石油製品の性質と用途とは? わかりやすく解説!

液化石油ガス

原油の分留やグラフやクラッキングをするときに副産物としてでてくる炭化水素ガスのうち、圧力(10気圧ぐらい)をかけるとたやすく液体になる部分を、液化石油ガス(LPG)とよびます。

液化石油ガスには、おもにプロパンとプロピレンがまじったものとおもにブタンとブチレンがまじったものとがあります。

前のほうはおもに家庭燃料や自動車燃料として使われふつう「プロパンガス」とよばれております。
あとのほうは、おもに工場の燃料として使われます。

日本では、木炭・薪・石炭などにかわって家庭で使われたり自動車用ガソリンのかわりに使われる液化石油ガスの量が1960年頃から急に増え国内で製造される分だけでは間に合わなくなりました。

それで、中東地方やインドネシアなとから冷凍タンカーで液化して運ぶことが盛んになりました。


ガソリン

ガソリンは沸点がおよそ35~200℃、炭素原子数が5ないし11ぐらいのいろいろな炭化水素の混合物で、使いみちによって工業用・自動車用・航空成用の3種類に分けられます。

石油化学工業でたくさん使われるナフサは沸点がやや高いガソリンと考えればよいのですが日本ではガソリンと区別してよんでいます。

工業用ガソリンは、原油から分留したままのガソリンで、沸点がやや低いものです。
染み抜きベンジン、ライター油、クリーニング用、塗料のシンナー、ダイス油製造用などに使われます。

自動車用ガソリンは、おもに自動車燃料として使われるもので分留・クラッキング・リホーミングなどいろいろな方法で製造したものをまぜあわせ品質を整え、それに四エチル鉛という薬品をくわえてつくります。

四エチル鉛は、ガソリンのオクタン価を高くすつのにたいへん役に立ちます。

オクタン価

エンジンはガソリンが蒸気になってエンジンに入り空気とまじりあって激しく燃え、その勢いで力がでるようになっています。

このとき充分にエンジンの力を出させることができるかどうかの尺度として使われるのが、オクタン価です。

オクタン価は、イソオクタンを100、また正ヘプタンを0とし両方の混合物と比較試験(比べるテスト)をして決めます。

エンジンの性能が高くなるほど、ますます高いオクタン価のガソリンが必要となります。

オクタン価の高いガソリンをつくるにはクラッキングやリホーミングを利用するだけではなく四エチル鉛という薬品をごくわずかくわえます。

四エチル鉛は、ものすごい毒作用があるのでこれをくわえたガソリンは染料で色づけすることに決められています。

日本の自動車用ガソリンのオクタン価は、ふつう品(レギュラー)で92ぐらい
特製品で(プレミアム)100ぐらいです。

航空機用(または航空)ガソリンは自動車用ガソリンの品質をいっそう高めたものと考えてよく、とくにオクタン価を高くしてあります。

ガソリンは、プロパンガスと同じように引火して爆発するので、注意して取扱かわなければなりません。

灯油

灯油はガソリンより沸点が高く、分子量の大きい炭化水素の混合物です。
電燈がなかった時代には灯油は灯火用としても大切な石油製品でした。

しかしいまは、灯火用としては灯台や山奥などで少し使われるだけでかえって家庭の石油コンロ・石油ストーブなどに多く使われるようになりました。

また、石油エンジンの燃料、機械を洗う油、塗料溶剤、殺虫剤原料などとしても使われています。

ジェット機の燃料としては、沸点がやや高いガソリンと灯油とが使われますがプロペラ機が減ってジェット機が増えたためまたジェット機がますます大型になるためにこの方面に使われる灯油の量もますます増えています。

軽油

軽油は、灯油よりもさらに沸点が高く、分子の大きい炭化水素の混合物で分留されたものがそのまま使われます。

使い道はディーゼルエンジンの燃料、ストーブ燃料、機械を洗う油、金属を切ったり削ったりするときの工作用の油などです。

重油

軽油よりもいつそう沸点の高い、重い油で、かっ色や黒色の色がついています。
重油は大型船・発電所・工場ボイラー・製鉄工場などの燃料として使われます。

これまで長い間、石炭を使っていたところでも、重油のほうが使いやすく安くつくのでだんだん重油を多く使うようになりました。

日本で1年間に使う石油の量は、約1億2千万キロリットル(1967年度)にもなりましたが、そのうち60パーセントぐらいが重油です。


機械油

機械油は、よく精製されたねばりけのある重い油で機械のすれあう部分にぬるのに使います。

機械油をぬると、すべりやすくなるために摩擦が少なくなり。
機械がすり減るのを防ぎます。
機械にはいろいろな種類があるので機械油も、ねばりけやそのほかの性質を加えた。

いろいろな種類がつくられています。

機械油はまた、金属工作、焼き入れ、さびどめ、電気の絶縁などに使われさらに精製したものは化粧品・グリースなどの原料になります。

アスファルト

アスファルトは、なかば固体の、分子の大きい炭化水素の混合物でねばりけや弾力性があり、低温でもろくならない性質をもっています。

道路舗装材として大切であるほか、堤防工事・コンクリートエ事などのときの防水材、屋根ふきの材料、電気絶縁材料などとして使われます。

パラフィンロウ

沸点が高く、分子量の大きい正パラフィン炭化水素は白色の結晶になります。
これがパラフィンロウです。
木ロウや鯨ロウも同じようにロウとよばれますがこれらは酸素をふくむ化合物ですから、パラフィソロウとは別なものです。

パラフィンロウは、ろうそく・パラフィン紙・クレヨン・マッチの軸木などをつくるのに使われ、また電気絶縁材料、つやだし材料、火薬の湿気をふせぐ材料などとして用いられれます。

ワセリン

成分はパラフィンロウによく似たものですが、結晶にはなりません。
化粧品や薬品をつくるのに使われ、また金属のさびどめ用にも使われます。

グリース

グリースは。機械油にセッケンと少量の水をまぜ、ねりあわせてつくります。
使い道は、機械油と同じです。

石油コークス

重油のクラッキングを長い時間続けるとガス・ガソリン・灯油・軽油などが取れたあとに、炭素分の多いコークスが残ります。

これが石油コークスで、石炭からとれるコークスとくらべて灰分が少ないので、よい電極材料になります。



石油の分留・クラッキング・リホーミングとは? わかりやすく解説!

石油の分留

炭化水素はいっぱんに、分子の大きさが増すにつれて、沸点がだんだん高くなります。
そのため常温(ふつうの温度)で気体のもの、液体のもの、固体のものなどがあり
それらが溶けあって原油を形づくっています。


それで原油に熱をくわえると、分子の小さいものから順々に気体(蒸気)になって
飛び出してくるので、その蒸気を冷やして分けとると、いろいろな石油製品がえられます。

このように、石油の成分をいったん蒸気にして分ける作業を、石油の分留といいます。

おもな石油製品の沸点(留出温度)の広がりかたは表のようになります。
沸点が少しずつ重なりあっていますが、燃料として使う場合このことは差支えありません。

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また、表のなかに原油からとれる割合(収率)がしめされていますが
これも原油の産地、種類などによって、非常に違うので、決まった数値ではありません。

ガソリン分のうち、沸点の高い部分が石油化学工業の原料として使われ
その量は自動車用ガソリンと同じくらいか、またはそれ以上にもなります。

これをナフサとよんでいます。

機械油は、重油分を真空に近い圧力のもとで、細かく分留してつくります。
その一部から、さらにパラフィンロウ・ワセリンなどもつくりだされます。

アスファルトには、原油を分留したあとに残っていて
そのまま使えるスレートアスファルトと、重油分に熱した空気をふきこんで
重合させてつくるブローンアスファルトの2種類があります。

石油製品の精製

原油を分留してつくられたいろいろな石油製品は、そのままでも使われますが
たいていの場合、品質をよくするためにさらに精製したり加工したりします。
とくに、ガソリンと機械油にはこれが必要です。

原油には、硫黄・酸素・窒素などの化合物がふくまれているため
これらがどうしても、石油製品の中に入ってきます。

そしてこれらの化合物は、ごくわずかでも
製品のにおいや色を悪くしたり金属をさびさせたりします。

ガソリンや灯油の場合には、硫酸・塩基の溶液、水などで洗えば
それらの不純物(まじりもの)の大部分を取り除くことはできますが
完全に取り除くためには、触媒を使い高温高圧の水素をはたらかせて処理します。

軽油や重油は、これまで特別な精製をしなくてすみましたが
硫黄化合物が燃えたときに発生する二酸化硫黄が大気を汚すおもな原因になりますので
ガソリンの場合と同じような、水素を使う精製法で軽油や重油も精製されはじめました。

機械油の場合には性質(ねばりけなど)を悪くする成分を分けてとる作業が必要です。
ロウ分とアスファルト分を、冷やして結晶させたり
まじりあわない溶剤(アスファルトなどを溶かしこむ薬品)で
洗って取り除いていく方法で、精製します。

同じ種類の製品について、たとえば重油や機械油の場合は
品質が少しずつ違うものをまぜあわせて、一定の品質のものにする作業も大切です。

これらの精製法のほか、石油製品の品質をよくするため
ごく少しくわえて使う薬品類がいろいろあります。

これらを添加剤とよびます。

添加剤には、ガソリンの燃えかたを調節するもの、機械油のねばりけをよくするもの
アスファルトがもろくなるのを防ぐものなどがあります。


クラッキング

これまでに述べたように、ガソリンはふつう、原油の分留によってつくられます。
しかし自動車・飛行機などが増えるにつれて
分留でつくったガソリンだけでは間に合わなくなってきました。

そこで同じ量の原油から、できるかぎり多くのガソリンをつくりだすことが
研究された結果、軽油や重油を熱によって分解すればガソリンがとれることがわかり。

工業的に行われるようになりました。
この方法をクラッキング(熱分解)、または分解蒸留とよびます。

グラッキングははじめのうち、熱の作用だけでおこなっていましたが
圧力をかけたり、触媒を使うといっそう品質のすぐれたガソリンがとれることが
わかったので、いまは天然または人工の白土を触媒として使う
接触分解法(または、キャットクラッキング)が多く採用されています。

リホーミング

原油から分留法によってえられたガソリンの品質をよくする方法に
リホーミング(または改質)という方法があります。

これはガソリンの中にふくまれている、いろいろな炭化水素のうち
ガソリンの成分としてあまり適当でないような
炭化水素の分子の成り立ち方(分子の構造)を高温高圧の水素ガスの中で
触媒を使ってかえる方法です。

たとえば、炭素原子8個の炭化水素の場合
炭素原子の互いのむすびつき方や水素原子の炭素原子への
むすびつき方にしたがって、たくさんの種類があります。

それらのうちから4種類だけとりだしてしめすと、図のようになります。

この4種類のうち、どれがガソリンの成分としてすぐれているかを比べると
①のような枝分かれのないものよりも、②のように枝分かれしているものがよく
また③と④とでは、水素原子が少ない④のほうがすぐれていることになります。

そこで、①や③のような成分の多いガソリンを、高温高圧の水素とまぜ
白金や酸化クロムのような触媒の上をとおして
②や④のような成分を増加させるのが、リホーミング法です。

このほかにも、ガソリンの品質をよくするような成分をつくる方法がありますが
分留・クラッキング・リホーミングの3つの作業が
製油所でガソリンをつくる場合の、もっとも大切な作業です。



石油製品とは? 石油の成分とは? わかりやすく解説!

石油の成分

石油はいろいろな炭化水素がまじりあったものです。
炭化水素というのは、炭素原子と水素原子だけからできている化合物でいちばん簡単なのはメタンですが、それよりも分子が大きく炭素がくさりのようにつながったもの、六角の輪につながったもの枝分かれしたものなど多くの種類があります。


どのような種類の炭化水素が多くふくまれているかは、石油の産地によって違います。
たとえば中東地方やアメリカ東部地方の石油はパラフィン系(くさり状)炭化水素が多くふくまれそれにたいしアメリカ西部地方や日本の石油にはナフテン系(分子に輪の部分がある)炭化水素が多くふくまれています。

なお、主成分の炭化水素のほかに、硫黄をふくむ化合物窒素をふくむ化合物、酸素をふくむ化合物なども原油の中に少しずつ入っています。

石油製品

原油から分けてとったり、またそれを加工してつくりだした製品を石油製品とよびます。
もとになる原油の主成分が炭化水素ですから石油製品も当然いろいろな炭化水素の混合物です。

石油製品には、石油ガス・ガソリン・灯油・軽油・重油・石油コークス・アスファルト・潤滑油(機械油)などがあります。

そしてこれらは、おもに燃料や機械の潤滑用に使われます。
なおこれらの用途のほか、石油製品は薬品や化学工業原料として使われます。




石油のでき方とは? 石油の取り出し方とは? わかりやすく解説!

石油は紀元前のはるか昔から、すでに人々に知られたとえばアスファルトが塗料などに用いられたと伝えられています。

しかし、いまのような石油工業は19世紀の半ば過ぎから起こったものであり、はじめは、灯火用の油、つまり灯油がおもな製品でした。

それで、石油といえば灯油のことをさした時代もありました。

ところが、汽車・自動車・船・飛行機、そのほかいろいろな機械が発達するにつれて石油からは灯油だけでなく、ガソリン・軽油・重油・機械油などをもつくりだせるようになりました。

ですから、地下からくみとしたままの原油を石油といいそれからつくりだしたものはすべで石油製品というのが正しいよびかたです。


石油のできかた

石油が地中でできたのは、いまから数えて1千万年から4億年もまえのことですからどのようにしてできたか、くわしいことはわかりません。

しかし、多くの人の研究の結果からおよそつぎのように考えられています。

つまり、大昔地球上に住んでいたたくさんの微生物の死骸が海の泥につもり泥に埋もれそれがバクテリアの作用をうけたり、地熱や地圧の作用をうけて長い年月のあいだにだんだん変化してできたものが、石油であるということです。

油層と油田

地中にできた石油は地層の中をゆっくりと動いて図のように上と下とが水を通しにくにい地層にはさまれた砂岩などの隙間の多い地層に集まったと考えられています。

地層が馬の背や丸天井のようになっていると、石油はいっそう集まりやすいはずです。

このようにして石油がふくまれている地層を、油層といいまた地下に油層がある地域を油田といいます。

日本にも、古くから新潟県や秋田県に油田がありますが世界的に入るとごく小さなものです。

世界のうちで、大きな油田があるのはアメリカ合衆国・ソ連・ベネズエラや西南アジアの国々、それにアフリカのアルジェリア・リビアなどです。


石油のとりだし方

石油を地中からとりだすには、まずいろいろな調査や試験をおこなって地下に油層があることを確かめます。

つぎに、地表から油層まで細い穴を掘り、そこに鉄管をおろして石油をくみだします。
この石油をくみだす穴を、油井または石油井戸といいます。

昔は、油井をほるのに、簡単な道具しかなかったのであまり深くは掘れませんでしたが、いまでは機械力を使って数百メートルから3000メートルくらいまでも、楽に掘れるようになりました。

また陸上だけでなく、海上でも掘れるようになりました。

油層には地圧がかかっているので、新しい油井からは地圧におされて、石油が激しい勢いでふきだしてきます。

それで、はじめはごく細い穴からふきださせます。
しかし、時が経つにつれて、ふきだす力が弱まってしまいます。
そうなったならばポンプを使ってくみだします。

1つの油井から1日にとれる石油の量は油層の大きさ、油田の古さなどによって違います。
たとえば日本のアラビア石油会社が、ペルシア湾に掘った油井からは1本で1日あたり1000~2000キロリットルの石油がとれますが日本内地の油井からはとてもそんなに多くはとれません。

油井からくみだした原油は、ふつう黒かっ色のねばねばした油で泥水やガスがまじっています。

この泥水やガスをとりのぞいてタンク車やパイプで石油精製工場(製油所)へおくります。

遠い所や外国へ運ぶにはタンカーを使います。
タンカーは大きいほど運賃が安くつくのでしだいに大型のタンカーが使われるようになりいまではいちどに十数万キロリットルも運べる巨大タンカーかあります。



石灰石の性質と用途とは? わかりやすく解説!

石灰石の性質

石灰石は、おもに炭酸カルシウムからできています。

炭酸カルシウムは、純粋な水には溶けませんが二酸化炭素をふくんだ水には図の式のように反応して炭酸水素カルシウムになり、溶けます。


このため、二酸化炭素をふくんだ水が石灰岩のわれめを通るとこの反応によって石灰岩が溶け、長いあいだに、大きな洞穴になります。

これを石灰どう(鍾乳洞)といいます。
石灰どうでは、天井から炭酸水素カルシウムをふくんだ水がおちるとき途中で水分や二酸化炭素が逃げて、まえと逆の変化がおきます。

こうして、炭酸カルシウムができてかたまり、長いあいだに、つららのようになります。これを鍾乳石といいます。

水が地面に落ちてから同じような変化がおこると下からのびて、たけのこのようになります。これを石筍といいます。

石灰石(炭酸カルシウム)を熱すると、二酸化炭素を発生して生石灰(酸化カルシウム)ができます。
この生石灰を水に溶かすと、消石灰(水酸化カルシウムとなります。

また石灰石(炭酸カルシウム)は、酸と反応して二酸化炭素を発生し、その酸の塩となります。

石灰石の用途

石灰石は、生石灰・消石灰の原料になるほか、ガラス・セメントの原料にもなります。
また、鉄や銅の冶金で炉の材料や原料中にふくまれる二酸化ケイ素を取り除くためにも使われます。

炭化カルシウム

炭化カルシウムには、力ーバイドともいわれます。
酸化カルシウムと炭素(コークス・木炭をまぜて電気炉で2300℃ぐらいに熱すると、図の①式のような反応で、炭化カルシウムができます。

純粋な炭化カルシウムは、白くてにおいがありませんがふつうは不純物をふくんでいるので、灰色でいやなにおいがあります。
炭化カルシウムは水と反応して②式のようにアセチレンを出します。

アセチレンは燃えやすい気体で灯火用や高熱発生用の燃料として使われるほか
合成繊維や合成樹脂の原料としてなくてはならないものです。

また、炭化カルシウムを電気炉で1000℃ぐらいに熱し、これに窒素をおくると、図のような反応で石灰窒素(カルシウムシアナミドと炭素の混合物)ができます。

この方法は、空気中の窒素の利用法として非常に大切です。

石灰窒素は窒素肥料として使われるほか、カルシウムシアナミドは硫酸アンモニウム・尿素・グアニジンなどの原料として重要です。



陶器と磁器の種類・原料・製法とは? わかりやすく解説!

陶磁器の種類

陶磁器の種類は非常に多く、細かく分ければきりがありませんがふつう、土器・陶器・石器・磁器のように分けられます。


陶土と磁土

陶磁器の主原料は、陶土と磁土です。
陶土も磁土も粘土の一種ですが、粘土のなかでもとくにカオリナイトを多量にふくみアルカリ・石灰・酸化鉄などの溶けやすい不純物が少ないものです。

磁土は、とくに良質のもので、カオリナイトを95~98パーセントふくみ陶土は磁土よりやや品質がおちるものです。

陶磁器の原料

主原料は陶土や磁土ですが、そのほかに、粘土の性質を調節したり製品を美しくするために、つぎのような原料を使います。

脱粘料

粘土のねばり気が強いと、成形しにくいうえに乾きにくいので、ねばり気を少なくする材料をくわえます。

これが脱粘料です。脱粘料には炭素・コークス・ケイ砂・粘土を焼いた粉などがあります。

溶質料

粘土を溶けやすくし、よく焼いてかたくするために粘土のほかに材料をくわえます。
これを溶質料といいます。溶質料には長石・ホウ砂・石灰などがあります。

うわぐすり

陶磁器の素地のめをふさいで、よごれにくく、また美しくするために陶磁器の表面にかけるものをうわぐすりといいます。

うわぐすりの成分は、ガラスとまったく同じでケイ酸ナトリウムやケイ酸カリウムなどが主成分になっています。

着色料

陶磁器に美しい色をつけたり、模様を書いたりするのに使う材料を、着色料といいます。
着色料は、ガラスの着色料と同じように、重金属の酸化物を使います。

着色料には、酸化鉄(黄色・緑色・青磁色)・酸化クロム(黄色・緑色)・酸化マンガン(かっ色)・酸化スズ乳白色)などがあり、それぞれの色をあらわします。

また、同じ着色料でも、条件によって色が違ってくることがあります。


陶磁器の製法

陶磁器の製法は、種類によって多少違いますが、ふつう、つぎのようにつくります。

①原料の処理と調合

細かく砕いた粘土を水で解いてどろどろにしさらにボールミルを使って、細かくします。

これを.流れている水に入れると、粒の大きいものは早く沈み粒の小さいものだけ運ばれて、沈澱池に沈みます。

こうしてできた粒のそろった粘土はよく乾かし脱燃料などの原料を正確にはかってまぜます。

調合した原料は、水をまぜてよくねります。
これを生地土といいますがふつうは、これをすぐ成形せずかわかないように注意して、貯蔵室で数週間貯蔵してから成形します。

②陶磁器の成形

美術品など複雑な形のものをつくるときには機械を使わずに、手で形を整えます。
これを手工法といいます。

工場では、円板を回転させ、その上に生地土をおいてへらか使って成形するろくろ法やセッコウの型の中に流しこんで成形する流しこみ法生地土を金属の型におしこんで成形する押圧法などが使われています。

② 乾燥

こうして成形した陶磁器は、まだ水分をたくさんふくんでいるので急に焼くと水分がいちどに蒸発して、ひびが入ってしまいます。

ですから、水分をよく蒸発させ乾燥してから、素焼きをします。

④素焼き

乾燥したままのものは、もろくて壊れやすいので、いちど焼いて丈夫にします。
この作業を素焼きといい、できたものも素焼ききといいます。

素焼きの温度はいろいろあります。
磁器や陶器は、ふつう低い温度で焼き、うわぐすりをかけないものは高い温度で焼きます。

⑤うわぐすりかけと本焼き

素焼きにうわぐすりをかけるには、うわぐすりの中に浸す方法やうわぐすりを流したり、はけでぬったりする方法があります。

うわぐすりをかけたものは、くっつかないように注意して、かまの中にならべます。
素焼きは、うわぐすりをかけたときに水分を吸っているのではじめはゆっくり温度を上げ、100~120℃ぐらいで水分を蒸発させます。

つぎに、だんだん温度を高め本焼きします。
本焼きの最高温度は、硬質磁器で1300~1435℃、軟質磁器では1150~1300℃、陶器は1100℃ぐらいです。

本焼きは、短くても10時間、長いものでは、30~50時間ぐらいの時間をかけます。

⑥冷却とかま出し

本焼きの終わった陶磁器を急に冷やすと外側と内部の冷え方が違ってくるので歪みができて、ゆがんだり割れたりします。

そこで、かまの中に入れたままにしたり、だんだん低い温度の空気をかまにふきこんだりして、ゆっくり冷やします。

冷却が終わったら、かまの口をあけ、手を入れることができるくらい冷やして取り出し、でき具合を調べて、悪いものは取り除きます。

レンガ

レンガの原料はほとんど粘土ですがねばりげの多すぎるときには、砂をくわえます。

原料を細かく砕き、よくこねて、21×10×6センチのわくにつめて乾燥させます。
これをかまに入れて焼きます。

レンガが赤い色をしているのは原料の中にかなりの量の酸化鉄がふくまれているからです。

原料の粘土を、細かく砕いてよくこね、型に入れて成形します。これを乾燥して焼きますが。

そのまま焼くとレンガのように赤くなるので、還元炎で焼きます。
そうすると、酸化鉄が還元されるので、黒っぽい色になります。

ふつうの瓦は、銀灰色で、たたくと金属のようなすんだ音のするものが良質です。
また、水を18パーセント以下しか吸いません。

赤色や青色の瓦は、うわぐすりをかけて焼いたものです。

タイル

浴室や便所など、ところにはるタイルには、いろいろの種類がありますが上質なものは、原料として磁土を使います。
ふつう、素焼きの上にうわぐすりをかけて本焼きします。

赤々青など美しい色をしたものがありますが色はどれもいちようでなければ、かべや床にはったときむらができるのでエアーコンプレッサーを使って、うわぐすりを吹き付けます。



コンクリートとは? 鉄筋コンクリートとは? わかりやすく解説!

ポルトランドセメントに、砂・砂利・砕いた石などをまぜて水でこねてかためたものを、コンクリートといいます。

コンクリートが固まるのは、セメントが砂や砂利をのりづけにする役目をするからです。
セメントを土木工事などに使うときは、ふつうコンクリートとして使います。


コンクリートの材料と混合

コンクリートの材料は、セメントのほかに、砂・砂利・水です。
セメントと砂と砂利をまぜる割合は、ふつう、体積で1対3対6ですがとくにきれいにしあげたいときは、1対2対4の割合でまぜます。

砂の大きさは、直径0.5センチ以下、砂利は直径1.5~5センチぐらいのものがよくまた大きさがそろっているよりも、そろっていないほうがきちっと固まります。

砂や砂利は、汚れているとセメントがつきにくいので、よく洗っておきます。

コンクリートを小さな建築現場などで使うときは材料を大きな鉄板の上で、シャベルを使ってまぜますが大量にコンクリートが必要なときには、コンクリートミキサーという機械を使います。

コンクリートを、思ったような形に固めるためには、型わくを使います。
型わくの中でコンクリートがかたまるのに必要な時間は天候や温度によっても違いますが夏で2日ぐらい、冬で4~7日ぐらいかかります。

また、水分が急に乾いてしまうと、コンクリートがかえってかたまりにくいのでコンクリートを流した上に、むしろのようなものをおきときどき水をまいて、湿気をあたえてやります。

コンクリートの表面仕上げ

型わくを外したコンクリートは、表面がざらざらして穴があいています。
そこで、必要があれば表面仕上げをしますが、それには、つぎのような方法があります。

摩擦法

表面をと石でみがき、穴にセメントをつめ、さらに砥石でみがきます。

研ぎ出し法

コンクリートの表面に、大理石や花コウ岩などをまぜたセメントをぬって乾いてから砥石でみがきます。

叩き取り法

乾いてから1か月くらい経って表面を金づちで叩いておとしセメントの中の石材を表面に出します。

鉄筋コンクリート

コンンクリートの中に、鋼鉄製の骨組みを入れコンクリートをいっそう強くしたものを、鉄筋コンクリートといいます。
ビルの建築などには、ほとんど鉄筋コンクリートが使われています。



セメントの種類・原料とは? セメントの性質とは? わかりやすく解説!

セメントの種類

セメントとは、広い意味では、セッコウ・しっくい・水ガラスなどをふくみ非常に種類が多いのですが、ふつうはポルトランドセメントをさします。

そこで、ここではボルトランドセメソトについて調べることにします。

ポルトランドセメントの原料

セメントの原料には、つぎの5つがあります。

① 石灰質原料 もっともふつうに使われるのは、石灰石です。
この石灰石にふくまれている、アルミニウムや酸化鉄などの不純物はつぎにのべるように原料の一種になりますから、とりのぞく必要はありません。

② アルミニウム原料 粘土がもっともふつうの原料です。
粘土には、アルミニウムばかりでなく、二酸化ケイ素・酸化鉄などもふくまれているので、セメントに必要な原料を、いちどに3つも供給することができるわけです。

③ 二酸化ケイ素原料 粘土にふくまれている二酸化ケイ素だけでは足りないのでケイ砂やケイ石などを使います。

④ 酸化鉄原料 粘土や石灰石にふくまれている酸化鉄だけでは足りないので砂鉄や黄鉄鉱を焼いたものなど、鉄分の多いものが使われます。

⑤ セッコウ まえの4つの原料だけでは、セメントが早くかたまりすぎるのでそれをふせぐためにセッコウをくわえます。

天然に産出するセッコウのほかに、ほかの工業で副産物としてできる硫酸カルシウムも使われています。


ポルトランドセメントの製造

セメン卜の製造法は、原料を混合するときに水をくわえるかどうかで乾式法と湿式法に分けることができます。

①乾式法 まず、原料を粗く砕き、乾燥させて適当な割合にまぜます。

この割合が非常に大切で、これが違うとできたセメントの性質も非常に違ってきます。

つぎに、まぜあわせた原料を粉砕機で細かく砕いて粉末にします。
この粉末を回転炉に入れて熱します。

原料はこの回転炉のいっぽうから他のはしにいくまでに約1400℃ぐらいに熱せられ、大豆か梅干しぐらいの大きさの焼けた固まりになります。

これを、クリンカーといいます。

できたクリンカーは冷却室で冷やし、3パーセント以下のセッコウをくわえてふたたび粉砕機でくだき、細かい粉とします。

この粉末が、ポルトランドセメントです。

②湿式法 乾式法では、原料をよく乾燥させますが湿式法では、原料に水をくわえて砕き、どろどろにしてまぜあわせます。

つぎに、調合がよくできているかどうかを確かめてポンプで回転炉に入れます。
回転炉の中では、原料がまず乾燥されあとは、乾式法と同じようにして、セメントができます。

湿式法では、製品の品質が均一なことや、グリンカーが柔らかく砕きやすいこと
粉末が飛びちらないことなどが有利な点てすが回転炉の中で乾燥するために、燃料がたくさんいるという欠点があります。

ポルトランドセメントの性質

ポルトランドセメントは、比重3.1~3.2ぐらいの青っぽい灰色の粉末です。
成分はふつう酸化カルシウム63~66パーセント、二酸化ケイ素20~24パーセント酸化アルミニウム4~6パーセント、酸化第二鉄0~5パーセント、酸化マグネシウム1~2パーセント、三酸化イオウ1~3パーセントなどです。

セメントに水をくわえてこね、しばらくおくと固まります。

これをセメントの硬化といいます。硬化がなぜおこるかはくわしくわかっていませんが、つぎのように考えられています。

セメントに水をくわえると、セメントの成分が加水分解をおこします。
できた物質は、はじめはコロイド状になっていますが、しだいに結晶をつくります。
いっぽう、加水分解のとき、水酸化カルシウムができますがこれが空気中の二酸化炭素を吸って、炭酸カルシウムになります。

この2つの理由で、セメントが固まるというのです。




平炉法・転炉法・電気炉法とは? わかりやすく解説!

平炉法

鋼をつくる方法の一つに平炉法があります。
平炉法は現在もよく使われている方法で、イギリスのジーメンスが考えだしたものです。


平炉は、平らな丈の低い炉で、左の図のような構造をもった反射炉です。
この中で、銑鉄・酸化鉄・くず鉄などを原料として重油やコークス炉ガスなどを燃焼させて熱します。

この燃焼ガスは、廃ガスによって、あらかじめ熱せられるようになっているので、炉内の温度を1700℃ぐらいにあげることができます。

原料中の不純物は、ガスの炎で熱せられ、酸化されて取り除かれます。
このようにして、原料は精練されて鋼になります。

平炉法でできた鋼の成分と、原料銑鉄の以分の違いは、表のようになります。

転炉法

転炉法は、イギリスのべッセマーが発明したものです。
これはべッセマー法ともいわれ炉の底の穴から、酸素や空気をふきあげる方法です。

しかし、現在、日本においては、LD転炉という炉を使う方法がもっともよく使われています。

これは、耐火性の物質で内張りした炉の中央に管を入れ、この管から酸素を吹き込んで洗練します。
炉は中央を軸にして回転できます。

原料としては、溶鉱炉からとりだされたばかりの銑鉄が、おもに使われます。
銑鉄は溶けたまま転炉の中に入れられ、上から純粋な酸素がおくられます。

すると、銑鉄にふくまれていたマンガンやケイ素などは少量の鉄とともに酸化して燃えはじめ、つぎに炭素が燃えます。

これらが燃える熱によって、炉の中の温度は下がらず銑鉄は溶けたままでいます。
そのため、不純物の燃焼はそのまま続きます。

つまり、転炉では不純物を燃料として利用するわけで、ほかの燃料を必要としません。



こうして、銑鉄中の炭素がほとんど取り除かれてしまったとき炉の上から、フェロマンガンをくわえ、さらに空気をおくります。

フェロマンガンというのはマンガンや炭素を多くふくむ鉄でこれをくわえるのは、2つの目的があります。

その1つは、炭素がほとんど燃焼してなくなってしまっているので適当な炭素分をくわえて、鋼を良質だものにするためです。

もう1つの目的は空気を通したことによって不純物だけでなく鉄分も多少酸化されているので、これにマンガンを作用させ鉄を還元して回収するためです。

こうしてできた鋼は、良質なもので、適当な型にいれて固めます。

電気炉法

特殊鋼をつくったり、さらに良質な鋼をつくる方法に、電気炉法とよばれるものがあります。

電気炉は、ほかの炉にくらべて、とくに高温(2500~2700℃ぐらい)をだせるうえ温度調節がかんたんにできます。

そのほか、できた鋼の不純物が非常に少ないとか操作がわりあいにかんたんである、などの利点があります。

電気炉は、鋼の製造のほか、合金の製造にも使われています。



ガラスの種類・原料・成形とは? ガラスの性質とは? わかりやすく解説!

ガラスの種類

ガラスは非常に種類が多く、また分類のしかたもいろいろありますがふつうはつぎの表のように化学成分によって分類します。


ガラスの原料

ソーダガラスの原料はケイ砂・石灰石・炭酸ナトリウムです。
カリガラスの原料は、このうちの炭酸ナトリウムのかわりに炭酸カリウムを使ったものです。

また、鉛ガラスの原料は、カリガラスの原料のうち、石灰石を酸化鉛にかえたものです。

ケイ砂は、長石質の岩石が風化してできたものですからいろいろな不純物が混じっていますが、おもな成分は二酸化ケイ素です。

二酸化ケイ素は酸性酸化物なので酸性原料といわれます。

炭酸ナトリウムは、塩基性塩なので塩基性原料といわれアンモニアソーダ法で、石灰石と食塩とから大量につくられます。
炭酸カリウムも塩基性原料で、天然の硫酸カリウムから生産されます。

石灰石と酸化鉛は、同じように塩基性原料です。石灰石のおもな成分は炭酸カルシウムです。
また、酸化鉛は、ほとんどが四三酸化鉛で、一部分一酸化鉛がまじっています。

ガラスの製法

まず、原料をまぜますが、このときまぜる原料の割合を決めるのが非常に大切でガラスの品質のよしあしは、このまぜる割合によって決まります。

まぜあわせた原料を、バッチといいますが
ふつうの板ガラスやガラス瓶をつくっている工場ではバッチだけでなく、古いガラスのくずをまぜて使います。

このくずガラスをカレットと卜います。
カレットは、いちどガラスとなっているのですから原料の配合の心配はなく、便利です。

ふつう、カレットをまざる量は、10~30パーセントですが50パーセント以上まぜることもあります。

原料の調合がすんだら、これに熱をくわえて溶かします。
工芸ガラスなどをつくる小さな工場では融解炉の中で、るつぼを使って溶かします。

いっぽう、板ガラスなどを大量につくる工場では耐火レンガでつくった、大きなタンクを使って溶かします。

原料を1300~1500℃ぐらい熱すると熱分解や化合によってカルシウムのケイ素酸塩やナトリウムのケイ酸塩ができ、種ガラスとなります。

るつぼ融解の場合は、溶けたガラスを全部とりだしてから原料を入れますが、タンク融解の場合は、いっぽうの囗から溶けたガラスをとりだしもういっぽうの口から原料を入れて、連続的に作業ができます。

ガラスの成形

種ガラスは、そのままでは使えませんから、成形をします。
ガラス製品は種類が多く、その成形法にもいろいろな方法があります。

人工吹き成形法

むかし、ガラスの成形はすべて、人工によっていました。
いまでも工芸品や理化学器械の一部は、この方法でつくられています。

人工吹き成形法は、左の写真のように長い鉄管を使っておこないます。
この鉄管の先に溶けたガラスをつけ、反対側から息をふきこんでふくらましたり道具を使って、形を整えたりします。

この方法は、技術がむずかしくいちどにたくさんつくれないなどの欠点がありますが細かい細工ができます。

機械成形法

板ガラスやガラス瓶などは、機械を使って大量につくられています。
機械成形法は、つくる物によって、つぎのような方法があります。

① 板ガラス 種ガラスに圧縮空気をふきこんで円筒形にしこれを横に切ってから切りひらく方法がおこなわれていましたが現在では種ガラスから、直接板状のガラスを引きあげる板引法によってつくられています。

② ガラス瓶 種ガラスを機械の中に入れて、圧縮空気の力で型にふきこんで瓶の形にするオーエン式があります。

③ ガラス管 機械に種ガラスを入れ、太いガラス管をつくりこれをローラーの上を引っぱってのばすダンナー式があります。

このとき、引っぱる早さを加減すると、いろいろな太さのガラス管ができます。


ガラス製品の焼きなまし

ガラス製品は、成形のときに急に冷えるために内側と外側の冷え方が違って、ひずみができます。

ひずみができたガラスは、光学ガラスとしては使えませんしふつうの器具としても、もろくて壊れやすくなっています。

それで、製品をいちど500~600℃ぐらいに熱してからゆっくり冷やすと、ひずみがとれます。これを焼きなましといいます。

板引法やオーエン式の成形機械には焼きなましの装置がついていて自動的に成形と焼きなましがおこなわれます。

ガラスの着色

ガラスに色をつけるには、原料にいろいろな金属の酸化物などをくわえます。
青色は酸化コバルト、緑色は酸化クロム、かっ色は鉄と二酸化マンガン、赤色はセレンなどをくわえます。

また、乳白ガラスはホタル石や骨灰などをまぜてふつうのガラスがうすい青緑色をしていることがありますがこれは、原料中に鉄をふくんでいるためです。

ガラスの性質

ガラスは水にわずかに溶けます。
ことに温度が高いときや、水が塩基性のときは溶け方が多くなります。
これにたいして、酸には、わりあい強い性質をもっています。

しかし、酸や塩基にたいする性質は、ガラスの種類によって違います。

また、ガラスは、フッ化水素には強くおかされます。
これは、ガラスの成分である二酸化ケイ素がフッ化水素と上の式のように反応してフッ化ケイ素という気体になるからです。

この性質を利用し、フッ化水素水溶液を使ってガラス器具に、目盛りや模様を書くことができます。



土や岩石の成分とは? 砂と粘土とは? わかりやすく解説!

地球をつくっている物を大気・水・岩石に分けて、重さでくらべてみると岩石がもっとも多く、約93パーセントをしめています。

そして、この岩石のなかには鉄・鉛・銅などの金属が鉱物となってふくまれているほかたくさんの元素がいろいろな化合物をつくってふくまれています。

ここでは、これらの岩石が、どのような成分からできているかまた、私たちの生活にどのように利用されているか、調べてみましょう。


クラーク数

大気と地球の表面から地下16キロメートルまでのいろいろな元素を重さの百分率(パーセント)であらわしたものをクラーク数といいます。

図は、クラーク数を円グラフでしめしたものです。このグラフを見ると、酸素が全体の約半分をしめ残りのうちの約半分をケイ素がしめていることがわかります。

岩石の成分

地球の表面の大部分をしめる岩石の約88パーセントは火成岩です。
このほかのおもな岩石は堆積岩でケツ岩約4パーセントをはじめ砂岩・石灰岩などがあります。

これらの岩石は、クラーク数で第8番目までの元素つまり、酸素・ケイ素・アルミニウム・鉄・カルシウム・ナトリウム・カリウム・マグネシウムがいろいろな形で組みあわさってできています。

造岩鉱物の成分

岩石は、まえのページの表のような化合物が集まってできているのですがこれらの化合物は、岩石にばらばらにふくまれているのではありません。

1つまたは、いくつかの化合物が集まって鉱物をつくり、それが岩石をつくっています。この岩石をつくっている鉱物を、造岩鉱物といいます。

造岩鉱物には、非常にたくさんの種類があり、その成分もさまざまです。

たとえば、石英は、二酸化ケイ素だけでできていますが正長石はもっと複雑で二酸化ケイ素と、酸化アルミニウム・酸化カリウムで塩をつくっています。

ふつう、造岩鉱物は、石英のようなかんたんなものより正長石のような複雑なもののほうが多くその形も二酸化ケイ素のような酸性酸化物と酸化アルミニウム・酸化カリウムのような塩基性酸化物との塩となっている場合がほとんどです。



岩石の風化

岩石は、いろいろな鉱物からできていますが鉱物は、種類によって、膨張のしかたが違います。

そのため、長いあいだ、膨らんだり、縮んだりしているうちに岩石にひびが入ってきます。

このひびのあいだに水が入って、凍ったりするといっそうひびが大きくなって、ついには割れてしまいます。

また鉱物は、水とむすびついて加水分解をおこします。
とくに、水の中に二酸化炭素が溶けていると、いっそう激しい加水分解をおこします。

岩石は、長いあいだに、このようないろいろな変化をうけてばらばらに砕けていきます。これを岩石の風化といいます。

砂の成分

砂は、岩石の風化によってできる、岩石の小さい粒です。
したがって、成分も岩石と同じです。砂の中には、磁鉄鉱・金などをふくれことがあります。

このような磁鉄鉱や金を、それぞれ砂鉄・砂金といいます。

粘土の成分

岩石が風化してできた物で、砂より粒の細かいものが粘土です。
岩石のおもな成分は長石類ですが、この長石が加水分解をうけて風化されるとカオリナイト・二酸化ケイ素・炭酸カリウムになります。

このうち、炭酸カリウムは水に溶けやすいので水に溶けて流れてしまいます。
したがって粘土のおもな成分は、カオリナイトと二酸化ケイ素で不純物として、酸化鉄平石灰分をふくんでいます。

しかし、これらの成分は重さが違うので、川を流れたりすると沈む場所が違って成分がかわってくることがあります。

粘土は、ふくまれている成分によって、つぎのように分けられます。

① 高級粘土 50パーセント以上がカオリナイトで少量の二酸化ケイ素をふくむ(カオリナイト・磁土・耐火粘土・陶土など)

② 低級粘土 カオリナイトを10~70パーセントふくみ、溶けやすい不純物をふくむ。(かわら用粘土・レンガ用粘土など)



水銀の性質と用途とは? わかりやすく解説!

水銀は、天然にはおもに硫化物となって存在しています。
この天然の水銀硫化物を辰砂といいます。

純粋な辰砂は、赤色ですが、ふつうは不純物をふくみ、暗かっ色をおびています。
おもな産地は、イタリア・スペイン・日本・アメリカ合衆国などです。


水銀の製法

水銀をつくるには、まず下の図のような製造装置で加熱室に辰砂を入れ、空気をおくりながた熱しします。
すると辰砂中の硫黄と酸素が結合し、水銀と二酸化硫黄とになります。

このとき、高温のために、水銀も蒸気になって二酸化硫黄とまじりあっているので、これを冷やして分けます。

水銀の性質

水銀は銀白色の金属で、ふつうの温度では液体になっています。
水銀の比重は0℃で13.5955、ふつうの温度で液体になっている物質のなかではもっとも重く、鉄などを入れると浮いてしまいます。

また、水銀は非常に表面張力が強いのでガラスなどの容器に入れても容器を濡らすことがありません。

水銀は、ふつうの温度では酸化しませんが300℃以上に熱すると、赤色の酸化第二水銀を生じさらに、500℃ぐらい熱すると、また酸素を発生します。

また、しめった空気中では、ふつうの温度でも表面に酸化物ができます。

水銀は、塩酸や希硫酸とは反応しませんが、濃硫酸といっしょに熱すると、二酸化イオウを発生して溶けます。

硝酸とは、酸化窒素を発生して反応しますが硝酸がうすいときは硝酸第一水銀が、硝酸が濃いときは硝酸第二水銀ができます。

また、水銀は、イオウやハロゲン族元素とは直接化合してそれぞれ硫化物やハロゲン化物をつくります。


アマルガム

水銀は、鉄・コバルト・タンダステンをのぞくすべての金属を溶かし化合して合金をつくります。
この水銀と他の金属との合金のことを、アマルガムといいます。

水銀がアマルガムをつくる性質は食塩の電気分解や金・銀の製法などに利用されます。
また、銀などのアマルガムは、虫歯の穴をふさぐ材料として使われています。

水銀の用途

水銀は、アマルガムとして使われるほかにも、非常に広い用途があります。
水銀を利用した物で日常生活によく見られるものには温度計・体温計などがあります。

そのほか気圧計・電量計などの計器や、整流器・真空ポンプ・電流断続器などの器具にも利用されています。

また、水銀軟こうとして医薬品にも使われますし水銀ランプ(太陽燈)や蛍光燈にも使われるなど、非常に広く利用されています。



亜鉛の性質と用途とは? わかりやすく解説!

亜鉛の製法

亜鉛は単体として産出することはなく産出することはなく、りょう亜鉛鉱・せん亜鉛鉱・として産出します。

これらが亜鉛の鉱石から金属亜鉛をつくるには、まず空気中で強く熱します。


すると、鉱石がりょう亜鉛鉱ならば、二酸化炭素をせん亜鉛鉱ならば二酸化硫黄を発生して、いずれも酸化亜鉛になります。

つぎにこの酸化亜鉛をコークスとまぜて熱すると酸化亜鉛が還元されて亜鉛ができます。

こうして製造した亜鈷は、ふつう鉛・ヒ素・鉄・カドミウム・炭素などの不純物をごく少量ですが、ふくんでいます。

純粋な亜鉛をつくるには、酸化亜鉛から硫酸亜鉛か塩化亜鉛をつくり、この溶液を電気分解します。

この方法で、99.9パーセントという、非常に純粋な亜鉛ができます。

亜鉛の性質

亜鉛は、青色をおびた白色の金属で、見たところ鉛に非常によく似ています。
鉛よりやや硬く、ふつうの温度ではややもろさをしめしますが100℃ぐらいに熱すると、展性や延性が大きくなるので針金やうすい板にすることができます。

さらに熱して200℃ぐらいにすると、またもろくなります。

このように、温度によって展性や延性がかわるのは亜鉛にふくまれる不純物のだめで、純粋な亜鉛には、みられません。

亜鉛は、ふつうの温度の、かわいた空気中では変化しませんが水分と二酸化炭素をふくむ空気中では、だんだん表面が白くくもってきます。

この白いくもりは亜鉛のさびで、塩基性炭酸亜鉛が主成分です。
このさびは、亜鉛の表面に密にできて、亜鉛の内部を守るはたらきをします。

亜鉛は、酸素中や空気中で熱すると白緑色の光をだして燃え、酸化亜鉛になります。
赤熱した亜鉛は、水を分解して、水素を発生します。

また、塩素などのハロゲン族元素とは、直接化合して塩化亜鉛などのハロゲン化亜鉛になります。



亜鉛は、希塩酸や希硫酸には、水素を発生して溶け、塩化亜鉛や硫酸亜鉛になります。
この反応は非常にたやすくおこるので実験室で水素をつくるときに利用されます。

いっぽう硝酸ともたやすく反応しますがこのときは水素ではなく窒素の化合物を生じます。

亜鉛はアルミニウムと同じように、酸・塩基どちらにも作用します。

たとえば、水酸化ナトリウムと反応して亜鉛酸ナトリウムという塩をつくりますがこの場合も、塩酸や硫酸のときと同じように、水素を発生します。

亜鉛の合金

亜鉛は銅・ニッケルなどと、黄銅・洋銀などの合金をつくります。
また青銅にも少量くわえることがあります。

亜鉛の用途

亜鉛は、黄銅・洋銀などの合金に使われるほか、鉄板にめっきしたトタンとして非常に広い用途があります。

亜鉛そのものは、電池の極として利用されます。
たとえば、懐中電燈などに使われる乾電池は、筒が亜鉛でできていてこの亜鉛の筒が陰極になっています。

また、化学工業では、亜鉛の粉末を還元剤として使っています。



スズや鉛の合金とは? わかりやすく解説!

ハンダ

ハンダは、スズと鉛の合金です。
融点が非常に低く、鉛1スズ2の割合でまぜたものは、182℃でも溶けます。


そこで金属どうしをつけあわせるのに使います。
ハンダのうち、鉛2、スズ1の割合でまぜたものは固まりはじめる温度が250℃固まり終わる温度が182℃で、固まる時間が長くそのあいだは自由に形をかえることができます。

この合金は、とくに水道の鉛管をつなぎあわせるのに使われています。

ハンダには、鉛とスズの割合によって、このほかにもいろいろな種類があります。

活字金

鉛・アンチモン・スズを主成分とする合金でふつう、鉛60~90パーセント、アンチモン10~30パーセントスズ10パーセント以下の割合でまぜます。

活字金は溶けやすく、鋳物になりやすい性質をもっています。
また、わりあいにかたいので、活字をつくるのに利用されます。

溶けやすい合金

スズ・鉛・ビスマス・カドミウム・アンチモンなど融点の低い金属をまぜると、いっそう融点の低い合金ができます。

これらの溶けやすい合金を、易融合金といいます。
たとえば、電気の安全器に使われているヒューズは220℃~320℃ぐらいで溶けますが鉛に、アンチモンとスズを少量まぜた合金です。

また、自動消火栓に使われている合金は、66~71℃ぐらいで溶けます。
消火栓のしくみは、火事になると、熱のためにこの合金が溶けて水が自動的に飛び出すようになっています。

この合金はウッド合金といわれるものでビスマス50パーセント、鉛25パーセント、スズ13パーセントカドミウム12パーセントからできています。



鉛の性質と用途とは? わかりやすく解説!

鉛の製法

鉛の鉱石には、方鉛鉱や、白鉛鉱・硫酸鉛鉱などがありますがふつう鉛の製造には方鉛鉱が使われます。


方鉛鉱を、空気中で500~600℃ぐらいに焼くとその一部が左の式①・②のように変化して酸化鉛や硫酸鉛になります。

つぎに、空気を通さないで強く熱すると酸化鉛や硫酸鉛が変化しないで残っていた方鉛鉱に③・④式のように反応して、鉛ができます。

こうしてできた鉛は、まだ不純物をたくさんふくんでいますのでつぎのように精製します。

不純物のなかで、ヒ素・アンチモン・亜鉛などは鉛より酸化されやすいので空気中で600~1000℃ぐらいに数時間熱すると、酸化物となって取り除かれます。

また、いろいろなナトリウム塩とまぜて溶かすと不純物はナトリウムと化合して取り除かれます。

また、もっと純粋な鉛が必要なときには電気分解によって精製します。


鉛の性質

鉛は、青白色のつやのある重い金属で、非常に柔らかく、ナイフで切ることができます。
しかしアンチモンやヒ素などの不純物がまじると、硬くなります。

鉛は空気中におくと、すぐくもってきます。
このくもりは鉛のさびで、このさびが表面にできると、内部を保護します。

また、鉛を熱すると段々赤色になります。
これは鉛が酸化されて一酸化鉛・四三酸化鉛などの酸化鉛ができるからです。

鉛は、塩素や硫黄などとは、高温のもとに反応してそれぞれ、塩化鉛・硫化鉛をつくります。
また、うすい酸には溶けませんが、硝酸や濃硫酸には溶けます。

たとえば、硫酸とは二酸化硫黄を発生して硫酸鉛になります。
硝酸との反応は複雑ですが、おもな反応は、②式のようなものです。
しかし、濃硝酸には溶けません。

これは、鉛の表面に硝酸鉛ができて、これが濃硝酸には溶けにくく内部を保護するようになるからです。

鉛の用途

鉛は、スズ・アンチモン・ビスマスなどと、いろいろな合金をつくるので合金として非常に広い用途があります。

鉛そのものも、広く使われています。
たとえば、鉛は空気や水には、おかされにくいし、柔らかくて曲げやすいので水道管やガス管に利用されます。

また、放射線を通しにくい性質があるので放射線遮閉材料としても使用されます。
化学薬品をいろいろ取り扱う、実験室の流しにも鉛板をはっておくと、おかされることがありません。

そのほか、鉛蓄電池の製造にも使われています。



スズの性質と用途とは? わかりやすく解説!

スズの製法

スズは、天然には単体として産出することは少なく、ほとんどスズ石として産出します。

スズ石の主成分は酸化第ニスズですが
このほかに、酸化鉄やヒ素・硫黄などの不純物をふくんでいます。
スズをとりだすには、このスズ石を鉱石として使います。


まず、スズ石を焼いて、ヒ素や硫黄などを揮発させて取り除きます。
つぎに、炉に入れて、無煙炭とともに熱すると酸化第ニスズが炭素によって還元され、スズになります。

こうしてとりだしたスズはまだ、銅・鉄などの不純物をふくんでいるので
電気分解したり、加熱したりして精製します。

スズは、融点が低いので、熱して溶かすと融点の高い不純物を取り除くことができます。

また揮発しにくいので、真空中で1000℃ぐらいに熱すると鉛・亜鉛など、揮発しやすい不純物も取り去ることができます。

スズの性質

スズは、銀白色のつやをもつ、柔らかい展性の大きい金属です。
また融点が低く100℃ぐらいに熱すするだけで、細く引きのばすことができます。

スズは、湿り気のある空気中では、少しくもりますが乾いた空気中では、非常に安定です。

しかし、高温では、空気中の酸素に酸化されて酸化第ニスズになります。

また、塩素・ヨウ素などのハロゲン族といわれる元素とは化合しやすく塩化第ニスズやヨウ化第二スズなどのハロゲン化第ニスズになります。

硫黄とも反応しやすく、硫化第一スズとなります。
酸にはよく溶け、温かい塩酸には水素を発生して溶け塩化第一スズになり硫酸には、二酸化硫黄を発生して溶け、硫酸第ニスズになります。

硝酸との反応は、希硝酸とは硝酸第一スズをつくり、濃硝酸とはスズ酸をつくります。

スズの用途

スズは、鉄・鉛・銅・アンチモンなどといろいろな合金をつくりますので合金として、非常に広い用途があります。

スズそのものは、いろいろな器具にそのまま利用されるほか展性が大きいことを利用して、スズ箔にし、湿気を防ぐために煙草やチョコレートのつつみ紙に使います。

しかし、値段が高くつくので、最近では、アルミ箔が使われることが多くなりました。
スズのもっとも重要な用途は鉄板にめっきして、ブリキとすることにあります。

ブリキは、ブリキ缶、とくに缶詰用の缶の材料として重要です。

また、いろいろなおもちゃや器具の材料としても使われ
私たちの日常生活で広く見られるものです。



アルミニウム合金と軽合金とは? わかりやすく解説!

アルミニウムやマグネシウムなどの金属の合金をはじめ比重が2.5~3.5ぐらいの合金を軽合金といいます。

ここでは、アルミニウムの合金やそのほかの軽合金についてその性質や用途を調べてみましょう。

アルミ金

アルミニウムと銅の合金で、銅に5~12パーセントのアルミニウムをふくむ合金です。
アルミ金は黄色のつやがあり、金の色によく似ています。

おかされにくく、粘り強いのでスプリング・ねじ・機械部品として使われます。
また、海水につけておいても、あまり変化しないので海水中で使用する器具、たとえば船のスクリューの軸などに利用されています。

ジュラルミン

アルミニウムと銅マンガン・マグネシウムなどの合金で銅・マンガン・マグネシウムを、おのおの0.5~1.0パーセントずつふくんでいます。

比重は2.85で非常に軽く、焼き入れをするとかたさと強さが非常に大きくなります。

ジュラルミンの焼き入れは、500℃ぐらいに熱し水中で急に冷やしておこないます。
これを、室温で数日間ほうっておくと、さらに硬さがまします。

ジュラルミンは、板や棒にして飛行機や自動車に使われています。

エレクトロン

マグネシウムとアルミニウム・亜鉛マンガンなどの合金でアルミニウム0.5パーセント、亜鉛0.3パーセント、マンガン1パーセントぐらいをふくみます。

エレクトロンは、ジュラルミンなどのアルミニウム合金よりも軽く、比重は1.8です。
また、非常に強いので飛行機・自動車に使われるほかいろいろな精密器械類の製作にも使われています。

マグネシウムを主成分とする比重のごく小さい合金の全体をエレクトロンということもあります。



アルミニウムの性質と用途とは? わかりやすく解説!

アルミニウムの性質

アルミニウムは銀白色のつやのある、軽くてやわらかい金属です。
また、電気平熱をよくみちびき、展性・延性にとんでいます。

また、アルミニウムは、塩酸に溶けて水素を発生し、塩化アルミニウムになります。
塩基にも溶ける性質があり、たとえば水酸化ナトリウムなどには水素を発生して溶け、アルミン酸ナトリウムとなります。

このことは、アルミニウムが
金属と非金属の両方の性質をもっていることをしめしています。

アルミニウムが塩酸と反応する場合は陽イオンとなって溶けています。
つまり金属の性質をしめしているわけです。

ところが、水酸化ナトリウムのような塩基と反応する場合はナトリウムと結合したアルミン酸ナトリウムがえられます。

つまり、非金属の性質をあらわしています。
このように、酸や塩基との反応で金属と非金属の性質をもっている元素がいくつかあります。

アルミニウムは、希硫酸には水素を発生して溶けますが濃硫酸には、二酸化硫黄を発生して溶けます。
しかし、濃硝酸には溶けません。

これはアルミニウムを濃硝酸につけると表面が酸化されて酸化アルミニウムとなり、内部を保護するため溶けなくなるのです。


アルミニウムのさび

アルミニウムは長いあいだ空気中にほうっておいても表面が少しくもるだけで、鉄のようなひどいさび方をしません。

このくもりは、アルミニウムのさびにあたる酸化アルミニウムで透き通ったうすいまくになっています。

アルミニウムがあまりさびないのは、この酸化アルミニウムがアルミニウムの表面をおおって、内部を保護しているからです。

アルマイト

アルミニウムの表面に、酸化アルミニウムのうすいまくをつくり酸や塩基におかされにくいように加工した物を、アルマイトといいます。

硫酸やシュウ酸などのうすい溶液の中でアルミニウムの板を陽極として電気器具などをつくるのに使われます。

また、いろいろな合金をつくり、飛行機や電車などに使われたり機械類に利用されたりしています。

また、展性や延性にとむので、アルミ線やアルミ箔としても利用されます。
たとえば、写真のフラッシュランプの中にはアルミ線が封じこまれていますしチョコレートや煙草のつつみ紙には、アルミ箔が使われています。



アルミニウムの取り出し方とは? わかりやすく解説!

アルミニウムの鉱石

アルミニウムは、岩石や土の成分として地球上に広く存在しています。
地表から深さ約16キロメートルまでにある物質のうち約7.5パーセントはアルミニウムですが、単体として存在することはなくほとんど化合物になっています。


たとえば、造岩鉱物のうち正長石はアルミニウム・カリウム・ケイ素・酸素の化合物ですし斜長石は、正長石中のカリウムがナトリウムと入れかわった成分をもっています。

このほか、陶土や粘土もケイ酸アルミニウムというアルミニウムの化合物でできています。

このように、化合物として地球上のいたるところで見られるものですがアルミニウムの鉱石の種類は、非常に少なくふつう利用されているのは酸化アルミニウムを主成分とするボーキサイトです。

アルミニウムの製法

アルミニウムが大量に生産され、利用されるようになったのは銅や鉄にくらべるとずっと遅く19世紀末からのことです。

それは、アルミニウムは、酸素と化合する性質が非常に強く、還元されにくいためです。つまり、鉄や銅などの重金属にくらべると、イオン化傾向が大きいのです。

そのために、アルミニウムの場合には、酸化物を炭素とまぜて熱しただけでは銅や鉄のように、金属だけが単体となって分かれにくいのです。

アルミニウムの製造には、アメリカのホールとフランスのエルーが、1886年にそれぞれ別々に発明した、つぎの方法が使われています。

まず、ボーキサイトから純粋な酸化アルミニウム(アルミナ)をつくります。
酸化アルミニウムは、それだけでは融解しにくいのですが氷晶石とともに高温にすると、溶けやすくなる性質をもっています。



つぎに、この溶けた酸化アルミニウムを電気分解して、アルミニウムをつくります。

酸化アルミニウムの電気分解には、右の図のような電解槽を使います。
電解槽の内側には、炭素がはってあって、この炭素が陰極になっています。

陽極には、別の炭素棒を使います。

また、電解槽は、電気炉にもなっていて、これに氷晶石を入れ電流を通すと氷晶石が電気の抵抗体となって、そのためにでる電熱で溶けます。

これに酸化アルミニウムをくわえると、溶けて電気分解をうけ陰極に溶けたアルミニウムがたまります。

陽極には酸素が発生しますが、これはただちに陽極になっている炭素と化合して一酸化炭素にかわります。

陽極の炭素棒は、このように酸素と化合するため、だんだん減っていきます。

それで、陽極を補充して電解をつづけなければなりません。



銀と写真の関係とは? 写真の仕組み・歴史とは? わかりやすく解説!

写真

写真は、1839年に、フランスの画家ダゲールによって発明されたものです。
日本には、1841年に伝わってきたといわれます。

写真は、光にたいして敏感な反応をしめすハ口ゲン化銀をぬったフィルムにレンズを通して景色や人物の像をむすばせその像の光の強さのとおりにハロゲン化銀を変化させたものです。

このうつしとったフィルムを現像するとネガ(陰画)ができこのネガから、印画紙にポジ(陽画)として焼き付けます。

フィルム

銀の化合物のうち、塩化銀・臭化銀などのハロゲン化銀には光によって変化する性質があります。
たとえば、臭化銀に光をあてると銀と臭素とに分解します。

ハロゲン化銀のなかでも、臭化銀がもっともよく光を感じるのでこれを利用してフィルムをつくります。

まず、臭化カリウムと硝酸銀とを反応させ、ゼラチンの中で臭化銀の沈殿をつくります。
これをウォーターバスで温めると、沈殿した臭化銀の結晶が大きくなります。

こうしてできた乳剤を、いちど冷やして固め、細い穴から押し出しきれいに水洗いして、不純物をとりさります。

洗った乳剤は、もういちど温めセルロイドや合成樹脂のフィルムベースの上に流して、フィルムをつくります。

このとき、乳剤の粒子の大きさが大きいと感光しやすいSSSやSSのフィルムができ粒子が小さいと、感光しにくいSやFのフィルムができます。

露光

写真をうつすときにはまずフィルムを写真機に入れ日光や電燈の光のもとでシャッターをあけ、うつしたい物をうつします。

このときレンズから光線がはいり.フィルムに感光します。

これを露光といいます。

写真を正しくとりたいときには、この露光を正確にしなければなりません。
(とくに、天然色写真の場合は、露光がほんの少し多かったり少なかったりしただけでも、暗くなりすぎたり明るくなりすぎたりします)

レンズから入った光線はフィルムに感光し、その感光した部分の臭化銀は分解して臭素と銀とになります。
しかし、このような変化は目で見ることはできません。
それでこれを、せん像といいます。

せん像は、細かい銀の粒子からできています。
つまりフィルム上の臭化銀が、部分的に銀の粒子にかわってせん像をつくっているのです。


現像

光に感光してできたフィルム上のせん像を還元剤を使って目に見える黒白の像に変化させることを現像といいます。
このとき還元剤としては、メトールやハイドロキノンなどの化合物が使われます。
これらの溶液を、現像液といいます。

感光したフィルムを現像液につけると還元剤によって臭化銀が還元され、銀になります。

このとき、フィルムの感光した部分は、すでに銀の粒子ができているので感光していない部分よりも、早く還元されます。

そして、還元された部分は、黒くなってきます。
そこで、感光していない部分の臭化銀があまり還元されないうちに、フィルムを現像液から引きあげます。

現像するときの現像液の温度は使用する現像液によって多少の違いはありますが、ふつうは15~20℃ぐらいが、もっともよいとされています。
また、現像する時間にも気をつけてつけすぎたり早くあげすぎたりすることがないようにしなければなりません。

定着液

現像したフィルムの表面は、還元されてできた銀粒子と還元されないで残った臭化銀粒子とからできています。

そこで、この臭化銀の粒子を取り除かなければなりません。
この作業を、定着といいます。

定着液としては、チオ硫酸ナトリウムの溶液を使います。
現像液からひきあげたフィルムを、この定着液の中につけると定着液中のチオ硫酸イオンが、フィルムに残っている臭化銀と反応して溶かしこんでしまいます。

定着ができたら、充分に水で洗ってから、乾かします。

こうしてできあがったフィルムの像は、明暗が実物と逆になっています。
つまり、実物(写真をとられる物。これを被写体といいます)の明るいところは
黒っぽくなり実物の暗いところは白っぽくなっているので陰画またはネガとよばれます。

印画紙と焼き付け

ネガが完成したら、これを印画紙に焼き付けます。
印画紙は、フィルムの場合と同じようにしてつくった臭化銀などの感光剤を、紙にぬったものです。

この印画祇に、フィルムを通した光をあてるとフィルムに感光したのと同じように印画紙が感光します。

感光した印画紙を、フィルムとまったく同じようにして現像・定着・水洗いをするとこんどは、実物と明暗が同じになった像ができます。

これが私たちの見る写真ですが、陰画にたいして、陽画、またはポジとよばれます。

印画紙に焼き付けるとき、適当な引きのばし機を使うと好きな大きさに拡大することができます。



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