銅の合金とは? 白銅・黄銅・青銅・洋銀とは?

銅は、いろいろな金属とよくまざりいろいろなすぐれた性質をもつようになりますので、合金として使われます。

ここでは、銅の合金について、くわしく調べてみましょう。

金と銅の合金

純金は、非常に柔らかいので、ふつう銅をまぜて使います。
銅をまぜるとはるかにかたくなり、金貨や装飾として使われます。

白銅

ニッケルを1、銅を3の割合で混ぜた合金でかたく、さびにくい性質があります。

貨幣として使われるほか、ニッケルのかわりにこれでめっきをした家庭用器具がたくさん使われています。

黄銅

銅と亜鉛の合金で、真鍮ともよばれ亜鉛を30~45パーセントぐらいふくみます。
亜鉛を30パーセントふくむものは、展性・延性にとみ、薄板や線として使われます。

また、亜鉛を40パーセントふくむものはかたくて強くおもに、鋳物に使われます。



青銅

銅とスズの合金でふつうの青銅はスズを4~20パーセントふくみます。
非常に強く、鉄器が発明されるまえまでは武器の製造に使われていました。

現在では、美術品に使われるほか、貨幣や機械の部分品として使われています。

青銅は価格を安くし、また、鋳物にしやすくするために亜鉛や鉛をくわえてつくることもあります。

最近では、スズ7パーセント、亜鉛と鉛をそれぞれ5パーセントずつくわえたものが鋳物にするのに適しているので広く使われています。

洋銀

銅・ニッケル・亜鉛の合金のうち、ニッケルを12~22パーセント亜鉛を18~23パーセントぐらいふくむものを洋銀といいます。

銀白色で、かたくさびにくいので、銀の代用品として、広く使われています。
銀の色に近いものは、亜鉛の量の少ないものです。

洋銀は、食器・時計などに使われるほか、装飾品として使われます。

また、電気抵抗が大きいので電気抵抗線としても使われます。



銅の性質と用途とは? わかりやすく解説!

銅の性質

よくみがかれた銅は輝きのあるつやをもった肉色の金属です。
みがかない銅が、うす黒い色をしているのは銅の表面が硫化物や酸化物に変かしいるからです。


銅は、電気や熱の良導体です。
また、延性や展性にとんでいるので、引きのばして銅線にしたりたたきのばして銅箔にしたりすることができます。

銅は、塩酸や希硫酸とは、ふつう反応しませんが塩酸と空気中の酸素がいっしょに作用するとだんだん溶け、塩化第二銅ができます。

硝酸とは、激しく反応し硝酸がわりあいに濃いときはおもに二酸化窒素を発生して、硝酸銅を生じます。

しかし、硝酸がうすいときには、二酸化窒素を発生して同じように硝酸銅を生じます。

また、濃硫酸とは、ふつうの温度では反応しにくいのですが熱すると、二酸化硫黄を発生して溶けます。

銅を赤熱すると、酸化されて酸化第一銅になりますがさらに熱すると、酸化第二銅となります。

銅のさび

銅は、鉄にくらべると、わりあいにさびにくい金属です。
しかし、二酸化炭素を多くふくむ、湿った空気中に長くおくと、緑色のさびができます。

このさびは、ロクショウといわれるもので、有毒です。
乾いた空気中では、銅の表面にうすい酸化第一銅のまくができるだけでそれ以上さびることがありません。
これは、酸化第一銅のまくが、銅の内部を守るからです。

銅イオン

銅は、イオン化傾向が非常に小さいので、銅の塩の水溶液に銅よりイオン化傾向の大きい金属を入れると銅が析出しそのかわりに、入れた金属の塩ができます。

たとえば硫酸銅の水溶液に鉄を入れること銅と硫酸第一鉄ができます。

しかし、銅よりイオン化傾向の小さい金属の塩の水溶液に銅を入れるとこれらの金属が析出し、銅の塩ができます。

たとえば、硝酸銀の溶液に銅片を入れると銅が溶けて硝酸銅となり銀が析出しますがこの銀は銅片の表面に結品となって、つぎつぎとついていきます。

これは一見、美しい樹木のように見えるので、銀樹といわれます。

ふつう、銅イオンというと、第二銅イオンをさします。


銅の化合物

銅の化合物のうち、重要なのはつぎのようなものです。

酸化第一銅

酸化第二銅と粉来状の銅とをまぜて、熱するとできる赤色の粉末です。
酸化第一銅をガラスに溶かしこむと赤い色がつくのでガラスの着色剤として利用されます。

天然には、赤銅鉱として産出します。

塩化第一銅

塩化第二銅を粉末状の亜鉛で還元するとできる、自色の粉末で水には溶けません。

酸化第二銅

銅を空気中で強く熱したり炭酸銅・硝酸銅を強く熱したりするとできる、黒色の粉末です。

水には溶けず、1000℃以上に熱すると、分解して酸化第一銅を生じます。
工業的には、くじゃく石を強く熱してつくります。

酸化第二銅は、陶磁器のうわぐすりとして使われたり青や緑のガラスの着色剤として使われたりします。

塩化第二銅

酸化第二銅に塩酸を作用させるとできます。

結晶は緑色をしていますが、無水のものはかっ色です。赤熱すると分解して、塩化第一銅と銅になります。

硫酸銅

酸化銅を硫酸に溶かすとできます。
これを水で再結品させると、透明な青色の五水和物の結晶ができます。

工業的には、銅と硫黄をまぜて、反射炉内で熱しできた硫化第二銅を、空気で酸化してつくります。

硫酸銅は植物の病気の予防に使うボルドー液の製造や電気銅の電解液の製造に使われます。

銅の用途

銅は、銀のつぎに熱や電気をよく導き、また金や銀についで展性や延性にとんでいます。
そのうえ、金平銀にくらべると、はるかに安いので電気の導体として、あらゆるところに使われてします。

そのほか、風呂の釜や写真銅板などに使われたりイオン化傾向が小さいことを利用して中間めっきとして使われたりします。

しかし、銅イオンは有毒なので、銅をそのまま食器に使うというようなことはありません。

また、メチルアルコールの酸化、エチルアルコールの脱水素などの反応の触媒としても使われます。



銅の取り出し方とは? 銅の選鉱とは? わかりやすく解説!

銅の鉱石

銅は、自然銅として産出することもありますがふつうは、銅の鉱石として産出します。

おもな銅の鉱石には、赤銅鉱のクジャク石・輝銅鉱・黄銅鉱などがあります。

銅鉱石は、アノリカ合衆国・カナダ、南アメリカのチリアフリカのザンビア・旧ベルギー領コンゴなどで多く産出します。

日本も、量は多くありませんが、産出国としては古くから有名です。

銅の選鉱

銅のもっとも重要な鉱石は黄銅鉱です。
黄銅鉱は、ケイ酸塩からできている岩石(母岩)の中にあるのでこの母岩をくだき、鉱石と母岩を分けなければなりません。

この作業が選鉱ですが、銅の選鉱法には比重選鉱法と浮遊選鉱法とがあります。

比重選鉱法

母岩より鉱物のほうが比重が大きいので水中でよ、鉱物のほうが母岩より早く沈みます。

このことを利用して、水中で母岩をとりのぞくのが比重選鉱法です。

浮遊選鉱法

銅の鉱石を粉にして、少量の油とまぜて水に入れ空気をふきこみながらかきまぜると、油が泡になって水に浮きますがこのとき、鉱物も油と、いっしょになって、浮き上がります。

いっぽう、母岩は水に沈みます。
このことを利用して、鉱物と母岩を分ける方法を、浮遊選鉱といいます。

銅の冶金

比重選鉱や浮遊選鉱で母岩から分けられた黄銅鉱はまだヒ素・イオウなどの不純物を、かなりたくさんふくんでいます。

そこで、この黄銅鉱を、空気を通した炉の中で焼くと不純物は酸化物となって逃げ、硫化第一銅・酸化鉄・酸化ケイ素などが残ります。

これに、石灰石とコークスをまぜて、溶鉱炉の中で熱すると酸化鉄と二酸化ケイ素は、石灰石と化合して、スラグになります。

いっぽう、硫化第一銅は、溶けてスラグの下にたまります。
これを流しだして転炉に入れ、強く空気をふきこむと、銅ができます。

こうしてできた銅を粗銅といいます。
炉の中では溶けているのでこれを鋳型に流しこんでかためます。


電解精練

粗銅は、まだ金・銀・鉛・ヒ素などの不純物をふくんでいますから純銅をとりだすためには、さらにこれを精製しなければなりません。

銅の精練には、電気分解を利用するので電解精練といわれます。

電解精練には、下の図のような電解槽を使います。電解液には、硫酸銅に硫酸をくわえた水溶液を用い、この中に粗銅とうすい純銅の板を1つおきに入れ、粗銅を陽極とし、純銅を陰極として、低い電圧で電気分解します。

陽極では、銅が銅イオンになります。
また、銅よりイオンになりやすいニッケル・鉄・鉛・亜鉛などの不純物もイオンになります。

金・銀などのイオンにならない不純物は、粗銅が溶けるにつれて陽極から離れて、下にたまります。

陰極では、純銅の表面に銅が析出してを厚い純銅の板になります。ニッケルとか鉄などの不純物のイオンは析出しませんから純銅がえられるわけです。

いっぽう、陽極の下にたまった物からは金や銀が製造されます。

このように、電解精練によってできた純銅を、電気銅ともいい99.98~99.99パーセントという高い純度のものになっています。



ニッケルとコバルトの性質・用途とは? わかりやすく解説!

ニッケルの性質

ニッケルは銀白色の金属で、展性・延性があります。
また、強い磁性があり、左の表のような物理的性質をもっています。


二ッケルは鉄と違って常温では空気中にそうとうの湿り気があってもほとんど変化しません。

熱をくわえると紅色となり、赤熱すると灰緑色の酸化第一ニッケルが表面にできさらに熱すると四三酸化二ッケルができて、暗緑色になります。

また、赤熱して水蒸気をとおすと水蒸気を分解し、水素を発生して酸化第一ニッケルとなります。

常温では塩酸や硫酸にはあまり溶けませんがうすい硝酸にはすぐ溶けます。

また、濃硝酸につけると、鉄と同じように不動態となります。
二ッケルは、酸に溶けると緑色になります。

ニッケルめっき

電気分解による電着を利用して、二ッケルめっきをすることがてきます。
めっき液は、ふつう、硫酸ニッケルと塩化二ッケルの溶液に少量のフッ化ナトリウム・ホウ酸などをくわえてつくります。

そして、陽極に二ッケルを使って電気分解すると陰極につけた金属の表面に二ッケルが析出してつきます。

ニッケルの用途

純粋な二ッケルは二ッケルめっきに使われるほかるつぼなどの器具としても使われます。

また二ッケルは合金としての用途も多く銅・亜鉛・鉄などと、いろいろな合金をつくります。

そのおもなものには、特殊鋼・囗銅・洋銀などがありそのほか、つぎのようなものがあります。

ニクロム

クロム30パーセント以下をふくむ、ニッケルとクロムの合金です。
電気抵抗が大きく、熱や酸・塩基などにも強いので電熱線・抵抗線などとして使われます。

コンスタンタン

銅を55パーセントふくむ、銅とニッケルの合金で電気抵抗が大きく、温度によって体積や長さがあまりかわらないので銅と組みあわせて、温度をはかる器具として利用します。

このほか、二ッケルは、石油精製のときの水素添加に、触媒として使われます。


コバルトの性質

コバルトは、銀白色か灰白色のつやのある金属で、展性・延性があります。
また、強い磁性があり、上の表のような物理的性質をもっています。

コバルトは空気中に、長いあいだほうっておいても表面が少しさびるだけで、たいして変化しません。
粉状のものは、空気中で熱すると、酸化されます。

また、酸には水素を発生して溶けますが濃硝酸には、鉄やニッケルと同じように不動態をつくって溶けなくなります。

コバルトの用途

コバルトは、めっきに使われるほか、合金としてよく利用されています。
コバルトのおもな合金には、高速度鋼・KS磁石鋼・硬質合金などがあります。

硬質合金は、コバルトに、クロム・タングステンなどの金属をくわえたもので非常に硬くたとえば、硬質合金のうちのウディアはダイヤモンドのような硬さをしめします。

また、コバルトは陶磁器・エナメル・ガラスなどの着色剤として使われたりホウロウ鉄器のうわぐすりとして使われたりします。

この場合に使われるのは、ふつう酸化第二コバルトで青色系統の色調をしめします。



鉄の合金とは? 鋼とは? わかりやすく解説!

鉄のうち、炭素をふくむ量が純鉄より多く銑鉄より少ないものを鋼、または鋼鉄・鋼などといいます。


鋼の炭素をふくむ量は0.035~1.7パーセントぐらいですが0.1パーセント以上のものがふつうです。

鋼はまた炭素のほかにも、マンガン・ケイ素・イオンーリンなどの不純物をごく少量ですがふくんでいます。

鋼はむかしから軟鋼を本炭中で赤く熱して鉄の中に炭素をとり入れる方法でつくられていました。

いまでは、平炉法・転炉法などで銑鉄からつくられています。

平炉や転炉で結締した鋼より鋳型にいこまれて鎖塊となります。
鋼塊は均熱炉が均等な温度で熱せられて、分塊工場で圧延されます。

そのほか鋼には弾性があり、非常にねばり強いので叩き鍛えていろいろな形にすることができます。

鋼の熱処理

鋼を適当に熱したり冷やしたちするとまえとは違った性質になります。
この作業を熱処理といいますが、鋼の熱処理には焼き入れ・焼きもどし・焼きなましの三種類があります。

焼き入れ

鋼は、純鉄にくらべるとはるかに硬いのですが鋼を800℃以上に熱してから、水や油の中につけて急に冷やすと、さらに硬くなります。

鋼を高温に熱して、急に冷やすとことを焼き入れといいます。
焼き入れした鋼は、硬くなるだけでなく、もろくなります。

焼きき入れをした鋼に、冷やし方などの条件によって硬さが違ってきますが、同じ条件の場合は、炭素の量が多いほど硬くなります。


焼きもどし

焼き入れをした鋼は非常に硬いのですが、たいヘんもろいという欠点があります。
しかし、焼き入れした鋼を、ふたたび150~300℃ぐらいに熱して徐々に冷やすと、硬さは少し減りますが秘奥にねばり強くなります。

このように、いちど焼き入れした鋼を、もういちど熱してゆっくり冷やすことを、焼きもどしといいます。

ふつう、焼きもどしした鋼は、酸化されやすくしたがって、腐りやすくなっています。

また、500~600℃ぐらいで焼きもどしをした鋼は硬さはいっそう減りますが、さらにねばり強くなります。

焼きもどしは、このように、温度によって鋼の性質が違ってきますが同じ温度では、熱する時間の長さによっても性質が違ってきます。

ふつう、時間が長いほど、焼きもどしの効果は大きくなります。

焼きなまし

鋼を、900℃ぐらいに熱して、空気中でゆっくり冷やすと硬さは非常に減りますが
たいヘんねばり強くなり折り曲げることもできるようになります。

このように、鋼を高い温度に熱して、ゆっくり冷やすことを、焼きなましといいます。

鋼に焼き入れ・焼き戻し・焼きなましなどの適当な熱処理をくわえるといろいろな性質をもつようになります。

このように、熱処理によって性質がかわるのが鋼の特長です。
つまり、目的に応じた鋼が、熱処理によってつくれるので鉄材の中でも鋼の用途は非常に広く工業用の鉄材の大部分は鋼です。

また私たちの周りにある鉄の90パーセントは、鋼であるといってもかまいません。

永久磁石

鉄は、磁石の作用をうけると、磁石になります。このとき鉄が軟鉄だと磁石になるのは、ほかの磁石の作用を受けている間だけですが鋼だとほかの磁石を取り除いても、磁石の性質はなくなりません。

鋼には、このように、永久磁石になる性質があります。

特殊鋼

ふつうの鋼は、0.1~1.7パーセントぐらいの炭素とごく少量の不純物をふくんだもので、炭素と鉄の合金といえます。

この鋼に、さらにケイ素・マンガン・ニッケル・コバルト・クロム・タングステン・モリブデン・バナジウムなどの元素をくわえたものを、特殊鋼といいます。

新しくくわえる元素の種類は、鋼の使用目的によって違いそれによって、ねばり強いもの・すり減りにくいもの・熱に強いものさびにくいものなど、いろいろあります。

この特殊鋼にたいして、ふつうの鋼を炭素鋼といいます。




鉄の化合物とは? 鉄の用途とは? わかりやすく解説

鉄の化合物

鉄の化合物は、鉄イオンの酸化状態から二価の鉄イオンの化合物である第一鉄化合物と三価の鉄イオンの化合物である第二鉄化合物とに分けることができます。


酸化第二鉄 Fe2O3

鉄のさびの主な成分で、三二酸化鉄ともいいます。
赤色の粉末で、工業上ではベンガラといい顔料に使います。天然には、赤鉄鉱として産出します。

四三酸化鉄 Fe3O4

黒さびの成分で、赤熱した鉄に水蒸気を通すとできます。
天然には磁鉄鉱として産出します。強い磁性を持つので、磁性酸化鉄ともいわれます。

水酸化第一鉄 Fe(OH)2

第一鉄塩の溶液に塩基の溶液をくわえると、白色の沈殿としてできます。
しかし、空気中の酸素に酸化されてだんだん色がかわり赤褐色の水酸化第二鉄となります。

水酸化第二鉄 Fe(OH)3

水酸化第一鉄からできるほか、第二鉄塩の溶液に塩基の溶液をくわえてもできます。天然には、かっ鉄鉱として産出します。

硫酸第一鉄 FeSO4・7H2O

鉄を希硫酸に溶かした液をつめるとできたんに硫酸鉄、またはリョクバンともよばれます。

緑色の風解性結晶で、熱すると結晶水を失って白色になります。

インキの製造に使われます。


硫化第一鉄 FeS

鉄粉と硫黄の粉をまぜて、これを強く熱してつくります。
ふつうは濃い灰色をしていますが、純粋なものは褐色の結晶です。

水には溶けませんが、酸には硫化水素を発生して溶け第一鉄塩となります。
それで、硫化水素の原料として使われます。

硫化第二鉄 Fe2S3

酸化第二鉄を400℃ぐらいに熱して、硫化水素を通すとできます。
塩酸と作用して、硫化水素を発生します。

塩化第二鉄 Fecl3

鉄を塩酸に溶かして、塩化第一鉄Fecl2をつくりこれに塩素を通すと、黄褐色の結晶としてえられます。

この結晶は加水分解して酸性をしめします。
工業的に酸化剤・縮合剤として使われるほか、血止め薬としても利用されます。

このほかにも鉄の化合物としては
酸化第一鉄FeO・硫酸化第二鉄Fe2(SO4)3・フェロシアン化カリウムK4[Fe(CN)6](黄血塩)
フェリシアン化カリウムK3[Fe(CN)6](赤血塩)などがあります。

鉄の用途

鉄の使い道は非常に広く、私たちが使っている金属の90%は鉄だといわれるほどです。
鉄は純粋な鉄として使われることはほとんどなく鋼鉄などの合金として使われるのがふつうです。

鋼鉄はその性質に応じて、次のような使い道があります。

硬くて強じんなものは、機械器具・建築材料・橋梁材料・船舶材料などに使われるほか車両・歯車などに使われます。

すり減りにくいものは砕鉱機・しゅんせつ機・コンクリートミキサー・レールなどに使われます。
そのほか弾性のあるものはバネに、さびにくいものは器具・装飾品などに熱に強いものはエンジンの排気気管などに使われます。

そのほか、私たちが日常生活で使う器具・道具など、非常にたくさんのものに使われています。




鉄の性質とは? 軟鋼と銑鉄とは? わかりやすく解説!

鉄の性質

鉄の性質は、ふくまれている不純物の種類と量によって、いろいろと違ってきます。
とくに、鉄にふくまれる炭素は、その量によって鉄の性質をいろいろとかえるはたらきをします。

ここでは、純粋な鉄について、その性質を調べてみましょう。


純粋な鉄は白色のつやをもち、展性・延性のある金属です。
また、強磁性があり、左の表のような物理的性質をもっています。

鉄は、希塩酸や希硫酸にはよく溶け、水素を発生して塩をつくります。
いっぽう、鉄と硝酸の反応は非常に複雑で、希硝酸には溶けますが水素を発生せず、二酸化窒素などの窒素の酸化物を発生します。

また、濃硝酸に鉄を浸すと、非常に安定した鉄となりほかの物質と化合しにくくなります。

このような状態を不動態といい、不動態になった鉄はもう希硝酸の中に入れてもとけません。

鉄は、酸素とよく化合するほか塩素・イオウ・リン・炭素・ケイ素などとも直接化合します。

軟鋼と銑鉄

溶鉱炉からとりだした銑鉄を、酸化鉄といっしょに反射炉に入れて熱すると硫黄・リン・炭素などの不純物が酸化されて、取り除かれます。

こうしてできた鉄を軟鋼といい、ふつう使われている鉄のなかではもっとも炭素をふくむ量の少ない鉄です。
したがって、性質は、非常に純鉄に近いものです。

軟鋼は、融点が高く溶けにくいので、鋳物にすることはできませんが熱すると柔らかくなるので、叩いていろいろな形にすることができます。

また、軟鋼は展性・延性が大きいので針金・鎖・農器具などをつくるのに使われます。

しかし、最近では、鋼を使ってそういう物をつくることが多くなり軟鋼の使用量は次第に減ってきました。

これにたいして、銑鉄はもっとも不純物を多くふくむ鉄ですから性質も純粋な鉄とにかなり違います。

不純物の中でも、鉄の性質を加えるはたらきの強いものは炭素でいっぱんに炭素をふくむ量が多い鉄ほど、かたくてもろくなります。

また、鉄の融点は、ある一定の限度までは、炭素をふくむほど低くなります。

銑鉄はかたくてもろいために叩いたり引きのばしたりして加工することはできませんが1100~1200℃ぐらいの、わりあい低い温度で溶けますから鋳物をつくるのに適しています。

また溶けた銑鉄は、かたまるときに、少し膨張します。この性質も、鋳物をつくるときに役に立ちます。

しかし、銑鉄は、そのままで加工品をつくるよりもむしろ、鋼の原料として、非常に重要なのです。


鉄のさび

鉄を塩水の中につけておいたり、水がついたままほうっておいたりすると表面に赤かっ色をしたものができます。

これは、ふつう赤さびといわれるさびで、純鉄よりも不純物をふくむ鉄のほうが早くさびます。
また、湿り気が多いといっそう早くさびます。

このさびは、鉄が空気中の酸素平水蒸気と作用してできたものですがこの反応はただの酸化ではなく、非常に複雑な変化です。

したがって、さびの成分もただの酸化鉄だけではありません。
さびには、酸化第二鉄をはじめとして塩基性炭酸第一鉄や塩基性炭酸第二鉄などのような化合物がふくまれています。

このような化合物ができるためには、炭酸が必要です。
つまり、赤さびができるときには、空気中の酸素のほかに水蒸気や二酸化炭素も関係しているわけです。

赤さびは、空気や水分を通しやすいので長い間ほうっておくとしだいに鉄の内部までさびていきしまいには、すっかり腐ってしまいます。

いっぽう空気中で鉄を強く熱すると表面が黒色にかわります。
これは、鉄が酸化して、黒色の四三酸化鉄ができたためで、黒さびとよばれます。

黒さびは、目が細かいので、これが表面にできるとかえって鉄を赤さびから守るようになります。

また、赤熱した鉄に、水蒸気を通しても鉄は酸化されて、四三酸化鉄となります。

このような方法で、鉄の表面に四三酸化鉄をつくって鉄のさびどめにすることがあります。




鉄鉱石とは? 溶鉱炉とは? わかりやすく解説!

鉄鉱石

鉄は、地球上のあらゆる場所の、岩石や砂・粘土などにふくまれていますが実際に鉄をとりだすことのできる鉱石、つまり採算のとれる鉱石の種類はそれほど多くありません。

代表的な鉄鉱石には赤鉄鉱・磁鉄鉱・かっ鉄鉱・炭酸鉄鉱(りょう鉄鉱)黄鉄鉱などがあります。

鉄鉱石は日本には少なくアメリカ・ソ連・フランス・スウェーデンなどの国にたくさん産出します。

溶鉱炉

鉄鉱石から鉄をとりだすには、溶鉱炉を使います。
溶鉱炉は、高さ15~30メートルのやや円すい形の炉で高炉ともいわれ、内側は耐火レンガではられています。

この溶鉱炉の上部から赤鉄鉱や磁鉄鋼のような鉄の酸化物からできている鉱石とコークス・石灰石をかわるがわる入れ、熱風炉で熱した空気を炉の下部(羽口)からふきこみます。

溶鉱炉の中では、まずコークスが燃えて1500℃ぐらいの高い温度になります。

温度が高いのでコークスは、二酸化炭素にはならずすべて一酸化炭素になり、それが炉の上のほうへあがっていきます。

いっぽう、上からは鉄鉱石がおりてきて、それが二酸化炭素にあうと還元されて、溶けた鉄になります。

そして、溶鎔炉の下部のほうへ流れおちます。
いっぽう、石灰石は溶鉱炉の中をおちてきて、900℃ぐらいのところまでくると分解して酸化カルシウムになります。

酸化カルシウムは、鉱石中の岩石分や二酸化ケイ素と化合してケイ酸カルシウムとなるので、やはりとけて流れおちます。

これをスラグといいます。



鉄もスラグも、溶けた状態になっていますが鉄のほうが比重が大きいので、まざりあわず鉄はスラグの下に沈んでおりてきます。

この鉄とスラグは、炉の下部からとりだされるいっぽう原抖はつぎつぎと上部から入れられて、作業がおこなわれます。

こうしてとりだした鉄を銑鉄といい、かなりの量の炭素をふくんでいます。
ふつう一基の溶鉱炉からは一昼夜に2000~4000トンぐらいの銑鉄が生産されます。

いっぽう。スラグは、高炉セメント・スラグレンガなどの製造に利用されます。
また、溶鉱炉の上部からは、窒素・一酸化炭素・二酸化炭素などの混合ガスがでますがこれは、高炉ガスとよばれ、熱風の予熱に利用されています。

銑鉄

銑鉄は鋳鉄ともよばれ、2.2~5パーセントの炭素をふくみます。
炭素のほかの元素もかなりふくまれていてケイ素を0.1~4パーセント、マンガンを0.16パーセントリンを0.01~2.5パーセント、イオウを0.01~6パーセソトぐらいふくんでいます。

ですから、ふつう使われている鉄材のなかでは銑鉄はもっとも不純な鉄といえます。

溶鉱炉からとりだしたばかりの銑鉄は、このように不純ですから軟鉄や鋼は、この銑鉄を原料としてさらにいろいろな工程をとおって、つくられます。



冶金とは? 吹管分析とは? わかりやすく解説!

冶金

ふつう、天然にとりだされる鉱石から金属をとりだすことを冶金といいます。
また、金属を製練したり、合金をつくったりして金属材料をつくることを冶金ということもあります。


冶金は、その方法によって、化学冶金と物理冶金に分けることができます。

金属は鉱物中に化合物としてふくまれることが多いので冶金は、化学冶金によることが多くなります。

金属化合物から金属をとりだすのは、金属の陽イオンを金属原子にかえること
つまり還元することになります。

したがって、化学冶金の方法は、金属を還元する方法ともいえます。

物理冶金は、合金をつくり、熱や力をくわえることによって金属材料をつくりだすことをいいます。

それぞれの金属の冶金や精製の方法についてはその金属の性質を調べるときに、いっしょにくわしく調べることにしましょう。


吹管分析

鉱物などの試料を強く熱して成分を調べる方法に、吹管分析とよばれるものがあります。
吹管分析では、目の細かい木炭に小さな穴をあけ、その中に試料を入れます。

そして、吹管を使ってテクルバーナーの炎を吹き付け、試料を強く熱します。
このとき、吹管の位置によって、酸化炎と還元炎とができます。

酸化炎は、水素や一酸化炭素が燃えて二酸化炭素や水蒸気ができている部分で酸化作用があります。

いっぽう、還元炎は二酸化炭素・水素・二酸化炭素・水蒸気などの混合気体で還元作用があります。

吹管分析では、炎を吹き付けることによって、試料の色がかわるかどうか気体や昇華物がでるかどうかを調べます。

また、試料に炭酸ナトリウムをくわえ、還元炎を吹き付けて強く熱した場合金属粒ができるかどうかを調べます。

還元炎でできる金属粒は、酸化炎で酸化物となりこれが還元されてできたもので、金・銀・銅・鉄・二ッケル・スズ・鉛などの鉱物の場合にできます。

したがって、できた金属粒の色・つや・硬さ・展性や延性などを調べるとどの金属かおおよそわかります。

昇華物は金属の酸化物で、木炭の穴の近くにつき、鉱衣といわれます。
金属粒を酸化炎で熱すると、鉱衣を生じますからこの鉱衣の色や形によって、試料中にふくまれる金属がなんてあるかを決めます。



鉱石とは?選鉱とは? 鉱石の分析とは? わかりやすく解説!

金属は、そのままの形でとれることはほとんどなくいろいろな物と化合した状態でとりだされます。

そのため、金属を取り出すには、いろいろな物と金属を分けたり不純な金属を純粋なものにしたりしなければなりません。

ここでは、金属のとりだし方について、調べてみましょう。


鉱石

鉱物が集まっていて、それを掘り出して製練した場合、採算がとれる物ならば、その鉱物の集まりを鉱石といいます。

したがって鉱物が集まっていてもそれを掘り出して製練するとそんになるような場合はその鉱物の集まりは鉱石とはいえないわけです。

つまり、金属の鉱物のなかに私たちにとって役に立つ金属の鉱石があるわけです。

選鉱

金属をとりだすには、まず鉱石を掘り出しわけですが掘り出した鉱石を、すぐ製練するのではなくそのまえによい鉱石と必要でない物とに選び分けます。

これを選鉱といいます。

選鉱には、鉱物の重さの違いを利用する方法、磁力を利用する方法必要な鉱物だけを、水銀と化合させてアマルガムにする方法などいろいろな方法があります。

たとえば、砂金の選鉱では、おもに流れる水の中で比重の違いを利用して選別する比重選鉱法が使われます。

また砂鉄は、砂金と同じ方法でも選鉱されますが磁石を使って砂鉄を選別する方法も使われます。

これを磁力選鉱法といいます。

また、銅の選鉱には、比重選鉱・浮遊選鉱などの方法が使われています。



鉱石の分析

鉱石にどのような鉱物がふくまれているかを調べる方法はいろいろありますが
鉱物試料を熱して変化を調べる方法として、開管分析と閉管分析とがあります。

開菅分析

内径が7~8ミリ、長さが8~10センチぐらいの良質の硬質ガラス管をよく洗い
右の写真のように、いっぽうのはしを、はしから約3センチのところで折り曲げます。

この曲がったところに試料を入れ、空気の通りをよくしておいてゆっくり熱すると、試料は酸化をうけます。

このとき、試料の色のかわり方、水分やガスの出方昇華物があるかどうかなどを調べます。

この結果から、この試料にどのような成分がふくまれているかをおおよそ知ることができますがよく注意しないと試料が酸化されないで揮発して出てしまうことがあります。

閉管分析

閉管分析は、開管分析より確かな方法です。
開管分析に使った硬質ガラス管と同じ大きさのものを使いそのいっぽうのはしを、細くして封じこんだものを使います。

この中に試料を入れ、管の底をゆっくり熱します。

そして、開管分析のときと同じように試料の色のかわり方、水分ので方と酸性・塩基性、ガスので方と性質、昇華物があるかどうかなどを調べます。

この結果から、試料にふくまれている成分が、だいたいわかります。



合金とは? 合金にするわけとは? わかりやすく解説!

いろいろな合金

2種以上の金属を溶かし合わせたものを、合金といいます。
合金のなかには、炭素・ケイ素などの非金属をふくむものもあります。


合金をつくっている金属の状態は、いろいろあって固溶体・共融混合物・化合物およびこれらのまざりあったものの4つに分けられます。

固溶体は、合金のどの部分も均一な物質になっているものです。
共融混合物は、合金をつくっている各金属がそれぞれ、同じ温度で溶けるような状態になっている合金です。

たとえば、銅と二ッケルの場合や、金と白金の場合などはどんな割合でまぜても、溶けると均一な合金になります。

また、アルミニウムと銅の場合や、銅とスズの場合などはまざる割合により、固溶体になったり、共融混合物になったり、化合物になったりします。

いろいろな金属の合金については、その金属の性質を調べるときにいっしょにくわしく調べることにします。

合金にするわけ

これまで調べてきたように、合金をつくる金属の溶けあっている状態にはいろいろあって合金の性質は、その状態によって、いろいろと違ってきます。

したがって、いろいろな金属を適当な割合にまぜて合金をつくると合金にするまえの金属とは、違った性質をもった物ができます。

そして、そのうちの都合のよい性質の物を選ぶことができます。
たとえば、溶ける温度の低い合金・硬い合金・軽い合金・鋳物にしやすい合金などができます。

このように、合金にすると、利用に適した性質をもった物ができるので金属をそのまま使うよりも便利なのです。

私たちがよく見かけるる合金にはハンダ・ヒユーズ・ジュラルミンなどがあります。



トタンとブリキとは? わかりやすく解説!

鉄板に、ほかの金属をめっきして、うすい膜をつけ鉄板をさびにくくしたものにトタンとブリキがあります。


トタンは、鉄板の表面にうすい亜鉛の膜をはったものです。
ふつうは、鉄板を塩酸か硫酸で洗って、酸化物を取り除きこれを水で洗ってかわかし、熱して溶かした亜鉛の中に浸してつくります。

このほか、電気めっきでつくる方法もあります。
トタンは、屋根板やいろいろな器物をつくるのに用いられます。

しかし、酸や塩基には非常に弱いので、缶詰用の缶には利用できません。

ブリキは、鉄板の表面にうすいスズの膜をはったものです。
やはり、きれいにした鉄板を、熱してとかしたスズの中に浸し表面にスズの膜がついたら、引きだして、煮たたせた油の中に入れ余分なスズを流し落としてつくったものです。

ブリキはふつう、缶詰用の缶や石油缶に使われていて、トタンよりつやがあります。

トタンの場合は、鉄板のさびは、つぎのようにしてふせぐことができます。

亜鉛は鉄よりもイオン化傾向が大きいので空気中では鉄よりもはやくさびて白色の塩基性炭酸亜鉛となりますがこのさびは、かえって内部を保護します。

また、トタン板に傷がつき、内部の鉄があらわれてその部分に水がついても亜鉛のほうがイオン化傾向が大きいためにまわりの亜鉛がおかされ、亜鉛のある間は、鉄はおかされません。

ブリキの場合は、スズのほうが、鉄よりもイオン化傾向が小さいので非常にさびにくく、そのために鉄板が保護されているのです。

ところが、ブリキに一度傷がついて、鉄があらわれると鉄のほうがイオン化傾向が大きいためスズよりも先にさびてその結果、このさびが内部にどんどん広がっていきます。



メッキをするわけとは? めっきの種類と方法とは?

めっきをするわけ

めっきは、ある物質に金属のうすい膜をつけることで、その膜の厚さは、ふつう0.01センチ以下です。


めっきをするのは、つぎのような2つの理由からです。
その1つは、金属がさびつくのをふせぐためでその金属よりさびにくい金属をめっきして、内部を保護するのです。

もう1つは、美しく見せるためにするめっきです。
めっきする金属としては、金・銀・クロムなどが使われます。

電気めっき

電解質の溶液の中に、2つの電極を入れ、これに電流を通すと陽極と陰極とで、分解がおこります。

これが電気分解で、これを利用したものが電気めっきです。
電気めっきでは、めっきされる金属を陰極としめっきする金属をふくむ塩をめっき液とする場合とやはり、陰極にめっきされる金属を使い陽極にめっきする金属を使う場合とがあります。

このようにして、両極に電流を通じると、めっきする金属は陽イオンとなって
陰極となっている金属に引きよせられ、その表面について析出するのです。

このように、金属が電気分解によって析出して陰極の物質にくっつくことを、電着といいます。

電気めっきをするときは、まず生地の金属(めっきされる金属)の表面をよくみがき熱した塩基の溶液でよく洗って、油を除いたり、酸で洗って酸化物などを除いたりしてから、きれいな水で洗います。

このようにした金属を、陰極としてめっき液の中に入れるのです。

生地とめっきする金属とが、なじみにくく、めっきがよくかからないときには先に生地とめっきする金属の両方になじみやすい別の金属を、めっきしておいてから目的とする金属をめっきします。

この中間に使う金属としては、銅や黄銅などが、よく使われます。
たとえば、亜鉛に二ッケルめっきをするときはまず亜鉛に銅めっきをかけ、つぎに二ッケルめっきをします。

電気めっきには、金めっき・銀めっき・銅めっき・二ッケルめっき・クロムめっきなどがあります。


金めっき

塩化金の溶液と、シアン化カリウム溶液をまぜるとシアン化金カリウム溶液ができます。

この溶液をめっき液とし純金を陽極として、めっきします。

金めっきは、装飾品など、表面を美しく見せるためにほどこされます。

銀めっき

銀めっきには、いろいろな方法があります。

その1つとして使われている方法は、シアン化銀・シアン化カリウム・炭酸カリウムをまぜてめっき液とし、陽極に純銀を使います。

銀めっきは、装飾品・食器などにほどこされます。

銅めっき

銅めっきはたいてい鉄や亜鉛にほかの金属をめっきするときに中間めっきとしてほどこされます。

方法にはいろいろありますが、その1つは硫酸をふくむ硫酸銅溶液をめっき液とし純銅を陽極として電気を通じると陰極にした金属に銅が電着し、めっきされます。

ニッケルめっき

硫酸二ッケル・塩化アソモニウム・ホウ酸の溶液をめっき液とし二ッケルを陽極にして、電流を通じます。

ニッケルめっきは、さびどめや、装飾の目的でほどこされます。
またクロムめっきをするための中間めっきにもされます。

クロムめっき

無水グロム酸と硫酸をめっき液とし、鉛を陽極にしておこないます。

クロムめっきは、装飾をかねて、すり減らないようにするためにかけられるもの自動車・自転車などの部品のほか、機械部品々計器などにほどこされます。



金属の種類とは? 金属とさびの関係とは?錆の防ぎ方とは!

重金属と軽金属

比重が四より小さい金属を軽金属といい、比重が四より大きい金属を重金属といいます。

軽金属のうちでも、とくに比重が小さいものとしてはリチウム(0.534)・カリウム(0.86)・ナトリウム(0.97)などがあります。


また、カルシウム(1.54)・マグネシウム(1.74)・アルミニウム(2.69)なども軽金属です。

重金属のうち、とくに比重が大きいものとしてオスミウム (22.5)・イリジウム(22.5)・白金(21.37)・レニウム(21.2)・タングステン(19.1)・金(19.3)などがあります。

また、銅(8.93)・銀(10.5)・亜鉛(7.12)・カドミウム(8.64)・水銀(13.55)なども重金属にはいります。(かっこ内は比重)

貴金属

貴金属とは、金・銀や白金族金属(白金・イリジウムでオスミウム・パラジウムなど)のような金属をさします。

貴金属は、空気中で熱しても酸化されません。
また、化学変化をうけず、きわめて美しい金属のつやと色とをもっています。

また、貴金属は世界中どこでも、非常に産出量が少なくしたがって、値段も高くなります。
貴金属にたいして、貴金属以外の金属を卑金属といって区別することがあります。

さびのでき方

鉄・銅・アルミニウムなどの金属は、空気中の酸素や水分のはたらきをうけて
表面に、その金属の酸化物や水酸化物などの膜ができます。

この膜をさびといいます。

さびのでき方は、その金属によって多少違います。
それぞれの金属のさびについては、そこ金属の性質を調べる時にいっしょにくわしく調べます。



さびの利用

金属のさびは、悪いもののように思われていますがさびでも使い方によっては、役に立つものがあります。

たとえば、鉄を空気中で熱すると、表面に黒いさびができます。
これは、黒さびとよばれるもので、黒色の四三酸化鉄です。

四三酸化鉄は、うすい酸に溶けにくく、また塩素のような激しい反応性をもった気体とも反応しにくい性質があります。

したがって、あらかじめ黒さびをつくっておくとそれ以上鉄がさびるのを防ぐことができます。

いっぽう、鉄の赤さびにふくまれている酸化第二鉄はベンガラとよばれ顔料(白または色のついた細かい粉で、水や油に溶けずペンキや絵具の原科になる)として使われたり、宝石をみがくために使われます。

また、銅の緑色のさびは、ロクショウといわれて有毒なものですが緑色顔料の一種として利用されています。

さびの防ぎ方

金属のさびは空気中や水中などで金属の表面が変化して酸化物や水酸化物・炭酸化物などが膜になってできたものです。

したがって、これをふせぐためには、さびのできるもとをなくせばよいわけです。
つまり、金属の表面を空気や水や酸などに、直接触れないようにすればよいのです。

そのためには、金属の表面にほかの物質の膜をはるのがよい方法です。
たとえば、メッキをしたり、塗料をぬったり、油類をぬったりして、さびを防いでいます。

また、ホウロウびきの器具も、鉄の下地にうわぐすりをつけたものでさびを防ぐのに役立っています。

さらに、金属の表面に、まえに調べたようにあらかじめ、さびをふせぐためのさびをつくっておくのもよい方法です。

このように大がかりな方法でなくとも金属の表面から湿気をよくふきとっておいたり、油紙につつんで湿気をふせいだりするだけでもある程度さびをふせぐことができます。



金属の展性・延性と磁性とは? わかりやすく解説!

展性と延性

金属のかたさが小さい場合、この金属を強くたたいたり大きな圧力をくわえたりすると、だんだんうすくなって広がります。


金属のこのような性質を展性といい、うすく広がったものを金属箔といいます。

金・銀・スズなどは、金属のなかでもとくに展性が大きく金は厚さ1万分の1ミリまでの厚さにたたきのばすことができます。

同じように、かたさの小さい金属は、引きのばして細いはりがね状にすることができます。

金属のこのような性質を、延性といいます。

銅・銀・金・白金などは、とくに延性の大きい金属で白金は直代が1万分の1ミリという細いはりがねにすることができます。

金属の展性や延性は、そのときの温度などの条件によってかわります。

金属の磁性

磁石のもっているような性質を磁性といいますが金属のもっている磁性は、つぎの3つに分けることができます。

1つは、その金属が磁界の方向に引きよせられる性質で、これを常磁性といいます。

もう1つは、磁界からおしだされる性質で、反磁性といわれます。

常磁性の金属も、反磁性の金属も磁界の中では磁性をしめしますが磁界からとりのぞくと、磁性は消えます。

あとの1つは、常磁性のさらに強い場合で磁界の中におくと強い磁性をおびて磁界からとりだしても磁性が残っている性質で、強磁性といわれます。

常磁性の金属には白金・アルミニウムなどがあり反磁性の金属には金・ビスマス・アンチモンなどがあります。

また、強磁性の金属には、鉄・二ッケル・コバルトなどがあります。


金属と酸・塩基

金属と酸を作用させると、塩ができます。
また、金属と塩基が作用すると、ふつう水酸化物ができますがこれは水に溶けにくく水和酸化物といわれる形になっています。

イオン化傾向

金属は、ふつう、その金属を電解質溶液につけておくとイオンになって、溶液中に溶けこむ性質があります。

これを金属のイオン化傾向といいます。
イオン化傾向は、金属の種類によって違います。

たとえば、鉄と銅のイオン化傾向をくらべると鉄つのほうが大きいのです。
それで銅イオンをふくむ溶液中に鉄を入れると鉄がイオンになり逆に銅イオンは鉄がだした電子を受け取って、銅原子となって析出します。

実際に、よくみがいた鉄のくぎを硫酸銅溶液中につるすと銅が析出して、くぎの表面につくのが見られます。

また、イオン化列で水素よりイオン化傾向の大きい金属はうすい酸を作用すると、溶けて水素を発生します。

たとえば、亜鉛を希硫酸に入れると、水素を発生して溶けます。

ふつう、酸化と還元とは、電子のやりとりであらわします。
したがって、イオン化傾向の大きい金属は電子をだしやすいので酸化されやすい金属といえます。

これを別ないい方であらわせば、還元する力の強い金属であるともいえるわけです。



金属の融点と重さ・かたちとは? わかりやすく解説!

金属の融点

金属は、ある決まった圧力のもとではその金属に特有な温度で溶けて、液状になります。

この温度を、その金属の融点といいます。融点は、金属の種類によって、高さが違います。


このうち周期律表のIa族は、アルカリ金属とよばれ原子の大きさもわりあいに大きく原子どうしのむすびつきが弱いので融点が低いという特徴があります。

またIb族の銅族などのように原子の小さい金属は原子どうしのむすびつきが強く、融点はわりあいに高くなります。

水銀は例外で原子の大きさが小さいわりに、融点が低く零下38.8℃です。

このように金属の融点は、その金属の原子の大きさと深いつながりがあります。

金属の重さ

金属には、わりあいに軽いものと非常に重いものとがあります。
重さのあらわし方には、いろいろな方法かありますがふつうは比重であらわします。

比重四を基準にして、それ以下の軽い金属を軽金属それ以上の重い金属を重金属とよんでいます。

金属のなかで、もっとも比重の大きいものは22.5のオスミウムでもっとも小さいものは、0.534のリチウムです。

軽金属のなかで重要なものにはアルミニウム・ナトリウム・マグネシウムなどがあります。

いっぽう重金属は、軽金属にくらべてその数も多く鉄・銅・金・銀をはじめ、重要なものがたくさんあります。


金属のかたさ

金属のかたさも、金属の種類によって、いろいろと違います。

金属のかたさをあらわす方法には、いろいろありますがそのどれも、なにか基準になるものを含めてそれにくらべた値であらわしています。

いっぱんに.ナトリウム・カリウムなど、アルカリ金属には柔らかいものが多く鉄・コバルト・ニッケルなどの周期律表のⅧ族の元素にはかたいものが多くなっています。

また、タングステンをふくむ合金には非常にかたいものが、たくさんあります。

金属の色とつや

金属には、その金属に特有のつやがあってこれを金属のつや(金属光沢)といいます。

金属のつやは、金属が光を反射するためにあらわれるもので金属の表面の、反射する力が大きければ大きいほど、強く輝いたつやがみられます。

いっぽう、金属はその種類によって反射のしかたが違うのでそれぞれ特有の色が見られます。

たいていの金属は、白っぽい色に見えますがその光り方は種類によって、いくらか感じが違っています。

色がついている金属は、金・銅ぐらいでこれらを着色金属、白っぽい金属を白色金属といって区別することもあります。

金属は光を通しませんが、うすい箔にして、ふつうの光を通すと多くの金属は、灰色がかった茶色に見えます。

また、着色金属は反射する色と通り抜ける色とが補色の関係になります。
たとえば、金の箔では反射する光は金色ですが通り抜ける色は、青緑色に見えます。



金属と非金属とは? 金属の結晶のつくりとは?

私たもの身のまわりを見まわすと、金属が生活に獲得のできない物であることがよくわかります。

汽車・電車・自動車・飛行機などの交通機関、ビルの鉄骨、いろいろな台所用品や電化製品など金属はいたるところに使われています。

ここでは、金属の性質や特徴について、くわしく調べてみましょう。


金属の非金属

100種類以上もある元素を大きく分けると金属元素と非金属元素元素とになります。
周期律表で左下の元素が主に金属元素で右上の元素がおもに非金属元素です。

金属は、ふっうつぎのような共通した性質をもっています。

① 金属光沢とよばれる、金属に特有なつやがある。
② 電気をよく伝える。
③ 熱をよく伝える。
④ 強度が大きく、まげても折れにくい。
また、展性(うすく広がる性質)・延性(細くのびる性質)も大きい。

⑤ 低い温度ではなかなか溶けず常温度では固体となっている。

もちろん、これには例外もあります。
また、金属元素と非金属元素とをくらべてみると金属元素の原子は大きくて、陽イオンになりやすく、またこの陽イオンは水酸イオンとむすびついて水酸化物になりやすい性質をもっています。

これにたいして非金属元素の原子は小さく、陰イオンになりやすい性質をもっています。


金属の結晶のつくり

金属の原子は、きれいにならんで、結晶をつくっています。
この結晶のつくりかたには、図のように、3つの種類かおりますがふつう、金属はこの結晶のどれかがたくさん集まって形づくられているのです。

ところがどの場合にも、格子状にきちんとならんでいるのはそれをつくっている金属の陽イオンだけなのです。

原子は原子核とそれをとりまいている電子とからできていますが陽イオンは、この原子からいくつかの電子(原子価を決める電子)が飛出してなくなったものです。

つまり金属の結晶の中では、この陽イオンだけが集まって格子状にならび飛出した電子がそれら陽イオンの隙間を自由に動き回っていると考えられているのです。

この電子を自由電子といいます。

陽イオンどうしが集まって、どうしてお互いに反発しあわないでくっついているのかというと、自由電子のためにそれらが固く集められているからなのです。

このような金属原子どうしのむすびつき方を、金属結合といいます。

金属のいろいろな特徴はみなこのような原子の結合の仕方にもとづくものだと説明されています。

たとえば、金属がよく電気を伝えるのは金属に電圧をかけたときその電圧におされて、自由電子が流れ、電流となるためです。

また、熱をよく伝えるのも、金属を熱したときにこの自由電子が動くからだと考えられるのです。



金属イオンの分離とは? わかりやすく解説!

実際に金属イオンを検出するときは、いろいろなイオンをふくむ試料(調べようとするもの)から、それぞれのイオンを分離しなければなりません。

銀イオン・銅イオン・アルミニウムイオン・第二鉄イオン・バリウムイオンを
ふくむ溶液を用意して、それからそれぞれのイオンを検出してみましょう。


銀イオンの分離

溶液にうすい塩酸をくわえると塩化銀が沈殿します。
これをろ過し、うすい塩酸で洗うと銀イオンを塩化銀の形で分離することができます。

これをビーカーにうつして銀イオンの反応のところで述べた①の実験をすると、銀イオンを確認することができます。

バリウムイオンの分離

塩化銀をろ過したろ液に、うすい塩酸を一滴くわえもはや沈殿ができないことを確かめてからうすい硫酸をくわえると硫酸バリウムが沈殿します。

加熱して、沈殿の粒子を大きくしてからろ過すると硫酸バリウムが分離します。
この沈殿が、うすい酸や塩基の溶液に溶けないことを確かめます。

銅イオンの分離

硫酸バリウムをろ過したろ液に、うすい硫酸を一滴くわえて沈殿ができないことを確かめてから、塩化アンモニウム溶液をくわえつぎに上澄み液が銅アンモニア錯イオンの青色になるまでうすいアンモニア水をくわえます。

このとき、鉄とアルミニウムは水酸化物の形で沈殿し、ろ過すると、ろ液のほうに銅イオンをとりだすことができます。

このろ液を用いて、銅イオンの反応をおこなわせ、銅イオンを確認します。

アルミニウムイオンの分離

水酸化アルミニウムと水酸化第二鉄のまざった沈殿を水でよく洗ってからビーカーにうつします。

これに、うすい水酸化ナトリウム溶液を、いちどできた沈殿がまた溶けて赤褐色の水酸化第二鉄の沈殿だけになるまでくわえます。

水酸化アルミニウムは、アルミン酸イオンになり溶けますからろ過して、アルミニウムイオソはろ液に鉄イオンは沈殿に分離することができます。

アルミニウムイオンは酸で中和して沈殿をつくることによってまた鉄イオンはフェロシアン化カリウムで、それぞれ確認することができます。



金属イオンの反応とは? わかりやすく解説!

水溶液中に、あるイオンが溶けているときそれが何のイオンであるかを調べることを、イオンの検出といいます。

ここでは金属イオンの検出について、調べてみましょう。


イオンには、他のイオンと反応して、気体になるとか沈殿を生ずるとか色をしめすというような特有の反応があります。

イオンの検出は、このイオン特有の反応を利用しておこないます。

ふつう、検出しようとするイオンのほかにほかのイオンがまざっている場合が多いのでそれらが検出の邪魔になるときは、あらかじめ分離しておきます。

つぎに、検出しようとするイオンに特有な反応をおこなわせてそのイオンの存在を確認します。

確認のためには、沈殿をつくり、その色や性質を調べたり特有な色をしめす複雑なつくりのイオンをつくったりします。

そのイオン特有の鋭敏な反応を選べば試験管やビーカーを使わずに石紙や時計ざらの上ででも確実に、わずかな量のイオンを調べることができます。

そのほか炎色反応なども、操作がかんたんなので検出の補助手段として使われます。

金属イオンの反応

おもな金属イオンについて、それぞれの特有な反応を調べてみましょう。
実験するときは、それぞれのイオンをふくむ溶液(硝酸塩などの2パーセソト溶液)を用いておこないます。

銀イオン

Ag+ 無色のイオン。
① 塩酸や塩化ナトリウムの水溶液などのような塩素イオンをふくむ溶液をくわえると、白色の塩化銀が沈殿します。

塩化銀は光にあたると一部が分解し、細かい銀の粒ができるため紫色に変色します。
塩化銀は、アンモニア水に溶けます。
この溶けた溶液に、ヨウ化カリウム溶液をくわえると、黄色のヨウ化銀が沈殿します。

アンモニア水をくわえすぎていた場合は、白色の沈殿に見えます。

② うすいアンモニア水をくわえると褐色の酸化が沈殿しさらにアンモニア水をくわえると無色の銀アンモニア錯イオンをつくって溶けてしまいます。

酸化銀ができた溶液をそのままにしておくと、爆発性物質ができるので、注意が必要です。

③ うすい水酸化ナトリウム溶液をくわえると、酸化銀が沈殿しさらにくわえても、沈殿は溶けません。

④ ヨウ化カリウム溶液をくわえるとヨウ化銀ンの黄色沈殿ができます。
ヨウ化銀は、硝酸やアンモニア水には溶けません。

銅イオン

Cu2+ 水溶液は青色をしめします。

① うすいアンモニア水をくわえると、うすい青色の水酸化第二銅のが沈殿します。
しかし、アンモニア水をさらにくわえると濃い青色の銅アンモニア錯イオンをつくって溶けます。

② うすい水酸化ナトリウム溶液をくわえると水酸化第二銅が沈殿しますがさらにくわえても溶けません。

③ 炎色反応は、緑色をしめします。



アルミニウムイオン

Al3+ 無色。
① うすいアンモニア水をくわえると白色の寒天のような水酸化アルミニウムが沈殿します。

② うすい水酸化ナトリウム溶液をくわえると水酸化アルミニウムの沈殿ができますが、さらにくわえると、アルミン酸イオンができて溶けます。

この溶液を酸で中和すると、また水酸化アルミニウムが沈殿しますが酸を多くくわえると溶けます。

第二鉄イオン

Fe3+ 水溶液は、黄色をしめします。

① うすいアンモニア水や、水酸化ナトリウム溶液をくわえると赤褐色の水酸化第二鉄が沈殿し、さらにくわえても溶けません。

② フェロシアン化カリウム溶液をくわえると、濃い青色の沈殿をつくります。

バリウムイオン

Ba2+ 無色のイオン。

① うすい硫酸をくわえると、白色の硫酸バリウムが沈殿しこれは酸にも、塩基にも溶けません。

② 炭酸アンモニウム溶液をくわえると、炭酸イオンと反応して白色の炭酸バリウムが沈殿します。
これに、うすい酸をくわえると二酸化炭素を発生しながら溶けてしまいます。

③ 炎色反応は、うすい緑色をしめしまします。



硫酸アルミニウムとミョウバンの製法・性質・用途とは?

硫酸アルミニウムの製法

硫酸アルミニウムは、アルミニウムや水酸化アルミニウムに硫酸を作用させてつくります。
工業的には、アルミニウムの精練の中間製品である水酸化アルミニウムを原料として製造します。

硫酸アルミニウムの性質

純粋な硫酸アルミニウムは、白色の結晶で、水に溶けやすく水溶液は、加水分解して酸性をしめします。

水溶液から結品させた硫酸アルミニウムは、18水和物でこれを熱すると、結品水をなくして、白色の無水物の粉末になりさらに赤くなるまで熱すると、酸化アルミニウムになります。

ミョウバン

硫酸アルミニウムの水溶液に、硫酸カリウムを溶かし煮詰めてから冷やすと、カリウムミョウバンの結晶ができます。

この結晶が、ふつう、ミョウバンといわれているもので強く熱すると、結晶水がなくなって、白い粉末になります。

これを、焼きミョウバンといいます。

硫酸カリウムのかわりに、硫酸アンモニウムを使うとアンモニウムミョウバンの結晶ができます。

カリウムミョウバンとアンモニウムミョウバンは結晶の形が似ているのでアルミニウムミョウバン類ともいいます。

アルミニウムのかわりにクロムを使うと、クロムミョウバン類ができます。
この2種類は、結晶の形が似ているので、まとめてミョウバン類とよぶこともあります。



アルミニウム塩の用途

硫酸アルミニウムやアルミニウムミョウバンを水に溶かすと加水分解をおこして、目に見えないような細かい水酸化アルミニウムの沈殿ができます。

この沈殿は、ごみを吸いつける性質をもっているので水をすませるときに使います。

また、水酸化アルミニウムは、染料を吸いつける力をもっています。
この性質を利用して、染めにくい繊維の表面にアルミニウム塩をつけて、染めやすくしています。

このようなはたらきをする薬品を、染剤といいます。
媒染剤としては、硫酸アルミニウム・酢酸アルミニウム・アルミニウムミョウバン類などのアルミニウム塩が使われます。

紙のめをつめ、紙をなめらかにしてインキのにじむのをとめる薬品をサイズといいます。

水酸化アルミニウムは、このはたらきをするのでアルミニウム塩は、ほかのものとまぜてサイズとしても使われています。

複塩と錯塩

カリウムミョウバンは、カリウムイオン・アルミニウムイオン・硫酸イオン・水分子が1対1対2対12の割合で、規則正しくならんでできた結晶です。

この結晶を水に溶かすと、これらのイオンがばらばらになるのでカリウムイオン・アルミニウムイオン・硫酸イオンのそれぞれの性賢があらわれます。

つまり、硫酸カリウムと硫酸アルミニウムの性質をそのままもっているわけで
このような塩を複塩といいます。

いっぽう、シアン化カリウムとシアン化銀をまぜてできた銀シアン化カリウムは、もとの2つの塩と性質のまったく違った新しい塩です。

この塩は、カリウムイオンと銀シアンイオンとからできています。
この銀シアンイオンは、銀イオンにシアンイオン2個が強くむすびついたイオンで銀イオンとも、シアンイオンとも性質が違います。

このようなイオンを錯イオンといい、錯イオンをふくむ塩を錯塩といいます。



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