消化器の衛生とは? 消化器の病気とは? わかりやすく解説!

消化器は、私たちが成長していくとき毎日をおくっていくときに必要な栄養素を取り入れる大切な器官です。

ですから、消化器を大事にすることが健康を守るために、ぜひ必要なこととなります。

ごはんを食べる前には、必ず手を洗いましょう。伝染病や寄生虫病をふせぐには、大切なことです。

胃や腸での消化を助けるためには、食べ物をよく噛むことです。

食事は正しい姿勢で、ゆっくりと、楽しくとるようにしましょう。
これは、胃液の分泌と胃腸の運動をさかんにし、消化をよくします。

食べ過ぎ・飲みすぎ・寝冷えなどは胃や腸を傷め、いろいろな病気のもとになります。


寄生虫

消化器は、いろいろな寄生虫におかされることが多いのです。

寄生虫には、カイチュウ・ベンチュウ・ギョウチュウ・コウチュウ(ジュウニシチョウチョウ)などがあり消化器以外の寄生虫には、ニホンジュウケツキュウチュウ・ハイキュウチュウ(ハイジストマ)など、いろいろな種類があります。

寄生虫は、いろいろな害を人体にあたえ、ときには重い病気の原因になったり、人の命をとることさえあります。

しかし、ふつうは寄生虫が体の中にいることを知らないでいることが多いのです。

ですから、ときどき寄生虫を駆除することが必要です。
また、ふつうの寄生虫は、たまごが口から入ることが多いので寄生虫のたまごがついている食品に気をつけ、野菜はよく洗って食べるようにします。

口内炎

口の中の粘膜が赤くはれ、舌もざらざらしてきます。ぴりぴり痛むため、食べ物が食べられなくなります。

また口の中が臭くなってきます。
そのために食欲がなくなったり、高い熱がでたりします。

この病気は、口の中を汚くしておくと起こりやすく主にビールスや刺激の強い食べ物によって起こります。

胃カタル

胸やけがして、すっぱい汁が口の中まで逆もどりしたり、胃が傷んだりします。
この病気から、胃潰瘍や胃がんになることがあります。

ことに、甘いものを食べ過ぎるのはよくありません。

胃潰瘍

胃の壁の粘膜がただれて、傷のできる病気です。
病状が重くなると、胃の筋肉が破れて、腹膜にまで穴があくことがあります。

みぞおちが痛み、出血して、大便に血が混じることもあります。
食事に関係しておこる病気といわれています。

胃がん

胃に、がんができる病気です。
がんというのは、体の一部分にできる、とくにたちの悪いはれもののことをいいます。

がんの中でも、胃にできるものがいちばん多いのです。
胃がんができる原因は、まだはっきりわかっていません。

がんが大きくなって、胃の出口を塞いだり胃だけではなくリンパ節や、肝臓などにうつることもあります。

レントゲンで調べると、がんのあるところは胃の形が変化して見えます。
さらに、詳しく調べるときは、胃の中に胃カメラを入れて中の様子を見ることもできます。



十二指腸潰瘍

胃潰瘍と同じ症状が十二指腸に起こる病気です。
十二指腸の胃に近いところによく起こります。
若い男性がよくこの病気にかかります。

お腹が空いたときに、お腹の右上の部分が痛むことが多く出血して血を吐いたり、大使に血が混じったりします。

腹膜炎をいっしょに起こすことがあり治療には手術をして、潰瘍の部分を取り除きます。

黄疸

肝臓が悪くなると、たいてい黄疸になります。

これは、胆液が、いろいろな原因で、血管やリンパ管に入りそのために、体中の皮膚が黄色になる病気です。たいてい、肝臓がはれます。

脱腸

腹部の壁に非常に弱い場所があってそこから腸などの腹部の内臓が皮下に飛出してくる病気です。

ヘルニアともいわれます。

よく見られるものは、太もものつけ根の近くで腸が飛び出す鼠径ヘルニアで
赤ちゃんや老人がよくかかります。

そのままにしておくと、飛出した部分が腐り(壊死)危険なことがあります。早く手術をして治療することが必要です。

虫垂炎

ふつうには、盲腸炎といわれていますが、虫垂炎というのが正しい呼び方です。

盲腸の部分にある虫垂に起こる炎症で、急にお腹が痛みだして熱がでます。吐き気をもよおすこともあります。

原因は、はっきりわかっていませんが、腸の中の細菌によって感染し炎症を起こすともいわれています。

家族がつぎつぎと虫垂炎になることもあります。
ほうっておくと、虫垂が化膿しさらに、虫垂が破れたりすると腹膜炎をお越し非常に危険なことがありますから早く医者に診せて治療しなければなりません。

よく、スイカの種を飲み込むと虫垂炎になるといいますがそんなことは、ほとんどありません。




小腸・大腸のはたらきとは? わかりやすく解説!

小腸のはたらき

小腸は、消化吸収には、たいへん大切なところです。
長さは6メートルくらいで、身長の4倍くらいある長い管です。
管の直径は、3~6センチあります。

小腸は、十二指腸・空腸・回腸とよばれる3つの部分に分けられます。

十二指腸という名は、その長さが指を12本並べたくらいであることから、つけられたのです。

小腸には、胆液のほかに、すい液・腸液が流れでて食べ物の消化をします。
また小腸は、うごめき運動・分節運動をおこない、食べ物の消化を助けたり食べ物を大腸におくったりします。

こうして消化された食べ物は、ほとんど小腸の壁から吸収されますが消化されなかったものは、大腸へおくられます。


腸液

腸液は、腸腺から分泌されます。
この腸液によって、炭水化物・脂肪・たんぱく質は腸の壁から吸収できるまでに、消化されます。

腸液にふくまれている酵素は、いろいろあります。
アミラーゼやリパーゼもふくまれていますが大切なのは、エレプシンやマルターゼ・ラクターゼ・インベルクーゼなどです。

エレプシンは、胃液やすい液で、途中まで消化されたたんぱく質にはたらきアミノ酸にまで消化します。

マルターゼは、小腸でいちばん強い酵素で麦芽糖を消化して、ぶどう糖にかえます。

ラクターゼは、乳をのむ赤ちゃんに大切な酵素です。乳糖を消化して、ぶどう糖をつくります。

小腸の動き

小腸は、うごめき運動と分節運動をおこない、消化をすすめます。

食べ物は、小腸のうごめき運動で少し先へすすむとしばらく止まり、分節運動が起こります。

分節運動とは、つぎのような運動です。
小腸が5センチほどの間をおいてくびれ、たくさんの節にわかれます。

このくびれは、小腸を輪のように取り巻く筋肉が縮むためにできるのです。

5、6秒経つと、縮んでいた筋肉が緩み、緩んでいた間の部分の筋肉が縮みます。こうして、新しい節ができます。

このような運動が、1分間に10回ぐらいの速さで30分あまりも繰り返されます。
この間に食べ物は消化液とよく混ざり消化がよくなるばかりでなく、吸収もよくなります。

こうして、つぎのうごめき運動が起こり、食べ物は少し先へすすみます。

小腸で行われる吸収

口から胃へ胃から小腸へと運ばれる間にだんだん消化された食べ物は、小腸の壁から吸収されます。

小腸の内側には、1ミリぐらい飛出したじゅう毛が、数えきれないほどあります。

その様子は、ちょうどビロードのように見えます。
これを平らに伸ばすと、その面積は、10平方メートルにもなります。

消化によってできたアミノ酸・ぶどう糖・脂肪酸・グリセリン・灰分・水分などの栄養素は、じゅう毛の表面から吸収されます。

じゅう毛の表面積が非常に大きいことが、栄養素の吸収を促すことに役立っているのです。



大腸のはたらき

大腸は、小腸より太く、長さは1.5メートルあまりあります。
大腸は、盲腸・結腸・直腸の3つの部分に分けられ、肛門で外に開いています。

盲腸

回腸を通った食べ物は、少しずつ、盲腸に運ばれてきます。
人間の盲腸はたいへん短く、食べ物は、そのまま結腸におくられます。

盲腸には、虫垂というミミズのようなものがぶら下がっています。
長さは6~8センチ、直径は6ミリほどです。

結腸と直腸

盲腸に続いて、結腸があります。盲腸を除けば、結腸と直腸が大腸の大部分です。

大腸の壁には、余計に吸収したカルシウム・マグネシウム・鉄などを排出するはたらきがあります。

それらの排出される量は、尿よりも多いのです。
結腸は、うごめき運動をおこない、食べ物の残りかすを直腸へおくりこみます。
直腸の周りには、血管がたくさん集まっていて、水分がさかんに吸収されます。

こうして吸収された残りかすが、ちょうどよい硬さになります。これが大便です。

また、おならが出ることがあります。
これは、腸の中に住んでいる細菌(主に、大腸菌)が食べ物を腐らせたり、発酵させたりするときに出るガスです。

おならは、このガスがひとまとめに出たものですがいつも私たちが気づかないうちに、少しずつ肛門から出ているのです。

大便

大便は、食べ物のうち、消化吸収されなかったかす腸の中で繁殖した細菌(大部分は死んでいます)、余ったカルシウムや鉄が排出されたものなどの集まったものです。

大便の量は、取り入れた食べ物の量によって違います。
また、直腸での水分の吸収されかたによっても違います。

しかし、だいたい、大人で1日100~300グラム排出されます。

大便は、こげ茶色か緑色に近い色をしています。
これは主に、胆汁色素によるものです。




肝臓とすい臓のはたらきとは? 胆液・すい液とは? わかりやすく解説!

食べ物の栄養素は、ほとんど小腸で消化されて、吸収されます。
大腸は、小腸に続く管で、消化の残りものから水分を吸収します。

胃からおくられた食べ物は、小腸のはじめの部分にある、十二指腸に入ります。

十二指腸には、肝臓からと、すい臓からの管が開いていてそれぞれ、たん液とすい液がだされます。


肝臓のはたらき

肝臓は、内臓の中で、いちばん大きいものです。
その重さは、おとなで1300~1500グラムもあります。
肝臓は、お腹の上部の右よりにあって、横隔膜のすぐ下にあります。

肝臓は大きいだけに、いろいろと、たくさんのはたらきをします。
たん液をつくって、消化を助けること、吸収した栄養をたくわえること毒のあるものが入ってきたときには、その毒を消すことなどです。

胆液

胆液は、肝臓でつくられ、胆のうにためられています。
ここから総胆管を通って十二指腸におくられるのです。

たん液には、いろいろなものがふくまれていますが、主なものは胆汁酸と胆汁色素です。

酵素はふくんでいません。ですから、胆液は消化液ではありません。

しかし、胆液は、食べ物の消化や吸収を助けます。
胆汁酸は、脂肪を、とても小さな粒に分けるはたらきがあります。
このために、胃液や腸液のリパーゼが、脂肪にたいへんはたらきやすくなります。

また、胆液は、腸の壁が、脂肪の消化された食べ物を吸収するはたらきを強めます。

栄養分をためるはたらき

腸から吸収された栄養分のうち、ぶどう糖やアミノ酸などは、肝臓に運ばれさらに血液で、体中に配られます。

余ったぶどう糖は、グリコーゲンとなって肝臓にたくわえられます。
ぶどう糖が足りなくなると、このグリコーゲンが再び糖にかわり、血液に溶けて運ばれます。

このため、血液の中には、いつも同じ量のぶどう糖がふくまれています。

毒を消すはたらき

食べ物のたんぱく質は、酵素のはたらきで壊されていくときアミンという毒になるものができます。

肝臓は、このアミンをあまり毒にならない尿素や、尿酸というものにつくりかえます。
これらは、尿にふくまれて、体の外へ捨てられます。

そのほか、いろいろな毒になるものが、体に入ってきた場合毒を消してしまうのは、肝臓の役目です。



すい臓のはたらき

すい臓は、十二指腸に囲まれて、胃の後ろにあり、すい液をつくっています。

また、すい臓では、インシュリンというホルモンがつくられます。

すい液

すい液は、すい臓から管を通って、十二指腸に流れこみます。
すい液にふくまれている酵素は、トリプシン・すいアミラーゼ・すいリパーゼなどです。

これらは、たんぱく質・炭水化物・脂肪を消化します。

トリプシンは、たんぱく質やペプトンをアミノ酸にまで消化します。
すいアミラーゼは、でんぷんや麦芽糖を、ぶどう糖にまで消化します。

すいリパーゼは、ステアプシンともよばれます。
胆液によって、細かな粒に分かれた脂肪はすいリパーゼのはたらきを受け、脂肪酸とグリセリンになります。




食道と胃のはたらきとは? わかりやすく解説!

食道のはたらき

食べ物を飲み込むとき、のどから鼻に通じるところや喉頭の入口は、その壁の筋肉のはたらきで塞がれて食べ物は、間違いなく食道に入っていきます。

食道は、気管と大動脈にそっていて、その下のはしが少し左に曲がり、胃の噴門に続いています。

食道の長さは、大人で25センチほどあります。


食道の動き

食べ物が、食道を通って胃のほうに送られる様子はくつ下にボールを入れて、ゆっくり、しごきおろすときと似ています。

食道の壁を、輪のように取り囲んでいる筋肉が上から順々に縮んだり緩んだりして、その運動が下のほうへ進みます。

この運動が、波のように食道を通って胃の噴門まで伝わり中の食べ物は胃までしごきおくられるのです。

このような運動を、うごめき運動(ぜん動運動)といいます。

胃のはたらき

胃は、腹の上部の少し左よりに、ななめに横たわっています。
消化器の中で、いちばん大きくふくらんだところで大人では1.5~2リットルぐらいの食べ物が入ります。

食道からの入口を噴門とよび、十二指腸への出口を、ゆう門とよびます。

胃では、うごめき運動と胃液とで、消化がおこなわれます。
吸収のはたらきは弱く水とアルコールが、わずかに吸収される程度です。

胃のしくみ

胃の外側は、丈夫な筋肉が、何層も重なっていて伸びたり縮んだりして、胃の運動を起こさせ、食べ物を混ぜるはたらきがあります。

胃の内側は、粘膜からできていて、大きなひだが、縦にたくさん並んでいます。
胃液を出す胃液腺は、この粘膜にあります。

噴門は、いつもは閉じていますが食べ物が、食道からおくられてくると、これが緩んで胃の中に流れこみます。



胃液のはたらき

胃液は、ペプシン・ラブ酵素・胃リパーゼの3種類の酵素と弱い塩酸とをふくんでいます。

胃液は、食べ物が胃の中に入ったときのほか、食べ物を見たり
においをかいだり、味見をしたりしただけでも、さかんにでてきます。

胃液の中にふくまれている塩酸には、つぎのような役目があります。

①ペプシンのはたらきを強める。
②たんぱく質をふくらませ、酵素がはたらきやすいようにする。
③食べ物といっしょに入ってきた最近を殺して
伝染病にかからないように、また、胃の中の食べ物が腐らないようにする。

ペプシンは、たんぱく質を途中まで消化しペプトンとよばれるものなどをつくります。
ラブ酵素は、乳の中のたんぱく質(カゼインといわれる)を固まらせるはたらきがあります。

胃リパーゼは食べ物の中にある脂肪をグリセリンと、脂肪酸というものに消化します。

しかし、脂肪の消化は、胃ではあまりよくおこなわれません。

胃のうごき

胃に食べ物が入ってくると、胃液が出てきます。
それといっしょに、噴門からゆう門へと、うごめき運動が起こります。

胃の前半部では、中の食べ物を押し付けるくらいでごく弱く、ゆう門に近づくにつれて強くなります。

うごめき運動で押し進められた食べ物は、ゆう門が閉じているとまた送り替えされて、同じ運動が繰り返されます。

こうしたうごめき運動が続く間、食べ物はよくこねられ胃液とよく混ぜ合わされ、どろどろしたのりのようなものになります。

胃に入った食べ物は、こうして、しばらく胃の中にたまっています。
その時間は、食べ物の種類や、有様によって長がったり短かったりしますが、だいたい1~5時間ぐらいです。

ごはんのような固まったものはおかゆのようなどろどろしたものより、長くたまっています。

また、脂肪・炭水化物・たんぱく質の3つを調べると脂肪がいちばん長く、つぎがたんぱく質で、いちばん短いのは炭水化物です。

最後に、ゆう門の近くで、食べ物がどろどろしたのりのようなものになるとゆう門の周りを取り巻く筋肉が、ときどき緩んで少しずつ十二指腸のほうへ流れだします。




つばきのはたらきとは? 舌のはたらきとは? わかりやすく解説!

つばきのはたらき

食べ物は、歯で噛み砕かれている間に、つばきと混じります。
つばきは、だ液腺から出される消化液のことで、だ液ともいわれます。

だ液は、プチアリンという酵素をふくんでいて、食べ物を消化するはたらきがあります。
またそのほかに、食べ物を潤して、やわらかくしたり滑りをよくしたりして、飲み込みやすくするはたらきもあります。

食べ物の味が感じられるのも、だ液のおかげです。


だ液腺

大きなだ液腺には、耳下腺・舌下腺・顎下腺の3つがあります。
だ液は、この3つの腺から出されて、混じりあったものです。

だ液は、私たちが食べ物をとると出てきます。
しかしその量は、そのときによって、多かったり、少なかったりします。

また、粘液・酵素・水分の割合もそのときによって違います。

たとえば、おいしい食べ物を食べると酵素や粘液の多いた液が出て消化がさかんに行われます。

嫌なもの、ことに、砂などを口にいれた場合には、だ液は出てきません。

だ液の酵素

だ液の中にふくまれているプチアリンは、でんぷんを消化するはたらきがあり
その一部は、麦芽糖にまで分解されます。

ごはんをよく噛んでいるうちに、だんだん甘くなってくるのはでんぷんからできた、麦芽糖の甘味のためです。

このプチアリンのはたらきは、口の中だけでなく食べ物が胃の中に入ってもしばらく続きます。

実験

でんぷんが溶けている水に、ヨウ素をくわえると、青色にかわります。
でんぷんがふくまれていなければ、色はかわりません。

このことから、だ液が、でんぷんを消化するはたらきをみてみましょう。

でんぷんを水で溶かし、熱してのりをつくります。
これを5立方センチずつ、A・B2本の試験管に分けて入れます。
Aには、だ液を少しくわえて、Bには、だ液と同じ量のぬるま湯をくわえます。

2つの試験管を、摂氏37度~40度の湯の中につけておきます。
しばらくしてから取り出し、両方にヨウ素をたらしてみます。

だ液をくわえたAのほうは、うす茶色か無色ですがだ液をくわえないBのほうは、青色になります。

舌のはたらき

舌は、横紋筋からできていて、自分の思い通りに動かすことができます。

舌は、食べ物を噛むとき、ほおとはたらきあって噛んでいる食べ物を、歯から逃げないようにしたりつばきとよく混ぜたりする役目をしています。

よく噛まれた食べ物を、飲み込みやすいようにまるめてのどに送り込むのも舌のはたらきです。

また、言葉を出すときにも、大切な役目をしています。

そのほか、舌には、食べ物の味を感じるはたらきがあります。




歯の衛生とは? 虫歯・歯槽膿漏とは? わかりやすく解説!

歯が悪いと、食べ物をよく噛まずに飲み込むため胃や超を悪くし消化不良を起こしがちです。
そのため栄養がよくとれなくて、いろいろな病気にかかりやすくなります。

奥歯が抜けたりすれば、前歯で食べ物を噛むため下あごがつきだし、顔を醜くすることがあります。

歯を丈夫にするには、なによりも口の中をきれいにし、歯をみがくことが大切です。
汚くしておくと、歯を痛めるばかりでなく吐く息がくさくなり、周りの人に、よい気持をあたえないことになります。

歯の栄養をよくすることも大切なことです。カルシウムは、歯の成分となる大切なものです。

また、ビタミンA・ビタミンC・ビタミンDなどが足りなくならないように
気をつけなければなりません。


虫歯

虫歯になるのは、歯を汚くしているためだといってよいでしょう。

食べ物は、歯溝や歯と歯の隙間に残ることがあります。
このようなところに残った食べ物はその中にふくまれている炭水化物が発酵して、乳酸ができます。

エナメル質は、乳酸に溶けやすく、おかされて穴があきます。
この穴か、象牙質まですすむと、穴は、どんどん大きくなっていきます。
そして、冷たいものや熱いものに触れると、染みるようになります。

このころになると、細菌がはたらいて、歯髄がはれ、たいへん痛みます。
これをほうっておくと、歯髄が死んで、しばらく痛みが止まります。

しかし、その間に、歯根までおかされています。

乳歯は、やがて永久歯にはえかわるからといって虫歯になった乳歯をほうっておいてはいけません。

あとからはえかおる永久歯の歯並びが悪くなったり永久歯の発育が悪くなったりするからです。

虫歯を防ぐには、歯をきれいにすることが大切です。
ごはんのあとに3分間程度、1日3回歯をみがき、口の中をきれいにすることです。

近頃、フッ素が、虫歯をふせぐのに役立つことがわかりました。
2パーセントのフッ化ナトリウムを歯にぬって、虫歯をふせぐことが考えられています。

歯槽膿漏

歯が植わっている骨の部分を、歯槽といいます。
この歯槽や歯ぐきに膿がたまって、歯がぐらぐらになる病気を歯槽膿漏といいます。

はじめは、歯ブラシを使うときに、歯ぐきから血が出るくらいですが膿が骨まですすむと歯がぐらついて、硬いものを噛むことができなくなります。

虫歯と違って、子どもはあまりかからない病気です。




消化と吸収とは? 歯のはたらきとは? わかりやすく解説!

消化と吸収

私たちがとる食べ物は、体をつくる材料になったり、体を動かす燃料になったりします。

食べ物が、このはたらきをするためにはまず、体の中にとりこまれなければなりません。
食べ物が、腸の壁から体の中に取り込まれることを吸収といいます。

また、食べ物は、そのままでは吸収されません。
ですから、吸収されやすいものにこなしてやらなければならないのです。
食べ物を、吸収されやすいものにこなすことを、消化といいます。

消化によって、たんぱく質・炭水化物・脂肪は、吸収されやすいものに分解されます。

これらのはたらきをするものは、酵素(消化酵素)とよばれます。

酵素は、口・胃・腸などの消化腺から出される消化液にふくまれています。
食べ物を、歯で噛み砕いたり、腸のうごめき運動や分節運動などでよく混ぜ合わせると、酵素がはたらきやすくなります。


口の中は、口腔ともよばれています。
ここには、歯と舌があり、だ液腺がつばきを出しています。

口の主な役目は、食べ物を取り入れ細かく砕いて、つばきとよく混ぜ合わせることです。
こうして、食べ物は食道におくられます。

歯のはたらき

歯の主な役目は、食べ物を細かく噛み砕くことです。
食べ物は、細かくなるほど、つばき・胃液・たん液・すい液・腸液などとよく混ざりそれらのはたらきを受けやすくなります。

歯のしくみ

歯は、歯かんと歯根にわけられます。
歯かんは、歯ぐきよりも外に出ていて白く見えるところです。

歯かんの表面はエナメル質で覆われています。
エナメル質は、体の中でも、いちばん硬いところで歯の内部の、いくぶんやわらかい象牙質を守っています。

歯根は、歯ぐきに埋まっているところですが外側は、セメント質でおおわれています。

歯を形作っている大事なところは象牙質です。
この象牙質の中には歯髄があって、神経と血管とがきています。
血管は、歯に栄養を運び、神経は、歯の感覚をつかさどります。

虫歯が痛むのは、この神経が刺激されるからです。



歯のいろいろ

歯は、つぎのように、4つの種類にわけられます。
それぞれ種類によって、形やはたらきが違います。

切歯

切歯は、真ん中にはえている上下4本ずつの歯のことで、ふつう前歯とよばれます。
切歯は、歯の先が刃のような形になっていて食べ物を噛み切るのに、都合よくなっています。

犬歯

犬歯は、切歯の外側、左右上下あわせて4本あって、ふつう糸切り歯とよばれます。
歯の先が、槍のようにとがっています。

犬は、この歯がよく発達しています。そのために、犬歯となづけられています。

小臼歯

犬歯の奥に、うすのような形の歯が、2本ずつ並んでいます。
これが小臼歯で、上下左右あわせて8本あります。

うすのような形をしていますから食べ物を細かくすりつぶすのに、都合がよいのです。

大臼歯

大人では、小臼歯の奥にそれと同じ形をした歯が、左右上下に3本ずつ並んでいます。これが大臼歯です。

大臼歯は、小臼歯と同じように、食べ物を細かくすりつぶすはたらきがあります。大臼歯は永久歯だけにあって、乳歯にはありません。

ふつう、私たちが奥歯といっているのは、大臼歯と小臼歯とをさしているのです。

歯のはえかわり

歯は、うまれてから6、7か月経ったたころに、はえはじめます。これを乳歯といいます。

乳歯がはえそろうのは、だいたい2才半くらいのころです。

乳歯には大臼歯がなく、歯の数は、全部で20本あります。

6才くらいになると、今までそろっていた歯が、つぎつぎとはえかわります。
乳歯のあとに、はえかわってできた歯は永久歯とよばれてはえかわることはありません。

大臼歯のように、はえかわらない歯も永久歯とよばれます。

永久歯は、4才半から6才半のころにあらわれはじめます。
はじめは、小臼歯のすぐ奥の大臼歯からです。
6才から15才までの間に、切歯・犬歯・小臼歯が、ゆっくりはえかわります。

2番目の大臼歯は、13才から16才ごろにはえてきます。
いちばん奥の大臼歯は、18才から25才ごろにはえてきます。
この歯は、はえ方が遅く、「親知らず歯」ともいわれます。

永久歯は、全部で31本になります。




筋肉のしくみとはたらきとは? わかりやすく解説!

筋肉は、みんなで650個あまりもあります。
これらの大きさや形は、さまざまですが、どれもだいたい同じしくみになっています。

筋肉は、ふつう、真ん中がふくらんでいて、両はしが細くなっています。
ふくらんだところは、赤い色をしていて、やわらかな、筋繊維の束でできています。

両はしは、腱とよばれ、結合組織の繊維が集まってできています。そのため、硬くて丈夫です。

また、絹糸の束のように白くつやがあります。


筋繊維

筋繊維は、ごく細い糸のような形をしています。
これが、何本も平行に並んで束になり、筋肉をつくっているのです。

筋繊維には、2つの種類があります。

1つは、顕微鏡で見ると、たいへん細かい筋が、たくさん横に並んでいます。

この筋は、横紋とよばれています。
それでこのような筋繊維を横紋筋繊維といいこれからできている筋肉を横紋筋といいます。

横紋筋繊維の一種に心筋繊維というものがあります。
これは、繊維が互いに続きあって、網のようになっているところがふつうの横紋筋繊維と違っています。

もう1つの筋繊維は、ずっと小さくて細く両はしがとがった形をしています。

これには、横紋がなく、平滑筋繊維とよばれています。
また、この種類の筋繊維からできている筋肉を平滑筋といいます。

横紋筋と平滑筋

横紋筋と平滑筋とは、いろいろな点でその性質やはたらきが違っているばかりでなく、ついている部分も違っています。

横紋筋は、おもに骨格についています。
よく見ると、必ず1つの骨から隣の骨へまたは、いくつかの骨を飛び越えて近くの骨へついています。

言い換えると、横紋筋は、1つまたは、それ以上の関節をまたいでいるのであって1つの骨の2点についているということはありません。

それで、筋肉が縮むと、その両はしが互いに近づきます。
そして、関節が曲がって骨が運動することになるのです。

平滑筋は、おもに内臓に見られます。胃や腸の壁の中にあるのです。
ふつう、縦に並んでいる筋肉の層と横に並んでいる筋肉の層とからできています。

たとえば、腸で縦の層が縮むと、腸が短くなり横の層が縮むと腸が細くなります。
このようにして、腸の壁の運動(ぜん動)が起こります。

平滑筋は内臓のほか、血管の壁や毛の根もと(立毛筋)にもあるし眼球の中には光の量を調節したり、遠近の物体にピントを合わせる大切な筋肉があります。

横紋筋は、思った通りに動かすことのできる運動を引き起こします。
平滑筋がする運動は思い通りにはなりません。

私たちは、いつでも、腕を曲げたり伸ばしたり食べ物を噛んだり飲み込んだり、呼吸したり声を出したりすることは、自由にできます。

これらの運動をするときにはたらく筋肉が横紋筋です。

ところが、胃・腸・血管の動きは、思い通りに強めたり、弱めたりすることができません。
これらをつくっている筋肉が、平滑筋です。

ただ、心臓だけは違っています。
これは、横紋筋でできていますが思い通りに動かしたり、止めたりすることができません。

平滑筋と横紋筋では、運動する速さが違います。横紋筋は速く、平滑筋はたいへん遅いのです。

昆虫の羽根を動かす筋肉は、横紋筋でできていて、目にも止まらぬ速さです。
ところが、胃や腸の運動は、ミミズがはうように遅いのです。

しかし、横紋筋は速くても疲れやすいので、その運動は長続きしません。
ところが、平滑筋は、疲れにくく、長いこと運動を続けることができ内臓の運動に適してています。



運動のしくみ

腸・胃などの内臓の運動は、平滑筋(心臓だけは、横紋筋)が引き起こします。
これはただ、筋肉だけが、伸び縮みするのです。

横紋筋が引き起こす運動は、少し様子が違います。
横紋筋は。両はしが、関節でつながっている、2つの別な骨についています。

ひとつの筋肉が縮むと骨はそれに引っ張られて曲がります。
それといっしょに裏側についている筋肉が伸びます。

縮んだ金肉が緩んで、裏側の筋肉がはたらくと、骨はもとにもどります。

筋肉が伸びたり、縮んだりする様子を観察するには、下の写真のようにカエルの足を使って実験すると、よくわかります。

カエルの足の皮をむいて、筋肉を切り開くと白い筋が見えます。
これが神経です。
神経をピンセッ卜で刺激すると筋肉が縮んで足が動きます。

このような筋肉の運動は、1本1本の筋繊維が縮んで起こります。肘が曲がる運動を考えてみましょう。

上腕の前側には上腕二頭筋という長い筋肉があります。これは、肩甲骨からはじまって頭骨についています。

この筋肉が縮むと頭骨が肩甲骨のほうへ引き寄せられ、肘が曲がるのです。
肘を曲げると力こぶがあらわれるのを知っているでしょう。

これは上腕二頭筋が縮んで、太くなったためなのです。
腰や肩の動きも図のように、いろいろな部分の筋肉が伸びたり縮んだりするためです。

このように、私たちの体が動くのは骨格についている筋肉が伸び縮みすることによるのです。

筋肉の衛生

私たちの体重の半分ちかくは、筋肉です。筋肉を成分から見ると、4分の3が水分になっています。

残りの4分の1は、ほとんどたんぱく質です。
筋肉を丈夫にするためには、たんぱく質は大切なものなのです。

体操などの運動は、筋肉を丈夫にしてくれます。
もちろん運動をしたからといって、すぐ効き目があらわれるわけではありません。長い時間がかかります。

筋肉は、使えば使うほど、強くなっていくものです。
しかし、使わなければ弱くなり、そのうえ痩せてしまいます。

ところで、ふつうに暮らしているときには、あまり使わない筋肉があります。
このような筋肉も、体操をすれば、使うことになり、必要なとき役に立ちます。




骨のはたらきとは? 骨の病気とは? わかりやすく解説!

動物の体は、だいたい、やわらかい組織でできています。
ですから、骨格がないと、つきたての餅のように、ぐにゃぐにゃと地面の上にうずくまってしまうでしょう。

このように、骨格は、やわらかい体を支え、しっかり形を保っているのです。
重いものを背負ったり、運んだりできるのも、この骨格が支えてくれるからなのです。


また、骨格は、体の大切な部分を守る役目もしています。
脳は、頭の骨で包まれています。

背骨の中には、縦に管が通っていて、その中に脊髄がおさめられています。
脳や脊髄は、こうして保護されているのです。

胸の骨格は、かごのような形になっていて、肺や心臓が入っています。
これは胸の内臓を保護するよりも、呼吸運動をするのに適した形になっているのです。

このほか、筋肉といっしょになって運動するのも骨格の大切な役目です。

骨格と筋肉は、いっしょになって大きな運動ができます。
しかし、筋肉だけあっても骨格がなければ、よく運動できません。

それは、クラゲやタコのように、骨格のない動物と人間やカエルのように、骨格のある動物の運動をくらべれば、すぐわかるでしょう。

骨の衛生

骨格は、体の中心になる大切な柱です。
私たちは、骨が立派に育つように、気を付けなければなりません。

私たもの骨は、子どもと大人では硬さが違います。
子どものころは、にかわ質が多く、やわらかくできています。

しかし、発育するにつれて、だんだんカルシウム分が増えて固くなります。
骨が硬くて丈夫なのは、カルシウム分(リン酸カルシウム・炭酸カルシウム)のためです。

大人では、60パーセント、あまりもふくまれています。

ですから、骨を丈夫にするためには骨の成分になる栄養素をたくさんとることが大切です。

それにはカルシウム分・ビタミンC・ビタミンDなどを充分にふくんだ食物を食べることです。

しかし、カルシウム分は、ビタミンDの助けを借りて、骨の成分となるものですからこのビタミンDが足りなくなると、くる病になります。

また、適当な運動は、血液の循環をよくし、骨の発育もすすめてくれます。



骨の病気

骨膜炎・骨髄炎

おもにぶどう状球菌などのために、骨膜や骨髄がおかされる病気です。
腕や足の長い骨に、急に起こることが多いのです。

脱臼

関節で骨が外れることを、脱臼といいます。病気ではありませんが、よく起こる故障です。

外れた骨は、もとにもどしてやれば、すぐ治ります。脱臼は、肩やあごの関節によく起こります。

先天性股関節脱臼は、うまれながら、股の関節が外れている病気です。
これは、なかなかやっかいですから、早く見つけることが大切です。

骨折

骨は、硬くて丈夫ですが、無理な力がはたらくと、案外、簡単に折れてしまいます。
これは、腕や足の長い骨やろっ骨に、いちばんよく起こります。

骨折のときは、ふつう、折れたはしとはしをもとの正しい位置におき、外からそえ木をあて、動かないようにしばっておきます。

たいてい、2、3か月で治ります。

くる病

骨がやわらかいままで、硬くならない病気です。
子どもの病気で、ビタミンDが足りないと起こります。




骨のつながり方とは?関節や靭帯とは? わかりやすく解説!

骨格はたくさんの骨が、靭帯というひもや膜で結びつけられてできています。
また、軟骨もいくらか混じっています。

骨と骨のつながり方は、いろいろありますが、主なものは、つぎの3つです。

  1. 関節
  2. 軟骨結合
  3. 縫い合わせ


関節

関節は、いろいろなつながり方のうちでもいちばん多くて、いちばん大切なものです。

2つの骨のはしをすっぽり包む膜(関節包)があって骨と骨の間に、隙間(関節腔)ができています。

この中には、ねばねばした液体が入っていて、機械の油のようなはたらきをします。
このように、隙間があることが、関節の大切なつくりであってそのために関節は、たやすく折り曲げることができます。

関節で、骨がどんなふうに動くかは、いろいろです。
蝶番のような運動をするもの(肘・膝・指などの関節)とどんな方向にも運動するもの(肩や腰の関節)の2つが、ふつうに見られる関節です。

骨のはしの関節に向かった面は、軟骨(関節軟骨)でできています。
そのため、骨のはしは、互いに滑らかに動きあいますしまた、硬いものの上に飛び降りたり、ぶつかったりしても衝撃を和らげることができます。

靭帯

靭帯は、骨と骨とを丈夫に結びつけているものですがしかし、靭帯の役目には、もう1つ大切なことがあります。

それは、関節の運動を制限することです。

肩や腰の関節は、ふつう自由に動きますが肘や膝の関節は、腕や足をまっすぐに伸ばすとそれからは反対のほうへは曲がらないでしょう。

指の関節でも同じことで、これがどちらの方向にでも曲がったらかえって困ることになります。



軟骨結合

軟骨が仲立ちをしているつながり方を、軟骨結合といいます。
これは、関節のように動きやすくはありません。

これが見られるのは、背骨です。
背骨は30個あまりの椎骨が、上下につながってできています。

椎骨と椎骨とは、円板の形をした軟骨でくっつけられているのです。
そのため、運動は、充分にはできません。

しかし、体を支えるおおもとの柱としては、そのほうが都合がよいのです。

縫い合わせ

これは、骨と骨の結び目が、ちょうど縫い目のように見えるので縫い合わせと名付けられました。

この部分は、よく見ると2つの骨がたくさんの細かい靭帯によって結び付けられているのです。

ですから、動いたり、外れたりすることがありません。

これは、頭の骨にだけみられるもので図のように骨と骨との間のぎざぎざの部分や、線のついた部分でそれぞれ2つの骨が縫い合わせによってくっついています。




骨のしくみとは? 軟骨とは? わかりやすく解説!

私たもの体は、表面が皮膚で包まれているため、中の様子が少しもわかりません。
そこで、中の様子を知るために解剖といって死んだ人の体を、メスとはさみで切り開いてみるのです。


皮膚を、そのすぐ下にある皮下脂肪といっしょに剥いでいくと筋肉がいくつも見えてきます。

この筋肉を切り開いたり、切り取ったりすると血管や神経がでてきますが、もっと深いところへ進むと白い硬いものに触れます。

これが骨です。

筋肉・血管・神経・内臓などを、みな取り去ってしまうと骨だけが残ります。

この骨は、いろいろに組み合わさって、体をつくる基礎になっています。
この骨の組み合わせを、骨格といいます。

骨のしくみ

人間の骨格は、200あまりの骨からできています。
これらの形や大きさはさまざまですが、中のしくみは、だいたい同じです。

骨は、いちばん表面が骨膜という薄い膜で包まれ、その内部に骨質があります。

骨質は、骨のはしのほうでは、中にたくさんの隙間があって海綿か軽石のように見えますが、骨の真ん中へんでは竹のように、中が空になっています。

これらの隙間や、空のところには骨髄というやわらかい組織が詰まっています。
骨髄は、若い人では、赤血球や白血球をつくるので赤い色をしています。

しかし、年をとるにしたがって、脂肪にかわるので老人では黄色くなっています。

このほか、骨のはしに、軟骨が薄くかぶさっています。
そのため、関節で骨と骨とが動きあうとき滑りがよく、ゴツンとぶつかることがありません。

軟骨は、ちょうど、くつの底にうつゴムのようなはたらきをしているのです。

骨は、ちょっと見ると石のようですが石よりもよくはずみ、石のようにもろくはありません。

また、内部には、目に見えない繊維がたくさんあってその繊維の間に、カルシウム分(とくに、リン酸カルシウム分)がたくわえられているため、硬くて丈夫です。

このように、骨の成分は、ほとんどカルシウム分ですから皮膚や筋肉などのようなやわらかい部分と違って、レントゲン線が通りにくいのです。

それで、レントゲン写真をとってみると、体の内部にある骨もかげとなって、はっきりと見えるのです。

軟骨

ふつうの骨のほかに、軟骨があります。
軟骨は、骨とよく似ていますが、カルシウム分がありません。

ですから、骨と違ってやわらかく、メスで楽に切ることができます。

しかし、軟骨は、ほかのやわらかい組織(筋肉など)と違ってしっかり形を保っています。
外から力が加わっても、ちょっと形がかわるだけで、すぐもとの形にもどります。

これが、軟骨の大切な性質です。

軟骨は、耳や鼻などの支えになっていて、それぞれの形をつくっています。
ちょっと鼻の先をぶつけたり、耳を打たれたりしても砕けたり、折れたりしないのは、そのためです。

ろっ骨の先も、軟骨でできていますが、これは呼吸運動をしやすくするためです。



ビタミンとは? ビタミンの種類と特徴とは? わかりやすく解説!

ビタミンは私たちの体の調子を整えたり、成長を促したりするはたらきがあります。
人間の体を機械にたとえると、ビタミンは、この機械にさす油だといえましょう。

もし、ビタミンのとり方が足りないと、体が疲れやすくなったり思うようにはたらけなくなったり、また、いろいろな病気をおこしたりします。

ビタミンの必要量は、たいへんわずかですが毎日とらなければなりません。

しかし、このように大切なはたらきをするビタミンも必要以上に毎日たくさんとりすぎると、いろいろの病気にかかることがあります。

昔から「過ぎたるは、及ばざるがごとし」ということわざがあるようにビタミンの中でとくに、ビタミンAやDをその必要量の何10倍も多くとりすぎるとかえって害を及ぼすものです。

ビタミンには、いろいろな種類が知られています。
これらは、ふつうに食べ物をとっていれば、あまり不足することはありません。

ただ、ビタミンA・ビタミンB1・ビタミンB2・ビタミンCにはとくに気をつけなければなりません。

ビタミンは、たいてい、熱・酸・塩基とか空気中の酸素によって壊されやすいので加工するときや料理するとき、とくに加熱するときには気をつけなければなりません。


ビタミンA

ビタミンAは、目や肝臓のはたらきを助けたり体の抵抗力を強めたりするはたらきがあります。

また、私たちが成長するときには、たいへん必要なものです。

昼間はなんともなくても夜になると目が見えない、とり目という病気があります。
この病気は、ビタミンAが足りないために起こります。

ビタミンAは、肝油・バター・たまごの黄身・肝臓(レバー)などの脂肪に溶けてふくまれています。

まだ、植物にふくまれているカロチンは私たちの体に入ってビタミンAにかわります。
ですから、カロチンをとっても、ビタミンAをとったのと同じことになります。

カロチンは、ニンジン・カボチヤ・トマト・ホウレンソウなど色のついた野菜にたくさんふくまれています。

ビタミンB1

ビタミンB1は、水に溶けるビタミンです。
炭水化物が、体の中で栄養にかわるとき、ビタミンB1がなくてはなりません。

ですから、毎日でんぷんをたくさん食べる日本人はビタミンB1もたくさんとらなければなりません。

とくに仕事をする人、運動やスポーツをする人たちはビタミンB1がたくさん必要になります。

このビタミンB1が足りなくなると、疲れやすくなったり食べ物がほしくなくなったり、かっけになって足がはれ、しびれてきたりします。

穀類の胚芽、大豆、小豆、落花生、大根の葉、生しいたけ、豚肉、動物の肝臓、粉乳、イーストなどは、ビタミンB1をふくんでいる食べ物です。

ビタミンB2

ビタミンB2は、水に溶けるビタミンで、私たちが成長するときになくてはなりません。
これが足りなくなると、成長が悪くなるばかりでなく口角炎というくちびるがただれる病気をおこします。

このビタミンは、肉類、動物の肝臓、牛乳、チーズ、たまご、ニンジンの葉、キャベツ、ホウレンソウ、イーストなどにふくまれています。



ビタミンC

これは、水に溶けるビタミンで、血液の循環を助けるはたらきがあります。
このビタミンCが不足すると、毛細管が破れやすくなり皮膚や粘膜、とくに歯ぐきなどから、よく出血します。

この病気を、壊血病といいます。

食べ物では、ミカン類に多く、ホウレンソウ、キュウリ、ニンジンの葉、大根の葉、茶などにふくまれています。

ビタミンは、いっぱんに新しい食べ物に多くふくまれていますが古くなると、ビタミンがしだいに減ってきます。

ことにビタミンCがいちばん壊れやすいので、野菜や果物などのように、ビタミンCの多いものは新しいうちに食べるようにしましょう。

料理のときも、このビタミンがいちばん失われやすく長い間熟をくわえる料理では、ビタミンCはほとんど壊れてしまいます。

ビタミンD

これは、骨をつくるのに大切なビタミンです。
これが足りなくなると、骨、か弱くなり、子どもでは、くる病にかかります。

ビタミンDが多い食べ物は、肝油、バター、動物の肝臓などです。

その他のビタミン

以上のほかに、よく知られているビタミンに二コチン酸・ビタミンB6・パントテン酸などがあります。

これらは、いずれも、皮膚などの栄養に必要なビタミンで動物の肝臓・肉・魚・脱脂粉乳・大豆などにたくさんふくまれています。

ビタミンB12・葉酸は、貧血の予防に必要なビタミンでB12は、動物の肝臓・貝・肉・魚に、葉酸は、動物の肝臓・野菜・大豆に多くあります。

強化食品

食品の中には、ビタミンなどの栄養素が足りないものがあります。
このような食品に、足りないビタミンをくわえて栄養価を高くする方法がおこなわれています。

白米にビタミンB1やB2をくわえた強化米マーガリンにビタミンAをくわえた強化マーガリンなどがそれです。




たんぱく質のはたらきとは? 灰分とは? わかりやすく解説!

たんぱく質は、窒素をふくんでいて、栄養分として大切な役目をもっています。
また、カロリーのもとにもなりますが、体をつくる材料としていちばん大事な栄養素です。

私たちの体では、皮膚・筋肉・骨・髪の毛・爪・血液・いろいろな内臓などにたくさんふくまれています。

たんぱく質を多くふくむ食べ物は、たまご・肉類・魚肉・牛乳・豆などです。


アミノ酸

たんぱく質が消化されていくと、最後にはアミノ酸というものになります。

アミノ酸には、いろいろな種類がありますが、栄養のうえからみると私たちの体になくてはならないもの(必須アミノ酸)ととらなくてもさしつかえないもの(非必須アミノ酸)の2種類があります。

必須アミノ酸は、植物性たんぱく質よりも動物性たんぱく質にたくさんふくまれています。

ですから、栄養のうえからみると動物性たんぱく質のほうが植物性たんぱく質よりも価値が高いのです。

たんぱく質のはたらき

私たちがたんぱく質をとると消化されてアミノ酸となり、腸の壁から吸収されます。
アミノ酸は門脈を通って肝臓に行き、ここから体のいろいろな部分に運ばれるのです。

そこで、いろいろなアミノ酸が組み合わされ、新しいたんぱく質がつくられます。

余分なアミノ酸は、熱量素として使われ1グラムあたり約4カロリーの割合で、熱をだします。

残ったものは、尿素などになって、尿といっしょに体の外へ捨てられます。



灰分

動物や植物を燃やしたあとに、白い灰が残ります。
この灰には、カルシウム・鉄・リン・ナトリウム・カリウム・マグネシウムなどがふくまれています。

これらをまとめて灰分というのです。
灰分は、体をつくる材料として大切なものです。

私たちの体では、歯・骨・血液・内臓などにふくまれています。
また体液に溶けていて、体のいろいろなはたらきを助け健康を保つ役目をしています。

カルシウム

歯や骨は、おもに、カルシウムからできています。
カルシウムは、血液にも、ふくまれています。

これは、病気にたいする抵抗力を増したり、体の中にできたいろいろの酸を中和するはたらきをしています。

食べ物としては、牛乳、魚の骨、植物の葉などにふくまれています。

リン

カルシウムと同じように、歯や骨にたくさんふくまれています。
そのほか、脳・血液・内臓の組織にもあります。

このように、リンは、体の材料となっています。
また、体液に溶けていて、体のはたらきを助けたり、成長をさかんにしたりします。

たまごの黄身、牛乳、魚の骨、肉類などが、リンをふくんだ食べ物です。

赤血球にふくまれるヘモグロビンの大切な成分で酸素や二酸化炭素を運ぶのに役立っています。
これが不足すると、貧血をおこします。

鉄は、肉、魚、動物の肝臓、たまご、青野菜、海藻、茶などにふくまれています。

食塩

食塩は、血液の中にふくまれていて、体の水分を調節するはたらきをしています。

私たちは、1日に10~20グラムの食塩を必要とします。
食塩は、汗といっしょにでていくので汗をだしてはたらく人には、もっとたくさん必要です。

味噌汁・塩魚・ハム・漬物などには、食塩がふくまれていますがそれだけでは足りないので、食塩や醤油で味つけした食べ物などからも食塩をとっています。




脂肪とは? 脂肪のはたらきとは? わかりやすく解説!

脂肪は、ふつう、あぶらといわれているもののことです。
ふつうの温度では、固体のもの(肉のあぶらやバターなど)と液体のもの(なたねあぶらなど)とがあります。


しかし、固体のものでも、すこし温めると、どろどろしてきます。

脂肪をたくさんふくんだ食べ物には大豆・落花生・クルミ・バター・マーガリン・肉・イワシ・コイ・サンマなどがあります。

私たもの体では、内臓・筋肉にたくさんふくまれています。
また皮下脂肪として、たくわえられています。

秋から冬にかけて、鳥などの体には、だんだんあぶらがのってきます。
これは、寒さを防ぐ用意なのです。

増える脂肪は、だいたい、皮下脂肪としてたくわえられます。
外の寒さに体温を奪われないように、この皮下脂肪が壁をつくるのです。

私たちの体も、鳥と同じことです。

脂肪のはたらき

体の中に取り入れられた脂肪はすい液や腸液にふくまれているリパーゼのはたらきで消化され脂肪酸とグリセリンとになります。

これが腸で吸収されると、すぐにまた結びついて、脂肪になります。

吸収された脂肪は、リンパ管を通って、大静脈に運ばれます。
つぎに血液が、脂肪組織まで運んでいくのです。

脂肪は、脂肪組織としてたくわえられるほか炭水化物と同じように、熱や力のもとになります。

このとき、脂肪は酸素と結びついて、二酸化炭素と水ができ1グラムにつき、9カロリーの熱をだします。

ですから、同じカロリーがほしいときには炭水化物のかわりに脂肪をとれば、量が少なくてすみます。

そのほうが、胃や腸を疲れさせず、体のためにもよいのです。
しかし、あまりとりすぎると、消化がうまく行われないで、下痢を起こしたりします。




炭水化物とは? 炭水化物のはたらきとは? わかりやすく解説!

炭水化物には、砂糖類・グリコーゲン・でんぷん・繊維質などがあり植物に多くふくまれています。

炭水化物は体の中に取り入れられて、熱や力のもととなります。
ただ、繊維質だけは消化されないので、栄養にはなりません。


砂糖類

毎日使う砂糖のほか、ブドウに多いぶどう糖、麦芽に多い麦芽糖などがあります。

砂糖類は、甘い味をもっています。
果物が甘いのは、果物に、これがふくまれているからです。
また、甘味があるので栄養素としてばかりでなく、嗜好品としても役立っています。

でんぷん

でんぷんは、米や麦などの穀類、サツマイモやジャガイモなどのイモ類にたくさんふくまれています。

顕微鏡で見ると、でんぷんは、小さな粒からできていてこの粒の形を見れば、なんのでんぷんかすぐにわかります。

でんぷんは水に溶けませんが、水で煮るとのりのようになり、消化がよくなります。

繊維質

繊維質は、ふつうの植物には、みなふくまれています。これは、炭水化物の仲間ですが、栄養にはなりません。

食べても、消化されないで、外へ出されます。しかし、これがないと、便通が悪くなります。



グリコーゲン

でんぷんは、植物にふくまれていますがグリコーゲンは、動物にだけふくまれているので動物性でんぷんともいわれます。

私たちの体では肝臓や筋肉などに、たくさんふくまれています。

これは、血液で運ばれたぶどう糖がグリコーゲンにされてたくわえられているのです。
ぶどう糖が必要なときには、グリコーゲンは、またぶどう糖にかえられます。

炭水化物のはたらき

炭水化物は、消化されてぶどう糖になり、腸の壁から吸収されます。
吸収されたぶどう糖は、門脈を通って、肝臓へ運ばれます。

ここから、体のすみずみまで、配られるのです。

このぶどう糖は、呼吸によって取り入れた酸素と結びついて二酸化炭素と水にかわります。

このとき、1グラムにつき4カロリーの熱をだすのです。

体でぶどう糖が使われると、肝臓や筋肉にたくわえられているグリコーゲンがぶどう糖にかえられて血液で運ばれてきます。

また、ぶどう糖は、脂肪につくりかえられて、皮下組織にたくわえられます。




カロリーとは? 熱量素とは? わかりやすく解説!

食べ物のは、体の中で変化して熱や力になります。
このときにでる熱や力の量は、カロリーであらわされます。

栄養学において、1カロリーとは、1キログラムの水の温度を摂氏1度だけ上げるのに必要な熱の量のことです。


熱量素

カロリーのもとになる栄養素は、炭水化物・脂肪・たんぱく質の3つでこれをまとめて熱量素といいます。

1グラムについて、炭水化物とたんぱく質が約4カロリー脂肪が約9カロリーの熱をだします。

これからもわかるように、脂肪は炭水化物やたんぱく質にくらべ2倍あまりも余計に熱をだします。

自動車は、ガソリンを燃やして走ります。
私たちの体も、これと同じように、熱量素を変化させて、力のもととします。

この力が、筋肉や体を動かすもととなります。

カロリーの必要量

私たちが生きていくためには熱や力のもととして、たくさんのカロリーが必要です。
1日に、どのくらいのカロリーをとればよいかはいろいろな場合で違います。

私たちが、はたらけばはたらくほどたくさんのカロリーが必要となります。
ちょうど、自動車を長く走らすほど、たくさんのガソリンがいるのと同じわけです。

カロリーがいちばんいらないのは、じっとして寝ているときです。
このときのカロリーは、心臓や呼吸のための筋肉などがははたらく力や体温を一定に保つための熱に使われます。

また、体重の多い人、体の大きい人は体重の少ない人、体の小さい人よりも、たくさんのカロリーが必要です。

男と女では、男のほうが、たくさんカロリーをとらなければなりません。
これは男のほうが、体が大きいことと、よく動くためにたくさんのカロリーを必要とするからです。

夏と冬をくらべると、冬のほうがたくさんカロリーをとらなければなりません。

また、年令によっても違います。
育ちざかりの子どもと、成長してしまった大人とでは体重1キロあたりのカロリーの必要量がずいぶん違います。




栄養とは? 栄養素の役目とは? わかりやすく解説!

私たちは毎日、三度三度食事をとり、その合間にもお腹が空いたといっては、おやつを食べます。

こうして、なにげなく食べている食べ物がみな、私たちの体に役に立っているのです。
体が大きくなるのも、丈夫な体になるのも勉強や運動ができるのもみな、食べ物を食べているおかげです。


栄養

私たちが、毎日食べ物を食べて、体をつくるもとにしたりエネルギーのもとにしたりすることを栄養といいます。

人間にかぎらず、生物は生きていくために、たえずエネルギーを使っています。

これを補うためには、外からエネルギーのもとになるものをとらなければならないのです。

このエネルギーのもとになるものでとくに、食べ物の中にふくまれているものを栄養素といいます。

栄養素は大きく分けると、たんぱく質・炭水化物・脂肪・灰分・ビタミンの5つになります。

広い意味では酸素・水も、栄養素ですが、ふつう特別に考えられています。
このうち、炭水化物・脂肪・たんぱく質は、食べ物の中にふくまれる量が多いので三大栄養素といわれます。



栄養素の役目

栄養素は、体をつくる材料となります。
体を成長させたり、体の消耗を補うために必要な栄養素は、水・たんぱく質・灰分です。

私たちの体は、つぎのような割合で、できています。

水   分……65%
たんぱく質……16%
炭水化物・脂肪・ビタミン……14%
灰分……5%

栄養素のいちばん大事な役目は、私たちの体で変化してカロリーのもととなることです。
体温を一定に保つ熱になったり、体を動かす力のもとになったりします。

それには、炭水化物・脂肪・たんぱく質の3つが使われます。
また、ビタミンや灰分のように、体の調子を整えるはたらきをするものがあります。

このように、栄養素には、体をつくる材料となったり、熱や力のもとになったり体の調子をよくしたりする役目があります。




人・犬・猫・鶴の大人になるまでの長さとは? わかりやすく解説! 発育と老化とは?

大人になるまでの長さ

私たちは、うまれてから赤ちゃんの時代、幼児の時代を過ごして小学生になります。
それから後も、大人になるまでには、何年もかかります。

人の一生を100年とすると、その5分の1にあたる20年ちかくもかかってやっと大人になるのです。


ほかの動物たちを見ても大人になるまでの時代が、このように長いものはありません。

猫の一生は、平均して8年ぐらいですが、その8分の1の1年で大人になってしまいます。
また犬は、大人になるまでに、一生の10分の1しか、かかりません。
大人になるまでの時代が長いことは、立派な体や精神をつくるのに都合がよいわけです。

また、親は長い間、子どもを養い育てなければなりません。
そのために、しっかりした社会生活を身につける期間が必要なのです。

発育と老化

私たちの体は、うまれてから老人になるまで、たえず形やつくりがかわっています。
このかわりかたが一番激しいのは赤ちゃんから子どもになり、さらに大人になる時期です。

このように、大人になるまでの体のかわりかたを、発育といいます。

いったん大人になってしまうと身長や体重などは、ほとんどかわりません。
しかし、体のつくりやはたらきは、少しずつかわっているのです。

こうして50才を越えるころになると体も、体のはたらきも衰えて、やがて一生を終わるのです。

このように、大人になってからの体のかわりかたを老化といいます。
いちばん先に老化するのは運動器系で神経系は、かなり遅くなってから衰えます。




体の発育とは? 身長・体重・胸囲の増え方とは?

体の検査

私たちの体は、健康なら順調に育っていくものです。
しかし、体重が3か月も続けて減るようだったらよく調べて、どこが悪いのかをつきとめなければなりません。

病気は早く見つけて早く治療すれば、たいてい治ってしまうものですが中には、自分が知らないうちにかかって、知らないうちに重くなる病気があります。

このような病気は、定期的に検査しなければ早く見つけることができません。

学校で行われる身体検査は、そのためで生徒の健康状態を調べて、どうしたらよいかを決めていくものです。

学校の身体検査は、毎年、4月頃に行われます。
この検査では、身長・体重・胸囲・皮膚・歯・ツベルクリン反応などのほか病気や悪いところがないか、などが調べられるのです。


育つ体

私たちの体は、うまれてから大人になるまで、どんどん大きくなっていきます。
しかし、体の各部分が、同じ調子で大きくなるわけではありません。

うまれたばかりの赤ちゃんの体重は、大人の17分の1ですが脳の重さは、大人の4分の1もあります。

また、ふつう、うまれてまもないときの頭囲は胸囲よりも大きいものです。
しかし、2才ごろになると、胸囲のほうが大きくなります。

それで赤ちゃんは、頭でっかちなのです。

手と足をくらべてみても、うまれたばかりのときは、ほとんど同じ長さです。
そして、年が経つにつれて足のほうが長くなります。

このように、体の下の部分ほど、伸び方が大きいのです。
ですから、体の中心は赤ちゃんでは、へそより少し上のほうにありますが大人では、ももの付け根のあたりになるのです。

また、私たちの体は、いつも同じ割合で大きくなっているわけではないのです。
急に伸びる時期と、ゆっくり伸びる時期とがあります。

このことは上のグラフにしめしたとおりです。



赤ちゃんのときから小学校に入るころまではたいヘん早く大きくなりますが、その後はいくぶん遅くなります。

中学校の終わりごろからは、また、急に大きくなります。
10才ごろから、身長が急に大きくなるのは、この時期に足が長くなるためです。

男と女のあいだにも、育ち方に違いがあります。

ふつう、身長・体重・胸囲などは、女よりも男のほうが大きいのですが11~13才のころだけは、女の子のほうが、男の子よりも大きくなります。

これは、女の子のほうが、男の子よりも大人になるのが早いからです。

また、このころになると男の子は、肩幅が広く、ごつごつしだ体つきになり女の子は乳房が大きくなりはじめ、腰がまるく広くなります。

このような男らしい体、女らしい体がつくられるのはホルモンのはたらきによるのです。




細胞と組織とは? 器官と器官系とは? わかりやすく解説!

細胞

生物の体は、すべて細胞からできています。
細胞の大きさは、ふつう0.01~0.03ミリぐらいで、顕微鏡でなければ見ることができません。

1つ1つの細胞は、原形質というねばりけのある物質からできていてその中に核という、球のような形をしたかたまりがあります。

この核は、細胞が生きていくために、なくてはならない大切なものなのです。
私たもの体も、やはり細胞が集まってできています。

しかし、この細胞はでたらめに集まっているわけではありません。

またふつう、隣り合っている細胞と細胞の間には、細胞間物質というものが詰まっています。


組織

細胞には、いろいろな種類があって、それぞれ形や性質が違っています。
そして、同じ形や性質の細胞が集まったものを組織といいます。

この組織は、ふつう、つぎの4つに分けられています。

上皮組織

皮膚のように、体の表面を保護する役目のものと腸の内側の細胞のように、栄養分を吸収したり消化液を分泌したりするものとがあります。

これらの細胞は上皮細胞といわれ、細胞間物質がほとんどなく、細胞と細胞は、直に隣り合っているのが特徴です。

支持組織

体の支持に役立つ組織のことで、骨の組織、軟骨の組織、結合組織などから成り立っています。

この組織は、とくに細胞間物質の多いことが特徴です。

骨の組織がかたいのは、細胞間物質の中にカルシウム分などがふくまれているためで細胞そのものは、やわらかです。

筋組織

細長くて、伸び縮みのしやすい筋細胞の集まりです。
骨といっしょにはたらいて体を動かす横紋筋腸や血管などをつくっている平滑筋、心臓をつくっている心筋の3種類があります。

神経組織

体のある部分に受けた刺激を、ほかの部分に伝えるはたらきをする神経細胞とそれから伸びでた神経繊維とからできています。

たとえば、目に入った光の刺激を大脳に伝えてはじめてものが見えるという感じを起こさせたり大脳からの命令を筋肉に伝えて運動を起こさせたりするのです。



器官

いろいろな組織が組み合わさって特別のはたらきをするようにまとまったものを器官といいます。

心臓は、主に心筋組織でできていますがそのほか、上皮組織・結合組織・神経組織が組み合わさっている1つの器官です。

そして、血液を全身にまわすポンプの役目をしているのです。

力こぶをつくる上腕二頭筋という筋肉も1つの器官です。
大腿骨という1本の骨もまた、1つの器官なのです。

器官系

同じようなはたらきをする器官が集まり互いに助け合うようにまとまったものを器官系といいます。

200個あまりの骨と、これらを互いにつないでいる関節や靭帯と400個あまりの筋肉を、まとめて運動器系といいます。

口・喉頭・食道・胃・小腸・大腸などの消化管と肝臓・すい臓などそれぞれ食べ物の消化や吸収に大切な器官の集まりを消化器系といいます。

鼻・喉頭・気管・肺など、私たちの呼吸に大切な器官の集まりを呼吸器系といいます。

血液やリンパを循環させるはたらきをする。
心臓・動脈・静脈・リンパ管などは、まとめて循環器系とよばれます。

脳・脊髄・脳神経・脊髄神経などの器官を神経系といいます。

このように私たちの体には、いくつかの器官系があります。
そして、これらの器官系が互いに、うまく助け合いながらはたらいているので私たちは、元気に暮らしていくことができるのです。




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