にかかると、くしゃみが出てさむけがします。
のどや頭が痛くなり、熱が上がります。

もっとひどいときには、声がでなくなり、呼吸も苦しくにおいや味がわからなくなります。

風邪には、とくに効く薬はありません。
部屋を温かくし、湿りも充分とり、静かに寝ていることが必要です。

また、風邪にかかると、ほかの病気も起こりやすいので注意しなければなりません。

インフルエンザ

インフルエンザは、流行性感冒ともいわれています。
これはインフルエンザビールスによって起こる、非常に伝染力の強い病気です。

急に寒気がして、40度ぐらいの高い熱がでます。
この病気といっしょに肺炎を起こしやすいので、注意しなければなりません。

肺炎

肺炎は、主にに肺炎双球菌によって起こる病気で、高い熱がでます。

風邪をひいたり、疲れていたりするとかかりやすく肺に炎症を起こし、呼吸が困難になるので、危ない病気です。

近頃では、薬がたいヘん進歩してきました。
そのために、肺炎で死ぬ人は、ずっと減ってきています。

気管支炎

空気中の有毒ガスや、ほこりなどを吸って、気管支の粘膜が刺激されそんなときに病原菌におかされたりして、気管支に炎症を起こす病気です。

風邪をひいたときや、百日ぜき・はしかなどの急性伝染病のときにも起こすことがあります。

寒気や頭痛がし、せきやたんがでます。
医者の手あてを受けて、安静にしていなければなりません。

呼吸と関係の深いものに、せき・くしゃみ・いびき・あくび・しゃっくりなどがあります。また、笑いも関係があります。



せき

のどや気管を刺激するようなものが、空気といっしょに入ったとき強く息を噴き出してて追い払おうとします。

これがせきです。

冷たい空気は、のどや気管を刺激しますから、せきが出やすいものです。
また、病気でのどや気管の粘膜がはれると、ちょっとした、刺激でも、せきがでます。

くしゃみ

刺激するものが鼻に入ったとき、それを追い出すためにまず、口から息を吸い込んで、激しい息を鼻から出します。

これがくしゃみです。

冷たい空気も、くしゃみをおこさせます。
また特別、なにかが鼻に入らなくても、鼻こうの粘膜が感じやすくなっているとくしゃみが出ることがあります。

いびき

口や鼻から、のどのところにつきあたるように息を吸ったりのどへつきあたるように息を吐いたりすると、のどのところで震えて音が出ます。

寝ているとき、この呼吸のしかたをすれば、息をするたびに音がでます。

これがいびきです。

あくび

自分でそうしようと思わないのに、深く息を吸い込んでから長く吐き出すことがあります。

眠くなったときなどに、よく起こります。これがあくびです。

しゃっくり

息をするとき、横隔膜が繰り返し、縮んだり緩んだりしています。
ところが、いつもの呼吸と違って、突然横隔膜が縮み急に息を吸い込むことがあります。

これがしゃっくりです。




呼吸運動とは? 胸式呼吸と腹式呼吸とは? わかりやすく解説!

胸かく

私たちの胸は、ちょうど、箱のようなものです。
肺と心臓は、この中に入っています。
この箱は、胸かくとよばれます。

胸かくは、背骨・肋骨・肋軟骨・胸骨という骨で組立てられそこに筋肉がついています。

この箱は、上の入り口がのどで、底が横隔膜です。
横隔膜は、筋肉でできた膜で、胸と腹の間を仕切っています。


呼吸運動の様子

息を胸いっぱいに吸い込むと、胸の周りが大きくなります。
これは主に、肋骨や、肋軟骨のところについている筋肉が縮んで背骨から前さがりになっている肋骨を、上のほうへ引き上げるからです。

外からは見えませんが、それといっしょに腹の内臓で押し上げられている横隔膜が縮んで箱の底が腹のほうへ下がります。

この2つのはたらきで、息を吸い込むときには箱が大きくなり、吐き出すときには小さくなります。
肺は、この箱の中にある、よく伸び縮みする袋のようなものです。

空気が外から入る入り口は気道だけで、ほかに入り口はありません。
ですから、胸の箱が広がると、外から気道を通って肺の中へ、空気が入るわけです。

また、胸の箱が小さくなれば、肺もしぼみ空気は気道を通って、外へ押し出されます。



胸式呼吸

息を吸うとき肩を上げ、胸を張るようなしかたを胸式呼吸といいます。
これは主に、ろっ骨の動きが胸かくを広げ、空気を吸い込むのです。

腹式呼吸

腹をふくらませるような呼吸のしかたを腹式呼吸といいます。
これは主に、横隔膜が動いて、胸かくが下のほうへ大きくなったり、小さくなったりします。

ふつうの呼吸は胸腹式でろっ骨の動きと横隔膜の動きが、いっしょに起こります。
しかしどちらかというと、男では横隔膜の動きが主で、女では胸の動きが主です。

呼吸運動をつかさどるもの

私たちは目が覚めているときも、眠っているときも、少しも休まないで呼吸をしています。
これは頭の中にある延髄とよばれるところから規則正しく命令が出されているからです。
ここを呼吸中枢とよびます。

呼吸中枢のはたらきは体のあちこちからくる知らせで、調子をとっています。
たとえば、運動すれば、たくさん酸素がいるので、呼吸が深く速くなります。

こうして呼吸は、自然におこなわれるのです。

私たちはまた、息を止めようと思えば、しばらくの間、止めていられます。

速く息をしようと思えば、それもできます。
これは、呼吸するときにはたらく筋肉が、手足の筋肉と同じように
大脳からくる命令にしたがうからです。

しかし、無理な呼吸をすれば、すぐ苦しくなって自然の調子にもどります。




肺のつくりとはたらきとは? わかりやすく解説!

肺のつくり

肺は、胸の中にあって、ろっ骨で大切に守られています。
肺の外側は、肋膜(ろく膜)とよばれる、薄い膜でおおわれています。

肺は、左右に分かれています。
そして右の肺は、上・中・下の3つの部分に分かれ左の肺は、上・下の2つの部分に分かれています。


肺は、肺胞とよばれる小さな袋のようなものが、たくさん集まってできています。
この肺胞は直径0.1~0.3ミリぐらいの大きさで、非常に薄い膜からできています。

そして、この小さな肺胞の1つ1つの面積を合わせるとふつう、大人で90平方メートルもあります。これは、バレーコートの半分ぐらいの広さです。

肺胞のところには、毛細血管がきています。
これは、心臓の右心室からでた、肺動脈という太い血管が肺の中で枝分かれして、細い管になったものです。

毛細血管は、再び1本の血管に集まり肺静脈という太い血管になり心臓の左心房にかえります。

肺のはたらき

気道(鼻・のど・気管)を通って、肺胞の中へ入った空気はここで酸素をとられ、二酸化炭素を受け取ります。

空気の中には、酸素がだいたい5分の1ふくまれ残りの大部分が窒素ですが、二酸化炭素も少しふくまれています。

ところが、吐き出した息を調べてみると吸い込んだ空気よりも酸素が減って、二酸化炭素が増えています。

しかし、窒素の量は、かわっていません。

このことから、肺胞では酸素が取り入れられて二酸化炭素が出されますが窒素は、取り入れられたり、出されたりしないことがわかります。

肺胞で、酸素は血液の中に取り込まれます。
このはたらきは、血液の中にある赤血球が受け持ちます。



酸素の行方

血液を試験管にとって、酸素の少ないところにおくと血液から酸素が外へ出て、暗い赤色になります。
この血液を空気に触れさせると、空気中の酸素が取り込まれるにつれて明るい赤色になります。

これは、赤血球の中にあるヘモグロビンのはたらきです。
ヘモグロビンは、酸素があれば、それと結びつき酸素が少ないところでは、酸素をはなすからです。

これと同じように、血液が体の中を周るとき酸素が少なくなったところでは、酸素をはなすので血液は赤黒くなります。

赤黒くなった血は、肺へおくりこまれ、肺胞のところで空気中の酸素を取り込んで、明るい赤色になります。

血液はまた、体を周っているあいだに体でできた二酸化炭素を取り込んでいきます。

赤黒い血は、酸素が少ないばかりでなく二酸化炭素が多くなっているのです。
この血液が、肺胞へおくられると、多すぎる二酸化炭素が外へ出されます。

こうして、肺は、いつも血液に酸素を補い多すぎる二酸化炭素を減らし、明るい赤色の血液にしてふたたび、体中のあちこちへおくるのです。




鼻・のど・気管のはたらきとは? わかりやすく解説!

鼻の穴は気道のはじめで、空気の入口になっています。

鼻こうの内側は、いろいろの形をした骨がつきでていて、たいへん込み入っています。
ここは粘膜というものでおおわれていて、いつもねばねばした液で湿っています。

私たちの周りの空気には、ごみやほこりが浮かんでいます。
このごみやほこりは、鼻こうの入口にはえている毛で取り除かれます。
また、ねばねばした液にも吸い取られます。

このように、鼻には、空気をきれいにして肺におくるはたらきがあります。
また、冷たい空気を温めたり、乾いた空気を湿らせていつも同じような空気を肺におくりこむのも、鼻の役目です。

風邪をひくと鼻が詰まってしまいます。
これは、風邪のために粘膜がはれて、空気の通りが悪くなったために起こるのです。

また、鼻にはにおいを感じるはたらきがあります。


のどのはたらき

のどは、咽頭とよばれます。

ここは、口からきた食べ物を胃におくり鼻や口から入った空気を、気管におくる分かれ道になります。

食べ物を飲み込むときは、気道に入らないように上の鼻こうと下の気管へ通じるところがふさがります。

これは、いつも間違いなくおこなわれます。

しかし、食べ物が口の中にあるとき急に笑って息を吸い込んだりすると食べ物が、間違って気管に入ることがあります。

食べ物が少しでも気管に入ると、苦しくて激しいせきが出ます。
わずかなものであれば、せきで外へ噴き出されます。

気管のしくみ

気管というのは、のどからはじまる管のことで、肺まで通じています。

気管の入口は、喉頭とよばれます。
男の大人の首をみると、あごの下に三角形に飛び出たところがあるでしょう。

そこが喉頭にあたります。

気管はまず、左右の肺に通じる2つの枝に分かれます。この枝が気管支です。

気管支は、さらに細かく、枝分かれしていきます。
その様子は、木が、先にいくほど、枝分かれするのとよく似ています。

気管支のいちばん先は、肺胞管とよばれます。
肺胞は、その先につながっているのです。

気管のはたらき

気管の内側は、鼻こうと同じように粘膜でおおわれています。
そこには、せん毛という、細かい毛がはえています。

空気に混じって入り込んだほこりは、鼻こうを素通りしてきてもこの気管の粘膜で吸い取られます。

せん毛は、このほこりを少しずつ上のほうへ押し上げのどへ出してしまいます。

こうして、ほこりの混じったねばねはした液がせん毛のはたらきで外へ押し返されるのです。これが、たんとよばれるものです。

たんは、多いときには、外へ吐き出されます。
しかし、いつもはしらずしらずにのどから飲み込まれ胃におくられることが多いものです。
風邪をひいたりして、粘膜がはれると、たんが多くなります。




呼吸器の組立てとは? 外呼吸と内呼吸とは? わかりやすく解説!

私たちの体の中では、食べ物から取り入れた栄養分が酸素と結びついて、体を動かす力のもとにかわります。
そして、このとき二酸化炭素ができます。

この栄養分からできた力で、体のいろいろなはたらきがおこなわれるのです。

ですから、いつも外から酸素をとりいれ体の中にたまった二酸化炭素を、外に出さなければならないわけです。


このように、酸素をとりいれ二酸化炭素を吐き出すことを呼吸といいます。
私たちの体には、このための特別なしくみがあります。
このしくみが呼吸器です。

陸に住んでいる脊椎動物は、ほとんどすべて肺を使って呼吸しています。
水の中で生活するクジラやイルカなども、肺で呼吸するのでときどき水の上に浮き上がって空気中の酸素を取り入れています。

水中生活をする魚類やエビ・カニ・貝類などもやはり呼吸をしなければなりません。
これらの動物は、えらという呼吸器をもっています。

えらは、表面積が広く、毛細血管がよく発達していて水中にわずかに溶けている酸素を体の中に取り入れ二酸化炭素を水中に出すのに都合のよいしくみになっています。

昆虫類の呼吸器は、体の側面にある気門と気管からなりたっています。
呼吸運動によって空気は気門から体の中に入り気管を通って体のすみずみまでおくられるようになっています。

さらに下等な動物は、皮膚を通して酸素を取り入れ二酸化炭素を出す呼吸をおこないます。
これを皮膚呼吸といいます。

肺呼吸をする動物でも、カエルなどは一部皮膚呼吸をしています。

このように、生物はそれぞれの生活に適した呼吸器をもっています。
私たちは肺をもっていますが、えらはもっていません。
ですから、水の中の酸素を呼吸することはできません。

もし、水の中に長い間潜るためには、潜水服を着たりアクアラングなどの酸素吸入装置をつけたりしなければなりません。

また、高い山に登ると、息が苦しくなります。
これは、いくら肺がはたらいても、取り入れるべき酸素が少ないからです。
このようなときにも、酸素吸入器を使って酸素を補給し肺のはたらきを助けてやらなければならないのです。



呼吸器の組立て

呼吸器の主なところは、胸の中に入っている肺です。
鼻や口から肺まで、空気が通じる管があります。
これを気道といいます。

気道のはじめは、鼻の穴(鼻こう)になっていてのどのところで、口の中(口腔)とつながっています。
のどからは、気管という管になっています。
気管は胸の中で、肺にまでつながっています。

外呼吸と内呼吸

空気中の酸素は、呼吸器のはたらきで、血液の中にとりこまれます。
血液は、体の中をめぐって、必要なところに酸素を配り二酸化炭素を受け取ってきます。

その血液から二酸化炭素を取り出して、外に吐き出すのも呼吸器のはたらきです。

このように、肺で、血液が空気中の酸素を取り入れて二酸化炭素を出すことを、外呼吸としいます。

また体の内部で、血液が、体の組織細胞に酸素をあたえ二酸化炭素を受け取ることを内呼吸といいます。

実験

石灰水に二酸化炭素を吹き込むと、白くにごります。
このことを利用して、私たちの吐く息に二酸化炭素がふくまれていることを調べてみましょう。

写真の左の人のように、石灰水の中に空気が入るようにしておいて息を吸っても
石灰水はにごりません。
ところが、右の人のように、石灰水の中に息を吹き込むと息の中の二酸化炭素のために、石灰水は白くにごります。

このことから、吸う息には二酸化炭素が少なく吐く息には二酸化炭素が多くふくまれていることがわかります。




消化器の衛生とは? 消化器の病気とは? わかりやすく解説!

消化器は、私たちが成長していくとき毎日をおくっていくときに必要な栄養素を取り入れる大切な器官です。

ですから、消化器を大事にすることが健康を守るために、ぜひ必要なこととなります。

ごはんを食べる前には、必ず手を洗いましょう。伝染病や寄生虫病をふせぐには、大切なことです。

胃や腸での消化を助けるためには、食べ物をよく噛むことです。

食事は正しい姿勢で、ゆっくりと、楽しくとるようにしましょう。
これは、胃液の分泌と胃腸の運動をさかんにし、消化をよくします。

食べ過ぎ・飲みすぎ・寝冷えなどは胃や腸を傷め、いろいろな病気のもとになります。


寄生虫

消化器は、いろいろな寄生虫におかされることが多いのです。

寄生虫には、カイチュウ・ベンチュウ・ギョウチュウ・コウチュウ(ジュウニシチョウチョウ)などがあり消化器以外の寄生虫には、ニホンジュウケツキュウチュウ・ハイキュウチュウ(ハイジストマ)など、いろいろな種類があります。

寄生虫は、いろいろな害を人体にあたえ、ときには重い病気の原因になったり、人の命をとることさえあります。

しかし、ふつうは寄生虫が体の中にいることを知らないでいることが多いのです。

ですから、ときどき寄生虫を駆除することが必要です。
また、ふつうの寄生虫は、たまごが口から入ることが多いので寄生虫のたまごがついている食品に気をつけ、野菜はよく洗って食べるようにします。

口内炎

口の中の粘膜が赤くはれ、舌もざらざらしてきます。ぴりぴり痛むため、食べ物が食べられなくなります。

また口の中が臭くなってきます。
そのために食欲がなくなったり、高い熱がでたりします。

この病気は、口の中を汚くしておくと起こりやすく主にビールスや刺激の強い食べ物によって起こります。

胃カタル

胸やけがして、すっぱい汁が口の中まで逆もどりしたり、胃が傷んだりします。
この病気から、胃潰瘍や胃がんになることがあります。

ことに、甘いものを食べ過ぎるのはよくありません。

胃潰瘍

胃の壁の粘膜がただれて、傷のできる病気です。
病状が重くなると、胃の筋肉が破れて、腹膜にまで穴があくことがあります。

みぞおちが痛み、出血して、大便に血が混じることもあります。
食事に関係しておこる病気といわれています。

胃がん

胃に、がんができる病気です。
がんというのは、体の一部分にできる、とくにたちの悪いはれもののことをいいます。

がんの中でも、胃にできるものがいちばん多いのです。
胃がんができる原因は、まだはっきりわかっていません。

がんが大きくなって、胃の出口を塞いだり胃だけではなくリンパ節や、肝臓などにうつることもあります。

レントゲンで調べると、がんのあるところは胃の形が変化して見えます。
さらに、詳しく調べるときは、胃の中に胃カメラを入れて中の様子を見ることもできます。



十二指腸潰瘍

胃潰瘍と同じ症状が十二指腸に起こる病気です。
十二指腸の胃に近いところによく起こります。
若い男性がよくこの病気にかかります。

お腹が空いたときに、お腹の右上の部分が痛むことが多く出血して血を吐いたり、大使に血が混じったりします。

腹膜炎をいっしょに起こすことがあり治療には手術をして、潰瘍の部分を取り除きます。

黄疸

肝臓が悪くなると、たいてい黄疸になります。

これは、胆液が、いろいろな原因で、血管やリンパ管に入りそのために、体中の皮膚が黄色になる病気です。たいてい、肝臓がはれます。

脱腸

腹部の壁に非常に弱い場所があってそこから腸などの腹部の内臓が皮下に飛出してくる病気です。

ヘルニアともいわれます。

よく見られるものは、太もものつけ根の近くで腸が飛び出す鼠径ヘルニアで
赤ちゃんや老人がよくかかります。

そのままにしておくと、飛出した部分が腐り(壊死)危険なことがあります。早く手術をして治療することが必要です。

虫垂炎

ふつうには、盲腸炎といわれていますが、虫垂炎というのが正しい呼び方です。

盲腸の部分にある虫垂に起こる炎症で、急にお腹が痛みだして熱がでます。吐き気をもよおすこともあります。

原因は、はっきりわかっていませんが、腸の中の細菌によって感染し炎症を起こすともいわれています。

家族がつぎつぎと虫垂炎になることもあります。
ほうっておくと、虫垂が化膿しさらに、虫垂が破れたりすると腹膜炎をお越し非常に危険なことがありますから早く医者に診せて治療しなければなりません。

よく、スイカの種を飲み込むと虫垂炎になるといいますがそんなことは、ほとんどありません。




小腸・大腸のはたらきとは? わかりやすく解説!

小腸のはたらき

小腸は、消化吸収には、たいへん大切なところです。
長さは6メートルくらいで、身長の4倍くらいある長い管です。
管の直径は、3~6センチあります。

小腸は、十二指腸・空腸・回腸とよばれる3つの部分に分けられます。

十二指腸という名は、その長さが指を12本並べたくらいであることから、つけられたのです。

小腸には、胆液のほかに、すい液・腸液が流れでて食べ物の消化をします。
また小腸は、うごめき運動・分節運動をおこない、食べ物の消化を助けたり食べ物を大腸におくったりします。

こうして消化された食べ物は、ほとんど小腸の壁から吸収されますが消化されなかったものは、大腸へおくられます。


腸液

腸液は、腸腺から分泌されます。
この腸液によって、炭水化物・脂肪・たんぱく質は腸の壁から吸収できるまでに、消化されます。

腸液にふくまれている酵素は、いろいろあります。
アミラーゼやリパーゼもふくまれていますが大切なのは、エレプシンやマルターゼ・ラクターゼ・インベルクーゼなどです。

エレプシンは、胃液やすい液で、途中まで消化されたたんぱく質にはたらきアミノ酸にまで消化します。

マルターゼは、小腸でいちばん強い酵素で麦芽糖を消化して、ぶどう糖にかえます。

ラクターゼは、乳をのむ赤ちゃんに大切な酵素です。乳糖を消化して、ぶどう糖をつくります。

小腸の動き

小腸は、うごめき運動と分節運動をおこない、消化をすすめます。

食べ物は、小腸のうごめき運動で少し先へすすむとしばらく止まり、分節運動が起こります。

分節運動とは、つぎのような運動です。
小腸が5センチほどの間をおいてくびれ、たくさんの節にわかれます。

このくびれは、小腸を輪のように取り巻く筋肉が縮むためにできるのです。

5、6秒経つと、縮んでいた筋肉が緩み、緩んでいた間の部分の筋肉が縮みます。こうして、新しい節ができます。

このような運動が、1分間に10回ぐらいの速さで30分あまりも繰り返されます。
この間に食べ物は消化液とよく混ざり消化がよくなるばかりでなく、吸収もよくなります。

こうして、つぎのうごめき運動が起こり、食べ物は少し先へすすみます。

小腸で行われる吸収

口から胃へ胃から小腸へと運ばれる間にだんだん消化された食べ物は、小腸の壁から吸収されます。

小腸の内側には、1ミリぐらい飛出したじゅう毛が、数えきれないほどあります。

その様子は、ちょうどビロードのように見えます。
これを平らに伸ばすと、その面積は、10平方メートルにもなります。

消化によってできたアミノ酸・ぶどう糖・脂肪酸・グリセリン・灰分・水分などの栄養素は、じゅう毛の表面から吸収されます。

じゅう毛の表面積が非常に大きいことが、栄養素の吸収を促すことに役立っているのです。



大腸のはたらき

大腸は、小腸より太く、長さは1.5メートルあまりあります。
大腸は、盲腸・結腸・直腸の3つの部分に分けられ、肛門で外に開いています。

盲腸

回腸を通った食べ物は、少しずつ、盲腸に運ばれてきます。
人間の盲腸はたいへん短く、食べ物は、そのまま結腸におくられます。

盲腸には、虫垂というミミズのようなものがぶら下がっています。
長さは6~8センチ、直径は6ミリほどです。

結腸と直腸

盲腸に続いて、結腸があります。盲腸を除けば、結腸と直腸が大腸の大部分です。

大腸の壁には、余計に吸収したカルシウム・マグネシウム・鉄などを排出するはたらきがあります。

それらの排出される量は、尿よりも多いのです。
結腸は、うごめき運動をおこない、食べ物の残りかすを直腸へおくりこみます。
直腸の周りには、血管がたくさん集まっていて、水分がさかんに吸収されます。

こうして吸収された残りかすが、ちょうどよい硬さになります。これが大便です。

また、おならが出ることがあります。
これは、腸の中に住んでいる細菌(主に、大腸菌)が食べ物を腐らせたり、発酵させたりするときに出るガスです。

おならは、このガスがひとまとめに出たものですがいつも私たちが気づかないうちに、少しずつ肛門から出ているのです。

大便

大便は、食べ物のうち、消化吸収されなかったかす腸の中で繁殖した細菌(大部分は死んでいます)、余ったカルシウムや鉄が排出されたものなどの集まったものです。

大便の量は、取り入れた食べ物の量によって違います。
また、直腸での水分の吸収されかたによっても違います。

しかし、だいたい、大人で1日100~300グラム排出されます。

大便は、こげ茶色か緑色に近い色をしています。
これは主に、胆汁色素によるものです。




肝臓とすい臓のはたらきとは? 胆液・すい液とは? わかりやすく解説!

食べ物の栄養素は、ほとんど小腸で消化されて、吸収されます。
大腸は、小腸に続く管で、消化の残りものから水分を吸収します。

胃からおくられた食べ物は、小腸のはじめの部分にある、十二指腸に入ります。

十二指腸には、肝臓からと、すい臓からの管が開いていてそれぞれ、たん液とすい液がだされます。


肝臓のはたらき

肝臓は、内臓の中で、いちばん大きいものです。
その重さは、おとなで1300~1500グラムもあります。
肝臓は、お腹の上部の右よりにあって、横隔膜のすぐ下にあります。

肝臓は大きいだけに、いろいろと、たくさんのはたらきをします。
たん液をつくって、消化を助けること、吸収した栄養をたくわえること毒のあるものが入ってきたときには、その毒を消すことなどです。

胆液

胆液は、肝臓でつくられ、胆のうにためられています。
ここから総胆管を通って十二指腸におくられるのです。

たん液には、いろいろなものがふくまれていますが、主なものは胆汁酸と胆汁色素です。

酵素はふくんでいません。ですから、胆液は消化液ではありません。

しかし、胆液は、食べ物の消化や吸収を助けます。
胆汁酸は、脂肪を、とても小さな粒に分けるはたらきがあります。
このために、胃液や腸液のリパーゼが、脂肪にたいへんはたらきやすくなります。

また、胆液は、腸の壁が、脂肪の消化された食べ物を吸収するはたらきを強めます。

栄養分をためるはたらき

腸から吸収された栄養分のうち、ぶどう糖やアミノ酸などは、肝臓に運ばれさらに血液で、体中に配られます。

余ったぶどう糖は、グリコーゲンとなって肝臓にたくわえられます。
ぶどう糖が足りなくなると、このグリコーゲンが再び糖にかわり、血液に溶けて運ばれます。

このため、血液の中には、いつも同じ量のぶどう糖がふくまれています。

毒を消すはたらき

食べ物のたんぱく質は、酵素のはたらきで壊されていくときアミンという毒になるものができます。

肝臓は、このアミンをあまり毒にならない尿素や、尿酸というものにつくりかえます。
これらは、尿にふくまれて、体の外へ捨てられます。

そのほか、いろいろな毒になるものが、体に入ってきた場合毒を消してしまうのは、肝臓の役目です。



すい臓のはたらき

すい臓は、十二指腸に囲まれて、胃の後ろにあり、すい液をつくっています。

また、すい臓では、インシュリンというホルモンがつくられます。

すい液

すい液は、すい臓から管を通って、十二指腸に流れこみます。
すい液にふくまれている酵素は、トリプシン・すいアミラーゼ・すいリパーゼなどです。

これらは、たんぱく質・炭水化物・脂肪を消化します。

トリプシンは、たんぱく質やペプトンをアミノ酸にまで消化します。
すいアミラーゼは、でんぷんや麦芽糖を、ぶどう糖にまで消化します。

すいリパーゼは、ステアプシンともよばれます。
胆液によって、細かな粒に分かれた脂肪はすいリパーゼのはたらきを受け、脂肪酸とグリセリンになります。




食道と胃のはたらきとは? わかりやすく解説!

食道のはたらき

食べ物を飲み込むとき、のどから鼻に通じるところや喉頭の入口は、その壁の筋肉のはたらきで塞がれて食べ物は、間違いなく食道に入っていきます。

食道は、気管と大動脈にそっていて、その下のはしが少し左に曲がり、胃の噴門に続いています。

食道の長さは、大人で25センチほどあります。


食道の動き

食べ物が、食道を通って胃のほうに送られる様子はくつ下にボールを入れて、ゆっくり、しごきおろすときと似ています。

食道の壁を、輪のように取り囲んでいる筋肉が上から順々に縮んだり緩んだりして、その運動が下のほうへ進みます。

この運動が、波のように食道を通って胃の噴門まで伝わり中の食べ物は胃までしごきおくられるのです。

このような運動を、うごめき運動(ぜん動運動)といいます。

胃のはたらき

胃は、腹の上部の少し左よりに、ななめに横たわっています。
消化器の中で、いちばん大きくふくらんだところで大人では1.5~2リットルぐらいの食べ物が入ります。

食道からの入口を噴門とよび、十二指腸への出口を、ゆう門とよびます。

胃では、うごめき運動と胃液とで、消化がおこなわれます。
吸収のはたらきは弱く水とアルコールが、わずかに吸収される程度です。

胃のしくみ

胃の外側は、丈夫な筋肉が、何層も重なっていて伸びたり縮んだりして、胃の運動を起こさせ、食べ物を混ぜるはたらきがあります。

胃の内側は、粘膜からできていて、大きなひだが、縦にたくさん並んでいます。
胃液を出す胃液腺は、この粘膜にあります。

噴門は、いつもは閉じていますが食べ物が、食道からおくられてくると、これが緩んで胃の中に流れこみます。



胃液のはたらき

胃液は、ペプシン・ラブ酵素・胃リパーゼの3種類の酵素と弱い塩酸とをふくんでいます。

胃液は、食べ物が胃の中に入ったときのほか、食べ物を見たり
においをかいだり、味見をしたりしただけでも、さかんにでてきます。

胃液の中にふくまれている塩酸には、つぎのような役目があります。

①ペプシンのはたらきを強める。
②たんぱく質をふくらませ、酵素がはたらきやすいようにする。
③食べ物といっしょに入ってきた最近を殺して
伝染病にかからないように、また、胃の中の食べ物が腐らないようにする。

ペプシンは、たんぱく質を途中まで消化しペプトンとよばれるものなどをつくります。
ラブ酵素は、乳の中のたんぱく質(カゼインといわれる)を固まらせるはたらきがあります。

胃リパーゼは食べ物の中にある脂肪をグリセリンと、脂肪酸というものに消化します。

しかし、脂肪の消化は、胃ではあまりよくおこなわれません。

胃のうごき

胃に食べ物が入ってくると、胃液が出てきます。
それといっしょに、噴門からゆう門へと、うごめき運動が起こります。

胃の前半部では、中の食べ物を押し付けるくらいでごく弱く、ゆう門に近づくにつれて強くなります。

うごめき運動で押し進められた食べ物は、ゆう門が閉じているとまた送り替えされて、同じ運動が繰り返されます。

こうしたうごめき運動が続く間、食べ物はよくこねられ胃液とよく混ぜ合わされ、どろどろしたのりのようなものになります。

胃に入った食べ物は、こうして、しばらく胃の中にたまっています。
その時間は、食べ物の種類や、有様によって長がったり短かったりしますが、だいたい1~5時間ぐらいです。

ごはんのような固まったものはおかゆのようなどろどろしたものより、長くたまっています。

また、脂肪・炭水化物・たんぱく質の3つを調べると脂肪がいちばん長く、つぎがたんぱく質で、いちばん短いのは炭水化物です。

最後に、ゆう門の近くで、食べ物がどろどろしたのりのようなものになるとゆう門の周りを取り巻く筋肉が、ときどき緩んで少しずつ十二指腸のほうへ流れだします。




つばきのはたらきとは? 舌のはたらきとは? わかりやすく解説!

つばきのはたらき

食べ物は、歯で噛み砕かれている間に、つばきと混じります。
つばきは、だ液腺から出される消化液のことで、だ液ともいわれます。

だ液は、プチアリンという酵素をふくんでいて、食べ物を消化するはたらきがあります。
またそのほかに、食べ物を潤して、やわらかくしたり滑りをよくしたりして、飲み込みやすくするはたらきもあります。

食べ物の味が感じられるのも、だ液のおかげです。


だ液腺

大きなだ液腺には、耳下腺・舌下腺・顎下腺の3つがあります。
だ液は、この3つの腺から出されて、混じりあったものです。

だ液は、私たちが食べ物をとると出てきます。
しかしその量は、そのときによって、多かったり、少なかったりします。

また、粘液・酵素・水分の割合もそのときによって違います。

たとえば、おいしい食べ物を食べると酵素や粘液の多いた液が出て消化がさかんに行われます。

嫌なもの、ことに、砂などを口にいれた場合には、だ液は出てきません。

だ液の酵素

だ液の中にふくまれているプチアリンは、でんぷんを消化するはたらきがあり
その一部は、麦芽糖にまで分解されます。

ごはんをよく噛んでいるうちに、だんだん甘くなってくるのはでんぷんからできた、麦芽糖の甘味のためです。

このプチアリンのはたらきは、口の中だけでなく食べ物が胃の中に入ってもしばらく続きます。

実験

でんぷんが溶けている水に、ヨウ素をくわえると、青色にかわります。
でんぷんがふくまれていなければ、色はかわりません。

このことから、だ液が、でんぷんを消化するはたらきをみてみましょう。

でんぷんを水で溶かし、熱してのりをつくります。
これを5立方センチずつ、A・B2本の試験管に分けて入れます。
Aには、だ液を少しくわえて、Bには、だ液と同じ量のぬるま湯をくわえます。

2つの試験管を、摂氏37度~40度の湯の中につけておきます。
しばらくしてから取り出し、両方にヨウ素をたらしてみます。

だ液をくわえたAのほうは、うす茶色か無色ですがだ液をくわえないBのほうは、青色になります。

舌のはたらき

舌は、横紋筋からできていて、自分の思い通りに動かすことができます。

舌は、食べ物を噛むとき、ほおとはたらきあって噛んでいる食べ物を、歯から逃げないようにしたりつばきとよく混ぜたりする役目をしています。

よく噛まれた食べ物を、飲み込みやすいようにまるめてのどに送り込むのも舌のはたらきです。

また、言葉を出すときにも、大切な役目をしています。

そのほか、舌には、食べ物の味を感じるはたらきがあります。




歯の衛生とは? 虫歯・歯槽膿漏とは? わかりやすく解説!

歯が悪いと、食べ物をよく噛まずに飲み込むため胃や超を悪くし消化不良を起こしがちです。
そのため栄養がよくとれなくて、いろいろな病気にかかりやすくなります。

奥歯が抜けたりすれば、前歯で食べ物を噛むため下あごがつきだし、顔を醜くすることがあります。

歯を丈夫にするには、なによりも口の中をきれいにし、歯をみがくことが大切です。
汚くしておくと、歯を痛めるばかりでなく吐く息がくさくなり、周りの人に、よい気持をあたえないことになります。

歯の栄養をよくすることも大切なことです。カルシウムは、歯の成分となる大切なものです。

また、ビタミンA・ビタミンC・ビタミンDなどが足りなくならないように
気をつけなければなりません。


虫歯

虫歯になるのは、歯を汚くしているためだといってよいでしょう。

食べ物は、歯溝や歯と歯の隙間に残ることがあります。
このようなところに残った食べ物はその中にふくまれている炭水化物が発酵して、乳酸ができます。

エナメル質は、乳酸に溶けやすく、おかされて穴があきます。
この穴か、象牙質まですすむと、穴は、どんどん大きくなっていきます。
そして、冷たいものや熱いものに触れると、染みるようになります。

このころになると、細菌がはたらいて、歯髄がはれ、たいへん痛みます。
これをほうっておくと、歯髄が死んで、しばらく痛みが止まります。

しかし、その間に、歯根までおかされています。

乳歯は、やがて永久歯にはえかわるからといって虫歯になった乳歯をほうっておいてはいけません。

あとからはえかおる永久歯の歯並びが悪くなったり永久歯の発育が悪くなったりするからです。

虫歯を防ぐには、歯をきれいにすることが大切です。
ごはんのあとに3分間程度、1日3回歯をみがき、口の中をきれいにすることです。

近頃、フッ素が、虫歯をふせぐのに役立つことがわかりました。
2パーセントのフッ化ナトリウムを歯にぬって、虫歯をふせぐことが考えられています。

歯槽膿漏

歯が植わっている骨の部分を、歯槽といいます。
この歯槽や歯ぐきに膿がたまって、歯がぐらぐらになる病気を歯槽膿漏といいます。

はじめは、歯ブラシを使うときに、歯ぐきから血が出るくらいですが膿が骨まですすむと歯がぐらついて、硬いものを噛むことができなくなります。

虫歯と違って、子どもはあまりかからない病気です。




消化と吸収とは? 歯のはたらきとは? わかりやすく解説!

消化と吸収

私たちがとる食べ物は、体をつくる材料になったり、体を動かす燃料になったりします。

食べ物が、このはたらきをするためにはまず、体の中にとりこまれなければなりません。
食べ物が、腸の壁から体の中に取り込まれることを吸収といいます。

また、食べ物は、そのままでは吸収されません。
ですから、吸収されやすいものにこなしてやらなければならないのです。
食べ物を、吸収されやすいものにこなすことを、消化といいます。

消化によって、たんぱく質・炭水化物・脂肪は、吸収されやすいものに分解されます。

これらのはたらきをするものは、酵素(消化酵素)とよばれます。

酵素は、口・胃・腸などの消化腺から出される消化液にふくまれています。
食べ物を、歯で噛み砕いたり、腸のうごめき運動や分節運動などでよく混ぜ合わせると、酵素がはたらきやすくなります。


口の中は、口腔ともよばれています。
ここには、歯と舌があり、だ液腺がつばきを出しています。

口の主な役目は、食べ物を取り入れ細かく砕いて、つばきとよく混ぜ合わせることです。
こうして、食べ物は食道におくられます。

歯のはたらき

歯の主な役目は、食べ物を細かく噛み砕くことです。
食べ物は、細かくなるほど、つばき・胃液・たん液・すい液・腸液などとよく混ざりそれらのはたらきを受けやすくなります。

歯のしくみ

歯は、歯かんと歯根にわけられます。
歯かんは、歯ぐきよりも外に出ていて白く見えるところです。

歯かんの表面はエナメル質で覆われています。
エナメル質は、体の中でも、いちばん硬いところで歯の内部の、いくぶんやわらかい象牙質を守っています。

歯根は、歯ぐきに埋まっているところですが外側は、セメント質でおおわれています。

歯を形作っている大事なところは象牙質です。
この象牙質の中には歯髄があって、神経と血管とがきています。
血管は、歯に栄養を運び、神経は、歯の感覚をつかさどります。

虫歯が痛むのは、この神経が刺激されるからです。



歯のいろいろ

歯は、つぎのように、4つの種類にわけられます。
それぞれ種類によって、形やはたらきが違います。

切歯

切歯は、真ん中にはえている上下4本ずつの歯のことで、ふつう前歯とよばれます。
切歯は、歯の先が刃のような形になっていて食べ物を噛み切るのに、都合よくなっています。

犬歯

犬歯は、切歯の外側、左右上下あわせて4本あって、ふつう糸切り歯とよばれます。
歯の先が、槍のようにとがっています。

犬は、この歯がよく発達しています。そのために、犬歯となづけられています。

小臼歯

犬歯の奥に、うすのような形の歯が、2本ずつ並んでいます。
これが小臼歯で、上下左右あわせて8本あります。

うすのような形をしていますから食べ物を細かくすりつぶすのに、都合がよいのです。

大臼歯

大人では、小臼歯の奥にそれと同じ形をした歯が、左右上下に3本ずつ並んでいます。これが大臼歯です。

大臼歯は、小臼歯と同じように、食べ物を細かくすりつぶすはたらきがあります。大臼歯は永久歯だけにあって、乳歯にはありません。

ふつう、私たちが奥歯といっているのは、大臼歯と小臼歯とをさしているのです。

歯のはえかわり

歯は、うまれてから6、7か月経ったたころに、はえはじめます。これを乳歯といいます。

乳歯がはえそろうのは、だいたい2才半くらいのころです。

乳歯には大臼歯がなく、歯の数は、全部で20本あります。

6才くらいになると、今までそろっていた歯が、つぎつぎとはえかわります。
乳歯のあとに、はえかわってできた歯は永久歯とよばれてはえかわることはありません。

大臼歯のように、はえかわらない歯も永久歯とよばれます。

永久歯は、4才半から6才半のころにあらわれはじめます。
はじめは、小臼歯のすぐ奥の大臼歯からです。
6才から15才までの間に、切歯・犬歯・小臼歯が、ゆっくりはえかわります。

2番目の大臼歯は、13才から16才ごろにはえてきます。
いちばん奥の大臼歯は、18才から25才ごろにはえてきます。
この歯は、はえ方が遅く、「親知らず歯」ともいわれます。

永久歯は、全部で31本になります。




筋肉のしくみとはたらきとは? わかりやすく解説!

筋肉は、みんなで650個あまりもあります。
これらの大きさや形は、さまざまですが、どれもだいたい同じしくみになっています。

筋肉は、ふつう、真ん中がふくらんでいて、両はしが細くなっています。
ふくらんだところは、赤い色をしていて、やわらかな、筋繊維の束でできています。

両はしは、腱とよばれ、結合組織の繊維が集まってできています。そのため、硬くて丈夫です。

また、絹糸の束のように白くつやがあります。


筋繊維

筋繊維は、ごく細い糸のような形をしています。
これが、何本も平行に並んで束になり、筋肉をつくっているのです。

筋繊維には、2つの種類があります。

1つは、顕微鏡で見ると、たいへん細かい筋が、たくさん横に並んでいます。

この筋は、横紋とよばれています。
それでこのような筋繊維を横紋筋繊維といいこれからできている筋肉を横紋筋といいます。

横紋筋繊維の一種に心筋繊維というものがあります。
これは、繊維が互いに続きあって、網のようになっているところがふつうの横紋筋繊維と違っています。

もう1つの筋繊維は、ずっと小さくて細く両はしがとがった形をしています。

これには、横紋がなく、平滑筋繊維とよばれています。
また、この種類の筋繊維からできている筋肉を平滑筋といいます。

横紋筋と平滑筋

横紋筋と平滑筋とは、いろいろな点でその性質やはたらきが違っているばかりでなく、ついている部分も違っています。

横紋筋は、おもに骨格についています。
よく見ると、必ず1つの骨から隣の骨へまたは、いくつかの骨を飛び越えて近くの骨へついています。

言い換えると、横紋筋は、1つまたは、それ以上の関節をまたいでいるのであって1つの骨の2点についているということはありません。

それで、筋肉が縮むと、その両はしが互いに近づきます。
そして、関節が曲がって骨が運動することになるのです。

平滑筋は、おもに内臓に見られます。胃や腸の壁の中にあるのです。
ふつう、縦に並んでいる筋肉の層と横に並んでいる筋肉の層とからできています。

たとえば、腸で縦の層が縮むと、腸が短くなり横の層が縮むと腸が細くなります。
このようにして、腸の壁の運動(ぜん動)が起こります。

平滑筋は内臓のほか、血管の壁や毛の根もと(立毛筋)にもあるし眼球の中には光の量を調節したり、遠近の物体にピントを合わせる大切な筋肉があります。

横紋筋は、思った通りに動かすことのできる運動を引き起こします。
平滑筋がする運動は思い通りにはなりません。

私たちは、いつでも、腕を曲げたり伸ばしたり食べ物を噛んだり飲み込んだり、呼吸したり声を出したりすることは、自由にできます。

これらの運動をするときにはたらく筋肉が横紋筋です。

ところが、胃・腸・血管の動きは、思い通りに強めたり、弱めたりすることができません。
これらをつくっている筋肉が、平滑筋です。

ただ、心臓だけは違っています。
これは、横紋筋でできていますが思い通りに動かしたり、止めたりすることができません。

平滑筋と横紋筋では、運動する速さが違います。横紋筋は速く、平滑筋はたいへん遅いのです。

昆虫の羽根を動かす筋肉は、横紋筋でできていて、目にも止まらぬ速さです。
ところが、胃や腸の運動は、ミミズがはうように遅いのです。

しかし、横紋筋は速くても疲れやすいので、その運動は長続きしません。
ところが、平滑筋は、疲れにくく、長いこと運動を続けることができ内臓の運動に適してています。



運動のしくみ

腸・胃などの内臓の運動は、平滑筋(心臓だけは、横紋筋)が引き起こします。
これはただ、筋肉だけが、伸び縮みするのです。

横紋筋が引き起こす運動は、少し様子が違います。
横紋筋は。両はしが、関節でつながっている、2つの別な骨についています。

ひとつの筋肉が縮むと骨はそれに引っ張られて曲がります。
それといっしょに裏側についている筋肉が伸びます。

縮んだ金肉が緩んで、裏側の筋肉がはたらくと、骨はもとにもどります。

筋肉が伸びたり、縮んだりする様子を観察するには、下の写真のようにカエルの足を使って実験すると、よくわかります。

カエルの足の皮をむいて、筋肉を切り開くと白い筋が見えます。
これが神経です。
神経をピンセッ卜で刺激すると筋肉が縮んで足が動きます。

このような筋肉の運動は、1本1本の筋繊維が縮んで起こります。肘が曲がる運動を考えてみましょう。

上腕の前側には上腕二頭筋という長い筋肉があります。これは、肩甲骨からはじまって頭骨についています。

この筋肉が縮むと頭骨が肩甲骨のほうへ引き寄せられ、肘が曲がるのです。
肘を曲げると力こぶがあらわれるのを知っているでしょう。

これは上腕二頭筋が縮んで、太くなったためなのです。
腰や肩の動きも図のように、いろいろな部分の筋肉が伸びたり縮んだりするためです。

このように、私たちの体が動くのは骨格についている筋肉が伸び縮みすることによるのです。

筋肉の衛生

私たちの体重の半分ちかくは、筋肉です。筋肉を成分から見ると、4分の3が水分になっています。

残りの4分の1は、ほとんどたんぱく質です。
筋肉を丈夫にするためには、たんぱく質は大切なものなのです。

体操などの運動は、筋肉を丈夫にしてくれます。
もちろん運動をしたからといって、すぐ効き目があらわれるわけではありません。長い時間がかかります。

筋肉は、使えば使うほど、強くなっていくものです。
しかし、使わなければ弱くなり、そのうえ痩せてしまいます。

ところで、ふつうに暮らしているときには、あまり使わない筋肉があります。
このような筋肉も、体操をすれば、使うことになり、必要なとき役に立ちます。




骨のはたらきとは? 骨の病気とは? わかりやすく解説!

動物の体は、だいたい、やわらかい組織でできています。
ですから、骨格がないと、つきたての餅のように、ぐにゃぐにゃと地面の上にうずくまってしまうでしょう。

このように、骨格は、やわらかい体を支え、しっかり形を保っているのです。
重いものを背負ったり、運んだりできるのも、この骨格が支えてくれるからなのです。


また、骨格は、体の大切な部分を守る役目もしています。
脳は、頭の骨で包まれています。

背骨の中には、縦に管が通っていて、その中に脊髄がおさめられています。
脳や脊髄は、こうして保護されているのです。

胸の骨格は、かごのような形になっていて、肺や心臓が入っています。
これは胸の内臓を保護するよりも、呼吸運動をするのに適した形になっているのです。

このほか、筋肉といっしょになって運動するのも骨格の大切な役目です。

骨格と筋肉は、いっしょになって大きな運動ができます。
しかし、筋肉だけあっても骨格がなければ、よく運動できません。

それは、クラゲやタコのように、骨格のない動物と人間やカエルのように、骨格のある動物の運動をくらべれば、すぐわかるでしょう。

骨の衛生

骨格は、体の中心になる大切な柱です。
私たちは、骨が立派に育つように、気を付けなければなりません。

私たもの骨は、子どもと大人では硬さが違います。
子どものころは、にかわ質が多く、やわらかくできています。

しかし、発育するにつれて、だんだんカルシウム分が増えて固くなります。
骨が硬くて丈夫なのは、カルシウム分(リン酸カルシウム・炭酸カルシウム)のためです。

大人では、60パーセント、あまりもふくまれています。

ですから、骨を丈夫にするためには骨の成分になる栄養素をたくさんとることが大切です。

それにはカルシウム分・ビタミンC・ビタミンDなどを充分にふくんだ食物を食べることです。

しかし、カルシウム分は、ビタミンDの助けを借りて、骨の成分となるものですからこのビタミンDが足りなくなると、くる病になります。

また、適当な運動は、血液の循環をよくし、骨の発育もすすめてくれます。



骨の病気

骨膜炎・骨髄炎

おもにぶどう状球菌などのために、骨膜や骨髄がおかされる病気です。
腕や足の長い骨に、急に起こることが多いのです。

脱臼

関節で骨が外れることを、脱臼といいます。病気ではありませんが、よく起こる故障です。

外れた骨は、もとにもどしてやれば、すぐ治ります。脱臼は、肩やあごの関節によく起こります。

先天性股関節脱臼は、うまれながら、股の関節が外れている病気です。
これは、なかなかやっかいですから、早く見つけることが大切です。

骨折

骨は、硬くて丈夫ですが、無理な力がはたらくと、案外、簡単に折れてしまいます。
これは、腕や足の長い骨やろっ骨に、いちばんよく起こります。

骨折のときは、ふつう、折れたはしとはしをもとの正しい位置におき、外からそえ木をあて、動かないようにしばっておきます。

たいてい、2、3か月で治ります。

くる病

骨がやわらかいままで、硬くならない病気です。
子どもの病気で、ビタミンDが足りないと起こります。




骨のつながり方とは?関節や靭帯とは? わかりやすく解説!

骨格はたくさんの骨が、靭帯というひもや膜で結びつけられてできています。
また、軟骨もいくらか混じっています。

骨と骨のつながり方は、いろいろありますが、主なものは、つぎの3つです。

  1. 関節
  2. 軟骨結合
  3. 縫い合わせ


関節

関節は、いろいろなつながり方のうちでもいちばん多くて、いちばん大切なものです。

2つの骨のはしをすっぽり包む膜(関節包)があって骨と骨の間に、隙間(関節腔)ができています。

この中には、ねばねばした液体が入っていて、機械の油のようなはたらきをします。
このように、隙間があることが、関節の大切なつくりであってそのために関節は、たやすく折り曲げることができます。

関節で、骨がどんなふうに動くかは、いろいろです。
蝶番のような運動をするもの(肘・膝・指などの関節)とどんな方向にも運動するもの(肩や腰の関節)の2つが、ふつうに見られる関節です。

骨のはしの関節に向かった面は、軟骨(関節軟骨)でできています。
そのため、骨のはしは、互いに滑らかに動きあいますしまた、硬いものの上に飛び降りたり、ぶつかったりしても衝撃を和らげることができます。

靭帯

靭帯は、骨と骨とを丈夫に結びつけているものですがしかし、靭帯の役目には、もう1つ大切なことがあります。

それは、関節の運動を制限することです。

肩や腰の関節は、ふつう自由に動きますが肘や膝の関節は、腕や足をまっすぐに伸ばすとそれからは反対のほうへは曲がらないでしょう。

指の関節でも同じことで、これがどちらの方向にでも曲がったらかえって困ることになります。



軟骨結合

軟骨が仲立ちをしているつながり方を、軟骨結合といいます。
これは、関節のように動きやすくはありません。

これが見られるのは、背骨です。
背骨は30個あまりの椎骨が、上下につながってできています。

椎骨と椎骨とは、円板の形をした軟骨でくっつけられているのです。
そのため、運動は、充分にはできません。

しかし、体を支えるおおもとの柱としては、そのほうが都合がよいのです。

縫い合わせ

これは、骨と骨の結び目が、ちょうど縫い目のように見えるので縫い合わせと名付けられました。

この部分は、よく見ると2つの骨がたくさんの細かい靭帯によって結び付けられているのです。

ですから、動いたり、外れたりすることがありません。

これは、頭の骨にだけみられるもので図のように骨と骨との間のぎざぎざの部分や、線のついた部分でそれぞれ2つの骨が縫い合わせによってくっついています。




骨のしくみとは? 軟骨とは? わかりやすく解説!

私たもの体は、表面が皮膚で包まれているため、中の様子が少しもわかりません。
そこで、中の様子を知るために解剖といって死んだ人の体を、メスとはさみで切り開いてみるのです。


皮膚を、そのすぐ下にある皮下脂肪といっしょに剥いでいくと筋肉がいくつも見えてきます。

この筋肉を切り開いたり、切り取ったりすると血管や神経がでてきますが、もっと深いところへ進むと白い硬いものに触れます。

これが骨です。

筋肉・血管・神経・内臓などを、みな取り去ってしまうと骨だけが残ります。

この骨は、いろいろに組み合わさって、体をつくる基礎になっています。
この骨の組み合わせを、骨格といいます。

骨のしくみ

人間の骨格は、200あまりの骨からできています。
これらの形や大きさはさまざまですが、中のしくみは、だいたい同じです。

骨は、いちばん表面が骨膜という薄い膜で包まれ、その内部に骨質があります。

骨質は、骨のはしのほうでは、中にたくさんの隙間があって海綿か軽石のように見えますが、骨の真ん中へんでは竹のように、中が空になっています。

これらの隙間や、空のところには骨髄というやわらかい組織が詰まっています。
骨髄は、若い人では、赤血球や白血球をつくるので赤い色をしています。

しかし、年をとるにしたがって、脂肪にかわるので老人では黄色くなっています。

このほか、骨のはしに、軟骨が薄くかぶさっています。
そのため、関節で骨と骨とが動きあうとき滑りがよく、ゴツンとぶつかることがありません。

軟骨は、ちょうど、くつの底にうつゴムのようなはたらきをしているのです。

骨は、ちょっと見ると石のようですが石よりもよくはずみ、石のようにもろくはありません。

また、内部には、目に見えない繊維がたくさんあってその繊維の間に、カルシウム分(とくに、リン酸カルシウム分)がたくわえられているため、硬くて丈夫です。

このように、骨の成分は、ほとんどカルシウム分ですから皮膚や筋肉などのようなやわらかい部分と違って、レントゲン線が通りにくいのです。

それで、レントゲン写真をとってみると、体の内部にある骨もかげとなって、はっきりと見えるのです。

軟骨

ふつうの骨のほかに、軟骨があります。
軟骨は、骨とよく似ていますが、カルシウム分がありません。

ですから、骨と違ってやわらかく、メスで楽に切ることができます。

しかし、軟骨は、ほかのやわらかい組織(筋肉など)と違ってしっかり形を保っています。
外から力が加わっても、ちょっと形がかわるだけで、すぐもとの形にもどります。

これが、軟骨の大切な性質です。

軟骨は、耳や鼻などの支えになっていて、それぞれの形をつくっています。
ちょっと鼻の先をぶつけたり、耳を打たれたりしても砕けたり、折れたりしないのは、そのためです。

ろっ骨の先も、軟骨でできていますが、これは呼吸運動をしやすくするためです。



ビタミンとは? ビタミンの種類と特徴とは? わかりやすく解説!

ビタミンは私たちの体の調子を整えたり、成長を促したりするはたらきがあります。
人間の体を機械にたとえると、ビタミンは、この機械にさす油だといえましょう。

もし、ビタミンのとり方が足りないと、体が疲れやすくなったり思うようにはたらけなくなったり、また、いろいろな病気をおこしたりします。

ビタミンの必要量は、たいへんわずかですが毎日とらなければなりません。

しかし、このように大切なはたらきをするビタミンも必要以上に毎日たくさんとりすぎると、いろいろの病気にかかることがあります。

昔から「過ぎたるは、及ばざるがごとし」ということわざがあるようにビタミンの中でとくに、ビタミンAやDをその必要量の何10倍も多くとりすぎるとかえって害を及ぼすものです。

ビタミンには、いろいろな種類が知られています。
これらは、ふつうに食べ物をとっていれば、あまり不足することはありません。

ただ、ビタミンA・ビタミンB1・ビタミンB2・ビタミンCにはとくに気をつけなければなりません。

ビタミンは、たいてい、熱・酸・塩基とか空気中の酸素によって壊されやすいので加工するときや料理するとき、とくに加熱するときには気をつけなければなりません。


ビタミンA

ビタミンAは、目や肝臓のはたらきを助けたり体の抵抗力を強めたりするはたらきがあります。

また、私たちが成長するときには、たいへん必要なものです。

昼間はなんともなくても夜になると目が見えない、とり目という病気があります。
この病気は、ビタミンAが足りないために起こります。

ビタミンAは、肝油・バター・たまごの黄身・肝臓(レバー)などの脂肪に溶けてふくまれています。

まだ、植物にふくまれているカロチンは私たちの体に入ってビタミンAにかわります。
ですから、カロチンをとっても、ビタミンAをとったのと同じことになります。

カロチンは、ニンジン・カボチヤ・トマト・ホウレンソウなど色のついた野菜にたくさんふくまれています。

ビタミンB1

ビタミンB1は、水に溶けるビタミンです。
炭水化物が、体の中で栄養にかわるとき、ビタミンB1がなくてはなりません。

ですから、毎日でんぷんをたくさん食べる日本人はビタミンB1もたくさんとらなければなりません。

とくに仕事をする人、運動やスポーツをする人たちはビタミンB1がたくさん必要になります。

このビタミンB1が足りなくなると、疲れやすくなったり食べ物がほしくなくなったり、かっけになって足がはれ、しびれてきたりします。

穀類の胚芽、大豆、小豆、落花生、大根の葉、生しいたけ、豚肉、動物の肝臓、粉乳、イーストなどは、ビタミンB1をふくんでいる食べ物です。

ビタミンB2

ビタミンB2は、水に溶けるビタミンで、私たちが成長するときになくてはなりません。
これが足りなくなると、成長が悪くなるばかりでなく口角炎というくちびるがただれる病気をおこします。

このビタミンは、肉類、動物の肝臓、牛乳、チーズ、たまご、ニンジンの葉、キャベツ、ホウレンソウ、イーストなどにふくまれています。



ビタミンC

これは、水に溶けるビタミンで、血液の循環を助けるはたらきがあります。
このビタミンCが不足すると、毛細管が破れやすくなり皮膚や粘膜、とくに歯ぐきなどから、よく出血します。

この病気を、壊血病といいます。

食べ物では、ミカン類に多く、ホウレンソウ、キュウリ、ニンジンの葉、大根の葉、茶などにふくまれています。

ビタミンは、いっぱんに新しい食べ物に多くふくまれていますが古くなると、ビタミンがしだいに減ってきます。

ことにビタミンCがいちばん壊れやすいので、野菜や果物などのように、ビタミンCの多いものは新しいうちに食べるようにしましょう。

料理のときも、このビタミンがいちばん失われやすく長い間熟をくわえる料理では、ビタミンCはほとんど壊れてしまいます。

ビタミンD

これは、骨をつくるのに大切なビタミンです。
これが足りなくなると、骨、か弱くなり、子どもでは、くる病にかかります。

ビタミンDが多い食べ物は、肝油、バター、動物の肝臓などです。

その他のビタミン

以上のほかに、よく知られているビタミンに二コチン酸・ビタミンB6・パントテン酸などがあります。

これらは、いずれも、皮膚などの栄養に必要なビタミンで動物の肝臓・肉・魚・脱脂粉乳・大豆などにたくさんふくまれています。

ビタミンB12・葉酸は、貧血の予防に必要なビタミンでB12は、動物の肝臓・貝・肉・魚に、葉酸は、動物の肝臓・野菜・大豆に多くあります。

強化食品

食品の中には、ビタミンなどの栄養素が足りないものがあります。
このような食品に、足りないビタミンをくわえて栄養価を高くする方法がおこなわれています。

白米にビタミンB1やB2をくわえた強化米マーガリンにビタミンAをくわえた強化マーガリンなどがそれです。




たんぱく質のはたらきとは? 灰分とは? わかりやすく解説!

たんぱく質は、窒素をふくんでいて、栄養分として大切な役目をもっています。
また、カロリーのもとにもなりますが、体をつくる材料としていちばん大事な栄養素です。

私たちの体では、皮膚・筋肉・骨・髪の毛・爪・血液・いろいろな内臓などにたくさんふくまれています。

たんぱく質を多くふくむ食べ物は、たまご・肉類・魚肉・牛乳・豆などです。


アミノ酸

たんぱく質が消化されていくと、最後にはアミノ酸というものになります。

アミノ酸には、いろいろな種類がありますが、栄養のうえからみると私たちの体になくてはならないもの(必須アミノ酸)ととらなくてもさしつかえないもの(非必須アミノ酸)の2種類があります。

必須アミノ酸は、植物性たんぱく質よりも動物性たんぱく質にたくさんふくまれています。

ですから、栄養のうえからみると動物性たんぱく質のほうが植物性たんぱく質よりも価値が高いのです。

たんぱく質のはたらき

私たちがたんぱく質をとると消化されてアミノ酸となり、腸の壁から吸収されます。
アミノ酸は門脈を通って肝臓に行き、ここから体のいろいろな部分に運ばれるのです。

そこで、いろいろなアミノ酸が組み合わされ、新しいたんぱく質がつくられます。

余分なアミノ酸は、熱量素として使われ1グラムあたり約4カロリーの割合で、熱をだします。

残ったものは、尿素などになって、尿といっしょに体の外へ捨てられます。



灰分

動物や植物を燃やしたあとに、白い灰が残ります。
この灰には、カルシウム・鉄・リン・ナトリウム・カリウム・マグネシウムなどがふくまれています。

これらをまとめて灰分というのです。
灰分は、体をつくる材料として大切なものです。

私たちの体では、歯・骨・血液・内臓などにふくまれています。
また体液に溶けていて、体のいろいろなはたらきを助け健康を保つ役目をしています。

カルシウム

歯や骨は、おもに、カルシウムからできています。
カルシウムは、血液にも、ふくまれています。

これは、病気にたいする抵抗力を増したり、体の中にできたいろいろの酸を中和するはたらきをしています。

食べ物としては、牛乳、魚の骨、植物の葉などにふくまれています。

リン

カルシウムと同じように、歯や骨にたくさんふくまれています。
そのほか、脳・血液・内臓の組織にもあります。

このように、リンは、体の材料となっています。
また、体液に溶けていて、体のはたらきを助けたり、成長をさかんにしたりします。

たまごの黄身、牛乳、魚の骨、肉類などが、リンをふくんだ食べ物です。

赤血球にふくまれるヘモグロビンの大切な成分で酸素や二酸化炭素を運ぶのに役立っています。
これが不足すると、貧血をおこします。

鉄は、肉、魚、動物の肝臓、たまご、青野菜、海藻、茶などにふくまれています。

食塩

食塩は、血液の中にふくまれていて、体の水分を調節するはたらきをしています。

私たちは、1日に10~20グラムの食塩を必要とします。
食塩は、汗といっしょにでていくので汗をだしてはたらく人には、もっとたくさん必要です。

味噌汁・塩魚・ハム・漬物などには、食塩がふくまれていますがそれだけでは足りないので、食塩や醤油で味つけした食べ物などからも食塩をとっています。




脂肪とは? 脂肪のはたらきとは? わかりやすく解説!

脂肪は、ふつう、あぶらといわれているもののことです。
ふつうの温度では、固体のもの(肉のあぶらやバターなど)と液体のもの(なたねあぶらなど)とがあります。


しかし、固体のものでも、すこし温めると、どろどろしてきます。

脂肪をたくさんふくんだ食べ物には大豆・落花生・クルミ・バター・マーガリン・肉・イワシ・コイ・サンマなどがあります。

私たもの体では、内臓・筋肉にたくさんふくまれています。
また皮下脂肪として、たくわえられています。

秋から冬にかけて、鳥などの体には、だんだんあぶらがのってきます。
これは、寒さを防ぐ用意なのです。

増える脂肪は、だいたい、皮下脂肪としてたくわえられます。
外の寒さに体温を奪われないように、この皮下脂肪が壁をつくるのです。

私たちの体も、鳥と同じことです。

脂肪のはたらき

体の中に取り入れられた脂肪はすい液や腸液にふくまれているリパーゼのはたらきで消化され脂肪酸とグリセリンとになります。

これが腸で吸収されると、すぐにまた結びついて、脂肪になります。

吸収された脂肪は、リンパ管を通って、大静脈に運ばれます。
つぎに血液が、脂肪組織まで運んでいくのです。

脂肪は、脂肪組織としてたくわえられるほか炭水化物と同じように、熱や力のもとになります。

このとき、脂肪は酸素と結びついて、二酸化炭素と水ができ1グラムにつき、9カロリーの熱をだします。

ですから、同じカロリーがほしいときには炭水化物のかわりに脂肪をとれば、量が少なくてすみます。

そのほうが、胃や腸を疲れさせず、体のためにもよいのです。
しかし、あまりとりすぎると、消化がうまく行われないで、下痢を起こしたりします。




炭水化物とは? 炭水化物のはたらきとは? わかりやすく解説!

炭水化物には、砂糖類・グリコーゲン・でんぷん・繊維質などがあり植物に多くふくまれています。

炭水化物は体の中に取り入れられて、熱や力のもととなります。
ただ、繊維質だけは消化されないので、栄養にはなりません。


砂糖類

毎日使う砂糖のほか、ブドウに多いぶどう糖、麦芽に多い麦芽糖などがあります。

砂糖類は、甘い味をもっています。
果物が甘いのは、果物に、これがふくまれているからです。
また、甘味があるので栄養素としてばかりでなく、嗜好品としても役立っています。

でんぷん

でんぷんは、米や麦などの穀類、サツマイモやジャガイモなどのイモ類にたくさんふくまれています。

顕微鏡で見ると、でんぷんは、小さな粒からできていてこの粒の形を見れば、なんのでんぷんかすぐにわかります。

でんぷんは水に溶けませんが、水で煮るとのりのようになり、消化がよくなります。

繊維質

繊維質は、ふつうの植物には、みなふくまれています。これは、炭水化物の仲間ですが、栄養にはなりません。

食べても、消化されないで、外へ出されます。しかし、これがないと、便通が悪くなります。



グリコーゲン

でんぷんは、植物にふくまれていますがグリコーゲンは、動物にだけふくまれているので動物性でんぷんともいわれます。

私たちの体では肝臓や筋肉などに、たくさんふくまれています。

これは、血液で運ばれたぶどう糖がグリコーゲンにされてたくわえられているのです。
ぶどう糖が必要なときには、グリコーゲンは、またぶどう糖にかえられます。

炭水化物のはたらき

炭水化物は、消化されてぶどう糖になり、腸の壁から吸収されます。
吸収されたぶどう糖は、門脈を通って、肝臓へ運ばれます。

ここから、体のすみずみまで、配られるのです。

このぶどう糖は、呼吸によって取り入れた酸素と結びついて二酸化炭素と水にかわります。

このとき、1グラムにつき4カロリーの熱をだすのです。

体でぶどう糖が使われると、肝臓や筋肉にたくわえられているグリコーゲンがぶどう糖にかえられて血液で運ばれてきます。

また、ぶどう糖は、脂肪につくりかえられて、皮下組織にたくわえられます。




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